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【R-18】Mシチュスレの引用スレ

1 :名無しさん@狐板:2020/01/19(日) 00:15:29 ID:bMTYbG3g



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当スレは某R-18スレの長文レス、SS、スレ主以外のAA・支援AAを投稿する場所です
それ以外での使用はお控えください

348 :名無しさん@狐板:2022/04/01(金) 23:00:56 ID:GQH0SHDw
女権国家SS エイプリルフール企画、夢幻の無限快楽堕ちの夢


 このSSは女権国家のSSであり、>>329から>>337>>339から>>342まで投下したSSの続編にあたりますが、>>311>>319の物語もパラレルとして繋がっています。
 また>>347の児童漫画雑誌については公式設定ではなく、このSS限定のオリジナル設定です


 花の大公爵ヴァレンティーヌの居城。慈悲と徳の大公爵の通り名を持つだけではなく、女権国家の遊郭等を取り仕切る歓楽街を統べる女主人でもある。その彼女の居城の寝室で彼の公爵の夫となった横島が複数の女性達に嫐られていた。
女権国家の歓楽街の主でもある彼女に相応しい赤と黒で彩られた、情欲を掻き立てると同時にどこか男性から見ると牢獄を連想させる場所で、横島は口から情けないまでの悲鳴と喘ぎ声の間のような、声を出している。彼のその姿を黒みがかった赤い髪をした公爵が、
満足そうに高めの椅子から見下ろしていた。彼女の満ち足りた表情を見れば女権国家の人間なら、今宵は夫を閨で重利し尽くした後だと察せられるだろう。
公爵は一糸まとわぬ姿でありながら不思議と威厳と品のある佇まいで、椅子に掛けながら笑い彼を嫐るような言葉を口から紡ぎ始めた。

「旦那様。その者達は、妾の弟子としても貴族としても最低の地位の者達じゃぞ。 そんな者たちにすらその様とは、情けなや。 一対一で惨敗した女全員に、掛かられればそれもやむなしか」

 椅子に掛けるジェラートにメイド服に身を包んだユウキとランが恭しく侍り給仕を務めている。いつかの完全敗北の夜とその後に見せられた夢が思い出され余計に彼を昂らせる。

「ジェラート様。忠夫が王国男子にしてもあまりにも早漏過ぎる醜態を見せているけど、女権国家の女性としてはどうですか? 僕としては見てて楽しいけど。
王国女子としてはかわいそうになってきます。 あんなに早くてしかも、さとり様が言うにはあれで心底興奮するようになるまで一月。ここまで早漏とかあまりにもかわいそうです」

 ユウキの蔑みの言葉で逆に彼は昂り。丁度夜の弱さをバカにする意の籠った目で見挙げながら、彼の分身を口淫していた魔女の中に一気に放ってしまった。
三人が嫐る言葉で解説する中、横島を襲う女性達は無言でただ蔑みの視線を向けてひたすら彼をベッドで圧倒した。 これが今夜は一番効くとさとりがアドバイスしたらしい。

 彼女達が横島から精と霊力を搾り取り尽くし、満足して出ていこうとすると服を着る手伝いをしようとする二人をジェラートが制した。

「あまりにも旦那様が無様でかわいらしかったので、妾ももう一度したくなった。そなたらもそうではないか」

「はい。忠夫様、夜伽をお願いしますね」

「さすが公爵様。僕達も使い魔として頑張りまーす。忠夫〜蜂蜜酒は用意しておいたからがんばろー」

 ジェラートには心底の敬意を込め、横島には嗜虐心の込めたランとユウキの声が彼をより絶望させ。その後彼は意識が何度も飛び続けた。

 果てしない快感と共に何かを捧げさせられている感覚が支配されている感じを強めていき、限界が来ても振舞われた料理と蜂蜜酒が体の中で砕け散る様に精力を回復させていく。   
体力か精神力どちらかに限界が訪れ、横島が倒れかけた時にジェラートが水分をひたすら欲する状態と化した彼に蜂蜜酒を再び差し出してきた。それを飲み終わるとジェラートが口を開いた。

「今宵は少しばかり特別な賓客を招いておる。旦那様」

 その言葉を聞いた瞬間、横島の背に嫌な予感が走った。だが同じくらいに期待もあった。期待を感じるあたり自分も大概になってきていると感じる。横島は多少自己嫌悪しつつ彼女の言葉の続きをまった。
ジェラートは横島の表情を見ると右手に光を纏わせると優雅に手を振った。その瞬間光で出来た魔法円が現れる。ジェラートの右腕の光は、召喚というより来ても良いと相手に伝えるためのものだったのだろう。

 魔法円の光が止むと、そこには太陽の光を受けた狐を思わせる美しい金色の髪をした魔女がいた。見かけは十代前半くらいにしか見えないが、それでも身に纏う魔力は凄まじく見かけの年齢に相応しくない大きい乳房をしている。
彼女は笑いながら綺麗な緑色の瞳で横島を見下ろした。 横島は彼女を知っている。 過去にユウキとランの治療に駆けずり回った時に世話になった魔女、メタリカだ。 彼女は強力な力を持った沼の魔女であり、ユウキとランの恩人でもある。 
ジェラートにインプに転生させてもらって病が完全に治る前に彼女が寿命を延ばせる薬を二人に処方してくれた。 何度か行動を共にした後、完全に治す方法を見つけてくれたと聞いたからこそ、
横島はかつて自分をストーカーしている女性達から逃げることを選択できたのだ。最もそのストーカー達がユウキも含む女権国家で親しかった女性だったのだが。それが分かった今でももう彼女達から離れようという発想は出なくなっている。
それほどユウキ達が自分に与えてきた快楽は凄まじい。

 メタリカは傲岸不遜な笑みを浮かべながら、横島を見下ろすと口を開いた。

「久しいな横島。ユウキとランを救う為に色々と奔走していた時から好感を持ってはいたが、少しばかりジェラートからの提案で二人を使ってからは余計にお前への好意が強くなってな」

 横島はメタリカの言葉に恐怖を覚えた。王国の時から一緒にいたユウキを始めとした女性達、彼女達は自分を心底好いてくれていると分かった今では大切な女性だと思っている。それでも強すぎる快楽と恥辱で時々トラウマを刻まれる。
今のメタリカの目は自分にトラウマを刻んでくるときの女性達と同じ目をしている。

「端的に言うとユウキとランを上位の魔女の使い魔として使った結果繋がりが深くなり過ぎて、私もお前に嗜虐心と好意を覚えた。そういうわけで気が向いたらお前を嫐りにくる。今夜はお前を嫐る女としてのデビューの日だ」

 メタリカの言葉に恐怖を覚えながらも動けない横島を彼女は笑いながら押し倒した。一息に分身の全てを飲み込まれた瞬間彼の、意識は一気に落ちた。大量の精液を出しそのまま快楽のあまり意識を失う。
メタリカは笑いながら、ユウキとランに目配せをする。それを受けた二人は笑みを浮かべながらメタリカと使い魔の契約の準備を始めた。その儀式が終わる時彼の、意識が完全に堕ちた。

 横島は目を開けると、自分がジパングにいることに気づいた。そして全あっちこっちを見た時、自分は子供の頃カンカンで掲載されていて単行本も全館かった漫画『陰陽師少年』の世界にいるのだと気づいた。そこにユウキとランが入ってくる。 
横島は自分の体を見て精通したばかりの頃の年だと気づく。対してユウキとランは小柄だが十代半ばくらいの育ち切った体系になっている。ユウキは武士らしい衣装に身を包み、ランは巫女の様な衣装を着ている。

「ユウキ、ラン。すまん。状況が飲み込めてへん。今、俺たちはどういう状況に置かれているんだ?」

 その問いにユウキとランは笑いながら答えた。

「忠夫、前世の記憶が戻ったんだね。 前世でも快楽に負けて、ここに従い続ける愚物に堕ちて僕達の奴隷だったじゃない」

 ユウキの蔑みと情欲の混じった言葉に、屈辱や怒りより興奮を覚えてしまい、彼は自分がやばいと思った。

「木綿季、あまりイジメるものではありませんよ。忠夫さんはめでたくこっちに来てくれたんですから」

 ランは笑いながら横島の衣服を巫女の杖を連想させる長巻で切りさくと、腕から呪縛の呪文を放ち彼の動きを止めた。

「前世の話はそれくらいになさってください。今の私は紺野藍子ですよ。忠夫様」

 最後の言葉は舌を絡める口づけをして終えた。藍子は横島を味わい尽くした後、彼を縛る呪縛を解いた。

「もう口づけだけで完全に堕ちてしまいましたね。木綿季、色々と説明してあげなさい」

「はーい! お姉ちゃん」

 木綿季は笑いながら、横島に跨り分身を迎え入れると、笑いながら話し始める。

「前世で王国の英雄と言われるほど凄かった忠夫は、本気で惚れていたとはいえ卑怯な手を使った女性達や、王国を裏切ってヴァレンティーヌ公爵に着いた僕達みたいな、卑怯女の与える快楽に負けて。
女権国家で働き続けたんだよ。その後、カンカンで連載されてた、陰陽師少年の世界に転生したんだよ。今生の記憶戻ってきた」


349 :名無しさん@狐板:2022/04/01(金) 23:02:21 ID:GQH0SHDw

 横島は快感で脳が破壊されるような錯覚を覚えながらも、木綿季の言葉を聞きながら様々なことを思い返してみた。前世で読んだ、漫画の内容が思い出される。
近代化が始まりだしたばかりのジパングで陰陽師の少年たちが東洋の悪の術者や妖怪そして西洋からの魔術師や妖怪からの侵略に対して霊的国防を試みるというものだった。 
その際にサキュバスや西洋の魔術師など夜の戦闘では決して勝てない相手の色仕掛けに乗ってしまった男などが敵として現れる展開も多かった。そこまで考えた瞬間、射精が起こった。
完全に脳が砕け散った様になった横島を見下ろしながら木綿季はおかしそうに宣言した。

「忠夫は今生でも僕達の色香に負けて。英雄“だった”のに今じゃあ陰陽師少年の敵役の色香に負けた堕ちた元英雄の一人だよ」

「す、すまん。ワイは今生の記憶が殆どないんや。陰陽師少年の何巻目くらい、ああぁ!」

 言い終わる前に木綿季が敢えて強い快感を与え射精させそのあと敏感になった分身にさらに快感を送り込んで来た。

「今は君の方が地位的にしたなんだよ。口の利き方に気を付けてね♪ それと、僕の味方陣営に堕ちていて、僕と褥を共にしているのに前世でファンだった漫画の主人公の方の心配とか、少し教育が必要かなぁ?」

 かなぁという言葉は疑問に思っているというより、横島がどの程度自分に卑屈な態度をとるか図っている様だ。横島は即座に下手に出ることにした。前世で女権国家に染まった影響が残っているなら下手に出てくる、
好いた男にはかなり甘くなるはずだ。ユウキの性根からして、少し拗ねただけでそこまで怒ってないなとも彼は思った。

「木綿季様。すんませんでした。許してください」

 そこまで聞くと彼女は笑いながら横島から離れた。自分が精と共に大量の霊力を吸い取られ目の前の女性に手も足も出なくなったことを自覚させられ落ち込む横島をよそに木綿季は妖術を使い一瞬で服を着こんだ。 
その姿を見て、横島は驚いた。

「木綿季、お前天狗やったんか」

 山伏を思わせる白い衣装に身を包んだ彼女は笑いながら言う。

「うん。陰陽師少年の山の妖怪たち=鬼や天狗や妖狐との戦いの3,5巻辺り、つまり山中死闘編だよ。今」

 木綿季は笑いながら言うと藍子が狐の尻尾を見せてくる。それを見て横島の顔色が変わった。彼女は笑いながら服を脱ぎ木綿季と同じ様に彼を絞り始める。
木綿季から受けた暴力的な快感の後のせいか彼女の甘い柔らかい攻めは余計に効果が高い。彼女が殆ど動かないのに何度も悲鳴を上げさせられる彼を、木綿季は面白そうに眺めて言う。

「忠夫〜、 山中死闘編は何度も読んでたから、九尾の狐や妖狐の色香に負けるとどうなっちゃおうか知っているよね。 妖怪の色香に負けると最悪の展開が多いけど特にこの二種類は圧倒的だからね〜」

「は、はい」

 藍子の胸に顔を埋めさせられながら横島は答えた。九尾の狐や妖狐の虜になった物は堕ちた英雄の中でも特に強くなり、真っ当な良識や倫理を持ったまま、それでも色香に勝てず、虐殺や悪事に手を染め続ける。

「僕達にこれだけ精を吸い取られたら、元の強さに戻るまで十日はかかるよ。主人公くんの足を引っ張るどころか、敵対したくないなら頑張って僕達に奉仕してね。ご機嫌取りの仕方次第では、“僕達”は参戦しないから」

 木綿季はそういうと藍子に惨敗して蛙の様に仰向けになった彼を前に再び妖術で服を脱いだ。天狗の衣装を見せるために服を着ていたのだろう。

 それから横島は何度も意識を飛ばしながらも、二人に奉仕した。精を一度搾り取る度に交代し彼を嫐る彼女達は不意に彼を挟んだ。木綿季が彼の分身を内部で嫐っている時に時に藍子が彼女に百合的な愛撫をすると、
余計に強く彼を絞るように木綿季の内部が動き、さっきより大量の精を放ってしまう。さらに藍子と一つになっている時も木綿季は同じことをしてくる。三回ほどそれを繰り返すと二人は満足するように離れた。

「忠夫、お疲れ様。『僕達』は約束通り参戦しないよ」

「ほ、ほんまか」

 ホッとする横島に藍子が優しそうな笑みを浮かべながら、彼の分身をさすり言う。

「ええ。でもあなたご自身に行っていただきます。また嫐ってあげますからお願いします」

 そう言われると、彼の頭にさっきまでの情事が蘇ってきた。そして彼は自分が妖狐の情事の術を受けていたと、思い至った。今は霊力を吸われているが、ここで霊力与える性行為をされれば自分は殺人マシーンになる。
そう思ったがもう彼の体は言うことを聞かなかった。負け犬を見る様な目をして腕を広げる二人の間に体が勝手に動き入っていた。


「ああ〜〜!」

 声にならない悲鳴を上げる彼は二人の操り人形の様になりながら彼女達に奉仕を閨の中で繰り返した。快感が極に達した瞬間に意識が落ちる。

 ジェラートの寝室でメタリカが横島に覆いかぶさりその精を絞っていた。ユウキとランが彼の精神世界に入っていかせた後、夢の中では二人に嫐らせ、
現実の肉体は彼女が嫐る。その為か横島の分身からはいつも以上に凄まじい量の精液が溢れ出る。強すぎる快楽が苦痛となる彼を彼女は余裕の笑みで見下ろす。

「さて、そろそろ次に進むとするか」


 木綿季と藍子に絞られ尽くされて意識を失った後、彼は小学生くらいの背丈になっていた。現代の中学校の生徒開室を思わせる場所だ。
目覚めた彼は辺りを見回すと、不意に自分が狐耳を思わせる髪型をした金色の髪をした少女が声をかけてきた。左右には木綿季と藍子ではなく、ユウキとランが控えている。

「キヒヒ、今のお前には初めましてと言うべきか? 忠夫」

「すいません。貴方は」

 そこまで言って横島は思い当たったことがありその予想を口にした。

「もしかしてメタリカさん」

 そういうと金色の少女は嬉しそうでありながら、僅かに不満もあるような顔になった。彼女が手を振ると中学校くらいの姿になって、歳に不相応の乳房が揺れる。
彼女が合図するとユウキとランが左右から彼を押さえつけた。メタリカが杖を振ると不意に生徒開室が外の世界と切り離されてかのような感覚が起きる。

「この世界での記憶を全て消したからしょうがないが、私を呼ぶ時は呼び捨てか、もしくは様を付けろ」

 メタリカはもう一度杖を振ると彼の衣服が消失した。彼女は笑いながら説明を始める。
「横島、ここはお前が嵌っていた児童向け漫画、陰陽師少年の同作者の作品、『魔術ダンジョン冒険奇譚』の世界だ」

 それを聞くと横島の気分が少しだけ軽くなった。この世界は陰陽師少年の続編という訳ではないが、世界観的につながりがある。陰陽師少年がバッドエンドになると続くことがない世界だったはず。陰陽師少年がハッピーエンドで終わった後に、
様々な霊的異物が残りそこから西洋、東洋善悪関係なく無差別に全ての霊的存在が活性化し、人々の意識が混じりあって生まれる異界のダンジョンを攻略して、時には悪霊や妖怪の被害を抑え、
時には妖怪と共に出現する宝などを持ち帰ってくるというものだったはず。設定を思い出して安心した彼に、メタリカが笑う。


350 :名無しさん@狐板:2022/04/01(金) 23:03:35 ID:GQH0SHDw

「お前は没落中の陰陽師の家の出で不治の病に犯されていたワタシ達の守役件ダンジョンの同行者だった」

 メタリカとユウキとランこの三人は病気でありながら神秘的な力の素質などがすさまじかった為出現したダンジョンの攻略に駆り出されたこともあった様だった。

「で、お前がダンジョンで無茶しながら私達の治療薬や回復させる魔法を探したおかげで、助かったという訳だ」

 そういうとメタリカは緑色の液体を彼の分身に塗り付けた。メタリカ自身の指使いとそれに込められた魔力が巧みだったこともあるが、
緑色の液体の与えてくる媚薬の様な効果が彼を狂わせる。だが緑色の液体の与えてきた快感が脱力を覚えさせ指一本動かすことすら辛い。メタリカはそれを見下ろしながら笑う。

「忠夫、ワタシはなお前の通っている付属小学校の中学、黒曜中学校生徒会長にしてリリス会サバト会長の魔女メタリカ様だ」

 それを聞くと横島の顔色が変わった横島が子供の頃滅茶苦茶尊敬していた。正義の主人公の最悪の敵一派だったはず。番外編が色々な都合で没になったが、十代後半になってもその設定資料を買うくらいにはこの話が彼は好きだった。

「お前を支配して、戦わせるかそれとも精と霊力を搾り取って私達を強化してもらうか、キヒヒどちらにしようか? 現実逃避ではなく真剣にこれは夢でただのプレイかもしれないとか思っただろう今」

 横島は自分の内心を言い当てられたことで余計にこれは夢かもしれないという予感が強くなった。

「そうかもしれんが、小説や漫画を描いている人間は実際に異世界で起きたことを無意識でキャッチして書いているという説もあっただろう。 私は幾つものパラレルワールドも繋げられるここが本当にお前が子供の頃読んだ漫画の世界じゃない、なんて保証はどこにある?」

「なぜこんなことを?」

「なに。お前が子供の頃フィクションの世界では一番好感を持った相手にワタシたちの女としての魅力が勝るか知りたかったと言えばいいか」

 そういい終わるとメタリカは横島の分身を緑色の液体のついた足で踏みつけた。それを受けて射精した彼を見ながら彼女は笑う。

「昔は近づいただけで死者が出るほどの毒の沼だったが、今では完全に男を支配する魔術の沼だ。効くだろう」

「あ、ああ」

 横島は強すぎる快感と女性に主導権を握られる性行為は恥ずかしいというこの世界での常識が急に頭に浮かび上がってきたことで言葉を発せなくなった。そこに楽しそうなユウキとランがインプの耳をさらしながら言う。

「メタリカ様―! せっかくだからあれやろうよ、あれ」

「ワタシもそう思ってたところだ。さて行くか」

 メタリカが横島を掴み呪文を唱えると一瞬で彼はプールの様な所に移った。緑色の液体を見てこれはメタリカの沼だと理解した。楽しそうなユウキとランが飛び込んでくると、彼女達の力が一気に上がったのが分かる。 
沼に入った途端脱力感と果てしない快感の中にいる彼を二人は笑いながら追い込んでくる。彼女達が泳いだ程度の振動ですら、射精を招きかねない程に彼の体を刺激した。 その状態の彼をユウキとランは二人係で弄び始める。
時には玉袋を揉みしだき、乳首に吸い付いてきたりする。彼が絶頂を迎えかけた時に二人は沼の水の動きでそれを察知でもしているかの様に口か秘部で受け止める。
その度に彼は、悲鳴を上げる。二人は敢えて横島を快感にならさない為にこういうやり方をしているようにも思えた。メタリカが合図を出すとまともな思考ができなくなり、沼に沈みかけている彼をユウキとランが引き上げ左右から拘束してくる。二人は手と魔力で動かす沼の水で彼に愛撫をしながら、メタリカを見上げさせた。
「どうだ?気持ち良かいいだろう。 過去の正義とかヒーローとかどうでも良くなってきたか?」

 首を横に振るとメタリカは楽しそうに笑った。

「そうだな。だからこそ――弄び甲斐がある」

 メタリカは沼から出た液体を僅かだけ取り出すとローションの様に使いながら彼を愛撫した。塗り込められるたびに沼の中に放り込まれたのとは別の快感が彼を襲う。そして彼女に押し倒され彼女と一つになった瞬間、
彼の魂は快感の底なし沼に捕らわれた。メタリカの秘部は酷薄そうな口調とは裏腹に優しいどこまで捉えてくる底なし沼を思わせる快感を彼の分身に与えてくる。そして彼はその激しい快感に自分がどんどん沈められていると感じた。ユウキが手に沼から取れたローションの様な液体を持ちながら彼の玉袋を強く揉んだ。

「忠夫、ほらもっと頑張ってメタリカ様を楽しませなよ。夜が弱すぎてすぐ飽きちゃうぞ」

「飽きたりはしませんけど気概を見せてほしいと私も思います」

 ランが優しいがどこかバカにしたような声を出しながら彼の玉袋をユウキの後に撫でる。
ランの優しいがバカにしたような目とユウキの残酷な遊びをする無邪気な子供の様な瞳に屈辱感を煽られつつ、分身がカチカチになる当たり自分はもう末期だと横島は思った。

 メタリカが彼を抱き乳首や肛門の近くを沼の液体を塗りたくり、それに続く形でユウキとランも同じことをする。彼はそれを受けるたびに何度も堕ちてイキ射精の度に自分の分身の内部に入った沼の液体と精液が混じり危ない変化を起こしている感じがした。メタリカは何度も彼を犯しながら笑う。

「キヒヒ。変態、気づいたと思うが私達を抱けば抱くほどお前の大好きなヒーローが振りなっていくぞ」

 沼での情事の後横島は、何度もダンジョンの捜索に連れていかれ手柄を立てて彼女達の勢力を盤石にして、今でも大好きなヒーローたちを不利にする程彼女達に過激な快感を与えられた。そしてそれを繰り返し終えると再び意識が落ちる。

 その後横島は何度も転生らしき体験をした。時には人形の魔女アリスの使い魔となったユウキとランに英雄が受けた恥ずかしい逆レイプを人形劇の様に再現させられ堕とされたし、ある時は女王国からだけではなく、
女権国家の住民からさえ高評価を受けた女権国家と戦う仮想戦記漫画、『王国の守護男神』の世界でジェラートとランとユウキそしてその配下達に輪姦され、
ユウキとランは花の魔術で強化され彼を種類の違う花の力を借りて何度も嫐った。そして彼女達に堕とされて王国と小学生だったころの自分の中の英雄を裏切らされた。
ある時は『陰陽師少年』の続編である『魔術ダンジョン冒険奇譚』のさらに後世が部隊の作品、『ジパングの夜の守護者』の舞台でエヴァンジェリンに大人形態と子供形態両方で嫐り尽くされ血と精と誇りを吸われ尽くした。
『少年騎士道』物語の世界ではヴィヴィオやその配下達に輪姦され。敢えて武力ではなく快楽で屈服させられた。



351 :名無しさん@狐板:2022/04/01(金) 23:04:58 ID:GQH0SHDw
 その転生を終え尽くした後、彼はある廃墟と思しき荒野にいることに気づいた。この荒野は澄んだ場所でありながら、その先にはいくつかの美しい廃墟めいた建物が見える。吸血鬼が済んでいそうな洋館に、
迷宮を思わせる様々な劇画上演できそうな劇場。神殿の様な豪華な城。そして品のある遊郭の雰囲気をしたジェラートの城。ユウキやランと遊んだ場所や泊まり込みで、過ごした幼少期の村や、
、固まってできたような集落もある。さらには虫の沢山いる森などがある。彼は辺りを観察した。明らかに今までの、夢とは違う。今の自分は捕らわれていないし、女権国家で過ごした時の年齢になっている。さらには完全に自由自在に動ける状態だ。怪訝に思う彼をメタリカは見下ろしながら言う。

「忠夫、お前くらいに霊的な知識が深ければここが死後の世界だと分かるだろぉ。ここは『元終わりなき自由冒険都市』お前が負け続けたおかげでパラレルワールドに変換が起こり続け遂にはあの難攻不落の都市が落ちた。
おやおや青ざめているな。流石に自分が快楽に溺れ続けて彼の都市を滅ぼしては寝覚めが悪いか。安心しろ、ここは夢の世界。集合無意識の世界でもある。まだ予言という形で滅んだにすぎない。だからこそ、この夢幻の迷宮を踏破して予知夢でもある悪夢を滅ぼせば予知夢はただの泡沫の悪夢に変わる」

「どうすれば良いんだ」

「死に覚えゲーみたいなこの神殿や都市を越えて、全てのボスを倒せば始まりの夢、全てのパラレルワールドをかき集めた私が作った影響は消える。夢だから何度死んでも、折れない限りは何度でも挑戦できる安心するが良い。ただし気を付けることだ。
負けるたびに激しい快楽が襲ってくるかつての逆レイプの再現の上に、そこで折れてしまわないようにな。この迷宮の魔物達はお前の夢、お前の逆レイプされたい願望が強さの元だぞ、キヒヒ」

 横島はそれを聞き、迷わず人形の魔女アリスのステージだと思われる劇場に挑んだ。

 そこに着いた時、アリスの下僕となった自分の人形にあっさりと彼は敗北してしまい。脳天に雷が落ちた様な快感に目を開くとアリスに騎乗されていた。彼女はいつもの様に糸で彼を操り、彼が受けた歴史に残った逆レイプをしながら言う。

「忠夫。今回の人形は貴方の私達に嫐られたいという感情がエネルギーだったけど、あっさり負けてしまった気分はどう」

「自分が末期だと思った。でも諦めない限り次があるんやろ。ああー!」

 アリスの与えてくる優しい快感に屈し射精した後、彼女は笑いながら服を着こみ始めた。指一本動かせない自分との差を否応にも感じさせられる。彼女は横島に服を着せながら言う。

「そうだけどこれじゃあ先は見えているわね。閨でも手加減してあげるから。早く挑戦しに来てね」

 ペットの犬にこっちに早く来てという様な口調に屈辱感を覚えた彼に、アリスは笑いながら言う。

「貴方がこの世界を絶対にクリアできないなんて、私達は誰も思ってないわ。ただ負けても私達には損失はないし、貴方が本気で望むなら戻すから安心して」

 アリスの言葉になぜか『無意識を操られた』かの様に安心できず負けてはだめだという思いが募りながらも、彼はそのまま入り口に戻された。その後、リグルの森で負けた後は、ダンジョンを護る虫型モンスターの父親にされていた。

「忠夫―君と同じく、夢幻の迷宮の被害を止めに来た皆さんを妨害するモンスターの強―いのが生まれちゃうよ。 ほらほら射精を我慢すればちょっとはましになるから、頑張れ♪頑張れ♪」

 リグルの馬鹿にし尽くした声で余計に激しく配下に射精した後、再びリグルに押し倒され彼は何度も果てた。

「ボスモンスターである僕まで強化してどうするんだい? そんなに女権国家の男性の死後の安寧地まで壊したいのかい? それとも背徳感が余計に君を興奮させているのかな」

 全てのメンバーに逆レイプを受け終えた後、ユウキが笑いながら声をかけてきた。

「大丈夫だよ忠夫これは、夢で『嘘』だから。『横島は夢幻の快楽地獄のダンジョンを踏破し、死後の世界を護るようです』なんて始まるわけないよ」

 ユウキがそういうと彼の視界が真っ暗になった。

 横島が目を開けるといつもの情事の後であることに気づいた。あまりに消耗に首を動かせない彼が、当たりを見回すと、メタリカをはじめ彼に好意を寄せてくれた女性全てが情事の後の様になっている。吸い取られ尽くした自分の霊気を見て、
かなり激しく絞られたのだと思った。昨夜の情事はあまり思い出せないが、今までにない背徳感と屈辱感がありそれが激しい快感を送り込んで来たことだけは覚えている。 動けない彼を見るとジェラートが布団を再びかけてきた。休めということだろう。彼が目を閉じるとゆっくりと意識が落ちて言った。

 横島が眠った後、ユウキはメタリカに礼を言っていた。

「メタリカありがとう」

「キヒヒきにするな。お前とは付き合いも長いし、一番気に入っている女友達だからな」

 今回の情事に関してはユウキがメタリカに深く頼んだ様な所があった。子供のころカンカンを読んで、横島が悪の女幹部のファンになったのを見て、ユウキは妙に腹が立っていた。だが自分もその作品のファンになり、主人公がその女幹部の誘惑を振り切り、
魅力で負けているヒロインを取ったのを見た時は、横島にもそうしてほしいと思ったが、今は違う。自分があの女悪役達と同じ立場に、なり彼をあの女達よりも深く魅了したくなっていた。これも女権国家の影響だろう。 メタリカは彼女のその望みを快諾し、
平行世界の情報なども多少は読み取れる力を使いそういう夢幻の部隊を整えてくれた。彼女の一度身内にしたものへの甘さが良くわかる。 笑うメタリカ相手にユウキはなんとなく口を開いた。

「でもエイプリルフールの嘘とは言え、忠夫には少し悪いことしちゃったね。自分が欲望に溺れ続けた結果、終わりなき自由冒険都市を滅ぼした戦犯だと思い込まされちゃうなんて。本当はただの適当設定でしょう?」
 それにメタリカは真顔になって答えた。

「キヒヒ。そうでもないかもしれんぞ。夢などの無意識世界は多少はオカルト的には神界などと繋がっている。そして漫画の世界などと同じようなことが起こった世界は多数ある。
私は誰かが色欲に溺れたせいでほろんだ世界の欠片を集めてあの夢幻のダンジョンを作ったのさ。そこで忠夫がそういう役割を持った男たちの記憶を多少共有していたり、あるいはその役になる様に仕向けることもできる」

「それじゃあ。夢の中のやり取りは本当の事なの?」

「『嘘』だから安心しろ。仮に本当でも元々滅ぶ世界だった上に忠夫がクリアすれば運命は回復する仕組みになっている。おしまいだった世界にチャンスを与えているから気にすることはない。最も『嘘』というのが『嘘』かもしれんがな」

「メタリカ、僕達に滅んだ責任がゼロでも流石によそ様の世界が滅びる様な事を性的な遊びに使うのは」

 ユウキの言葉にメタリカは笑いながら横島を撫でながら答えた。

「仮に『嘘』でなければこいつがクリアできないと思うか? お前も私の使い魔をやった時にパラレルワールドのこいつのことを見ていただろう」

 ユウキはそれを聞きユウキは黙った。いくつかのパラレルワールドの経験を疑似体験した時、『魔術ダンジョン冒険奇譚』に限りなく似た世界では、横島が塔は不可能と言われたダンジョンをクリアして持ち帰った薬のおかげで自分たちは助かったのだ。
絶対にクリアできるというメタリカの言葉を不思議と疑う気にはならなかった。本当に『嘘』か訝る自分を他所に眠る横島の頭を楽しそうに撫でるメタリカを見ながら、ユウキは深い付き合いがある自分より、まだ距離のある彼女の方が見えている部分もあるのかもと思った。


352 :名無しさん@狐板:2022/04/02(土) 02:02:25 ID:0D8QM6RI

何だかんだ言いつつ横島を評価し、信頼しているメタリカ良い・・・
以前の本心を言った(言わされた)さとりといい、そういう本心があるからこそ歪んだ愛情表現がより映える

353 :名無しさん@狐板:2022/04/02(土) 15:12:32 ID:BPLpWz+R
おつでしたー

354 :348:2022/04/02(土) 23:02:16 ID:rgcpub8b
>>352
乙と感想ありがとうございます。超常的な相手でも惚れていてもらえるシチュが自分も好きです。
>>353
乙感謝です

355 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:12:24 ID:5AOAdM2e
これはひどい真・女神転生if 飽食界編

これは女神転生ifと女権国家のクロスSSで>>259から>>276の続きです以下の注意があります。

@魔石はマグネタイトを固めて作るというのは公式設定でない可能性があります。昔どこかで読んだけど、設定本か攻略本かどこかのホームページか覚えておりません。

A女権国家の冥府勢力がかなり強く設定されています。

Bエヴァの血を吸った際にできることは一部の吸血鬼小説の設定であり、普通に強い快感を与えてくるだけなど多岐にわたるのでこのSSではそうだというだけと割り切ってください。


 横島はアリスの人形劇で初代高島の人生を経験してから、ひたすら前世の体験で覚えた剣を馴染ませるために悪魔達との戦いや、闘技場での戦闘と教導そして天狗との修行に没頭していた。 
あまりにもひどい屈辱とそれを思い出すごとに下半身が反応する事実が余計に彼の恥辱心を煽った。
 そんな状況下で彼にとって一番の気晴らしになったのはジンとの闘技場での模擬戦だった。ジンの爽やかな気を感じ取りながら剣や拳をぶつけ合うと、屈辱や情けなさ、そしてそれがもたらす快感と被虐心を忘れることができる。 
仲魔を率いての戦いをジンと何度かしてみて分かったが、彼の戦い方は当たり前だが、赤根沢玲子と別れる前の青木と似ている。ただ青木より敵を討ち滅ぼす速さによっている感じがする。横島が速さに優れた万能型なら、
青木は速さ特化でありながら他の能力も高いため万能型と誤認される指揮官だ。
ジンとの仲魔を率いても模擬戦は最初の速攻をかけてくる5分が特にきついと感じた。指揮官として能力比べは今の所は最初の5分だけは互角だが、もう少し立てば、最初の5分だけはジンにも勝ち目がある様になり。
さらに時間がたてば、最初の5分をしのぎ切れば横島の勝ち、できなければジンの勝ちになる。
そして最後には、最初の5分をしのぎ切れば、横島が勝つことが多い、となるだろう。

 久しぶりのジンとの一騎討ちの闘いの中で毎度のことだが今までで一番の苦戦をしていた。
 それはジンの手に握られる新たな名刀によるものだった。
 
ジンはあれからもゴブリンの剣を手に馴染ませては横島に何度も挑みその度に横島は何度も苦戦していた。あのゴブリンとジンはどこにでもいる多数の種族の一人でありながらたまたま才能が有りとてつもなく強くなり偉業をなしたもの。という共通点がある為か、
そのゴブリンの半身だった剣は凄まじく彼と親和性が高かった。ジン専用の剣を作るまで自分は負けることはないと確信している。負けることは絶対にないが、それでも彼があの剣で幾つもの命がけで苦難を乗り越えてくる度に苦戦の度合いは上がるだろう、という確信もあった。
 今日の闘いが始まる前に、彼が新しい剣を持ってきたとき横島は自分が負けるかもしれないと直感的に思った。ジンは横島に礼を取ると言った。

「この新しく作った剣で勝たせてもらいます」

 横島はその剣を見て感嘆の声を上げながら答えた。

「風神剣(ふうじんけん)か」

 つぶやきながら横島は意外だという思いと自分が実際に見た風神剣より強いという感想を抱いた。風神剣は二種類あるがどちらも弱い剣ではない。むしろ強い剣だ。片方は剣合体と呼ばれる特殊な儀式で悪魔と合体して強化される錬気の剣の変化の一形態の中でも低レベルで作ることもできる為、
愛用者も多い。そしてもう片方も剣合体で同じように作られるが、選ばれた者だけが手にすることができるという、高レベルな天狗と合体してできる風神剣だ。横島の眼前の剣は横島が何度か見た風神剣よりはるかに強い。これは天狗と合体してできる選ばれた者だけが持つ風神剣に近い。
 
横島は覚悟を決めると、少しだけ楽しみに思いながらその勝負を受けた。

澄んだ金属音が響き渡り、横島の刀がぶつかり合った直後に距離が詰まると殴打の音が響く。
距離が詰まるとお互いの体術が激しくぶつかり合う。ぶつかり合いの度にジンの攻撃も横島に多く命中しているが、それにも関わらず下がるのは始終彼の方だ。
始終押しながらも、横島は今までで一番気を張り詰めていた。最初の一合を打ち合った時に、気づいたが、この風神剣は間違いなくあのゴブリンの剣を合体に使ったものだ。無名の雑魚悪魔が死に物狂いで卑怯な手を使わずに強者に上り詰め、
種族全体を強くするために使った名剣。この時点で、特殊な剣となる条件には十分だ。

あのゴブリンが率いた軍の様に強者との戦闘での苦境の強さを支える力がこの剣には確かにある。追い詰め切った時こそが最も危ない。そう思いながらも闘技場の端に横島がジンを追い詰めた。
横島は全ての渾身の力を込めて、彼ならば確実に防げる、だが受け損なえば死ぬ一撃を彼に放った。
ジンの手元の風神剣を完全に封じなければ安心できない。その一念がさせた判断だ。案の定ジンは風神剣で横島の愛女守を受け切った。だが次の瞬間予想外のことが起きた。風神剣は封じられたが、
一撃を受け切った直後にジンが片腕を剣から放し、凄まじい手刀の一撃を放ってきた。
その手刀を一目見た瞬間受ければ真剣で切られたように首が飛びかねない。そう感じ火事場の馬鹿力めいた力が沸き上がり、自分も片腕を愛女守から放し、全力の反撃を放った。
殺してしまうかも、そう思った瞬間、司会をしていたマイが一時的に力の封印を解き、二人とも吹き飛ばした。

「この闘い愚弟の負けね。異論は?」

「ないわ。教導官なのに、本気出させられた時点でもう負けや」

 横島の言葉にジンは嬉しそうに笑った。

「やりました。これで次の魔界に心置きなく行けます」

「脱帽したわ」

 横島は意図せず本音を吐露した。自分はデビルバスターとして追い込むような修行を始めたのは青木師匠とあった半年感が主だったが、マイの役に立つために子供頃からサマナーの世界に飛び込む準備の修行はしていた。 
その自分がここまで追いつめられるようになるとは。最もそういう感傷も大した意味がないが。 悪魔と戦い打倒すれば大半の人間はある程度は覚醒する。 その際の生存率を最初の登竜門を潜れるかどうかが幼いころからの訓練などが分けやすい。
目の前のジンも大量の悪魔を倒し死に物狂いで己を磨いてきた以上、余程の名家か、神々の血を引くサマナーでもなければ、そこまで差は生じないだろう。だが前世から己を高め続けた自分がここまで本気を出すことになったことに僅かな時間とは言え教官を務めた、身として嬉しさがある。

 だが今一番気になったのはジンの最後にはなってきた手刀の一撃だ。あの一撃を見た時、不思議な既視感があった。

 戦いが終わり、嬉しそうな様子のジンに横島は意を決して聞いた。

「なあ、最後にはなったあの手刀あれは誰に習ったんだ。似たような技は俺も使っているけど、あれは初めて見る」

「ああ、あれですか。実を言うと女権国家出身の悪魔から教えてもらったんです。仲魔じゃないけど見込みありって見なしてくれたみたいで。闘神ジャギって名乗っていました」

 その名前に不思議な嬉しさと親近感を覚えながら、横島はふと思った霊気や気を使い身体能力を強化したり硬化させる技は自分も得意だ。だがジンの放ってきた最後の手刀はもしかしたら自分が前世で学んだ技かもしれない。
あの技を前世で学んだから、自分の得意な格闘技も定まったのではないだろうか。

 ジャギの名を聞いた瞬間、ひどく懐かしく嬉しい気持ちが湧いてきたのは恐らくは前世の影響だろう。その横島にジンは続ける。


356 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:15:48 ID:5AOAdM2e

「あの人、俺にいきなり弟子入りを進めてきて、北斗神拳って拳法の一般教授が許されている基礎と、南斗聖拳という技を教えてきました。 明らかにライトよりの悪魔だし強くなれるなら何でもありだから承諾しましたけどね」

「そうか。俺も俺用の飽食界が完成したらしいからこれから行こうと思う。次合う時は教導官じゃなくて、対等な相手として訓練しあうことになるだろうな」

「そうですか。手加減のない横島さんに勝つのは難しそうですね。素手の技ならジャギさんに習ってみたらどうですか? あの人貴方の前世に恩があるから返す機会を待っているみたいなこと言ってましたよ」

「そうなのか。機会があったら頼んでみようかだが、恩返しを指導を受けるので使ってよいものかな? 他の姉ちゃんたちがやばい時に援軍に来てもらうとかの保険の方がいい気もする」

「確かに強力で善良な悪魔に対する貸しは返してもらう形やタイミングも考えた方が良いですよね。損はしないけど、一番効果的な形が一番でしょうし」

「ああそうだな。 それと少し気になったんだが、ジンお前の剣を仕上げてくれたのはやっぱり夢子さんか?」

「いえ。彼女でも出来たかもしれないけど、他の妖怪がやってくれました。リグルって名乗ってましたね」

 それを聞き横島は驚いた。確か医療の女神であるアレクシアの主君でもあったが鍛冶の事までできるとは。彼女はかなり手が広い様だ。

「そうか。この試練を越えて高校が元の世界に戻ったら一緒に戦うことになりそうだな」

「その時を楽しみにしています。 教導官の殻は壊せても、そこから先が長いんだろうなぁ。 玲子さんの為にも頑張らなきゃな」

 きちんと礼を取ると疾風の様にかけていくジンを見て、横島はこっちも爽やかな気持ちになれていることを自覚した。マイの為にこの業界に入ったが、良いこともあるがきついことの方が多い。
だが憧れの師匠の若き日の現身と友達と弟子両方を兼ねた様な関係になれたのは他の業界では絶対に体験できない事だったなと思った。

 横島は霊波刀と愛女守を構え 適食のリングを封印の間で開いた。不意にマイの方を振り返る。

「姉ちゃん。校長先生の方には目を光らせてあるか?」

「ええ。青木さんの時はあの人は良い校長とは言えなかったけど、寄生虫の悪魔を入れられてオーカスっていう豚の姿の悪魔に変えられていたんでしょう? 悪い校長だったとしても、そこまでの仕打ちを受けるほどじゃなかったと思うわ。それにここでは良い人だしね」

 横島は恥ずかしそうに頷いた。 この世界の校長は平行世界から反省の意思が流れ込んで、良い校長であろうとした校長の集合体なのか、教師としてかなり真面目に頑張っていたことをジンから聞いた。
以前から青木のいた世界線よりは良い校長だとは思っていたが、すごくいい教師だと知ってからは守るべき対象として優先順位が上がっている。青木の世界の記憶を見て先入観が入って過小評価していたことが今ではバツが悪い。
校長は今では、戦う術を積極的に学び強くなってきた生徒達より守るべき相手として見ている度合いは強いかもしれない。魔界のゲートが広がり飽食界の扉が開くと、横島は迷わずその扉を開けた。あとからジャックフロストとジャックランタン木綿季と藍子も続く。

 扉を開けると、横島はまたしても青木の事件の時と異なり過ぎる魔界の内装に驚いた。青木が挑んだ飽食界は、大木の中にある家の様な所で壁いっぱいに蔓の様な植物に満ちていたが、ここは月光満ちた自然豊かな庭園を思わせる森だ。無数の木々が迷路の様な役目を果たしている。
 横島はどこまでも美しい月と森を見た後、背筋が凍るような感覚を味わった。 このどこまでも美しく人を魅了してやまない夜の美と恐ろしさを詰め込んだ異界、
この主人は間違いなくこの異界に相応しい格を備えているだろう。横島は仲魔全員とはぐれない様に心がけながら前に進み始めた。 月の下を歩きしばらく進むと月光の下で月の光を浴びて輝く噴水にたどり着いた。
その前には神綺の像がある。 横島は構えを解き憩いの場所だと思いながら、神綺の声を聞く準備を始めた。少し時間がたつと魔界神の像が動き出した。

「え〜と、人は美味しいものを食べたい好物ならなお貪ってしまうこともそれは食事を楽しむ上での、感情あるからこその行為です。だからこそ残さず食べることが大事だと考えている人達もいます。
 心身の健康に取って最高に良い物だからと乱獲されたり食べられすぎると、個人であれ種族であれ、される側からしたらひどい迷惑よね。 つまり何が言いたいかというと、忠夫ちゃんごめんなさい」

「ついに説明からワイへの謝罪になった!?」

 謝罪の言葉にあまりにも誠意が籠っていた為、自分はどれだけ凄い目に合うのかと不安になりつつもう少し鍛えた方が良かったかもと、不安になる横島をよそに神綺の発言は続く。

「忠夫ちゃんがあまりにも活躍し過ぎて、飽食界担当の『今』ですら娘が気合が入っているから気を付けて。多分貴方は選ばないでしょうけど今回に限り貴方は貪られることを避けることができる道もあるわ。
貴方は選ばないでしょうから、あまり格好いい姿を見せ過ぎない様に気を付けて。 最も無理かもしれないけど」

 そこまで言うと神綺の像が崩れ落ちた。 横島は割と本気で頭が痛くなってきた。今回は自分が貪られる飽食界となるとは。ある意味予想通りだ。頭を抱える、横島に木綿季が笑いながら声をかけてきた。

「ははは、神綺様は相変わらずアドバイスになってないアドバイスしかできてないね。あの人は大切な時しか、為になることを言えないタイプだからね」

 木綿季の明るい声で気分が上向きになったところで、藍子が慰めるような言葉を言ってきた。

「もしも折れてしまっても、私達がこちらの世界の事に対しては最善を尽くしますから気楽に試練に挑みましょう」

 鼓舞する木綿季とは反対の藍子の声は優しいのにどこか撫で上手な飼い主がペットを脱力させるような感じで背筋に響いてくる。横島はそれを務めて無視すると前に進みだした。


357 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:20:28 ID:5AOAdM2e

 神綺の像があった場所を越えると早速、飽食界名物オークが出てきた。剣を構えた瞬間、横島は息を飲んだ。オークは基本的にはニュートラルだが、種族はダーク悪魔だ。だが目の前のオークたちはどちらかと言えば悪魔としての種族は聖獣に近い感じがする。
彼らはやや脂肪が多いがそれでも、鍛え抜かれていることが分かる体をしており斧や剣を構える姿は統率のとれた騎士団を連想させた。一目で楽には勝てない相手だと理解し剣を構えた。
 戦おうとする横島の前に戦闘のオークが進み出てきて、言葉をかけてきた。

「横島殿、われら今回は貴殿が高みに行くための試練の相手に指名されました」

 明らかにダーク悪魔のオークの口調ではない。女権国家世界のオークと混じり変質を遂げている様だ。横島は戦闘態勢を解かないものの軽く礼を取り、口上が終わるまで切りかかる意思がないことを示した。

「飽食界、必ずしも貪られるのは貴殿だけではなく、我らも含まれております。これより飽食界の主の補佐であり、貴方の刀の作成に関りしヴァーミン・クイーン・リグル女王陛下のご来場です」

 その言葉が終わると不意に無数の蛍が辺り一面を覆い始めた。青白い月の下に映える庭園が緑色と黄緑の蛍美の乱舞に包まれ、月光の輝きが余計に映える。ひと際強い光を放つ蛍の群れが噴水の下に集いその乱舞が終わると、
そこに蛍の光を思わせる髪をしたあどけなさと威厳を併せ持った少女がたたずんでいた。

 彼女は横島を見ると心底嬉しそうな柔らかい笑みを浮かべた。

「横島、久しぶり。リグル・ナイト・バグ。君の配下にして蟲妖怪を統べる女王。東洋での名は通り名は蛍光姫(けいこうき)。そして東洋で親しき者だけが呼んでいた名は蛍(けい)君を後悔させないための試練を与える役を請け負って参上したよ」

 リグルは笑みを浮かべて横島に抱き着いてきた。見た目は横島の対象外の少女なのに、問答無用で男を操り獣に変える色香の様なものがにじみ出ていた。横島はそれを振り切ると言葉をまった。 
甘ったるい雰囲気がしばらく続いたが、不意にその気配は消えリグルが横島に声をかけてきた。

「横島、一応聞くけどこの魔界がいかなる意図で作られたかはもう理解しているよね」

「ああ」

「それじゃあ聞くけど、マイさんやアリスや夢子さんやエヴァさん達みたいに僕達の事も信じてくれる」

「少なくとも敵対してない人間や罪のない人間にひどいことはしないってことは疑ってないぞ。この魔界も俺を強くしてくれるためだ、ということは信じている」

「それなら十分だよ。 それでいきなりだけど、君の愛女守を剣合体で強化して僕と夢子さんとアリスさんで強化するのが今回の目的だよ」

「今の所は愛女守に不足は感じとらん。これより良い剣をいきなり与えられても、剣が俺の腕に勝りすぎて強くなれん気がするが」

 横島は答えながらも、目の前のリグル相手に僅かな警戒心さえ抱けない事に気が付いた。この発言も最高の武器を、敵かもしれない相手に渡す警戒心でからではなく、純粋に言葉通りの懸念しかない。やはり彼女も前世では自分にとって良い妻だったのだろう。

「横島大丈夫だよ。君の成長を促進することに特化した剣に変じさせるから。むしろ今より成長速度は早くなるよ」

「横島様。リグル殿の言うとおりにすればより早く強くなれます。それは間違いありません」

 不意に響いた声に振り替えると、アリスと夢子がいつの間にか来ていた。二人の青と赤のメイド服に身を包んだ二人はやはり、朝や昼より夜の方が映えると横島は思った。二人は優雅に一礼すると横島に対して言葉を続ける。

「最初は私達でこの世界の女性に貴方が奪われるかもという恐怖で、横紙破りをしましたが、今では半分くらいは貴方を後悔させないために動いています」

 夢子の言葉をアリスが引き取って続ける。

「前世の力を再現するだけではなく、今生の貴方の糧とするための剣を作ることにかけてはリグル殿が最も適任なのです」

 夢子の言葉を聞くとリグルは嬉しそうに笑いながら、弾んだ声を出した。

「鍛冶に関しては夢子さんから褒めてもらえると本当に嬉しいよ」

「事実を言ったまでです。私が師匠を務めたというより、技術を交換し合いましたが、得意分野に限ってはリグル様の方が上です」

「ほんの少しだけどね」

 夢子の宣言を引き取った後リグルは横島に笑顔で近づきいう。

「僕の鍛冶師としての腕は、折り紙付きだと思うよ。もう横島は僕の打った剣を見ているから」

「ああジンの剣を見てみたけど、あれは凄かった。それに夢子さんがそういうのなら、俺を成長させる武器に関してはリグルちゃんが一番なんやろ」

 リグルは笑顔で頷くと横島の愛女守を受け取り、時折緑と黄色に輝く水にぬれたような美しい刀を持ってきた。

「その剣は」

「これは蛍守(ほたるもり)君の前世の内の一人が、僕を護る為に振るった剣のレプリカさ。 最も僕がこの世界に来てから打ったから偽物とはいいがたいかもしれないけどね」

 横島は蛍守を見ていると体の内部が熱くなってくるような錯覚を覚えた。この剣を振るい女殺しの魔物達と戦い続け夜をかけた日々を自分の魂が覚えているのだと、感じた。

リグルは横島から愛女守を受け取るとその剣をもって魔法円の上に置いた。横島はそれを見て驚愕した。この少女は剣同士を合体させる剣合体だけとはいえ、業魔殿や邪教の館の施設無しで出来てしまうのか。リグルが呪文を唱えると、
蛍丸が蛍の光を強めたような翡翠色の光を帯び始め、そして少し時間がたつと剣そのものが光で出来た剣へと変わった。そして翡翠色の光で出来た剣は、無数の光を放出し蛍の光の様にばらばらになって、愛女守に降り注いだ。
愛女守も翡翠色の光に包まれ輝き最後にひと際太い光が当たると、蛍守は消え去り、翡翠色の光を僅かに帯びた愛女守がそこにあった。

「来国衛(らいくにえい)愛女守だよ。持って行って」

「おお。ありがとうな。来国衛ってのはリグルちゃんの職人名か?」

「うん。 来国は僕が鍛冶を始めるきっかけになった文字なんだ。それにあやかってなのったの。この世界に蛍丸(ほたるまる)って刀があるでしょ。その情報が女権国家のある世界に流れ込んできて、僕も鍛冶ができるんじゃないって噂が広まったから、
やってみたんだ。最初は君の刀が傷んだ時とかに蛍を送って補強してただけだったけど、剣の知識を仕入れていくうちにやりたくなっちゃったんだ」

 横島はリグルから剣を受け取ると幾つもの戦いが頭の中に浮かび消えていく感覚が走った。そしてそれを終えると、リグルは輝くような笑みで言葉を告げた。

「これで私、来国衛の役目は終わり。ここからは飽食界の主の助手として動かせてもらうね。忠夫、必ずその剣で高みに来てくれると信じているから。それじゃあその来国衛・愛女守の初陣だ」

 リグルが手を鳴らすと無数の金槌坊とオークの群れが剣や槍それぞれの武器を引き抜きこちらに向けてきた。月の光できらめくその美しい刃渡りの刃を見て新たな愛女守を取った横島には、彼らの剣がリグルとその配下の作であると分かった。
 金槌坊達が槍を構え、オークが剣を抜いた時、マイがアレクシアを召喚した。彼女は呼び出された瞬間に、リグルに向けて敬意を込めた礼を取った。



358 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:22:59 ID:5AOAdM2e
「リグル様、外道であった私を蟻妖怪の女王へと育ててくれた、女王に至る前の分霊ではありますが記録にはあります。貴女の教育を幾ばくか受けた身として恥じぬ戦いを演じさせてもらいます」

「アレクシア、随分と女王らしくなっているじゃないか?確か君はアシュフォードの分霊のままだったよね? 忠夫たちと共に魔界を駆けて変わったのかな? それともレベルが上がるごとにクイーンアントの姓を得る直前の頃の精神状態に近づいたのかな?」

 昔の親戚を見る様な目でリグルが言葉を継げるとアレクシアは触手を腕に巻き付け剣の様に形作り、仲魔達と共に構えた。 木綿季が刀を抜き藍子が長巻を構え、トゥルダクが二刀の剣を抜き放ち、マイが冥妻天女の剣に霊力を集め始める。

 リグルが手を振り下ろすとその、瞬間一気に金槌坊の群れとオークが様々な武器を構え切り込んで来た。

 月下の庭園の下で切り合いが起り、横島はマイに指揮を任せ一人の兵士に近い形で前線で剣と術を振るった。 金槌坊の群れとオークの群れは双方とも似通った性質をしている。金槌坊達はありの性質の大力と統率があり、
オークたちも豚の持つ仲間思いという性質と、力強さで動く面が強調されている。

「彼ら本当に強いね」

 かすり傷一つない木綿季が本心からの言葉を吐露した。戦斧や太い槍あるいは大刀それらを一太刀でも体に受けことはおろか、受け流すことに失敗すれば彼女は即座に退場させられかねない。 恐らくは何度も危ないと思うような場面があったのだろう。
彼女はそのスリルすら楽しんでいるようだが、相当に疲労をため込んでいることは一目でわかった。
 藍子の方は魔術で筋力を強化して上手く切り合っているが彼女はオークの群れと優先的に戦っている。蟻妖怪もオークも仲間を大切に思っているのは一緒だが、オークは仲間を生存させることに重きを置く本能があり、
群れの為に仲間を敵もろとも打つようなことはしにくいようだ。逆に金槌坊は群れ全体の為なら、切り捨てることも切り捨てられることも織り込み積みだ。敵と切り合い鍔迫り合いをしていたら、その相手ごと貫かれて死んだ、
というリスクを減らすためにオークの群れを彼女は受け持っている様だ。金槌坊とやり合う時の方が多少無理をしてでも動きを速めているように見える。

 今回の戦いではアレクシアが、獅子奮迅な戦いぶりを見せている。金槌坊の動きをよく知っているためかその明晰な頭脳で先を読み藍子の方に流れぬように誘導しつつ、自分自身も多くの蟻を屠っている。 
横島は愛女守を構えトゥルダクと共に大勢の敵を切り払った。時々混じる、細めの武器を持つ敵が特に速い攻撃を仕掛けてくるせいか、攻撃の速度に対する対応が切り替わりいつも以上に疲れる感覚がある。

 妖怪たちは横島一向に倒される度に蛍火の様な光を放ちそれが天に昇るとただの豚や、大き目の蟻の遺体となった。オークや金槌坊だった遺体はリグルが手をかざすと、即座にいずこかへと転移していく。
僅かだが遺体をどうするのか気になったが、自分の勘が警戒を告げない以上は少なくとも今の脅威ではないだろう。そう断ずると横島は戦闘に戻った。

 群れの統率者を倒し、全ての敵を切り終えて息を切らす横島にリグルは拍手をして称えた。

「今生の戦いを始めて生で見たけど、やっぱり強いね。マイさんそれじゃあ、ここから先は予定通りで」

「ええ、そうするわ」

 リグルの問いの頷いて答えるマイに横島は疑問を抱いた。この魔界は自分を鍛えるのが目的でもあると聞いたからマイが相手と協力することは珍しいことでもない。

「いったい何の話をしているんだ?」

「今回の世界ではパートナーを代わることにしたの。実は貴方を鍛えるために外のお客さんを呼んだんだけど、そのお客さんは貴方を強くすることは快諾してくれたけど。そのお客さんには私たちがけじめをつける意味で決闘裁判しなきゃだめなのよ。
下手するとそのお客さんに、私達殺されるかもしれないのよ。そのリスクを避けるために私が前線に立つ必要があるわけ」

 そこまで聞くと、横島の顔色が変わった。

「マイ姉ちゃんはその俺を鍛える為に呼んだお客さんとやらに殺される可能性は低いのか」

「相性が一番いいのが私で、あの方の力が最も通じ辛いのも私なのよ。最も後者は本当に運が良かったというか偶然なんだけど。久しぶりに本気出さなきゃダメかもね」

 横島はそれを聞き、さらに深刻な顔になった。マイのあの方という言葉には多少だが敬意があった。人格を尊敬しているのか能力を尊敬しているのかはわからない。だが後者なら絶対に容易い相手ではないだろう。 不安がる横島にマイはいつもの軽い口調に戻り言った。

「愚弟、私は無理だと思ったらすぐに引けるくらいには戦術眼が確かなのは知っているでしょう。 それにこれから貴方は東京崩壊を止めるために色々なことができるようにならなきゃいけないのよ。 止められなくても義理が出来た人たちの残したものは護るつもりでしょう」

「ああ」

「そうしたら私と離れて別々に戦わなきゃダメな事だって多いでしょうし、他の前世の嫁さん達をパートナーとして動かなきゃダメなこともあるでしょう。そして初めて会った相手と共闘しなきゃダメなことだって多いでしょう」

 横島はマイの言葉に頷いた。こういう大切なことを言い聞かせてくるときの彼女にはいつも以上に逆らい難い所がある。 黙って聞く横島に彼女はさらに言葉を続ける。


「今生では初めてでも、前世で共闘した女性なら、完全に初対面の相手よりはまだ合わせやすいでしょう。ここで練習しておきなさい」

「分かった。姉ちゃん無理すんなよ」

 横島の切実な声に、マイは上機嫌になっているのを務めて隠しながら、横島のパートナーの一時出来譲渡の準備に移った。

「アリス。飽食界のパートナーは貴女に任せるわ。木綿季と藍子とアレクシアは貴女に預けるから好きにしなさい。必要なら合体させてもいいわ。 ジャックランタン・トゥルダクとかのこの世界の悪魔は忠夫あんたが指揮を執りなさい。他のサマナーと共闘するときの練習よ」

 マイに忠夫と呼ばれて、横島は本当に一時的とは言え、コンビを解消するのだな、という実感が湧いてきた。 マイは基本的にコンビを組んで戦う時は家の名字で呼ぶことで、家の代表だという意識を持たせて公の役目で動いていると横島に示していると言っていた。
 私的な名前で呼ばれたことで、彼女を絶対に護りきるという決意が固くなった横島は、アリスを真剣な目で見て頭を下げた。

「アリスちゃん、この飽食界の踏破のパートナーよろしく頼む」

 横島が真摯な言葉と声で頭を下げた時、アリスの頬が赤くなった。そして彼女メイドとしての礼で応じた。

「お任せください。全力を尽くします」

 アリスがそれに答えるとマイは言葉を告げた。

「忠夫、今回の飽食界の攻略は貴方にとって色々と選択が多いし考えることも増えると思うから、私が一旦コンビを解消して対処に当たるお客様も、事情を知れば攻撃するのをためらうかもしれないけど、本気で殴っても相手に深刻な傷とかは残らないから安心しなさい」

 そういうとマイと夢子はトラポートで姿を消した。横島は二人が消えた後を少し見据えた後、アリスに言った。

「アリスちゃん、それじゃあ行こうか」

 頭を下げる横島にアリスは意を決した様子で言葉をかけてきた。

「横島様、今回の飽食界の試練に挑むためにパートナーとなる上でお願いがあるのですが良いでしょうか」

「ああ。アリスちゃんの頼みならできる範囲ならきこうと思うぞ。 能力的に無理なことならできんがな」

「横島様の能力の心配の必要はありません。今回はメイドとしての疑似人格である私ではなく、一度だけ貴方と話した、魔女である本来の人格の方で共に戦いたいのです」

「分かった。ぜひ頼む」

 メイドとしての人格で動いている状態のアリスの力の凄さを感じさせられることも何度かあったが、本来の人格のアリスの方が今回の飽食界では力になると判断したのだろう。


359 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:24:05 ID:5AOAdM2e

 アリスは一礼するとトラポートで姿を消した。そしてしばらくすると私服になり戻ってきた。彼女は輝くような笑顔で横島に語り掛けてきた。

「忠夫久しぶりに貴方と一緒に戦えて嬉しいわ。 最も荒事はあまり好きじゃないけど、遺恨の残らない戦ならそこまで嫌いではないから」

 メイド姿のアリスとのギャップに戸惑っていると、不意にアリスが何かに思い至ったように頭を下げてきた。

「ごめんなさい。久しぶりに貴方と一緒に動けるのが嬉しすぎて、下の名前で呼んでしまったわ。マイ姉さんは貴方が許すなら別に良いと言ってくれたけど、まだ許可を取ってなかったわね」

「俺を名前で呼びたいなら構いません。前話したときは頼みごとをするときだったから抑えていたんですか」

 アリスの態度の変化があまりにも大きかった為か、少しだけ丁寧な言葉で話す横島にアリスは笑顔で答えた。

「それもあるけど、久しぶりに貴方と一緒の戦えることが嬉しすぎて自制が効かなくなっているのもあるの。はしたないとは自分でも思うけどね」

「そうかそれじゃあ、早く飽食界に挑もうか」

 そう口にした瞬間、アリスが横島の言葉に首を横に振った。 彼女のそのリアクションを見て、横島の頭に自分の精神状態はかなり危ういのかも、という考えがよぎる。
マイの身に危機が迫った時冷静な判断が下せなくなることに自覚はかなりあった為、自分への苛立ちを務めて抑えると、アリスの諫めの言葉と提案を聞くべく勤めて気を落ち着けた。

 アリスは家庭教師の様な調子で横島に言葉をかけた。

「マイ姉さんが戦わなきゃいけない相手に敬意を払っていたけど、あれは能力じゃなくて人格の方よ。普段の貴方なら気づいたでしょうに、本当に貴方は親しい女の子の危機になると冷静な判断が下せないのね」

 最後の言葉に愛でる様な響きがあり、自分を見てくる目に背筋がゾクゾクとしてくるのを、横島は感じた。全身が快楽をもたらす糸に絡めとられていく様な感覚だと理解した後、メイドとしてのアリスに嫐られている時に覚えていた感覚もこれなのだろうと思った。

 股間に血が集まる感覚を覚えながら、横島はアリスの言葉の続きをまった。

「忠夫、そのお客さんは本当に危ない相手だけど貴方がいないとどうにもならないようなら、絶対にマイ姉さんは貴方も同行させたわ。そして姉さんは引き時や頼り時を誤るような人じゃない。それはわかっているでしょう」

「ああ」

「だから今はこの飽食界で強くなることをひたすら考えなさい。本当にマイ姉さんが危なくなったら、神綺様が事態の収拾に動いてくださるから」

 アリスの言葉に横島は頷き、歩もうとしたが不意に動きが止まる感覚に襲われた。即座に周囲を警戒するが害意は一切感じられない。 アリスの方を見ると彼女の指から出た魔力の糸が彼の体のいたるところに入り込んできていた。
 今までとは異なり一切異物感も操る気配も感じさせない術式だった。アリスは横島の目をのぞき込みながら言葉を紡ぐ。

「これから、この飽食界で貴方には経験や食物を食らい強くなってもらわなければいけないから。これからその為の儀式をしに行きましょう」

 横島が本気で嫌がれば止めてくれることは糸から感じられる魔力でなんとなく分かったが、必要なことなのだろうと思いそれを受け入れた。

 アリスはリグルと共に儀式場を思わせる寝台のある場所に横島を連れてくるとアリスが彼を糸で操り座らせた。

 横島が座るとリグルが横島の目の前に来て、蛍火の乱舞を思わせる翡翠色の光に身を包んだ。 月の光を反射する光と相まって、美しく一瞬だがまぶしいと思われた光が消えると、目の前に翡翠色の髪をなびかせる女性が現れた。
穏やかそうな顔を形作る目鼻立ちは、どこか水の精霊や妖怪を思い起こさせる美を伴う造形をしている。彼女は喪服を思わせる夜の闇より深い黒とその黒をより映えさせる赤い裏面の外套の下に外套と同じ黒を基準としたドレスに身を包み月下の下で横島を見据えると、女王らしく礼を取った。

「この姿では初めましてだね。貴方と共に幾つもの生を駆けて成長した虫妖怪の女王リグル。神様や妖怪様々な立場で崇められているけど、基本的には大半の職種の人が参って良い神様になっているかな。
ある意味君と似た器用貧乏タイプかな。神様としては他の超一流の神様の補欠や助っ人を務める一流の神様って感じかな」

 リグルはそういうと、横島に口づけして舌を入れてきた。あまりの快感と彼女の唾液が蜂蜜を思わせる甘さと共に脳がしびれる。アリスは崩れ落ちる横島を可愛い親戚の子供の失態を見る様な目で見降ろした。
 その瞳に怒りというより挽回しなければという思いを呼び起こされる屈辱感を刺激された。それを見てアリスは微笑む。

「マイ姉さんを助けるための一番の近道を私が示すから、今は強くなるために交わりを通じて力を与えるから、できるかどうかは別として私達を閨で屈服させることを決して、諦めずに頑張って」

 心が折れかけていたが、それが強くなりマイを護ることに繋がるならと横島は己を奮い立たせた。アリスもリグルも明らかに嘘は言っていない。オカルト世界で戦っている以上、変わった儀式や訳の分からない方法で悪霊が倒れる例も多い。
まして自分は異世界の英雄の転生者という珍しすぎるケースだ。この行為にもなにか意味があるのだろう。

 アリスがトラポートと唱えると、西洋の豪邸を思わせる寝室に一行は瞬間移動をした。アリスが笑みを浮かべながら、横島の体の中にある糸を動かした。気が付くと自分は人形劇の人形の様に動き服を脱いでいた。
恐らく自分が人形劇の人形の様に動いたと気づいたのは、アリスと自分だけだろうと、横島は思った。 リグルも服を脱ぎ十分に女らしくなった体を月下の下でさらすと、容赦なく横島に前から襲い掛かり、
あっさりと彼の分身を飲み込んだ。乳房が横島の胸板で潰れその感触が射精の量を一気に増やす。彼女の接吻を受け射精しながら、横島は恐怖を覚えた。霊能力者だから理解できる。彼女はまさに交尾後のカマキリなどの一部の虫の様に、
自分の体の中にあるマグネタイトを『食らって』いる アリスの糸が体の中で彼の神経を直接愛撫し余計に快感が強まり立てなくなりそうなったが、アリスの言葉が彼の意思を燃え上がらせた。

「これはより強くなり、マイ姉さんを助けに行くために必要なことよ。頑張って」

 その言葉を聞くと横島は、全身のマグネタイトや魔力を使いリグルに快感を与える性魔術を使い始めた。これは体に性魔術によって良い変化を与える作用とその快感で女妖怪をへし折った始祖の魔術だが、それを受けながらリグルは笑った。

「これ気持ちいいけど、女権国家じゃ奉仕系性魔術扱い止まりだよ。 女権国家に来たら私達以外には絶対に使っちゃだめだよ。 虫の交尾は雄が死んだり食べられることが多いけど、余計に食べられやすくなっちゃてるね。性魔術に使った魔術やマグネタイトまで貪られちゃうから気を付けてね。――こんな風にね」

 繋がるリグルの秘所が狭まり一気に抜かれると体中の神経まで射精の影響を受けた様に快感が走り一気に貪られたような感覚の後に指一本動かすことそら億劫になった。倒れかけた横島がリグルの乳房に顔を埋める形で倒れたが、まだ自分の乳房をもんで来たのを見てリグルは笑った。

「マイさんを早く助けに行くために必要となると本当に頑張るね」

 ここまでは花の様な笑顔で良い、次に妖刀の刃の様な美しいが怖さもある表情になり言葉を続ける。

「閨を共にしている女の前でそれはいただけないよ。そういうものだと合意の上ではあるけど、妬かないとは言ってないから」

 低い声音に恐怖を覚え下がろうとしたが、アリスの糸がそれを許してくれない。仰向けに押し倒された体に彼女がのしかかり虫のフェロモンを思わせる匂いと唾液がかかった瞬間、
彼の頭は完全に霧がかかったようになった。しばらく仰向けになった体に押し付けられるリグルの体の柔らかさに体を食いちぎられる様な快感を覚えていると、リグルの指からも魔力の糸が出てきて横島の体に入り込み始めた。アリス程ではないがその糸は十分に横島の体を操り快感も強い。


360 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:25:43 ID:5AOAdM2e

「アリス先生どうかな? 蜘蛛妖怪一門に主と認めてもらえてからは大分糸の使い方を学んだけど」

「前より上手になっているわね。でもまだまだ、貴方の技能の限界までは遠いわ」

 そういうとアリスの放ってきた糸が体の中から出て行き。代わりにリグルの糸が彼の体を支配する。

「忠夫僕の糸に抗える? できるならやってみて」

 アリスやリグルに体の全てを掌握されても彼は抵抗する気が起きなかった。二人を信用していることと、そして自分でも気づいたが屈服させられ嫐られることが気持ち良すぎて抵抗の意思がなくなってきているためだ。
 だがリグルの言葉で何か意味があるのだと思い抗うと、痛みではなく、糸が体の中で擦れて性的な快感と脱力感が襲ってくる。

「うん、前より与えられる快感が増したみたいだ。 でもアリスやエヴァさんなら、糸で止めないと射精しているくらいに激しい快感を与えていただろうね。私ももう少し頑張らないと」

 それを聞き横島は背筋が寒くなった。リグルの糸だけでもこれほどの脱力と快感なのに、アリスやエヴァに操られた際に逆らうと自分はどうなってしまうのだろう。

 不安をよそにリグルが体の中に入った糸で横島を動かし、アリスに視線を固定させると、アリスはゆっくりと服を脱ぎ始めた。脱ぐ途中ですらメイドの時とは違う種類の品と、男を操る糸を思わせる魔女の色香が溢れ、
彼女の姿を見ているだけで分身に集まる血の量が増していくのが分かる。 脱ぎ終えるとアリスはゆっくりと体を重ねてきた。絹の糸を強めた様な快感が触れられた部分から流れ込み、
分身を飲み込まれた瞬間に訪れてくる感覚は疑似人格の時とは、違い多くの糸に翻弄されているような感覚がする。アリスの秘所の中で無数の糸が絡みついてくるような快感を味わいながら、この糸が一本でも自分は負けると、横島は思った。 
アリスが僅かに内部を動かすだけで分身に快感が走り射精したら脳が砕けた様になるそう思い歯を食いしばる横島の耳もとに口を近づけアリスは言った。
言葉と共に出てくる息が耳に吹きかかり快感が追い打ちとなる。


「忠夫、私達に負けない屈服させるという意思を持ち続けることだけ考えなさい。あとは私達がするから」

 アリスに言われた通りに全力で意識を保つとリグルの糸が横島の体を動かし、アリスの乳房を揉みしだきだした。ただでさえも強すぎる快感に辛うじて踏みとどまっていた彼にはそれが止めとなった。凄まじい量の射精を終えると、頭の中にかかる霧が余計に強くなり、
自分が一気に人形に近づいた様な錯覚を覚える。彼女は笑いながら再び腰を動かし始める。 悲鳴を何度も上げつつ彼女に絞られると不意に、アリスが離れると、リグルと二人がかりで指から魔力で出来た糸を伸ばし横島の分身の全体を愛撫し始めた。

 無数の心地の良い糸が分身の先端と幹を袋を上からさするが、あと少し強い快感が欲しいというもどかしさを、与え続けている。 射精したばかりで敏感になった部分を二人の糸で嫐られあまりのもどかしさに遂に自らの手でしごこうとした瞬間、手足の動きを二人に止められた。

「忠夫、私達を屈服させる意志だけは捨てちゃダメって言ったでしょ、自慰したら負けを認めたようなものよ」

 そういうとリグルとアリスは横島の体を糸で動かし高めのベッドに座らせた。そして、二人は大量の糸で乳房の間に張り巡らせた状態で、横島の分身を左右から挟みしごき始める。胸の柔らかさと、糸の感触が同時に襲い掛かりもう言葉にならない声しか上げられない横島を二人は笑いながら嫐る。
 歯を食いしばり、耐える横島を見ながらアリスとリグルは笑いながらが急に指を動かすと、体の中に入った糸が直接睾丸を愛撫し、一気に果てた。吹き散らされた大量の精液を見ながら二人は笑う。 リグルが笑みを浮かべながら、形だけの謝罪の言葉を口にした。

「ごめん、ごめん、前世より耐久力とか落ちているのは知ってたけど、ここまでとは思わなくて、でも本当に美味しいマグネタイトだね。この世界でも色々なことを成し遂げてきてたんだね」

 そういうとリグルは再び横島の上に乗り絞り始める。食らい尽くされる感覚が再び彼を襲った。 リグルは目を閉じ恍惚の様子を浮かべながら、腰を動かし横島から容赦なく搾り取り続ける。 最低でも五回程達するたびにアリスとリグルは交代を繰り返した。
二人に体を支配された状態で、何度も横島家の性魔術を使わされよりたくさんの快感を自分も味わいながら意識が遠くなる中、最初にアリスが絶頂しその反動でより強い快感が返ってきて倒れかけた、リグルが彼からアリスを引きはがし犯した。その後で直ぐにリグルが果て再びアリスと同じことが起ると横島は完全に、意識を失った。

 次に目を開けた時、横島は視界に違和感を覚えた。天井が前より高くなっている。そしてリグルとアリスが起きてみると座った状態なのに自分と同じ背の高さとなっている。二人は悪戯が成功した様な目で彼を見ると言った。

「君の体から色々と抜き取ってからアリスの魔術で子供に戻して再構成させてもらったよ。
大丈夫、飽食界を踏破する頃には元に戻れるよ」

「この体でどうやってクリアしろってんだ」

 横島の抗議にリグルはおかしそうに笑うと蜘蛛の様な糸で彼を縛り、分身を握りしめしごき始めた。

「こういう時は頭に血を上らせちゃダメだって。下がった?」

 あまりの快感に言葉にならない声しか出せない横島を射精させると彼女は言った。

「この魔界は君を強くするための魔界だから、『不可能』なこともさせるけどかもしれないけど、『無意味』なことはさせないから安心して。それじゃあ君の道を示すから良く見ていてね」

 そういうとリグルは蛍火を思わせる光を放つと寝室から姿を消した。これから何が起きるのかと思った時、不意にスクリーンが下りてきて画面いっぱいに、リグルが玉座にかけている姿が映し出される。 
西洋風の飾りつけの中に僅かに東洋が混じっている、豪奢な部屋でリグルはどこか余裕をもって挑戦者が入場に使う扉を見つめている

「あれは一般用の飽食界でリグルがボスを務めている部屋よ。これからそこで貴方にこの飽食界での修行の道を示そうとしているのよ」

 横島はそれを聞きスクリーンを穴が開くほど見始めた。リグルはこれから自分に何かを見せようとしているのだろう。 そこから少しでも吸収しなければ、この飽食界を乗り越えられない。

 少しの時間がたつと、不意に扉が開き風神剣をもった、ジンが乱入してきた。威風堂々とした姿はもはや一軍の将を思わせる。彼が率いる仲魔たちも本来格が低い種族の者ももはや、弱卒は一人もいない。そして彼の横には黒い髪をした、
メガネの顔立ちの整った女性がいた。その黒髪をたおやかな動作がより強く引き立てており、強い意志を宿した瞳が整った顔を余計に美しく見せていた。 横島は彼女の顔を見て、青木師匠もジンも惚れこむわけだ、と思った。 
彼女の手には青木の記憶で見た刀、坤竜丸(こんりゅうまる)が握られている。 彼女が刀を構え、魔法の詠唱の準備を始めるとジンが護る様に、側に立った。 リグルと彼女達はまだ戦い始めてはいないが、始める前の口上らしきやり取りがこれから起こるようだ。



 ジンは多くの敵との戦いを潜り抜け飽食界の奥に到着した。ここまで侮って良い敵は一人もいなかったが、それが彼の精神を良い意味で昂らせている。彼はここに来る前の事を思い出していた。学校が魔界に放り込まれた時に事情の説明を受けた時、
彼はサマナーとしての道を行くことを決めた。やりたいことが見つけられてないこともあったが、日本の秩序が女神転生と呼ばれる世界の様に崩壊したら、自分の生活が危ういと思ったためだ。
そして共に戦う仲間として、赤根沢玲子に声をかけられた時、彼は歓喜と共に了承の意を伝えた。


361 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:27:12 ID:5AOAdM2e


彼は一目見あった時から玲子に心を奪われている。彼女の大きな災いを予想していながら、強い意志を込めた瞳が彼を惹きつけて止まない。
その瞳の中にある憂いを消し去ることが今の彼の一番の目標でもある。まるで心のどこかで未来を知っているかの様に自分たちは一緒にいることはできないと何かの予感が告げていた。
だが今回の事件を起こしたのが、自分の師匠とも言える横島の前世の妻達だと、知ってからはその不吉な予感は急速に弱まってきている。

 それから多くの敵を破り今は二つ目の魔界に訪れていた。目の前には自分と玲子の剣を無償で打ってくれた虫の女王がいる。彼女は日本刀らしい水にぬれたような美しい剣を構えながら優雅に礼をすると、口を開いた。

「ジンくん、待たせてしまってごめん」

「大事な用事だったんでしょう。 本気で闘うとは言え『今』は敵じゃないそんなに気にしないでください」

 仮にリグルと本気の敵対をする事態になってもジンは赤根沢玲子を護る為に全てをかけて勝利する覚悟と勝算はある。だがそんな事態には絶対になってほしくないものだ。周りの仲魔達もリグルの気配に大きな反応を見せている。ジャックフロストとジャックランタンが、
やや怯え気味であり。ラクシャーサとケルベロスが武者震いをし、ハニエルは警戒しつつ玲子を護ろうとしている。こちらの緊張をよそにリグルは軽く口を開いた。

「僕にとってはね。この大人の姿をこの世界で初めて見せる相手は、旦那様が良いっていう我儘さ」

「それは、それは、女性にとっては何よりも大切なことでしょう。おかげでなんの気兼ねもない貴方の技を見ることができそうで嬉しい限りです」

 意図的に切り替えられているであろう、ジンの口調を見て横島は青木を思い出した。礼儀を護りつつ卑屈にならない様に徹底的に、言葉を選んでいながらそれを表に出さず滑らかに話す。サマナーは戦い方や交渉術は千差万別だが、
ジンは礼で守りを固めて紳士的な口調で話し、相手次第で臨機応変に応じるタイプだ。今回は相手に好意を持たれているから、自尊心をくすぐり情報を得ようとしているのだろう。

 多分青木なら、不快にさせない様にリグルと彼女に惚れられた男を褒めつつ、僅かだがリグルから情報を引き出していたかもしれない。ジンはあったこともないのに男を褒めるのはどうかと思ったようだが、
青木なら多分『惚れられた女性の格を見れば、相手の男性の格もわかります。さぞ素晴らしい人なのでしょう』という主旨の言葉を一流の接待役より上手に口にしていたと思う。

 リグルは笑みを浮かべると、西洋の動きやすいドレスに似合う刀を抜き放った。ジンはそれを見ながら、風神剣を構える。

「君の為にもなるけど、一番はこれを見ている旦那様の成長の手助が目的なんだ。それじゃ、いくよ。生あるものの輝きを助ける神としての側面も持つものとして、君たちの訓練に全力で付き合うよ」

 そういうとリグルが凄まじい勢いでジンに切り込んだ。 ジンはその攻撃を風神剣で辛うじて受け止めた。

「マハジオンガ」

 気品のある高い声で玲子が呪文を詠唱すると、リグルに向けて雷が落ちた。 ジャックルロストがマハブフーラをかけて追い打ちをかける。 中級クラスの氷結魔法でも彼らに鍛えられたジャックフロストが唱えると部屋全体が寒くなった。

 リグルはぜんぜん堪えていない、様子で雑談の様な調子で二人に声をかける。

「良い判断だね。 僕が蛍の化身である以上、寒さに弱いのは確定だし、仮に蛍が水の中にいる以上は凍らせられると危ない。蛍火の伝承的にも氷は有効に見えるよね」

 雑談しながら一切の隙を感じさせないリグルをジンは一切の油断なく見る。針の穴を通す様な隙すら見逃しそうにない。 玲子も呪文と剣どちらでも対応できるように構えた。


 二人を見ながら、リグルは懐かしそうな目で言葉を続ける。


「玲子さん、君の男の子を見る目は確かだったと思うよ。 ジンくんの立ち振る舞いとか戦い方とか、僕達を護る為に戦い始めたばかりの頃の旦那様とそっくりだもん」

 その言葉に玲子は素直に嬉しそうな表情になりつつ、軽口を返した。このやり取りを見るに彼らは結構親しい様。

「それは、それは貴方の旦那様も素晴らしい人なんでしょうね。その旦那様がいないのが今回の敗因でしょう」

 和やかに返した次の瞬間、玲子が絶対零度を思わせる氷の嵐をブフ系の魔法を連発して作り出した。 それを見た横島はとっさに駆けだしそうになった。合意の上の訓練めいた戦いとはいえ
、リグルが死ぬかもしれない戦闘で弱点属性の猛攻を受けている。そう思うと自分の魂が助けに行けと叫んだ。その声に従おうとした彼の体は不意に脱力感を与えてくる快感が内部に走ってきて掻き消えた。
アリスが体の中に入った糸で束縛しながら愛撫してきたと理解すると、その脱力感はますます強くなる。

「忠夫、安心しなさい。ここからよ、ヴァーミンクイーンの名は伊達じゃないから。彼女にとっては冷気は苦手だけど、致命的なものではないわ。それより、彼女の戦いをよく見ておきなさい」

 アリスは女教師の様に言うと、糸で横島を操り画面を再び見せた。なぜかリグルの戦い方や立ち振る舞いに目が奪われ始めほどなくして、穴が開くほど画面を体が見始めた。リグルは笑いながら翡翠色の光を放つ日本刀を振るうと、
剣から蛍火の乱舞が起りそれが本当の火に変わると火炎の乱舞と化した。ベルゼブブの死蝿の葬列と真逆の神聖な気を放っていながらどこか似た気配のするその光は神聖属性と炎の合わせ技だと感じ取れた。

 ジンは一瞬で書けるとジャックフロストに吹雪を吹かせ、玲子を無事な位置に逃がすと、向き直った。 リグルは笑いながら手を振ると無数の蛍が空中で舞いながら集まり剣となり鋭い剣撃を彼に放ってくる。 

 玲子が危ない、そう思った瞬間彼が出した火事場の馬鹿力はリグルの予想を遥かに上回っていた。全身から霊的な気配察知能力を出すと自分に迫る斬撃はかわし切り、玲子に迫った剣は風神剣で叩き落とした。 
そして空中に舞う全ての蛍の気配を体全体で感じ取ると、剣ができそうな位置を全て感じ取りながら先読みし全てに対処しながらリグルに迫った。

「ユウキちゃん以外にもこんなことできる人いたんだ」

 驚愕の声音で紡がれるリグルの短い独白が終わるころには、ジンとリグルの距離が殆どなくなっていた。無数の蛍が隼の様な速さで群がりリグルを護る様に間に入る。間に入った無数の蛍は一瞬で集合し剣となりリグルに迫るジンの剣撃の嵐を、防いだ。澄んだ音と火花が散った後、リグルもまた剣を構え笑った。

「予想以上に君は凄いね。これなら旦那様の力を引き出すための儀式も予想より上等になるよ」

 そういうとリグルもジンを迎え撃ち全力で切り込んだ。ジンは劣勢になりながらも重傷を避けながら見事に下がった。リグルに追い打ちをする隙を与えない見事な駆け引きと撤退だ。その撤退戦を繰り広げるジンの後ろで、
玲子はジンに代わって仲魔達に指示を出しながら自分も切り込むか援護の魔法を撃つかを思案している。 美味い立ち回りだ、と横島はジンと玲子を見て思った。彼女は優柔不断とも言える長考をしつつ、どちらかに転ばれると怖いと思われるようにふるまい行動に移さずとも、
ジンの負担を減らしている。ジンもその支援を受けながらリグルにプレッシャーをかけている。


362 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:28:45 ID:5AOAdM2e

 だがそれ以上に横島はリグルの立ち振るまいと彼女を護り飛び交う蛍たちが集まりできる無数の剣が繰り広げる舞に視線を固定された。あれは間違いなく、自分がいつかの前世で使った剣と技を再現している。だからこそ見ているだけで経験が入ってくるのだろう。
そしてリグルの立ち振る舞いも、横島の前世の英雄譚を再現している。彼女は筋力も使っているが生命エネルギーである気や、霊力を使い身体能力を強化している。あれも恐らくは横島が前世で使った修験道などの技なのだろう。

 今までもああいうことはしてきたが、リグルが見せてくれた技は質が違う。これを模倣し子供の体でも勝ち抜け、これが飽食界の試練なのだろう。 横島の集中力が極に入り、闘いを見続け学ぶ機械のようになると、アリスが魔法でリグルに連絡を入れた。


 ジンは玲子や仲間たちと共に、リグルと刃を交え彼女の周り飛ぶ大量の蛍たちが時には業火の嵐となり、時には剣と変わり自分たちに襲い掛かってくるのをはねのけていた。
 ジンが絶好調を思わせる勢いで切り込むとリグルは不意にすさまじい速さを見せ彼を弾き飛ばした。 吹き飛んだ彼にリグルは笑いながら言う。

「ようやく旦那様の学習のスイッチが入ったみたい。 ジンくん、玲子さん君たちならこれからの僕の戦場の舞についてこれるって。 武芸の技も舞踏と同じで相手が上手じゃないと直ぐに終わって成り立たないからね」

「そのためだけではないのでしょうが俺たちを鍛えてくれたのは、それが一番の目的だったわけですね」

「やっぱり腹が立った?」

「いえ、打算込みでも俺たちは益になることしかしてもらってないので、ただあまり手を抜きすぎると、旦那様の学習とやらが俺たちが勝って、直ぐ終了してしまうかもしれませんよ」

 ジンの小気味よい軽口にリグル笑い、しかし幾ばくかは真面目さの籠った声で応じた。

「確かに君たちの爆発力や成長力を見たらその可能性もあるね。最近の私は大分思い上がっていたみたい」

 そういうとリグルの持つ剣が翡翠色の光をより強く帯び始め周りの蛍たちも業火を思わせる輝きを見せ始める。

 より強くなった蛍たちの光はオパールとエメラルドそして翡翠の輝きを放つ蛍火の乱舞と化し、それがうむ業火の嵐をジンは楽しそうな笑みを浮かべた。

「俺、殺し合いは好きじゃないけど、同委の上の喧嘩や試合は好きだったみたいです」

 その言葉と共にジンの持つ風神剣も眩い光を放ち彼はかつてない速度で駆け始めた。その後の戦いは熾烈を極めた。ジンは故人としての戦い方はユウキに似ており指揮官としてはリグルに似ている。
普段は仲魔達の自主性に任せ、本当に自分の指示がなければ危ないときだけ念話で動かす。双方の戦いに横島は魅せられながら、リグルが使う技や蛍が集まり生み出す光に視線を奪われた。
リグルの周りを飛ぶ蛍たちが剣となり繰り出す剣撃は間違いなく横島が彼女を助けるために使った技だ。宙に浮く刀の乱舞は横島の瞳にはそれを振るう自分の前世たちの姿が確かに見えた。


 リグルの容赦のない攻めをかわしながらジンは唐突に笑った。 それを見た瞬間、横島の背筋が熱くなった。あれは何度も闘技場で闘った時に見た笑みだ。あの笑みを見せた時彼は何度も横島が自分は負けるかもしれない、
と思うようなことをやってのけた。アリスの糸がもたらす快感と脱力感すら屈服させながら、横島は立ち上がりかけたがアリスがさらに魔力を送ると動けなくなった。

「大丈夫よ。リグルはあれくらいじゃ負けることはあっても深刻な怪我とかは絶対しないから」

 アリスはそういうと横島の視線を画面に固定させた。

「見ておきなさい。これがリグルが貴方に見せたいものよ」


ジンの笑みを見たリグルはそれを見て少しだけ、後背や弟子が見事な姿を見せた、先輩や師匠めいた表情をしながら一気に攻勢を仕掛けた。蛍の光が槍や刀や戦斧、
札や杖に変わり一斉に殺到する武器をジンは獰猛な笑みを浮かべながら自分が中心となり避けたり叩き落したりした。仲魔達や玲子の力を最大限に引き出す動きはもはやジン彼らの軍団がジンを中心に一つの生き物となった様だ。 
横島はそれを見て焦りを覚えた。ジンは恐らくは今まで生きてきた中で一番強い状態だ。認め合える強敵との戦いや玲子を護る使命感や緊張感それが最も彼を高めている。恐らくは今も戦いながら強くなっている。
リグルは余裕でそれをかわしながら――正確に言えば、戦況的にはどんどんと彼らの成長ごとに不利になっていっているのに、それでも余裕の態度を一切崩さず捌いている。

 リグルの無数の攻撃をかいくぐり続けたジンに唐突に勝機が訪れた。 これはリグルの落ち度が産んだ勝機ではなく、唐突にジンの能力が一気に上がった為だ。スポーツ選手などにも行き成りその試合中にだけ、
凄い力を出すときがある。それは戦士にも起こる時がある。 ジンに稽古をつけ続けてきた横島にはジンにもそれが起きたのだと悟った。

 突然の当人にすら予想できなかった、勝機の到来に対するジンの対応は教導官を務めた者として心からの賞賛を送りたくなるようなものだった。

 ジンは速攻で仲魔達全員に指示を出すとそのまま一気に突っ込んだ。仲魔達も玲子もジンの変化を把握する前であったのに一切の躊躇いなく彼に従う。 
 一瞬で一つの剣を思わせる様な体制へと変わり、リグルに猛攻をかけた彼らをリグル余裕と楽しさ両方を込めた笑みで迎え撃った。幾つもの剣や術が発動し彼らを遮り始める。

そしてそれを見た時、横島の脳裏に今まで以上にその武器や術が刻まれていく。彼には分かった。あれは幾つかの前世で自分が妻達を護る際に特に活躍した戦いの再現だ。ジンを中心とした激しい連続突撃をリグルは時には自分が後ろに下がり武器たちに任せ、
時には前線に出て魔術の援護を受けて彼らと切り結ぶ。幾つもの盾となる武具や術が破れそうになったが、破れそうになるたびに他と入れ替えジンの動きに合わせてぶつける武具を変え続けたリグルの方に戦況が傾き始めている。

リグルが操る武具の大半が入れ替えを繰り返された大半が砕け散り残った武具も消耗が激しいが、残った武具も僅かという時に、ジンの動きが本当に僅かだが鈍くなった。リグルが外せば自らの敗北を決定づけるほどの攻撃を放った。
リグルの翡翠色の光を帯びた斬撃が稲妻を錯覚させる程の速さで彼に迫った時、彼は底力を出して風神剣をその稲妻めがけて放った。大きな澄んだ音が響いた直後に力負けした彼の剣は跳ね飛ばされそのまま彼も吹き飛ばされた。 

壁に激突した彼はそのまま意識を失ったが、それも数秒でジンは目を開けると、少し混乱した様子だったが直ぐに状況を把握した様だ。

「負けたんですね。 敗因は一体何だったんでしょうか?」

 悔しさもあるが疑問が勝っているジンにリグルは言葉返した。

「経験の差だね。悪魔と戦う時は常にこれに注意した方が良いよ」

「いや、確かに貴方の旦那と共に積み上げた武具の再現はすさまじく量が多く見事でしたけど、俺は貴方より戦闘経験が多い存在とも多分戦ってきてます」

 ジンの指摘にリグルは頷いて答えた。


363 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:30:54 ID:5AOAdM2e

「うん。そこは君の言うとおりだね。実を言うと、君が最後に勝負を決めに来た状態あれになられると勝つのは至難の業だから、生き残れる悪魔はそうはいないだろう。実を言うと僕はああいう状態の人と戦って生き残った経験が何度かあるんだ。ここまで言えば君なら分かるでしょ」

 それを聞いた瞬間ジンは全てを理解した様子になった。

「なるほど。全部読まれていたわけですね」

「そう、君はああいう状態になる人間特有の兆候が出ていた。そしてあの状態になったら絶対にああいう全てをつぎ込んだ攻めで来ると思っていたからね。
 だからあの状態になるまで戦いを長引かせて突っ込んできたら準備を固めた方法で迎え撃ったのさ。突発の事態で攻めた君と、
来ると分かって構えていた僕ではどうしても差が出てくるからね。普通はあの状態になった相手に生き残れる相手は滅多にいないどころか、出会っている人間もそう多くないけど、悪魔は寿命が長い。だからこういう可能性も頭の片隅に置いて置いた方が良いよ」

 ジンは頷いた。今は惚れた女性の前で無様をさらしたくらいで心底悔しいくらいで済んだが、これが失敗の許される訓練でなければ玲子だけでなく、自分に十全の信頼を置いてくれている仲魔達や頼りにしてくれた人たちまで死んでいたのだ。
 これは正解を出すのは無理に等しい問題だったが、それでも正解を出さねばならないのがサマナーの役目だと思い、正解を出せなかった悔しさはリグルに真摯に礼を言いながらも血がにじむほど握りしめられた拳が示している。

 リグルはそれを見て柔らかい目で笑った。

「今の君、力不足で僕達が怪我した時の旦那様にそっくりだよ。 そういう心を持ったままで入れば絶対に彼女を幸せにできると思うよ。そのまま強くなって旦那様と同じ陣営で頑張ってね」

 その言葉を聞くと、ジンは頷いた。今回の経験を得難いものだと感じている。反省をしながら、次につなげるべく必死に思考を巡らせるジンにリグルは言葉をかけ続ける。

「旦那様の道は過酷だから君みたいに善良で有能な同陣営か、友好勢力に就職してくれる人間はすごく貴重なんだよ。それじゃあ、君たちは合格だから、『勤勉のリング』を授けるね。次の魔界は君たちの助けを必要としている人がいるかもしれないから頑張ってね」

 リグルの真摯な願いの込められた声にジンは頷いた。恩を受けたと感じている相手からの陳情を避けるという発想は彼には薄い。

 ジンの返答を聞くとリグルは輝くような笑みを見せた。そしてジンと玲子に蜂蜜酒を渡す。

「ソーマほどじゃないけど、回復をすごく早めてくれると思うから飲んでおくといいよ。僕は少しやらないと駄目なことがあるから失礼するね」

 リグルの覚悟を決めた様子を見て、ジンは即答した。

「敵との闘いですか、なら俺たちもお手伝いしましょうか?」

 その言葉にリグルは首を横に振った。

「君達に助けてもらえばすごく楽になるけど、これは僕達にとっては、過去にしてしまったことの、けじめとかに当たる戦いでもあるんだ。だから部外者を巻き込むわけにはいかない」

 リグルの言葉にジンは頷くと座り休息に入った。ボスの部屋は基本的に侵入してくる悪魔は少ない。 ジンたちに一礼するとリグルは翡翠色の光に身を包み姿を消した。おそらくは敵のところに行くのだろう。


 彼らのやり取りを見た後、横島はアリスの方を見た。

「ええ。今回の飽食界の戦いは、あなた次第だけど、エヴァやリグル達が今戦っている相手と戦ってもらうことになるわ。最も今回ばかりは、貴方が助太刀を拒んでも私たちには文句を言う資格はないけど」

「分かった。安易に助太刀するとは約束しないでおく。すべての事情を聞いてそれから決めるは」

「ええ。そうして。忠夫これから出かける準備をして。飽食界での修行の準備に移るわ」

 アリスの言葉の後、横島は愛女守をその手に持ちながら子供用の陰陽師の服に身を包み彼女の到着を待っていた。 アリスは木綿季と藍子を伴うと、到着し彼を邪教の館に連れて行った。

 アリスはどこからか交渉し仲魔にしてきた女権国家の悪魔たちを木綿季と藍子に合体させた。 煙が消え去るとそこから再び西洋の服に身を包み悪魔の見たいな耳を生やしたユウキとランがいた。
二人は天狗と狐だった時より大きな魔力を放っている。種族的には弱くなったが、この種族だった時に偉業を幾つも成し遂げていたのだろう。 
二人の衣装は見かけこそ違うがあまり変わらない。ユウキはファンタジーの世界の魔法剣士を思わせる衣装に身を包み、ランは杖にも見える槍を持ち巫女や魔術師に近い格好だ。

「インプ・ユウキ数々の魔女に仕え幾つもの偉業を成し遂げた最速の剣技と魔術を君に捧げるよ。今後ともよろしく」

 洗練された騎士を思わせる礼をするユウキの横で、ランもまた同じく礼をとった。

「同じくインプ・ラン。幾つもの魔女に仕え幾つもの偉業を成し遂げた姉妹の力を貴方の捧げます。今後ともよろしくお願いします」

 ユウキとランの礼を受けて横島とアリスは頷き答えた。 アリスは向き直ると、彼に向けて言う。

「さっきのジンくんとリグルの戦いを見て、色々と情報が流れ込んできたと思うけど、今回は彼女の再現した術をひたすら覚えなさい。そしてそれらを食らい強くなること飽食界らしくね」

 アリスの言葉に彼は頷くと、呼吸を整え愛女守を振った。子供の体になって筋力は落ちているが、サマナー特有の呼吸法なども用いればどうにか振るえる。それを見て、アリスは頷く。

「アリスちゃんにとって一番使い勝手のいい仲間はこの二人か。もう少し他の悪魔も仲魔にしてこようか」

「昔から私に仕えてくれている仲魔達もそれなりにいるんだけど、あの娘達はこの飽食界の戦いには向かないから。一人ある意味この『飽食界では』凄く強いけど娘がいるけど、
ここで同行させると彼女が強すぎて修行にならないしね。それに他の娘達は、私がボスを務める魔界で貴方と戦うかもしれないから」

「そうかそれならしかたないな」

 残念そうな横島の言葉にアリスは花の様に笑うと宣言した。

「それでは行きましょう。この魔界を踏破しに」

 アリス達から連れてこられた館を出た彼は夜に映える森を思わせる魔界を駆けぬいた。あまたのオークや金槌坊をどう種族の悪魔たちと戦いながら、リグルが見せてくれた術や技を再現し、敵を薙ぎ払う。オークや金槌坊をはじめとする蟻を初めとした無視悪魔たちとの戦いは気が抜けなかったが、
アリスの横島の前世の人形を使って敵を薙ぎ払う魔術が発動すれば大半が片付いた。そしてその人形の動きを見るたびにどんどん、自分の中で前世の技が再現され血肉となっていく感じがする。 特に強い剣を持ったオークと金槌坊だけが生き残り、絶望的な戦況になったにもかかわらず、一切気負わずこちらに剣を構えている。
 横島はその二人を見て嫌な予感を覚えた。あれは絶望的な戦況ですらもたまにだがひっくり返してしまう勇者の気をまとっている。自分たちよりまだ実力は低い。だが万が一があるかもしれないと思わせる空気が感じられる。そう思うと即座に彼は刀を構え駆けだした。一番上の指揮官として育てられていればここでは、
この二人をしとめるより、一旦引かせて流れが変わった時に討ち取るのだろうが、今の横島は誰かの支援をする将軍や戦士に近い。こういう敵は自らの手で早く討たねばと考えてしまう。


364 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:33:22 ID:5AOAdM2e

 金槌坊は無言で槍を構えた。自分を超えて、早く強くなれと言っているのが霊気から分かった。 オークは少しだけ、考えると剣を構え口上を述べた。

「横島殿、われらオークは若干だが金槌坊たちをはじめとした無視妖怪とはこの試練に対するスタンスが違っております」

「ああ。そうだろうな。オークであるあんた達は前世で嫁さんだった彼女たちの直属じゃないものな」

「ええ。貴方に恩はありますが、我らも観測者たちが『女神転生』と呼ぶ世界にするわけにはいかないと思っております。それは女権国家の世界のオークである自分たちなりの義でありますゆえ。
 一言で言わせてもらうと、『貴方を万一倒せたのなら、それで得た力で我らは貴方が将来戦う無辜の民草を脅かすものを討ちます。我らが貴方に敗れるようなら、我らの遺骸を糧に我らが許容できぬ者を討っていただきたい』」

 横島はその口上を聞くと、愛女守を深く構えた。この二人はすごく強い。もともと強かったのが戦士の成長を促すうえでは理想的な戦場で、最後まで生き残ったのが蟲毒に似た効果をもたらしたのかもしれない。または戦場の経験が化けさせただけかもしれない。 

 この有利な状況で引くようではこの魔界を超えた後の数々の事件から東京や日本を護れるはずもなし。そう決断すると、横島はアリスに視線を送った。

「金槌坊の方はユウキとランが仕留めなさい。忠夫はオークをお願い」

 ユウキとランと横島双方が苦手な方を割り振ったのはその方が成長になると思ったからだろう。 横島はオークが繰り出してきた速度重視の一撃をかわして彼を切りつけた。だが脂肪の鎧とその下の筋肉に阻まれて致命傷には至らない。
さらにオークの放ってきた拳が彼に当たった。完全に防御されると分かったうえでの一撃であり、その一撃の代償に横島の放ったアギラオの炎がオークに浅くはないやけどを与えた。だが、その一撃は無駄ではなかった。

 横島の心に恐怖まではいかなくても大きな警戒の念が芽生えてしまった。綺麗なあたりでなくてもオークの手足どれか一つの有効打を受けたら、自分は動きが鈍り即座に殺される。 そう思うとそれまで警戒していなかった手足からも威圧感を感じ始めた。 
オークの連続攻撃を防ぎながら彼は何度も下がった。オークもまた横島の動きに驚いていた。これほどプレッシャーをかけられていながら、彼は引く方向に動かず自分を攻めてきている。速度で劣る彼は何度か横島に切りつけられると、即座に決断を下した。
このままでは横島が耐えきり自分を削りきって勝つ。そう思った彼は即座に全力の一刀を放った。横島もそれに応じて同じく一撃を放つ。勝負の結果は想定通り横島の勝ちだった。

「見事」

 そういいながら崩れ落ちるオークを見下ろしながら、横島は体中から滝の様な冷や汗が流れた。万が一の可能性が完全に潰えたと思いつつ、最後にこのオークがまだ反撃をしてくるのではないかという警戒から、アリスを庇う位置に立つことと構えはやめなかった。彼が消え去り豚の死骸となった時、ようやく彼は一息つき、ユウキたちの戦いの様子を見た。

 槍を構えた金槌坊が倒れユウキが剣を鞘に納める構図を見て横島はほっとした。どうやら助かったようだ。

「忠夫、勝ったよ。でも彼本当に強かったよ。格上と戦いなれていたのかとにかく粘り強くて、気を抜いたら、ひっくり返されてたよ」

 明るく言うユウキの言葉を聞いてアリスの方を見るとアリスも頷いた。

「ユウキはある時期から常に明るくて苦戦や苦労すら心底楽しむから、圧勝しているみたいに思われやすいけど、今回の戦いは本当に手ごわかったわ。ランが回復や補助のタイミングを少し誤ってたら、負けていたかもしれなかったわ。
 毎回ねじ伏せていたけど、何度か演劇の舞台の空気が変わりかけた状態が何度かあったけど、あれ多分逆転されかけてたでしょう?」

「うん。本当に危なかったよ」

 それを聞き横島は今後はユウキに目を配らなければならないと、思った。彼女は頼りになる雰囲気が強すぎて危なくても気づき辛いところがある。

 アリスが手をかざすと蟻と豚に戻った彼らの死体がどこかに送られた。

「彼らを食らい、そしてマグネタイトを得て強くなっていくこと。それが一番の弔いとなるから行きましょう」

 横島たちはその飽食界で限界まで体を酷使し、それが終わると倒した悪魔たちを食らうというサイクルを繰り返した。食事をする度に体が頑強で強くなっていく感覚があり、また成長期となったせいかいつもよりたくさんの食事を摂取することができた。


 体感時間でひと月くらいが過ぎ、横島の体が高校生の頃に戻った時、不意にアリスが手をかざした。

 そうすると不意に光の映像が現れ、そこには傷だらけのエヴァとリグルとマイが映っていた。 マイは比較的軽いが、エヴァとリグルはそれなりに思い手傷を負っている。 これは、実力差というより敵との相性のためだろう。 横島は即座にアリスの方を見た。

「十分成長したし、そろそろ出陣の時かもと思ったのよ。彼女たちを助けに行かないという、選択はとらないでしょうから、どうしても覚えておいてもらいたいことがあるの」

 気がはやりながらも、アリスの真摯な言葉を横島はどうにか頭に入れる努力を始める。あまり複雑な忠告でなければ良いがとも思った。

「もうわかっていると思うけど今回の敵は決して邪悪な存在じゃないわ。むしろ人間でいえば善人に分類される。エヴァ達も悪人じゃないけど、善良な悪魔に付け狙われるようなことも過去にしてしまったこともあるの。
そして今回の悪魔は決してうそを言ったり卑怯なことはしてこないから、彼と対話してみて、その上で私たちのために彼と戦うかは決めてほしいの」

「分かった。 そういう悪魔なら、落としどころ見つけんのは多分無理やと思うが行ってみるわ。 多分エヴァさんたち庇うなら戦うしかないやろうな。善人な悪魔らしいし、戦争せんで済むならそっちの方法とっとるやろうしな」


「ええ。彼はすごく強い戦士だから気を付けて」

 善人だと聞き憂鬱になったが、戦士でもあると聞くと少しだけ気分が軽くなった。善人であっても同じ覚悟を決めなければいけない職種なら少しは罪悪感も軽くなる。

 覚悟を決めて駆けだすと、アリスの糸が彼の中に入り込んだ。そして人形劇の人形にするように彼を操り始める。アリスに操られた状態で繰り出した技は完全ではないがコツなどはある程度つかむことができた。 
多くの敵、主にオークと金槌坊の群れを切り払いながら彼は一切休むことなく、敵を薙ぎ払いながら彼らはマイたちが戦っている場所にたどり着いた。 横島が到着した時、エヴァが重傷と思われる傷を負いながら膝をついており、リグルもエヴァほどではないが消耗している。
彼女は戦いで負った傷というより、疲労の方が大きいようだ。一番怪我が軽いのはマイだった。それを見て横島は、マイの相性の問題が大きいという言葉が事実であると改めて思った。 彼は即座にエヴァ達が相対している敵を見て、言葉を失った。 
目の前の存在は、あまりにも静謐で神聖な気に満ちた存在だったためだ。この世界のオーク達全体がライト悪魔に近かったが、彼の目の前にいる。豚の姿をした亜人オーカスは、鍛え抜かれた力士と高僧を合わせた様な気を放っている。彼の存在は大きな剣を持ち、横島を見ると口を開いた。


365 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:35:04 ID:5AOAdM2e

「よくぞ来た。今日までは我が庇護対象でもあった魂よ。此度の戦いをする前に我の問いに答えてもらいたい」

「ああ。なんだ」

 横島はまずは会話に応じることにした。悪魔との会話はろくでもないことになることが多いが、筋を通す善玉悪魔達は例外なケースもある。エヴァ達の回復を待つ意味でも少しでも時間が欲しかった。それに目の前の存在は明らかに善なる気を纏っている。
戦っている理由を知らなければ吹っ切った状態で戦えない気もした。 目の前のオーカス。青木が救った校長が転じさせられた醜き食欲に支配されたそれとは一線を隔す神聖な気と威厳に満ちた悪魔はゆっくりと、口を開いた。

「横島忠夫、女権国家世界における、我オーカス並びオークの地位を引き上げし者よ、
汝、今の彼女たちへの感情はいかなるものか」

「体を重ねたこともあるし、ずっと助けてくれた大事な人たちだ」

 横島の即答にオーカスは頷きながら言葉を続ける。

「それらを傷つけた我に対する今の心境は」

「正直、許せんと思っている。あんたが人間でいうところの善人できちんと筋の通った理由でやっているらしいって、教えてもらってなければ直ぐに切りかかっていたと思うぞ。 今でも早くこの問答を終わらせたいと考えている」

「それでは、お前の前世の妻たちの犯した罪の内容は知っているか否か」

「俺も知らないことが多すぎるが、約束を破ったことか? 今生では俺と結婚しないって言っていたらしいじゃないか」

 オーカスはそこまで聞くと頷き説明をする口調になった。

「その者らが犯した罪は大変に大きいものだった。前世の貴公は死ぬ前に一度でいいから、男性優位の性行為をし続けられる環境でハーレムを作って過ごしたいと願った」

 オーカスの言葉の続きを横島は視線で促した。理解するためだ。このオーカスはこの世界のオーカスと女権国家のオーカスが混じった存在の様だ。強いから戦いたくないというのが一番だが、善良な悪魔だから交渉でことが済むならそれが一番だ、と思う感情も芽生えてきている。

 対話を続けようとする彼にオーカスは言葉を続ける。

「最後に幾つもの前世と記憶が混じり合った状態だった、貴公のひとつ前の前世は切実な思いでそれを願った。彼女たちもそれを感じ取り今まで自分たちに過ごしてくれた男の願いだから、一度の生くらいは自由にさせようと思い合意したのだ。だが、彼女たちはそれを違えた」

 横島はオーカスの言葉を聞き、彼女たちを護るための『闘志』は強くなっても、目の前の存在への『嫌悪』や『憎悪』は急速に、小さくなっていく感覚がした。 この存在は少なくとも自分の前世の為に行動している部分もあり、エヴァ達への怒りなどではなく、
裁判官や警察の様な義務感で動いている面もあると分かったためだ。 覚悟を決めた様子の横島にオーカスは剣を構え言う。

「今の貴公と前世達は別人だ。そして約束を破ったことを知った上で貴公の前世達は彼女たちの為に戦う貴公に力を貸している。彼女たちを許しているかはそれが答えであろう。だがそうであっても、冥府の神という側面も持つものとして、あの約束を違えたことは看過できぬ。
善行を積んだ魂の輪廻に約束を破り干渉したことを罰さねば示しがつかぬ」

 横島はそれを聞くと頷き、愛女守を構えた。

「俺も、彼女たちのことを知るために女権国家の文化を色々と勉強していたんだ。多分だけど、基本的には善良な男たちは死後の世界では生きてた頃より、女性たちの脅威とからからも守られているんだろう。そしてあんたは、冥府の神なんだから、
今際の際の約束とかは守らせたり、あるいは破ったものは罰しないと天国の維持にも支障が出ちまうんだろう」

 神々は自分が庇護すべき者たちを害するものは決して許さない。それを打ち破ることで強くなるダークサマナーなどもいるが、割に合うことは稀だ。ただ戦って倒すだけならまだしも、権能や保護対象を犯した以上その無事で済ませればその神の存在理由そのものが揺らぐ。 
目の前のオーカスは冥府の神と同一視されることもある存在だ。オーカスの発言から察するに、女権国家のある世界では何らかの要因で自分と関わりそういう面が強くなったのだろう。

「その通り。今の貴公は覚えていないのだろうが、その約束を交わした時の貴公は本気で、一度でいいからそういう生を歩みたいと思っていた。 彼女らはこの世界が安全地帯でなく、貴公の生が危ういとなって干渉することを決めたとは言え、約束を破った理由は善意もあったが、
この世界で男性優位の性行為ができる女性たちと貴公の絆が強くなることを恐れた側面もある」

「よくわかった。ワイは約束を破られたという実感はないし、性交で強すぎる快感を与えられすぎたり、辱められたりすると滅茶苦茶きついときもある。 だが、今生に置いて俺は彼女たちの支援が切れると故郷を守り切るのに支障をきたすし、彼女たちがむごすぎる罰を受けると、今生を楽しく生きることはできん。 
だからこそ前世の俺と今の俺を同一視しているのなら、被害者である俺からの被害届の取り下げを受け付けてくれ」

 そこまで聞くとオーカスは頷き剣を構えた。敵意も殺意もない斬撃が彼に迫りそれが当たると、今まで彼女たちから与えられた快楽を覚えてはいても、それによる精神支配が抜け落ちた様な感覚になった。これは目の前のオーカスの仕業なのだろう。
死後の世界の現世の因縁を落とす処置に似た行動だと横島は予想した。そして、オーカスは彼の眼をのぞき込み聞く。

「今の状態でもその意思変わりないか?」

「ああ」

「被害者からの要請確かに受け取った。 だが彼女たちが冥府の神として看過できぬ道義違反をしたのは事実。 決闘裁判をここで行うとしよう。貴公も夫として彼女たちと共に挑んでくるが良い。そして私を討ち果たした時は無罪としよう」

「負けたら、彼女たちはどうなるんだ? やはり死刑か」

「そこまではいかないが当初は重罰の予定だった。 だが被害者が被害届を取り下げたから問うべき罪は減った。 ただ、彼女たちにとっては精神的に重い罰を下すことになるだろう。例えば、貴公がこの世界で戦っているのに手助けできなくするとかか」

 そこまで聞くと横島は負けられないと思いつつ理にかなった罰だとも思った。切実な願いからの約束を違えたのだから、自分たちの願いを叶えさせないことが罰ということなのだろう。

「分かった。行くぞ」

 駆けだそうとする、横島をオーカスが手で制した。その気配は親切な係員が気付きにくいルールを客に説明しようとしているときに似ている。彼は言う。

「そちらのインプのユウキとランだが、アリス殿ではなく、貴公と契約した状態にした方が良いと思うぞ。 その二人はまだ約束破りという罪を犯す前の伝承の悪魔である故、罪を犯した者への特効が発動せん。 だが約束を破ったアリスの仲魔として動いている以上は私の罪を犯した者への特効が発動するぞ」

 その問いにユウキとランが首を振った。

「できれば僕達はこのまま、戦いたいんだけど良いかな? 僕達は確かに罪を犯す前の伝承が具現化した姿だけど、 どんな理由であれ忠夫との約束を破った本体から作られたんだ。 だからこの戦いではこのままでいることが僕たちなりのケジメなんだ。 もちろん忠夫が勝つこと優先っていうならそうするけど」


366 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:37:08 ID:5AOAdM2e

「分かったこのまま行こう」

 刑罰というのは場合にもよるが加害者が本当に反省しているときは、きちんと罰を受けたと安心させるために執行されることもあると聞いたことがある。ここでそういうユウキたちの言うとおりにしなければ彼女たちの心に納得できないものが残る。横島は構えると、言った。

「わざわざ忠告してくれる当たり、冥府の神様は本当に慈悲深くて公平だな。 女権国家の世界でもそれは変わらないか」

「加えて強さも求められるぞ。何しろ好感度ドーピング状態の性悪な女どもから男を引き離したり護ったりしなければならないからな。それと横島殿が貴公らを庇うと決めた以上決闘裁判は最初から再審すべきと思うが、女性たちよ、回復できたか? 済んでいるなら始めさせてもらうぞ」

「その前に一つ確認したいことがあるんだけど良いか?」

「それほど長くはかかるまい。 貴公も当事者だ。きちんと知りたいことは知っておけ」

 横島は待ってくれる様子のオーカスに頭を下げると回復を終えたエヴァ達に向き直った。

「エヴァさん。どうしてエヴァさんが一番ダメージが出かかったんすか? マイ姉ちゃんが一番軽いのはどうして?戦いの技術は全員高いとは思うけど、この三人の中で一番低いのはマイ姉ちゃんでしょ。やっぱり相性の問題だろうけど、どういう法則なんや?」

「ああ。それ、私も冥府の神って側面があるからオーカスにある程度抵抗できるのよ。それと私は、貴方の前世と約束しなかったの」

 それを聞くと、横島はマイの言葉に微笑ましいものを覚えた。彼女は横島との約束は毎回破る。だが本当に頼みを聞いてくれるときは、横島の頼みを聞くと約束せずに勝手に行動をしてくれる。約束を守ることを照れ臭いと思っている部分があるようだ。
前世でも多分そうだったのだろう。だからこそ彼女の罪状は『聞くべき頼み事を聞かなかった罪』であり、『守るべき約束を破った罪』は適応外になっている。そしてリグルは生の輝きを護り司るような神みたいな側面があるように見えた。だからこそ冥府の神の攻撃への耐性も強かった。
だが約束を違えたため罪人となることは免れなかったのだろう。エヴァに至っては遺言の聞き届け役であり、一番守るべき立場でありながら破ってしまった上に、吸血鬼というアンデッドでもあるため一番特効が刺さったと理解できた。

 横島が準備できたと視線で告げると、オーカスは一息に彼のもとに切り込んできた。 見かけと対極に位置する鋭く速い一撃を彼はかろうじて大量の霊力を込めて強化した愛女守と筋力で受け止める。全身が悲鳴を上げたが、
それでもかろうじて受けた瞬間に気をそらせば自分が首を?き切るという殺気を飛ばして僅かにオーカスが警戒をした瞬間、エヴァとリグルとアリスが一斉にオーカスに攻撃を仕掛ける。オーカスの体に無数の傷がつくが、その傷は彼女たちの絶大な魔力や攻撃力から見れば破格の浅いものだった。
 女殺しの魔獣たちとの戦いを思い起こさせる展開だ。おそらくは、彼女たちが罪を犯しているから冥府の裁きや罰を司るオーカスには与えるダメージが小さいのだろう。

 彼女たちの攻撃で僅かにできた隙を見て、横島の霊波刀がオーカスを切りつけた。彼の攻撃の方が威力は低いのにアリス達につけられた傷からみると、治る速度が遅い。横島は息をついた。この戦いではエヴァ達は自分よりあてにならないだろう。

「すまんな。だがお前が被害届を取り下げるさっきまでよりはだいぶましになった。 それまでは防御力も再生速度も私たちへの攻撃力も今より上だった」

 エヴァの言葉に横島は頷きながら言葉を返す。

「エヴァさん任せてください。何が何でも護って見せますから。 向こうも悪いわけじゃないけど、理屈じゃなくて俺が皆さんが怪我したりひどい目に合うのは嫌ですから」

 そういうと彼は愛女守を構え、ジャックランタンとアプサラス、ジャックフロスト、トゥルダクを呼び出した。今回はアリスと敢えて別の勢力として挑むことにした。 剣撃と魔法の嵐が飛び交う戦いは長引いたが、今回の戦いでは横島と彼が率いたこの世界の仲魔達が特に大きな活躍をした。 
ある意味当然と言えば当然だが、罪人でない横島とその仲魔はオーカスの特効特性の対象外だったためだ。特にトゥルダクはオーカス相手に最も激しく食い下がった。トゥルダクは横島の仲魔達の中でも特に接近戦に長けていたのが伸びていたが、
今回はオーカスの攻撃が特に聞き辛いようだった。同じ地獄の獄卒という役目もある悪魔であるためかもしれない。彼は横島と共に何度もアリスやエヴァの盾となってオーカスと打ち合い彼女たちを救った。最も横島よりは少なかったが、それでも今回の彼の彼女たちを護ろうとする気概は凄まじかった。

 次いでアリスの仲魔で活躍が大きかったのはユウキだった。彼女はその異常な速度で紙一重でオーカスの攻撃をかわし、切りつけることを何回もやってのけていた。

 オーカスの攻撃は戦神などと比べればやや遅いがそれでも、一流の武神や戦神にも通じる程度には速い。そして剣を合わせても僅かでも受け方が悪ければ、二発目で命を刈り取られる可能性が高い。横島は太り切ったオーカスの体が自分に大きな威圧感を与えてきていることに気づいた。
持久戦になったら絶対に勝てない。そんな幻想すら浮かんでくる。 横島たちがオーカスとの戦闘で消耗し回復の為に一人が一手割かれる時、ユウキが並外れた速度でオーカスを牽制し時に猛攻を仕掛けその隙を埋めていた。 ユウキの様子を観察する限りでは戦いを楽しんでおり、
今の所は体力や精神力の限界の陰りは見えない。 だがオーカスの様子を見る限りではユウキを攻略する何らかの方法を思いついた様に見えた。

 それを見た瞬間ユウキが一気に飛び込んだ。長考させると危険と感じたのかそれとも敢えてその策を破ることで流れを変えようとしたのかはわからない。

 横島は愛女守を構え速攻でユウキの援護に飛び込んだ。ラクカジャを重ねがけされた自分なら、一太刀だけならまともに受けても死ぬことはない。ユウキの動きを読み重ねながら、彼女が失態を犯したとき自分が盾になる。

 ここで横島はデビルバスターとして大きなミスを犯した。この中で最強の盾であり刃でもあるのは彼である。

目の前の存在は地獄の看守でありながら、女権国家世界では冥府で善良な男性を護る防衛隊長の様な立場でもある。だからこそ女権国家の女たちとは戦い慣れている。 いわば女権国家の女たちとの戦いの専門家だ。 
いわば違う世界の東国の武術と魔術を使う横島が一番未知で対処しづらい相手でもある。 そして攻守ともに最も大きな成果を見せるのは彼でもある。 
これは一概に欠点とも言えない。仮にここでユウキの盾になる決断を下す様な人物でなければ、体育館の戦いで金槌坊たちはあそこまで彼の為に尽くさなかっただろう。

ユウキと横島は比翼連理の鳥を思わせる連携でオーカスに迫り敵を何度も切りつけた。横島はオーカスが不十分な形で繰り出さざるを得なかった攻撃などを見定めて、そこに敢えて刃を合わせて僅かに彼の行動を遅らせるなどしてユウキを助けぬいた。 
切りつける回数こそ多いが精神的な疲労度は横島の方が遥かに上回っている。オーカスは武芸などなくてもすさまじい膂力と巨躯そして溢れ出る魔力で闇雲に振り回しているだけで、恐ろしく強い。しかも、目の前の相手は武芸や術を極めつくすというほどではないが一流だ。


367 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:38:31 ID:5AOAdM2e

この戦いはオーカスより総合的にみれば弱いとは言え、武芸を極めつくそうとする悪魔達との戦いの経験がなければ、何度敗北が確定したであろう場面があったか数えきれない。

オーカスの剣を避けるたびに疲労により体の重さが増し始める彼を見てユウキも勝負を決めようとした。オーカスにユウキが切り込み深手を与えた瞬間、横島は青ざめた。 何が拙いのかはわからないが、敵が何か策を立てそれが成功するときの空気だと彼の勘が告げている。

ユウキの一太刀で深手を負った。オーカスは即座に蹴りを彼女に向けて放った。 ユウキは完璧な対処を取りながら、わけがわからないという顔になった。 確かにこの蹴りは当たるだろうが、彼女なら無傷で受け流せる。 オーカスの足に足の平を当てそのまま飛び下がった。
 次の瞬間、オーカス以外のすべてが驚愕した。 ユウキが吹き飛ばされた距離は誰もが思っていた距離の3倍以上の距離だったためだ。それでも彼女が無事に着地をして安直した。確かにあれほどの蹴りだったら運が良ければユウキに深手を与えその予定外の隙に付け込むこともできたかもしれない。

この場に居る味方勢力が全てがそう思ったが、ランと横島だけが一瞬早くオーカスの真の狙いに気づいた。 

 蹴りは武道に置いて、一部の例外以外では勝ちが決まった時、最低でも確実に当てられるとき以外は放つべきではないとされている。オーカスは敢えて致命傷一歩手前の隙をさらしてまで、ユウキに確実に蹴りが当たる状態を作り出した。
その狙いはユウキの精神にトラウマまではいかなくても警戒心を植え付けるためだ。当たれば確実に死ぬ。そういう脅威と認識した以上、警戒の度は確実に本人の意思とは関係なく上がる。 オーカスは剣を構えると、
そのまま切り込んできた。そして彼は斬撃を放つ直前に、とてつもなく高度なフェイントを織り交ぜ始めた。
 さっきまでは使ってこなかったが、こういう真似もできたと分かった瞬間一気に精神的な負荷が大きくなった感覚がする。 ユウキは敵の意を読む力に長けているせいで、フェイントに引っ掛かるまではいかなくても、反応しやすい。
 足までも警戒せねばならなくなってしまい彼女は余計に体力の消耗が大きくなり、蹴りを食らいやすい動きは控えてしまうようになっている。蹴りが来ることなど9割ないと分かっていても、本当に蹴りが飛んでくると錯覚させるフェイントに反応しやすくなっている。

 さらに周りのメンバー全員もオーカスのさっきまでのフェイントなど不要と思われる一撃の重さ重視の戦いから意表を突かれ調子が狂っている。それでも突き崩されず劣勢にとどまっているのは、長年女殺しの魔物たちと戦い劣勢を強いられてきた経験の賜物だろう。

 オーカスの剣の一撃をユウキが受け止めて、後ろの飛び下がった瞬間、横島が即座に間に入り、トゥルダクと共にオーカスに打ちかかった。オーカスの重く鋭い一撃が放たれてくる直前に、
別の軌道から飛んでくる錯覚さえも混じるようになりさらに疲労が増したが彼は後ろの女性たちが殺されるかもしれないと思った瞬間熱を帯びたように体が動き始める。 
オーカスの剣を防ぎながらどんどんとその動きが洗練されていく彼を見て、ありえないことではあるがこのまま勝利してしまうのではないだろうかという、錯覚すら覚え始めるほどに彼の動きはすさまじかった。 
オーカスのすさまじく速い斬撃をかわし彼が一撃を加え、隼の様に下がりかけた時 …――…彼は一気に吹き飛ばされた。

 何が起きたのか理解できなかったが、目の前のオーカスを見て理解した。剣を手放して、素手の技で彼を吹き飛ばしたのだと。 後ろの下がっていて最小限のダメージでありながら、
全身が砕けたような錯覚。立ち上がろうとしたが、このままではだめだ。 オーカスは横島を見下ろすと一瞬だけ悩んだ後、他の仲魔達の殲滅に移った。

『なぜおれを見逃す?』

 アプサラスが回復魔法をかけてきてくれたが、治る速度が遅いことに気づいた。横島は理解した。通常の冥府の悪魔と違いこのオーカスはかなり格が高い分霊だ。その悪魔の一撃が彼の治癒速度を大きく遅らせているのだろう。 

 アプサラスにディアラマをかけてもらい癒えるのを待ちながら、彼は死に物狂いでオーカスの動きを見続け戦況を分析した。 復帰できたときにフェイントに反応する恐れのある直観を押さえつける理性を強化するためだ。そして戦っている彼女たちの能力も少しでも覚えなければ。 

 戦況を見て、横島は内心大いに焦った。マイが何度も冥妻天女の剣をふるいながらも危機に陥り、マイとこちらの仲魔達を除けば一番活躍していたリグルも危うくなっている。彼女は英雄としての横島の輝きを再現するらしく、アリスよりも燃費が悪いようだ。
そして持久戦になって一番活躍しているのはアリスとエヴァだ。アリスは幾つもの人形を使い守りに特化した戦いをさせつつ、回復の術なども使っている。エヴァは相性が悪いにもかかわらず、培った長年の経験でひたすら上手く立ち回って苦戦しつつも足手まといにならずに防衛線を支えていた。

 ディアラマの効果を受けながら、横島は考えた。一分だけなら十全の動きができる。相打ち覚悟切り込むか否か。 息を吐き援護に飛び込もうとした彼は不意にその動きを止めた。 オーカスとは別の大きな気配が不意に現れたためだ。

 オーカスと横島だけではなく、そこで戦う全ての者が新しく表れた乱入者にその目を奪われた。 ヘルメットを被りとげのついた肩当てをした男の、闘神を思わせる筋肉に包まれた体から発せられる嵐の様な闘気はこの場の気配を変えるには十分すぎた。 横島はどこか不思議な懐かしさと親しみを感じながら乱入者の行動を見守った。

 オーカスは彼を見ると簡潔な言葉を口にした。

「闘神ジャギ、貴殿は助太刀か? 構わんぞ。彼への義理や友誼を考慮すれば貴殿も助太刀の資格十分だ」

 オーカスの言葉の様子はジャギと呼ばれた闘神が入れば勝てないかもしれないと分かった上で、冥府と裁きの神として、助太刀を認める方が公平とみなしたのだと、横島は思った。

「いや違う。そこの自分が死ぬか再起不能になるかもしれない、奇襲をしようとした。バカな戦友の生まれ変わりに助言したくて乱入しちまった。  助言不可なら助っ人扱いで邪魔してくれて構わねぇぜ。 最低限の反撃はさせてもらうがな」

 オーカスは首を振ると道を譲るような動作をした。

「構わん。貴殿の望むままにせよ」

「意外だな。俺にビビっているわけじゃないだろ? なんでまた。 あんたと少しやりあう羽目になるかもと思ってたんだがな」

 ジャギの言葉はだまし討ちなどを警戒しているわけではなく、純粋にオーカスの裁定の根拠が気になっているようだ。 オーカスは少しバツが悪そうに答えた。

「不覚にも私は彼の奇襲に気づいていなかった。 そこまでの覚悟を持っていたとは思わなくてな。 多分貴殿の乱入がなければ、彼の奇襲で敗北していたかもしれない。
 そこまではいかない可能性が高いが負けの原因になる重傷か、大きく不利になる重傷くらいは負っていた可能性が高い」



368 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:39:36 ID:5AOAdM2e
「あんた、自分に非があるかもと思うと本当に素直に認めるし公平だな。 冥府神は一部除き本当に悪人以外には優しいし、出来た神が多いな。俺の友人の嫁さんの冥府神とは比べ物にならないぜ。彼女にも見習ってほしいもんだ」


 ジャギは最後の言葉はマイを見ながら口にした。 マイは少し慌てた口調でジャギに言い返した。

「言っとくけど、私は忠夫以外には公平で優しい冥府の女神って言われているからね。私がいじめたり、約束破るのはこいつだけだから」

 横島を指さしながら言うマイは他の人間に冥府の神としてやらない様な事をしていると、横島に思われるのが我慢ならない様子だった。それを見越したようにジャギは笑う。

「はは、他の人間に冥府神にあるまじきことしているって横島に思われるのは我慢できんか。死後の裁きまで不公平なことしたらさすがのあいつも悪感情持ちそうだからな。 横島、彼女の言っていることは本当だ。 な、オーカス殿?」

 ジャギに言葉を振られたオーカスは即座にそれを肯定した。

「うむ。彼女は冥府の神としての仕事は真面目にやっているし、横島、貴公と出会う前から死後の選定に関しては、義務感からかもしれないが本当に公平で慈悲のある判決を下していた」

 ここで、マイに対する好感度が下がって横島の意欲が落ちると、公平な決闘裁判にならない。マイがそういうことをしていた場合は横島に本当にことを教えないと公平ではない。オーカスはそう考えるタイプの悪魔だ。

 分析する横島をよそにジャギは気楽にオーカスに向かって言葉をかける。

「助言ついでに、こいつの体が癒えるのを早める手伝いしてもいいか? それと昔借りた物を今返してもいいか? 決闘裁判を有利に進める様なものなんだが?」

「構わない。 もともと彼の物だったのだろう。 生涯に影響を及ぼす裁判でそういう物を持ち込めない方がおかしい。 それに先ほど言ったように貴殿の乱入がなければ、奇襲そのものは成功し私は重傷を負っていた。それくらいは認めねば公平ではない」

 オーカスがそういうとジャギはゆっくりと横島に向けて歩み始めた。 ジャギが歩みだしたのを合図にした様に再び剣撃と魔法の音が響き始める。

 ジャギは壁にもたれかかった状態になった横島の前に腰掛けると、懐から緑色のビーダマ程の大きさ球を取り出した。そしてその緑色の球には『隠』という文字が刻んであった。
 それが発動した時、完全に外界に対して与える情報が途切れたような感覚がした。 ジャギは横島の回復を促す秘孔突き、彼の目をのぞき込むと言葉をかけてきた。

「とりあえず、これでオーカス殿に会話を聞かれることはない。 横島、とりあえず返事は良いから聞いてもらいたいことがある。 お前は転生の度に何度も彼女たちを護るために戦い続けた。 
そしてお前は流派を立ち上げたこともあった。女に尽くし支援するから女尽流(めしんりゅう)だとよ。 基本的には一人で戦える半面女性の支援や援護に長けた技が多い」

 横島はジャギの言葉を聞きながら助言を待った。

「お前の本質は女を手助けすることだ。 だからこそ彼女たちの動きに合わせることに長けている。だからこそ、それを覚えておけば良い」

 そういうとジャギは横島に向かい、『伝』と書いてある球を投げてきた。それを受け止めた時彼に様々な情報が流れ込んできた。 女権国家という世界でジャギが彼と共に戦った際のジャギの視点から見た彼。文珠と呼ばれるこの球の使い方。
闘神と化した彼と共闘した時の自分の前世達の戦いぶり。彼女たちと一緒にいる自分と共闘したジャギの記憶が流れ込んできた。

 そしてその記憶を読み、横島の考えも大きく変化していた。今回は最悪、今生では再起不能になってもオーカスを退けられれば良し、と思っていたが彼女たちに自分の故郷を護る戦いを丸投げするわけにはいかない。

 彼女たちは救われた以上は絶対に自分に不義理はしないから彼女たちを生かせば全力で故郷を護ってくれるだろう。だが自分が想像以上に彼女たちを助けるために適している以上、自分を欠いた状態で彼女たちを戦わせるわけにはいかない。その決意と共に彼は過去の記憶をより貪欲に読み取り始める。

 過去の戦いの日々を見て横島は文珠と言われるアイテムの使い方を何度も見た。そして彼女たちを手助けする際の自分の行動を何度も見て、彼女たちの癖を覚えぬいた。 横島はジャギに突かれた秘孔のおかげで回復が早まるのを自覚しながらジャギに渡された文珠を受け取り構える。
文珠を作り出すことは今の自分では無理だ。だが文字を込めることはできる。時間がたてば経つほど全力で動ける時間は増えていく。その代わりオーカスの警戒も跳ね上がっていく。
横島考えているとジャギが懐から五つ文珠を取り出し渡してきた。彼はそれを受け取ると二つの文珠に『剣』『作』の文字を入れる。そして立ち上がり、状況を見続ける。


 横島が離脱した後、オーカスはジャギが『隠』の文珠を使った場所に意識を割きながらも猛攻を繰り出し続けていた。オーカスは無類の打たれ強さを誇るためか、わざと攻撃を受けて反撃をするということをしても、相手が与えてくるダメージが大きくても、
相手の方が先に削り切られるという事態もざらに起こせる。さらに今回は相手が罪人と化している為に、勝利しやすい条件になっている。だからこそ、自分に一番致命傷を与えられる横島からの奇襲を最も警戒している。
 先ほどジャギの頼みを快諾したのも彼からのほぼ確実に成功した奇襲を止めてもらったというのがそこまで大きかったためでもある。 敢えて攻撃を受けてから反撃する様なフェイントなども織り交ぜて剣をふるいながら彼は感嘆していた。
 エヴァ達は疲労困憊の極致にありながらも、回復アイテムなどを使い辛うじて戦線の崩壊は防いでいる。 

 横島はさっきの霊力を込めた体当たりで霊的にも大きな傷を負ったが、まだ回復可能だ。ディアラマを受けながら、ジャギの秘孔も受けた以上は時がたてば経つほど、彼の奇襲への警戒度を上げていく必要がある。
目の前の彼女たちには負けることはほぼないが、万が一がないとは言えないほどには脅威だ。 ジャックランタン、ジャックフロスト、そして最も手ごわかったのがトゥルダク。この三体の仲魔がすごくよく動いている。

「見事な動きだやはり、ここまで彼の女たちを熱心に守ろうとするとは、人外に好かれやすい彼の特性はこの世界でも健在のようだな」

 オーカスの言葉にジャックフロストが答える。絶対零度に近い氷の矢を作り放ちながら言う。

「ヒーホー、オイラ難しいことはわからんけど、これで勝てば忠夫の女性さんたち無罪なんだホー。ならその方が忠夫が喜ぶから頑張るホー」

 オーカスがすべての氷の矢を防ぎ切った瞬間、ジャックランタンが上級の精霊を思わせる炎の嵐を放ちながら言う。


369 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:40:49 ID:5AOAdM2e

「オイラもサマナーが好きってのもあるけど、元ネタが、冥府関連でやらかした身だから、こういう正当な裁きをする冥府神に抗いたいのは本能ダホー」

 二人の攻撃を防ぎ切った直後にトゥルダクが二刀流を構え彼にどこまでも切り込んでくる。 オーカスはそれを受け止めながら下がった。打たれ強さを売りにして攻めかかってくるこの妖鬼は今回の戦いに対して、
横島への忠義だけでなく存在その者を掛けているような気迫がある。 
オーカスはトゥルダクの動機にも興味を持った。 トゥルダクは切り合う手を一切緩めずに言葉を返す。

「我がここまで抗うのは忠夫殿への忠義と、善行への好意もあるが、『この世界』の死神であり地獄の獄卒でもあるものとしての意地だ」

 少し疑問を抱いたオーカスに彼はなるべく短くなるように意識しながら言葉を続ける。

「忠夫殿は彼女たちに大きな好意を抱いている。彼を主としてマグネタイトの供給を受けていればそれはわかる。そしてそちらの世界ではともかく、この世界では彼女たちの行動はそこまで重い罪ではない。
 この世界の彼と夫婦となる以上この世界では厳罰に処させるわけにはいかぬ。 たとえ『死』ではなく『滅』を迎えることになろうと抗わせていただく」

 その言葉を聞きオーカスは納得した。この世界の地獄の獄卒である以上はこの世界に転生した彼の生と感情に配慮する櫃量があるのだろう。

 横島を仮サマナーとしていた三体の仲魔達が疲労困憊の彼女たちを庇い回復の時間を稼いだ中不意にジャックランタンが仕掛けてきた。それを見てオーカスは即座に動いた。

『ここまで早く仕掛けてくるとは。必ず何かある。横島が再起不能にならずに動けるのは30秒ほどだろうが、長い時間になりそうだ』

 目の前の仲魔達を最も警戒していたが、彼らを二番目にし、そして横島のいる場所への警戒を一番に引き上げた時、ジャックランタンの声が響いた。

「次はサマナーが勝負を決めに行くホー、全員で全力を出して援護するんだ。ここでサマナーの攻撃が喉笛に届かなきゃこの戦い負けだホー」

 それを聞くと全員が一斉に最大の攻撃をオーカスに向けて放ちだした。 トゥルダクとマイが特に力を込めて攻撃をしかける。今生の横島を一番理解しているであろう、マイの行動を見て、他の面々も全力で攻撃を始める。
 今回の攻撃で特に印象的だったのはいつも真っ先にかけるユウキが敢えて我慢して駆けだすのを待ったことだ。 女権国家の女性たちの中では唯一オーカスに届きうる。圧倒的な速さ特化ゆえに致命傷を与えることができる可能性が僅かとはいえある
。だからこそ、戦況の流れを見て動く気なのだろう。 

 オーカスは守りの姿勢に入りながらも何度も、フェイントを使ってきた。九分九厘来ないと分かっていても、万が一放たれれば確実に死ぬ一撃は大いに彼女たちの動きを縛る。オーカスはフェイントと守りの体制、そして本当に稀に繰り出す反撃でうまく立ち回りながら下がっていく。 

 激しい攻防の中オーカスの意識がなぜか完全にジャギと横島のいる位置から離れた。それを見てトゥルタクと全員は今こそ好機と感じたがその認識は直ぐに改められる。 ユウキが引き絞りぬかれた矢のように駆けた瞬間、オーカスがどちらにも対応できるように構えなおした。

 オーカスは敢えて同時に二方向を警戒するのを諦めて、エヴァ達の方だけに意識を向けた。そしてユウキが駆けだすときこそ、横島が仕掛けてきたときだと確信していたようだ。万が一とは言え、自分を討てるものと同時攻撃すれば奇襲の成功率も跳ね上がる。
オーカスの 読みは当たっていた。 駆けだしてきた横島が剣を構えユウキと連携するような形で彼を討ち果たしに行くときとそれは被った。 オーカスは無数のその場にいる者にしか見えない殺気の刃の雨でユウキを牽制し、横島には最新の注意の果てに一刀を放った。
ユウキは無数の殺気の刃全てを本物と見極めるのを諦めかわし抜き様な速度でオーカスに迫る。そして横島はオーカスからの一撃、かわしても時間切れが大きく近づき完璧に受けても、絶望的に時間が足りなくなるその一撃を、横島は見事にかわした。 
彼の飛び込む攻撃を、オーカスは剣で受け、その瞬間顔色が変わった。

 次の瞬間、オーカスの首筋から大量の血が流れた。そして彼の魔力の消費量が彼の元の世界への送還が不可避であることを告げていた。 オーカスは立ったまま、堂々と言葉を口にした。

「この決闘裁判、貴公らの勝訴だ。 前世の妻達と共に生まれ変わった地を全力で守るが良い」

 それだけ言うと、オーカスはそのまま光となり消滅していった。

 オーカスが倒れた後、その後には倒れていた校長の姿があった。 横島は彼を見ると、驚きつつ様子を探る。けがなどは一切なく、むしろ前より体調は良さそうだ。

 目を覚ますと校長は言った。

「わしはなんか凄く教育者としてすべきことをせねばとか思って動いていた気がするが、何をしていたか思い出せんな。 まあいいちゃんとやり切った気がするし、他の仕事に移らねば。 横島君、確か悪霊退治とか仕事だったし学校まで送ってもらっていいかな?」

「あ、はい」

「愚弟、私にまかせなさい。 トラポート」

 マイが転移呪文を唱えると校長の姿が掻き消えた。校長室に送り返されたのだろう。

「姉ちゃん。どういうことやったんやあれ?」

「青木さんが経験した、軽子坂高校事件で校長はハザマ・イデオの恨みを買って本人も飽食の罪を犯していた結果ああなったけど、この世界の校長先生は人格者過ぎて、女権国家の善良な冥府神のオーカスの器に選ばれちゃったのよ」

「それはまた……、 ダメ教師でも良い教師でもオーカスになるのは免れられない辺り、なんか呪いめいた因縁を感じるわ」

「そうでしょう。それはそうと愚弟、あんた最後どうやってオーカス様に勝ったの? ユウキの剣がすごく効果があったけど、本来ならあの倍くらい深く刺さなきゃ彼女の剣じゃ致命傷にならないはずよ?」

「それは簡単なことや。 こういうことや」

 そういうと、横島の手にはユウキの剣が握られていた。そしてマイが驚き裏を見ればユウキの手に握られていたのは横島の霊波刀に似たユウキに合わせて作られた剣だった。

「僕も驚いたよ。ダメもとで深く切りつけるつもりが突然剣が変わっちゃって。でもこれ忠夫の霊力だけで作られた剣だから、僕が振るっても罪人補正が消えると思ったんだ。そしてそれは予想通りになってオーカスを倒せたよ」

 ユウキの言葉を引き取るように横島は言葉を続ける。

「彼女の方が速いしオーカスの警戒も少なかったから、『剣』『作』の文珠で作ったものをこの『入』『替』で替えたんだ」

「分かったわ。でも二文字制御しつつ良くそんなに早くできたわね。自分ではできないと思った直後の決断、早すぎるわ」

「途中で決めたんじゃなくて、最初からユウキに任せるつもりだった。『伝』文字を込めた文珠でジャックランタンに伝えた」

 その言葉を聞きマイの顔に納得の色が浮かんだ。

「確か、ジャックランタンは冥府の裁定者をだました逸話がある。だから私とトゥルダクとオーカス様は騙されたのね」


370 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:42:04 ID:5AOAdM2e
「ああ。だからどうにか倒すことができた。 ジャギさんも俺の文珠を制御するために必要な部分が早く治る様に動いてくれていたし、感謝しかない。 ジャギさんありがとう」

 ジャギの姿を見ると彼がいた場所には既に何もなかった。 マイがディアラマを唱えると、横島の体が信じられないほどの速度で完全に癒える。訝る横島に彼女は言葉を続ける。

「白に近い灰色とは言え、あんたも一応罪人側で決闘裁判に出ていたから、少しだけオーカス様の補正が効いていたのよ。完全になくなればこんなものよ」

 エヴァやユウキ、アリス、リグルの傷も言える速度が速くなっている。 ホッとする横島にマイが説明を続けた。

「今回の戦いで聞きたいことある?」

「個人的に気になったんだが、オーカスが俺を種族の恩人扱いしていたのはなんでや?」

「あんた昔、豚に変えられたことがあったのよ。それでそのあんたが大勢の人を救ったから、物語の中でオークの地位が女権国家世界では上がったの」

「そら凄いな」

「それだけじゃないけどね。この世界のエロ同人の知識が入ったことで、オークは女性を犯しまくる存在とみなされて女権国家だと、男性のお守りに豚やイノシシも使われている感じなの」

「それで冥府神の側面もあるオーカスさんの地位も上がったわけやな」

「ええ」

「それと、校長先生って今回は人格者過ぎてオーカスの体に選ばれちゃったらしいけど、青木師匠の時と同じくなんかパラサイトが入ったんか?」

 その言葉にリグルが罰が悪そうに言う。

「それについては僕の同族の仕業なんだ。ごめん。この世界の伝承で三尸の虫っているでしょう。 ハザマ・イデオがやらかした世界線の虫はどうだかわからないけど、
女権国家だと三尸の虫の伝承が中途半端に入ってきた際に、善行を報告する虫もいるって信じられていて女権国家だと六尸の虫なんだ。その彼らも一応は、僕の参加なんだけど、
今回の件に関してはけじめつけろと言ってハザマ・イデオがやったのと同じ方法で校長先生に入っちゃたんだ。  校長先生も、本人は覚えてないけど、
教師として君が自分の意志で根性の道を選択できないと気の毒って思って選択の機会上げたいと思った結果了承して。善なる虫に寄生されてオーカスの依り代になっちゃったんだ」

「そうか」

 そこまで聞き終わると、横島はどっと疲れた。不思議とオーカスに対する怒りや恨みはなく、ただ身内のしてしまった不始末のケジメはつけられたな、という思いがあるだけだ。
そして心の中で校長に、『一度先生が選ぶ機会をくれたから、俺はもう後悔しない様に頑張ります』と告げると、マイが差し出してきてくれたサマナー達の間でもめったに手に入らない神酒、ソーマを飲み干した。これを飲めばしばらくすれば完全に回復するだろう。

 ソーマを飲み体が楽になり始めた瞬間にマイが彼に向けて眠りを誘う呪文ドルミナーを唱えてきた。今までも彼女の魔法は彼に聞きやすかったが今回は特に眠気を誘われた。

「うん、オーカス様に決意表明して、私たちと共に歩むと決めたせいか、冥府の加護が完全に効かなくなっているわ。 正確にいうと私たちが本気で愚弟が嫌がることや、愚弟の倫理上許容できないことしない限り、私の権能はもう拒めないわね」

 そういうとマイは笑いながらドルミナーを唱えてきた。あまりにも

 横島は自分が、吸血鬼などのゴシックホラー映画などでみるベルベットがあふれる暗く美しい寝室にいることに気づいた。  マイに与えられたソーマがもたらした回復で自分の体は大いに元気づいているが、
それでも立ち上がることが難しい。だが不快な感じではなく、疲労が強い状態で安心して休める状態ゆえの脱力感だ。

 不意に背中に心地よい冷たさの柔らかい双球の感触が走ると、肩の部分からも違った脱力感をもたらす性的快感が襲ってくる。 傷口をなめられたと察した瞬間彼の体は脱力感の虜になった。 
傷口をなめられた快感に力づいた分身を揉みしだかれ激しい快感に悶えかけたが、それでも射精には至らないというより至らせてはもらえなかった。揉みしだく手から魔力で作られた糸が出て彼の分身と玉袋に入り込み射精を禁じる
。リグルやアリスとは違う快感をもたらしてくる相手の正体を彼は手を見ると一目でエヴァだと気が付いた。

「エヴァさん、飽食界の試練はもう終わりなんじゃないんすか?」

 拘束が緩み優しく仰向けに倒れるように解放されると、そこにはマイとエヴァがいた。純白の映える衣装に身を包んだマイと黒い衣服に身を包み大人の姿になっているエヴァが、彼を食物を見る様な目で見ている。 
エヴァは笑いながら言う。愛と嗜虐心が混じり切った笑みに彼は震えつつ、それを見るだけで分身が余計に硬くなることに大きな違和感を覚えた。 マイはいたぶるネズミを完璧にとらえた猫の様な笑みを浮かべながら答えてきた。

「エヴァは相当に力を消耗したから『飽食界らしく』あなたを貪ることで回復したいそうよ」

「その通りだ。忠夫、私の消耗を貴様の血と精液に含まれるマグネタイトで癒してもらおう」

 そういうとエヴァはゆっくりと服を脱ぎ始めた。普段はあっさりと脱ぎその魔性の美術品や妖刀めいた雰囲気に包まれた、肢体を横島に見せるが今回は敢えて、彼の視線が自分の露出されていく部分にくぎ付けになっているのを愉しんでいるようだ。 
全てを脱ぎ終えた後、彼女は笑いながら彼の体を糸で操りながら招く。そしていつもの様にゆっくりとではなく、一瞬で奥に入るようにした。

 容赦のない速すぎる結合に彼は強すぎる快感のもたらす恐怖感に襲われた。エヴァが糸を解き射精を許す数瞬の時間さえ、長く感じられた。射精を許された瞬間、彼は一気に大量の量を放ち、強すぎる快感で魂の何かが削られていく恐怖が襲ってきた直後にエヴァは言う。

「そろそろ上からももらうぞ」

 射精の勢いが本当に僅かに衰えた瞬間を狙ったように言った死刑宣告の様な言葉は彼の分身をより元気づけた。 その直後に首に氷の針を思わせる快感が走った直後に首から一気に体中の力を奪い去る快感の電撃の嵐が吹き荒れる。
 エヴァにかみつかれ、彼女が味わっている彼を嫐る嗜虐心と彼が与えている快感までもが返ってきて、一気に彼は堕ちた。

 首筋に刺さった牙により一気に射精の量が増えて、もうろうとしながらしばしの時間がたつとようやく解放された。 マイは笑いながら言う。

「忠夫、おめでとう飽食界で食べながらまた成長したおかげで体の感度と耐久力が上がったみたいね。この飽食界に来る前の貴方だったら今ので、発狂していたわ。それじゃあ私も参加させてもらうわ」

 マイが冥妻天女の剣を向けて呪文を唱えると、自分がエヴァにベッドで圧倒されているのがすさまじく恥ずかしいことの様に思えてきた。 
男性優位の性行為が当たり前の国で過ごした前世に戻されたためだろうが今回は、いつもより遥かに恥ずかしい。 マイは嘲笑めいた笑みを浮かべながら言う。

「簡単なことよ。あんたは今まではオーカス様の加護があったから私の冥府を司る権能に体制があったのよ。それが今では完璧になくなったからね。今生でも私たちの守護者であることを選んだ瞬間に、ね」

 最後の言葉には燃える様な情欲を感じさせる声でマイはエヴァを横島から引き離した。

「エヴァ少しがっつき過ぎよ。忠夫が回復するのを待ちなさい」

 オーカス相手に今生でもこのままでいると決めたのがきっかけとなったのか、マイだけでなくエヴァも横島を下の名で呼び始めている。

 マイは笑いながら騎乗位の体制で彼を搾り取り始めた。 

「〜〜!」


371 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:43:18 ID:5AOAdM2e


 あまりにもすごい快感とそれにも勝るかもしれない凄まじい恥辱心で泣きわめく彼を見下ろしながら、マイはわざとらしく首を傾げる。そして今更気づいた様な様子で白々しく口を開いた。

「あ〜! いま私があなたを戻した前世は、女性優位の性交が滅茶苦茶恥ずかしいだけじゃなくて、私が国の大敵な邪神として名が知れ渡っている国だったわ。うっかりしていてごめんなさいね。 
でもこんな状態で生涯一の大量な射精をする愚弟にはご褒美でしかないわね♪」

 天使を思わせる顔で笑うマイから離れようとすると、エヴァが以前と同じように彼の古傷をなめ始めた。 前よりも強い快感を送られ、感電した様に痙攣するたびに体が震え、その度に彼女の中に精を放ってしまう。

「忠夫、今生でも私たちを護る意思は微塵も変わらなかったな。前世で女殺しの魔物たちに何度襲われても、お前の意思は変わらなかった。 今回は本当に女殺しの獣たちと戦い続けた輪廻の日々を思い出せた」

 エヴァの懐かしむ声共に来る、傷口からくる快感は激しい脱力感を与えてくるだけではない。首筋に打たれた牙のからくる快感の余韻を余計に強くしてくる。 マイが魔石らしきものを取り出し、
彼に使うと吸われた血液まで回復するが、今までの魔石と違い恥ずかしさが大きくなった感じがする。彼女は横島の顔を見ながら笑う。

「ああ、この魔石は信仰から生じるマグネタイトを固めて作ったの。その信仰の元となっているのが、今あなたが価値観を共有している前世の物語のものよ」

 それを聞き横島は青くなった。価値観は戻ってきているのになぜ恥ずかしいのかは思い出せない。だがすさまじい恥ずかしさだけはある。別の前世にしてくれと言っても、この笑みを浮かべているマイは絶対に聞いてくれないだろう。

 マイは横島から離れると、今度はエヴァに渡した。エヴァが横島に騎乗し彼から精を搾り取り首筋から血を吸われると、さっきまでどれだけ無様にマイに圧倒されたのかがエヴァの視点でどう見えていたのかが分かり、
その侮りの感情まで流れ込んでくる。そして再び大量の射精をするとマイが笑う。

「ちょっと、明らかに自分がどれほどみっともない姿をさらしていたか知らされて逆に興奮してるわ、こいつ。 ねえ? こんな変態マゾなのに男性優位の性交為ができると思ってたの?」

 蔑みしかないマイの言葉を聞き、余計に自分が興奮していることをエヴァと感覚を共有して理解し、脱力の極みにある彼にはそれが余計に凄まじい屈辱と興奮を与えた。 そしてそれが済むとマイは笑いながら、トラポートの詠唱を始めた。

 疑問を浮かべる、横島に彼女は笑いながら言う。

「飽食界らしく、エヴァのためのスペシャルカクテルをふるまうのよ」

 それだけ言うと彼女は笑いながら、横島にソーマを再び差し出してきた。それを飲み干し回復すると、トラポートの光が起こった。

 トラポートの光が消え去ると、彼の視線の先に見えたのはまぶしい光だった。闘技場でも夜だったし、明かりも蝋燭とかがり火が主なのでそこまで明るいわけではなかったが、エヴァの寝室に目が慣れた彼には少しまぶしく映った。
ここは夜の闘技場だ。あたりを見るとたくさんの観客見目麗しいところを見ると女権国家の女性達と思われるが、嘲笑めいた目で彼を見ている。奇妙なことに彼女たちは、指に奇妙な機会をつけていた。そこまで考える暇もなく、マイとエヴァが二人係で彼を容赦なく押し倒した。

 前と同じく、周りの女性たちの価値観も自分の前世と同じに戻しているのだろうと思ったが案の上その通りでオーカスの加護が外れた彼にはその嘲笑は前より響いた。

「敵国の大敵にやられて余計に興奮しているわ。 あんなのを英雄視している子供たちがかわいそう」

「確か、エヴァさんも邪悪な吸血鬼扱いだったはず、その邪悪な敵に負ける惨めさで余計に悦んでいるわね。あれ」

 マイとエヴァにやられ続け、観客席の女性達からの嘲笑が、余計に彼を興奮させそれが余計に自己嫌悪を強くしていく。

 何度かの性行為の後、マイに騎乗位で絞られている横島の顔にエヴァが不意に尻を押し付けてきた。それが異常に恥ずかしく、しかし余計に興奮させられてしまい今の導入されている前世の価値観のせいだと、感じた。 特に凄まじい量の射精をした彼に、マイが嘲笑しながら解説をする。

「今のあんたの前世の価値観だと、男性優位の性行為が当たり前なうえに女性の地位が低めだったのよ。だから『女性の尻に敷かれる』って家庭は恥ずかしいうえに、性行為でそうなることは特に恥ずかしいと浸透していたの。 
最もそれをより強く根付かせたのは私達だけど。 ひょっとしたらあんたをいじめるのに使えるかもと思ってね」

 その言葉を聞き、横島はやばいと思いつつ体中からの湧き出る快感におられかけた時、もう一度射精したら、指一本すら動かせなくなる。その瞬間、エヴァが横島の顔から立ち上がった。

「凄まじく恥ずかしがっていたからな。さすがにこれはやりすぎかもと思ったすまんな」

 まったく本心とは思えない言葉に横島は、エヴァが自分の体の魅力に負けて、横島が自分から尻に顔を埋めに来させようとしていると分かった。 何度も受けた凌辱のせいでどれだけ気持ちいい屈辱と背徳感があるのだろうという思いと、
吸血鬼の体の美しさに負けて彼は尻に顔を埋めた。途端にマイが鬼の首を取ったかの様に笑い叫んだ。

「愚弟は明らかに、魅了の魔術とかなしで自分からまけていましたねぇ。 普通はここまで落ちるのに三か月くらいは持つのに。 おや恥ずかしい解説を受けたら弱すぎ一物が余計に硬くなったわ」

 それを聞き本心からの嘲笑が観客席から湧き出した。

『あははは――!』

 無数の嘲笑に負けてそれすら快感と感じる彼に、マイが笑いながらエヴァと交代する。

「それじゃあ、エヴァ。ご注文のスペシャルカクテルの用意はできたから今持ってくるわ」

「おお頼むぞ」

 上機嫌すぎるエヴァの笑みに横島は恐怖と悦びを覚え、自分は末期だと感じた。

 不意にマイがワイングラスに血液をもって帰ってきた。 それをエヴァはゆっくりと味わうように飲み干していく。 そして彼に騎乗した。 エヴァに飲み込まれ激しく嫐られる彼にマイは楽しそうに解説を始める。

「エヴァは血を飲むと相手と精神的につながれるのは分かっているでしょう。 そしてこの会場の女性達は今の貴方と同じ前世の価値観にしている。 そしてあのワイングラスに入っていた血は貴方が、エヴァの尻に自分の意志で顔を埋めた最も無様な姿を嘲笑した時の血を観客全員から一滴づつもらったものよ」

 それを聞いた瞬間、横島の顔から血の気が引いた。さすがに怯え逃げようとする彼の頭をマイがつかみエヴァの前に差し出す。エヴァは笑いながら彼にかみついた。

 その瞬間会場中の女性たちの彼に対する侮蔑と嘲笑が一気に彼に流れ込んできた。どれほど自分が無様をさらしていたかも理解できた。その恥ずかしさがもたらす悦びとエヴァからもたらされる快感が一気に、彼を絶頂させ。エヴァの秘所に溢れかけるほどの精液を放った。 

 マイは一瞬で服を魔力で着込み司会者となると笑いながら言った。
「愚弟は、皆様が受けた説明通りの状態となり今回三回も、射精の量の記録を更新しました。ご協力ありがとうございます。 多分ですが闘技場の使用は今回を抜けば残り一回ですが、皆様次回もご愛顧を。 それではこれから見せる予想通りであろう、愚弟の正体をお楽しみください」


372 :名無しさん@狐板:2022/04/24(日) 23:43:50 ID:5AOAdM2e

 射精させられ終わり、完全に上と下から霊力を絞られ切った彼を見て、マイは笑う。

「愚弟。実をいうと、前世の価値観的に無様すぎる姿をさらした時にもお客様たちから一滴ずつ採血してたんだけど、その際の血を飲んだエヴァさんにスペシャルカクテルを提供しまくりなさい」

 快感で前後不覚になりながらも、射精しつくしたおかげか男としての尊厳が砕ける恐怖が蘇った彼は怯えながら首を横に振った。

「い、いや」

 しゃべることすらままならない彼にマイは魔石を使うと一気に彼は回復した。そして下半身も回復すると、魔法で服を再び脱いだマイとエヴァの肢体を見て、頷いてしまった。

 マイは笑いながら再びマイクを具現化させて解説を始めた。

「エヴァの回復の為に必要なことではあったけど、愚弟はそれが分かる前に明らかに性欲に負けて了承してました! ここまで無様な男は滅多にいませんね――! 
今しているのはエヴァさんが私に恩があるからと乗り気でないのにやってくれたプレイだけど、愚弟がこうなったら、何回もしなきゃダメかも」

 観客席からの笑い声に負けながらエヴァがワイングラスの血液を飲み干しその度に激しい快感と嘲笑の念に包まれながら彼は何度も意識が飛んだ。すべてが終わった後、エヴァは露出は激しいがぎりぎり下品ではないナイトドレスに着替えた。

「おかげさまで完全に回復したぞ。忠夫、これからは全力でお前の故郷を護ることに手を貸すことを誓おう」

 宣言してくるエヴァを見て、横島は彼女に勝つのは不可能になったと思った。 強さが増したのもあるが、自分は今夜の閨で完全に討ち果たされてしまい、負け犬今生の様なものが彼女に対して芽生えた。負けたら性行為をされると戦う前に悪魔としての契約で宣言されたら、もう体が言うことを聞かないだろう。

「これからに備えて一時的に特別なガソリンを入れた車の様になりたいのでな。次の魔界が怠惰界の準備ができるまで私に、貪られていろ」

 そういうとエヴァは横島を捕らえ、トラポートを唱えた。


 エヴァの寝室で横島は大人の姿のエヴァに血を啜られながらマイによって男性優位の性交位が当たり前の前世の価値観に戻されながら、エヴァにその時代で一番恥ずかしい性行為をさせられていた。
彼女は闘技場で顔に腰掛けた時の様に途中で敢えてやめて、横島が自分に飛び込んでくるのを愉しむ癖がある。吸血鬼の体の美しさを武器にしている快感によっているところもあるのだろう。 この性行為はマイによって、
横島と同じ前世の価値観に戻された女権国家の女性にも配信されているらしく、その女性達の血液が時々届いてくる。それを飲んだエヴァに血を吸われているところをマイが笑いながら見て、エヴァに問うた。

「エヴァさん。今日のカクテルの味はいかがですか?」

「上手い。 だがやはり闘技場の様なライブの方が一番だな」

「そう」

 答えつつ、マイは笑いながら、横島に声をかけてきた。

「愚弟、貴方はある意味飽食の罪を犯しているかもね。性的な快感を求め続け、オーカス様の提案を拒絶しなかったのは私たちにいじめてもらう快楽を貪る快感を欲しただけだからかも」

 嘲笑めいたマイの言葉と首筋と分身に与えられる快感に破れ意識が朦朧とする彼をエヴァは笑いながら子供に戻し胸に顔を埋めさせた。 

「一度あれをやられただけで、胸より尻に対する興奮が大きくなったサル病の治療の時間だ。早く尻に欲情するサルから胸に欲情する人間に戻れ」

嘲笑しながらも愛おしそうに彼を抱くエヴァにマイは声をかける。

「そろそろ怠惰界の準備ができるそうよ」

「早すぎではないか?」

 エヴァのこの発言は、横島をそこに送るのが早すぎるというのではない。もっと時間がかかるはずではないかという意味の言葉だった。

「ええ。怠惰界の担当者なあの娘が、オーカス様との戦いで頑張りすぎた愚弟の姿にときめいてやる気出しちゃってね。工事を予定より早く終わらせちゃったのよ」

「あと何日だ」

 小さくなった横島を強く抱きしめながら名残惜しそうにエヴァが聞くと、マイはあっさりと答えた。

「体感時間的にあと三日ってところかしら」

「そうか。それが終わったらこのバカの故郷を護る任務に戻らねばな」

 エヴァはそういうと、横島に魔石を使い立ち上がった。マイ笑いながらその様子を見ている。

「もう少し気楽に構えられない?」

「今回約束を破った私たちを護る道を迷わず選んでくれこいつには、閨の中以外では不自由をさせるきはない。 万一試練が越えられない様なら私達だけでの戦闘も考慮せねばな」

 エヴァの鬼気迫る様子を見てマイは内心で思う。閨の中で圧倒してはいるし横島は自分たちに跪いているが、本気で惚れさせられた者同士なら案外恋愛の勝負は引き分けなのかもしれないと。 横島の故郷の安全に対して考えるエヴァをあざ笑いつつ、自分もあまり大差はない、
と感じながら彼女もエヴァと共に横島に良くしてくれた故郷の人々の安全に対する対策を語り合いながら、次の怠惰界の主が横島に勝たないことを祈った。 そうなったら自分たちの忙しさはすさまじいものになるだろう。


373 :名無しさん@狐板:2022/04/27(水) 00:52:44 ID:NKj+TvPo
乙です

374 :名無しさん@狐板:2022/04/27(水) 16:59:35 ID:gLArIRwL
乙です

375 :355:2022/04/27(水) 20:58:22 ID:wV+dGtkR
>>373
乙感謝です
>>374
乙感謝です

376 :名無しさん@狐板:2022/04/28(木) 19:34:14 ID:fdtyl+RB
面白かった
マイ姉さんはオリジナルキャラ?
ジンとか青木先生はメガテンなのかな

377 :355:2022/04/29(金) 09:25:55 ID:McCx2C2l
>>376
ありがとうございます。
マイさんは東方の怪綺談にでてくるキャラクターです冥界とかに詳しいような描写が
あったらしいのと、ファンの間では腹黒扱いされているのでこういうキャラ付けにしました。

青木師匠とジンくんは女神転生ifのスピードタイプの主人公です。取り憑く守護悪魔が横島と、
関連深い悪魔が多いので、横島の師匠役に抜擢しました。 女神転生if小説版の主人公(ステレオタイプの善人系正義の味方)
から名前だけもらった感じです

378 :名無しさん@狐板:2022/04/30(土) 15:27:01 ID:nH0bosPs
ありがとうございます

379 :名無しさん@狐板:2022/05/04(水) 17:35:23 ID:8LERmHQB
女権国家 データ

《登場人物》

〈味方〉

『スパイ組織』

・大鳳
元五将の一人であるペンウッドが校長を勤め、王国の工作員・戦闘員を養成する学校である『特務科』に飛び級で幼くして入学し、優秀な成績で卒業した。
王国特務科卒業席次2位(本来は1位)
【ステータス】
HP 19
ATK 7
DEF 2【質素でしっかりしたツナギ(DEF+1)】
INT 18
【スキル】
【会心の一撃】:発動時ATKが+3、発動率3割
【精神状態】:正常
【trauma】:なし
【アイテム】
・銃剣付き制圧銃(通常装備)
・無外の守刀【ユニークアイテム】
[天魔の域に人のまま触れることを目指す者のためのお守りの役割を持つ小刀。心を正しく持つことで道は拓かれるだろう。恐怖への耐性が上昇し、彼我の実力差を正確に見積もりやすくなる。一部判定で補正。]
・剣豪の空鞘【ユニークアイテム】
[伝説となった歴戦の剣豪が年老いた後も持っていたと言われる鞘。持っていると、一部武人肌の女性の初期好感度が優遇される。]
【所持金】5500m
【大鳳くんメモ】
ぼくこそがしんのすぱいだ!王女様のために頑張るぞ!

・初音ミク 初期好感度25
大鳳の上司にしてスパイ組織の実質的指導者。仕事の出来る可愛い後輩は好き。
自分に厳しく、他人にはちょっと厳しいという人だが、なんだかんだ面倒見はいいので教えてくれる。
仕方ない理由で捕まったときは助けに来てくれることもあるが、裏切り・利敵行為は絶対に許さない。笑顔で何人でも銃殺できる人。
軍歌を唄う歌姫として従軍しながら後方から奇襲をかけた敵軍を血祭りにあげたことで名を馳せた。
異色の経歴を持つ緑翠の軍姫。今では「粛清人」とも呼ばれる。

・シノン 初期好感度101
大鳳の親友。王国特務科卒業席次3位(本来は2位)。
極めて成績優秀だが「四惑の禍」への学徒出陣とその後遺症で2年進級が遅れた。本来は大鳳、ジャギ、横島達の二つ上の学年。
学生のうちから狙撃の才能を開花させ、一流の狙撃屋の証と言われるA級スナイパーの認定を受けた。
激戦となった大戦終盤に学徒動員として女権国家戦線に投入され、当時若輩ながら褒賞を得るほどの戦果を残しながら、戦後はPTSDに悩まされたため、年単位の休学を続けた。
定期的に教材を届けに来た大鳳が精神的支柱となり、復学を遂げることとなった。

・東横桃子 初期好感度64
実地研修でスパイ組織にきた大鳳の後輩。
隠密チート。潜入捜査なら誰にも負けない。スパイ組織の中では一番ゆるい系、なのでミクさんは怖いらしい。
好感度次第では絶対にありえないタイミングで助けに来たりする。

・ジャギ
大鳳の親友。王国特務科卒業席次67位。
大鳳の助役として赴任。

・横島忠夫
大鳳の親友。王国特務科卒業席次197位。
大鳳の助役として赴任。


『大使館』
正式には「駐女権国家王国大使館」、構成員は王国の人間で任務をともにすることもあるだろう。
女権国家に来る以上リスク回避のため全員女性、今年特務科を卒業した大鳳達の同級生もいるはず。

・鹿島
・王留美
・峰津院都
大鳳の同級生。


『鍛錬場』
ギルドの近くにあるトレーニング施設。王国の大将軍だったブラッドレイやその娘がいるから、比較的王国寄り。

・ブラッドレイ
「五将の役」で活躍した五将の一人、最前線で知将かつ猛将として闘った「大将軍」
・坂本美緒
ブラッドレイの娘


『収容所』
女権国家と王国の国境にある施設で、エイルケイム精神療養院とも呼ばれている。
両国の精神を病んだ者や政治犯、思想犯が収容される。
今でこそ女権国家領だけど元は王国にあった施設。今の所長は王国の人間。
敵性の相手を捕まえたらここに抑留できる。女権国家の息もかかっているから脱獄や釈放されてしまうことも多い。
収容できる相手の人数・身分(正当性があれば)を心配する必要はない。

・麦野沈利


〈中立〉

「警邏隊」
女権国家の治安を守る組織。その構成員は概ね武人肌で義理堅く、治安を守る目的においては共闘できる相手と見ていい。

・ティアナ・ランスター
・風鳴翼
・リンネ・ベルリネッタ


「マフィア」
非合法な活動や商売に手を染めている厄介な組織、利用することもあるかも知れないけどあまり深く関わるにはリスクがある相手。
末端の構成員やフロント企業の企業舎弟まで含めれば把握しきれないほどの数がいる。
組長や執行部級には日常生活ではなかなか会わないでしょうけど、カジノなどに足を伸ばせば会えるだろう。
治安の良くない場所だけどこういう場所に情報が集まるのが常、羽目を外し過ぎない程度に遊んで情報を探ろう。

・天海春香
マフィアのボス
・如月千早
・高垣楓
・島村卯月


「ギルド関連」
生産や消費、外注依頼などに関わる根幹機関。全体としてのスタンスは中立だが、味方になりそうな、男性の権利を主張する「男性解放戦線(※味方しないと消滅します)」もいれば、その対立勢力の「FFF団」(ファック&ファック&ファック団)みたいにほぼ敵対確定なのもいる


〈敵対〉

【皇族】
割と自由奔放で大雑把に動いているけど権力は持っているから目を付けられないことが重要。
案外男性に対する警備は甘いところがあるけど、どんな人材を伏せてるか分からないから、深追いして潜入するのは危険な任務になりかねない。
しかし本人たちの脇は甘いからスパイの目標としては一番狙いどころ。

・ネロ・クラウディウス
女権国家の皇帝

・アンリエッタ
女権国家の皇女


【防諜組織】
スパイ組織の宿敵。戦闘にも諜報にも長けている面々が揃っていて、長らくスパイ組織と戦線を拮抗させている。
殺せない縛りがあるとはいえ、こちらに決め手が出ないのはとことん立ち回りが嫌らしいのが理由。
王国や女権国家の諸所に情報網や人員を張り巡らせている。

・更識楯無
防諜組織の会長。防諜組織最強。上下からの人望もある。
戦闘でも一流以上、諜報関係の力では超を付けてもいい一流。防御力は随一で戦闘でも強い。
誘惑も強力と隙がなく、即死のある拘束が最大の脅威。
文句なしの強敵。貴方が一対一で勝つ必要がある相手としては最強かもしれない。
弱点があるとすれば、暗部としての才能とキャリアに恵まれ、鬱屈したものがない。故にいい意味でも悪い意味でも余裕がある。
格下相手には油断することもあるため、それがつけ入る隙になることが多い。
それ故本当に手ごわいのは一度勝って本気にさせてからで、彼女の本質は格上、同格殺し。
非凡な分析力と立ち回りを兼ね備えていて、数段程度の実力差なら平気で5分以上の勝ち目にひっくり返して来る。
拘束技が強力なので、抜け出す方法がないとそのまま連れ去られてしまう。

・ファサリナ
防諜組織の副長格。楯無以外の構成員とは対等な関係。
娼館『快楽の花園』に勤めて防諜組織の情報収集の要を担っている。
楯無やその上司にあたる女権国家元帥への忠誠心がとても高く、体を張ってでも任務遂行しようとする傾向がある。それに計算を狂わされることもあり、敵に回すと厄介なタイプ。
身体能力も誘惑力もなべて高く、強敵。

・結月ゆかり 初期好感度107
王国特務科卒業席次1位(女権国家への忖度での首席扱い、本来は3位)。
防諜組織に所属し、王国への留学諜報をしていた若手。知性もあり、訓練も積んだ期待のホープという立ち位置。
歌を使った状態異常が得意、戦闘能力は成長途上。あの胸で色仕掛けをするだけの手管は持っている。
まだ鍛錬が煮詰まってないため、単純な戦闘の相手としては防諜組織では一番戦いやすいが、伸びしろはおそらく最大級であり、大鳳に執着しているその鬱屈が力になる。
長く争っている内に強敵に育つだろう。

・ティナ・スプラウト
防諜組織生粋の生え抜きで最年少、実はゆかりより防諜組織歴は長い。
見かけは天使みたいな顔しているが性格は割と畜生なメスガキ、基本誰の言うことも聞かないが、楯無には従っている。
王国特務科に出向留学する可能性もあったけど、却下されたらしい。
援護に適していて体力は高くないが、普通に戦っても強い。闘技場でAクラス上位。
媚薬弾を打ち込んでくる援護をしたり、直接誘惑しつつ隙あらば麻痺弾や媚薬弾を撃ってきたりする。
見かけに騙されては決していけない強敵で、怒らせると何をしてくるか分からないのが怖いところ。
シノンの援護があれば互角以上に戦える。

・雪泉
雪女の血が入っていて忍術を修めた防諜組織の構成員。
体術に加えて独特の固有能力を持っている。氷や吹雪を使った状態異常攻撃が得意。
番狂わせを起こされやすいため、注意が必要な相手。
真面目と言えば真面目で任務には忠実だが、ファサリナと違って本質的には割と自由人。トップが楯無だから従っているぐらいの感じ。

【急進派】
王国排除及び男性奴隷化の急先鋒。
極端な思想に偏った女性で構成された非合法団体。
思想的に相容れないか、男性を直ぐほつれる抱き枕ぐらいにしか思っていない連中で、話し合いの余地すらない。
捕まったら命はないと思っておいた方がいい。

【四惑】
防諜組織や急進派の背後にいると言われていて、先の大戦で因縁のある女権国家の枢軸たち。


〈その他〉
・まどか王女 初期好感度71
「四惑の禍」の戦後、在野の王族だったため無事だったので、王族に代わり王国のシンボルとなった。

・ほむら 初期好感度57
王女親衛隊長。在野の王族だったころからの旧知の仲らしく、まどか王女の名前を呼び捨てにしている。
クールで格好良く口調では冷たい印象を受けるが、大鳳のことはある程度認めてくれているらしい。

・ペンウッド
「特務科」の学校長。
大局を見ることと長期戦には誰よりも長け、彼の部隊は最も死者が少ないと言われた。
「五将の役」で活躍した五将の一人「王国無双」

・キャル 初期好感度80
大鳳の姉。
働いていた喫茶店が倒産して生活が苦しくなり、家を売った。
売り終わり次第女権国家に来る。

380 :名無しさん@狐板:2022/05/08(日) 09:30:51 ID:5duCg8Ms
《登場人物》

〈味方〉

『スパイ組織』

・大鳳
元五将の一人であるペンウッドが校長を勤め、王国の工作員・戦闘員を養成する学校である『特務科』に飛び級で幼くして入学し、優秀な成績で卒業した。
王国特務科卒業席次2位(本来は1位)
【ステータス】 ※装備込
HP 21
ATK 8
DEF 2
INT 19
【スキル】
【会心の一撃】:発動時ATKが+3、発動率3割
【精神状態】:正常
【trauma】:なし
【アイテム】
・銃剣付き制圧銃(通常装備)

・質素でしっかりしたツナギ(DEF+1)

・楯無さんのハンカチ

・ペンウッド校長の覚書
[辞書のような厚さだ。
行く先で出会うであろう人物について書いてある。困ったときに開けば、情報を得ることが出来るだろう。調査に補正。
(メタ視点では女権国家の人物に出会ったときに、尋常の手段で調査可能な範囲のみ、相手の立場などがその場で表示されます。大鳳くん自身はその場で相手の正体を察知できないこともあります。)]

・ラグジュアリースペース入場券
公衆浴場内の王族貴族も使う「ラグジュアリースペース」に入れる入場券。
皇族がいれば観察、そして可能なら接触か尾行をするといいかもしれない。

・ひみつのチラシ(娼館優待券付き)
[ファサリナから受け取った。一見普通のお店のチラシだが、実は特殊なインクにより術式が書かれた娼館「快楽の花園」のチラシ。
女性には反応せず見えもしないインクで、男性が見た時にその効果を発揮する。見た男性に娼婦による娼館の宣伝を見せる。
その宣伝は脳内で再生され、映像、声、香りまで再現され目の前で娼婦がいるようにすら感じるほど高度な物。
脳内で再生されるため現実の時間は一瞬程度で周囲に怪しまれることはない。また、一度見ると効果が薄れ、男性自身がもう一度見ようと注視しないと再生されないので、連続再生で動けなくなることもない。
チラシ自体が優待券になっており、他のチラシと区別する仕掛けも有るので複製することはできない。
優待券は料金の割引だが初利用者だと更に割り引かれる。おいしそうな相手だと無料になることも?
外から男性が来た。という情報が入ると優先的にチラシが配られることもある。]

・無外の守刀【ユニークアイテム】
[天魔の域に人のまま触れることを目指す者のためのお守りの役割を持つ小刀。心を正しく持つことで道は拓かれるだろう。恐怖への耐性が上昇し、彼我の実力差を正確に見積もりやすくなる。一部判定で補正。]

・剣豪の空鞘【ユニークアイテム】
[伝説となった歴戦の剣豪が年老いた後も持っていたと言われる鞘。持っていると、一部武人肌の女性の初期好感度が優遇される。]

【所持金】12000m

【大鳳くんメモ】
路地裏で突然襲われた。勝てて良かったけど気を付けなきゃ
あの杏子っていう子、異様に動きが良かった。とんでもない才能を感じる


・初音ミク 好感度25
大鳳の上司にしてスパイ組織の実質的指導者。
緑翠の軍姫、今では「粛清人」とも呼ばれる五将の一人。戦中は秘密兵器半分の扱いではあったらしい、
仕事の出来る可愛い後輩は好き。
実力の面ではこのなく頼りになるけど、冷徹な部分もありそうなので頼りすぎてはいけないのかも。
張り詰めた弓弦のような人、何かの拍子で切れてしまいかねない脆さと頼れば背中を押してくれるだろう力強さを感じる。
女権国家側からは男狙いで出撃したらぶつかる理不尽の権化みたいに言われているらしい。

・シノン 好感度101
大鳳の親友。王国特務科卒業席次3位(本来は2位)。
極めて成績優秀だが「四惑の禍」への学徒出陣とその後遺症で2年進級が遅れた。本来は大鳳、ジャギ、横島達の二つ上の学年。

・東横桃子 好感度64
実地研修でスパイ組織にきた大鳳の後輩。

・ジャギ
大鳳の親友。王国特務科卒業席次67位。
大鳳の助役として赴任。

・横島忠夫
大鳳の親友。王国特務科卒業席次197位。
大鳳の助役として赴任。


『大使館』
正式には「駐女権国家王国大使館」、構成員は王国の人間で任務をともにすることもあるだろう。
女権国家に来る以上リスク回避のため全員女性。男性の亡命や女性の襲撃があるため、いつも鍛錬場で鍛えている。
接触する際は部外者を連れて一緒に会いにいくとかは難しいが、基本的に大使館にいくときに後をつけられなければ問題ない。
利害は一致することも多いが、女権国家との関係性を悪化させる行為にはストップをかけられるかもしれない。

・王留美 好感度59
駐女権国家王国大使。

・鹿島 好感度59
駐女権国家王国副大使。

・峰津院都 好感度66
駐女権国家王国大使館附モブ。


『鍛錬場』
ギルドの近くにあるトレーニング施設、鍛錬や組手を行うことができる。
と言ってもほとんど女ばかりで、ときどきいる男はひたすら嫐られているだけらしい。
王国の大将軍だったブラッドレイやその娘がいるから、比較的王国寄り。ある意味治外法権で逃げ込めば割といい避難場所になる。

・ブラッドレイ
「五将の役」で活躍した五将の一人

・坂本美緒 好感度48
ブラッドレイの娘で鍛錬場受付。


『収容所』
女権国家と王国の国境にある施設で、エイルケイム精神療養院とも呼ばれている。
両国の精神を病んだ者や政治犯、思想犯が収容される。
今でこそ女権国家領だけど元は王国にあった施設。今の所長は王国の人間。
敵性の相手を捕まえたらここに抑留できる。女権国家の息もかかっているから脱獄や釈放されてしまうことも多い。
収容できる相手の人数・身分(正当性があれば)を心配する必要はない。

381 :名無しさん@狐板:2022/05/08(日) 09:31:12 ID:5duCg8Ms
〈中立〉

「警邏隊」
女権国家の治安を守る組織。その構成員は概ね武人肌で義理堅く、治安を守る目的においては共闘できる相手と見ていい。

・ティアナ・ランスター 好感度65
警邏隊隊長。

・風鳴翼 好感度69(好感度ダイス熱烈)

・リンネ・ベルリネッタ 好感度66


「マフィア」
非合法な活動や商売に手を染めている厄介な組織、利用することもあるかも知れないけどあまり深く関わるにはリスクがある相手。
末端の構成員やフロント企業の企業舎弟まで含めれば把握しきれないほどの数がいる。
組長や執行部級には日常生活ではなかなか会わないでしょうけど、カジノなどに足を伸ばせば会えるだろう。
治安の良くない場所だけどこういう場所に情報が集まるのが常、羽目を外し過ぎない程度に遊んで情報を探ろう。


「ギルド関連」
生産や消費、外注依頼などに関わる根幹機関。全体としてのスタンスは中立だが、味方になりそうな、男性の権利を主張する「男性解放戦線(※味方しないと消滅します)」もいれば、その対立勢力の「FFF団」(ファック&ファック&ファック団)みたいにほぼ敵対確定なのもいる

・アリシア・フローレンス 好感度70
ギルド受付

〔男性解放戦線〕
男性の権利を主張している団体。スパイ組織の味方になり得るだろう。

・オルガ・イツカ
男性解放戦線団長。子供に優しい。3日に1回は攫われているらしい

・ランス
男性解放戦線副団長。団長が攫われたときには団長の代行もやっている。
夢は男性優位ハーレム。

・ナツキ・スバル
男性解放戦線団員。前世やら転生やら電波なこと言ってるらしい。

・白鐘直斗 好感度32
中性的な男性解放戦線団員。

〔FFF団(ファック&ファック&ファック団)〕
男性解放戦線の対立組織。
男性を無差別に狩ってる団体。搾り殺したりはしないが、捕まったら泣くまで抱かれるらしい。

・柊シノア
FFF団団長。

・美国織莉子
FFF団副団長。

・呉キリカ
FFF団副団長。

・エーテル
FFF団団員。

・日塔奈美
FFF団団員。


〈敵対〉

【皇族】
割と自由奔放で大雑把に動いているけど権力は持っているから目を付けられないことが重要。
案外男性に対する警備は甘いところがあるけど、どんな人材を伏せてるか分からないから、深追いして潜入するのは危険な任務になりかねない。
しかし本人たちの脇は甘いからスパイの目標としては一番狙いどころ。


【防諜組織】
スパイ組織の宿敵。戦闘にも諜報にも長けている面々が揃っていて、長らくスパイ組織と戦線を拮抗させている。
殺せない縛りがあるとはいえ、こちらに決め手が出ないのはとことん立ち回りが嫌らしいのが理由。
王国や女権国家の諸所に情報網や人員を張り巡らせている。

・更識楯無 好感度108
防諜組織の会長。戦闘でも一流以上、諜報関係の力では超を付けてもいい一流。
防諜組織をまとめていて、上下からの人望もある。格上殺しなので、実力で上回っていても油断できない相手。
格下相手には油断することもあるようだ。
拘束技が強力なので、抜け出す方法がないとそのまま連れ去られてしまうかもしれない。

・ファサリナ 好感度88
防諜組織の副長格。楯無以外の構成員とは対等な関係。
娼館『快楽の花園』に勤めて防諜組織の情報収集の要を担っている。
楯無やその上司にあたる女権国家元帥への忠誠心がとても高く、体を張ってでも任務遂行しようとする傾向がある。それに計算を狂わされることもあり、敵に回すと厄介なタイプ。
身体能力も誘惑力もなべて高く、強敵。

・結月ゆかり 初期好感度107
王国特務科卒業席次1位(女権国家への忖度での首席扱い、本来は3位)。
防諜組織に所属し、王国への留学諜報をしていた若手。知性もあり、訓練も積んだ期待のホープという立ち位置。
歌を使った状態異常が得意、戦闘能力は成長途上。あの胸で色仕掛けをするだけの手管は持っている。
まだ鍛錬が煮詰まってないため、単純な戦闘の相手としては防諜組織では一番戦いやすいが、伸びしろはおそらく最大級であり、大鳳に執着しているその鬱屈が力になる。
長く争っている内に強敵に育つだろう。

・ティナ・スプラウト 好感度82
防諜組織生粋の生え抜きで最年少、実はゆかりより防諜組織歴は長い。
見かけは天使みたいな顔しているが性格は割と畜生なメスガキ、基本誰の言うことも聞かないが、楯無には従っている。
王国特務科に出向留学する可能性もあったけど、却下されたらしい。
援護に適していて体力は高くないが、普通に戦っても強い。闘技場でAクラス上位。

・雪泉 好感度84
雪女の血が入っていて忍術を修めた防諜組織の構成員。
体術に加えて独特の固有能力を持っている。氷や吹雪を使った状態異常攻撃が得意。
番狂わせを起こされやすいため、注意が必要な相手。
真面目と言えば真面目で任務には忠実だが、ファサリナと違って本質的には割と自由人。トップが楯無だから従っているぐらいの感じ。


【急進派】
王国排除及び男性奴隷化の急先鋒。
極端な思想に偏った女性で構成された非合法団体。
思想的に相容れないか、男性を直ぐほつれる抱き枕ぐらいにしか思っていない連中で、話し合いの余地すらない。
捕まったら命はないと思っておいた方がいい。


【四惑】
防諜組織や急進派の背後にいると言われていて、先の大戦で因縁のある女権国家の枢軸たち。


〈その他〉
・まどか王女 初期好感度71
「四惑の禍」の戦後、在野の王族だったため無事だったので王族に代わり王国のシンボルとなった。

・ほむら 初期好感度57
王女親衛隊長。在野の王族だったころからの旧知の仲らしく、まどか王女の名前を呼び捨てにしている。
クールで格好良く口調では冷たい印象を受けるが、大鳳のことはある程度認めてくれているらしい。

・ペンウッド
「特務科」の学校長。「五将の役」で活躍した五将の一人。

・キャル 初期好感度80
大鳳の姉。
働いていた喫茶店が倒産して生活が苦しくなり、家を売った。
売り終わり次第女権国家に来る。

・杏子 初期好感度61(路地裏チルドレンに概ね共有)
路地裏チルドレン。500mをあげた。
【ステータス】
HP 10
ATK5
DEF1
INT16
【稀代の天才】:挫折すると大きく成長する。上限がない。
【成長期】:伸び盛り。時間経過での成長が大きい
【ロッソファンタズマ】:発動率低、命中率50%の4回攻撃を行う。

・シリカ
路地裏チルドレン。サポートキャラ。
【退路支援】:敵の撤退を妨害または味方の撤退を成功しやすくする

382 :名無しさん@狐板:2022/05/15(日) 12:25:22 ID:qNQdTZWb
《登場人物》

〈味方〉

『スパイ組織』

・大鳳
元五将の一人であるペンウッドが校長を勤め、王国の工作員・戦闘員を養成する学校である『特務科』に飛び級で幼くして入学し、優秀な成績で卒業した。
王国特務科卒業席次2位(本来は1位)
スパイ組織正規特務員として着任。
【ステータス】 ※装備込
HP 21
ATK 8
DEF 2
INT 19

【スキル】
・会心の一撃:発動時ATKが+3、発動率3割
・精神状態】:やや消耗

【trauma】
・穢れなき純潔の束縛:アンリエッタに無意識に従属。童貞を失わない。
・女性恐怖症LV1
・キス中毒

【アイテム】
・銃剣付き制圧銃(通常装備)
・ペンウッド校長の覚書
・無外の守刀【ユニークアイテム】:戦闘外での一部判定で補正。
・剣豪の空鞘【ユニークアイテム】:持っていると、一部武人肌の女性の初期好感度が優遇される
・質素でしっかりしたツナギ:(DEF+1)
・ラグジュアリースペース入場券
・ひみつのチラシ(娼館優待券付き)
・楯無さんのハンカチ
・ひのきの棒
・勲章の刻まれた銃弾(5個)
・煙幕×2

【所有連絡先】
・銭湯で会った四人組のお姉さん
・八神はやて
・ユキカゼ・パネトーネ
・楠舞神夜
・塩見周子
・島村卯月
・天海春香

【所持金】17550m

【大鳳くんメモ】
色々皆に心配かけちゃった、これから頑張らないと
僕はスパイとしてやっていけるんだろうか


・初音ミク 好感度25
大鳳の上司にしてスパイ組織長官。
緑翠の軍姫、今では「粛清人」とも呼ばれる五将の一人。戦中は秘密兵器半分の扱いではあったらしい、
仕事の出来る可愛い後輩は好き。
実力の面ではこのなく頼りになるけど、冷徹な部分もありそうなので頼りすぎてはいけないのかも。
張り詰めた弓弦のような人、何かの拍子で切れてしまいかねない脆さと頼れば背中を押してくれるだろう力強さを感じる。
女権国家側からは男狙いで出撃したらぶつかる理不尽の権化みたいに言われているらしい。

・シノン 好感度101
大鳳の親友。王国特務科卒業席次3位(本来は2位)。
極めて成績優秀だが「四惑の禍」への学徒出陣とその後遺症で2年進級が遅れた。本来は大鳳、ジャギ、横島達の二つ上の学年。
スパイ組織正規特務員として着任。
デューク東郷を父に持つ。

・東横桃子 好感度64
実地研修でスパイ組織にきた大鳳の後輩。
スパイ組織特務専修生として着任。

・ジャギ
大鳳の親友。王国特務科卒業席次67位。
大鳳の補佐特務員として着任。

・横島忠夫
大鳳の親友。王国特務科卒業席次197位。
大鳳の補佐特務員として着任。

・モヒカンs、アミバ、ハート、デカいババアetc
学生時代のジャギ率いる不良グループの仲間達。
特務部補として着任。


『大使館』
正式には「駐女権国家王国大使館」、構成員は王国の人間で任務をともにすることもあるだろう。
女権国家に来る以上リスク回避のため全員女性。男性の亡命や女性の襲撃があるため、いつも鍛錬場で鍛えている。
接触する際は部外者を連れて一緒に会いにいくとかは難しいが、基本的に大使館にいくときに後をつけられなければ問題ない。
利害は一致することも多いが、女権国家との関係性を悪化させる行為にはストップをかけられるかもしれない。

・王留美 好感度59
駐女権国家王国大使。

・鹿島 好感度59
駐女権国家王国副大使。

・峰津院都 好感度66
駐女権国家王国大使館附モブ。


『鍛錬場』
ギルドの近くにあるトレーニング施設、鍛錬や組手を行うことができる。
と言ってもほとんど女ばかりで、ときどきいる男はひたすら嫐られているだけらしい。
王国の大将軍だったブラッドレイやその娘がいるから、比較的王国寄り。ある意味治外法権で逃げ込めば割といい避難場所になる。

・ブラッドレイ
「五将の役」で活躍した五将の一人

・坂本美緒 好感度48
ブラッドレイの娘で鍛錬場受付。


『収容所』
女権国家と王国の国境にある施設で、エイルケイム精神療養院とも呼ばれている。
両国の精神を病んだ者や政治犯、思想犯が収容される。
今でこそ女権国家領だけど元は王国にあった施設。今の所長は王国の人間。
敵性の相手を捕まえたらここに抑留できる。女権国家の息もかかっているから脱獄や釈放されてしまうことも多い。
収容できる相手の人数・身分(正当性があれば)を心配する必要はない。


『セラピーセンター』
toraumaを軽減してくれる施設。セラピーには日を跨ぐこともある。

・八神はやて 好感度92
セラピーセンター非常勤按摩師。セラピー担当。
普段は自分のマッサージ店を持っており、セラピーセンターには非常勤で雇われている。
自身が気に入った人物から紹介され、その上で自身も気に入った人物からしか仕事を受けないらしい。

・ユキカゼ・パネトーネ 好感度53
セラピー担当。獣人の村で守護騎士を務める獣人の侍。


〈中立〉

「警邏隊」
女権国家の治安を守る組織。その構成員は概ね武人肌で義理堅く、治安を守る目的においては共闘できる相手と見ていい。

・ティアナ・ランスター 好感度65
警邏隊隊長。

・風鳴翼 好感度69(好感度ダイス熱烈)
警邏隊副長。

・リンネ・ベルリネッタ 好感度66

・モブハ・モブナンデス 好感度104(好感度ダイス熱烈)
警邏隊モブ。


「マフィア」
非合法な活動や商売に手を染めている厄介な組織、利用することもあるかも知れないけどあまり深く関わるにはリスクがある相手。
末端の構成員やフロント企業の企業舎弟まで含めれば把握しきれないほどの数がいる。
組長や執行部級には日常生活ではなかなか会わないでしょうけど、カジノなどに足を伸ばせば会えるだろう。
治安の良くない場所だけどこういう場所に情報が集まるのが常、羽目を外し過ぎない程度に遊んで情報を探ろう。

〔カジノ〕
・天海春香 好感度79
見かけは若い女の人なんだけど貫禄がすごいお姉さん。

・如月千早 好感度76
スレンダーでカッコいいけど怖そうなお姉さん。東国風の博打の元締め。

・島村卯月 好感度62

・塩見周子 好感度66
カジノ初来訪時に話しかけてきた人物。恐らく初見者を勧誘する店の人物。


「ギルド関連」
生産や消費、外注依頼などに関わる根幹機関。全体としてのスタンスは中立だが、味方になりそうな、男性の権利を主張する「男性解放戦線(※味方しないと消滅します)」もいれば、その対立勢力の「FFF団」(ファック&ファック&ファック団)みたいにほぼ敵対確定なのもいる

・アリシア・フローレンス 好感度70
ギルド受付

〔男性解放戦線〕
男性の権利を主張している団体。スパイ組織の味方になり得るだろう。

・オルガ・イツカ
男性解放戦線団長。子供に優しい。3日に1回は攫われているらしい

・ランス
男性解放戦線副団長。団長が攫われたときには団長の代行もやっている。
夢は男性優位ハーレム。

・ナツキ・スバル
男性解放戦線団員。前世やら転生やら電波なこと言ってるらしい。

・白鐘直斗 好感度32
中性的な男性解放戦線団員。

〔FFF団(ファック&ファック&ファック団)〕
男性解放戦線の対立組織。
男性を無差別に狩ってる団体。搾り殺したりはしないが、捕まったら泣くまで抱かれるらしい。

・柊シノア
FFF団団長。

・美国織莉子
FFF団副団長。

・呉キリカ
FFF団副団長。

・エーテル
FFF団団員。

・日塔奈美
FFF団団員。


「闘技場」
・音無小鳥
闘技場受付兼選手C級2位

・アンチョビ
闘技場選手C級1位

・アチャ子
闘技場選手S級5位

・台場カノン
闘技場選手B級4位

・楠舞神夜 好感度46
闘技場選手A級3位。綺麗でいろいろとおっきなお姉さん。


383 :名無しさん@狐板:2022/05/15(日) 12:25:40 ID:qNQdTZWb
〈敵対〉

【皇族】
割と自由奔放で大雑把に動いているけど権力は持っているから目を付けられないことが重要。
案外男性に対する警備は甘いところがあるけど、どんな人材を伏せてるか分からないから、深追いして潜入するのは危険な任務になりかねない。
しかし本人たちの脇は甘いからスパイの目標としては一番狙いどころ。

・ネロ・クラウディウス
女権国家「皇帝」

・アンリエッタ・ド・トリステイン 好感度51
女権国家「皇女」

・シエスタ 好感度47
皇室付きメイド長

・ベルファスト 好感度81
皇室付き副メイド長

・忍野扇 好感度38
宮廷道化師


【防諜組織】
スパイ組織の宿敵。戦闘にも諜報にも長けている面々が揃っていて、長らくスパイ組織と戦線を拮抗させている。
殺せない縛りがあるとはいえ、こちらに決め手が出ないのはとことん立ち回りが嫌らしいのが理由。
王国や女権国家の諸所に情報網や人員を張り巡らせている。

・更識楯無 好感度108(好感度ダイス熱烈)
防諜組織の会長。戦闘でも一流以上、諜報関係の力では超を付けてもいい一流。
防諜組織をまとめていて、上下からの人望もある。格上殺しなので、実力で上回っていても油断できない相手。
格下相手には油断することもあるようだ。
拘束技が強力なので、抜け出す方法がないとそのまま連れ去られてしまうかもしれない。

・ファサリナ 好感度88
防諜組織の副長格。楯無以外の構成員とは対等な関係。
娼館『快楽の花園』に勤めて防諜組織の情報収集の要を担っている。
楯無やその上司にあたる女権国家元帥への忠誠心がとても高く、体を張ってでも任務遂行しようとする傾向がある。それに計算を狂わされることもあり、敵に回すと厄介なタイプ。
身体能力も誘惑力もなべて高く、強敵。

・結月ゆかり 初期好感度107
王国特務科卒業席次1位(女権国家への忖度での首席扱い、本来は3位)。
防諜組織に所属し、王国への留学諜報をしていた若手。知性もあり、訓練も積んだ期待のホープという立ち位置。
歌を使った状態異常が得意、戦闘能力は成長途上。あの胸で色仕掛けをするだけの手管は持っている。
まだ鍛錬が煮詰まってないため、単純な戦闘の相手としては防諜組織では一番戦いやすいが、伸びしろはおそらく最大級であり、大鳳に執着しているその鬱屈が力になる。
長く争っている内に強敵に育つだろう。

・ティナ・スプラウト 好感度82
防諜組織生粋の生え抜きで最年少、実はゆかりより防諜組織歴は長い。
見かけは天使みたいな顔しているが性格は割と畜生なメスガキ、基本誰の言うことも聞かないが、楯無には従っている。
王国特務科に出向留学する可能性もあったけど、却下されたらしい。
援護に適していて体力は高くないが、普通に戦っても強い。闘技場でAクラス上位。
スパイ組織本部襲撃の際、ミクに捕まり現在収容所にいる。

・雪泉 好感度84
雪女の血が入っていて忍術を修めた防諜組織の構成員。
体術に加えて独特の固有能力を持っている。氷や吹雪を使った状態異常攻撃が得意。
番狂わせを起こされやすいため、注意が必要な相手。
真面目と言えば真面目で任務には忠実だが、ファサリナと違って本質的には割と自由人。トップが楯無だから従っているぐらいの感じ。


【急進派】
王国排除及び男性奴隷化の急先鋒。
極端な思想に偏った女性で構成された非合法団体。
思想的に相容れないか、男性を直ぐほつれる抱き枕ぐらいにしか思っていない連中で、話し合いの余地すらない。
捕まったら命はないと思っておいた方がいい。

・朝倉涼子 好感度80(好感度ダイス熱烈)
反王国【急進派】総長

・風浦可符香 好感度-42
反王国【急進派】副長

・かくれ奈 好感度-23
反王国【急進派】モブ


【四惑】
防諜組織や急進派の背後にいると言われていて、先の大戦で因縁のある女権国家の枢軸たち。


〈その他〉
・まどか王女 初期好感度71
「四惑の禍」の戦後、在野の王族だったため無事だったので王族に代わり王国のシンボルとなった。

・ほむら 初期好感度57
王女親衛隊長。在野の王族だったころからの旧知の仲らしく、まどか王女の名前を呼び捨てにしている。
クールで格好良く口調では冷たい印象を受けるが、大鳳のことはある程度認めてくれているらしい。

・ペンウッド
「特務科」の学校長。「五将の役」で活躍した五将の一人。

・デューク東郷
「五将の役」で活躍した五将の一人。通称「ゴルゴ13」。
特殊戦闘のエース。シノンの父親。

・キャル 初期好感度80
大鳳の姉。
働いていた喫茶店が倒産して生活が苦しくなり、家を売った。
売り終わり次第女権国家に来る。

・杏子 初期好感度61(路地裏チルドレンに概ね共有)
路地裏チルドレン。500mをあげた。
【ステータス】
HP 10
ATK5
DEF1
INT16
【稀代の天才】:挫折すると大きく成長する。上限がない。
【成長期】:伸び盛り。時間経過での成長が大きい
【ロッソファンタズマ】:発動率低、命中率50%の4回攻撃を行う。

・シリカ
路地裏チルドレン。サポートキャラ。
【退路支援】:敵の撤退を妨害または味方の撤退を成功しやすくする


384 :名無しさん@狐板:2022/05/15(日) 14:36:27 ID:a9qfKiKS

     ┏┓                                                    ┏┓
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       ┃                   ルーレット配当表 (MaxBET:5000m)                  ┃
       ┃                                                    ┃
       ┃              ○, ●, 01〜18, 19〜36, 偶数, 奇数                  ┃
       ┃                        (×2)                             ┃
       ┃                                                    ┃
       ┃            01〜12, 13〜24, 25〜36, 3n, 3n-1, 3n-2                ┃
       ┃                        (×3)                             ┃
       ┃                                                    ┃
       ┃ ┌─────────┐ ┌─────────┐ ┌─────────┐ ┃
       ┃ │     1 点 賭 け     │ │     2 点 賭 け     │ │     3 点 賭 け     │ ┃
       ┃ │  ┬──┬──┬  │ │  ┬──┬──┬  │ │  ┬──┏━━┓  │ ┃
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       ┃ │  ┼──┴──┴  │ │  ┼──┴──┴  │ │  ┼──┗☆━┛  │ ┃
       ┃ │    ( × 3 6 )    │ │    ( × 1 8 )    │ │    ( × 1 2 )    │ ┃
       ┃ └─────────┘ └─────────┘ └─────────┘ ┃
       ┃ ┌─────────┐ ┌─────────┐ ┌─────────┐ ┃
       ┃ │     4 点 賭 け     │ │     6 点 賭 け     │ │     4 点 賭 け     │ ┃
       ┃ │  ┏━━┯━━┓  │ │  ┏━━┯━━┓  │ │  ┏━━┯━━┓  │ ┃
       ┃ │  ┃○03│●06┃  │ │  ┃○03│●06┃  │ │  ┃    │○03┃  │ ┃
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       ┃ │  │○01│●04│  │ │  ┃○01│●04┃  │ │  ┃    │○01┃  │ ┃
       ┃ │  ┼──┴──┴  │ │  ┗━━☆━━┛  │ │  ┗━━☆━━┛  │ ┃
       ┃ │     ( × 9 )     │ │     ( × 6 )     │ │     ( × 8 )     │ ┃
       ┃ └─────────┘ └─────────┘ └─────────┘ ┃
       ┃             ※ 1〜6点賭けはMax2000m (計5箇所までBET可能)             ┃
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 ┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬───┐
 │    │○03│●06│○09│○12│●15│○18│○21│●24│○27│○30│●33│○36│←3n  │
 │    ├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼───┤
 │×00│●02│○05│●08│●11│○14│●17│●20│○23│●26│●29│○32│●35│←3n-1│
 │    ├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼───┤
 │    │○01│●04│○07│●10│●13│○16│○19│●22│○25│●28│●31│○34│←3n-2│
 └──┼──┴──┴──┴──┼──┴──┴──┴──┼──┴──┴──┴──┼───┘
       │       01 〜 12       │       13 〜 24       │       25 〜 36       │
       ├─────┬─────┼─────┬─────┼─────┬─────┤
       │  19〜36  │  偶  数  │    ○    │    ●    │  奇  数  │  01〜18  │
       └─────┴─────┴─────┴─────┴─────┴─────┘

385 :名無しさん@狐板:2022/05/15(日) 20:02:55 ID:B48ehDOd
すごい

386 :名無しさん@狐板:2022/05/19(木) 22:21:36 ID:4wLgfrF/

1-B
幻惑玉 レア度☆☆☆  買値7500m 売値3000m

敵味方が幻影を見る。INT判定なし8割で逃走可も好感度と依存度に上昇判定 
失敗時は相手の誘惑判定にプラス補正
幻惑・誘惑・魅惑。結局のところ全部逆レでは?

4-C
高級酒 レア度 ☆☆ 基本買値 3000m 売値1500m

ちょっと贅沢をしたいときのお酒。
シックな雰囲気になれるかも。
シックな雰囲気になった後は、シックな行為に及ばれることもやぶさかではなくなくなくなくなくない。

4-B
純粋高級蒸留酒スピリット レア度 ☆☆☆ 基本買値 7500m 売値3500m

高級で上品な味わいながらとても強いお酒。普段から飲みなれている人じゃないと悪酔いしてしまうかも。
物語の貴族が意中の人に贈る時、よく出てくるお酒。
度数が大変高い。
火を付ければ燃える。焼け木杭にも火が付く。
火がないところにも煙が立つ。特に男女の間には。


10-C
クールタイムドリンク レア度 ☆☆  基本買値 1000m 売値 500m

昂りを強制的に静める魔法薬。飲むと心身共に冷やされる。平常時に飲むと冷静になり
誘惑等に強くなる。興奮や発情などの際に飲むとそれを軽減。
強力な薬だが、その分他の薬と同時に使えず一度に一本しか使えない。強制的に冷やすために
神経も少し鈍りINTが1〜5減少する副作用がある。また、興奮状態などはあくまで抑えるのみで
治療するわけではないので、効果が切れるまで治まらなければぶり返すので注意。

頭はクール、心はホットに。飲み過ぎて倒れたら暖めてもらうしかないね。

11-B 
レア度☆☆☆
基本買値8000m 売値4000m
【アイテム】理力の刃
【内容】ある職人によって製作された特殊な刃。 元々の切れ味もなかなかだが、更にある特性を持つ。
それは、所持する人間の一定の精神力をある時間犠牲にすることで、その精神力ぶんだけ鋭さを高めるというもの。
ただしどれだけを代償にするかの取り扱いは難しく、魔法的な習熟がなければ、必ず一定量以上の精神の消耗を求められるだろう。
ATK+4、INT−3、ある程度のターン経過で色々な判定やや悪化

摩耗した状態で負けると嗜虐をそそってしまうかも知れない。

心を削ってまで必死で闘って負けて、涙目になっているショタ。
ごちそうですね。

89‐B
レア度☆☆☆
基本買値12000m 売値7000m

【アイテム】百合の波動砲
【内容】
実際の男性器に極力似せた外見のペニスバンドだが、装着者の女性の女陰部に取り付き、
装着者の興奮時、絶頂時に先端部から愛液もしくは潮を放出する機能を持つ
より高価なものになってくると、形状の特殊性だけでなく、
 放出する愛液自体に付加効果を持たせたり、別の液体に変換させたりするものもある
……粘度や色合を変える事は無論、媚薬効果の付随も、”モノ”によっては不可能ではない

キミを女の子にしてしまえば百合だよね。



387 :名無しさん@狐板:2022/05/23(月) 22:41:47 ID:xIG1KGPf
《登場人物》

〈味方〉

『スパイ組織』

・大鳳
元五将の一人であるペンウッドが校長を勤め、王国の工作員・戦闘員を養成する学校である『特務科』に飛び級で幼くして入学し、優秀な成績で卒業した。
王国特務科卒業席次2位(本来は1位)。学園での戦闘実技はかなりの成績だった。
スパイ組織正規特務員として着任。
【ステータス】 ※装備込
HP 21
ATK 8
DEF 2
INT 19

【スキル】
・会心の一撃:発動時ATKが+3、発動率3割

【精神状態】:普通ぐらい

【trauma】
・穢れなき純潔の束縛
・女性恐怖症LV1
・キス中毒

【アイテム】
・銃剣付き制圧銃(通常装備)
・ペンウッド校長の覚書
・無外の守刀【ユニークアイテム】:戦闘外での一部判定で補正。
・剣豪の空鞘【ユニークアイテム】:持っていると、一部武人肌の女性の初期好感度が優遇される
・質素でしっかりしたツナギ:(DEF+1)
・ラグジュアリースペース入場券
・ひみつのチラシ(娼館優待券付き)
・楯無さんのハンカチ
・ひのきの棒
・勲章の刻まれた銃弾(5個)
・煙幕×2
・安酒
・高級酒
・幻惑玉

【所有連絡先】
・公衆浴場のお姉さんたち
・八神はやて
・ユキカゼ・パネトーネ
・楠舞神夜
・塩見周子
・島村卯月
・天海春香
・シエスタ
・ベルファスト
・皇室付きモブメイド
・那月ちゃん

【所持金】8050m

【大鳳くんメモ】
女権国家生活が始まったよ!
そろそろ名誉挽回しないと。ミクさんが怖いかもしれない

・初音ミク 好感度25
大鳳の上司にしてスパイ組織長官。
緑翠の軍姫、今では「粛清人」とも呼ばれる五将の一人。戦中は秘密兵器半分の扱いではあったらしい、
仕事の出来る可愛い後輩は好き。
実力の面ではこのなく頼りになるけど、冷徹な部分もありそうなので頼りすぎてはいけないのかも。
張り詰めた弓弦のような人、何かの拍子で切れてしまいかねない脆さと頼れば背中を押してくれるだろう力強さを感じる。
女権国家側からは男狙いで出撃したらぶつかる理不尽の権化みたいに言われているらしい。

・シノン 好感度101
大鳳の親友。王国特務科卒業席次3位(本来は2位)。
極めて成績優秀だが「四惑の禍」への学徒出陣とその後遺症で2年進級が遅れた。本来は大鳳、ジャギ、横島達の二つ上の学年。
スパイ組織正規特務員として着任。
デューク東郷を父に持つ。

・東横桃子 好感度66
実地研修でスパイ組織にきた大鳳の後輩。
スパイ組織特務専修生として着任。

・ジャギ
大鳳の親友。王国特務科卒業席次67位。
大鳳の補佐特務員として着任。

・横島忠夫
大鳳の親友。王国特務科卒業席次197位。
学園での実技成績 57
大鳳の補佐特務員として着任。

・モヒカンs、アミバ、ハート、デカいババアetc
学生時代のジャギ率いる不良グループの仲間達。
特務部補として着任。


『大使館』
正式には「駐女権国家王国大使館」、構成員は王国の人間で任務をともにすることもあるだろう。
女権国家に来る以上リスク回避のため全員女性。男性の亡命や女性の襲撃があるため、いつも鍛錬場で鍛えている。
接触する際は部外者を連れて一緒に会いにいくとかは難しいが、基本的に大使館にいくときに後をつけられなければ問題ない。
利害は一致することも多いが、女権国家との関係性を悪化させる行為にはストップをかけられるかもしれない。

・王留美 好感度59
駐女権国家王国大使。

・鹿島 好感度59
駐女権国家王国副大使。

・峰津院都 好感度66
駐女権国家王国大使館附モブ。


『鍛錬場』
ギルドの近くにあるトレーニング施設、鍛錬や組手を行うことができる。
と言ってもほとんど女ばかりで、ときどきいる男はひたすら嫐られているだけらしい。
王国の大将軍だったブラッドレイやその娘がいるから、比較的王国寄り。ある意味治外法権で逃げ込めば割といい避難場所になる。

・ブラッドレイ
「五将の役」で活躍した五将の一人

・坂本美緒 好感度48
ブラッドレイの娘で鍛錬場受付。


『収容所』
女権国家と王国の国境にある施設で、エイルケイム精神療養院とも呼ばれている。
両国の精神を病んだ者や政治犯、思想犯が収容される。
今でこそ女権国家領だけど元は王国にあった施設。周辺の地域は元々国境に近くて両国の人間が混じっている。
今の所長は王国の人間。
敵性の相手を捕まえたらここに抑留できる。女権国家の息もかかっているから脱獄や釈放されてしまうことも多い。
収容できる相手の人数・身分(正当性があれば)を心配する必要はない。

・麦野沈利 好感度67
収容所所長。王国寄りの人間。

・フレンダ=セイヴェルン 好感度38
収容所職員。元々女権国家寄りの人間。
麦野への懐き具合は31。
脱走させて欲しい人物がいる場合、フレンダに賄賂か体で払うと脱走させてくれるらしい。


『セラピーセンター』
toraumaを軽減してくれる施設。セラピーには日を跨ぐこともある。

・八神はやて 好感度92
セラピーセンター非常勤按摩師。セラピー担当。
普段は自分のマッサージ店を持っており、セラピーセンターには非常勤で雇われている。
自身が気に入った人物から紹介され、その上で自身も気に入った人物からしか仕事を受けないらしい。

・ユキカゼ・パネトーネ 好感度53
セラピー担当。獣人の村で守護騎士を務める獣人の侍。


〈中立〉

「警邏隊」
女権国家の治安を守る組織。その構成員は概ね武人肌で義理堅く、治安を守る目的においては共闘できる相手と見ていい。

・ティアナ・ランスター 好感度65
警邏隊隊長。

・風鳴翼 好感度69(好感度ダイス熱烈)
警邏隊副長。

・リンネ・ベルリネッタ 好感度66

・モブハ・モブナンデス 好感度104(好感度ダイス熱烈)
警邏隊モブ。


「マフィア」
非合法な活動や商売に手を染めている厄介な組織、利用することもあるかも知れないけどあまり深く関わるにはリスクがある相手。
末端の構成員やフロント企業の企業舎弟まで含めれば把握しきれないほどの数がいる。
組長や執行部級には日常生活ではなかなか会わないでしょうけど、カジノなどに足を伸ばせば会えるだろう。
治安の良くない場所だけどこういう場所に情報が集まるのが常、羽目を外し過ぎない程度に遊んで情報を探ろう。

〔カジノ〕
・天海春香 好感度79
見かけは若い女の人なんだけど貫禄がすごいお姉さん。

・如月千早 好感度76
スレンダーでカッコいいけど怖そうなお姉さん。東国風の博打の元締め。

・島村卯月 好感度62

・塩見周子 好感度82
カジノ初来訪時に話しかけてきた人物。恐らく初見者を勧誘する店の人物。


「ギルド関連」
生産や消費、外注依頼などに関わる根幹機関。全体としてのスタンスは中立だが、味方になりそうな、男性の権利を主張する「男性解放戦線(※味方しないと消滅します)」もいれば、その対立勢力の「FFF団」(ファック&ファック&ファック団)みたいにほぼ敵対確定なのもいる

・アリシア・フローレンス 好感度70
ギルド受付

〔男性解放戦線〕
男性の権利を主張している団体。スパイ組織の味方になり得るだろう。

・オルガ・イツカ
男性解放戦線団長。子供に優しい。3日に1回は攫われているらしい

・ランス
男性解放戦線副団長。団長が攫われたときには団長の代行もやっている。
夢は男性優位ハーレム。

・ナツキ・スバル
男性解放戦線団員。前世やら転生やら電波なこと言ってるらしい。

・白鐘直斗 好感度32
中性的な男性解放戦線団員。

〔FFF団(ファック&ファック&ファック団)〕
男性解放戦線の対立組織。
男性を無差別に狩ってる団体。搾り殺したりはしないが、捕まったら泣くまで抱かれるらしい。

・柊シノア
FFF団団長。

・美国織莉子
FFF団副団長。

・呉キリカ
FFF団副団長。

・エーテル
FFF団団員。

・日塔奈美
FFF団団員。


「闘技場」
・音無小鳥
闘技場受付兼選手C級2位

・アンチョビ
闘技場選手C級1位

・アチャ子
闘技場選手S級5位

・台場カノン
闘技場選手B級4位

・楠舞神夜 好感度46
闘技場選手A級3位。綺麗でいろいろとおっきなお姉さん。


388 :名無しさん@狐板:2022/05/23(月) 22:44:03 ID:xIG1KGPf
〈敵対〉

【皇族】
割と自由奔放で大雑把に動いているけど権力は持っているから目を付けられないことが重要。
案外男性に対する警備は甘いところがあるけど、どんな人材を伏せてるか分からないから、深追いして潜入するのは危険な任務になりかねない。
しかし本人たちの脇は甘いからスパイの目標としては一番狙いどころ。
天覧試合のある催し物や、観劇にはよく訪れるらしい。一部女権国家の上層部に接することもあるらしい。
四惑は皇族二人の直接の命令指揮系統にはいないようだ。

・ネロ・クラウディウス
女権国家「皇帝」

・アンリエッタ・ド・トリステイン 好感度51
女権国家「皇女」。
公務の他には市井を回っていることが多いらしい。
何かの目的のために研究中らしい。

・シエスタ 好感度33
皇室付きメイド長。皇室の総務を取り仕切っている。
可愛い子が好きで皇女様と趣味が一致している。

・ベルファスト 好感度82
皇室付き副メイド長。身のこなしに隙が無く、皇女様の護衛と命令による特務(諜報や特殊戦闘などを含む幅広い職務)が仕事。
メイドの中で一番強いらしい。
あまり他人に興味がないらしくそっけない態度が多いが、何故か大鳳には執心している。

・忍野扇 好感度38
宮廷道化師。道化師にあるべく、何でも好きなように直言することを許されている。
先の戦争の末期に雇われたらしい。

・モブメイド 好感度48


【防諜組織】
スパイ組織の宿敵。戦闘にも諜報にも長けている面々が揃っていて、長らくスパイ組織と戦線を拮抗させている。
殺せない縛りがあるとはいえ、こちらに決め手が出ないのはとことん立ち回りが嫌らしいのが理由。
王国や女権国家の諸所に情報網や人員を張り巡らせている。

・更識楯無 好感度108(好感度ダイス熱烈)
防諜組織の会長。戦闘でも一流以上、諜報関係の力では超を付けてもいい一流。
防諜組織をまとめていて、上下からの人望もある。格上殺しなので、実力で上回っていても油断できない相手。
格下相手には油断することもあるようだ。
拘束技が強力なので、抜け出す方法がないとそのまま連れ去られてしまうかもしれない。

・ファサリナ 好感度88
防諜組織の副長格。楯無以外の構成員とは対等な関係。
娼館『快楽の花園』に勤めて防諜組織の情報収集の要を担っている。
楯無やその上司にあたる女権国家元帥への忠誠心がとても高く、体を張ってでも任務遂行しようとする傾向がある。それに計算を狂わされることもあり、敵に回すと厄介なタイプ。
身体能力も誘惑力もなべて高く、強敵。

・結月ゆかり 初期好感度107
王国特務科卒業席次1位(女権国家への忖度での首席扱い、本来は3位)。
防諜組織に所属し、王国への留学諜報をしていた若手。知性もあり、訓練も積んだ期待のホープという立ち位置。
歌を使った状態異常が得意、戦闘能力は成長途上。あの胸で色仕掛けをするだけの手管は持っている。
まだ鍛錬が煮詰まってないため、単純な戦闘の相手としては防諜組織では一番戦いやすいが、伸びしろはおそらく最大級であり、大鳳に執着しているその鬱屈が力になる。
長く争っている内に強敵に育つだろう。

・ティナ・スプラウト 好感度87
防諜組織生粋の生え抜きで最年少、実はゆかりより防諜組織歴は長い。
見かけは天使みたいな顔しているが性格は割と畜生なメスガキ、基本誰の言うことも聞かないが、楯無には従っている。
王国特務科に出向留学する可能性もあったけど、却下されたらしい。
援護に適していて体力は高くないが、普通に戦っても強い。闘技場でAクラス上位。

・雪泉 好感度84
雪女の血が入っていて忍術を修めた防諜組織の構成員。
体術に加えて独特の固有能力を持っている。氷や吹雪を使った状態異常攻撃が得意。
番狂わせを起こされやすいため、注意が必要な相手。
真面目と言えば真面目で任務には忠実だが、ファサリナと違って本質的には割と自由人。トップが楯無だから従っているぐらいの感じ。


【急進派】
王国排除及び男性奴隷化の急先鋒。
極端な思想に偏った女性で構成された非合法団体。
思想的に相容れないか、男性を直ぐほつれる抱き枕ぐらいにしか思っていない連中で、話し合いの余地すらない。
捕まったら命はないと思っておいた方がいい。
現在、総長の朝倉涼子が一目惚れした男性を探し回っているせいで、愛想を尽かした副長の風浦可符香が離反。
比較的優しく男をイジメたい派閥(総長派)と徹底的に嫐り殺したい派閥(副長派)にほぼ二分している。
両方とも活発に活動しており、少し副長派が強く、対立は強いが潰しあいにまでなっていない。

・朝倉涼子 好感度80(好感度ダイス熱烈)
反王国【急進派】総長。比較的優しく男をイジメたい派閥筆頭。
一目ぼれした男性を探しているらしい。

・風浦可符香 好感度-42
反王国【急進派】副長。男性を徹底的に嫐り殺したい派閥筆頭。
総長に愛想を尽かし離反。

・かくれ奈 好感度-23
反王国【急進派】モブ


【四惑】
防諜組織や急進派の背後にいると言われていて、先の大戦で因縁のある女権国家の枢軸たち。


〈その他〉
・まどか王女 初期好感度71
「四惑の禍」の戦後、在野の王族だったため無事だったので王族に代わり王国のシンボルとなった。

・ほむら 初期好感度57
王女親衛隊長。在野の王族だったころからの旧知の仲らしく、まどか王女の名前を呼び捨てにしている。
クールで格好良く口調では冷たい印象を受けるが、大鳳のことはある程度認めてくれているらしい。

・ペンウッド
「特務科」の学校長。「五将の役」で活躍した五将の一人。

・デューク東郷
「五将の役」で活躍した五将の一人。通称「ゴルゴ13」。
特殊戦闘のエース。シノンの父親。

・キャル 初期好感度80
大鳳の姉。
働いていた喫茶店が倒産して生活が苦しくなり、家を売った。
売り終わり次第女権国家に来る。

・杏子 初期好感度61(路地裏チルドレンに概ね共有)
路地裏チルドレン。500mをあげた。
【ステータス】
HP 10
ATK5
DEF1
INT16
【稀代の天才】:挫折すると大きく成長する。上限がない。
【成長期】:伸び盛り。時間経過での成長が大きい
【ロッソファンタズマ】:発動率低、命中率50%の4回攻撃を行う。

・シリカ
路地裏チルドレン。サポートキャラ。
【退路支援】:敵の撤退を妨害または味方の撤退を成功しやすくする

・南宮那月 好感度51
INT42。SHOP店主。
品揃えよく安全に貴重な品を買える移動商店。
女権国家の外から来たり、どこからから逃げてきた男に安全に買い物をさせてくれる。
欲しい物があったら、取り置きもできる。

389 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:45:00 ID:oSDnTyKy
 これはひどい女神転生if 怠惰界編
これは女神転生ifと女権国家のクロスSSで>>355から>>372の続きです以下の注意があります。

@閨の中で圧倒できるとかそういうわけではないし(多分)女権国家の女性なら作中以外の方法でも対処できるとは言え、女権国家の女性の天敵めいたキャラが出ます。
Aこの話に幾つかの動物の習性が出てきますが俗説なので間違っている可能性もあります。
B横島の没になった可能性の高いヒロインが合体したりして出てきます。また応募されていないヒロインとも合体しています。
C北斗神拳の設定が女権国家世界のそれとは異なるかもしれません。
D天敵となる能力持ちの特性は多分本当だと思った話を採用しただけで、実際にはそういう人はいない可能性もあります。


 エヴァの閨房で横島は大人の姿になったエヴァに嫐られていた。飽食界を踏破して以来彼女の責めはねっとりとしておりどこまでも彼を堕とし込んでくる。 彼から大量の精液を搾り取り受け止めすぎて膨らんだ腹は、
暴食の後を連想させその膨らんだ腹を見るたびに自分は貪り食われているのだという実感が強くなっていく。

 魔石とソーマで回復を終えた後、彼女がゆっくりとオーカスと戦った時に受けた古傷をなめ始める。最初に一回下を這わせられただけで快楽によって動けなくなる彼を、容赦なく何度もなめることで彼女は嫐る。
そして彼が懇願するまで本当の絶頂は与えてくれない。毎回情事の終わりは脱力感でしゃべれなくなった彼が屈服すると、『分かっているぞ』と目で伝えてきた後に、牙かあるいは秘所で彼を完全にへし折ってくる。

 彼女は血を吸った後、魔術で彼を子供に変えると、加えこまれるように対面座位に近い騎乗位を受けて、自分の胸で押しつぶされる双球と首筋からの電撃、
そしてつながった秘所から与えられる快感に全ての精と気概を絞りつくされて立てなくなった彼を見下ろしながら、エヴァが子供の姿に戻った。 少女の姿に戻った彼女は、
再び彼を騎乗位で嫐り搾り取るが、大人の時とは違った侮蔑の表情が余計に彼を昂らせる。 少女の姿に戻った彼女は尊厳が壊れた彼を心地良さげに見下ろしていたが、まじめな表情に戻り口を開いた。

「飽食界担当の私が認めるお前は次の魔界に行く資格十分だ。 どうするそろそろ挑み始めるか?」

「は、はい」

 エヴァは朦朧としながらも頷く横島を魔法で回復させると、改まった空気になり、不意に説明を始めた。

「横島、今回の魔界怠惰界は今までの魔界と、試練の内容が大きく異なる。そして公平さを持つためあまり詳しくは言えんが、怠惰界の主は今までの主とは立ち位置が違う」

 エヴァのかけてくれた魔法で頭の調子が戻った横島は彼女の言葉を必死に聞き入った。

「怠惰界の試練はどれだけ長くお前が耐えられるか。それが重要だ。そして『乗り越えられれば』強くなれる。だがそれが凄く難しい。 さらにその試練の難易度は運によって大きく左右される」

「エヴァさん、一番簡単になっても楽ではないだろうけど、仮に一番簡単な状態になったらどれくらい強くなれる?」

「そうなったとしても確実に大きく強くなれることは間違いない。だが今はお前が考えるべきことは、試練を超えるために耐えることだ。『怠惰界』の担当者は本当に試練の与え方がえげつないぞ」

 横島はエヴァを見ながら珍しいものを見た感覚を味わっていた。彼女にしては本当に歯切れが悪い。かなり言葉を選んでいるのが見て取れる。 
少し悩んだのちに横島は彼女が最低限伝えたいことだけは分かったという意味で頷くと。エヴァが少し悩むと言葉をかけてきた。

「飽食界の主として聞こう。お前は怠惰界に挑む準備はできたか?」

「できました」

 エヴァは閨で負けすぎて敬語になっている答えを満足そうに聞くと横島の傷口を再び嘗めてきた。再び襲ってくる脱力感により倒れた彼をエヴァが大人の姿になって、抱き留めると胸に顔を埋めさせてくる。
何らかの魔術で鼻でしか息をできなくされた彼は、甘い果実の様なエヴァの匂いが脳を犯し始める。古傷とかした傷口をなめられただけで立つことすら困難だった彼は動くことがつらくなった。そして、
彼女に牙を手首に突き立てられると完全に快感によって動けなくなった。首筋に来ると、自分が堕ちる感覚がした。エヴァは横島を軽いぬいぐるみの様に持つと、ドアの外に向かって声をかけた。

「アリス、準備は整った。怠惰界の試練を与えて良いぞ」

 朦朧とした意識で外を見ると、アリスがいつのまにか来ていた。彼女は普段のメイドらしい態度ではなく、何度か見せた花の様な気さくな笑みを浮かべている。 疑問を抱く横島をよそに彼女は笑いながら言う。

「それじゃあ、忠夫怠惰界の試練に移りましょうか。 シャーリー、優曇華」

 アリスが声をかけると左右から二人の美女が現れる。片方は栗毛色の髪をした美女であり、強者ゆえの余裕とおおらかさが顔に現れている。脚線美を惜しみなくさらしており男の理想を体現した様なグラマラスな姿をしている。
もう片方はピンク色の髪をした少し気弱そうにも見える女子高生の制服に似た軍服に身を包んだ少女らしい外見の女性だ。シャーロットと呼ばれた方には劣るが女権国家の女性らしい男を悦ばせるのに長けた豊満な体をしている。

 横島は三人の獲物を見るような眼を見て本能的に拙いと感じた。今までとは違う何かがあると、思い怯えて下がろうとした。だがシャーリーと呼ばれた女性に手を握られると一気に抵抗するための力が体から抜け落ちた。
 疑問がる彼をよそにシャーリーと呼ばれた女性は笑う。

「私のフルネームは、シャーロット E イェーガー そして二つ名は韋駄天ウサギ。ご馳走様の由来となった韋駄天様の力もそれなりに使えるんだ。 最もこの世界のじゃなくて女権国家の韋駄天様だけどね」

 そこまで聞いても理解できない様子の横島に彼女は言葉を続ける。

「女権国家において男は女性に食われるもの。そして君はオーカス様の庇護を外れてアリス様達の恋人となることを了承したから、もう食べられるのから逃れられないってわけだ。それじゃあいこうか、旦那様」


 敬う心はなく親愛しかない朗らかな声で彼女は横島を抱き上げた。 エヴァが『勤勉のリング』を使うと怠惰界への封印が解けた様な音が聞こえ、そこから感じられる気が横島にはひどく不吉に感じられる。
嫌な予感に身震いする彼をいつの間にか部屋に来ていたマイが意地の悪そうな笑みを浮かべながら言葉をかけてきた。

「今回は私やエヴァは怠惰界の主であるアリスの助手だから、頑張って試練を乗り越えてね。 私は堕ちても耐えきってもどっちでも良いけどね」

 そこまで言われた後、アリスが笑みを浮かべながら言葉をかけてきた。

「今回の怠惰界の試練、貴方は乗り越えられないかもしれないけど、私はそれでも構わないから。シャーリー後はお願い」

 アリスの目と声の調子を見て横島の勘がこれは拙いと告げてくる。それを考える間もなくシャーリーが豊満な胸に抱きとめるようにして、彼を抱えると駆け始めた。
 テレポートで消えるアリスと優曇華を見ながら彼はおぼろげに思った。シャーリーに運ばれること自体に何か意味があるのかも、と。




390 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:47:37 ID:oSDnTyKy
は怠惰界に入ってから景色すら朧気にしか視認できない速さで駆けていた。彼女が不意に速度を緩め彼に、周りの景色を見せ始めた。 自然と城砦が一体化したような屈強な宮殿都市が目の前にある。 
どちらかという森の奥にある魔女の館などが極限まで立派になるとこういう風になるのではないかと横島は思った。 毎度のことだが、青木師匠の巡った魔界とは全然違うと感じた。
青木師匠がいた魔界は洞窟を思わせる鉱山であり、怠惰とハザマ・イデオがみなした者たちを強制労働させる場だった。彼の思考は不意に強力な悪魔達の気配を感じたことで断ち切られる。
身構えようとする横島を、シャーリーが脱力させる手つきで彼の体中をまさぐってきた。 愛撫を受けて思考能力が落ち切った彼にシャーリーは言う。

「アリス様の意向で、監禁施設であると同時に保護施設でもある場所がどれだけ強固か見せておくようにって、言われたんだ」

 横島はそれを聞きながら周りを見回した。森も城も相当に守りに特化している。これは戦争などで攻めには一切使えない代わり、守りに戦では敵軍にとって悪夢となる類の城だ。
もしも攻めざるを得ない状態に持ち込めば敵軍の兵力を大いに削れるだろう。 森と田畑が一体化したこの様子を見れば兵糧攻めも効きづらそうだ。

 そこまで考えたところでシャーリーにつれられる形で彼は、城の中に連れていかれた。
中身は魔女などが作ったような神秘的な部分もありながら人が好む都の城めいたきらびやかな洋館の様な内装を見ながら、横島はシャーリーに連れられながら城を観察した。

『少なくとも俺を害するような魔術的なものはないか。ただ異界の中にも他の異界に転移させやすいようなほころびが意図的に作ってある。 その異界もこの世界の主の支配下の異界の様だ。一体どんな試練が待っているのか』

 彼の思考はシャーリーが不意に立ち止まった事で断ち切られた。 彼女が立ち止まったのは大廊下の途中にある大きな部屋の扉らの前だ。
 彼女は佇まいを直すと、礼儀正しく扉を開けて部屋に入り横島を地面に下した。 横島の目の前には魔界でおなじみの魔界神の像がある。 
そして横にはマイがいる。彼女に促されるままに魔界神の声にまず耳を傾けることにする。

「飽食界の突破お見事でした。私の娘達を守り通し、選んでくれたこと心から感謝します」

 いつもとは違い改まった口調には初めて見る神としての威厳があふれていた。そしてその中には無条件で人を安心させる母親の様な温かさもある。 かの像の言葉をまじめに聞くべく見つめる横島に彼女は続ける。

「人というものは本来怠け者であり、楽しいことだけをしていたい。そういう方向に流れるものも多いです。例外もいるけど、そういう願望を全く持たないものは皆無と言えるでしょう。
 そういう誘惑に抗うために必要なものすべてを取り上げられてなお、それに抗うことは容易じゃありません。この魔界ではある意味怠惰なる主によって怠惰に落とされることに貴方は抗わないといけません。 
もしもこの世界で貴方が堕ちることになっても、私や娘たちは味方として貴方の意を叶えるように動きます。これはここの主に与するための甘言ではなく、恩があるゆえの約束です。この約束を覚えた状態でなお抗えることを祈ってます」

 神綺の像の発言を聞き、横島はますます恐れと不安が大きくなった。彼女がここまで言うということはこの魔界は相当にやばい気がする。

 神綺の像が崩れ落ちると、マイが話しかけてきた。

「忠夫、今回は私はこの怠惰界の主のサポートを色々とすることになったから。オーカス様の加護を辞退したあんたにはきつい試練になると思うけど頑張ってね♪」
 
マイの楽しそうな笑みを見て嫌な予感を覚えている彼に追い打ちをかけるように、シャーリーも笑みを浮かべながら言った。

「忠夫そこまで怯えなくても大丈夫だ。試練を超えられなくても、少なくとも『お前にとっては』悪い結果にならないから」

 そこまで言うとシャーリーは笑いながら城の主人の部屋へ横島を持って行った。

 怠惰界の主人の部屋は玉座をぎりぎり庶民でも親しみが持てるくらいでありながら、王の部屋と言われても通る程度に豪華な部屋だった。何よりも趣味の良い、インテリアなどが配置が良く彼を安心させる。
玉座にかけているアリスと左右にメイド服を着て控えているユウキとランを見て彼女アリスが怠惰界の主人なのだと、理解できた。
 アリスは笑みを浮かべると横島をシャーリーから受け取り、口づけをしてきた。シャーリーから受けた愛撫で脱力の極みにあったが、アリスの口づけから舌を絡められた時点で完全に体を動かす糸が断ち切られた様な感覚になった。

 アリスは笑いながらいう。

「忠夫、改めまして怠惰界の主アリス・マーガトロイドよ。魔女としての魔性をもって貴方を堕落させしめる、じゃなかったわ。全力で試練を与えるから乗り越えてね」

アリスは言葉を終えると動けなくなった横島を抱えて、寝室にトラポートした。

 寝台に置かれた横島は辺りを見回すと、業魔殿の寝室に僅かに似た場所に自分はいると気付いた。アリスは笑いながら服を脱ぎ始める。 今まで横島は何度もアリスに閨で敗北し嫐られてきた。
だが今のアリスは見慣れてなお美しく恐ろしかった裸体さえいつもと違う。 見ていることすら危険だという直感があったのに、いつの間にか体の中に入っていた糸のせいで目をそらさず見させられた。
 そして彼女は裸体を僅かに見た後敢えてそれを切った。 横島に自らの意志で目がそらせなくなっていると知らしめるためだろう。

 アリスは敢えて裸体の後ろから見せつけた後、回り彼の前で姿を見せるとゆっくりと近づいてきた。 彼の体中を愛撫しつくし射精できない状況にさせたのは僅かな時間でそれが終わるとあっさりと、彼を飲み込んでくる。

「あ!〜…」

 強すぎる快楽に悲鳴を上げたのは一瞬で、それ以降は声すら出すのがやっとになり、最後は完全に言葉も発せなくなった。
アリスは絶えず笑いながら彼の顔を胸で覆うと、腰を密着させ亀頭を自分の奥に飲み込み母親が赤子を撫でる様な手で頭をなでながら、時に魔力を送り込み思考力を奪っていく。

 アリスの許可が出て射精した瞬間、一気に体中から力が抜け、代わりにアリスの指から出てきた魔力でできた糸が彼の中に入ってくる。 アリスは乳房に顔を埋めた彼を見下ろし彼が堕ちていく姿を魔女らしい妖艶な笑みを浮かべている。
 アリスが彼を押し倒し、決定的な何かを始めようとしたとき、ユウキが軽くアリスを小突いた。なぜ小突かれたのか疑問がるアリスに彼女は言う。

「アリスまだダメだって。試練の内容の説明もしてないし、教えてないと訓練にも何にもならないでしょ」

 ユウキの言葉を聞きアリスは初めて思い至った様な顔になり、やや与えてくる性的快感を緩めそれでも安心させる手つきで頭を撫で、脱力させながら言葉をかけてきた。

「え、ええ、そうね。ごめんなさい、忠夫。 この怠惰界の試練は私と配下達が与える怠惰に堕とそうとする快楽に耐えきること。 そして耐えきった時に貴方は多くの能力を得ることになるわ。 
ただし快楽に敗れて堕ち切った時、この世界から出られなくなるから。それが今回の試練よ。そして試練の起源は軽子坂高校の生徒たちの誰かがここに来るか、貴方が自分で怠惰な堕落を跳ねのけるかよ。後者は無理だろうから、頑張って攻略されるまで耐えてね」


391 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:49:45 ID:oSDnTyKy

 最後の言葉と共に口づけをしながらアリスは容赦なく彼に与えてくる快楽を戻した。緩急の中で一切級のない柔らかい緩しかない甘く柔らかい快感が強くなりその快感の中で射精すると、霧がかかったように意識が朦朧とした。
冬の疲れ切った時に好きなだけ眠って良い時の布団の中にいる様な感覚がしてひたすらアリスに弄ばれ続ける。このままでは拙いという意識と恐怖があったがそれすらもアリスの柔らかすぎるからだと密着している場所から抜け落ちていき、
射精の度に危機感が出ていくような感覚がする。恐怖が大きくなっていくがこの恐怖がなくなった時が自分が完全に負けた時なのではないかと彼は思った。

 アリスは自分の与える強すぎる快楽に彼が屈服していくのを笑いながら、インプであるユウキとランに指示を出し始める。 そしてシャーリーと優曇華の二人にも魔術で何らかの伝令を送る。



 ジンはリグルとの戦いを終えた後、飽食界を超えて怠惰界に来ていた。 この世界の敵たちは、基本的には寝取り趣味などはないらしく、彼らに対しては正面から挑んできている。
 トランプが舞うと現れるトランプのマークを身に着けた。女性兵士達など不思議の国を思わせる敵や、生き人形などのモンスターは妖艶で美しく、男を捕らえ連れ去っていく光景も多くみられた。 
魔法を得意とするもの、武具を得意とするものそういった兵隊たちと、切りあいを繰り広げた。クローバーの兵士たちは植物を操る他、金属や魔術で強化された棍棒を駆使してくることが多い。スペードの兵士たちは剣を持つものが最も多く、
ハルバードなど騎士が使ってくる武器を使用してくる。ダイヤの兵士たちは剣なども使うが一番は高価な使い捨ての札などを多く使ってくる。 ジンたちが一番遭遇する率が少なかったのはハートの兵士たちだ。他の兵隊の支援に訪れるか、
他の男をさらおうとしているところに遭遇したぐらいだった。彼女たちは僧侶の様であり、奇跡と似た神聖魔法を多く使ってくる。また聖騎士や僧侶が戦場で使うようなハルバードや棍棒薙刀などを使ってくる。誘惑系統の魔術に最も長けているが、
ジンを誘惑はしてこなかった。寝取り趣味のないところがこういうところにも表れている、と彼らは思った。

「ジン、この魔界も一筋縄ではいかないようですね」

 マハジオンガを唱えながら自身も剣を銃を振るう玲子が彼に声をかけてくる。

「ああ。そうだね。玲子さん」

 戦いながらジンはトランプの兵士たちの猛攻を避けてジャックランタンとジャックフロスト、そしてグリフォンとケルベルスに指示を出しながらかける。 敵を薙ぎ払い進む途中で、スペードの兵士団の中から見知った顔が現れた。

「トゥルダクさん」

 目の前の二刀流の剣を振るう髑髏姿の冥府の使いは間違いなく横島の部下だ。何度も手合わせをしたからこそ間違えるはずがない。以前よりも遥かに力を増していることがその立ち振る舞いだけで分かった。
今までの襲撃とは明らかに違い、戦う前に対話を求めている気配がする。 ジンは玲子を見ると彼女も対話に応じることに異論なし、と瞳で伝えてきた。 ジンは剣を構え、質問をした。

「俺に何か頼みたいことがあるんでしょう。なんでしょうか」

「ジン殿、我と一騎打ちをしてもらいたい。 貴殿が勝利したならこの怠惰界の攻略を我も手伝おう。最後までとは約束はできんが」

 それを聞きジンの顔色が変わった。トゥルダクは横島と共に敵が圧倒的に強い戦いを潜り抜けてきた猛者であり、ジンの仲魔達と比べれば頭一つ抜けている。しかし、彼の意図があまりにも読めない。
死神や冥府にかかわる悪魔は一部を除けば、人格者が多い。この悪魔は、慈悲深い閻魔大王の従者である以上その例外に当てはまる可能性は低いだろう。事実何度も手合わせをして、彼の性格の高潔さはジンも知るところだ。 少し悩んだスレに彼は口を開いた。

「いいでしょう受けて立ちます。 戦いが終わったら、話せる範囲で構いませんので事情の説明をお願いします」

「承知」

 そういうとトゥルダクが両手の剣を構え、ジンが流星の様にかけると彼の首を狙い切り込んだ。その一撃をトゥルダクは右腕の剣で楽にではないが防いで見せた。その瞬間ジンの顔色が変わった。

『やばい、片腕で俺の剣を受けられるか。これじゃあ、絶対に仕留められるとき以外に全力の攻撃を仕掛けたら反撃されて切られるかもしれないな』

 そう考えた瞬間、トゥルダクの左腕の一撃が彼に迫った。紙一重ではないが、決して楽にかわしたとは言えない回避を成功させると、彼は剣を構えた。

『さて、俺はスピードタイプの剣士だから、力強い二刀流使いには不利だ。二刀流は力が分散されるが、それでもあの力で切られると危ない。 何より、横島さんとも日常的に模擬戦していた彼に、騙し合いで勝つのは難しいだろうな』

 考え終わる前にトゥルダクが二刀流を振り回しながら彼に迫ってきた。 彼はとっさに剣を構え最高の速度で下がり始める。 仮にこの光景を武術の知識はあっても実践をあまり見たことがないものがみれば、奇妙すぎると思っただろう。
 明らかに熟練の剣士でありながら隙だらけで意味のない空振りを繰り返すトゥルダクに、同じく手練れの武人でありながらそれを警戒して下がるジン。 トゥルダクは空振りを繰り返しながら本当に切り込んでくる幻影すら見えるフェイントを連続して繰り返している。
ジンはユウキと同タイプの敵の意を感じ取り読みかわしながら切る剣士であるが故にそれが効きやすい。そして一手間違えれば負けるかもしれない。

 追いつかれたジンはトゥルダクより先に攻撃を仕掛けて辛うじて主導権を握りつつ、激しい圧力をかけている。 激しい攻めを見せているのは、ここで怯えたような対応をすれば、向こうに主導権を取られるという確信からだ。
 フェイントだと分かり切った上でも、飛び越えるには勇気を要する剣撃の雨をかわしながら、彼は自分からも苛烈な剣撃の雨をトゥルダクに浴びせる。

『何かがかかっている状態で、負ける可能性のある相手との一騎打ちってこんなに神経がすり減るものなんだな。多対一の戦いは短時間だけやったことがあるけど、練度が低いやつも混じっている多数より強い一人の敵との一騎打ちの方が厄介だな』

 『本当』に打ち込まれていれば、確実に重傷を負っていた一撃の幻覚に僅かに神経をこわばらせながらも彼は曲芸師の様な動きを高速でこなしながら切り込み続ける。トゥルダクの方が下がってはいるが、今敗北に向かっているのはジンの方だ。

 格上との戦いと修羅場をくぐった数で守りに長けたトゥルダクの剣技は、速攻で型をつける速さに特化したジンには相性が悪い。トゥルダクの守りに特化した二刀流の守りを崩せずジンは息を切らした。
フェイントだと分かっていても飛んでくるのではないかという気疲れと、隙を見せれば逆転の一太刀が飛んでくる重圧はかなりのものだ。 疲労から自分の速度が落ちているのではないかという疑念が僅かに浮かびかけるたびにより速く動き自分の怯懦を黙らせた。

 トゥルダクもジンの剣撃の嵐の速さと鋭さに驚嘆していた。そして、少ししくじったかもしれないとも思う。彼の目的はここでジンに成長してもらうことが一番で、二番目はその上で自分を倒し怠惰界の主を倒すのに協力させてもらうことだ。
 ジンは自分が似て非なる経験を味わった戦いを思い出しながら、それでも初めてのプレッシャーに苦しめられながらも、大きく学んでいる。 だが今回は自分が勝つ可能性が高くなってきた。

 トゥルダクが傲慢界にいた頃よりはるかに速く鋭くなった彼の斬撃をここまでうまく捌けるのは、ユウキとの訓練を何度も重ねたからに他ならない。 息を切らし始めたジンに玲子が声をかけてきた。


392 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:52:08 ID:oSDnTyKy

「ジン、欲張りすぎですよ。 ここで負けたところで全てが終わるわけじゃない。この魔界では最悪は訪れる可能性はすごく低いのだからもう少し気楽に剣を振りなさい」

 ジンはそれを聞き、時には自分以上に自分を理解しているパートナーの言葉に従い意識を切り替えようとして、目の前のトゥルダクが敢えて仕掛けてこない意思を見せていることに気づいた。
 油断を誘って不意打ちそういう類を好まぬ敵であることは嫌というほど知っている。

『彼は、俺に強くなってほしいと思っている様な節もあった。 恐らくはこの一戦で何かをつかんでほしいのか?』

 そこまで考えるとジンは風神剣を構えなおした。考えるジンに玲子の声が響く。

「ジン、得るものがなまじ大きいせいか、普段の貴方じゃなくなってますよ。土壇場まで追い込まれたときに見せるあの、危機感を持ちつつ意識してそれすら楽しむいつもの顔を見せてください。
それにここで負けても与えられるリスクはせいぜい怠惰界の攻略が困難になるだけです」

 その玲子の言葉を聞きジンの中で何かが吹っ切れた。そして玲子の言いたいことを理解する。そして彼は意識したわけではなく自然と、笑みに近い気楽な表情になっていた。

「はは、そうだった。そうだった。 所詮負けても失うものは微々たるものだ。トゥルダクさん醜態をさらしてすいませんでした。ここからはいつもの俺で一騎打ちさせてもらいます」

 そういうとジンは一気にトゥルダクに切り込んだ。思い切りの良い一撃を受けて今までより強い圧力を感じながら下がるトゥルダクは次の瞬間、僅かに驚いた。 
ジンは意図的に紙一重で反撃を防げるギリギリの隙を作りながら、切り込んできている。
トゥルダクがそれを見越して切り込んだ瞬間、彼は回避しなかった。正確に言えば、トゥルダクが本来狙った場所とは違う場所を浅く切らせて、トゥルダクのカウンターにカウンターを合わせてきた。
 ジンにも軽くはない傷がついたが、トゥルダクが受けた傷の方が重い。
 彼は後ろに下がり魔石で完全ではないものの傷を癒すと、再び切り込んできた。
 フェイントが通じなくなり、正確に言えば通じていてなお、彼の動きの掣肘と誘導ができなくなったトゥルダクは、懐に飛び込んできた彼の体術を受けつつ刀の柄で殴り返したが、
直ぐに彼に離れられてしまった。 調子に乗ったジンは様々な距離から幻覚が見えるフェイントを何度もかけてきたが、
トゥルダクは長年の経験から正確に真の一撃だけを見定めて、冷静に防ぎ、自身も真贋混じった斬撃の雨を返している。

 ジンの方が総合的にみれば能力は勝るにも関わらずトゥルダクの守りに長けた経験の高さの為に攻めきれない為に攻防は長引いた。
拳などの体術や攻撃を当てているのはジンがほとんどだが、疲労で速度が落ちれば負けることを考えると、決して有利とはいえない。 

「本当にきつい。手練れのあくまでも騙したフェイントを何度も見破られて自信が、ボロボロですよ。横島先生と日常的に手合わせしてりゃそうなるか。俺よりあの人の方が騙し合いじゃ上でしょうしね」

 軽口をたたきながらも、自然体で足に神経を集中し、トゥルダクの打ち込みをかわせるように彼は構えている。そして本当に危ない一歩手前くらいの隙を作りながらトゥルダクが切り込んでくるのを待つ。 必須ではないが数秒は休みたいと思ったが故だ。
そして本当に切り込まれたときに逆に返し技を放つためでもある。 守りに徹されている方がトゥルダクに勝てる可能性は低い。

 トゥルダクも攻めに転じることも可能だが守りに重きを置いた構えをしながら軽口を返してきた。

「自分で思っているより下手ではないぞ。我も実をいうと何度か騙されかけたり、騙されていたのも数度あった。 ただ騙された後の対処を年の功でごまかしたから気づかれなかっただけでな。
本当に騙されたときのことが未だにばれていないということは、我も化かし合いでも捨てたものではない様だ」

 そういいながら剣を滑らかに動かしながら、幾つもの剣が放たれた錯覚にジンは威圧感を覚えながら考える。 今の発言は本心だった。だがそれすらも彼を悩ませる話術でもある。  

 トゥルダクは再び剣を回しながら彼に近づいてくる。彼は悩みながら思う。

『今まで自分は、速さで敵を攪乱できていたが、こういう手数が少ないパワー型の相手は本当に厄介だ。9割以上来ないと分かっていても、万一を考えていけない時もあるし、普通の敵より遥かに疲れる。 たやすくできることじゃないが、体力が尽きる前に決めるしかない』

 決断を下したジンが一切ためらわず弾丸を思わせる踏み込みでトゥルダクに切り込んだ。

 迎え撃とうとしたトゥルダクは剣が届きあう距離の直前に、天狗を思わせるほどに速く高く飛ばれ頭上を取られると、剣の引き起こす風を感じ、即座にその風に合わせて自らの剣を受けに回す。
大きな金属音がすると即座にジンが左側に着地して離れた位置に着地する気配が感じ取れた。 彼は地に足がついた直後でさえも動きがほとんど滞らせずに渾身の一撃を放ってきた。切りあい距離が開いた瞬間に今度は彼を追いかける。
 あまりに距離を空けると思いもかけぬことをされるかもしれない。そう思うほど、玲子の助言を受けて意識を切り替えたジンは油断がならない。

 トゥルダクが動きを読み工夫を尽くしどうにかジンに追いつき、彼に何度も切り込むと大半はかわされた。彼の早すぎる斬撃を防ぎながら、トゥルダクはこの戦いで初めて、全力の攻撃を返し技以外で放った。
ジンはそれを辛うじてかわすと、笑った。おそらくは一度で良いから、達人クラスの守りから、上手程度の腕しかない攻めに転じさせるのが目的だったのだろう。彼が一撃をかわし間合いを広めた瞬間、トゥルダクは考えるより先に距離を詰めようとした。
その時ジンが逆に前に出てきて、これ以上近づけば剣の間合いでなくなる間合いを作り出した。ジンの剣に意識を集中した瞬間、トゥルダクは予想を超えた一撃を受けた。ジンがオーカスと同じく蹴りを放ってきたのだ。


393 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:53:40 ID:oSDnTyKy

 トゥルダクがその一撃を防御できたのは運でしかなかった。蹴りは隙を作りやすい。オーカスがやったような多対一で放つというのは普通は愚行の極みであり、一騎打ちなら確実に当てられるときだけなら、やっても良いかもというぐらいだ。
だが、直前のジンの動きが僅かにオーカスと似ていたから、意識の隅で万が一の可能性を考慮した為にとっさに左腕が動いた。オーカスは完全に防がれること前提でその上で、フェイントと分かっていても相手を縛れる楔を打ち込むためだった。
ジンのこの蹴りはそういう意図もあったのだろうが、確実に自分を倒そうとした一撃だ。完璧に近い受けをした後でも左腕が刹那の間とはいえしびれた。そこにジンが足を地につけたのとほぼ同時に風神剣の斬撃が飛んできた。

 受けきれずに左腕の剣を落としたトゥルダクはジンの斬撃を何度か防いだ後自分から距離を詰めてきたジンにやや強引に拳を当てて距離を、取ったもっと深い一撃を当てることも機会も多分あっただろうが、
警戒が強くなる前に確実に当てられる状態の内に一撃を見舞った。 拳の一撃を受けて、意識にそれが焼き付いたジンは当たる可能性は低くても接近戦を忌避するようになった。そしてトゥルダクは防ぎきることを放棄し、
切られたうえで一刀流になり威力の高まった一撃を彼に当てることに変化した。 距離を詰めることを今の一撃で忌避し始めた彼は守りを崩しきれずにいた。だが戦況の硬直ジンがどんどん有利になっていきながらも、
万が一の逆転の危惧は消えない状態は不意に終止符が打たれた。

 トゥルダクの視界から僅かに離れた瞬間にジンが覚悟を決めた状態になり一気に彼が切り込んだ。そしてトゥルダクは予測していなかったらしく、勝負に来たと僅かに遅れて悟った直後に一手遅れた状態で最善の対処をしながらも最後は討たれた。

 勝利した後、不可解そうな眼を向ける玲子に彼は説明した。

「お互いに読みあっていて硬直したら、賭けに出てみるのも手だと横島さんが言っていましたからね。 勝率が七割くらいと思っていたら、明らかにもっと後でもいい時に攻めてみれば意表をつけて8割くらいはいけると思いました」

 最も下手すると読まれて直ぐ負けてしまうけどと、彼はつづけた。

「今回は負けても良い戦力が一つ手に入らない程度のリスクだしやってみても良いかなと」

 倒されたトゥルダクが立ち上がり、言葉の続きを話す。

「お互いが頭の中で読みあうような戦いの図面が出来上がったような状態で敢えてそれを壊しての全力での攻めか、あそこで蹴りを受けきれればもう少し面白い盤面が続けられたかもしれんがな」

 そういいつつ、トゥルダクは結局は、執念の差が大きかったと思った。もしも自分が譲れない線を賭けていれば、即座に再起動して食らいつきあそこまで一方的な負けにはならなかったかもしれないと。 
勝っても負けても良い戦い、だがジンの方もそうだったが、彼の方が負けられない理由は強かった。トゥルダクは少し考えると口を開いた。

「貴殿らの仲魔になることはできないが、この怠惰界を踏破することに協力しよう」

 トゥルダクの言葉を聞き終えると、ジンは少しだけ気になるような様子で言葉をかけた。

「トゥルダクさん、あなたが俺たちに力を貸す理由って何ですか?」

「なぜそれを聞く?」

「横島さんは特殊な立場にいるせいか様々な干渉を良くも悪くも受けています。でも俺は、飛びぬけて強いという自覚はあるけど、ここで訓練を受ける道を選んだ軽子坂の生徒たちとあまり変わらないと思います。
今まで特殊な干渉を受けた生徒はいなかったはず。怠惰界だから、怠惰にさせようとしているとも考えたけど、それなら立ち会う理由がないでしょう」

 そのジンの問いにトゥルダクは感嘆したような空気を出し、答えた。

「ありていに言ってしまえば、ここの怠惰界の主、正確に言えばその主の横島殿に対する愛し方が我は気に入らない」

「それだけですか?」

「それだけだ。 私にとっては主君たるマイ殿よりも好感を持っている上司に対して籠に入れようとしている。 もっと言えば主人を護る番犬であり猟犬でもある存在を愛玩犬にしようとしている」

「そこまで気に入らないんですね」

「ああ。愛の形はそれぞれ。だが我の基準ではあの愛し方はあまり感心しない。それを見越したのか我が主君はこの怠惰界に限っては他のサマナーに味方しても良いと言ってくれた。
『我の同僚』であるジャックフロストとジャックランタンも私と同意見だが、怠惰界の主にも情が移っているからか、中立になったがな」

「分かりました。 協力しましょう利害は一致しています。彼が堕ちてしまったら、東京を護る戦力も大ダウンですし。
そうなったら、せっかく家族仲良く過ごしせるようになった玲子さんの家庭がまた離散とか起こるかもしれませんし」

「やはり惚れた女の為にがむしゃらに頑張る男は見ていて美しいし、気持ち良いものだ。だからこそ、過保護すぎる女権国家の女にも困ったものと思うのだがな」

 後半の口調は棘があったが宣言した通り相手を嫌っているのではなく、相手の所業に怒っているだけの様に見えた。 トゥルダクは柔らかい声音に戻るといった。

「中盤辺りにもう一人協力者がいる。 その人物はすごく強い。ただ実力が足りないと少ししごかれるかもしれん」

ジンはその言葉に頷くと、怠惰界を歩み始めた。


 アリスの城にとらわれた横島はひたすらに甘い快楽を与えられて脳がぐずぐずに溶かされていた。 多分一時的とはいえ、マイから譲られて魔女であるアリスの使い魔と化したインプのユウキとランも彼を容赦なく嫐る。

 ユウキとランが容赦なく彼の分身を胸に埋め尽くし視認できなくし、アリスが彼を糸で無理やり倒れさせずにいる。 射精の度にことさら聞こえるように嗤う二人の顔を見させられながら横島は意思力が一気に削られていく感覚を味わった。

 アリスが不意に呪文を唱えると彼を成人の形態に戻し、彼の胸板で自分の乳房を潰しながら腰を激しく密着させ動かしてくる。 口づけを受けてどんどん欠けた何かを埋めるものを無理やり流し込まれる彼に口づけをやめると彼女は、
少しだけ顔をだけを離し体をくっつける。柔らかくみだらな彼女の体のせいで何も考えられない彼を見下ろし彼女は心底楽しそうに笑う。

「忠夫、女性閨ごとばかりしていたら、弱くなっちゃうって心配しているでしょう。大丈夫よ。 まじめに鍛錬するよりは少し劣るけど、いつでも貴方の体を戻すことはできるから。
 人形の魔女である私は英雄の語り手で劇による再現者。 あなたの前世の力を再現する魔力を送っているから」


394 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:54:53 ID:oSDnTyKy

 笑うアリスにユウキが言う。

「忠夫、でも横島家の当主としてそれでいいの〜? 前世の再現ってことは君は一生ベッドの中では惨めすぎるペットとして一生を終えることになるんだよ〜。 こんな風に」

 射精した、横島から離れたアリスは彼を後ろから抑えユウキとランの前に差し出す。申し合わせたように二人の足が彼に分身を嫐ろうとする。
だが嫐られるより先に、二人の足があまりに上手く刺激してきたために彼は二人の足を真っ白に染めてしまった。

「ははは! 忠夫ごめん。こんなに君がベッドの中で弱いなんて、あるいは足でしごかれて興奮する変態だったなんて予想外過ぎたよ。 ご先祖様たちが泣いているよ。でもまだ良いかな? 
一応お尻で一番強く勃起するよりは足の裏の方が人間らしいかも。猿から猿以下の変態人間への進化おめでとう!」

 ユウキの心底楽しそうな嘲笑のこもった言葉に対して男として一矢報いようとした瞬間、アリスが彼の口を口でふさいできた。

 口づけで再び脱力状態に落ちた彼を子供に戻すとアリスは言う。

「ユウキが言い過ぎて、ごめんなさいね。主人である魔女として謝るわ。もっと気持ちよくしてあげるから少し待っていて」

 アリスが横島の体に光でできた糸を流し込み、横島は人形の様に動きながらユウキを組み伏せた。 体制こそ男性優位だが、何度も彼女が達するより先に射精を繰り返し、ユウキは笑いながら言う。

「忠夫まだ、僕イけてないよ。男として勝てなくてもせめて相手を満足させようよ」

 逃げかけた彼の腰を後ろから叩き、無理やり奥に分身を加えこみながら彼女が言う。倒れた彼を見下ろしながらユウキは言う。

「一度達することができたし、弱い者いじめしてもしょうがないから、しばらく休んでいいよ」

 アリスの糸からマグネタイトを補給され、回復したところにランが覆いかぶさってきた。子供となった彼の顔を胸で包み込みながら彼女は言う。

「妹がごめんなさい。ユウは昔から貴方を好きになるほど、ベッドの中では意地悪になる悪癖があるんです。でも最初は心が痛いでしょうけど、その後の私やアリス様との性交が癖になり、最後は悦びしか感じなくなりますからご安心を」

 ランの説明を聞き顔を赤くしたユウキは横島の視界が胸で完全に防がれているのを見てほっとした。



 ランに何度か抱き込まれるような形で精液を搾り取られた後、アリスとユウキとランが三人がかりで彼の分身を愛撫し始めた。アリスの手が亀頭を撫でユウキが玉袋を揉みしだきランが竿の部分を撫でまわす。
射精の度にそれぞれが位置を交代し、彼に飽きをこさせない。 途中から寸止めを繰り返され、それが終わるとアリスが再び騎乗位をしてきた。
揺れる胸の揺れを見せつけて、絞った後。 背面騎乗位に切り替えた。そして尻を見せつける様な形で絞りながら彼女は言う。

「やはりまだ乳房よりお尻の方が大きくなってしまうみたいね。 エヴァも助けられて嬉しかったせいかやりすぎたわ」

 そのアリスの言葉をユウキが笑いながら否定した。彼女が足の裏を見せると彼の分身が余計に強く反応し始める。

「それは違うよエヴァさんのせいじゃない。忠夫は屈辱的な性行為が好きすぎる変態だから。今僕の足を見て大きくなったから、足に一番興奮するようにするしかないんじゃない?そうすれば足の裏を見る機会は少ないから対面は守れるよ」

 笑顔で男の尊厳を二重の意味で踏みつけてくるユウキによって分身が激しく硬くなることに情けなさを覚える彼をアリスが抱き留めて、甘やかすように再び搾り取りながら言う。

「ユウキそれくらいにしておきなさい。忠夫、恥ずかしくて嫌?」

 男としての対面上、横島は頷いた。本心ではなかったが、そこまで嫌というわけでもない。ただあざけられると悦んでいる自分がいるのが何となく悔しいと思うところもまだある。 誘導された答えにアリスは笑いながら言う。

「それじゃあ、エヴァと違って本格的に人間に戻る治療に移りましょうか」

 そういった直後に、アリスは離れるとまだ固い彼の分身を乳房で分身が挟んだ。アリスの胸の与える快楽に悶える彼をアリスは自分の胸から出る亀頭をなめ始める。みっともなさすぎるほどに悶える彼をアリスは愛おしそうに見ている。
しばらく嫐りぬいた後アリスの狙い定めたような舌が彼の分身の急所を突くと、一気に彼の意識が砕け散った。とてつもない量の精液をアリスが飲み下しアリスの魔力が大きくなっていく。その状態の横島にランが優しく忠告に入る。

「忠夫さん、あなたが出せば出すほど、この怠惰界の敵は強くなっていくから救助が遅れてしまいますよ。もしかしたら、難易度が上がって軽子坂高校の生徒たちが心折れてしまうかも」

「今自分を助けようとしている相手の足を引っ張ると聞いて興奮したね。 女性の部位より屈辱感と背徳感が一番なんだね。君は」

 本来男性優位の奉仕である口淫をされながらもひたすらアリスの人形の様に好きな時に射精させられ女性に勝てないという意識がどんどんと募っていくのを彼女は達は笑いながら見ていた。




 ジンと玲子は無数のトランプの兵隊たちを切り払い疾風の様に駆けていた。トゥルダクが加わったことで信じられないほどに戦力が上昇している。正確に言えば、トゥルダクが加われば、総合的にみれば戦力が上がるとは思っていたが、
ここまであっさりと彼がなじみ見事な連携もできるとは思っていなかった。 横島の戦い方とジンの戦い方が似ているというのもあるのだろうが一番は大きいのは一度一騎打ちをしたというのが大きい。
お互いに殺す気はなくても、死んでも仕方ないぐらいの気持ちで打ち合った経験は互いを深く理解させた。この死んでも帰ってこれる軽子坂高校でなければできない方法だったとジンは思う。 だが死んでもガーディアンが憑き戻ってこられるこの状態も、
女権国家の悪魔達の前では危ない。特に怠惰界では、捕らえた男を堕落させるのを好む悪魔達が快楽で堕ちた攻略者たちを愉しみながら連れ去っていく。
巣に一度連れ去られた男は二度と戻ってこれないだろう。 トランプのスペードの女騎士が剣を構え彼に切り込み。様々な形状の棍棒を持ったクラブの女兵士たちもそれに続いてくる。



395 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:56:54 ID:oSDnTyKy
世界では殺しても大したダメージを本体に与えることはないと分かってはいてもやはり、見目麗しくそして邪悪ではない女性を攻撃することはストレスが大きいと感じながらジンは複数の敵を切り払った。
棍棒の兵士たちは棒術の棒みたいなもの以外はジンには触れられもしないと割り切ってか、剣を合わせた瞬間に太い棍棒が飛んでくる。またはジンの行動を誘導するための避けられる前提の一撃が多い。
玲子が魔法で全員を強化しトゥルダクとジンが切り払う。

 切り払われたトランプの女性兵たちは色を出すとそのまま消滅していった。 さらに大小さまざまなトランプが現れそこからハートやクラブ、ダイヤ、スペード様々な兵士たちが攻めてきた。 全ての敵を切り払い、
一番奥に到着すると今まではとは一線を隔す大きな闘気を彼らは感じ取った。 ジンはこの気配を何度も味わったことがある。自分に基礎の部分だけとはいえ、北斗神拳を伝授してきた闘神ジャギだ。 
ジンは風神剣を構え、トゥルダクと共に彼に近づくと、途端に彼が手刀で切り込んできた。風神剣で受けた瞬間、まるで剣を受けたような感覚がなり、吹き飛ばされかけた瞬間、トゥルダクが彼にジャギに切り込んでいた。 
二刀流ではなく一刀流なのは、トゥルダクの剛力をもってしても、両腕で打ち込まなければ牽制にもならないという考えからだろう。 
ジンは鉄の様に固くなったか体で、トゥルダクの剣すら受けたジャギにフェイントをかけるのはやめて一刀に全てをつぎ込んだ。 
一太刀だけならトゥルダクにも意識を割かれたジャギと互角になれる。ならその瞬間に勝負を決めればよい。 ジンの全てを駆けた一撃はジャギの腕を超えて首筋に届いた。 
勝利を確信したジンは、次の瞬間それが驚愕に変わる。ジャギは首に闘気を集中させて、剣を受けぬいた。 心折れかけながらも彼は迷わず剣を振るおうとし、そこでジャギの一撃が彼に直撃する。
 ジャギは倒れたジンを平均点よりは上だが、やや足りないと断じた教師の様な目で見下ろしながら言葉をかけてきた。

「決断力と、そして心折られない意思力は見事だ。だが想定外の事態が起きた時の立ち上がりと洞察力の低下はいただけなかったな。 俺はわざと首で受けたんじゃなくてあの時点では純粋にお前が上回っていた。 
本当はあんな受けやらずに済むのが一番なんだ。 ただその後で実力差を見せつけられて、俺が余裕で受けたと勘違いしただろ。おかげで距離を取ろうとするとすぐ読めたぞ。
 お前の癖不利な時は引く、逃げるは武人として間違っちゃいない。 死にさえしなければ次があるからな。だが、間違えればチャンスを逃しはするそれを忘れるな」

 師匠らしいジャギの言葉を聞いた後、ジンは少し悩んでから口を開いた。

「ジャギ師匠がトゥルダクさんが言っていた今回の怠惰界の協力者ですか?」

「ああ。その通りだ」

「理由を聞いても? トゥルダクさんと同じ動機ですか」

「それもあるがな、一番は横島の奴への義理だ。 長い話になるが聞くか?」

 ジンは玲子の方を見た。許可を求める視線だったが玲子は頷くだけでなく言葉も返してきた。

「私も知りたいです。 女権国家のある世界から来た方々はこちらに不義理はしていないし、隠しているというより話さなくてもいいから黙っているだけに見えます。
ですが、これからさき一緒に戦う仲間のことだし一応知っておきたいと思います」

 ジャギは少し考えると口を開いた。そして横島が傲慢界を踏破前にアリスから受けた説明と横島の立ち位置について彼らに話した。

「――。ここまでは理解できたか? でないとこれから先の話も理解できないが」

「ええ。大体わかりました。女権国家という天然サキュバス最強サキュバスの群れみたいな国家の一部の、外道がその国と離れた場所で大勢力持ってその時のこの世界の神話とかの情報が向こうに中途半端に伝わって、
こっちの世界に女の天敵がいるって認識が広まり、それで向こうの世界に女殺しの魔物が生まれて、横島さんはずっと輪廻転生の間その魔物達から好かれすぎるとやばい女性たちの盾になって、好感度上げまくってたと」

「ああ。あいつの嫁さんたちは基本的にはあいつの意に添うように動いている部分もある。だが、今回の女は魔女としての本能『男を堕落させ虜にしたい』に従って動いている。
他の女たちは、堕ちたならそれもまた良し、と考えているし本気で堕とそうとはしている。だがあの女は横島に対して過保護なところがあった。
そして理性が強いから女殺しの魔物との戦いのときはあいつをしまってしまいたいのを我慢していたが、オーカスとの戦いであいつが重傷を負ったのがきっかけで、
甘やかしつくして堕落させたいという魔女の本能が爆発しちまったらしい」

「それはまた」

「女殺しの魔物の活動が殆どなくなる休息期に横島を堕落させるような遊びをあいつらはやっていたが、その際の伝承が広まった際の分霊を取り込んでかなりガチになっているな。
あの女の思うとおりになるとこの世界にも愛着や義理ができている横島の奴にはろくな結末にならん。ぶち壊すとしよう」

「分かりました」

「それと俺は今回は道中は手伝わん。ただボスの部屋までついたら俺に全部任せて構わねぇぞ」

 ジャギの言葉に頷くと彼はそのまま駆けだした。その彼の後ろに向けてジャギは言う。

「別にそこまで急がなくても良いぞ。まあ、一回ゲームオーバーになるかもしれないが、あいつならどうにかなる」

「は、はい」

 ジャギの言葉に若干の疑問を抱きながらもジンは先に進むことにした。


 横島はあれから何度も様々な状態で性行為で搾り取られた後、自分が意識を失ったことに気づいた。 そして気が付くと自分の体が、小学生くらいまで若返らせられていた。
その横島の近くに恐らくは前世の自分をモデルに作られたと一目でわかる人形があった。見れば見るほど、その人形は高性能だと自分の中の観察眼が告げてきている。それを見終わる前に、人形の横に立ったアリスが言う。

「これから荒事等はこの子がするから貴方はただ怠惰に快楽を貪りつくして」

 そういうとアリスが彼に口づけし、メイド衣装のユウキとランが何やら魔術を唱え始める。


 不意に彼は異界の中の異界にいることに気づいた。 目の前にはアリスを幼くしたような少女がいる。彼女は間違いなくアリスだ。そして左右にはユウキとランに加えて優曇華とシャーリーが控えている。

 アリスは子供になった横島に同じ子供の体で抱き着きながら口を開いた。


396 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:00:19 ID:oSDnTyKy
「不思議の国にようこそ、横島。ネバーランドと同じく永遠の少女の楽園で白騎士の役をこなしてね」

 アリスがそういい、世界そのものを紹介する様に手をかざした。アリスの手の先に偶然いたユウキとランは前とは違った衣装に変わっている。ユウキは少し騎士らしいスペードの刻印の入った衣装に身を包み、
ランは少しだけ騎士に近いハートの刻印の入った聖職者らしい衣装を着ている。

「やっぱりインプ形態だと主人の影響が大きいね。アリスが子供状態になったら僕達も不思議の国のトランプの兵隊よりになっちゃたし」

 そういいながらユウキはスペードのマークの付いた柔らかく心地よい生地でできた手袋の付いた手で彼の分身をしごき始める。

「ユウ、別に悪いことじゃないでしょう。主人によって能力が変わるという使い魔は便利で、色々な方法で彼を愉しませられるじゃない」

ランも同じくハートのマークの付いた手袋で彼の玉袋をやさしく揉みしだく。

「〜〜!」

 声にならない声をあげながら射精する彼を二人は笑いながら手で何度も射精させる。

「忠夫、頑張って不思議の国を踏破しないと、どんどん元の世界に帰るのが遅くなっちゃよ。 こちらの時間は向こうより早いから元の世界に帰るまでに何度絞られるか分かったものじゃないからね」

「踏破の方法については、ひたすら快感に耐えてギブアップと言わずに進んでいくことです。頑張ってくださいね♪」

 ランはユウキ以上にえげつない快感を与えながら応援する笑顔で言ってきた。

 あえぐ横島を見ながらシャーリーが笑いながら言う。

「頑張って不思議の国を踏破しよう。 一応後付けとはいえ、子供の味方になったウサギとして協力してやるから。でもその前に快楽に負けて永住したくなるのはお前の自己責任だからな」

 はつらつとした笑顔で言う、彼女の言葉に恐怖を覚えると、横でピンク色の光を放つ目を輝かせる優曇華が言う。

「正式にはまだ名乗っていませんでしたね。私は、鈴仙・優曇華院・イナバ。気軽に優曇華と読んでください。女権国家の不思議の国の三日月ウサギが変わったものです。できれば永遠に子供のまま、お茶会のつまみであり続けてくれることを願います」

 怪しく美しい輝きを見せる、彼女の瞳に恐怖を覚える中、シャーリーが笑いながら言った。

「正式な名前は名乗ったけど、私の由来は言ってなかったな。 私は女権国家の不思議の国のアリスに出てくる白ウサギが元ネタだったんだ。
 アリス様が子供たちに食料とか提供する際にこの飢えた子供たちの為に不思議の国のアリスのウサギみたいに走って食料を運ぶようにと言われて、使われるうちに韋駄天ウサギになったんだ。 
これから嫁さんたちが、貴方を『食べたい』と思った時によく顔を合わせることになるかもね」

 不思議の国のアリスは女権国家にもあったらしい。怯えながら下がろうとする彼を彼女は笑いながらつかんだ。

「それじゃあ、次の食べられる場所に行こうか。 大丈夫不思議の国の出口にも近づくから」





 ジンは怠惰界の半分近くを踏破したと感覚で理解できた。途中で出てくる大半の敵を切り払い、何度も苦戦しながらも彼らは多くの敵を薙ぎ払った。多くの敵を切り払い、
小休止に入る時、偶然近くで休む形になったトゥルダクがこれ幸いという様子で、小声で彼に声をかけてきた。

「ジン殿、そろそろ私は離脱するかもしれません。怠惰界の最後まではお供できそうにない」

 それを聞くとジンは無言で頷いた。 トゥルダクは足手まといにはなっていない。むしろ主力といってよい。だがその上でこの発言は彼が犠牲にならないと駄目な様な道があるのだろう。

 ジンは周囲を見ながら警戒しつつ走った。もうすぐで何か恐るべきことが起こる。そう思った直後に長い廊下の向こうに大きな気配を感じた。

 ジンは努めて雰囲気を変えない様に気を付けながら戸を開けた。トゥルダクがあそこまで小さい声で言ってきたということは、気づかれないことが重要なのだろう。気づかれたら彼を無駄死にさせてしまうかもしれない。

 ドアを蹴破るとそこには横島の人形があった。だが何度も手合わせしたことのあるジンは一瞬で、これは今生の横島を模して作ったものではないと気づいた。 風神剣を構える、彼に自衛以外では戦闘に参加していなかったジャギの言葉が響いた。

「何個前か忘れちまったがアリスが正妻だった前世だな。多分だがアリスを正妻にした最初か二回目だったはず」

 それを聞き終わると、ジンは風神剣を構えた。霊波刀などを強化する類の文字の刻まれた刃のない剣の柄。あれは間違いなく、横島の霊波刀を強化する類のものだ。そして両方に穴が開いているということは双刃刀としても使用可能なのだろう。 
ジンは状況を分析し、かなり不利であることに気づいた。この人形は普通に戦った時ですら手強い。だがかつビジョンが見えないわけでもない。 しかし、ここは守りに長けた魔女の領域であり、かなりの量の魔力の供給をこの人形は受けている。
しかも前世の横島の全盛期ということは今の横島より霊波刀を具現化する速度なども速いだろう。 いきなり双刃刀に切り替えられたり、様々な事態を想定して動かなければならない。
幸いにしてこちらが一定の距離に行かなければ仕掛けてはこない様だ。風神剣を前に出してかけようとしたところで、ジャギから助言が響いた。

「今言ったが、それはアリスが正妻になった忠夫の前世を再現した人形だ。その時の横島は一つを極めようとする感じじゃなくて、一流や、一流一歩手前の二流という形で少しでも多くの畑の技を学び、アリスに合わせる支援を考えていた。 
それでアリスの旦那となってからは自分の幾つもある前世の技を再現しまくって、アリスを護っていた。 速さ型によった万能型だ、体術と剣と魔術だけは、一流の中でも上手い方だったな。 あとは一流の中では下手な方とか、一流一歩手前の二流どまりだった。
あくまでも素の技術は、そうだってだけで、前世で英雄となった時の再現をアリスの術でしたときは再現率はそれなりだったぞ」


397 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:01:31 ID:oSDnTyKy

 そこまで聞き終えると、ジンはトゥルダクと二人で駆けだした。仲魔達に自分か赤根沢玲子の指示があるまでは、守りに徹し援護などはしない様に命じ、横島人形にゆっくりと近づいていく。
 仲間同士で庇いあい補いあう戦いの形で入ってしまえば、いきなり仲魔が脱落すると形が崩れてしまう。そして、この人形はある程度安全を確保してからでないと、本来足手まといではない程度に実力が劣る仲魔すら即殺されてしまいかねない。
 玲子に敵の手の内が見えてかつ、実力が劣る仲魔も死なない程度に戦況が硬直するか、隙が出来たら援護の開始を求める旨を視線で伝え彼は距離を縮めだした。 ジンは人形の動きを観察し読みあい始めてから、槍の間合いの辺りで、自分が突かれる姿を幻視した。
 身構えていなければ刺される、という確信を覚えた。大げさに防いでいたら他の手で切られていた、という確信がある。

 ジンは長い柄を見ながら恐らくあれは様々な武器に具現化できるのだろうと、確信しながら足に全神経を集中させた。 決断を固めたジンに、トゥルダクが叫ぶ。

「ジン殿、我と戦った時に玲子殿から助言をもらった時と同じ心持で戦えばよろしい。そしてあなたの戦い方から色々と学ばせてもらった故、忠義の示し方も定まりました」

 そういうとトゥルダクは二刀流を構えた。フェイントなどをしないのは、完全に騙し合いでは目の前の人形に勝てないと割り切り、全ての神経を返し技に徹すると決めたからだろう。

 ジンは読みあいをしばしした後、不意に決断を下し速攻で切り込んだ。彼でもめったに見せない程の速度の一撃を、横島の人形は日本刀に似た霊波刀を柄から具現化させて受け止めた。 
トゥルダクが即座に二刀流を構え、援護に入り二人係で切り込むと彼は一瞬でジンとかれ横島の人形との舞踏に混ざった。 ジンは知らないことだが、ここからの戦いは天狗を相棒に横島が二人係で彼の前世の一つと戦った時と大分似た形になっている。

 横島の人形はとの戦いは彼らにとって困難極まった。この人形は横島の前世のデータから作られているためか、錯覚を見せるほどにフェイントをすごく上手く使い、さらには握られている、
霊波刀の具現力を高める柄のもう片方の方からも霊波刀を出して双刃刀として刃を振るったり、あるいは横島の人形の使う剣めがけて剣を振るった際に、不意に刃を消すなどして彼らを大いに混乱させた。
そして、ジンはかつてないほど荒々しく打ちかかり、何度も剣撃の乱舞を繰り返しながらトゥルダクが自分と共闘した理由を理解した。

『なるほどな。こりゃトゥルダクさんもこういう人形がいることが分かっていたら、俺みたいなのと組まないと勝てんと断ずるな』

 横島とトゥルダクは純粋な剣の稽古でも横島の方が勝率が高いという。その理由はトゥルダクの剣は速さではジンより劣り、横島相手にも劣る。だが圧倒的な膂力と先読みで相手の攻めを崩す剣技に長けている。
速さではジンよりやや劣ってもフェイントと読みあいで勝ちやすい、横島には崩されやすいのだ。逆にジンは横島から吸収しているとは言え、生粋の速さのおかげでフェイントを磨く必要がなかった。
だからトゥルダクには読まれやすく、速さ自慢の剣を合わされやすいから、トゥルダクが勝ちやすい。しかし、横島相手には若干速さで勝っており、速さ任せで手数で圧倒する戦いになれているため、フェイントを潰しながら打ちかかれるため勝ち目がある。


 トゥルダクは本当に必要な時にだけ重い斬撃を放つ。そして放つ必要がないときは牽制を繰り返し横島の人形にプレッシャーをかけている。 そして彼の行動で横島の人形は万一を考えて動いているため、ジンが悪手を打った時に致命傷になることもない。 
ジンは横島人形に拳を打ち込んだ直後にしまったと思った。霊気を込めて生物を殺すより、単純な物質破壊の方が人形には効果的だ。 失策を悔いた次の瞬間、横島人形が彼に拳を返してきた。そしてそれを受けた時、ジンの顔色が変わった。人形の拳は魔力が霊気や気を込めた一撃とほとんど変わらない拳だった。

『なんだこりゃ。 本気でやばい威力だ。 だが気を込めた拳を打ったてことは、人間がこういう拳を打った時と同じくらい隙ができるはずだ。なにせこの人形の本質は【英雄の動きの再現】なんだからな』

 手首の先からだけでも上手く振るえば風神剣の切れ味はすさまじい。 横島の人形の首か肩を切ろうとしたら、案の定人形は多少無理をしてでもそれをかわしに移った。 
そしてその隙をつきジンが魔石を使った直後、トゥルダクが不意に二刀流の片方の剣を捨てて一刀流になり、横島の人形に切り込んだ。 横島の人形は即座にそれを受けて鍔迫り合いになった。  硬直状態になった直後トゥルダクが叫んだ。

「ジン殿、今のうちに先に進め!」

 それを聞くとジンは即座に頷いた。

「玲子さん今のうちに通り抜けるぞ」

 玲子もその言葉に頷き即座に通り過ぎた。

 ジンたちが奥に進む通路に行くとトゥルダクはその通路の前に立って正眼にやや近い、返し技重視の構えをとった。

「こうなればそちらから攻めざるをえまい。 我は返し技に関しては最高峰の剣士だ。普通の勝負ならまだしも、そちらが攻めに固定されれば勝つことも不可能ではない」

 横島の人形はいら立ちもなにもせず霊波刀を構え、凄まじい量のフェイントを織り交ぜた攻撃を嵐の様に仕掛けてきたが、トゥルダクは守りに徹せる状況から何度か軽い傷を受けつつ守り切った。
向こうがこちらを倒しジンたちを追わなければならない状態。そして時間の制限、時と地の利が味方になったことで横島の人形に勝てる。


 トゥルダクと別れたジンは無数のサキュバスやトランプの魔物や妖狐、天狗、魔女、人形などを相手取りながら、あの横島の人形が来ても有利に戦える地形、玲子の魔法でごり押しできる場所に来ると一旦、休みジャギの方を見ると問いかけた。

「ジャギ師匠、トゥルダクさんは勝てると思いますか?」

「勝負はいつだって決着がつくまではわからねぇよ。ただ負けの可能性よりは、勝ちか相打ちの方が大きいと思う。 横島の奴は女尽流(めしんりゅう)なんていう流派を立ち上げただけに、基本的には相棒の女に合わせて強くなったケースが多い。
あれはアリスという色々な人形を使う彼女に合わせられるように器用貧乏を極めた前世だ」

「それならあのまま袋叩きを狙えば簡単ではないけど勝てましたかね?」

「難しいと思うぞ。あの前世の特技は相手に合わせることと守りの戦いだから、自分から事態を主導するのと攻めは若干下手なんだ。だから、あのトゥルダクの判断の方が正しい。向こうに対処させる方向で行ってしまうと、こっちの動きに合わせて対処されて逆に負けていたかもしれない」

 ジャギは手を貸さないといったが、アドバイスを求めるとそっちに関しては直ぐに答えてくれた。 ジンは少し考えたのちに進む方を選んだ。 トゥルダクが負けたか勝ったかはわからないが、どちらにしろ彼は義理を果たしてくれた。もしかしたら決戦が長引いたら合流してくれるかもしれない程度に思っておいた方が良いだろう。


398 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:02:59 ID:oSDnTyKy
ジンが去ったあと、トゥルダクは本気で攻勢をかけてきた横島の人形の剣を捌きぬいていた。一刀流になったことで、重すぎる一撃を放てることで逆にフェイントの効果が上がる部分もある。
オーカスとの戦いで学んだことが存分に活きていた。横島の人形の剣を何度も受ける。防がれた回数が一定になった時、横島の人形は不意に霊波刀を構えるとジンが最速の一撃を放つときに似た構えをとった。 
横島の人形はそのままジンの最速の一撃に僅かに届かぬ、速さの一撃を彼に放ってきた。 本来は予測できてなお、敵に重傷を負わせる返し技は不可能な一撃だ。
トゥルダクは守りを捨てて相打ち狙いですらない一撃を放った。命を絶たせて骨を切るそれくらいの交換をするその一撃は彼の計算を崩す。 トゥルダクは自身が致命傷を負いながらも人形が崩れ落ちかけるのを見て内心で笑う。

『これで良い。この人形もここまで壊れれば修理に時間がかかろう。 あるいは壊れるかもしれない。修理されずともこのまま彼らを追うかもしれないが、その場合はそこまで脅威ではない』

 自分が消滅する可能性も考慮しながらも、トゥルダクは笑った。自分が消滅するよりは『今』のアリスに横島を委ねる方が嫌だという思いが強い。
この人形くらいの物はそう多くない。難所は多いが、ボスの元にたどり着けないほどの脅威はもうないだろう。
 トゥルダクは自分の深手を見ながら考える。

『大体回収して再生してもらえる可能性は2割くらいか。 まあ、この戦いも女権国家に放送されて記録されるなら我が種族の底上げにはつながるだろうが』




 時間はさかのぼりトゥルダク達が横島の前世の人形と戦い始める前、横島は不思議の国で多くの女性に弄ばれ尽くされながら、最後の最深部らしき場所に来ていた。
 彼は途中で鏡の国のアリスを思わせる様な場面にも出くわし、アリスに白騎士として自分を護ってと言われて、赤騎士と化した夢子と滑稽な決闘をさせられた。

「それでは一度でも、私を達せさせることができたら貴方の勝ちということで」

 そういった彼女に押し倒され何度も瞬殺され絞り出させられてしまい意識が何度も飛んでしまい。それを見て笑うアリスとマイ。

「白騎士様は毎回一方的に負けて滑稽ですね。一度達せさせるまで何回負けるか数えましょうか」

「赤騎士様が強すぎるとしてもあれはさすがに、演技だよね。あんなに早く行っちゃうなんてかわいそうだもん」

 子どもの姿になったアリスは口調もいつもの淑女らしい口調から子供らしい口調に変わっており、その罵る声が余計に彼を興奮させる。夢子は笑いながら彼を絞りながら言う。

「守るべきレディに醜態をこき下ろされて、逆に分身が固くなっておりますよ。彼は」

 夢子は直ぐに達せさせることができるのにそれを敢えて待ちながらアリスとマイが最高の侮蔑しきった嘲笑を浮かべるまで待った。

「「きゃははー」」

 二人の笑い声によって起こった興奮に合わせるように彼女は横島を絶頂に導く。強すぎる快感に破れた瞬間に彼女自身も達することで余計に強く搾り取り建てなくなった彼を抱きしめながら言う。

「女権国家の女性に勝てないのは当たり前ですから恥ずかしがらなくて良いのですよ。マイもアリスも貴方を無様だ滑稽だとは思っても嫌いにはなってませんから」

 夢子の奉仕めいた女性優位の性交で、ここにずっといたいという意思が強くなるが辛うじて耐えきり彼は進む決断をした。 進もうとする彼は自分の中の大事な何かが鋭い剣で切り刻まれたような快感の余韻がむしばんでくる。
その後、彼は不思議の国の裁判で色欲の為に大功をなしたのに美化されすぎとして有罪を受けて、アリス達への奉仕の刑を受けた。

 今鏡の前で彼はトランプのマークを付けた女性たちや優曇華やシャーリというウサギなどの不思議の国の住人の女性たちに嫐られている。 
ユウキとランはアリスと共に彼のベッドの中での敗北をけなしながら時々嫐る中に参加してくる。 優曇華とシャーリーが笑いながら言う。

「私たちはウサギだから後ろから攻められるのが好きなんだが、忠夫ではもう無理だ。マゾとして目覚めるのが早すぎて、男性優位の体位では起たなくなっちゃたしな」

 シャーリーの言葉に優曇華が笑いながら言う。

「アリス様の糸で動かしてもらえば行けるんじゃない? マゾに対するサービスも私がするから」

 アリスの指から延びる光でできた糸が体に入ってきた後に、優曇華の瞳が光り途端に彼は違和感を覚えた。シャーリーを後ろから攻め立てながら彼は違和感を覚えた。後背位という攻める体位なのに自分が女性優位で嫐られているような感覚を覚えた。

「優曇華は三日月ウサギだから人の波長を操れるのよ。だから体位に対してだけ、貴方の認識を変えたのよ。変態マゾ騎士さん」

 シャーリーにそういわれて、横島は何度も達した。アリスはそれを見ながら妖艶で恐ろしい子供の笑みでいう。

「大丈夫よ。貴方が望むなら何度でも何の負担もなく私の糸で動かしてあげる。そしてすべての権限を私に譲って。その時に最高の快楽だけの場所に連れていってあげるから」

 アリスが糸を抜くと強すぎる快楽と脱力感で完崩れ落ちかけた彼を今度はシャーリーと交代した優曇華が嫐り始める。シャーリーはひたすら速度で屈服させて来る夜の攻めだが。彼女の場合は横島の気を操り、
達することができないようにしながら波長を操り一番恥ずかしいと感じていた時にその一目で絶頂を強めたりした。

「ああー!」

 シャーリーにしたのと同じように後背位で出して倒れた彼を見下ろしながらアリスが言う。

「忠夫、確か貴方の家は色事で名をはせた女悪魔を閨で屈服させた、家だったわよね。その術、男性優位の体位で使用する術だから効果が落ちていたのよね? それじゃあ、シャーリーと優曇華も後背位が好きらしいし使ってみる?」

「そ、それは」

 横島の声音には拒否の割合が強く含まれていた。 破られたら後がないというのもあるが、これは本当に非道なことをやった女性悪魔などを屈服させて隷属させる閨の魔術だから
、もしも彼女たちが壊れたら嫌だという気持ちもある。むしろ彼が拒否しているのは、後者の理由の方が強い。横島の心情を正確に読み取ったここにいる女性達は笑みを浮かべた。


399 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:05:17 ID:oSDnTyKy

「それじゃあ、糸を使って私が操るからまずはユウキとランにやってみましょうか。二人ならもともと仲魔だし、私から一時的に貴方が主人に移るだけでしょう」

 そういわれて、優曇華とシャーリーがまるで圧勝したスポーツ選手みたいな足取りで、自分から離れた後、ユウキに同じく後背位でやった瞬間、先に絶頂し。
その瞬間体の中の大事な何かが快感でちぎられた音が聞こえた気がした。 それを見てアリスがわざとらしく手を打つ。

「そういえば、この世界にも呪い返しや術返しがあったわね。 女性をベッドで屈服させて隷属させる魔術なら、逆に負けたら自分が隷属させられちゃうわね。 しかも私の使い魔に負けちゃったら、使い魔の使い魔まで落ちちゃうか」

 そしてそのあとユウキに男性優位の体位でその魔術を使うと自分の方が閨で負けた感覚がしてその射精と同時に一気に大切なものが砕け散った感覚がした。
ユウキは逃げようとする横島を抱え込みながら笑い、両手両足で彼を拘束し何度も搾り取る。ユウキは一切動かず横島の好きにさせ、あるいは両方動きが止まった時でも彼は自然に射精させられる。

 射精する横島を糸で操り、ユウキに何回も負けた彼が使い魔の様に変わったのを見てアリスが妖艶な冷笑を浮かべながら口を開いた。

「これだけハンデを上げてこの結果。これじゃあダメね。他のろくでもない女性の物にされない様に女権国家の男性隷属魔術をかけて上げるのが貴方のためだわ。『嫌なら』直ぐ解いてあげるから安心して」

 そういうとアリスはユウキに横島を解放させると、敢えて子供の姿に戻り横島に騎乗し彼が壊れかけるほどの快感を送り込んでくる。 子供になったアリスは大人の時と違う快感を送ってくるだけではなく、
与えてくる快感での嫐り方が大人の時より容赦なく堕としに来ている感じがする。ペットを容赦なくしつける様な鞭を思わせる強すぎる快感で彼が射精し動けなくなると、敢えて幼女の姿で嘲笑の声を聴かせながら、
アリスは達するたびに魔術を唱えた。その度に射精と同時に大量の霊力が消費され、他の何かで補われてていく。そしてそれを何度か繰り返したのち、横島は再び子供の姿に戻された。 逆にアリスは大人の姿になる。

 彼女は丁度胸元の辺りに頭が来るようにした彼を抱き留め、体の中に入れた糸で操り自分に奉仕させながら言う。 子供の時とは逆に甘すぎる蜜を思わせる快感が今まで以上に鮮明に彼にしみこんでくる。

「あなたの体に貴方の前世の英雄譚やそれを題材にした私の人形劇で広まった信仰が産んだマグネタイトを入れているわ。いつ現実に戻っても腕は鈍らない。だから気が済むまで、この怠惰界でひたすら快楽だけを貪り続けて」

 射精の度に脳が壊れ朦朧とする彼は、アリスの乳首に吸い付いたことすら糸で操られたのか自分でやったのかさえわからなくなっている。 朦朧としている横島を見て妖艶な魔女の笑みを浮かべたアリスは、
不意に不機嫌な顔になった。そしてその顔とは対照的にどこまでも優しい快感を与え、横島の意識を奪うほどの射精をさせると、魔術を唱える。魔法円が描かれたのちにそこには、スペードの刻印のある衣装に身を包んだアリス・シンセシス・サーティが現れた。

「アリス様、お久しぶりです傲慢界ではありがとうございました」

「よく来てくれたわね。ありがとう、シンセシス。 今日は忠夫の護衛と快楽漬けにする係の一時的な交代をお願い。私はやらなきゃダメなことができたから」

 シンセシスは快楽でどこかに頭が行ってしまっている横島を見て、女権国家の女性特有の笑みを浮かべた後、アリスに対しては騎士らしい優雅な礼をとった。

 シンセシスが彼を抱き込み敢えてアリスと同じ様な動きで快楽を与え始めると、アリスは強すぎる快楽からくる横島の悲鳴を聞き少し名残惜しそうな表情で服を着こみ魔法陣で転移した。


 消滅しかかったトゥルダクは不意に大きな回復魔法をかけられて自分が復活したことに気づいた。そしてその相手を見て意外な思いを抱く。

「アリス殿、まさか貴女が我を助けるとは思いませんでした。 一応は私の忠義を得難いものと認めてくれてはいたと思っておりましたが」

「あなたに死なれたら、忠夫が気に病んで立派なデビルバスターのならなきゃとか思ってしまうじゃない。円満退職してもらわないと困るわ。 それにあなたの性格上もう私には剣を向けられないでしょう」

 アリスの言葉は正解だ。トゥルダクは一度命を失う状態となり救われた以上、もうアリスに剣を向けることはできない。
彼の気質では主君の妻に剣を向けるなど過ちを犯した度に一度限りのことだ。そして過ちを犯している主君の妻であろうと、命を助けられたらよほどのことがないかぎり敵対行動をとることに抵抗がある。

「正解であります。 一つ聞きますがこれからどうなさるのですか?」

「ジン君たちが怠惰界のボスの間に着いたら迎え撃つわ。そして完成品のあの人形の威力を忠夫に見てもらって、自分は怠惰界に永遠に引きこもっていても大丈夫だと分かってもらうわ」

「さようですか」

 答えながらトゥルダクは目の前のアリスを見て思う。彼女は大分魔女として本能に飲まれている。魔女にもいろいろな業を抱えた者がいるが、彼女は男を操り甘やかし自らの人形の様に保護したいと思うのが性だ。
 必要だと何度も我慢していたものがオーカス戦で横島が負傷したのと、自分を守ってくれた愛しさが爆発して抑えが効かなくなったのだろう。 彼を快楽漬けにしたことである程度は魔女としての業は落ち着いたようだ。あとは理性を呼び戻せばもとに戻るだろう。

 アリスは魔術で周囲のことを調べるとトラポートを唱えて姿を消した。多分横島の元に戻ったのだろう。トゥルダクはそれを見て、無理かもしれないが自分の主君が耐え抜いてくれることを願った。


 横島はシンセシスに何度も意識を奪われながら、途中からは自らの意思で彼女に体を委ね始めた。 シンセシスはその豊満な体で時には自分自身の動きで、時にはアリスを真似た動きで彼を嫐っていく。
僅かにアリスに届かぬ快感が彼女の再来を待ち遠しく思わせ、そしてシンセシス自身の攻めになった時の快感を倍増させる。

 シンセシスが笑いながら意識を失いかけた彼を搾り取っているところにアリスが戻ってきた。彼女は少しだけ不機嫌そうな顔で、シンセシスに指示を出した。

「軽子坂高校の生徒たち、主にジンくんがボスの部屋に到着するまで『外の時間』ではもう少しよ。 完全に堕とすために色々しなきゃダメだから。シャーリーお願い」


400 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:07:08 ID:oSDnTyKy

 それを聞くとシャーリーは楽しそうに笑った。

「アリス様久しぶりにあれやっていいんですね」

 シャーリーはそういうと横島にゆっくりと抱き着き彼を加えこんだ。横島は不意に奇妙な不安を覚えた。彼女の豊満な体がもたらす快感はすさまじいが、
自分の分身への刺激があまりにも小さく遅い感じがする。それに対してシャーリーは笑いながら言う。

「実を言うと私は『超加速』っていう術を使えるんだ。そこまで万能じゃないし制約も多いんだけどね。この異界に限っては割と使いたい放題なんだ。
それで全体の時間を早めていたけど、忠夫、お前の男性器の部分だけ解除したんだ。つまり」

 言いながら彼女はいろいろな形で腰をグラインドさせた。朦朧として理解できない彼に、さらに言葉を続ける。

「快感を溜めた後に再び超加速をかける。つまりお前の股間を同じ時間に戻すと」

 シャーリーが笑いながら楽しそうに宣言した。

「こうなるんだ。ドカーン♪」

 サプライズパーティの様な乗りの言葉の後に横島は、自分の脳が強すぎる快感で一気に壊された感覚を味わった。シャーリーは笑いながら言う。

「何回生まれ変わっても初めてこれを受けた時の忠夫の反応は面白いな。はい♪ もう一回♪」

「ぎゃー!」

 二回目でどこかに意識が飛んだ彼をアリスが抱えた。

「シャーリー、ご苦労様。これで彼の精神的な防御力は吹き飛んだからここから追い込みの本番と行きましょう」

 その言葉を聞くとシンセシスが嬉しそうな顔をしつつ、部屋に置いてあった無数のメイド服の人形を指し示しながら、アリスに娘が母に頼むような様子で言葉を口にし始めた。

「アリス様、それではこの娘達を使ってあげてください。 この娘達も忠夫様を大分気に入ったようですし、働き詰めでしたから」

「ええ。それとシンセシス。私が指定した女性達で都合がついている人は乗り気でなくても良いからここに招待して。今回の私の行いに否定的でも約束と義理で協力するくらいの人も帰さなくていいから」

「良いのですか? 他のお方々もアリス様の行いを否と思っていても、約束は守るし妨害はしないでしょう。ですが乗り気でない方が混じると妨害の意図はなくとも効率が落ちるのでは?」

 アリスは抱えた横島に口づけし、気絶した彼が電流でも流されたように痙攣した後、彼の顔を胸に埋めさせて、片方の空いている手で分身を弄り回しながら妖艶な笑みを浮かべた。
 遊郭を思わせるこの寝室が彼女の恐ろしい美しさというものが余計に映えさせている。アリスは自信に満ちた声で、シンセシスに答えた。

「彼を堕とすにはあの劇をやるのが一番だから。そして役者が乗り気でなくとも、真面目にやる意思があるなら乗り気にさせることこそ、劇団の長の腕の見せ所よ」

 アリスの言葉を聞くとシンセシスは頷き部屋を出ていった。それを見ながらアリスは楽しそうに横島を愛撫しながら人形たちに指示を出し何かの準備を始める。
人形たちの掃除などの家事を行う人形たちの動きは鮮やかだ。 舞踏すら連想させる速度で家事を行う人形たちの足元が不意に光だし、鮮やかでありながら禍々しさも僅かにある桜色の光が不意に起こり始める。
その光は強くなると足元の魔法円の光であることが分かった。
桜色の魔法円の上でアリスは呪文を唱え始める。 彼女の詠唱が終わると魔法円がより強く輝き、演劇で部隊が切り替わった時の様な気配が部屋全体に流れた。

 横島は目を空けると自分が宴の席にいることに気づいた。様々な情報が一気に流れ込んでくる。これはアリスの人形劇だ。過去にした経験から直ぐに分かった。この人形劇は自分の前世の一つ。
そして今は目の前にヴィヴィオとマイがいる。青いメイド服に身を包んだアリスと赤いメイド服に身を包んだ夢子が給仕をしている。



 アリスが人形劇を上演している部屋、この部屋は見た目からして奇妙な空間となっていた。 人形劇の舞台をそのまま大きくしたような部屋に人形劇の人形と同じ衣装に身を包んだ女性達がいる。
アリスが糸を使わずとも自然に動く人形たちはまるで、現実の彼女たちの動きと連動しているようだ。人形がこの部屋の住民の動きに合わせて動いているのか
、この部屋の住民が人形に合わせて動いているのかわからなくなるような光景の中で、ただ一人異物と思える状態になっているのは横島だ。
アリスの魔術で子供に戻された彼は他の女性達がはっきりとした意志を持ち嗜虐審に満ちた目で見ている中で、彼は朦朧として心ここにあらずといった、人形に魂を吸い取られ切った様な目をしている。その光景はまるで部隊の人形が本物の彼であり、
今この部屋の女性たちに寄り添っている彼は人形なのではと錯覚された。

 横島は自分が生を全うした後の情報すらも自分の頭の中に入ってきたことに僅かに驚きながらも、自分がいま演じさせられている事実を知らぬ人形と同じ感性になっていることに驚いた。アリスはこういうこともできるのか、そう思いながら頭の中で情報を整理する。

 これは幾つかの前世の一つで、女殺しの魔物達が身を潜め一時的な休戦状態となった後の前世だ。 自分は女権国家より遥かに悪辣だが、それをうまく隠している国の暗部をしらぬ善人たちが所属する綺麗な部署に所属して、善行を積んでいた。
この時敵国のヴィヴィオたちやマイと共闘し、女殺しの魔物を倒しその後、同盟を破った彼女達に敗れ、宮廷魔術師であるアリスの魔術で子供に戻され彼女の糸で操られていた。

 ヴィヴィオは笑いながら彼を捕らえると押し倒し容赦なく騎乗位で彼を搾り取る。横島は本当の事情を知識としては知っているにも関わらず彼を襲う、同盟破りの背徳感と屈辱感そしてそれが生み出す快感に討ち果たされた。彼は悲鳴を上げながらあえぐ。

「どうですか、貴方が所属する帝国を滅ぼす悪の女王に精を捧げる感覚は。破ったら最低の同盟破りまで私はしていたんですよ。あら事実を告げられて逆に硬くなってますね」

 ヴィヴィオが彼を絞りながら嘲笑い、天使の様に羽を出すマイが言葉を続ける。

「ヴィヴィオに精を捧げれば捧げるほど、彼女に仕える天女騎士たちは強くなるし、子供ができちゃったら貴方の仕える帝国を滅ぼす王様のパパ決定だけどどう思う?」


401 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:08:09 ID:oSDnTyKy

 この時の真相は帝国が腐敗しきり女殺しの魔物達と手を結ぶような所業に走っていた。さらに大勢力すぎて上手く隠しぬいていたために、良識的な将校たちは知らずに仕えていたものも多かった。
 この時の同盟破りの真相は帝国が大量の善人な将兵たちを意図的に人類の敵である魔物の大軍に戦死するような特効をさせようとしたことと、その部隊の中に横島がいたことが彼女たちの怒りに触れた。
それが同盟破りの帝都襲撃の真相だ。 表向きは知恵をつけた女殺しの魔物に操られた皇帝と配下達を良識派の皇族がヴィヴィオ達と共闘し討ち取った上での政権交代と歴史の書物には記されている。

 彼を搾り取りつくして満足したヴィヴィオが彼から離れるとマイが代わりに近づいてきた。騎乗位をする寸前に秘所で彼の分身を飲み込む直前の状態で彼女は言う。

「忠夫、あんたの国との同盟破棄と不意打ち奇襲作戦お告げ下したのは、聖王の国の守護神が人柱の私よ。他の神々は正々堂々でも勝てるって言ったんだけど、卑怯な方法で滅ぼした方が燃えるでしょう。最低の外道女神に精と魔力を捧げる気分はどう?」

「そ、そんなこのクソアマ、アー!」

 言葉を言い終える途中で彼の分身を秘所で包み怒りの声を上げかけた彼をマイは笑う。

「前世の時から変態だったけど、頭に上らせるべき血を下半身に全振りしてどうするの。 帝国民らしく、私をベッドの中で圧倒して雌奴隷にしてみる? こんなに早漏じゃ無理ね」

 そして次の日に彼はヴィヴィオの寝室で帝都が彼女の配下達に蹂躙されている様子をアリスの魔術で見せられながら搾り取られ続けた。

「あなたが注いだ精に含まれる霊力で今も強化されている私の配下達の働きはどうですか? 帝都が落ちるのを見ながら性行為を愉しみましょう」

「あ、ああ、だめやー! 防衛拠点のかなめが半分以上も落ちとる、本城まで遠距離の魔法弾だけとは言えもう届き始めとる」

「そういいながらも余計に硬くなってますね。 はっきり言って最低の悪の王国の女王に射精して自国を滅ぼす状態に興奮しているのでは?」

「そんなこと言わんでー?」

 嘲笑した笑い声を上げるヴィヴィオに屈服の射精をした後、宮廷魔術師のアリスと夢子が入ってきた。彼女たちはメイド服に身を包み恭しく、ヴィヴィオに頭を下げると、
アリスがヴィヴィオに耳打ちを始めた。横島には聞こえない様に最新の注意が払われており内容はこういう物だった。

『ヴィヴィオ、そろそろ正規兵たちは引き上げさせて。一部の桁外れ以外のメンバーは私の高性能人形たちだけに突入させて。 ここまでは自分たちの手駒を減らしたくない上層部の外道どもの策もあって、
外道な帝国兵と何も知らない良識派が綺麗に分かれていたけど、ここからは少し混じるから、善人たちを殺さずに勝つのは難しいでしょう。でも、私の人形たちなら善人勢相手なら壊されても捕獲だけを考えて戦えるわ』

『わかりました。それじゃあ彼から搾り取った霊力で私たちは外道な皇帝を討伐に赴きます。前からの打ち合わせの通り今回は女殺しの魔物本体はいなくて、あくまでもそれと契約して力を得た皇帝と配下だけだから、忠夫は必要ないでしょう』

 そしてヴィヴィオが悠々と闘技場で勝利した選手を思わせる様な足取りで出て行くと、アリスと夢子が交代するかの用に彼を押し倒してくる。

 アリスは彼を押し倒し笑いながら言った。

「これから貴方に精と霊力を注がれて強くなったヴィヴィオ陛下のご活躍と、貴方に精を私が頂どんどん強くなっていく人形たちの活躍ご覧ください」

 アリスが手を振ると画面が映し出され、燃え盛る帝都とそれを破壊して回る人形たちの破壊劇が見えた。離れようと思ってもアリスの体がもたらす体中が絹糸で愛撫されているような快楽が彼を動けなくしていく。夢子が彼女と時々交代し笑いながら言う。

「忠夫様、あの帝都を攻めている精兵部隊の剣は私が作った剣です。私が魔力を送れば一時的に威力が上がっていきます。そしてアリスやヴィヴィオ陛下と同じく、私も貴方から霊力をもらっています。それが何を意味するかお分かりですね」

 言い終わると同時に夢子が横島の分身をアリスと代わるように飲み込んだ。 快感を味わいながら横島はアリスが夢子と二人で彼を攻めるのを好む理由を理解した。
アリスは基本的に甘やかすように少しずつ彼を嫐っていく性行為が好きだし上手い。そして夢子は一気に切り刻むような快感を与えてくる。自分と対極の相手と組むことで彼をよりひどく快感に溺れさせられると思っているのだろう。

 その戦いが終わった後、横島はしばらくの間子供の姿でヴィヴィオに仕える給仕をやらされていた。 ヴィヴィオや配下がその気になると即座に寝室連れ込まれる。
アリスは彼が雄々しき帝国民だったころに手柄を立てた劇を開催し、その時に本気で周りに称えさせて、その信仰心などを凝縮したものを彼に注入してからヴィヴィオ達と共に彼を嫐る。
何度犯されても、帝国民だったころの意識が抜けず女性優位の性行為の恥ずかしさや背徳感に打ち負かされ続けた。


 ヴィヴィオに絞られ続けて意識が落ちて戻った時、横島は自分が人形から現実の体に戻ってきていることに気づいた。目の前ではアリスが満足そうに彼を見下ろしている。

 彼女の横には純白の羽をはためかし、彼を嫐る楽しみを堪能しつくしたマイが笑顔を浮かべている。

「忠夫、怠惰というのは色々な形態があるのよ。ただ寵愛を受け続ける仕える者としての底辺に落ちた快感はどうだった。 私たちは奴隷に落とした貴方を永遠にああ扱うけど」

「それとこの世界に来てから人形劇で得られる快感というか人形とのシンクロ率前凄かったでしょう。 前も低いわけじゃなかったけど、オーカス様の加護が消えたのと今回は私がアリスに協力しているからそうなっているの。今の気分はどう? 私たちの奴隷で居続けたくなってきているんじゃない?」

 分かっている上で聞いてきているマイの言葉が彼をすさまじく追い込んだ。ずっとあのままで居続けたいという願望が全身を貫くが横島は頷くことだけは辛うじて耐えた。アリスはそれを見ながら自分のもたらした蜜が彼を打ち負かしていることに気づき満足そうに頷くと彼女は、笑いながら言った。

「忠夫これからジン君たちをお迎えする準備をするわ。それが済んだら決戦前に一度戻ってくるから。エヴァそれまで人形劇の人形たちを操るのをお願い」

「うむ」

 簡潔に答えつつエヴァは複雑な表情をしている。彼女は今回のアリスの行動に思うところはあるものの、嗜虐心にスイッチが入ってしまい。彼を嫐りたい感情に流されているようだ。


402 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:10:44 ID:oSDnTyKy
 アリスは笑いながら不意に魔術でメイド服を着こむと横島に対して臣下の礼を取った。

「忠夫様、これからは女権国家で王となった男性の怠惰を存分にお楽しみください。次の回演劇『ジパング空至王(くうしおう)の転落』のメインヒロインとの逢瀬を大劇場と化した闘技場でお楽しみください」


 アリスが声をかけ終えると不意に、あたりの空気が歪んだ。トラポートをかけられたと思った瞬間、自分がいる場所は西洋の宮殿から和風の豪奢な寝室に移ったことが分かった。
心地よい夢見心地にさせる甘い香の匂いが周囲を見たし、目の前にはピンク色の髪をし豊和風の着物の上からでも豊満だと分かる肉体をした美女がいる。

「今生では始めまして、転生の度に貴方のお傍に侍る女権国家的な良妻狐、玉藻でございます。傾国の狐の快楽をお楽しみください。そう――男尊女卑の世界への未練が枯れ果て腐れ落ちるまで」

 最後の言葉の下りには情欲には背筋が恐怖とその妖艶さで震えるほどの艶が籠っていた。
彼女が衣服をゆっくりと見せつけるように脱ぐ姿は彼の搾り取られすぎて萎えていた分身すら再び蘇り激しくそそり立つほどだ。玉藻は笑いながら彼を押し倒し、分身を飲み込む。一つになる瞬間、
彼女の人差し指が彼の下腹部を抑えそしてその人差し指に全てを支配されているような錯覚を覚えた。分身を飲まれた瞬間、彼の意識は一気に快楽で壊れ落ちた。直ぐに射精しなければおかしい状態だが、
彼女が下腹部に充てる人差し指にそれをせき止められ、さらにはその人差し指か与えてくる快楽をより強くしてきている。どんなに懇願しても彼女が決めた時まで射精は許されないそんな確信がある。
 体の自由が奪われない中横島は必死に腰を振った。彼女を屈服させるためではない。もしかしたら射精できるかもしれないという一縷の希望に縋ってだ。

「ご主人様、お辛いのはわかりますけどぉ、今はそのときじゃあ、ありませんもう少しご辛抱を」

 子供をあやすような優しさと揶揄を込めた声に苛立ちながらも彼女の人差し指と膣が彼の下半身を完全に支配した。少し時間がたつと彼女は笑いながら指で彼の下腹部を強く推した。
その瞬間一気に全ての意識が弾けるような快感と共に射精が起こった。彼は自分がミイラの様になりかけている感覚に怯えた。ここまで早く肉体が細くなるのは初めてだったからだ。
玉藻は笑いながら彼を泣きじゃくる子供をあやす様に抱きしめながら頭をなでてきた。意識を失う彼を楽しそうに見下ろす彼女の姿を最後に彼の意識は落ちていった。


 横島は目を空けると自分の目線が低くなっていた。そして気づく自分が子供に変えられているのだと。アリスやヴィヴィオやエヴァに何度もやられた経験がそれに気づかせたが、
いつもとは違う感じがする。これは自分の前世の記憶だ。そして今、恐らくは一時的にはではあるが、自分の今生――この前世からすれば来世の記憶が一気になくなっていっている。
ここまでのことができるのもオーカスの加護を自ら断ち切ったことも影響しているのだろう。

 辺りを見回すと、自分は今和風の宮殿にいることに気づく。この建物は間違いなく、女権国家のある世界のジパングだ。木綿季と藍子に激しく嫐られた前世とはまた別の前世の様だ。 
横島は自分の腕を見て軽く驚いた。玉藻に絞られた今生と同じくらいに自分の腕がミイラに近づいていたためだ。玉藻はこの前世の自分に近づけるためにあれくらい搾り取ったのかもしれない。
そう思った直後に彼の来世の記憶が不意に流れ落ちていき、代わりに前世の記憶が流れ込んでくる。

「ご主人様おはようございまーす。 勇者としての最後のお仕事いかがでしたか?」

 玉藻にそういわれて彼は様々な記憶を思い出した。女権国家という国に落ち延びて強大な力を持った九尾の狐それを自分は倒す勇者として選ばれた。
 かの狐は女殺しの魔物の遺骸を使った儀式で自分を強化し、完全ではないがその魔物の力も取り込んでいたため前世からさんざん女殺しの魔物を狩っていた自分が勇者に選ばれたらしい。
女権国家で強化された九尾の狐は傾国の美と共にこのジパングを滅ぼしに来ていた。自分高島忠雄はかの妖怪との戦いで最後に放った一撃に霊力を込めすぎて生命力まで削られ、了承せねばならなくなっているのだ。

 そこまで思い返すと玉藻が彼の前に膳を並べ始める。

「同じ狐の面汚しの外道分霊を倒す旅に私も同行させてくださり、ありがとうございます。おかげで妖狐もそこまで肩身が狭い思いせずに済みましたしぃ、忠雄様には感謝しかありませんよ。
でもぉ女権国家時代の前世からご主人様に寄り添っている身としては今のご主人様も嫌いではありませんけどぉ、違和感がバリバリですねぇ」

「そうだろうな。俺があの九尾、羽衣狐を倒せたのも術者と武芸者としての空位に至れたのも積んだ善行と引き換えにある程度来世の生まれ先を決められるせいだろう」

 玉藻の作ってくれた山芋などをふんだんに使った滋養に効く料理を食べながら彼は回付していく自分の体に思いをはせた。目の前にけた外れの美女がいるのに、
横島の転生先にしては珍しくあまり心動かされていない。彼、高島忠雄は稀に見る精通まで性欲がない、あるいは異常に薄い少年だった。子供でも男性なら多少は性欲があるが彼の場合はほとんどない。
病気などではなく、精通すれば普通に性欲が出てくるらしいが今の自分にはそれが理解できない。他の子どもたちが春画などを見て喜んでいたのを浅ましいと一時期は思っていた。
だが、自分の方が特殊なのだと知ってからはそういうものなのかと思い、表にそういう感情を出さなくてよかったと思ったものだ。不当に相手を見下すような言動をしても得はない。

「それよりご主人様ぁ、本当に1年で退位しちゃうおつもりですかぁ?」

「ああ。羽衣狐の配下達の色香に敗れて狂ったやつらをワイは旅の途中で嫌って程見た。王族や貴族になるとたくさんの側室持つのが義務の様な側面もあるんだろう。木綿季や藍子やお前とならそうなるのも悪くない。 
だが色欲に溺れさせられて、この国では恥ずべきことである、女性優位の性交行を喜々としてやっていた貴族達もいた。あんな醜態はごめんだ。たくさんの側室持ったら以上に夜が強い女がいてああされちまうかもしれない」

 横島がエヴァにやられた女性の尻に顔を埋めさせられるのが異常に恥ずかしいとされる伝統はこの時代のジパングから始まっていた。最もこの風習は発足した国では廃れていた時期もあったようだが。

 玉藻は残念そうな顔で言った。


403 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:13:13 ID:oSDnTyKy

「それじゃあ宮殿を支配した邪悪を滅ぼした者は一国の王になるという風習による任命はうけますが、ジパング全体の立て直しが済んだら退位ということで」

「ああ。財宝と食料は残っとるから公平に分配すればこの国はどうにか立ち直るやろ」

 そのやり取りの後、高島忠雄は良識的な内政官を呼び戻し業務に励んだ。ハンコを押すだけで儀式などの進行役などをするのが主だったが、
それでも王をやった以上はいい加減はできないとなるべく旅で得た知識などと照らし合わせ何度も書類に目を通し、文官の意見もよく聞いた上でハンコを押し続けた。

 そしてその日々が過ぎて退位三か月前の秋の夜、月の出ている日に彼は木綿季と藍子と玉藻を呼び寄せていた。 最後の書類に入念に目を通した後、それに判をおし三人を出迎える。

 この転生先では木綿季と藍子は前世の高島の頃からの天狗と妖狐であり、幼いころから彼を鍛え上げていた。性欲はなくても前世から持ち越した記憶のせいかこの二人のためと思えば頑張ることができた。
彼が今回こういう所に転生したのは九尾の狐の分霊が今回妻達を脅かす敵が九尾の狐だと知り性欲があると勝率が下がると聞き、オーカスに頼みこういう少年に転生させてもらった。最もその時の記憶は今生になってからはないが。

 公ではなく私室に来た三人を見て彼は美しいと思った。森と山が背後に見える景色の下に映える彼女たちは妖狐や天狗特有の美がある。白い衣装に身を包む木綿季と藍子そして玉藻を見て、
純粋に見事な美術品を見たような心地に飲まれた後に彼は、私室に入ってきた三人に昔と変わらぬ気さくな様子で頭を下げて挨拶をすると、告げた。

「後三か月後に俺は退位となる。初夜もまだだけど嫁さんになってくれたお前たちには話しておくべきだからな」

 王となった以上は形だけでも妻を置くべきと言われ、悩んだ末に三人に頼んだ結果快く彼女たちは引き受けてくれた。今生でもそのつもりだったと言われてほっとしつつ、
彼女たちの愛に報いられない自分を彼は少し歯がゆく思ってもいる。 その言葉に三人は頷き、代表するように木綿季が答えた。

「うん、別に構わないよ。子供の頃から一緒だった君と一緒にいられれば別にいいし、勇者としての今回の功績があればジパングにいる限りは暮らしに困ることはないと思うしね」


 旅の最中も何度も自分の背を押してくれた笑顔で答える木綿季に忠雄の表情も綻ぶ、姉であり師でもあるこの三人は彼にとって救いだった。 
旅の最中には良いことも悪いことも数えきれないほどあったが、彼女たちと共にいなければ途中で折れていたかもしれない。 性欲がない今ですらも彼女たち全員を娶れることを幸せだと思う。

 言うべきことを伝え終わり布団に入った彼に木綿季と藍子が布団に入ってきた。

「木綿季どうした?」

「明日は休みでしょう? この城にいる時間も後三か月だし、色々思い出作るのも悪くないかなって。それに今日は寒いからたまにはみんなで寝たいんだけどダメ?」

 その木綿季の言葉に対して彼は笑って頷いた。

柔らかく心地よい彼女たちの感触が安心感を与えてきて余計に眠気を強くすることを自覚しながら彼は話しかけてくる木綿季の言葉に応じた。

「でもまさか前世ではあそこまで僕達の色香に惨敗していた忠夫の来世が武芸者としての理想の空位に達して僕達二人にも常勝なんて」

 忠雄はそれを聞き、自慢にもならないと思った。霊的武道の理想の空位欲望などに一切流されない心理状態になったものだけが、練ることができる霊気を操り精神状態も機械のごとくとなりながら、
目的を達成する意思力を持った人とカラクリの良いとこ取りの武の理想形、自分は確かにそれに至っている。だがそれは単に欲望が薄いために簡単に至れたというだけに過ぎない。
生まれつき欲望が強くそれを修行の果てに超えてそこに至った者たちの方が凄いだろう。

 そう思う横島に木綿季に続いて藍子が声をかけてくる。

「ええ、忠雄さんは本当に前世でも私たちの為に頑張ってくれたし今生でもそうでしたから、しかもその年で空位に至るのはすごすぎます」

「お姉ちゃん、空位に至ったのはそこまで凄くないと思うよ。 それに女権国家の力を得た女妖怪達の色香跳ね返せたのは単に忠雄は色香に反応する欲望が今のところはないからってだから。
前世の忠夫だったら揺れまくって手元が鈍りまくりながらも、僕達への想いで何とか耐えるって感じだったと思うよ」

「多分そうやろうな」

「もう! 嘘でもいいから少しは嫉妬してほしいな。前世の自分ばかりじゃなくて今の俺を見ろ。見たいにさ!」

 木綿季の様子に微笑ましいものを彼は覚える彼に玉藻が声をかけてきた。

「ところでご主人様、やはり退位の考えは変わりませんか」

「ああ。今のジパングの情勢だと女権国家とも同盟することになりそうだ。そしたら女権国家の女達とも結婚せないかんやろ。
お前たち以外の女権国家の影響を受けた女と結婚とかごめんだ。旅の途中で見た色香に敗れたみっともない男たちみたいになりとうないわ」

 忠雄の言葉には理性では抑えきれない、国を裏切り国士や男としての尊厳どころか、人としての尊厳すら捨てて回った男たちへの軽蔑がにじんでいた。 女権国家の力を得た女に閨で嫐られれば逆らうなど無理であり、
男性である以上仕方ないと『理解』はできているが一切『実感』と『共感』ができない自分にとっては彼らの醜態は醜すぎて目に余るものだった。
『理性』では彼らはそこまで咎められるほどではないと思う。だから王として在位中は差別しない様に気を付けているつもりではある。 
しかし、私人としてはどうしても良い感情が持てない。 自重するために彼らの賞罰を決めるときはこの三人と、女権国家の女性に一度敗れた経験があるものの意見を聞いてから定めていた。

 不意に木綿季が彼の鼻を摘まんできた。

「忠夫、僕達と過ごす時間なのに、政務の方に意識が行きかけてたでしょう。 それと少し気になったんだけど、女権国家の女性とも結婚しないと僕達とお別れってなったらどうする?」

 彼はたっぷりと逡巡しそれからようやく答えた。

「う〜〜ん、お前たちと別れるくらいなら女権国家の女生との結婚を選ぶわ」

 横島の返答に三人は嬉しそうな様子を見せたが、少し不機嫌な顔になった。

「即答してくれなかったね。そんなに悩まないでよ!」

「あ、ああ。旅の途中で見た九尾の配下になった男共の醜態がひどすぎてな」

 武芸や術の実力では、理想形である空位に至った彼は三対一でも容易に負けたりはしない。だが子供の頃から世話になった身として彼女たちには頭が上がらない。 その返答に玉藻は笑いながら言った。


404 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:14:48 ID:oSDnTyKy

「まあまあ、木綿季さん、ご主人様ももう少しで彼らのことを笑えない気持ちになりますよぉ。 そうなったら、私たちの価値をたっぷり教えてあげましょう」


 玉藻の言葉を聞き忠雄の背筋に冷たいものが走った。それを聞くと本当に怖いと思う。自分の幾つか前の前世らしい初代高島は木綿季と藍子に敗れた後、武芸の腕でも勝てないだけではなく、
閨での敗北のトラウマと刻まれた快楽で隷属状態だったらしい。精通して性欲が芽生えたら自分もそうならないという保証はない。 彼が九尾の配下と化していた男たちを冷遇したりしない様に気を付けているのは、
公平な王であろうという意識だけでなく明日は我が身の可能性も否定できないから、というのもある。

 その日彼は不吉な気配を感じつつもそのまま眠りに落ちていった。

 次の日に彼は不穏な気配のことなどをすっかり忘れるほど楽しく彼女たちと遊び倒し、夕飯に玉藻が作ってくれた少し変わったうなぎのかば焼きを前にしていた。美味しそうなタレの香りをかぎながら食べると、
うなぎとは違いコリっとした触感がしており癖になりそうな味だ。少し濃すぎるかもしれないタレがお茶とよく合い甘い味が癖になった。惜美味いけど何なのか気になると考える横島に、玉藻は笑いながら言う。

「やつめうなぎですよ。ちなみにタレは女権国家産の材料も結構使った特殊タレですよ」

「そうか」

 忠雄はそれを聞きながら、最近の自分の疲労が目に余っていたのかもしれないと思った。女権国家は恐ろしいがそれでも有益な医療技術や食文化なども多い。
そういう滋養強壮に効く品を自分に食べさせた方が良いと彼女が判断したのだろう。女権国家に堕落させられるのを恐れてはいても、
悪感情はそこまでない彼は蒲焼の美味しさの方に夢中になった。  他にもすっぽんのスープや山芋などもふるまわれ、それに舌鼓を打ちながら楽しく夕食は済んだ。
食事の途中で、彼は不意に少しだけ気になっていたことを思い出し彼女たちに問いかけた。

「そういえば、玉三人で稀に見る熱の入った模擬戦したんやってな。珍しく木綿季と藍子が組まず、一対一対一の乱戦模様だったそうじゃないか。喧嘩とかじゃなかったみたいだけど、なんだったんだ?」

 横島の声に玉藻が笑いながら一つ手をたたいて答えた。

「ああ、あれですか。ちょっとした賭けをしてたんですよ。最後は私が勝ちました」

「そうなのか。まあ大怪我をしたり後引いてないなら俺が言うことはないけど、あんまり熱くなってお互い負傷させるような事態は今後も避けてな」

「ええ」

「時に何を賭けていたんだ」

「それはもう少しでわかりますよぉ。ご主人様へのサプライズプレゼントする際のポジションの取り合いです」

 玉藻の言葉になぜか背筋が寒くなりながらも、共に戦ってきた日々を思い出し彼女たちが自分を害するはずもないと断じると、体調に気を使ってくれた料理を作ってくれた三人に礼を述べて自室に戻った。
 
その日の夜彼は空至王の称号を失うことになった。

 忠雄は寝所に入っても体が熱く眠れず、自分でもよくわからない苛立ちに身を焼かれそうになり、苛立ちながら歩き回りこれは病気か何かかもしれないと思い、玉藻と木綿季と藍子の元に式神を飛ばした。 
天狗と妖狐であり修験者の術にも通じる彼女たちは、戦闘だけでなく健康面などの不安が起きた時に彼を助けてくれるありがたい存在でもある。
 式神を送った直後に、不意に寝間着で現れた彼女たちに彼は僅かに驚き、直ぐに納得する。

「三人とも俺の体調がおかしいって気づいていたんだな。 でないとあそこまで栄養価の高い料理出さんわな」

「ええ、ご主人様のそのほてりを沈めに参りましたぁ」

 玉藻の普段ならなんとも思わない、声と甘い香りになぜか平常心を乱されいら立ちと疑問を抱く彼をよそに、玉藻は手慣れた様子で光でできた文字を浮かびあがらせて彼の両手両足に潜り込ませた。
その瞬間、彼の体が緊張で強張る。これは玉藻に対する不信ではない。医療行為の際に激痛を伴う時に暴れない様にする拘束具の代わりの術だと思ったためだ。

『これは相当拙いな、さすがに切開手術とかではないだろうけど、激痛の伴う類の治療が必要な程か?』

 横島の考えを読んだのか玉藻がどこか不安を感じさせる妖艶な笑みを浮かべ言った。

「ちっとも痛くなんてありませんよ。ただある意味痛いより辛いかもしれませんけどぉ、カモーン! 女権国家でご主人様の最初の前世と出会ったときからの友達アリスさん」

 そういうと不意に魔法円が現れその魔法円の中から金色の髪にショートヘアの女性が姿を現した。

「今生では初めまして忠雄さん。前世で貴方の妻だったアリス・マーガトロイドよ。 今日は奥様たちに頼まれて貴方のほてりと女権国家の女性に負けた男性への差別意識の改善に来ました」

 そういうとアリスは優雅に一礼すると彼そっくりの人形を幾つか寝所の周りに置き始めた。

 それが終わると玉藻は彼を先ほど送り込んだ光の文字で操り始め目の前で服を脱ぎ始める。 彼女の服を脱ぐときの所作を見ているだけで、分身が一気に大きくなっていくことに彼は気づいた。
そして彼女は笑いながら光でできた文字を彼の分身に送り込む。

「一応私はもともと傾国の狐だった上に女権国家で強化されましたからぁ、性欲との向き合い方をよく知らないご主人様じゃ、裸見ただけでお漏らししちゃいそうですからねぇ」

 そういい終わると彼女は彼を抱きしめ胸に顔を埋めさせる、その柔らかさが彼の意識を一気に溶かす。

『柔らかくて気持ちよくて暖かい。昨日まではこんなじゃなかったのに女体ってこんな感じなのか』

 生まれて初めて味わう電撃と自分の中の何かを破壊する快感が彼を蝕み、玉藻は笑いながら術で彼の腕を操ると自分の尻を揉ませた。

 顔だけではなく両腕にまで激しい電撃めいた快楽を受けて許容範囲を超えかけた快感にとどめを刺され自分の分身がかつてない変化を犯している。それを見ると玉藻は意地悪く笑いながら彼の分身を迎え入れる。


405 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:16:52 ID:oSDnTyKy

「あー!」

 何を言えばよいのか懇願すればいいのかわからずただ叫ぶ彼をよそに玉藻は笑いながら言う。

「アリスさんお願いします」

「ええ、忠雄が嫌だと言わなかったら後で私も混ぜてね」

 そういうと、彼の視点が不意に切り替わる。これはアリスが置いた自分の姿を真似た人形が見ている光景だと彼は気づいた。
桜色の乳首をたたえた形の良い乳房や、美しくそれだけで欲情を誘う背中とその下の肉付きと形の良い尻それらを時には揉まされたりあるいは扇情的に揺れる姿などを彼は幾つかの人形の視点で切り替えられながら見せつけられた。


 自分が壊されている賢王、武芸者としての理想の天位、あるいは空位に至ったところから堕ちている。彼女の柔らかさと美しく淫らな肢体を見せられる視界からどんどん内面が破壊されている。
そう思いながらもアリスはひたすら容赦なく最も扇情的になっている部分を見ている人形と彼の視点を共有させる。 胸を揉ませられ時には乳首を口の中に入れられ、あやされるように撫でられぬいた彼に玉藻は不意に声をかけた。

「それではご主人様の様々な初めては玉藻がいただきます。傾国の体で精通した男子はどれくらいだらしなくなっちゃうんでしょうね。 あなたが軽蔑するジパングでは恥ずかしい性行為を喜々としてやっていた裏切り者たちの情けなさをどれくらい超えちゃうんでしょうか」

「や、やめて」

 言い終わる前に玉藻が呪文を唱えると彼の射精を止めていた札が消え。その瞬間、彼女の腹が膨れるほどの射精が起きた。玉藻は白濁を自分の腹に詰め戻しながら笑った。

「私達と別れるか女権国家の女生と結婚するかの二択の際の長すぎる逡巡、とっても腹が立ちました。ご主人様は悪くないけど、それと感情は別です。私たちと別れるか否かの問いに時即答してくれなかった意趣返しを受け取りなさいませ」

「あ、ああ」

 快感を感じながら彼は本気で震えた。他の男性は玉藻や木綿季や藍子の美に見惚れ玉藻に対しては妖艶すぎてまともに戦えないと言っていた。しかし、
横島はここにきて彼女に色香を使われたら自分はもう勝てなくなったと確信した。彼女がその気になれば服の上からでもその色香と美貌で彼を射精させる誘惑などたやすいだろう。

「名残惜しいでしょうけど一旦交代ですね」

「そ、そんな」

 否定しかけて忠雄は言葉に詰まった。男性優位の性交行が当たり前のジパングでは最大の恥辱なあの性行為。精通前の自分なら侮蔑の対象だったそれが、今では最高に気持ちよく玉藻の言葉を否定しきれない。


 横島が震え怯えながら下がる背中に柔らかく温かい感触が当たり、彼の分身が再び大きくなり始める。優しい笑みを浮かべた藍子が彼の両腕を拘束しながら胸を当ててきている。彼女は、笑みを浮かべながら言う。

「忠雄さん今宵で完全に私たちの物になっていただきます。ユウ早く忠雄さんをものにしてあげなさい。私ではそう長時間抑えられませんよ」

 抑えられませんよ、の下りは明らかに本心ではない。昨日までの彼なら女性の胸が背に当てられていても精神を集中させて、心が乱れると使えない強化の術を一瞬で発動させて彼女を振りほどいていただろう。だが今は彼女の吐息と背に当たる乳房が一番簡単な術すら発動させてくれない。

「ごめん、お姉ちゃん玉藻のいじめ方があまりにも見事で見入っていて、まだ服さえ脱いでないんだ。早く脱ぎ終わらないと逃げられちゃうね」

 そういいながら彼女はゆっくりと天狗装束を脱ぎその様子をアリスが人形と視線を共有させて彼に見せる。乗っ取られた視界を奪い返そうとするが、
彼女の乳房や尻を見て完全に意識がそれを見続けることしか考えられなくなっている。木綿季は笑いながら彼を押し倒しわざとらしく疑問を浮かべた風を装い言う。

「忠雄どうしたの、普段の君ならお姉ちゃんの拘束ですら直ぐに解いちゃうんじゃない?」

 からかう様な声と共に彼女が彼を藍子と挟むようにして乳房を胸板に押し付けながら分身を飲み込むと彼は即座に達した。 何度も二人は後退しながら彼を嫐り続ける。今生では初めて二人と交わる彼は気づかなかったが、二人の責めはいつもと違った。
木綿季と藍子は普段はお互いの気分で木綿季の方が上手い激しい責めを藍子がやる時もあり、逆に藍子が得意な優しい責めを木綿季がすることもある。しかし、今回は木綿季は一番得意な激しい責めしかしないし、
藍子も木綿季のそれを引き立てる優しい感じの責めしかしない。まるでお互いがお互いの与える快感の威力を倍増させあって彼を慣れさせない様にしているようだ。

 何度かの交合の後、藍子に騎乗されて精を絞られる彼はここで彼女の優しくも苛烈な攻めで達しそうになっている。それにも拘わらず彼女は敢えて彼が達せない様に快感を捜査している。
 さっきから笑いながら見下ろしていた玉藻が不意に彼の顔に腰掛けるようにして尻を押し付けてきた。アリスが人形の視点に彼の眼を移しそれを殊勝に見せつけてくる。玉藻は笑いながら横島の視点を乗っ取った人形と目を合わせ見下した感情を込めた目で彼を見ながら彼女は言う。

「ジパングでは、女性に優位の性交が恥ずかしいうえに顔面騎乗されるのは特に恥ずかしいとされてますけどぉ、それを浸透させたのは私ですよ。狐は求愛行動の際に相手の顔に尻を押し付けますからぁ。
 一番恥ずかしい性行為をわざわざ仕込まれていてどんな気持ちですかぁ」

 バカにしつくしたその言葉機器屈辱と怒りが沸き上がるのに合わせたかのように同じ狐である玉藻の指示を受けた藍子が彼に射精を促した。

「〜〜!」

 尻に顔を塞がれ聞き取るのが不可能な奇声を上げながら彼は一気に達した。そして何度も射精をした後なのに、最初よりはるかに多い量だったことが彼を一気に追い詰めた。

「あらあら、ジパング男子として最低の屈辱を与える謀略を張り巡らせていた狐の下にされるのがそんなに良かったですかご主人様ぁ」

 ありったけの蔑みの念を込めたご主人様呼びでさらに射精の量が増え、それを藍子が容赦なく搾り取る。


406 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:18:17 ID:oSDnTyKy

 玉藻は絞りつくされ倒れた彼を抱えながら椅子にかける。椅子の前に彼が眠る前に見ているテレビがある。彼女は鼻歌交じりにDVDとテレビをつけながら楽しそうに声を上げた。

「ご主人様それでは先ほどの情事を見てみましょうか特にご主人様の表情を」

 再生されたビデオの内容はアリスの人形の視点からの物の様で、幾つかに画面が分かれている。彼が大きな衝撃を受けたのは、自分の表情だ。自分が軽蔑の極みと感じた、
旅の途中で羽衣狐の配下の女権国家の力を得た妖怪たちの下部となった男たちと同じ否、それ以上に情けなない表情をしている。快感に負けているだけの時はまだ良い。
自分から彼女たちの胸や尻に手や顔を伸ばす時の顔はあまりにも情けなかった。そしてそれを見ながら敗北感に打ちひしがれる彼の分身が急に電撃を浴びたような快感に包まれる。

自分でも気づかぬうちに勃起した分身を玉藻の手が掴んでいた。

「〜〜!」

「ご主人様ぁ、もう少しご子息の耐性上げてください。弱すぎてしゃべれないと閨の中の問答が楽しめないじゃないですかぁ。 しゃべれないなら息子さんの反応で肯定か否定か判断しちゃいますよ」

 この傾国の狐は多くの閨の術を極めつくした女性を味わいつくした王さえ陥落させた手淫で彼にわざと発言できない状態に追い込みながら言葉で彼を嫐る。

「ご主人様はぁ、ご自分を陥れ辱めることをずっと目論んでいた女にジパングでは特に屈辱的な性行為されるのが大好きなんですかぁ? 硬くなった手ことは肯定ですねぇ」

 屈辱を煽る丁寧な従者言葉と彼女の侮蔑の目が余計に彼を欲情させ、彼女は笑いながら言う。

「こら!私の許可があるまで言っちゃだめですよぉ。 国政上女権国家の女性達と結婚するんですから、閨の中では立場をわきまえませんとぉ」

 彼女は笑いながら何度も寸止めし、行く直前に強い命令口調で彼に告げた。

「達しなさい! 空至王から九尾に負けたクソごみ男たちの同類に堕ちたゴミ男!」

 強すぎる快感の射精の中で彼女の言葉が強く焼き付き、彼は完全に意識を絶たれた。

 次の日彼は木綿季と藍子に鍛錬上に呼び出された。

「忠雄、僕達に色香で惨敗したじゃない。どれくらい弱くなっているか、確認した方が良いと思うんだ。一応女権国家からくる船を迎え入れる港のある所の王様なわけだしね」

 横島がここを任されたのは関係が良好とは言え女権国家との戦争も視野に入れねばならない土地の王だからでもある。 だがだめだ。昨日の夜で自分は一気に欲望に目覚めてしまった。
 今でも並みの英雄くらいには強いとは思う。だが今の彼は彼を無敵に近い最強にしていた大半の術や技が使用不能になった。
欲望が薄いからこそ自然の気と調和して、無限に近い気を得る外気孔術や機械のごとく早く威力の高い術や霊力の扱いも失われた。

「あ、ああ分かった。木綿季、わい多分めっちゃ弱くなっていると思うから手加減たのむで」

「うん。いくよ!」

 木綿季の剣撃を受けて彼は大いに冷や汗をかいた。昨日までは自分しかできないらしい霊力による身体強化であっさりとかわした彼女の技が速く重すぎる。 そして多分彼女はわざと彼がぎりぎり受けきれるように打ちかかってきた。

「忠雄そこまで悲観することないよ。まだ13の状態でそれだから伸びしろあるし、むしろ昨日までが異常すぎただけだよ。
悟りの境地みたいな精神状態じゃないとできない技とかをその年で使えていたことが変なんだって。 女権国家の女生と戦えるかの最終チェック行くよ」

「おう」

 横島は霊波刀を構えながら、頷いた。木綿季は笑いながら言う。

「決して破ってはいけない誓いを立てるけど、僕はこの戦いで買ったら昨日の夜と同じく君を閨の中で嫐りぬくよ」

 それを聞いた途端、彼の分身が固くなり、そして三人にされた行為の数々が思い出される。 霊力を練ろうとしても体が言うことを聞かず一気に制度が落ちその後はひたすら木綿季に叩き伏せられた。

 意識が戻ると彼は激しすぎる快感を分身に感じる状態で目覚めた。木綿季が満面の笑みで彼の分身を足で嫐っている。そして背中に電撃の様な快感が走り、藍子が背筋に裸で乳房を押し付けていることに気づく。

「忠雄ちょっと今日の君ダメすぎたよ。女権国家の力を得ている僕達とは言え、あそこまでひどいのはちょっとないよ」

「そ、そうだな。だが、足でするのはやめ、ああ!」

 強すぎる快感にあえぐ彼に木綿季は好きな子をいじめて全力で楽しんでいる女子特有の満面の笑みでいう。

「旅先で出会った羽衣狐の配下になっちゃった男よりだらしなくなかった」

「返す言葉もありまへん師匠」

 実力が木綿季を上回り旅のリーダーとなってからは呼び捨てで敬語も使わなくなったが、稽古と閨両方での敗北感が強すぎて昔の調子に戻ってしまった。彼女は満面の笑みでいう

「ほら旅の途中で内心馬鹿にしていた男の人達に謝って。『貴方たち以下のクズ男のクセに見下してごめんなさい』って」

 忠雄はさすがにそれは理不尽だと思った。少なくとも『理性』では彼らはそこまで責められるほど悪くないと思っていたから、内心侮蔑の念を持ってもそれを表に出さない様に細心の注意を払ってきた。
事実彼の努力は無駄ではなかった。それに気づいていたのは旅を共にしていた三人以外にはいない。だが、木綿季の強い口調での命令が昨日の玉藻からの行動を思い起こさせ、つい命令通りの謝罪を口にしてしまった。

「貴方たち以下のクズ男のくせに見下してごめんなさい」

「はい。よく言えたね。ご褒美♪」

 育ての親同然に鍛えてくれていた時の子供や弟へいうような言葉と共に木綿季は彼を射精させた。さらには敢えて妖術で彼を操り、自分が足に向かってどれだけ出したか凝視させる。

 木綿季は一瞬で彼を抱き込み、射精したばかりの敏感な分身を飲み込む。再び即座に射精しその量からぐったりとした彼を藍子が笑いながらツボを押して、追い打ちをかける。

「ユウをもっと悦ばせてあげなさい」

 彼女に体の様々な部分のツボを押されるたびに、射精しそしてその度にこの三人にあらゆる意味で勝てなくなっていくことを実感しながら彼は問うた。

「師匠、藍子姐さん。女権国家でもここまで男をいじめるのは稀らしいけど何でここまでやるんですか? ワイなんか怒らせるようなことしましたか」


407 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:20:21 ID:oSDnTyKy
「それが分からないってことは私たちの演技力も捨てたものではありませんね。玉藻が言った通りですよ。貴方精通前の日に、
私達と別れるか女権国家の女と結婚するかの二択ならどうするって聞かれたときに凄く逡巡したじゃないですか。
ああいう時は即答してほしいのが女心です。制裁の為に深刻じゃない怒り方の演技したけどすっかり騙されてくれましたね♪」

 そこまで言った後、藍子は彼を解放し天狗と妖狐の薬酒を取り出し彼に渡した。絞られすぎて、体がつらかった彼はそれを飲み回復すると二人が不意に魔術を使い一瞬で衣装を着こんだ。

 藍子は笑いながら彼の両頬を掴み言う。

「実は私たち以外にも怒っている人たちがいるんですよ」

 誰が怒っているのか想像もつかない忠雄は真面目に首をひねった。さすがにわからなくて当たり前だと感じた彼女は口を開く。

「前世のお嫁さんたちです。旅の途中でいくら美人でも、男をあんな状態にする女権国家の女とは結婚したくないな、前世の嫁さんたちとは私たち以外とは縁切ろうかな、見たいなこと言ってたじゃないですか」

「ジパングを危機に陥れた妖怪倒したら、一時的かもしれなくても一国の王やらなきゃダメなんやからしょうがないやろ。他国の女性に跪かされとる奴が王様とか民に申し訳なさすぎるわ」

 そう答えた彼に、藍子言う。

「彼女たちも貴方の言い分も理解できると思ってはいますからそこまでひどくはなりませんよ。それじゃあユウ、天狗隠しして彼をあそこに連れて行きましょう」

 そういうと木綿季が彼を掴み天狗の術唱えた。光に包まれ目を空けるとそこは別世界に変わっている。
西洋の闘技場だと王になってから勉学していた彼には分かった。そこまで考えた彼の前に白い羽と青い髪の美女=マイがマイクを持ち不意に告げる。

「さあ本日のメインイベント。空至王忠雄対玉藻の前の暗黒面ジパングを闇に包んだ九尾羽衣狐のリベンジマッチです。色香に溺れ切った彼にどうにか逆転の気は訪れるのでしょうか?」

 羽衣狐の下りを聞き彼は即座に剣を取り出した。だが目の前には玉藻しかいない。彼女は不穏な笑みを浮かべて言う。

「あれは私の分霊ですからご心配なく。女殺しの魔物が女権国家の女性の能力を取り込み男性を味方につける存在を産もうとしたから、私の分身体を送り込んで弱体化させたのがあれです。
 羽衣狐は凄くパワーアップしていたのにご主人様に負けてプライドが傷ついたからリベンジマッチに付き合ってあげることにしました」

 そう玉藻が言い自らの体に札を張り付けると、絶世の美女という共通点はあっても玉藻とは大いに特徴が異なる黒を基準とした魔性の美を誇る存在が現れた。かの存在は彼をせせら笑いながら剣を構える。

「それでは勝負と行くか旦那様。一度強化済みなわらわに勝ったのだ。ハンデとして色香に頼らせてもらうぞ」

 そういうと彼女は笑いながら服を脱ぎそして札を構えた。玉藻と種類の違う傾国の美を見ながら自分が一気に欲望にとらわれる彼に笑いながら彼女は言う。

「勝った時はそなたを玉藻と同じように嫐りつくそう」

 この時、忠雄は気づかなかったがマイによって彼は羽衣狐に対する自身の感情を彼女たちにぞっこんで屈服しきった前世の頃に戻されていた。そしてその後はあまりに惨め極まる試合となり、最後は女権国家の爆笑の渦の中で彼は羽衣狐に犯されぬいた。

「おーと! 先日アリスが開演した人形劇の通りの活躍をしていたらしい彼も、しょせん精通すればただの男の様です情けなさすぎて、鍛えた木綿季ちゃんたち泣きたいのでは〜!」

 マイのバカにしつくしたナレーションでより周りの笑いは余計強まり羽衣狐は彼を騎乗位で搾り取りつつ侮蔑の笑みを浮かべながら言う。

「そなた空至王の称号返上した方が良いのではないか? いや、一応は一度空位に至ったのだから誇大広告とは言えぬか。誰か彼に相応しい、称号思いつかぬか」

 そういう羽衣狐に不意にアリスが意見を言った。

「じゃあ、サルと書いて猿王(えんおう)なんてどう? 一番屈辱的なセックスであるらしいお尻に顔を押し付けられた時が一番射精量多かったらしいし」

「確か猿は自慰を教えらえると死ぬまでやりもするそうじゃし、あっておるな。いやだが、こやつは恥という感情があるのにそれを差し出しておるしなぁ。しかしそれ以外に相応しい称号も思いつかぬ」

 そこまで言うと羽衣狐は腰を動かしながら強い口調で言った。

「ほら、アリス殿に礼を言わぬか! 『猿以下の自分に過ぎた称号をくれてありがとうございます』とな」

「さ、猿以下の自分に過ぎた称号をくれてありがとうございます」

「もっとましな称号を考えてあげてもよかったけど、私も少しは怒っていたのよ。貴方の道中の発言の数々には。羽衣狐さん、名前考えた褒美に次は私がもらっていい?」

 羽衣狐が彼から離れるとアリスが代わりに彼に覆いかぶさりそのまま一気に精を絞った。
 羽衣狐の鋭い刃の様な快感と対極の甘く優しい快感に彼は一気にやられそのまま意識を失った。

 横島が目を空けると今の夢と同じ光景が目の前にあった。自分をあざ笑う女性の観客にあふれた闘技場。さらに目の前ではアリスが自分を見下ろしながら腰を振っている。あまりの快感にしゃべることすら不可能な彼を見下ろしながら彼女は言う。

「貴方の前世の快感はどう」

 しゃべることすらできない彼の悲鳴に近い快感が生み出す声が一番の返答になったようだ。アリスは笑いながら彼の頬を手でつかみ口づけし、人形に変わっていく快感を与えながら言う。

「エヴァ、お願い」

「ああ分かった」

 エヴァは少し微妙な表情をしながらも、飽食界で飲んだスペシャルカクテルと同じものを飲みそれから一瞬だけアリスの首筋から血を啜る。 
エヴァに血を吸われた瞬間、快感でアリスの膣が締まり彼をより多く射精させる。それが済むとエヴァは後ろから横島の首筋から血を吸った。 その途端彼の中に自分がどれほどみっともない性行為をしているかという観客全体からの意識が入ってきたが、
それと同時にアリスの自分に対するどれほどみっともなくても愛おしく自分を思う感情も入ってきた。観客の侮蔑の感情という鞭とアリスの毒の蜜を思わせる好意で揺らぐ彼にアリスは言う。


408 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:21:44 ID:oSDnTyKy

「貴方がどうなろうと私の感情は変わらないから、永遠に怠惰なまま沈んでも大丈夫よ」

 その言葉と共に来た快感で彼は再び意識を失った。

 その後彼は夢の中でジパングの一国の王として、政略結婚をした彼女たちに嫐られ続け高貴な身分の者だけが許される怠惰を追体験させられた。 婚姻の際に名前も忠雄から忠夫に改めさせられた。
これは前世の名が好きな彼女たちの意向もあったが、英雄の文字から忠実なる夫に変える呪術的な意味合いもあったのだろう。

 宮殿の中で彼は何度も玉藻相手に後背位で性行をさせられていた。横には優曇華が控えている。優曇華の瞳で体位に対する認識を女性上位と変えられて腰を振る彼を侮蔑の目で鏡越しに見ながら玉藻が優曇華に礼を言う。

「優曇華さんありがとうございます。狐である私はたまにはこっちの体位でもしたいんですけど、ご主人様はジパング男子として恥ずべき体位じゃないと勃起しなくなっちゃって。猿と同じ体位でできない上に男性優位でない猿王。本当に格好良すぎですねぇ」

「いえいえ、気にしないで玉藻さん。私も元がウサギだからその気持ちは凄くわかるから」

 優曇華と雑談に興じながら必死に攻め立てる彼に自分は足元にも及ばないと敢えて見せつけながら玉藻はせせら笑う。

 少し時間がたち強すぎる快感で何も言えない横島が射精した瞬間、快感の極が来る瞬間に合わせて玉藻がより強い快感を与え、そしてこれ以上快感を与えられると辛い時期を見越してさらに尻を押し付けてくる。

「あー!」

「また、あー!ですかご主人様攻めてしゃべれるくらいにはなりましょうよ」

 玉藻が手をたたくと多くの女性が入ってくる。彼女たちはかつて羽衣狐に寝返っていた、性悪な女性達だ。戦いが終わると尻尾を振ってきてその様子を馬鹿にしていたが、玉藻の力で彼女の眷属となってからは、ひたすら恐ろしい。
性悪女達だと分かっているのに彼女たちの色香と快感に逆らえない。 口淫をしてきた女性乳房を押し付けてる女性、全員が彼を見下し馬鹿にした目で見ているのに振りほどこうとも思えない。その中の口淫をして女性が笑いながら言う。

「私たちの様な汚らわしい女の色香に負けた男はクズなんじゃありませんでしたか、猿王様?」

「そ、それは」

 反論しかけたところで分身の奥に舌を突っ込まれ彼は一気に達した。そのまま倒れた彼を何人かの女が笑いながら犯す。 射精しつくし仰向けに倒れた彼の分身を踏みつけながら玉藻が言う。

「ご主人様、彼女たちの与えてくる快感はすごいけど私達よりは下ですよぉ。 なのになぜ切り捨てておしまいにならないんですか」

「む、無駄な殺生はよくないし、それにお前たちが睨みを聞かせておくって」

「それも嘘じゃないけど、一番は性悪で打算込みで貴方を支配従っている女たちに嫐られる状況が好きなんでしょうご主人様は。九尾の狐として王を堕落させた身だからよくわかりますよ」

そういうと玉藻は笑いながら彼に騎乗し何度も彼を絞った。その後の彼はこの色欲の世界を維持するという念の元善政を行い、武芸の腕を磨いた。だがどんなに世の中から称えられても、
自分は性欲の為にこれをやっているという負い目から抜けられることはなかったらしい。 らしいというのは人形劇で上演された舞台しか追体験できないために彼の主観では延々と女性達に嫐られぬき続けた記憶しかない。

 王としての一生を終えると同時に夢から覚めた横島は、全身が完全に彼女の霊力で来た糸に掌握されていることに気づいた。目の前で彼に覆いかぶさり絞りぬいていたらしい、アリスは目覚めた彼を笑顔で迎えるといった。

「従属する怠惰と高貴なものが味わう怠惰どちらもよかったでしょう? あなたが望むならどちらでも私は与えるから。 王だったころの閨の中だけの日々でも奴隷として主人から愛でられるだけの怠惰どちらでも授けましょう。
 それとこれから貴方が本当に怠惰に生きても大丈夫という保証を与えるから」

 そういうとアリスは魔術を使って一瞬で服を着こみユウキと藍子に目配せをした。ユウキとランは二人ともインプのままだ。彼女たちが夢の世界で天狗などをやっていたのは、悪魔合体をして戻ったわけでなく、
アリスの使い魔をやっていたので人形劇の再現に協力する力が上がっていただけの様だ。二人は使い魔然とした態度で彼に魔術をかけると、そのままどこかに彼を転移させた。


 ジンは大勢の敵を薙ぎ払い怠惰界のボスの間の前に到着した。

「ジャギさん、ここに怠惰界のボスがいるんですね」

「おう。今回は横島の奴が何回も大怪我しまくっていたせいか少し魔女としての性が暴走気味だ。少し頭を冷やさせるとしよう」

 ドアを開けて入るとそこは多くの人形が山ほどある美しくも恐ろしい幻想の世界だった。
中央の玉座にはこの幻想の世界に最も映える魔女を基準とした衣装に身を包んだ金色のショートヘアの美女とそして、傍らには人としての大切なものを断ち切られたかのように快楽で意識をえぐられぬき朦朧とした横島がいる。
 くしくも彼女の与える快楽は意図せずとも意中の男を己の人形のように変えていくようだ。 ジャギは短く口上を述べた。

「アリス、人間だった時からの付き合いだ。ここで怠惰界の攻略条件クリアにしてくれなねぇか」

「ジャギ久しぶりね。旦那様を何度も助けてくれた旦那様の親友相手に無体と思うけど、私を倒してからにして。最も私はここを攻略させる気はないけど」

 そこまで言い終わると彼女が一体の等身大の人形を取り出してきた。ジンがトゥルダクと共に倒した人形と似た存在だ。年齢は20代中盤位に見える。トゥルダクと共に戦った人形と似た刃のない柄を持っている。

「猿王、高島忠夫か、忠雄という名の頃に妖狐討伐の功績でジパングの港町の王に任じられ、女権国家の女生との結婚を機に呪術的な意味で名を変えられた。おもに聖王ヴィヴィオとの婚姻の縁を通じて外交に励みジパングを守護した」

「ええ、貴方たちを全滅させれば、自分が何もしなくても故郷は安心だと彼は思うでしょう」

 不意にジンが口を開いた

「ジャギ師匠、すいません、今回は俺が挑んで負けてから出てくれませんか」

「どうした、やはり成長の機会は逃したくないか」

「それもありますけど、こういう馬鹿をやってしまった時の実力者は負けるわけない相手に負けた方が諫言が効くでしょう」


409 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:23:07 ID:oSDnTyKy
「まあ。いいだろう。 アリス、ジンを退けた後は好きなだけ回復の時間を取れ。今回はお前が愚行を犯しているってたっぷりと分からせてやる」

 そういいながら腰掛けるジャギをよそにジンは玲子と仲魔達に手を出すなと指示を出した。ここは一騎打ちの方が勝率は高いと彼は踏んだ。剣を構え近づくジンに高島も彼を迎え撃つべく柄を構える。 
ジンは僅かに剣をゆらゆらとさせて近づきながら、不意に後ろに全速力で飛んだ。 
フェイントをかけながら隙を探りあう動きで近づいた時、読みあいでは勝てないと悟った。様々な形の武器を出せるあの柄が相手では出せるフェイントの量が違いすぎる。 

彼は即座に加速し全力で切り込んだ。 高島はそれを見て剣を具現化させて受けた。 ジンは即座に切り込み連続で彼に突っ込む
。高島は横島と同じく、フェイントを織り交ぜ相手を揺さぶるトリッキーな攻撃型だ。なら速さだけは僅かに勝る自分が徹底して奇策を出す暇を与えなければ良い。 
嵐の様な剣撃を高島が受け流す中ジンは僅かに焦りを覚えた。 自分の体力が彼を沈めるまで持つだろうか。

守りの中にも高島が仕掛けてきた騙しは多くあった。僅かとは言え余裕があるのに辛うじて受けた振りやその逆をされたり。その度にジンは肝を冷やした。数回だけだが騙された時は、攻勢に転じられ危うくなった。 

 数回の交差の後、高島が僅かに騙された彼に火事場の馬鹿力めいた力を込めた一撃を放ってきたとき、彼は僅かに体制を崩し、彼も火事場の馬鹿力めいた速さで距離を取った。
その瞬間霊波刀を槍の形に変えた、高島の突きが彼を襲う。もう刹那速ければ片腕に重傷を負っていたかもしれない。そう思いながらそれを防ぐと、高島がそのまま槍に圧をかけてきて、鍔迫り合いめいた状態になった。 
それを見た瞬間アリスの表情が勝利を確信したものに変わったことをジャギ以外は気づかなかった。ジャギもこれも弟子の経験と思い敢えて告げようとはしない。

鍔迫り合いをしつつ槍を剣に変化させながら迫る高島相手に彼は即動いた。彼は非力ではないが、力に関しては高島に及ばない。 近づいてきた高島に拳を放つと即座に距離を取りにかかる。
僅かでもミスれば剣を支える腕が片腕になった瞬間に一気に、切り倒される危険な賭けだが彼はそれに勝った。 だが試練はそれからだ。攻めに回ることができる高島の剣は、
短刀や長巻あるいは双刃刀に変わり彼を切り裂くかもしれない。切り替えるのに僅かな間があるとは言え騙され時間を取られればその隙にそれが来る。

 フェイントが生み出した多数の幻影の刃に警鐘を鳴らす神経を黙らせ、風を切る空気の流れだけに従い、高島の繰り出してきた剣の一撃を受けるというよりそこに一撃を叩き込むように剣を放ち辛うじて打ち勝つと彼は即座に蹴りを放った。
万が一双刃刀にしたとして、刃は届かぬ位置。ジンは足の先に感じる蹴りの感触同時に自分の腹にも衝撃が走ったことに気づくと弾き飛ばされた。高島が僅かに遅れて自分に蹴りを放ったのだと理解すると即座に呼吸を整え、そのまま風神剣を構える。

 一騎打ちを行う両者が警戒をしつつ、決着をつけるべく直前の小休憩に入った瞬間アリスが感嘆の声を上げた。

「本当に貴方の成長力凄いわね」

「ええ、ジャギ師匠曰く恐らくは貴女達の倍くらいになっているだろうと」

 その言葉にアリスは笑いながら言った。

「ええ。だからこそ、忠夫に与えることができる安心感も倍になるわ」

 アリスの宣言が終わった直後それを合図にした様に両者が駆けだし、双方の剣が何度もぶつかり合った。ジンは致命傷以外のフェイントを無視するように意識を切り替えひたすら手数で高島に勝利しつつあった。
お互いが渾身の一撃を込めて双方の剣がぶつかり、互いの隙ができた直後、高島が霊波刀をしまった。そして新たな武器に変えようとする。両方から霊波が出たのを見て、双刃刀そう考えると同時にジンは勝利を確信した。

『ここで双刃刀に変えるとはそうせざるを得ない理由があったのかもしれんが貴方の具現化速度では間に合わないこっちの勝ちだ』

 そう思い彼の首に風神剣を放った直後ジンの腕に硬い感触が帰ってきた。本当に僅かな差だったが、ほんの数瞬速く霊波刀が具現化されていた。そしてその具現化されたものは双刃刀ではない。 
先がまるく刃がない。これは棒術の棒だ。そう思った直後ジンの中ですべてがつながった。さっきの槍を出してきた一撃、あれは本来の具現化よりほんの僅かに遅らせたのだ。
ジンの脳裏に間違った計算を植え付けるために。 そして次の瞬間、高島が棒術の棒で彼に乱打を放ってきた。 僅かに速度で勝る彼も、棒術の乱打はしのぐのは不可能だ。何度か受けた物の足に一撃をもらってから決定的に崩れ、そして倒れた。

 ジンが破れたのを見て驚く横島をアリスが魔力の込めた手で名で脱力させながら口を開いた。

「どう? この世界の封神演義の紂王は色欲三昧に溺れていても最後は見事な武勇を見せたでしょう。だからあの色欲に溺れた貴方の前世もあそこまでになるから心配はいらないわ」

「前世のワイはあの後武芸とかは真面目にやっとたのか、それともずっと色欲に溺れた日々を過ごしてあれだったのか」

「どちらにせよ、あの人形が貴方の故郷を護る戦力として動くから貴方がここで怠惰の極致に堕ちても大丈夫なのは変わらないわ」


 立ち上がろうとしたジンをジャギが手で制すると前に進みだした。

「この戦い女権国家にも放映されているんだろ。なら放送を切るんじゃねぇぞ。 大醜態をさらせばそれだけ失敗を繰り返しにくくなる。俺が知る限り最低最弱となったアリス・マーガトロイドよ」

「安い挑発ね。そんな煽りで私の手元が鈍るとでも思っているの。忠夫から吸収した霊気を大量に注いだこの高島人形、分霊に過ぎない貴方がどうにかできるとでも」


 そういうとアリスが魔力を放つと高島人形の動きがより速く力強くなり、放つ闘気が一気に膨らんだ。ジンはそれを見て、悟った。
たぶん彼女は高島という英雄が生きたどの時期でも再現できる。そして自分に経験を積ませるために一番実力が拮抗していた時の彼を再現していたのだろう。


 強大な闘気にさらされながらも、ジャギは微動だにせず答えた。

「端末にすぎぬ分霊と、珍しくバカ女と化した魔女が操る人形丁度いい勝負だ。最もそっちの方がハンデがでかすぎるが」



410 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:24:45 ID:oSDnTyKy
「貴方のレベルではこの人形とまともな戦いになるのがやっとなんじゃない?」

 アリスの言葉にジャギは淀みなく答えた。

「勝てるさ。相方の女がこれでは、横島の奴も本来の力は出せん。女尽流はどの流派でも女を支える支援の技、特にその高島が覚えた女尽鏡流(めしんきょうりゅう)女を映す鏡となる技だ。鏡の前に立つ女がそれじゃあ映えようがない」

 そこまで言うとジャギはアリスを警戒する価値なしとでもいうように目をそらすとジンの方を見た。 理想に近い自然体であり空気の乱れを感じれば次の瞬間風より早く動く。その確信を抱くジンに彼は言う。

「すまんな。格上とは言え、『今の』バカ女なアリスに負けたなんて汚点だろうがお前から名誉挽回の機会取らせてもらうわ。今のあいつあいてならお前でもそう遠くないうちに多分勝てるだろうがな」

 そういうとジャギは剣としても棒としても使えそうな鉄の棒を取り出した。多分あれはリグルの作品だろうと思った。かなり昔の品の様だが多くの強大な敵との戦いで役立った武器特有の風格がある。その武器を見てアリスは疑問めいた表情になった。

「その武器で立ち会う気?」

 ジャギが本気でそうしようとしているのを見て、彼女は僅かに悩むと即座に決断した。

 高島の人形が剣を構えジャギに突っ込むと袈裟斬りの鋭い一撃を放ったジャギも高島の剣と似た太刀筋の動きでそれを迎え撃つ。
ジャギは拳法かであって剣士ではない。状況に合わせて剣を使う例も皆無ではなかったが、剣を主に戦った横島相手には及ぶはずがない。
にも拘わらずお互いの剣のぶつかり合いは僅かだがジャギが競り勝っている。それを見てアリスが驚愕の極みという表情になる。

「そんな、なぜここまで高島人形と戦えるの?まさか水影心が爆発的に進歩したの?」

打ち合い僅かに押される高島を見て驚きつつ状況を分析するアリスに説明するような口調でジャギは言う。

「それはお前が愚行を犯しているからだ。猿王忠夫。女権国家の女性達に嫐り尽くされながらも相手の女性達が心底自分を好いていることと民の為になる政策をしてくれたことに気づき生涯かけて、
彼女たちを支えるべく武の修行を怠らなかった横島の転生先の一つ。 空位から降ろされた後、女尽鏡流を学び元最終的には精通前の自分より少し弱いところまで強くなった」

そこまで言って区切ると彼はさらに続ける

「女尽流の元となる霊力は自らの意思で女に尽くさんとする意思と、自らに快楽を与えてくれる女を失いたくなという色欲が産んだ執念の霊力。
この二つが武道の理想形の一つである無限の変化を遂げる鏡の様な形に至らせている。それがない女尽流など効率が良い霊的戦闘術にすぎん。 哀しみを知らぬ北斗神拳がただの拳法にすぎんようにな」

 哀しみを知らぬ――の下りには失われたものへの郷愁が深く籠っていた。レベル事態は上の高島の猛攻をしのぎながらジャギは言う。

「横島よく見ておけ、お前と大鳳と幸運のおかげで生前の俺は至らなかった北斗の極致、これこそが核となる心が宿った武芸の技だ」

 お前と大鳳のおかげでという言葉に深い感謝と戦友への親しみが籠っていたのがこの場にいる誰にも分った。 
ジャギは高島の一撃速度と力の理想的な配分の一刀を辛うじてだが防ぎ、高島を逆に弾き飛ばすと、両腕を前に出し膝を曲げると気を練り技を繰り出した。


「北斗羅漢撃」

 無数の残像と思われる手刀の雨を作り出しながら突撃するジャギが一気に高島人形を追い込む。高島人形は生前の彼の再現の様にすさまじい動きでそれを防ぐが徐々に圧倒されている。

ジャギは羅漢撃を放ち闘気で強化された手刀で高島と打ち合いながら、この技を完全に習得した時のことを思い返していた。死して闘神と化した自分に弟子入りしてきた無数の良き男子たち、
大半は自らよりも才が低いのに死に物狂いで修業し彼を敬ってくれた。彼らは女殺しの魔物達との戦いで戦死する際も才を与えてくれなかった天を恨まず、ただ被害の収束を願っていた。

彼らの師として恥ずべき事は出来ぬと思った時、妬み、嫉み、弟子たちを殺した魔物達への憎しみと恨みすら消え去った。そして気が付いた時この技が破れることは殆どなくなり、
自分は多くの人々を救える様になった。夢想転生を発動できるようになったのもあの時からだったろうと思う。

高島の技や術を手刀の速度と剛力でねじ伏せながら彼は横島の転生先達との日々も思い返した。全く合わなかった転生先もいたが自分の男子な弟子たちは大半が彼と共闘していた。
そして彼は自分の弟子だと知ると自身でもわからない理由の為にひたすら彼らを生かすために頑張ってくれた。彼の友情がなければ天寿を全うできた弟子はもっと少なかっただろう。 
羅漢撃の中から特に早く鋭い一撃が繰り出された時、高島人形が韋駄天の型という女尽流の技でアリスの盾となり霊波刀で彼の手刀を受けた。 自らの一撃を一時的とは言え受け止めた人形に僅かに驚きながら彼は言う。

「アリス、横島の奴に霊力を注いだお前への愛があっても怠惰に堕とされた霊力を注がれた高島人形では羅漢撃は防ぎきれん。死に物狂いでお前を護ろうとする横島なら防いだだろうがな」

 そこまで言った直後に高島人形がジャギの手刀で霊波刀ごと貫かれた。そして彼の手刀がアリスに迫った時、アリスは人形たちを動かし一撃もらう覚悟で迎撃しようとする。
その瞬間脱力させる快楽で完全に動きを止められていたはずの横島の目に光が戻り。高島人形が使った韋駄天の型を繰り出した。高島人形と比べればまだ未熟な動きだったが、
彼はジャギの一撃を霊力で生み出した盾で防ぎぬいた。全身の霊力を一転に集中させ、正確な一つを読み取り受けきった彼をジャギは小気味よさそうに見ながら言った。

「こんな風にな。 これで怠惰界はクリアだろう」

「ええ」

 ジャギに敗れて負けを認めたアリスの様子は明らかに憑き物が落ちたようだ。おそらくは魔女としての性を思う存分に発揮して発散した後、ダメだとは思うがやってみたかったことがだめだと実感できたのだろう。

 ジャギを見て疑問と懐かしさを覚えている横島に向けて彼は言った。

「まあ、普段はこんなバカ女じゃないんだが、魔女としての業がお前が傷つく姿を見すぎて溜まっていたんだ。今回の件で落ち着いただろう」

411 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:27:15 ID:oSDnTyKy
そういうと、瞬間移動すら思わせる足取りで去っていくジャギを見て横島は思う。自分の中でアリスを護りたいと思う気持ちも強かったが、
彼に無様な姿を見せたくないという思いもあったと。前世では多分相当深い戦友だったのだろう。

 戦いを終えた後ジャギは、怠惰界の森で瞑想し過去を思い返していた。自分の弟子たちを常に守るために最善を尽くしくれた横島の転生先と彼の妻達。
アリスはその中でも人形劇をやっているだけに子供な自分の弟子の面倒をよく見てくれていた。

 全てを思い返した後、彼は独り言を漏らした。

「悪いな、ジン。多分大丈夫だとは思ったが、弟子の面倒を一番見てくれた女が愚妻に堕ちるかもしれない状況をみてられなくてな」


 怠惰界を超えた後、横島はアリスと向き合い話していた。

「忠夫、今回は試練の域を辛うじて出なかったとは言え、私は貴方に超えてはいけない線を越えたかもしれないわ」

 沙汰を待つ罪人の様な声を出すアリスに横島は笑いながら答えた。

「恥ずかしいシチュエーションは勘弁やけど、アリスちゃんとのエロめっちゃ気持ちよかったで。アリスちゃん俺が隠居したら恥ずかしさ控えめであの酒池肉林をもう一回お願いします!」

 裁判を思わせる空気を壊し、とびかかってくる横島にアリスは嬉しそうな笑みを浮かべた。彼女は彼を押さえつけ言う。

「毎回貴方は冗談めかして嬉しいことを言ってくれるわ。でも今日はやめておいて。今度は試練じゃない本気の誘いをかけてしまいそうになるわ」

 本気の誘い。その言葉を聞くと彼の背筋が一気に寒くなりアリスにされた行為をすべて思い出されてくる。
何もしなくてもあれが与え続けられる状況が想像でき立つことすらままならなくなりかけると、いつの間にか来ていたマイが彼を支えてくれた。

「落ち込んだ女権国家の女性に優しくするのはかなり危ないのよ。 ほらあんたを完全回復させるのは私でも少し時間がかかるから、とりあえず戦線復帰させて、修行さながら癒すことにしたから、急場しのぎできる娘を連れてきたわ」

 マイがそういい指示した先に狐面をつけた赤い羽織に身を包んだ少女がいた。その少女は不意に狐火を思わせる日を放つと玉藻の姿へと変わる。

「ご主人様、マイさんが貴方のケアに時間がかかるそうなのでそれまで戦うモチベーションを与えにやってきた良妻九尾ちゃん参上です。玉藻の前でもチェフェイでも羽衣狐でもお好きな様に呼んでください。 
ご主人様が少しロリコンに目覚めたと聞いて少女姿も練習させてもらいましたぁ」

 ここまでは冗談めいた口調で良い不意に、妖艶で恐ろしい目に変わると彼の眼をのぞき込み言葉をかけてきた。

「ご主人様ぁ、ちゃーんと全ての魔界を踏破してきてくださいね。 私の担当は最後の魔界貪欲界。そこで一番過激な快楽をご用意してありますから、――貪欲界で会いましょう」

 貪欲界で会いましょうという言葉に妖艶極まる言葉が籠っておりそれを聞いた彼はトラウマをさらに刺激された。にも拘わらず体は他の魔界をすべて踏破するという意思に満ちていた。
快楽のトラウマと期待の超過で彼が倒れるとマイがそれを抱きとめる。彼女は横島を抱えるとトラポートを唱えどこかへと転移した。


 静謐な蒼い月にどこまでも映える神殿で。そこにマイがいた。今の彼女は見かけ通りの冥府の厳格などこまでも純白が似合う天使に見える。彼女は両の眼を閉じながら水の中に着けた横島に回復の光を注ぎ続けている。不意に大きな魔力の奔流が起こった。
世界そのものが切り替わるような大きな違和感が生じた刹那に、神殿の中に来訪者があった。その来訪者は赤い衣装に身を包んだ銀色の髪をした麗人=神綺は感謝のこもった目で横島を見ながら、慈母の様な目でマイを見て問いかけた。

「マイちゃん。今回はどう」

「ええ、私の予想通りだったわ。ちゃんとアリスの溜まりすぎた業を発散させて、そしてその後のケアもちゃんと忠夫がやってくれたわ」

「なんだかんだ言ってマイちゃんもアリスちゃんがかわいいのね」

「妹ですから」

「次の魔界も彼にはきつそうね。作った私が行っていいことかとも思うけど」

 心底申し訳なさそうに言う神綺をよそにマイは笑いながら答えた。

「きついことはきついけど、愚弟は折れることは多いでしょうけど最後には必ず立ち直りこの魔界を踏破し、強くなりますよ踏破します神綺様」

 珍しく敬語で真面目な口調で話すマイに神綺は頬を綻ばせる。女権国家と異なる世界に来て、多くの災難が待っていそうだが、彼と共にいれば娘達はそこまでひどいことにはならないだろうそう信じ切った目をしている。
神殿を美しく彩る蒼い月がそれを保証しているかのように輝いていた。


412 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 23:50:47 ID:21nDh4++
乙です

413 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 23:56:46 ID:oSDnTyKy
>>412
ありがとうございます。
あちらのシェルターの方にも書きましたけど、ミスして字が入ってなかったところがあります。
>>390の一番最初の所に『シャーリー」が入り>>395の初めに『この』が入るはずでした

414 :名無しさん@狐板:2022/05/25(水) 11:58:59 ID:JDQxEwJp
乙でした!

415 :413:2022/05/25(水) 17:18:55 ID:3sAQSKmO
>>414
乙感謝です

416 :名無しさん@狐板:2022/05/25(水) 21:42:40 ID:3sAQSKmO
すいません脱字報告です。
>>409のジンのセリフ「ええ、ジャギ師匠曰く恐らくは貴女達の倍くらいになっているだろうと」は
正確には「ええ、ジャギ師匠曰く恐らくは貴女達の予想の倍くらいになっているだろうと」です

417 :名無しさん@狐板:2022/05/29(日) 16:40:49 ID:JVZPqTAB


418 :名無しさん@狐板:2022/05/29(日) 16:40:56 ID:JVZPqTAB


419 :413:2022/05/30(月) 23:21:05 ID:s5GW2u3z
>>417
乙感謝です

420 :名無しさん@狐板:2022/06/02(木) 21:21:19 ID:B82OSa4K




43−B
レア度 ☆☆☆
基本買値3000m 売値1600m
【アイテム】スティムパック
【内容】
使用者に瀕死からの回復効果と短時間のリジェネ効果を与える救急アイテム
回復力自体は毎ターン2回復を数ターンだけとかその程度の効果だが、安価な救命アイテムである。
安価で使いやすく、量産や保存が効くので救急セットや軍隊用に使われる。

魔法薬に比べると即効性も回復力も低い上に、副作用として性欲が凄まじくたまる、
薬理作用が云々かんぬんで精子精液がモリモリ増産される等の欠点もある

つまり死ぬ寸前まで絞られた後これをぷすられてまた絞られるという無限ループが可能

搾られているときは大丈夫だが、戦闘で3本以上は体が危険なため使えない。
つまり3本以上持っていて2本使って負けるとこれをぷすられてまた搾られる

HP0時、HP1d5で復活、状態異常回復も状態異常耐性、誘惑耐性、拘束耐性やや低下

なかなか内側に残った液体は吸いにくいので念入りに執拗にちゅうちゅうする。
あなたのことじゃなくてこのアイテムのことです。

52-B

レア度☆☆☆
基本買値6000m 売値4800m
【アイテム】ジッポー
【内容】
オイル交換式のライター。蓋の開閉時、良い感じの音がする
もし誰かが求めているのならば、そっと『火』をプレゼントしてあげよう
 僅かだろうとはいえ、きっと貴方に良い印象を持ってくれる筈
プレゼントした『火』は無くなってしまうだろうけど、ライター自体は無くならない。気軽に使ってみよう
無論、このライター自体をプレゼントする事もできる
……意外と高い

火を貸してほしい。その熱量、情熱を。


13-B
色隠しのスカーフ  レア度 ☆☆☆  基本買値 7000m 売値 3500m

装備兼好感度アイテム
特殊な効果のあるスカーフ。ネクタイもある。
見た目は普通のスカーフだが、首もとに巻くとその人の色、印象や気配が抑えられる。
つまり地味に見えたり影が薄くなる。あくまで抑えるだけで姿が消えたりするわけではない。
お忍び等に使われることもあるがあまり普段使う人はいない。ただ少し変わった使い方もある。
それは巻いたスカーフやネクタイを弛めると、そこから押さえていた色が噴き出し、
濃縮された色気等が弛めた方にいた人にかかるというもの。噴き出すのは一瞬だが
抑えていた時とのギャップで魅了しやすくなるので、これを巻いて近付いて弛めてから
誘惑するなどの使われ方をすることもある。
なお、これを異性に贈るのは「自分にだけ魅力を見せて欲しい」という意味に取られるらしい。

「魅力を見せて欲しい」。
「堕としてくれ」「溶かしてくれ」と同義語かもしれない。


40−C
レア度 ☆☆
基本買値2500m 売値1200m
【アイテム】ヒール・ポーション
【内容】
外傷治療に使われる魔法薬。飲んで良し、かけて良しと使用方法は多岐
品質にもよるが、高品質なものだと自然回復が困難な負傷でもたちどころに回復させる事も
品質の上下幅が非常に大きく、買ってみるまで品質が分からない。
よほど引きがよくなければ基本的にはただの回復薬
心の傷は癒せない。


18-B

【アイテム】勃起ガス手榴弾/臼砲弾  基本買値 8000m 売値3500m レア度 ☆☆☆
【内容】攻城用や突入用の「人道的」兵器として開発された特殊な武器で、それまで使っていた焼夷剤の代わりに媚薬が仕込まれている
ガスを吸った男は勃ちどころに射精寸前となり、女は男性に襲い掛かりたくなって戦闘の意思や能力を削がれてしまう(対男性除く)
ただし、これに充填されたガスは錬金術ギルド製の製品より安定重視で効果が小さく、開けた場所での効果は薄い。覚えておこう。

解析のために本国に送ってよし、突入前に投げ込まれるもよし、
返事を引き延ばす主人公に我慢ならなくなった味方キャラに部屋で炸裂させるもよし
特に味方によるブッパはため込んだ性欲も相まってデロデロの甘々セックスになるだろう

味方に持たせてもいい。うかつに持っていると奪われて使われてしまうかも。

人道的な兵器の使用が人道的な結果につながるとは限らない。


82‐B
レア度☆☆☆
基本買値4000m 売値2000m
【その他】変換ミミック
【内容】どこかで人為的に開発されたらしい、物品を主食とするミミック。
どうも不可思議な何かが体内で起きているらしく、このミミックに食わせたアイテムは単一の何かに変換されて吐き出される。
変換基準は価値の釣り合いらしく、複数放り込めばそれだけ価値の高い一つのアイテムとして帰ってくるだろう。
なお、金銭を直接変換することは不可能。 また価値基準は女権国家内の相場が適用されるらしい。
また、吐き出されたアイテムは通常アイテムとなんら変わりないが、もうミミックは食べてくれないことに注意しよう。
使えば使うほど変換するときにいいものが出て来やすくなるかもしれない。
付喪神ではないが、愛着を持つほど長く扱うと自我を持つようになるかも知れない。
たくさん食べさせてね。いつかあなたを食べられるように。





421 :名無しさん@狐板:2022/06/20(月) 23:07:11 ID:dBJ1olRt
女権国家父の日SS

 これは現在シェルターで連載中の女権国家の二次創作SSです以下の注意書きがあります。

@現在連載中であるため、キャラクターの設定や人間関係は本編と大きく異なるかもしれません。
A父のSSだけど一日遅れです。
B愛歌の能力は原作より低くなっている魔術師ですが。女権国家本編ではそんなではないかもしれません。
C人間関係は現在の女権国家から数か月後から1年たっておりそれなりに全横島ヒロインが仲いい設定で書いています。
D途中に出てくる『帰れずの森』はこのSSオリジナル怪異であり。本編には出てきておりません。またヴィヴィオの設定もダイスで決まるためこのSSオリジナルです


 女権国家の日付が変わる直前の深夜に町と野原の境界の場所を緊張感のある面持ちで歩む三人の男達がいた。鋼を思わせる筋肉に身を包みながら、一切の隙を感じさせないヘルメットの男と赤いバンダナをしたそれなりに整った顔でありながら、
どこか抜けたところもある男、そして最後の一人は一見すると少女を思わせる様な容姿でありながら、二人以上に隙が無い武道全般に長けた様子の少年だ。

 硬い表情のまま細心の注意で歩みながら、明らかに野原から町の側に境界を足を超えた瞬間彼らは不意に安心した表情になり警戒を解くと少女に見える程の美少年が口を開いた。

「安全地帯に到着。任務完了だね。忠夫、ジャギ」

「ああ、こんかいの依頼。『帰れずの森の怪異』とやらはこれで除霊、もしくは大幅に弱体化したはずだ。 横島、家に戻ったら浄化を頼む」

「任せとき、けどワイから浄化されても、きちんと三日以内、遅くとも一週間以内には神殿か神社でちゃんとした処置を受けるんやで」

「ああ。分かっている」

 愛歌相手に英雄になってやると約束した横島は、かなり真面目に修行などをしていた。ジャギや大鳳の為にユウキのスパルタな訓練にもかなり真剣に挑める気質の彼は、愛歌と約束してからは英雄らしい行動を心掛けた。
また生前の記憶をある程度取戻し、魔術師の様な事ができる愛歌からの指導も彼に眠る霊能を目覚めさせる要因となった。
彼が英雄となると決めた時にやれるのかと聞いた大鳳への返答は彼らしかった。

「正義の味方とか品性あふれる騎士とかは無理やけど、英雄ならどうにかなれるかもしれん。途中がどんなに情けなくても、大きな善行を成し遂げれば英雄を名乗れるしな」

 そう答えた後の彼は、なるべく情けない行動を割けるようになりもともと性欲を除けばそこまで悪くなかった素行も大分、良くなった。 愛歌は明らかに彼のストライクゾーン外なのにこの頑張りを疑問に思う大鳳とジャギに彼は言った。

「一応依頼の為とは言え、約束したからな。それにガキ相手に約束を『守れない』のはまだしも、『守らない』のは最低すぎるやろ」

 そう答えた後の彼は日ごろから愛歌に対する対応が最も女性に好かれやすい行動を意識せずにするようになっていった。 好みではない女相手程ああいう対応ができるのだなと、二人は少し呆れつつ、ああいう対応が誰にでもできれば王国にいた時からもっとモテたのでは、と思う。
 子供の頃から人柄を知り、彼を好いているユウキ以外では彼が大人になってから落とした初めての女性だったのかもしれない。

 そこまで考えた頃に彼の術が自分たちを蝕んでいた森の妖気を浄化してくれたことに大鳳は気づいた。最もここまでしてもらわなくても、今回の怪異の性質上大丈夫だった気もしなくもないが。
今回の怪異は森そのものが本体であり、森を舞台にした幾つもの恐ろしい怪談が融合してできた存在だった。 途中で出てくる敵を何度倒しても無駄であり、怪談の幹部『助からない』を壊して生存した時この怪異は怪談のロジックが崩壊して消えるか大幅に弱体化する。
誰か一人でも生存してしまった時点で怪談のルールが、怪談が生み出した怪異に向かって、『無事に誰かを返した時点でお前なんか『帰れずの森』じゃない!』と断じてしまうためらしい。


 森から出られた時点で大幅に邪気は弱まり、街に入れた時点で風前の灯近くなり、ギルドに依頼達成の報告をした時点でほぼ完全に脅威は消えた。最も今回の依頼の収益は危険度の割には安かったが。 
この怪異との戦い方は、映画や小説であり得る死亡フラグを徹底的に避けることにあった。愚行を慎み、欲望に流されず、増上慢をせず、仲間内で不和を起こさない。ここまでやってなお、『怪談の現場に行く』ということをしてしまった以上は死ぬ可能性はゼロではなかったが無事にやり切ることができた。

 依頼の報告を終えた横島は、ギルド職員に念のために釘を刺していた。ギルド職員を信用していない、訳ではなくうっかりと忘れてまた死亡者を出し、怪異に力を蓄えさせるのを危惧しているようだ。

「ですから、しばらくは言われたことを順守するような人たちばかりを森に入れて、森の恵みが多い時とかは必ず帰還の時間を夕暮れよりだいぶ早めにすることを順守お願いします。それとこのギルドの人達は怪異の残滓に操られたりしない様に月に一度は神殿か神社でお祓い受けてください」

 ギルドの職員の女性も神妙な表情で頷いている。

「はい。分かっています。 冒険者は無事に帰れない事も多いとは言え、あれほどの実力者な方々が連続で帰ってこないのは異常でした。 それを突き付けられても危機感を持っていなかったことが恐ろしいです。今ではそれがどれほど異常な事態かわかります」


絶対に横島の言うとおりにしようという意思の籠った職員の頷きを見た後、職員に依頼の額を告げると驚かれたがこれも怪異に対する対策であり、欲張った行動は怪異を強化しかねない、と教えると納得した様に頷き、恩に感じたのか困ったことがあればできる範囲で便宜を図ると約束してくれた。

 依頼完了の手続きが済んだ時怪異の力が完全に消滅したか、無に等しくなったのを感じ取った後、横島はジャギと大鳳に礼を言った。

「ありがとうな二人とも、少しばかりだけどワイが愛歌を怒らせてもうて、その対処に付き合ってもらってすまんな」

「構わねえよ。今回の森の戦い俺も得られるものも多かった。少しきつめの鍛錬がしたいと漏らしていただろ」

 ジャギは今回の依頼の同行を頼まれた時、横島が自分の愚痴を聞いていたから気を使ったのだと思っていた。だがそれを横島が素で忘れていて、愛歌を少しだけ怒らせるようなことをしてしまったのが原因でこの依頼を受けることになったと聞いた時、
呆れつつこの森への出撃が義務になった公僕の娘に泣きつかれたのもあると聞き彼らしいと笑った。 大鳳も愛歌と彼が付き合うことになった理由は自分にも責任の一端があると思ったのと、女権国家の人間とは言え、
善良な人間が怪異にむごい殺され方をするのを放置するのは気分が悪いというのもあった。

 愛歌を怒らせた原因を聞いた時は二人とも本気で呆れたものだ。 寄りによって自分に懸想した彼女が、少し寂しそうにしていた様に見えたらしく(それは彼の勘違いだったが)その時丁度親子がそばにいたのを見て、早合点した彼はいい笑顔でこう言ったのだ。

「幽霊とはいえおこちゃまだし、父親恋しいのは仕方ないな。ワイがパパになってやろうか」

 女権国家の女性相手に本気で惚れた男がする子ども扱いは、おばあちゃん扱いやおばさん扱いと並んで危険だ。愛歌はそれを聞くと怒っていますという笑顔でこう言った。

「お父様の格好いいところ見たいから、英雄らしく大勢の人を救ってきてくださらない」

 そして渡されたのがこの依頼だ。 わざわざ父の日が帰還日になるようにする当たり、彼女の嫌味とあてつけっぷりがよくわかる。だが横島の霊能を成長させ、本当にどうしようもなくなったら自分が助けられる依頼のレベルにしてある辺り彼を英雄にしたいのが分かる。


422 :名無しさん@狐板:2022/06/20(月) 23:09:55 ID:dBJ1olRt
 戦闘が終わって帰った彼を愛歌は輝くような笑顔で迎えた。

「忠夫、おかりなさい。少しは懲りた」

「あ、ああ。自分を好きになってくれている女性相手に子供扱いは本当に配慮が足りんかったな。ジャギと大鳳にどこが悪いのか滅茶苦茶言われたわ」

「分かればいいわ。明日、いいえ既に今日は父の日だから夜食を食べて休んだらたっぷりと私に奉公しなさい。お父さんが欲しかったわけじゃないけど、
一度パパになってくれるといったんだから、『明日はパパになってね』色々と年相応のわがままを言わせてもらうから」

愛歌の嗜虐的な笑みに少し引きながら彼は答えた。

「あ、ああ」

 上機嫌で帰る彼女を見ながら明日はきつい一日になりそうだと彼は思った。

「それじゃあ、寝て起きた後の為に夜食を取ったらお風呂入って寝ちゃいなさい」

その言葉を聞き横島は大いに喜んだ。愛歌が作っているのか否かはわからないが彼女の出してくれる料理はおいしく体力が回復しやすい。台所に戻る彼女に彼は跳ねるようについていった。

 愛歌が出してくれたカレーは風呂に入る前には出されたものとしては最高だった。やや冷え気味だった体を温めてくれる上に、きちんと出汁がとられた味が美味であり、
特にぎりぎり歯ごたえが残る程度に軟らかく煮られた舌の上でとろける様な肉の味が特素晴らしい。
スプーンを早く口に運び、何度も水を飲みながらそれが汗に変換され、彼はそのまま風呂に入ると直ぐに布団に飛び込んだ。

 次の日に彼は、ジャギが愛歌に注意を促す声で目を覚ました。

「――、とまああいつはスペック高いけど、そこまで万能じゃないからあまり無茶させないでくれよ。そら気のある男から子供扱いされたら頭にくるのもわかるけどな」

「ええ。彼なら必ず生きて帰ると確信していたけど、あそこまで危険だと本気で嫌いになったと勘違いされちゃうかもしれないからね。今後は慎むわ。多分ここまでするのは『今回』が最後よ」

「ジャギ、すまんなきつく言えない俺に代わって注意してくれてたんか」

「ああ、悪気がないからと言って今回みたいなことをいくらやられても大丈夫だと勘違いされちゃ困る。今のお前は欠けるとかなり困るくらいには戦力が大きいんだ。『いないよりはいた方が良い』ぐらいの実力だったころと同じノリでいられると本当に困る」

「分かっとるで、だから生き残るためにも愛歌の機嫌を損ねんように動かんとな。ジャギ今日は父の日だから、お父さんらしく彼女をエスコートしてくるわ」

 横島が手を引き愛歌を連れて行く姿を見ながらジャギもほっと胸をなでおろした。 本格的な神殿などでの対処を一緒に受けようと思って声をかけに来たが今の様子なら大丈夫だろう。 
 のちになってみればこれはジャギの間違いであった。女権国家の女生徒の付き合いが浅く、惚れた男にカチンとくることを言われた女権国家の女性の恐ろしさを大鳳とジャギと横島は、『理解』はしても実感できていなかった。 
愛歌が礼儀をわきまえた行動をとる彼らに対して良識的だったというのもある。そして愛歌が横島に本気で好意を持つ前はお子様扱いに対してもそこまで怒らなかった様子を三人が見続けていたというのもあった。
 よりによって久しぶりのお子様扱いが本気の地雷となる時にやってしまったと気づけた者は果たしていただろうか。

 愛歌に連れられて横島は路地裏でギルドからもらった多額の報酬を使って子どもたちに食事と職業訓練などの費用を出した。 霊波刀と自家製の札で片付いた為、報酬を最低限にしたにも関わらず準備費用と合わせるとかなり多額の額に『なってしまった』のだ。
今回の依頼に限ってはこれはよくないことだ。怪談の土地で得た多額の金を得た者の末路という、
怪談のお約束の死亡フラグをへし折るために自衛のための浄化の儀式と欲張りすぎない程度の利益の買い物以外では善行と言われる行動で使い切った方が良いと愛歌に言われた。 
今回の依頼は本当に手ごわいだけではなく後処理も面倒くさい、と彼は思った。今回の依頼で得たあぶく銭な大金を善行で溶かしきった時、完全にあの森が産んだ怪異の死亡フラグは消え去ると愛歌は言った。

 路地裏の子供たちの為に動く慈善団体に金をすべて渡した時完全に体が軽くなった感じがした。 そして怪異の断末魔に似た霊気の流れを感じたが僅かな違和感を彼は覚えた。

『今の霊気の感じ完全に無害になったか屈服して使い魔に落とされた様な気配だった。消滅や死亡とは少し違う気がする。 ま、ええか。多分無害になっただけやろ。さすがにあんな森を使い魔にするとかできるやつおらんやろ。一応後でギルドに報告しとくか』

 そこまで考えた直後に彼は悪意のない衝撃を受けた。抱き着かれるようなタックルを受けて、踏ん張るとそこにはオッドアイの目をした金色の髪をした少女が彼に飛びついてきていた。この路地裏で昔弁当を上げた少女、ヴィヴィオだ。彼は受け止めるとどうにか苦笑したのち頭を撫でた。

「おお、ヴィヴィオかしばらくぶりやな」

 本当は彼女はかなり良いところのお嬢様らしく、複雑な事情でこういう路地裏にいた時もあったらしい。彼女がかなり自分に好意的なのも横島は気づいてはいる。事実かは疑わしいが、
自分と会った記念の場所だからとここら辺の路地裏にも自分の家の権力で慈善事業をさせ始めたという噂もある。 
愛歌をお子様扱いした日当たりからヴィヴィオを見かけなくなったので、もしかしたら自分が数日留守にするという情報をどこからか得たのかも、と横島は思った。

 自分を受け止めて撫でる横島を心地よさそうにヴィヴィオは見上げながら不意に重要な言葉を口に出してきた。

「お兄ちゃん、怪異『帰れずの森』の討伐おめでとう」

「討伐って言うと少し微妙やけどな。 森には悪意や殺意はあったが希薄だった。どちらかというと性質の悪い怪異たちが恩恵にあずかり人を殺そうとしていたから、掃除とか鎮めたって方が正しいかもしれん」

「解決って言った方が良いかもね。 唐突だけど、お兄ちゃん私実は噂の通り結構良い家の出なの。そして私の出自は神殿関係も関わってるの」

 隠していたわけではないが進んで話そうともしていなかった話題を不意に振られ彼は一瞬の困惑を覚えたが、続きを促した。

「それで、帰れずの森の浄化にダメ押しをかけたいから同行してくれないかな」

 横島はヴィヴィオの言葉に少しだけ悩んだ。 放っておけば消え去る可能性の高い怪異を早期に消そうとするのは映画などの続編のホラーだと破滅フラグだ。物語から生まれた怪異が相手である以上はそういうフラグもバカにはできない。
だがここで子供を見捨てていかせるのはもっとだめだと彼は思う。腰抜け主人公が良識より、安全を取るのはホラーにおける、より大きな破滅フラグだ。 表層意識ではそう思いつつ、ヴィヴィオを見捨てることができない自分の良心に気づかないまま彼は同行を承諾した。

 ヴィヴィオに同行を申し出た後、最初は恐ろしいという感情もあったがヴィヴィオが連れてきた多数の女性の神殿騎士や浄化のための物々しい神職らしき人々を見た時、むしろ警戒心を捨て去ってしまわない様にすることに彼は苦心した。
 途中で大鳳やジャギと共に何度も危機を味わった場所を幾つか通ったおかげで、生々しい打撃を受けた記憶や霊波刀で敵を紙一重で切り伏せた記憶が蘇ったが、それがなければかつての危険な場所で気を抜ききってしまうという死亡フラグを達成していただろう。
 現実の戦いなら運が良ければ死につながらない様な愚行も、怪談が産んだこの森では絶対に負傷や死につながる。

 ヴィヴィオの話に付き合いながら彼は、この森の脅威をなくすためにアリスが森の『怪異としての死を』人形劇で上演すると聞いた。 そしてユウキもアリスや愛歌の助手として浄化の手伝いをすると。
 森に一応の引導を渡した横島がその人形劇に上演に立ち会うこともこの怪異を滅ぼす儀式なのだろう。 警戒しながら森を見回す彼に不意に愛歌が艶を含んだ声をかけてきた。 性欲の対象外な彼女相手にすら耳がしびれる様な声だ。


423 :名無しさん@狐板:2022/06/20(月) 23:11:17 ID:dBJ1olRt
「私の英雄さん、さっきから随分と森を観察しているけどただ恐れているだけじゃないんでしょう? 何があったの」

 愛歌の問いに横島はありがたいという思いと、作業を妨げられた苛立ちが半々くらいの様子で答えた。

「あ、ああ。愛歌はもう知っとるかもしれんが、この森は帰還者が少なくてそれが想像力を掻き立て、多くの怪談の舞台となった。そして怪異『帰れずの森』はある程度傑作だった怪談や怪異を、全て出現させられる。 そして侵入者と一番相性の悪い相手をぶつけてくる」

 横島の発言を引き取るように愛歌は言葉を返してきた。

「ええ、だからこそオールラウンダーな貴方の修行には一番と思ったのよ。大鳳くんやジャギさんを助けて、いい経験になったでしょう」

「ああ。 質問に答えている途中にすまんが、少し気になったことがある。 今回俺たちが襲われた怪異は全部愚行を犯したり、約束事を破ったりしなければ生存率が上がる怪異が大半だった。 
一応理不尽でどうしようもない怪異も出てきたけど、それは本当に最後だけだった。 傑作と言える怪談は俺たちが最後にあった怪異以外にもいた気がするのにどうしてだろう」

「ああ、それね。 一応だけど『帰れずの森』だから、愚行を犯したり約束を破ったものを死なせる、怪談との方が相性がいいのよ。 なんの落ち度もない相手を理不尽に殺せる強力な怪異は出現させるとコストが大きい上に、あまりうまく操作できなかったのよ、多分。
 最後は森から脱出されるよりはマシって判断でぶつけてきたけど、そうでなければ恐怖や混乱で愚行を犯させたりして死なせる怪異をぶつけた方が良いと判断していたんでしょう」

「そうなんか、人間の犯罪への恐怖が産んだ都市伝説、自然が産んだ妖怪とかの怪談の違いかもしれんな」

「ええ。それで私の質問にも答えてもらえる?」

「実を言うと、何も起きないけど以上に怖かった場所があったんや。 急に恐怖が襲ってきて、ジャギもワイが叫びだす一歩手前なくらいにビビっていると思い、殴って気絶させようか本気で悩んどった。 
ジャギの奴は自分が感じ取れないってことは、霊能力のあるワイだけが気付けるものだから、気絶させるとダメかもって思ったようでな」

「それでその事態をどう対処したの?」

「気配を殺して隙を見せない様に最新の注意を払いながら安全地帯まで逃げた。あそこまで怖いのは生まれてきて初めてだったかもしれん。もしかしたら恐怖を与えて隙を作り死なせる怪異で、恐怖で取り乱さなければ何もできないってやつだったのかもしれん」

「そうなんだ。 それでさっきから見ていたのはその場所が近そうだったから?」

「ああ。 一度怪異が完全に消え去った後のあの場所を見ておきたかったんだが、似たような景色ばかりで、愛歌と話しているうちに通り過ぎたかもしれん。ここらへんだったのは確かだがな」


「そうなんだ。邪魔してわるかったかしら? でも少し忠夫の様子が尋常じゃなかったから気になっちゃって」

「いや、いいんだ。 あの場所だと確信して足を踏み入れるとよくないことが、起きるかもしれないからな」

 ヴィヴィオが聖王の血縁者であり、彼女の浄化の力の凄まじさを見ていなければ横島はこの森のこの辺りに来ることは拒んでいたかもしれない。 しかし、今ではこの森の浄化の儀式がここらへんで行われると聞き、呪いの幹部となった場所なのかもと思ってもいる。

 浄化の儀式と宴が行わる場所に着いた時、横島は本当にこの森は似た部分が多いと思った。 これでは見分けがつきようもない。 そこに上機嫌なユウキと人形師としていつもより淑女らしい気配に身を包んだアリスが待っていた。

「忠夫、怪異帰れずの森の解決おめでとう。 最近の忠夫は本当にすごいね。やっぱりやる気を出すと凄かったんだ」

「ユウキ、お前のおかげでもある。特訓に付き合ってくれてありがとうな」

「君の頑張りが一番だよ。 それと僕は、今日愛歌に父の日の行事付き合ってって言われれているから、後で二人でお邪魔するね。
 愛歌をあまり怒らせちゃだめだよ。多分凄いお仕置きされちゃいそうだから」

「あ、ああそうやな」

 ユウキの言葉に若干嫌な予感を覚えながら彼は頷き事態を待った。 ユウキが元気よく走り去ると、横からアリスが声をかけてきた。

「忠夫、今日は本当におめでとう。 あなたの偉業をたたえるためのとっておきの人形劇を用意しておいたから」

 そう言って礼をしてくるアリスに横島は嬉しそうに頷いた。

「アリスちゃんの劇の主役になれるとか本当に光栄だな」

 二人と別れた後、横島は主にヴィヴィオと愛歌の相手をしていた。 これは異常な恐怖を感じたあの場所の近くにいる以上、
聖王の任命を受けてたいていの怪異なら近づいただけで浄化されるヴィヴィオと愛歌の二人といた方が安全であるという打算の為もある。愛歌が横島を冗談でお父さん呼ばわりしてまとわりつくのを見ながらヴィヴィオは少しうらやましそうな顔で見てきていた。
それを察して横島は声をかけてしまった。

「ヴィヴィオ、やっぱり寂しいんか」

「いい人が周りに多いから不幸だとは思わないけど、やっぱり温かい家庭に憧れたりもしているの。お兄ちゃん、父の日だからパパになってくれない?」

「ああ。構わんで」

 何の気なしに答えたその言葉が何か凄まじい強制力を自分に課す感覚を覚え一瞬不思議に思ったが、彼はそれを黙殺するとヴィヴィオを抱きしめようとした。彼女は明らかにそれを嫌がっていない様子でかわすと笑顔で言った。

「まだ、公務が残っているからそれが終わったら残りの時間たっぷりと遊ばせてもらうねお兄ちゃん」


 幼く無邪気な彼女の言葉に謎の恐怖を感じながら彼はそれを黙らせるとアリスの人形劇の上演の声を聞きその場に向かった。


 人形劇が上演された時、ヴィヴィオは聖王としての玉座にかけており子供の彼女には不相応に見える大きく華美な椅子だが、あくまでもヴィヴィオに不相応なのは大きさだけで、王としての正装に身を包んだ彼女は椅子の華美さには負けていないと横島は感じた。

 ヴィヴィオの意向で彼が座る席の横にはユウキと愛歌が座っている。 ヴィヴィオが見立てたイブニングドレスに身を包んだユウキはその隠れ巨乳が一切隠れていない。 
横島は目のやり場に困るという事態に陥ったのは僅かな時間で、アリスの劇が始まると直ぐにその劇に釘付けになった。 帰れずの森に愛歌からのお仕置きめいた要請と、身内の命の危機に泣きついてきた娘の懇願に負けて、
出向いた自分と大鳳たちの戦いをリアルに再現しており、その人形劇を見ていると自分のよくできているところとダメなところがよくわかってくる。 時に荒々しくジャギが怪異を蹴散らすのに霊波刀を使い協力し、時には術で借り物の破邪の剣を振るう大鳳を援護する自分の様子を見て、
ジャギと大鳳の凄まじい戦闘力が改めて再認識できた。 ミクは霊能に目覚めてからの横島をあの二人と一緒戦い、援護できているだけで十分凄いと評価してくれたが、それは半分は自信をつけさせるためのお世辞だが、
半分くらいは本心だったのではないかと思った。 数々の戦いを経て、彼らは戦を終え森が放った最悪の怪異を三人で力を合わせて退ける場面に移った。三日たつと使い物にならなくなるが三日間だけなら、
格の低い伝説の聖剣に匹敵するギルドから支給された剣で大鳳が森からの最後の刺客を倒し。そして彼らは気を抜かずに町への帰路を急ぐ。


 警戒態勢を解除せずに済む範囲での最大の速度で彼らは町に帰還し。駆けだしたくなる衝動を抑えながらギルドに依頼達成の報告をし、その瞬間舞台の中で彼らを包む不穏な気配が消え去り大団円を思わせる曲が流れた。

 幕が下りる前に不意にアリスが横島に声をかけてきた。

「時に忠夫、この帰れずの森の最初のきっかけは何だったか知っている?」

 この質問も劇の演出の一部でもあるのだろうと分かる聞き方だったので、驚きはしたが特に場はしらけず横島は分からないと端的に答えた。


424 :名無しさん@狐板:2022/06/20(月) 23:14:02 ID:dBJ1olRt
「実を言うとこの森はかつて聖王王家の森で防衛拠点の一つだったの。そして名うての軍師であり魔術が不義なことをしてきた敵軍を迷い殺させる魔術を使い。あまりにも凄惨な勝ちとなってしまった結果、
正しいことだと分かった上で恐れられ、その時の恐怖と精強な軍ですら壊滅した印象だけが残り、この森は不帰の森となってしまった」

「そうだったんか」

「ええ。最初は正義がこの森の側にあったことが分かっていたから、恐れられてはいても忌まわれてはいなかったけど、だんだんと時がたち聖王家が一時的に途絶えてからは、
悪辣な敵軍とはいえひどくむごく虐殺した森となったの。この森は未だに聖王家に忠誠を誓っているけどね」

 そこまで言うと、アリスは不意に人形劇の幕を下ろし別の舞台となる台を取り出した。そして彼女は情欲とあざける言葉が混じったような気品のある声で劇の続きを始める。

「此度の森の災いを沈めた英雄の一人横島忠夫は自分が特大の破滅フラグを幾つも残していたことに気づいていなかったのです。 そう女権国家の女性にしかも魔女でもある幽霊に、
惚れた男から言われるとカチンとくる言葉をかけて、その怒りを鎮めずに彼女の誘導のままに忌まわしい土地に行くという愚行を犯していました。 これはこれから彼に降りかかるであろう場面の一部です」

 ユウキと愛歌らしき女性の人形が、魔術で拘束された横島の人形の股間の分身を異常なほどの熟練した手つきで愛撫している。それを見た瞬間その人形が味わっているであろう快感が、彼を襲った。 
この劇を見ているとやばい。上演されているだけでももう危ないが、ここから逃げれば多少はましになるそう思い、立とうとする彼の腕を左右に座るユウキと愛歌が掴み席に戻した。

「この劇はここからが本番でしょう。ゆっくり見ましょう。私の英雄さん」

 意地悪な笑みを浮かべる愛歌は子供扱いの発言に相当怒っていたのに、敢えてレベルの低い怒りの演技をしてそれなりの難題を与えたうえで彼を安心させて、油断させていた。
そこまでわかって震える彼を愛歌が魔力を込めてくると、不意に女権国家の女性に逆レイプされて男としての誇りが砕け散り無残なことになった部下のモヒカンたちの姿が浮かんだ。 愛歌の目をのぞき込み震えた。彼女の瞳が貴方もああなるわと言っている。

「忠夫、僕も性的に見てもらえない苛立ちはわかるし、デリカシーが足りなさ過ぎたからお仕置きを手伝うことにしたんだよ。 僕も結構性的に見てもらえなくてイラついていたからね」

 ユウキと愛歌の手の感触が激しく欲情を刺激してきて、そして両腕を掴む二人の手と同じ感触が彼の股間を蝕んでいく。 アリスの人形劇で二人の激しい愛撫を受けて横島がうめいた瞬間、腕を持ったまま前に来たユウキがわざと彼にイブニングドレス越しの胸を見せつけ、その瞬間彼は一気に射精した。 

「ユウキダメじゃない。彼は早漏なんだからこんな風にしたら直ぐ服を汚しちゃうでしょう」

 嘲笑われつつ、射精が凄まじすぎて腰を落とした彼にヴィヴィオが近づいてきた。

「忠夫さん、それじゃあ約束通りパパになってもらいましょうか」

 そこまで言われて横島は震えた。ヴィヴィオの言葉が臆面通りの意味ではなかったと今では分かる。 そこに未だに人形劇を上演しているアリスの登場人物を嘲笑するような淑女めいたナレーションが響く。

「彼は、安心しきっていたために誰のパパになるかもいっていない聖王様の要請に応じてしまっていたのです」

 そこまで言うとヴィヴィオが服を脱ぎ光に包まれるとスタイルが抜群の美女へと変貌した。 戦女神を思わせながら男を虜にしてやまないその体を見て横島の分身が固くなるのを見るとユウキが剣で彼の服を切り取りヴィヴィオが彼を押し倒した。

 逆レイプを受けた瞬間ヴィヴィオは喜悦に満ちた声で言う。

「どうですか? 霊能に目覚めた今神の子孫でもある聖王に閨で蹂躙されるということは、征服される行為であると魂が告げているでしょう。 大丈夫ですよ、貴方が私の機嫌を損ねなければ聖王派閥は親王国のスタンスを決して崩しません。この性行為で貴方が父になったとしても、その子供は王国の味方となります」

 ヴィヴィオに腹を触られて、一気に射精した彼は悲鳴に近い声で叫んだ。

「ヴィヴィオ様お願いします」

 ヴィヴィオは名前を呼んで果てた彼に満足そうな表情で抱きしめると口づけし、彼を愛歌とユウキに渡した。

「忠夫、それじゃあ約束通り私のパパになってね」

 慈愛すら感じさせる愛歌の美しい笑みと言葉に思考力が落ちた彼はほっとした。多分飯間の聖王である彼女に犯され征服された時点で十分だと思ったのではないか。そう思った淡い希望は次の彼女の言葉で砕け散った。

「実を言うと私女権国家の○○地区の出資だったみたいなのだからそこのパパお願い」

 それを聞いた瞬間横島の目の前が真っ暗になった。○○市は愛しているからこそいじめたい系の女性の集合体の様な土地で娘が父親を使って男を快楽でへし折る尊厳を差し出させる行事がしょっちゅう行われている土地だ。
 愛歌は笑いながら彼の分身を踏みつけ、何度も射精させた。愛歌にふるまわれた料理が彼を一切なえさせてくれない。 ユウキは笑いながら立てなくなった彼の顔に胸を当て、笑う。

「忠夫、王国男子として一番の屈辱と激しすぎる快感を同時に味わっていたら、僕のこの感触も忘れられないでしょ。 ○○地区だと娘が父に懸想した場合、母と二人で攻めるんだって。女権国家だと友血病の恐れもないらしいから」

 ユウキは愛歌の足の快感で動けない彼に無理やり授乳させると頭のツボを押すように撫でながら余計に多くの射精を促したのち、彼を愛歌が引いた瞬間に彼の分身を一気に飲み込んだ。 一気に射精して動けなくなった彼を見下ろしながら彼女は笑う。

「今後は僕も忠夫との鍛錬の時は厚着しないとダメかも。もう僕の体をこの子が覚えちゃったでしょ」

 そういうと彼女は横島の分身を乳房で挟み笑いながら抜き始める。 何度も繰り返し射精させられた彼は、ユウキが巨乳を隠さない衣装を着たら自分はまともに戦えないと確信した。

「父の日だからついでに注目してくれなかった乳の日もやっちゃおう。なーんちゃってね」

 ユウキは地獄のような快感で腰砕けになった横島に冗談を言いながらしばらく胸で嫐り続けたが、人形劇を終えたアリスが訪れると道を譲った。アリスは純粋に楽しんでいる笑顔で服を脱ぎながら言った。

「忠夫、本当に女権国家の女性を怒らせると怖いってわかったでしょう。私は怒ってないけど、今夜は貴方で魔女らしく楽しませてもらうわ」

 アリスは女性優位でありながらやさしい感じのする性行為で彼を癒すような性行為をしてきた。無数の糸で彼を包むように吸い付くような肌と重ねたからだがくれる感触が彼を大いに癒してくる。決して射精をせかさず快感を与えながらゆっくりと彼を絶頂に導いた後アリスは優しく口づけすると愛歌に譲った。

「お父様今夜はどうでしたか」

 皮肉めいた彼女の言葉に横島は土下座しながら答えた。

「愛歌様本当にすいませんでした。 本気で惚れてくれた女性に失礼極まる対応をしてしまってごめんなさい」

「謝罪は受け取ったけど、楽しくなってしまったから今夜は○○市の娘ごっこは続けさせてもらうわね」

 そういうと愛歌は服を脱ぐと少女でありながら、その雰囲気だけで男を狂わせかねない妖艶さを纏った肢体を見せると、彼にまたがりその分身を一気に飲み込んだ。
アリスやヴィヴォオ、ユウキとは違う女権国家の幼い少女の肢体がもたらす快感は彼を大いに蝕んだ。彼女は笑いながら、彼から精を搾り取るとその全てを自分の霊力へと変換していく。そして不意に思いついた様にいう。


425 :名無しさん@狐板:2022/06/20(月) 23:14:47 ID:dBJ1olRt
「そういえばこの森はもうヴィヴォオ様の配下に戻ったのよ。私とアリスは新制聖王王朝の宮廷魔術師にもなったの。 だから女権国家の怪談らしい落ちにするようにこの怪異をコントロールできたのよ」

 そこまで言われて横島は自分がここまで彼女たちの罠にはまった理由が理解できた。最初から自分はこの森にとらわれていたのだ。

「ああ、一応言っておくけど、町まで帰れたのは貴方たちの頑張りと運によるものよ。 もしもダメだったら助けてもらうのと引き換えに、魔女とかの物になる怪談落ちになる様にしておいたから。 嬉しいでしょ? 返事は」

「嬉しいです。愛歌様―!」

 快感のあまり最後は叫んだ横島を見下ろしながら彼女は言う。

「ヴィヴィオ様、アリスこれで彼は幼女の体にも欲情するようになったはずよ」

 愛歌の言葉に横島は首をひねったなぜ彼女はそんなことを言うのだろうか?

愛歌は疑問がる彼に精魔術を使い搾り取りながら言葉を続ける。魔術で動かされた腕が彼女の尻を揉みしだき、口づけをかわし余計に彼の射精の量が増えるのを見下ろしながら彼女は唇を離すと言葉の続きを紡ぐ。

「ヴィヴィオ様やアリスは少女の形態にもなれるのよ。 たまにだけどそっちの姿で貴方としたくなるんだって。 私も制裁のついでに彼女たちの望みをかなえてあげることにしたの」

 そういい愛歌が離れると、アリスとヴィヴィオが子供の姿になり彼を押し倒してきた。ヴィヴィオとつながった瞬間、一気に意識を持っていかれた彼をアリスは小気味よさそうに見ている。横島は震えた自分は初めて性欲の対象外な少女に分身を大きくしてしまった。

 愛歌が魔性めいた瞳で彼の眼をのぞき込みながら言う。

「聖王陛下の夫となった以上は彼女たちの欲を叶えてあげることが一番の責務なのだから、頑張りなさい。 子供にも欲情する変態な貴方に欲望のコントロール方法を教えてあげるから」

 アリスと繋がり、あえぐ彼を愛歌がアリスの体だけは通過し、横島にだけ触れる霊体状態にした足でアリスと繋がっている彼の分身を踏んだ。

「ぎゃー!」

「そんなに気持ちよかった?それとも踏まれたのがたまらなかった?私たちの英雄さん」

 愛歌の嘲笑めいた言葉には女権国家の女性特有の立派な男を自分の性的な術で完全に屈服させた、時の満足感が漂っていた。アリスとヴィヴィオが幼女の形態で彼を犯していることも、幼い姿の自分たちの性的魅力にすら屈服する、辛うじてだが英雄となった男という満足感と昂りもあるのだろう。

 父の日が終わった後、彼は彼女たちの足に縋りつきながら新王国派で居続けてくれるように懇願をしていた。 彼女たちは笑いながらそれに頷いてた。

「これから聖王の王配になる以上細心の注意を払いなさい。誰のパパになるかも確かめずにヴィヴィオ様に頷いたのもそうだけど、 私相手にパパになってあげる発言から○○市のパパって意味になって霊的契約を成立させたけど、こういう手を使ってくる魔術師や怪異はたくさんいるんだからね」

「はい皆さんすいませんでした」

 腰骨が砕けたように土下座する横島は内心で自分はもう、どんなに強くなっても彼女達相手との力関係はこの日の夜から動かないと確信した。 与えられた強すぎる快感で彼女達相手に立つ腰骨が砕けてしまったのだ。 
不用意な発言から自分は永遠に○○市のパパ状態になってしまったのだろう。ヴィヴィオが彼を助け起こしてテントに連れ帰る途中に彼は月に包まれた森の風景を見て気づいた。こここそが自分が得体のしれない異常な恐怖を感じた場所だった。彼はついに探していた場所を見つけたのだ。


426 :名無しさん@狐板:2022/06/21(火) 11:45:19 ID:mCrsk2va
乙でした

427 :名無しさん@狐板:2022/06/21(火) 21:04:57 ID:xVQYKJqk

ここのパパの日は「お前がパパになるんだよ!の日」の略なのかな?w

428 :421:2022/06/21(火) 23:57:13 ID:m1guhVKC
>>426
乙感謝です
>>427
はい。パパにされちゃう日って感じで書きました

429 :名無しさん@狐板:2022/06/22(水) 16:25:34 ID:yMXu62um
乙です
女は見かけや年齢に関わらず女なんだなと思い知らされました
それにしても路地裏の善行で怪談の死亡フラグを折った代わりに違うフラグを立てていたりして

430 :421:2022/06/22(水) 23:07:22 ID:/TlD7/C2
>>429
乙感謝です。
前に書いた敬老の日同様惚れた男にランクアップしたからこその地雷って感じになったと思います。
2,3年後にヴィヴィオの応急に元路地裏のメイド達とか入ってきて、横島をヴィヴィオと一緒に嫐ったり
するかもしれませんね。あるいは10年後くらいにロリ達が成長してそうなるかもw

431 :名無しさん@狐板:2022/06/22(水) 23:20:40 ID:iU1K6nJg
はたしてロリたちは自分らが成長するまで自制し続けるのだろうかw

432 :名無しさん@狐板:2022/06/22(水) 23:41:06 ID:/TlD7/C2
女権国家の女性ですから自制するとは言い切れませんねw

433 :名無しさん@狐板:2022/07/12(火) 23:10:45 ID:JwCzl0pi



32-B

【アイテム】リマヒの種・ピンク色の袋
レア度 ☆☆☆
基本買値6000m 売値3000m
【内容】「これで貴方も長持ちに!」とコピーされた、直球でいかがわしい種の袋。 早漏の直る種類……らしい。
人気がないかと思いきや、割りとよく買い占められるので、結果的に見かける確率はレア。
裏にはこんな注意書もある。「効果は微々たるものです。 効果を過信しての、男性の酷使はお止めください」
精力増強効果。

ピンクで種。もう搾られるしかないよね。




52-B

レア度☆☆☆
基本買値6000m 売値4800m
【アイテム】ジッポー
【内容】
オイル交換式のライター。蓋の開閉時、良い感じの音がする
もし誰かが求めているのならば、そっと『火』をプレゼントしてあげよう
 僅かだろうとはいえ、きっと貴方に良い印象を持ってくれる筈
プレゼントした『火』は無くなってしまうだろうけど、ライター自体は無くならない。気軽に使ってみよう
無論、このライター自体をプレゼントする事もできる
……意外と高い

火を貸してほしい。その熱量、情熱を。


53−C
レア度☆☆
基本買値2000m 売値800m

【アイテム】マインド・フラッシュ
【内容】
特殊アイテム。精神に作用する閃光を放つ道具。ペン型、カメラ型などがある。
これから放たれた光を見てしまうと判断力が低下してしまう。誘惑・交渉・催眠に弱くなる。
ただしあくまで低下なので嫌なこと、不自然過ぎることだと効果が薄く、精神力で抵抗する、
目を閉じる等で無効化されることもある。特に交渉に使う際にはカメラ型等で偽装し、
フラッシュを見せることを不自然に思われないようにすることが重要だろう。
事前に簡単なお願いを聞いて貰ってからだと効果が出やすいとも言われている。
閃光を放つこととその効果から敵に使用し、逃走する隙を作るためにも使われる。
逃走用。プレゼントして写真を撮ってもらってもいい
逃走に使った場合INT判定に有利。
相手によっては効かないこともある

写真撮っていい?えっちな写真撮っていい?えっちしていい?
これが三段活用ですか。



60‐S
レア度☆☆☆☆☆
基本買値55000m 売35000m

【アイテム】聴覚ステルススーツ
【内容】
(元ネタ・fallout:New Vegas・ステルススーツMK-U)

隠密能力を大幅に強化してくれる実験的な装備
静音性に優れていて、大抵の行動では音を発しなくなり、音を外に漏らすこともない
また、回復薬や鎮痛剤などを自動で投与してくれる優れものだ

しかも登録した人間以外には脱がせられないように設定できて貞操もばっちりガード

さらには魔法的なAIが搭載されている。
おちゃめ機能搭載のボクっ娘口調の女の子が戦闘とかを手助けしてくれます!

注意事項・回復薬及び鎮痛剤の登録は初期状態では所持しているすべての薬品を指定しています。

貞操をばっちりガード。キミの貞操はボクだけのもの。


63‐C
レア度☆☆
基本買値900m 売500m

【アイテム】精神向上薬
【内容】
精神を上向きにする薬。【抑鬱】や【じぼうじき】など、精神的に弱ってる時に使用する。
その一日の間精神を上向きにしそれらの効果を打ち消す(別の状態に上書き?)。
ただし根本的な治療にはならない為治したいならそれ用の施設へちゃんと向かうこと。
またこの薬は精神を上向きにするがその分迂闊な行動に出たり、誘惑に乗りやすくなったりする。

精神科って素敵なところだよ。


76‐B
レア度☆☆☆
基本買値3000m 売値1500m

【アイテム】すのはら印のきびだんご
【内容】
慈愛の心を持つ料理人が、貴重な植物「ネコウメキビ」を調理することで作り出せると言われるレアアイテム。
他者に手渡しで食べさせると、相手は渡した人物を甘やかしたくてたまらなくなる。
効果は完全に消化されるまで続く。
三コ入り。

お腰につけたきび団子。両方根こそぎ吸いださせてくださいな。

元ネタ:「桃太郎印のきびだんご」+「すのはら荘の管理人さん」




434 :甘蕩搾精:2022/07/31(日) 05:11:01 ID:aSfd+7RO





 「何してるの」



 「立ちなさいよ」



 「狂三」





                                              /:::::::∨/:::∠二//二ヽ  \ヽ::::ヽY^^Y::::::ヽ:::::\
                                                  /:::::::r厶ィこゝ/⌒ー'⌒く__Y⌒)ヾ::::::::ト、 ィ:::::::::::::\::::\
                                 ,..、.-...ヘ...-.,.、     ...――.、 /::::::::〈厶と∧´::::!:::::::::::::::::::::::::::::::`丁∨`j Y ユ::::::::::::∧::::::\..f´ ̄`ヽ
                  .....-―‐.、  ,....´/........′.. ∨....ヽ`..、/_...ニニ.ミ /::::::::Yく.У´::j i:i:::|:::::::::i:::::::∨::::::::::::::::∨∨`Y>:::::::::::::∧::::::::: | 忘 |
.      f´ ̄`ヽ         /...==..‐-...〉./ ヽ′....................................'....ヽ__.,:::::::::べソ:::|:::::|:|:|:::l:::::::斗一弋´::::::::::::::::∨ゝイ-ヘ⌒}}:::::∧::::::::| れ |
.      | 何 |       .〃´......._...z≦7./.........................................................`ヽミ ,::::::::::∨:::::!:L斗トi、::∨::::ィ彡≦<:::::::::::::::jト、イ:ト、ヾ、_ノj::::::::∧::::|..た |
.      | . を |   ../..._ z≦///;才./............l|..... l|.............',....................ヽ.../:::::::::::::i|::::::|:{:::::ヘ!ヒヘ::ト、::::Y'f{レハ リヾ::::::::::::∨レ' ∨ ヾ{::::::::::∧ : | の |
.      | . し . |    ,.z≦////> ,/{/.......i{.....l|.....八..............l ',..................../:::::::::::::::||::::::ト|::У云ミヾ: :\ヽゞツ′ |ト:::::::::::::\/ jj  ヾ、:::::::::i::::| ? |
.      | に..| イ/////>    〃.,′ , -―-../_ヽ....,.....}_ 斗.ヤ. ̄.....,::::::::::::::::::||::::::|ヘ::ヘ ゞツ ,: :::::::::::::::::: u: ||:::ヾ::::::::\\.}}   j::::::::j::ム__ノ
.      | .こ | ///// /     〃 |...../..l|. メ≠≧ 、 ̄.......}≠‐ ミ 、....}..,:::::::::::::::::::||::::::|:::ヘ::!             jj::::::::`ト-≧=ー〉    |::::::::|::::::::::::::::∧
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 .     | に..|/./      〃  .八/`刈   弋り   ∨ 弋り  } {:/{::::::::::/i ::||::::::|:::::::| \    ̄    / .|:::::::::::j  /ヶ'´    .|::::::::|::::::::::::::::::::∧
.      | 来 |//      {{    ヽ |.!    ̄     ,  ̄  /i! |i !::::::::{ |::::ll::::::!:::::::l  `> 、_∠rュノj:::::::::: | ∨f/    j::::::::ト::::::::::::::::::::::∧
 .     | た..|〃       .{{      `|l',             ,.}...|| |::::::::| |::::|ト:::::::、::::l    > ´ /イ∨二|:::i:::::::|ノ/}       |::::::::| i::::::::::::::::::::::∧
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435 :名無しさん@狐板:2022/08/24(水) 20:03:06 ID:aHqNaP6M
警邏隊への説明(大筋、細かい所は相手によって修正)

・まず外部に話を漏らさないよう約束して貰ってから自分が王国の諜報員だと話す
・学校卒業後、上からの命でスパイ組織に所属、ミクさんが上司(真実。スパイなのは不本意だと誤解させる?)
・女権国家の男性への虐待を止めさせたいと思っている(一応真実。来た理由ではないけど)
・立場上スパイであることを隠していたことを謝罪(まず必要。相手の反応次第で対応を変える?)
・スパイ組織に所属はしているが女権国家全体に敵意は抱いていない(真実。そも敵意そのものが薄い)
・男性への虐待を止められるなら女権国家の治安を乱すつもりはなく、むしろ可能な限り協力したい
  (真実。スパイ活動をする面でも治安がいい方が良く、女権国家自体と争うのは上の役目)
・スパイであることを明かすのは警邏隊にスパイバレするのは時間の問題というのもあるが、
  協力して貰ったりするのに騙したままなのは心情的に辛かったから(真実)
・スパイの活動を止めるわけにはいかない(粛清されそうだし)が、危険人物の情報の共有や
  捕縛の協力等をして欲しい、治安維持に有用な情報があれば伝える(協力内容、互いに不利益はない)
・個人的な事だけど、可能であれば任務の関わらない個人の範囲では今まで通り仲良くして欲しい
  (読者的な要望)

436 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:21:14 ID:eLEKoExj
 女権国家SS 女権国家でホストとして比喩ではなく本当の意味で女性の心の迷宮を攻略しつくした男の、ホストとしての引退と、友誼ゆえの悪夢の日々の始まり


これは現在連載中の女権国家の二次創作SSです以下の注意書きがあります。
@女権国家本編と関わったネタが出てきますが>>329から>>337に投降した話のパラレルワールドでもあります。そのためこのSSの人間関係はこのSS内部だけのもので本編とは関係ありません。
A明言はされないけど、味方勢力ではないエロ要因のキャラクターが大鳳くんと横島を両方を犯したかもしれない様な描写が入ります。彼女が二人としたかあるいは二人とやっていないか、片方としかしていないかは読者の方々の解釈が正解です。
Bスカサハと愛歌が二次創作をしている女権国家に出てきたためと、自分がFGOファンな為にFGOのキャラが出張ってきています。
CFGOのキャラ達については他の二次創作などの影響も大分受けているところがあります。
D負けありきのMシチュ用とはいえ、勝ったらSシチュになってしまうアイテムが出てきます
E大鳳くんのヒロインで畜生だと本編で明言されてないヒロインを畜生として書いています。
FこのSS内ではミクさんの大鳳くんへの好感度は滅茶苦茶高いです。
G大鳳くんが凄い愚行を犯すシーンがありますが、ギャグイベントのダイスでファンブルが出た感じて書きました。


 女権国家の不夜城街でも特に清潔で警邏隊の詰め所の一つとアドル神殿という男性の安全に貢献する二つの施設と最も近いところにある、ホストクラブそこの奥の控室で、青一色の服を脱ぎ黒い執事服に似た、高級スーツに着替えた青年がいた。
彼、横島忠夫はすっかり馴染んだスーツの重みを感じながら、これを着るのは今日が最後になるのだと思い、感慨深い思いを抱いていた。 不意に始めて着た時の感覚を意識して思い出すと遠いところに来たものだという思いがよぎり、このホストクラブに来た時のことが思い出された。

 彼が初めてこのホストクラブに勤めることになったのは上司であるミクの紹介によるものだった。 女権国家の女性達と仲良くなりつつ、比較的安全な距離の取り方を学びたいと大鳳とジャギと共にミクに相談すると彼女は少しだけ悩んだのち、口を開いた。

「そういうことを学ぶにはうってつけの親王国派の施設に覚えがあるからそこに行って学んできなさい。 私からの仲介だと分かればかなり便宜を図ってくれるはずよ」

 ミクの公人としては躊躇わず、しかし私人としては忸怩たる思いを抱いている様子に怪訝に思う三人の視線を受けて彼女は説明を始めた。

「そこはホストクラブで多くの女権国家の女性達が御用達にしている場所で、そこの支配人は王国の元外交官よ。終戦間近になった時には時々軍師の様な事もしていたけど」

 ミクの問いに納得がいった様子の大鳳が首を傾げて質問を投げかけた。

「ミクさんが推挙するってことは信頼できる人物ではあるみたいだけど、ミクさんは明らかに少し頼るのが嫌そうに見えたけどそれは何か理由があるんですか?」

「昔の私は、彼を低く見ていたというほどではないけど、あまり詳しく知ろうとしなかった。 彼は過去に王国に非がある理由で戦争が起きそうになった時、無駄な血が流れるのを止めるために命を懸けて敵国になりかけた国出向いたこともあったし、
ブラッドレイに献策した時、ほとんどが却下されていたけど、ブラッドレイの反応からすると策に評価できるところはあったみたいだった。だから臆病者や無能ではないのだろうくらいにしか思ってなかったわ」

「邪険にしていた相手でもないのに、頼るのはあまり嫌なんですか? もしかして女権国家に屈しているわけではなくても、降伏とかしようとしているとか?」

 横島の質問にミクは首を横に振った。そして彼女は少しだけ憂鬱そうな顔になり言った。

「『今の所は』それはないわ。ただ彼の思想は敵国も自国も血を流させる量を減らすことが一番、王国への忠誠は二番みたいなところがあるの。 だからこそいつそうなってもおかしくない。
 あくまでも結果論にすぎないけど彼の案を聞くべきだったかも、とブラッドレイが言っていた案もいくつかあった。 今になって思えば彼の案を吟味できる上官であった以上、彼の案が却下されたのには私にも責任がある。
そして彼は今も自分の案の殆どが却下されて、出来上がったこの窮地の中で王国に情報提供や親王国派の豪商や貴族とのパイプの確保などで貢献しつづけているの。私もそれなりに助けてもらっているわ」

 そこまで話されて彼らは察した。 世話になって恩返しもできていない相手ではあるが、それでも女権国家に降伏するように働きかけ始めたら、その時は殺さなければならない。
そしてその相手に新たに恩を作る行為をするのだから、彼女もまた憂鬱になるのも当然というものだ。 しかし、そんなところに技術を学びに行かせる決断を下したのは、ミクが彼ら三人を決して降伏派に鞍替えしたりしないと信頼しているからだろう。

 横島はそこまで聞くと勢いよく言った。

「そのホストクラブ行きます!ミクさんの負い目がなくなるくらいにそこでも手柄立てて、それと女権国家の安全なねーちゃんたちを見極める目や付き合い方を覚えて、モテモテでウハウハな日々をいただきじゃー!」

 その言葉を聞き大鳳とジャギは呆れと賞賛の混じった目で彼を見た。 半分くらいは己の欲望入りの本心なのだろうが、もう半分はミクを元気づけるためと、
万が一彼の外交官を殺さねばならなくなった際にミクの負い目が少しでも減るようにしようと考えているのだろう。 
残りの半分の欲望にしても女権国家で1年以上過ごしたにも関わらずまだそういう欲望が残っていることには賞賛しかない。 僅かに暗くなりかけた、空気を横島が壊したのを見計らって大鳳がミクの目を真っすぐに見つめて口を開いた。

「ミクさん僕もそこで頑張ってきます。 今までの様に王国に貢献してその人が降伏とか考える必要もなくなるくらいに、王国を有利にして見せます」

 大鳳は力強く宣言した。まだ王国は劣勢だが彼らの活躍で息を吹き返し始めてもいる。王国への忠誠が二番と言っても、その外交官は愛国心がないわけでもないのだろう。なら彼が降伏案を捨て去るくらいに王国を有利にすればよい。

 そういう経緯で彼らはこのホストクラブ通称GICに勤めた。本来の名前は聞いたはずだが彼は忘れてしまった。 ここの支配人は大鳳たちを信頼できると踏んだ時に教えてくれたが、
本来の名前のほかに偉大な知恵で王国の現状をキュアするという裏の意味を込めて看板がこうなるようにしたらしい。 最も女権国家の国民たちからは流行っているソーシャルゲームに出てくるキャラに似ているホストが多い上に、
客から公表とはいえ受けるとはいえ羽目を外しすぎるホストも多いためGIFは『ギャグイベント時のカルデア』などと言われている。
カルデアとは過去の英霊たちと手を取り合いながら、歪んだ歴史を修正していくゲームだ。 少しプレイ動画を見てみて先輩ホスト達と似ていると思って驚いたものだった。

 大鳳とジャギはしばらくここで勤めたのち十分に信頼できる女性の見極めや女性達との距離の取り方などを学ぶと割と直ぐに引退した。しかし、ホストの先輩たちやここの支配人とは仲は良好であり、
今でもたまに助け合ったりしている。大鳳が辞めた主な理由はあまりにも多くの客が来すぎたのと、敵である楯無やファサリナ、極めつけは狂三やスカサハなどの四惑まで来てしまい、
彼女たちは店の規約に反しない範囲の誘惑で彼の理性を削りぬいた。 ジャギは大鳳を支援する方法などを学ぶ気持ちが主だったが、時々彼につけて飲みまくる美鈴や手練れの冒険者でもてこずる依頼をいくつもこなして、
彼を指名して高価なシャンパンを注文するメアリに貢がれすぎて若干胃を痛めてしまい、引退した。今は彼女に恩返しすべく孤児院に足しげく通っているようだ。


437 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:24:30 ID:eLEKoExj
 横島はホストクラブの喧騒が始まりその音を聞きながら、この喧騒を聞くのも今日が最後と思うと寂しさも覚えた。 その僅かな感傷は背後から叩きつけられた激励するような手が吹き飛ばした。

 凄まじい力でありながら、一切の悪意の籠らない強い殴打に僅かにせき込みそうになりながら振り返るとこの店に勤めだしてから最も親しくなった先輩がいた。
少しだけ赤毛に似た茶色の髪に一見するとゴリラすら連想させるようでありながら締まり切った無駄のない筋肉と会うショートカットの髪をしたその人物は快活な笑みを浮かべ彼に良く通る大きい声で告げた。

「タダスケ、せっかくの引退の日だ。 ここに通うのをやめたお客さんたちまでお前の為に今日は来てくれるんだから、最高のお前で行かなきゃ失礼ってもんだろう。
そこまで寂しいと思うほど彼女たちと素晴らしい時間を過ごせたんだから、その分を感謝に変えて乗り切れ。 勇退兵」

 タダスケとは横島がホストをする際に定めた源氏名であり、愛歌やアリスやエヴァ達が占って決めた名前だ。GICにはウェイバーが術でそうしたためか人生に厄ネタを抱えた女性陣が癒しを求めて訪れることも多い。
 そしてこのホストクラブのホストの大半は兼業冒険者であり、ウェイバーの指導で強くなっているためか女性を助ける様な英雄めいた行動をとる男性が多い。 そのためかこのホストクラブは小アドルの集いの場など一部ではいわれている。

「ナポレオン先輩。激励ありがとうございます。それと叩く手はもう少し弱めでお願いします」

「ははは! そういうな。加減を意識せず激励できる後輩が一人辞めちまうんだ。俺も多少は寂しいんだ。それにこの方が記念になるだろう」

 ナポレオンは、横島にとって本当に頼りになる先輩だ。自分だけではなく、大鳳とジャギもかなり助けてもらった。自分はこの国に来てから王国と関わりのない人物の中では一番信頼できる男性だと思っている。
多分大鳳とジャギもそれは変わらないのだろう。ただし大鳳の方はナポレオンを嫌っているわけではないが苦手意識を持っていた。付き合い初めてから数か月経った時にあったトラブルさえなければ大鳳はもっと彼に頼ったのではないかと思う。

 そのトラブルは大鳳の姉であるキャル姉が絡んだことだ。


横島と大鳳とジャギ彼ら三人がこのホストクラブに勤めてから二月くらいたった時、ここの支配人ウェイバー・ベルベットに大鳳が姉のことを相談したのが事の起こりだった。


 キャルに起きたことの仔細を聞き、彼女の状態を聞いたウェイバーは額に刻まれたしわをより深くしながら話を聞き終えると、口を開いた。

「ファック! とんでもない厄ネタじゃないかこれは。 私の大嫌いな行為をするしかないか。 大鳳、ミク女史に一筆書いてやるから姉をさっさとここに連れてこい!」

 ウェイバー・ベルベット=ロードエルメロイ二世は前回の王国が没する戦いの際に聖杯戦争ならぬ、聖杯競争と言われる過去の英霊たちと共に多くの悪霊を倒した陣営が勝者という、戦いで女権国家の将校たちを出し抜き一位になって生存したらしい。その時のことで彼をたたえると彼は途端に不機嫌になる。

「あの戦いは魔術師としての魔力すらあまり必要ではなく、軍略においては契約した英霊達と、一時的に同盟した女権国家の良識派の将校たちのおかげで勝ったにすぎん」

 不機嫌にはなりつつも、その時の戦争のことを思い出す時の彼は心底楽しい日々を過ごせた夏休みの思い出などを語る様な雰囲気だった。 彼が女権国家の篭絡部隊などにやられなかったのもその時組んだ良識派の女権国家の将校たちが、
王国に行われた非道などに一切かかわっておらず、むしろ自国の方がやらかした協定違反を嫌悪し調査する側だったのも大きいのだろう。 彼は本当の意味で幸運を持っていると思う。

 女権国家の一部の外道が作り出した聖杯が無数の怨霊と悪霊を生み出し。このままでは王国も女権国家も両方被害が甚大となる。そうなったために、決して破れぬ魔術契約で、聖杯競争の参加者に限り不可侵条約が交わされた状態で、
彼は女権国家の良識的将校と同盟し、聖杯から注がれる魔力で厳戒した二人の英雄、アドル・クリスティンとその子孫の一人征服王イスカンダルと契約したらしい。
 彼が上げた大功のおかげで僅かに外交で優位が取れる材料が手に入ったのも王国が存続できた理由の一つだったそうだ。だが男性とはいえ、女権国家の出身の英雄と、
自称である可能性も高いとはいえ、女権国家出身ではなくてもその子孫の英霊と契約したことと良識派とはいえ女権国家の将校と同盟した事実が、不信感を呼んでしまい、彼は本来の功績ほど高い地位にはついていない。

 そのこと自体は別に彼は悲観していないが、自分自身の実力を伸ばす時間のある程度の地位にいながら、修行をしても術者としての地力が上がらないことが彼の眉間の皺を深くさせている。 
才あふれる自分たちを大分妬むようなことを言ってきたことも多い。特に印象深かったのは、才能が低いというジャギに向かって『贅沢を言うな。一応北斗神拳の伝承者として不足ではないくらいの才能はあるだろうが』と言ったのが印象的だった。
それでも指導者として手を抜かず困っていれば助けてくれる辺り人格者だ。

 ウェイバーは本来三人まで英霊を呼べる戦いで二人しか呼ばなかったのは、三人目の英霊である、王国を支えた軍師にして政治家である諸葛亮孔明が、彼と融合する形を選んだためだ。
正確に言えば自分の軍師として能力や妖術、仙術の類をすべて彼に与えた方が上手くいくと冷静に判断したためらしい。その為かウェイバーは東洋の術と相性の良い、横島の指導も時々してくれた。
 大鳳がウェイバーの店のキャストとして、女性の厄ネタを解決する際に立てた手柄と引き換えにキャルのことを頼んだのも彼のその凄まじい力を信じてのことだ。

 程なくしてキャル姉を連れて帰ってきた大鳳を見てウェイバーは彼女の様子を見始めた。魔眼を持つようになったキャルが警戒しない辺り、ウェイバーは本当に善人なのだと思う。

 ウェイバーは僅かにキャルのことを見ると、嫌そうな顔をしつつ、孔明の力を呼び覚ました。自分の実力ではなく、過去の英霊の力に頼るこの行為は彼にとっては強い屈辱と嫌悪感を巻き起こすようだ。
彼の持つ医療の文字の書いた札の光がキャルの体を撫でまわすと、ウェイバーは能力も一流の医者ができれば完治させたい病気に対してそれは無理だと断じる様な様子で、吐き捨てるように言った。

「結論から言う。この目がもたらす被害を小さくすることはできるが今の所は完治させるのは無理だ。 とりあえず彼女はここで雇おう。 バックヤード兼用心棒という形でな」

 ウェイバーの言葉に大鳳は、迷った様子を見せた。彼は手柄と引き換えの頼みに対して黒い策を張り巡らせる様な人物では断じてない。だがそれでも万が一敵対するような事態になりその際にキャルを人質に取られたらその時は取り返しがつかない。

大鳳の懸念を察したのかウェイバーは穏やかな口調で言葉をかけてきた。

「心配するな。彼女の身を預かるのは王国と関わりのないホストにやらせる」

 ここのホスト達は能力が高いが様々な、事情や素性の物が多い。王国の旧領だったものや、王国捕虜の子供で王国寄りの物。あるいは王国に対して女権国家が行った戦争で破っていけない行為などに憤慨している良識派の家計などだ。
 女権国家があまりに無体なことをすれば向こうにつく可能性もゼロではないとは言え、王国に義理を感じてないものたちは一度保護したキャルを人質など断じて許容しないだろう。


438 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:30:57 ID:eLEKoExj
 その考えと魔眼を得たキャルが肯定的な雰囲気を発したことが大鳳の決意を固めさせた。

「ランスロット、ガウェイン、トリスタン。 この女性は今日から用心棒兼裏方の手伝いとして、この店で働くことになった。 ミク女史が用意した住居からアドル神殿内部に移ってもらうようミク女史と話はつけた。しばらくはお前たちが面倒を見ろ」

 この三人はホスト冒険者を兼業している凄腕のホストで何度か男性だけではなく、女性の不幸を止めるために共闘したこともある相手だ。大鳳が信頼しているホストを選ぶ当たり、
ウェイバーは相当気を使ってくれているのが分かる。 呼び出したうちの二人しか来なかったのを見て、ウェイバーが眉を顰めた。

「ランスロットはどうした?」

 赤い長髪の憂いに満ちた表情の美丈夫、トリスタンと金色の短髪のさわやかな男性ガウェインは少し気まずそうにしたのちに答えた。

「ランスロットは不幸な女性を助け、その後女権国家では自殺行為としか思えないその気にさせるアプローチをして逆レイプされて監禁されていました。 
救助したところ『今回こそはアドル様の様に逃げ切れると思いました』などと述懐しており、それがばれて娘さんに『お父さんバカでしょう。最低です』と言われてしまい、それがとどめとなり今日は休みです」

 友を気の毒に思う気持ちも本心だが、コントめいた自爆を面白いと思うのを止められない様子のガウェインをよそにトリスタンも琴としても使える弓を弾きながら言葉を続ける。

「私は悲しい。無二の友があれだけひどい目に何度もあっていたのに学習できていないことが」

「この人たち大丈夫なの?」

 不安がるキャル姉を見て大鳳の頬が綻んだ。キャルは魔眼を得てから、警戒が強くなり自分とジャギと横島とアミバ、そしてモヒカンたち以外は信じられなくなりつつあった。
だが今のキャルは彼らに対しては能力に不安を覚えても人柄に対して一切警戒していない。それを見て大鳳は力強く頷いて答えた。

「普段はこんなだけど、騎士道を歩むものとして大切な場面では凄く頼りになる人たちだよ」

 大鳳の迷いない回答にはオカルトがらみなどを主にして善良な女権国家の女性達を護る為に共に戦った彼らに対する揺らぎない信頼があった。その答えを聞きキャルは一瞬で彼らを信じぬく表情へと変化した。

 ウェイバーはランスロットが来なかったこととその理由にいら立ち、葉巻をかみちぎってしまった後に直ぐに声をかけた。

「ランスロットのバカが! あいつの出身地であるフランク地方の魔術師たちの手も借りねばならない可能性も高いというのに。肝心な時にやらかしたな! 
大鳳の戦果を思えばキャル嬢を使った揺さぶりの工作のための妨害がいつ来るか分かったものじゃないというのに。 仕方ない。 ナポレオンを呼べ! 
あいつもランスロット程じゃないがフランク地方に顔が効いたはずだ。ランスロットが話を通す前にあいつに動いてもらう」

 呼び出されたナポレオンは快活に笑いながら、ランスロットへのウェイバーの怒りをなだめた。

「まあ、ランスロットが助けた相手の女も善性だったしむしろこのクラブの人気も上がっただろう。大将は軍師としての気質上神経質なんだろうが、
これくらいなら俺がどうにかするさ。俺はランスロットが声をかけなきゃ本格的には動かない地域にも多少は顔が利くから、ランスロットからも正式な要請が届くだろうと言っておいた」

「相変わらず手回しが早い。 私は彼女を助けるのに手を借りる可能性のあるオカルト系の組織全般に連絡を取ってくる。 今日の支配人代行はイアソンに任せる。 ダメ人間の兆候が見えたら殴って止めろ」

 それだけ言うと、ウェイバーは彼にしては珍しく早足で駆けて行った。それだけキャルを助けることに対して本気なのだということがうかがえる。

 ウェイバーを見食った後、事態の把握に努める為に辺りを見回し始めたナポレオンはその視線にキャルが収まった瞬間いきなり彼女に近寄ると口を開いた。

「お前が今回助けるべきマドモアゼルか。いきなりだが、俺はお前に惚れてしまった。俺の恋人になってくれないか?」

 粗野だが不快感を感じさせない真剣な告白に時が止まった。 キャル姉もあまりのことに赤面した。特殊な目を持ったが故に彼の人柄と告白の真剣さが分かったのだろう。 一瞬早く再起動を果たしたのは大鳳だった。

「ナポレオンさん何考えているんですか! あなたは女権国家人でしょう。彼女は僕の姉です」

 それを聞いた瞬間ナポレオンは間を置かず本心からの口説き文句を直ぐに出した。

「大鳳の姉だったのか。余計に俺の一目惚れの勘は間違っていないことが分かった。 先輩として何度か苦難を共に乗り越えて大鳳の人柄はよくわかっている。彼をこういう風に彼を育てた女性だと分かって余計に好きになっちまった。直ぐにではなくていいから返答をしてほしい。
 お前が望むならホストはやめて冒険者一本に切り替えよう直ぐに」

 この時キャルは本心から弟を賞賛された事態と初めて高評価できる男性に本気で口説かれた事態で、顔が赤くなっていただけで、ナポレオンに惚れたりしたわけではない。
だが女性らしい照れた彼女の顔を見て大鳳のシスコンスイッチが入ってしまった。大鳳は即座にミクに電話をした。

「ミクさん。以前手柄の褒美として、自分が出張るほどの案件でなくても僕の要請にこたえてくれるって約束してくれましたよね。はい。それを使わせてください」

 程なくしてクミに変装したミクが不本意極まる様子でGICに訪れた。彼女の顔にはなぜ自分が呼ばれたのかという疑問をあるようだ。その彼女をよそに大鳳は彼女をナポレオンの前に出すと言った。

「姉さんに相応しい男かチェックさせてもらいます。その内容はこれです。こちらのクミさんは王国武芸の免許皆伝者だけど、
――歳を超えています。いわばおばあちゃんです。いくら武芸の達人相手とはいえ――歳を超えたロートルおばあちゃんに勝てない人には姉さんは任せられません」

 それを聞いた瞬間、横島とジャギの血の気が一気に引いた。粛清とかが起こらない範囲で一番ミクを怒らせることをやらかしたのでは、と二人は思った。 
クミに変装したミクから空気を塗り替えるほどの気配が発せられた。普段の大鳳なら逃亡に全力を注ぐその恐ろしい気配に、横島とジャギは震えあがった。
それはそうだろう。血相の変わった声で信頼しているとは言え敵対する可能性もゼロではない上に、負い目のある味方勢力の施設に来てくれと言われて様々な可能性を考慮しながら大急ぎできてみれば、
シスコンを爆発させただけだった上にいきなり気にしている年齢に触れられたのだから。
ミクと仲が微妙なキャルでさえも、多少心配しながらもこれは大鳳が悪いという表情になっている。

 ミクは恐ろしい笑顔で大鳳の頭を掴みミシミシという音をさせながらナポレオンに頭を下げさせ自分も頭を下げた。

「すいません。この子は大分シスコンですから。殆ど同世代の自分をおばあちゃん呼ばわりしてまで姉に男性を近づけたくなかったみたいで。 今日は大鳳くんは私が指名して、アフターまで私で良いですか」

 ミクの言葉に寒気が走りつつ、彼女は大鳳と恋人に近いほど仲良くなっていた事実も顧み止めに入れない二人をよそに、ミクは有無を言わさない様子で代金を置くと大鳳を連れて行った。ナポレオンは純粋に面白いものを見たように笑いながら、大鳳に先輩としての言葉をかけた。

「好いてる男からおばあちゃん呼ばわりされれば女性は誰だって怒るもんだ。それを上手くなだめて笑顔に変えるのも良い男のたしなみだ頑張れよ!」


439 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:34:27 ID:eLEKoExj
 結局それからナポレオンはキャルを口説きつつ今は大鳳の幸せが一番の望みと見て、距離を詰める様な行為は慎むようになった。 大鳳もそれがあってからナポレオンが男として尊敬できる部分を見せるほど微妙に距離を取るようになった。
おそらくは、姉を取られるかもという危惧と、姉との恋路を邪魔するかもしれないのに彼に頼るのはフェアじゃない、という少年らしい潔癖さが入り混じった行動だったのだろう。
 それでも二人の仲は険悪ではなく、姉を口説くのがやんでからはナポレオンの筋肉に大鳳が少し憧れて、こうなった鍛え方を教えてやろうかと言われて悩んだところを女権国家の女性達に止められたりするような事件もあった。
その際に一番切れていたのは警邏隊副隊長風鳴翼だった。彼女はナポレオンの胸ぐらひっつかみ滅茶苦茶怒っていた。 だが怒り方は犯罪者や悪に対するそれではなく身内とみなした相手だからこそできる類のものだった。

「ナポレオンこの恩知らず! 昔あんなに鍛錬に付き合ったのに。いや、別に恩返ししてほしかったわけではないが。こんな女権国家の至宝を壊すような真似をしようとするとか、大犯罪だぞ。副隊長権限でしばらく刑務所か強制労働所に行くか」

 翼のその様子に大鳳の方が驚き引いたが、ナポレオンは笑いながら大鳳に心配いらないと目で告げた。 案の定翼の後ろから凄い気配を纏ったティアナが現れた。彼女は好感度ドーピング状態の翼をあっさりとひねると、恐ろしすぎる綺麗な笑顔で言う。

「ナポレオンくん、警邏隊副隊長に化けた。急進派副長が失礼したわ。 懲罰房に送って貴方の恩人の本物を見つけてくるから今日はこれでお暇するわね」

「ティアナさん、まあほどほどにお願いします。貴女がこなくても冷静になれば直ぐ反省したと思いますし」

 珍しく敬語でしゃべる彼を見て、驚きつつ連行される翼をしり目に彼は大鳳に口を開いた。

「大鳳、お前の中では大分評価が低いと思うが、お前が絡まなきゃ彼女は凄く良識的で男前気質な良い女なんだ」

「そうなんですか?」

「ああ、俺が歪まずに済んだのも何割かは彼女のおかげだ。 事実かどうかは怪しいが俺の家系は一応アドルの血が入っているらしいんだ。 おっと血統のせいで差別されたり女性に襲われる回数が増えたとかそういうわけじゃない。
俺はガキの頃アドルみたいになりたいと本気で考えていた。当時少し年上だった、彼女たちにその夢を打ち明けたことがあったんだ。 ティアナさんとリンネさんそして彼女に話した」

「それでどうなったんですか」

「翼さんが一番俺の夢に真剣に向き合って協力してくれた。 女権国家の良識的な女性なら男性に課さない様な鍛錬も俺に課して来てな。 諦めさせるとかそうじゃなくてこれくらいやらないとアドルのようになるのは無理だという思いからやってくれていたことが分かったからこそ、俺はその鍛錬に耐えられた」

 ナポレオンの言葉からはつらい思い出ではあっても嫌な思いではない事と、翼に対する感謝の念がにじみ出ていた。その言葉を聞き意外な思いにとらわれながら大鳳は興味を持ち言葉を返した。

「意外でした。自分の前ではその欲望前回の女権国家の女性らしいところしか見られていませんでしたから」

 幾つも恩のある先輩であるナポレオンの手前言葉を選ぶ大鳳にナポレオンはいつもの様子で快活に言った。

「ああ。俺の伸びしろが一度限界に来た時も彼女は直ぐに告げてくれた。言いづらかったが自分の指導を真面目に受けている以上はそうするのが礼儀だと思ったんだろう。彼女がそうしてくれたからこそ、俺はショックではあったがその時も前を向くことができた」

「限界まで鍛えたのならナポレオンさんの強さも納得です」

 大鳳は本心から言った。彼の姉も含めて理不尽に不幸な人間を助けるために共に戦った時のナポレオンの強さはすさまじかった。限界まで鍛えられたのならそれも納得いくものだ。だがナポレオンは首を振った。

「その時は今よりもっと弱かったさ。ただ知り合いのティアナさんが、伸びしろに限界が来たのに鍛錬を繰り返して破ったのを見て、翼さんがそれを俺に教えたうえで、できるとは限らないがやってみるかと、言ってくれた。それを聞いて俺も挑戦して今の強さまでこれたんだ」

「そうなんですか」

「ま、そういうわけだからな、翼さんはお前から見るとただの残念なバカ女に見えるかもしれないが、お前の関わらないところではそういう女性だってことも頭に止めといてくれ。世話になった女性が惚れた男にただのバカ女と思われて振られるのは寝覚めが悪いからな。
ああいう女性が警邏隊副隊長をやっているような国だからこそ、――俺もこの国の為に働く甲斐もあるってもんだ」

 ナポレオンが最後に口にした言葉を聞いたことも大鳳とジャギがこのホストクラブを早めに去った一因となったのではないかと、横島は思っている。

 ナポレオンはウェイバーに協力的だが女権国家に愛国心を持った男性だ。
そして親王国思想の者が多いとはいえ、自分たち諜報組織とは相いれない思想の有能な男性もあのホストクラブには多く勤めている。
彼らや彼らに惚れている女性陣はウェイバーが王国と女権国家双方を仲良くさせてお互いに得をさせるのを目的とした外交官の思想をしているからこそ味方にできている人材だ。 
そしてあのホストクラブを運営しているウェイバーは信頼できる同盟者ではあっても自分たちの身内とは言えないし、身内となることもありえない相手だと悟った。


 横島が今日このホストクラブを去ることにしたのも、その事情が大きい。 彼に入れあげてきた女性達が何人かおり、それなりに女権国家に影響力のある女性達だった。彼女達の力を諜報活動に活かしたりするのは完全にウェイバー側に着かない以上は不義理極まる。
だからこそまだ引き返せるうちにやめることにした。 自分の引退式の様な、最後の勤務時間が始まる前に、支配人室に来るように言われていた彼は、着替え終えるとウェイバーの部屋に入った。

 支配人室の前に来た彼は結界の構成をみてその出来の良さに畏怖を覚え、ウェイバーは霊力自体は少ないが術者として霊力の運用に関しては並外れているのだと感じた。 
彼自身が練ることができる霊力は少ないがそれを上手く用いて辛うじて、一流に届きかける所まで来ていたし、この特殊なホストクラブでは大量の魔力を自由に使えるためか、霊的な守りに関しても凄いものがある。
このホストクラブにいる時に限定すれば、彼を倒せるものは女権国家でも十人もいないのではないだろうか。


 横島が入室するとウェイバーは横島の才能への嫉妬と自分の指導が間違っていなかったことへの満足感が入り混じった表情をした後、彼に声をかけた。

「つい先ほど私はミク女史と対談してきた」

「それはまたなぜ?」

 お互い嫌いあっているわけではないが、仲良くできる状態ではない二人が敢えて対面したのは何か重要な理由があるのだろう。

「私の方から出向いた。大鳳とジャギがいる時を見計らってな。 あの二人が近くにいれば、『お互いに』変な考えを起こし辛いから安心して話せるからな」

 ウェイバーとミクは丁度お互いを反対にした様な能力を持っている。ウェイバーは外交や情報分析に関しては化け物めいた力を持ち、このホストクラブで多額の金を稼ぎ王国に貢献し。富裕層の客人の漏らした会話と、
一般的な商売の流れだけでスパイを使っているのでは?と疑われくらいに王国に有益な商売に関する情報や資金を流している。だが戦闘に関しては体に残った英霊の残滓をもってしても、一流止まりだ。
 対してミクも戦闘に関しては化物だが諜報に関しては一流止まりであり、トラウマなどを刻み女権国家の諜報部に多大な人的被害などを出しつつも、楯無たちの牛歩戦術などで力を縛られている。 
ウェイバーがミクを恐れているようにミクもまた彼を警戒しているところがある。 だからこそお互いが不義理しづらい大鳳とジャギがいる時を見計らって面談したのだろう。


440 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:37:43 ID:eLEKoExj
「それでその用事は」

「私が彼女以外に殺された際に、取ってほしい行動のメモを渡してきた。 最近は情勢があまりにも早く動き、保身の策も無駄になる可能性があるからな。 言っておくが引退を止めるなどとは考えるな。
 お前がこの店からいなくなっても『女権国家の方から無体をした場合』は最後まで私に味方してくれる者たちの戦力は大きい。 殺されたりはしない」

「そうですか」

「少なくとも、あと半年は彼女と手を取り合い続けることができるはずだ」

 彼の努力や自分も含む大鳳一派の活躍それにより王国に勝機が出てきたことで、絶望的戦況では生じ辛かった不和の種が王国にも芽吹き始めてきている。
 ウェイバーの前の大戦での女権国家の戦争犯罪を嫌う良識派の女権国家の権力者を味方につけて一時的なら、女権国家の良識派の下で王国を存続させる派閥とミクの徹底抗戦派の派閥も場合によっては潰し合う時が来るかもしれない。 

 横島は息をのんだ。自分ももう少ししたら、ミクかウェイバーかを選ばなければならない可能性もある。

「理想としてはミクに徹底抗戦派の筆頭として前線に立ってもらい、勝てばそれでよし。負けた時は我々が王国に帰還して王国に好意的かつ、女権国家が行った協定違反を嫌う国境勢力を味方につけ、
そして女権国家内部の良識派に反戦行動をしてもらいながら、防衛線を行い王国の存続を狙う形に持ち込むことだ。だが、女権国家の権力者たちも愚かではない。 私かミクかどちらかを潰そうとするだろう。そしておそらくは消去法で私を消しに来るだろうな」

 ミクを殺すのは不可能に近い。対してウェイバーは殺すのがとても難しくかつ、殺した際のデメリットも大きいが不可能なわけではない。そして何より彼は男性だ。女権国家の女性達にとってはカモだろう。

「だからこそお前はミクの所に戻っておけ、お前に経済の流れなども多少は叩き込んだから、もしも私が消されたら、一旦王国に帰国してミクが破れた際の私の後継者の補佐を頼む。 ミクもその件に関してはもう了承済みだ」

 ミクとの対談はそれだったのだろう。

「お前がミクの所に帰れば私より彼女を取ったと女権国家や周りはみるし、後方支援についてもお前の能力なら不自然ではないだろう。 私の派閥が立ち消えたと思っていたら、補うものがいれば衰えぬ働きをしてのければ女権国家も相当に予定が狂う」


 ウェイバーの言葉に横島は頷いた。

「分かりました。支配人今までありがとうございました。最後の仕事をこなしてきます」

 頭を下げる横島にウェイバーが再び声をかけてきた。その声のトーンは明らかに今までとは違った。 この声は忠告を聞かないと部下が死ぬそんなときに出す声だと分かり、横島も体を固くした。

「横島、お前に惚れた女性達はこの国の基準では良識的な女性が多い。だが、彼女達も女権国家の女性であることは忘れるな。 アドル神殿への礼拝を良くしておくことだ」

 ウェイバーはイスカンダルほどではないがアドルに対しても相当に好意や敬意を持っていることが分かる。冒険日誌などが出ると必ず購入している。 ウェイバーはさらに言葉を続ける。

「相手の女性も了承の上とはいえ、あの先祖への尊敬の念も素直に出せない未熟者の小僧からもらったアイテムで作った関係などは長続きするとは思わない方が良い」

 未熟者の小僧の一言でランスのことを言っているなと横島は思った。ウェイバーはランスのアドルを尊敬している部分もあるのに、素直になれない彼には辛らつな言葉を吐く。
だがランスがアドルを超えるために修行していると、助言する辺り心底嫌っているわけでもない気もする。

「はい。分かってます」

 内心驚きつつ、女性達との関係にまで気づかれた衝撃を隠しながら話す彼にウェイバーは言葉を続ける。

「明らかに、分かっていない。 お前がそういう関係になった女性達は善人か善人寄りの女性が多い。だが、女権国家の女性であることには変わりはない。もう手遅れかもしれんが、
今までのホストとしての交流を思い出し、一人ひとり対応を変えて彼女たちの嗜虐心を抑える努力をしろ。 そうすれば『運が良ければ』人としての尊厳くらいは残るだろう」

「悪かったらどうなるんですか?」

 ウェイバーは彼にしては珍しく素で気の毒そうな顔になった後。横島から目をそらしやや小声になって言葉を返してきた。

「彼女たちの気質上、不義理や汚いことをしたわけじゃないお前のことは多分大事にするはずだ。 まあ、そのなんだ。結婚式だけはまともにしてくれるように頼め。そうしないとここに来るホスト希望者が減ってしまうからな」

「オーナー。そんな怖いこと言わないでくださいよ。 気づいていたんでしょうなんで止めてくれなかったんですか!」

 横島の悲痛な声にウェイバーは再び向き直ると強い声で返した。

「このホストクラブでお前はなかなかの数の女性を助けたが、そのメダルで強くならなければ助けられない女性もいただろう。それでもそのアイテムを使わなかったか?」

 それを言われて答えられない横島にウェイバーは言葉を返した。

「今沈黙している状況それが答えだ。 忠告すると勢いが落ちてしまったかもしれなかったからな。 賭けのない戦や外交などない。それは諜報活動も一緒だ。彼女たちの良心と自分の運を信じろ」

「支配人分かりました。それでは改めて行ってきます」

 横島が決意を固めて出て行ったのを見て、ウェイバーは憂鬱な顔になった。

「諜報員として死んだりはしないだろうが。王国男子としての尊厳は確実に死ぬな。ああいう決意を固めた表情がどれほど彼女たちの情欲を刺激するか」

 横島の最後を想像した彼は横島が出て行ったドアに向けて合掌すると、再びホストクラブに来た女権国家の女性達、商人、軍人、貴族令嬢。霊能職、冒険者、一般人の入れるボトルの量や漏らす愚痴などを調べ上げメモをして女権国家の過去のデータと照らし合わせ、
現在の経済状況の動きなどの予測を書き始める。 諸葛孔明の残滓のためか、あまりにも正確なそれがスパイ活動を疑われるために手入れが過去に何度か手入れが入ったほどのものだ。

 手入れの度に白だったためか今では警邏隊は完全にこの店の味方になっている。この予測した書類を王国に出すことも、王国を経済的に助けるだけではなく女権国家のスパイをいくばくかはこの店に張り付かせて人員を無駄にさせる意味もある。 
ウェイバーはこれからの店の運用について悩みながら横島が抜けると裏方的な意味でも痛くなるなと思った。


 横島が引退式の会場に来ると、アリス、愛歌、ユウキ、エヴァ、リグル、ヴィヴィオ、そして花の大公爵ジェラート・ヴァレンティーヌ等をはじめとしてホストをやりながら怪奇事件などから助けた女性たちが集まってくれていた。
思った以上に自分を好いてくれた女性や、好いたわけではなくても感謝してくれている女性が多いのだなと思い誇らしくなった。

「忠夫引退おめでとう!」

 一番うれしそうな満面の笑みで祝辞を述べてきたのはユウキだった。彼女にしてみれば、純情で不機嫌になることも多かったが、
それでも善良な女性達を見捨てる横島など見たくないと思い黙認していたが、横島に助けられた女性がここに来るたびに不機嫌になったものだった。 アリスも笑みを浮かべて横島に近づいてきて言う。


441 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:39:31 ID:eLEKoExj

「貴方が大勢の不幸な女性達を助けるために頑張る姿は素敵だったけど、スパイの仕事以外でも怪我をするのは見ていたくなかったから嬉しいわ」

 二人の言葉を聞き彼女たちに傅かれるような対応に、横島はランスから試してみろと言われたアイテムを使ってみてよかったと本気で思った。そしてランスからそのアイテムを譲られた時のことが思い浮かんだ。

 今から1年半前この仕事をしながら兼業冒険者として働いている中、善良な女性を助ける為に少しでも早く強くなりたいとランスに漏らした時、彼はアドルを尊崇するウェイバーに対する憎まれ口を止めて、彼に言った。

「あの頭でっかち軍師野郎の指導でも足りねぇのか」

 ランスの神妙な表情には、普段は女性を支配するのではなく逃げる方を選んだアドルごときを尊崇するヘタレと言いつつ、育成者としてのウェイバーは高く評価していることがうかがい知れた。 彼は少し考えると、横島に言葉をかけた。

「横島、次の休みは俺様と出かけろ。 俺様が試してみたいアイテムがあったからそれを使ってみろ。お前が仲良くなった女達なら、事情を隠さず話せばこのアイテムを使うことを了承してくれるだろうし、どう転んでもそこまで悪いことにはならんだろ」

 ランスは女権国家で男性優位ハーレムを考えている無謀な男だが、女権国家に生まれ逆境を経験し続けたためか、良識なども育っている。 恐らく本気で彼の力になってくれようとしているのだろう。

 次の日にランスに指定された場所に行ってみると、そこには見ただけで心奪われるような大聖堂に美しく大きな絵画が飾られていた。 その絵画は山の中で月の下で遠吠えを上げる大きな狼が描かれていた。
 狼の強さと誇り高さ月の光で引き立てられてどこまでも引き込まれるような絵だ。 ランスはその狼の絵が刻まれたメダルを横島に渡してきた。

「神狼(しんろう)のメダルと言ってな。この狼は神の力を持った獣で、気高く誇り高く罪なき弱者を多くの邪悪な存在から守り、邪悪な存在を狩り尽くしていた。 そして多くのメス狼たちを支配し、
交尾の際も圧倒していたらしい。 それを見て女権国家に侵略されたばかりの、男性優位の性行為が当たり前の、国の画家がこの狼に憧れてこの絵を描いた」

「そうなんか。これを書いたのは霊能者とかじゃなくても、あまりにも凄い絵すぎて後天的に何か霊的な力を得ても不思議じゃないレベルや」

「ああ。この絵を見た女性を支配したいと考えた男がそういう信仰を植え付けてこのメダルを作った。最も作られたばかりの頃は魔狼(まろう)のメダルって言われていたらしい。 このメダルを使うと心夢(しんむ)の迷宮ってところに行けて、
その迷宮を踏破できると夢の中で女性の魂を屈服させるような性行為ができて、女性の魂を屈服させて支配できるようだ。 女権国家外の善良な女性達にこれを使おうとし入り外道な男たちの魔術結社を、アドルが奴が潰した時の冒険で回収した」

「ランスこれを持っていたのはやはり先祖から受け継いでいたのか?」

「そうだ。 最も踏破に失敗すると女どもに夢の世界で逆に犯されてしまい、完全に支配されてしまう危険もあるそうだ。 だが夢の世界での戦闘経験もある程度は現実に持ち帰れる。
魔術や霊力を使える人間は、筋力は変わらなくても、霊的な気の扱いがとてもうまくなったそうだ。拳法家とかでも気の使い方は向上したらしい。 横島事情を話して仲良くなった女達に事情話して彼女たちの心夢の迷宮に挑ませてもらえ。
心夢の迷宮はどの迷宮もすさまじい難易度だが、女が好意を持っていればいるほど難易度は下がるそうだ。そういう迷宮ならお前の鍛錬にちょうどいいだろう」
 
ここまでの発言を終えると途端にランスは不機嫌な顔になった。語気を荒くしてそこから言葉を続ける。

「あのヘタレフェミニスト野郎は、女権国家以外の善良な女性を保護するためと、女権国家の男がこれを使って死に覚えゲーみたいな心夢の迷宮に挑んで堕とされるのを見かねて、邪教集団や夢魔と戦って回収したらしい」


 ここまでのランスの口調は誇らしげだったが、ここからは少しだけ憤懣が混じった荒い声になった。

「そこまでは良い! その後の行動が本当にダメだ! 俺様ほどではなくても、そこそこの男なんだから、このメダルを使って今まで自分が救った女たち全員を支配して。首輪つけて自分専用の雌犬にするくらいはしてのけろってんだ。
 冒険日誌をあらかた読んでいるから分かるが、あいつなら心夢の迷宮をいくらでも踏破できるだろうが」

 その発言を聞き横島はこれはまた長くなるなと思った。ランスのアドルに対する尊敬と不満の混じった愚痴はなかなか収まらない。 その愚痴をどう止めるか悩んだ瞬間に彼に声をかけてきた女性がいた。

「タダスケ殿、心夢の迷宮に挑むというなら手を貸そうかえ」

 低く品のある声に振り替えるとそこには何度かホストとして相手をした花の大公爵ジェラートがいた。

 彼女は自分の配下であるさとりがキャルに悪戯をした詫びに来た後、横島の前世が夫だったからという理由で彼を何度も指名してくれていた上客に当たる。

「ジェラートさん。助けてくれるんですか」

「前世で妾は何度もそなたに助けられたゆえにな。サキュバス族を従えておる故そちらにも妾は詳しい。 そなたが敗北した時に被害が小さくなるように取り計らおう。 さとりの奴がやらかしたことに対する監督不行き届きの詫びもまだ済んでおらぬ故な」

 ジェラートはかつて悪事に走り自業自得で追放されたところを横島の前世に救われて償いの試練を手伝ってもらい、ついに創造主に許されたらしい。それゆえか彼女は疎まれる出自の者の保護に熱心な所がある。
以前彼女は『大罪を犯した自分が許されたのに、何もしてないものが苦しい生活を送るのは通りが通らぬ』と横島に言っていた。
それゆえかさとりがキャルにやったことに対しては割と本気で怒っており、厳重に呪いで縛り横島達の支援者として送り込むなどしてきた。 この時の横島はさとりと行動を何度か共にしたためか、あまりさとりに対しては悪感情はなくなっていた。

 さとりやこいしなどの心や無意識の能力を持つ妖怪や、無数のサキュバスを従える彼女なら確かに心夢の迷宮の攻略には絶好のサポーターだろう。

「ジェラート様お願いします」

 横島に頼られると彼女は本当に嬉しそうに頷いた。彼に頼られたのが相当嬉しかったらしい。

 それから彼はユウキ、アリス、エヴァ、愛歌、リグル、ヴィヴィオ、というホストを始める前に知り合った女性達だけではなく、この店に来てから助けた女性達にも事情をすべて話して合意の上で、彼女たちの心夢の迷宮に挑ませてもらった。
ホストクラブで彼女たちのご機嫌を取り、迷宮の難易度を下げつつ、下がってなお高すぎる難易度の迷宮で敗れるたびにひどい逆レイプを受けてしまった。さらに何回かは、目が覚めると夢と同じ行為をいつの間にか侵入してきた彼女たちに現実でもされていたことも多い。
その度に彼女たちにずっと飼われたいという願望が芽生えたが、その念を自分の実力を上げるためとこの店に訪れる霊能がらみの厄ネタを抱えた女性達を救いたいという一念で折れずに乗り越え切った。そして彼は女権国家の男性なら憧れるであろう男性優位の性交を日常的にできるようになっていた。

 彼は全ての女性達の心夢の迷宮を踏破したわけではないが、それでも踏破出来たアリス、ユウキ、ジェラート、ヴィヴィオ達との夜の日々は甘かった。だが、迷宮踏破に失敗して彼女たちに嫐られた日々を思い返すと、物足りないと思ってしまう自分もいる。 感傷に浸りかけた時にさとりが笑いながら言った。


442 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:42:04 ID:eLEKoExj
「愛歌さん、アリスさん彼王国男子のくせに女性に勝って征服した性行為より、負けて嫐られていた時の方が良いみたいですよ」

「さとりちゃん、やめてぇな。恥ずかしすぎるわ。それと少し気になることがあるんやけど」

「ええ。分かってます。でもここの皆さんにも教えた方が良いと思うから敢えて口に出して聞いてみては」

 さとりと横島のやり取りを見て、何人もの女性達が興味を持ったように彼らの様子を見始めた。横島が本当に困っているようなら自分にできる範囲で恩を返そうと言う、気配もある。 それを見ながら彼は少し間を置くと口を開いた。

「実を言うとワイが神狼のメダルを使って皆さんに鍛錬に付き合ってもらったのは周知の通りや。なぜか知らんが大鳳がランスに頼んであのメダルを使わせてもらおうとしたらしいんや。 
大鳳はあのメダルの危険さをよく知っとるはずだけどなぜあれに頼ろうとしたのかわからん。 今の所は無事みたいだがな」

 それを聞くと周囲の女性達の顔に疑問と横島の恩人で親友な大鳳の身を案じる様な気配が漂い始めた。 あのメダルを使って横島が無事でいられたのは仲の良い女性達にきちんと説明して合意をもらって侵入したからこそ、
心夢の迷宮の難易度と負けた際のカウンター的な女性優位の性交による夢の世界からの魂の浸食が大分優しめになっていた。
 仮にも敵対している相手や強く大鳳に執着している女権国家の女性に使ったら一回で呪い返しを受けて虜にされてしまってもおかしくない。

 それを聞くと花の大公爵ジェラートが不意に立ち上がり彼に近づいてきた。毒々しいにも関わらず鮮やかな美しさがそれに勝る赤い瞳で彼を見据えながら近づいてきた。

「タダスケ、そなたがここにいるということは、大鳳殿は無事なのであろう。じゃが、彼が確実に無事であると断言できる時間はどれくらいかえ?」

「ああ。あと半月は確実に大丈夫だ」

 横島の力強い断言に周囲は安心した様子になりこれが終わったら大仕事だという様な気配になった。それをありがたく思いながら彼は説明を続けた。

「ジャギにも事情を前に話した。 ジャギは俺の話を聞いて、大鳳の気の流れに不自然なところはなかったといっていた。アミバも定期健診でも変なところはないと言っていたから、
気配を消して尾行して大鳳が疲れ切ったところを見計らって、調べてようやく女権国家の女性に搾り取られ切った後の様な状態になっていることが分かったようだ」

「それは随分と奇妙じゃな。メタリカ殿どう思う」

 沼の魔女メタリカは横島に救われて心夢の迷宮を使うことを許してくれた魔女だ。迷宮の踏破に失敗した時に犯してくる彼女の快楽が凄まじすぎたために、
横島は根を上げてしまい彼女の迷宮は踏破できていない。魔女としての実力だけなら大差という程ではないがジェラートに勝る。

「すまんな。ワタシも月に一度とはいえ彼を見ていながら気付かなった側だ」

 メタリカの答えにジェラートは咎めるよりやはりという表情を浮かべた。ジェラートも横島の恩人なのでたまにではあるが、大鳳と顔を合わせていた。綿密な診断をしたわけではないが、自分も気づかない以上は彼女が気付いている可能性は高くないと思ったようだ。

 少しだけ重くなった空気を変える様に横島は言葉を切った。

「大鳳の奴がそうなっているのは神狼のメダルを使って誰かの夢に入っているからや。それはあと半月は絶対やらんと約束してくれた。 確たる目的を意識を持って、やっとる以上はそう簡単には折れんだろう。 だから明日から俺は大鳳が挑んでいるものに挑もうと思う」

 横島のその言葉に対してユウキが笑顔で返した。

「うん、明日から重労働になりそうだから今夜は思いっきり騒ごうか」


 切って落とされた宴が最高に盛り上がり終わりに近づき始めた頃、不意に白に近いピンク色の花びら舞い散り始めた。ジェラートが気を利かせた余興を始めたかな、と思い直ぐにそれは違うと思った。
ジェラートと同じ花の魔術だがイメージが大きく異なる。ジェラートが使う花は濃い色をした艶やかな花を思わせるのに対してこの花は対極に位置する春の桜などの化身を思わせる。辺り一面にさわやかな春の訪れを思せる花びらの乱舞がやむと可憐な花を思わせる白い髪の女性がいた。
ジェラートと似通った花の魔術の使い手なのは一目でわかったが。 彼女の出現させるさわやかな花に対して無邪気な子供めいた笑みと赤い瞳がどこか危険な感じがする。彼女は笑いながら横島に声をかける。

「初めまして、タダスケさん。いやもうホストは引退済みだから忠夫さんかな。僕は花の魔術師マーリンさ」

 彼女の笑みを見た瞬間ジェラートが横島をかばうように前に立ち、杖を抜いた。 愛歌とメタリカは攻撃を仕掛けるか否か悩んだようだが、ジェラートが一応対話に応じようとしているのを見て、彼女に合わせることに決めたようだ。他の女性達もそれにならう。

「ジェラート、同じ花の魔術を使う仲間じゃないか。そんなに塩対応しないでほしいな。悲しくって泣いてしまいそうだよ」

「そなたがそのような殊勝な女か。一体いかなる用事でこちらに来た」

「実を言うと君たちの危惧を解決する情報を持ってきたんだ。もちろんただじゃないよ。報酬はただ一つ。友の為に奮闘する彼とその彼を助ける君達を見たいんだ」

「相変わらず終わらない物語を望むか」

「うん。 それでこれから大鳳くんを助けにいかないかい? 大鳳くんは横島君との約束は守るつもりだけど、君が助けに来てくれるなら彼は今から神狼のメダルを使って改心させるべき女性の心夢の迷宮にいくよ。 夢は不変無意識でつながっているから、君の大鳳くんのお助けキャラをやれるはずさ」

 横島は少し悩んだ後、回りを見た。全員が行こうと言ってくれているのが分かる。横島はそれを読み取ると。ウェイバーのいる支配人室に戻った。 着くと彼は既に状況を把握していたらしく、言葉を返してきた。

「とんだ引退式になってしまったな。だがお前の源氏名らしいと言えばらしいか。タダスケとは忠(ただ)助けるの意だったらしいからな」

「死に物狂いでただ助けることだけ考えんと救えん女性ばかりでしたからね」

「まあ。最後は親友を助けるための戦いに出陣する形でホスト引退というのもお前らしいだろう。 どんなに無様でも良いから生き残れ。仮に戦闘員として再起不能になっても、お前は私が死んだ後の後継者を補佐できる頭はあるのだからな」

 ウェイバーに頭を下げると彼はそのまま彼女たちの元に戻った。

 深刻な表情をしている面々の中で唯一これから楽しいピクニックに行くような笑みを浮かべるマーリンを見ながら彼は頭を抱えた。

「それでこれからどうすればいいんや?」

「ジェラートの城に連れて行ってくれないかな? 彼女はサキュバス族を従えているし花の魔術を使う公爵だから僕の力とも相性がいいんだ」

 横島はそれを聞き、頷くとジェラートが笑みを浮かべて杖を振った。

 ジェラートの華美極まる遊郭を思わせるが赤の多い彼女の城に来ると大鳳の姿はなかった。

 マーリンが既に連れてきているかもという予測もあったが今はここにはいないらしい。彼女は笑みを浮かべながら言う。

「大鳳くんは他の場所である心夢の迷宮に挑んでいるよ。 忠夫くんこれから君は時に自分の女性達の心夢の迷宮の攻略を大鳳くんに手伝ってもらい、時には君が手伝いに行くんだよ」

「なぜそんなことをする必要が? いや大鳳を助けることは別に良いんや。当然のことやしな。 だがなぜワイも自分の女性の心夢の迷宮に挑まなきゃいかんのや」

「説明不足だったねごめん。 大鳳くんが今挑んでいる心夢の迷宮の持ち主の女性の心の中では君が負けても王国でいう所の逆レイプとかはされないんだ。それは君が大鳳くんを攻略中の心夢の迷宮に読んだ場合も一緒なのさ。
そして君の主な役目は大鳳くんが向こうの心夢の迷宮で危ないことになったら、君の助っ人という形で呼ぶことで避難させられる。今回大鳳くんが望んでいるのはそういう支援さ。最も大鳳くんの話では、助っとして呼ぶ可能性もあるそうだけどね」

「なるほどな」


443 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:44:21 ID:eLEKoExj

「早速だけど、大鳳くんが向こうの迷宮で攻略失敗して負けそうだから呼んでほしいそうだよ。大鳳くんを呼んでしまったら、心夢の迷宮の一エリアをクリアするか、一度負けて逆レされるまで、帰れないよ。大鳳くんが君を呼んだ場合の条件も同じだ。
そして今回君がいく心夢の迷宮は誰の迷宮になるか選べない。これは一人で挑むのではなく、助け合う場合の代償なんだ」

「分かった」

 そういうと横島は神狼のメダルを握りしめた。ジェラートとマーリンが杖を振ると彼の意識は一気に眠りに落ちた。


 横島が目を空けると最初に目に入ったものは吸血鬼の城だった。

「よりによってエヴァの心夢の迷宮か」
 
愚痴る横島に不意に柔らかく少女を思わせるものがぶつかってきた。抱き着かれたような感覚をしてみると、そこには大鳳の姿があった。

「忠夫、助けに来てくれたんだね」

「おお。大鳳、色々聞きたいことはあるがとにかく今はこの迷宮のクリアやな」

「忠夫、確か何人かの迷宮はクリアしていたんだよね?」

「ああ。アリス、ユウキ、ジェラート、ヴィヴィオの迷宮はなんとかクリアした。他の女性はまだ無理というか、もう挑む理由がないから一生やらんと思っとった。
あれから現実世界でも修行したし幾つかの心夢の迷宮を超える際に鍛えたから。今回は超えて見せるで」

 そういうと横島は霊波刀を構えエヴァの心の迷宮を切り崩しながら進んでいく。月の下に映える美しい場内で吸血鬼の手下を思わせる敵を無数に切り倒し。大鳳もそれに続き剣を抜き放った。
横島はそれを見てやはりと思った。心夢の迷宮はイメージが最も大切だ。ここでは霊的なまじないも現実世界以上に効果がある。だから銃ではなく、聖剣の様な剣を大鳳は武器としているのだろう。

二人の息の合った連携がかつて彼が敗北した城の敵を一切寄せ付けようとしない。 ボス部屋の前の中ボスらしき、狼男がいた。
月光の下に映える恐ろしくも獣の美しさも合わせ持つそれは達人が放った弓の矢を連想させる速度で彼らに迫ってきた。 横島は即座に間合いを開くと。文珠で『臭』を出すとかの獣の動きが僅かに鈍った。 

初撃を受けた横島は、鍔迫り合いを演じ、このまま続ければ彼を倒せる。だが逃げようとすれば、深手を負う。それを読み取った狼男は即座に、下がるか否かの判断を強いられた。
その瞬間に一切の躊躇いなく大鳳が即座にスタングレネードを投げてきた。 狼男は心底驚き疑問を抱いた。狼は群れの意識が強い。
彼と大鳳には確かな友情があったにもかかわらず彼を巻き添えにする戦法を大鳳は一切迷わず使った。それを予測できなかったためか狼男はスタングレネードで耳をやられてしまい。大鳳にあっさりと打倒された。

 横島も鼓膜をやられていたが全く迷わずに『治』の文珠を使って治療した。消えかけている狼男に彼は律義に話しかけた。

「正直お前はエヴァのイメージする吸血鬼の理想の従者の狼男だから、文珠二個で済むなら安いレベルの敵だった。 ましてここは心夢の迷宮。現実の文珠が減るわけじゃないしな。痛みは現実と変わらんが、負けるよりはましだ」

 そういって彼を倒した。横島はエヴァの部屋に入るべく文珠を大鳳に数個渡すと自分も構えた。

「忠夫、一つ聞きたいんだけど。 心夢の迷宮のエヴァさんって現実より強い?」

「いやエヴァの場合はそこまで現実のエヴァと差はなかった。夜の状態とあまり変わらんがな。本人が最強の自分をイメージし慣れとるせいか、あまり変わらんのや。最もここのエヴァは厳密に言うと本人とは言えんらしいがな。そのためか、本人が一定の好意を持っている男の侵入者の場合犯さないという行動もとれんらしい」

 そういって彼が部屋に入ると吸血鬼の玉座に座るエヴァが、おもしろそうだという表情をしながら玉座に座っていた。

「忠夫、やはりここまで来たか。さすがに友の命もかかっている訓練となれば最後まで成し遂げると思っていたぞ。 だが、許可を出しおいてなんだが、私の心夢の迷宮に挑んできたのはいただけないとも思っている。 
クリアできると思ってはいなかったようだが、闇の福音である私の嗜虐心を大分侮ったようだな。修業は十分できただろう。もうこの迷宮に来る気がなくなるくらいに可愛がってやろう」

 立ち上がろうとするエヴァを見ながら横島は少し面白がるような顔をした。大鳳が視線で説明を求めると、まだ立ち上がっていないエヴァを警戒しつつ横島は答えた。

「実はワイは心夢の迷宮のクリアしたボス戦は全部一回で勝ったんや。エヴァ相手にはあまりにも凄い逆レされて折れた。だからこれが初めての二回目の戦いなんや」

「そうなんだ。それで何か発見したの?」

「ああ。前とおんなじセリフ言っとるから少しおかしくてな」

「そうなんだ」

 僅かな違和感を覚えつつ大鳳は即座に構えた目の前のエヴァが戦闘態勢に入った。彼女が戦闘態勢に入ると即座に瞬間移動めいた動きが起こった。僅かな空気の流れが、本当に瞬間移動をしたのではないことを告げている。
彼女の放った拳の一撃とそれをかわした直後にマシンガンの様に放たれた、冷気の魔法とそれが作り出す氷柱の刃を横島が札をばらまき相殺し、残った一部をかわしながら横島は勝ちを疑っていない声を出した。

「やっぱ強いな。 だが今なら前よりは戦力差がない。なにより前とは違って大鳳、お前がいる」

「うん。忠夫、勝とう!」

 エヴァの連続攻撃を大鳳と横島は息の合った連携で見事に捌きぬきながら戦った。前回負けた時より数瞬だがお札の発動や、あるいは引き出せる力が強くなった彼は前よりも彼女に拮抗できている。そして何よりも大鳳が彼の負担を減らして僅かな時間とはいえ、術に専念できる時間を与えてくれるのが大きい。

 僅かに余裕をもってエヴァと切り結ぶ大鳳と、本当に全身全霊で辛うじて二人の動きについていき援護する横島の戦いが起こり、エヴァが優勢でありながら、横島が援護に入り続ける限り大鳳が崩れずそして、
逆転劇が起きてしまいそうな気配もある。エヴァが有利でありながら硬直した戦局は唐突に次の局面を迎えた。まるで僅かに上がってきた二人の逆転の可能性を摘もうとするかの様に、エヴァが大きな冷気を纏いだした瞬間に空気が変わった。これは決着の時だと二人も察した。

 緊張が極度に高まった次の瞬間、エヴァが氷でできた剣を作り出してきたのを横島が辛うじて霊波刀で受け止めると、大鳳が妖怪等に効果がある太陽神の加護を受けた閃光手榴弾をばらまいた。
 エヴァは最初の一個が爆発する瞬間に即座にマントで目を覆った。大鳳と横島の二人も自らが投げた閃光手榴弾のせいで視界がある程度は狭まるのを予想しつくしての動きだ。 即座に目を覆う大鳳とは違い横島は目を閉じるだけにとどめた。
目を閉じていても布などで覆っていなければ視界の復活が大分遅れる。それを覚悟の上で彼は、二つの文珠を発動させる。『強』『化』手榴弾に刻まれた太陽神の力が強化されるように仕向けることで、エヴァを弱体化させる。前回エヴァに負けたからこそ、彼女の強さはよくわかっている。

 閃光手榴弾の効果で弱体化された彼女なら、大鳳なら確実に倒しきれる。そう信じ切ったからこそ十秒近くも失明状態になることを覚悟出来た。だが、その予測は一気に裏切られた。凄まじい闘気が辺りを包み、その気配が一瞬で大鳳を討ち果たした。 
横島は即座に負けを覚悟しつつも、自分を倒す一撃がいつまでも来ないことを疑問に思った。不意に目を空けるとそこには、ナポレオンとのトラブルがあった夜のクミに変装した。初音ミクが大鳳に騎乗して犯している。そしてそれを見た瞬間彼は致命的な事実に気づき叫んだ。

「ここは、エヴァの心夢の迷宮じゃない! 多分だけど、さとりのだ!」

 叫び声が終わり切る前に不意に閃光手榴弾で視界が戻り切っていない彼の後ろ頭を小さな子供の様な手が掴んだ。後ろから嗜虐心をたっぷりと含んだ声が響いた。

「ご明察です。トラウマ想起も戦闘だと融通が利くんですけど、セリフはそうもいかなくて困ってました。 あなたにとってトラウマだらけのエヴァさんの心夢の迷宮の想起はいかがでしたか? それでは遊びましょうか忠夫さん」

 そういった瞬間さとりが、彼に向けて手をかざし宣言した。

「『想起・嫉妬したエヴァさんをホストとして接客した日』」


444 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:46:22 ID:eLEKoExj
その日横島は彼女と似たところも吸血鬼を助け理想のナイトの様に振舞っていい気分で接客していた。その日珍しくエヴァが客としてGICにやってきたので彼は明らかに不機嫌なオーラを身にまとっている。
大人の姿となり黒いイブニングドレスを着こんだ彼女は美しいがその美しさが余計に不機嫌さが生み出す恐ろしさと強者の気配を引き立ている。彼は若干怯えながらも彼女の指名に応じた。

「忠夫、最近は私たちの指導で強くなって男を見せる機会が増えたせいかモテモテだな。クルル・ツェペシにスカーレット姉妹。随分と私の同族に優しい男になったな。師匠の一人として鼻が高いぞ」

 皮肉たっぷりの彼女の声に、横島は怯えつつホストとして過ごしてきた。経験が最高の対応を引き出した。

「当たり前だろ。エヴァ、お前の同族にホストとして接する以上はお前の面子の為にも、恥ずかしい真似できないからな」

 声音からして、エヴァの同族に対して彼女のメンツを損なわせない為に頑張ったと思わせる自尊心をくすぐる声だった。それを聞いたエヴァは笑顔になり優しい手つきで彼を抱き寄せる。ほっとした瞬間に彼女の腕に万力の様な力が宿る。

「随分と女の自尊心を満たす言葉選びが上手くなったものだ。うん、女権国家でそういう対応は犯してくださいと言っているようなものだぞ。 意訳すると『これ以上女を堕とすスキルを上げる前に俺を縛り付けないとだめだぞ』ということか」

 エヴァの場を凍らせかねない恐ろしいオーラに怯えた彼はホストとしての仮面が壊れ。泣きつくような様子で答えた。

「しょうがないやろ。彼女たちの境遇はお前と似通ったところがあったから見捨てるなんて無理や!」

 その言葉を聞きエヴァの怒りが収まった様子になり横島はほっとしたが、怒りは収まったが代わりに情欲が燃え盛った女権国家の女性の目になった。横島も女権国家の女性やその影響下にある女性と付き合った以上覚悟は決めていたので、エヴァの次の言葉を待った。

「それでは今日は特別なカクテルを出してもらえば許そう。店主タダスケのアフターまで頼んでいいか」

「了承しよう」

 ウェイバーがそう答えたのを見て、横島はエヴァが持ってきた酒を飲むように促されその美味な酒を飲んで心地よい倦怠感と共に、動けなくなった彼を支えながら彼女は言う。

「この極上の魔法酒を飲んだお前の血こそ最高のカクテルだ。それではかえってじっくりと飲ませてもらおう」

 そういうとエヴァは先ほどより力強く横島を抱えた。それほどの力を込めているのに痛みが一切ないところが、彼女の技量の高さが感じられてより恐ろしく感じられる。そして彼女は多めに料金を置くと、釣りはいらないと言って出て行った。

 夜の闇を超えてエヴァの城の寝室に連れ込まれた彼は震えあがった。これからエヴァから与えられるであろう快楽への期待と恐怖が同時に訪れている。

「あれほど私を妬かせたんだ。それなりの覚悟はしてもらうぞ。 他の吸血鬼どもを超える快感を刻み付けてやろう」

「ひょっとして彼女たちを助けるために血を吸わせたこと怒っとるんか? 確か吸血鬼では血を吸う行為が性交にあたるとか」

 それを聞くとエヴァは、名探偵や警察が9割無実だと思っていた容疑者が完全に白になった時の様な様子で笑った。

「自分で気づいていないようだな。 後で解ける疑問だと思って、今は私の与える快楽に溺れろ」

言い終えると、彼女は横島の服をはぎ取り、自分も服を脱ぎ彼を押し倒した。

吸血鬼の美術品めいた気配の裸体を見て硬くなった自分の分身が一瞬で、飲み込まれた直後に激しい射精が起こり、脳が砕け散った錯覚を覚えた直後に意識が飛んだ。
そして射精が終わると彼女は指から魔力でできた糸を彼の体の中に潜り込ませ操り人形の様に彼を操ると対面座位の騎乗いとなり、ゆっくりと優しい搾り取り方に切り替えた。いつでも彼を射精に導けるのにそれをしない彼女の優しい腰の動かし方をもどかしく感じつつ。
押し付けられる乳房の感触が余計に射精を望む衝動を強めるが彼女はそれを許してくれない。 しばらくして射精を望む感覚が最大になったのを見計らったかの様に彼女が首筋に牙を立て血を吸い始めた。

 首に刺さった快楽の電撃をもたらす針がとどめとなり射精をした瞬間、両方から冷気を奪いつくされ彼は前後不覚となった。 強すぎる快楽で涙が吹き出だしたのを見て彼女は悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべていう。

「どうだ。私がもたらす快楽は他の吸血鬼どもとより良いだろう」

「ああ〜〜!」

 叫び声しか上げられない彼をエヴァはさらに笑いながら血を啜る。時に勢いよく啜り特にゆっくりと啜り、腰を動かす動きと合わせて彼に与える快感を調整して、彼を堕としぬこうとしているのが分かる。 
エヴァに与えられた魔法酒のせいかいくら精と血を吸われても萎える時が訪れない。体に限界が来ない代わりに射精の度に削られていく精神が悲鳴をあげている。

 エヴァは心底愛おしいペットに意地悪をしつつ可愛がる少女の様な笑みを浮かべながら快楽地獄にいる彼の表情を愉しみ、彼が何度目かの射精で糸が切れた人形のように崩れたのを見ると笑いながら離れた。

「忠夫、他の吸血鬼たちと比べて私の与える快楽は上か。 答えなくてもいい今から直接聞かせてもらおう」

 エヴァがそういって彼の首筋に牙を立てると、一気に彼女と自分の精神がつながった感触が起こり彼女が与えてくる快感と味わっている快感が流れ込み彼は蘇生の電撃を無理やり流された人形の様に痙攣を繰り返した。

 倒れた横島を見下ろしながら彼女は笑いながら言う。

「私の与えた快感の方が上の様だぞ、お前たち?」

 その言葉に意味もない恐怖を覚え彼が振り向くとスカーレット姉妹と、クルル・ツェペシュの二人が笑いながら立っていた。 フランが面白そうに笑いながら言う。

「エヴァさん。凄い私とお姉さまが二人がかりで責めた時もあそこまで情けない痴態は引き出せなかったのに。やっぱり戦闘力だけじゃなくてそっち方面でも私達より上なんだね」

 フランの素直な賞賛の横で、レミリアは多少複雑な表情をしながら言う。

「負けた上に約束した以上は従うけど、私たちが貴方を超えた時は所有者としての上位の座は明け渡してもらうからね。 その時も貴女が上位者だった時と同じ様に貴女を遇するけど」

 レミリアの言葉にエヴァは笑いながら答える。

「もちろんそれで構わん。 ツェペシュもそれで異論ないな」

「ええ。 それよりそろそろ私達も混ぜてください。エヴァ様」

 エヴァに向かって友人に絶対に相手が怒らないと確信している皮肉を言うような様子で丁寧語を使いながら貴族礼を取るクルルにエヴァは笑いながら横島から離れると彼女たちを招いた。

 快楽のあまり立つどころか、動けなくなっている彼をエヴァはあっさりと仰向けにさせると、脱力状態の女王の様にベッドにかけながら彼に問う。

「忠夫、お前は彼女たちに血を吸われただけじゃなくて肉体関係も持っていたか?」

「い、いえ」

「やはり、覚えていないか。 多分そうだと思ってはいたが、今確信した。吸血鬼得意の暗示で記憶を消されたか」

 そういうとエヴァは三人の吸血鬼を見て少し厳しい目になって言葉を紡ぐ。

「悪意ではなく、助けてくれた相手の気を病ませぬために筋を通したのだろうが、そういう場合は私にも一言断れ」

「あまりにも理想の騎士や王子様の様に助けられて、その場のテンションで犯ってしまったけど、少なくとも『その時は』彼が引退したらそこで切れるのは覚悟済みでしたから」

 ややバツが悪そうな三人を代表する様に答えるクルルにエヴァは笑いながら言った。

「嘘は言っていないようだな。まあいい、今となっては些細なことだ。私が認めよう。忠夫が拒まない限りはお前たちもこいつの所有者だ」

 しゃべることすらできなくなった横島の目をエヴァがのぞき込み彼にそのまま言葉をかけてきた。


445 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:48:08 ID:eLEKoExj
「こいつらはかつてお前に助けられた時に窮地を脱するために血を吸っただけではない。お前を襲って交わった。そしてその交わった記憶を消したのだ。
 お前がホストをやめたら関りを断つつもりでな。 だがお前が理想的な対応をしすぎたためか、お前がホストをやめた後も関係を持ちたいと私に断ってきたから、
勝負して上下を決めたうえで私の下になることと、有益さを示すのと引き換えに許した」

 そこまで言うとエヴァは愛おしそうに横島の体中の古傷を指でなぞり始める。触られるたびに動けない体に電撃めいた快感が走り、動けない状態がもどかしさに拍車をかける。
じらしつくすことすら自分の権利であると告げるかの様な彼女の指が彼をどこまで嫐る。レミリアとフランとクルルの三人が古傷をなめ始めると。電撃を通り越して雷が落ちたような快感が走り、
動けないからだが無理やり痙攣し始めた。そそり立ち始めた彼の分身を眺めながらエヴァがいう。

「それでは約束通りお前たちの価値を見せてもらおうか」

「ええ任せておきなさい」

 レミリアはそういって笑うと彼の分身を飲み込んだ。エヴァとは異なる幼い少女でありながら男の全てを堕としきる吸血鬼らしい魔膣が彼の分身から脳が壊れる様な快感を与えてくる。
強すぎる快感で射精できない状態を作り出すと、レミリアは酷薄に笑いながら彼女と妹を救うために追った胸の下にある古傷をなめて牙を立てた。フランも同じような理由で負った背中の傷に向けて同じことをする。

「ヒギャー!」

 古傷二つと分身三方からくる強すぎる快感で支離滅裂な悲鳴をあげながら横島は叫んだ。これは間違いなく、廃人になるような快感だ。
だがそれでもレミリアとフランはそこまでひどいことをしてこないと、信じる心もある。 それでも二人は自分たちが満足するまで責めるのをやめずに彼から離れたのは5分も経った後だった。
強すぎる快感で倒れ伏した、彼の頬を愛おしそうに撫でながらレミリアはエヴァに言う。

「どう? これが私の運命を操る能力よ。 廃人になったり後遺症が残る可能性が百パーセントじゃないかぎりは彼に一切後遺症を残さず、健康体のままで入られる運命を決定できるの。
 エヴァ貴方もどちらかと言えば良識派だから彼に後遺症を残すのは本意じゃないでしょう? 私としても今ではこの能力がありがたいと思っているわ。 どんなに凄い快感を与えても彼を壊さずに済むから」

「確かに有益だな。私が遠慮していた夜の責めもいくらでもできるか」

 レミリアがエヴァと話している横で、フランは彼女と代わって仰向けに倒れた横島にまたがりながら彼の傷口から血を吸い始めた。 
フランの秘所はレミリアの獲物に快楽の毒を流し込む様な感じと対照的に爆発的な快感をたたきつけてくる感じがする。一度フランが腰を振るたびに変な風に跳ねかける彼をフランは笑いながら見ていた。

「こら、フラン私の運命を操る能力がない時も彼を可愛がりたいなら、少しは加減を覚えなさい」

「ごめんなさい。でもちゃんとできるよ。血を吸っていれば限界値がわかるから」


 白目をむきかけながら空を見る横島の視線は完全に定まらなくなっている。それを見てクルルが女王らしい見下ろす目で笑いながら自分の血を一滴だけ、グラスに入れるとそれをエヴァが横島に飲ませた魔法酒で割る。彼女はそれを横島に飲ませると笑った。

「吸血鬼の貴族の血液で割った魔法酒貴方を回復させるには十分でしょう。大丈夫よ、吸血鬼の血を飲んだら吸血鬼になるけど、この酒で割られた場合はありえないから」

 甘く精力を取り戻させる酒を飲んで一気に力を取り戻した彼を彼女は笑いながら覆いかぶさり繋がりながら首筋の血を啜り始める。クルルに与えられた血で分身から出る精が一気に増え、彼女の秘部に一気に吸い尽くされていく。 出し終わり意識がどこかに飛んで行った彼を優しく責めながら彼女は笑う。

「あまりにも無様な逝き方。女権国家の女性にとってはそれはもっと犯してと言っているようなものよ」

 その後彼女たちは交代しながら彼を犯しぬいた。その際に繋がっている女性もそうでない女性も楽しみながら彼の古傷をなめる。その度にただでさえも多い射精の量が増えるのを笑いながら彼女たちは見ている。特にレミリア姉妹やクルル達を助けるために負った傷をなめられると特に射精の量が激しくなる。

 いつまでも続きそうな快楽の宴は不意にレミリアが彼の首筋をなめて強すぎる快感を与えたところでいったん途切れた。彼女は笑いながらメイドを呼ぶ。

「咲夜、そろそろこの宴を締めるわ」

 レミリアが声をかけた場所に彼女の従者である銀色の髪をした麗人のメイドが現れた。彼女は美しい銀色の髪を靡かせながらゆっくりと、彼に近づいてくる。彼女は恋愛映画で惚れた男への告白が成功した少女の様な笑みを浮かべ弾んだ声で言った。

「それではお嬢様私の能力で彼に止めを刺させてもらいますね」

 咲夜が指を鳴らすと、唐突に全ての快感が遮断された。エヴァがそれを見越したように横島の分身を飲み込み上で腰を動かす。怯える横島の瞳を楽しそうにのぞき込みながら咲夜は拷問係がこれから来る痛みを開設するような様子で横島に楽しそうに言う。

「何度か共闘したから知っているでしょうけど、私は多少時間を操れます。そして今貴方様の体の快感の時間を止めています。そしてそれをここで解除すると」

 エヴァが笑いながら首筋に牙を突き立て、咲夜が指を再び鳴らすと全ての古傷と分身が一切に爆発を起こし、そのまま彼は一気に涙と鼻水をたらしながら訳の分からない叫び声をあげた。意識が落ちそうになったところで、笑みを浮かべたレミリアが彼に手を当てて、気絶することも正気を失うこともできない様に運命を操った。

 その後クルルとスカーレット姉妹にも同じことをさせられてしまい。完全に倒れかけたところでレミリアが笑いながら言う。

「それじゃあ最後の余興をしましょうか」

 クルルが彼に血液を与えると一時的に自分が吸血鬼になった感覚を覚えた。レミリアが手をかざしたのは多分完璧に人間に戻れるように運命を操ったのだろう。そしてフランが笑いながら言う。

「きゅっとしてドカーン」

 横島は自分の中の何かが壊された感覚を覚えたが何を破壊されたのかは全く理解できなかった。そして吸血鬼となった彼に咲夜が服を脱ぐと跨り彼を犯し始める。凄まじい恥辱心が彼を襲った吸血鬼となって超越者になったのに人間の女性に閨で負けている。フランは笑いながら言う。

「忠夫兄さまの魂の恥辱心への防御を壊したよ。大丈夫確実に元通りに治るように姉さまが運命を操っておいたから」

 その言葉を聞き納得しつつ恥ずかしさで死にそうになりながら、無言でありながらベッドの中で自分を圧倒しつつ、夜の弱さをさげすむ目で見てくる咲夜がわざとらしく彼に首筋を差し出してきた。彼は腹を立てながらもそのまま彼女に首筋に牙を突き立てた。

 彼女の血を飲んだ瞬間激しい快感が起こり、媚薬を飲んだような状態になりそのまま射精の量が一気に増しいった。僅かな疑問が起こり、次の瞬間女権国家の女性の血液だという答えが浮かび、彼を納得させる。咲夜の腹から僅かに零れた精液を彼女は笑いながら手ですくって飲んだ。
 腹から僅かにこぼしたのもわざとだろう。どうすれば繋がっている男性をより強く欲情させられるか知り尽くしたしぐさだ。


446 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:50:46 ID:eLEKoExj

 再び固くなった彼の分身が敏感になったのを見計らい彼女はその瞬間に時を止めた。彼女はつながったまま腰をゆっくりと動かし続けながら、珍しくレミリアに頼みごとをした。

「お嬢様お願いします」

「ええ、任せておきなさい」

 レミリアは満面の笑みを浮かべながら咲夜のカチューシャ、一応とはいえ王国と敵対関係にあるスカーレット家の家紋の入ったそれを彼女の頭に付けた。そしてそれを横島が認識した瞬間に、時を動かした。

「ああー!」

 恥辱と快感両方で悲鳴をあげる彼を見下ろしながら咲夜はいう。

「忠夫様。先ほどエヴァ様やお嬢様たちとした時より多く出しておられていますね。私が与えている快感はあの方々よりは下なのに、貴方の名誉の為にその理由は敢えて言及しないでおきましょう」

 侮蔑たっぷりの言葉を聞きながら彼の意識はそのまま堕ちていった。

 トラウマの想起が終わると、目の前で彼を絞り尽くすさとりが笑いながら言う。

「トラウマを想起してましたけど、咲夜さんにやられた時が一番出してましたね。快感が強い時より屈辱感が強い方が貴方は射精量が多い様で。本当にゴミですねぇ」

「そ、そんな」

 言い終わる前にさとりが腰を動かすと再び射精して彼は完全に倒れた。

「今夜の心夢の迷宮の敗北のペナルティはこれでおしまいです。身の程を良くわきまえなさい」


 夢から覚めた彼は当然の様に侮蔑の目で自分を見下す、さとりに騎乗されていることに気づくと、起きるのと同時に射精し。悪夢の続きの様な感覚の中で射精した。 
ふらつきながら朝食を取りにでると、咲夜とアリスが朝食を用意してくれていた。 咲夜は一礼するとふらつく横島を優しく席に誘導し頭を下げた。

「忠夫様、今日はお出かけするのでしょう体力の回復に良さそうなものをアリス様と作っておきました」

 意識的にそうしているのか、咲夜は閨の中以外では、横島に対して主君を救ってくれた感謝や敬意が伝わりやすい接し方をしてくる。 レミリアやフランの為に彼の精神を早く回復させるためというのもあるのだろうが、本心でもあるのだろう。

「ああ、ありがとう、それとマーリンさんはあれからどこへ行ったか分かるか?」

 食事をしながら問う横島に咲夜は少し悩んでから答えた。

「ジェラート様が、血眼になって探したのち、確かにいないことが分かると、忠夫様に
彼女が干渉しがたくなる類の術をかけていました。そしてジェラート様からの言伝によると『少しでも早く大鳳殿もわらわの元に連れてくるがよい。かような存在を旦那様の恩ある友人にこれ以上は干渉させられぬ』だそうです」

 それを聞くと横島は、早めに大鳳と会うことを決めた。アリスと咲夜の作ってくれた料理を平らげると、辛うじて足腰に力が戻ってきた。それから1時間ほど時間がたつと不足なく戦闘できる状態になったことに気づき、
彼はそのまま大鳳の住居に向かった。念のためにジャギにも連絡を取り、彼にも同行を頼んだ。 大鳳の様子はただごとではなかった。自分が肩代わりした以上はさすがに壊れてはいないと思いたいが、もしかしたら正気を失っているかもしれない。

 事情を聞きアミバも呼んで直ぐに来てくれたジャギと共に大鳳の家に到着すると、幸いなことにいつもと変わらない様子の大鳳がいた。 アミバに目配せすると彼は安心させるような様子で首を縦に振った。『今の所は』大鳳が大丈夫だと示している。 横島は真面目な顔になり大鳳に向かって声をかけた。

「大鳳、昨夜余程の緊急事態があったようだがなんで、神狼のメダルなんてつかったんや。あのメダルは女性を奴隷にする前にこっちが折れて完全に奴隷にされる可能性の方が遥かに高いやつだって前に報告書に書いといただろう。 
合意の上でかつワイに好意を抱いてくれる女性の心夢の迷宮ですら何度も負けて、ワイは堕ちかけたんや。もしも敵対している女性が相手なら」

 糾弾の色は一切なく、純粋に心配と疑問の色しかない横島の声に大鳳は少しだけ悩むと口を開いた。

「忠夫、ごめん。どうしても僕は踏破しなきゃいけない心夢の迷宮があるんだ。そして堕とされないために他の攻略者を手伝う機能を使って、避難するという行為を僕は何度も繰り返さないとだめかもしれない。
その度に色んな人を巻き添えにしてしまうけど、助けてくれないかな? 事件が解決してから10年くらいたたないと事情を話せないけど」

 大鳳の申し訳なさと真剣さの籠った声と目を見て、横島は少し悩んでから答えた。

「一つだけ条件がある。 夢から覚めたら完全に記憶を失う魔術があるから、夢の中だけでも事情を話せ。内容は思い出せなくても、俺がどう受け取ったかだけは覚えていられるようにしておくから」

「忠夫ありがとう」

 大鳳は頭を下げるとジャギに向かって声をかけた。

「ジャギ、もしもだけど僕と横島が壊れた時の為に、ジャギは残っていてくれないか」

「いや、俺も姉貴たちやメアリと連絡が取れ次第、そのメダルを使ってお前の避難場所を確保する。ここまで王国が持ち直せば、アミバだけでも残ればそこまでひどいことにはならねぇ」

 大鳳をジェラートの元に送り届けた帰り道でジャギに、横島は問うた。

「なあジャギ、大鳳はなぜ心夢の迷宮に挑んどるんやと思う?」

 バカなことなどとはさすがに言えない。彼の有能さはよくわかっているからこそ、本当にそうするしかない事情があるのだと思う。 それに対してジャギは少し考えてから答えた。

「横島、すまん。一個だけ仮説が出ているんだが、その仮説はあまりにも可能性が低い。そしてその仮説は、滅多なことでは口にすべきことじゃねぇんだ」

 ジャギの言葉を聞き、無理に聞き出そうとしても無駄だし、ジャギが黙るのは本当に効くとろくなことにならん時が多い、と思った彼はあっさりと引き下がった。

「ああ。分かった。 半年後じゃなくてよかったわ。ミクさんへの連絡頼むわ。俺は一応ウェイバー先生に話しておく。「今」はまだお互い完全に味方だからな」


 ジャギと別れた後、GICたどり着くと後輩たちに忘れ物をしたと言って通された、彼はウェイバーに事情を話した。ウェイバーは少し考えたのち答えた。

「今回はお前の知力が足りなくて気づけないわけではない。 私も確信まではいってないがな。 その方が上手く回りそうだから、何も教えられないが、大鳳を助けるべく調査と打つ手は打ち始めることは約束する。最も敬愛する我が主君イスカンダルと、次に敬意を持つ恩人アドルに誓おう」

「それだけ聞ければ十分ですよ。師匠ありがとうございます」

 横島が出て行ったのを確認するとウェイバーは自分が収集した女権国家の情報資料をあさり始めた。そしてしばらく資料を真剣な目で読み続け、読み終えるとそれを机に戻し空を仰ぐような姿勢になると独り言の様につぶやいた。

「明らかに大鳳があのメダルを使わざるを得ない様な案件は『女権国家内部には』ない。――ならば答えは。……はずれであってくれれば良いが」


 心夢の迷宮に入った横島は、約束の処置を施された状態で、大鳳が挑んでいる心夢の迷宮に呼ばれていた。ジェラートの話では大鳳の夢の中にはマーリンはいないらしい。彼女はサキュバス族をたくさん従える魔女でもあるから、その言にはかなり信憑性があるだろう。
一応安心しながら目の前の大鳳を見ると、心底嬉しそうに声をかけてきた。

「忠夫、助かったよ。全部じゃなくて一エリアでもクリアすれば、その日はとりあえず大丈夫だから」

 安心した様子の大鳳を見ながら彼は言葉をかけた。


447 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:52:42 ID:eLEKoExj

「大鳳、約束通り俺はこの夢が覚めたら、全て忘れる様にしている。だから教えてくれお前が神狼のメダルを使ってまで支配下に置こうとしている女って誰なんだ? 支配下に置くんじゃなくて鍛錬に付き合ってもらいたいだけかもしれんが、とにかく理由を教えてくれ」


 横島が嘘を言っていないことを微塵も疑っていない様子の大鳳は一切迷わず答えようとした。その瞬間、恐るべき気配がして、氷の刃が弾丸の様に彼らに飛んできた。 横島はそれを霊波刀で叩き落すとそれを飛ばしてきた下手人を見た。
 着物姿に男を誘う様に揺れる乳房をした和服の雪女、女権国家の防諜組織の一人雪泉だ。彼女を見ると、大鳳は恐怖と、ダメだと思っているのに自分の下半身が反応ししまったのを恥じているような様子を見せた。踏破出来た心夢の迷宮が幾つか、
ある横島にも覚えがある。この夢の世界では快楽を与えてきた女性に対しては自身の快楽を求める願望の為か、防御力などが下がってしまうのだ。横島は霊波刀を抜き放つと大鳳を庇うように立ち、冷静な様子で、言った。

「本人じゃないなこれ、大鳳と違って犯されたことがない俺はそこまで色香に迷わん。さて誰の心夢の迷宮なんだ」

 雪泉の放つ冷気を横島は少しだが余裕をもってかわしながら彼女と圧倒とまではいかなくても若干有利に進めている。エヴァという冷気使いから教えを受けたことが大きいうえに、トラウマの具現に似た存在ならできる行動も、限られるためだ。 
切りあいながら横島は直ぐに決断を下した。 何かの文珠を自分に発動させると、この程度ならすぐ倒せると言わんばかりに雪泉に切りかかり、舞踏会のワルツを踊るようにお互いの立ち位置を切り替えまわりながら、剣撃と霊術と忍術の応酬が続いたが、
不意に雪泉が大鳳を背にする形になった時、横島が文珠を投擲した。とっさに雪泉がそれを避け、後ろにいた大鳳に直撃すると大鳳が、唐突に雪泉に襲い掛かった。大鳳の一切の迷いのない攻撃が彼女を捕らえ、そのまま一気に雪泉の幻影は消え果た。

「忠夫ありがとう。『鎮』の文珠で僕の欲望とトラウマを沈めてくれて。おかげで思うようにうごけたよ」

「この雪泉は多分だけど1年半くらい前の雪泉やからな。ワイが、文珠の器用な使い方をまだ覚えていなかった頃の奴や。 『嘘』の文珠で騙したおかげで、直ぐに思い通りに進められたわ」

 ここまで言った後、横島は本当に訳が分からないという表情になり大鳳に質問をした。

「本当にここ誰の心夢の迷宮なんや? 明らかにさとりではないみたいだが」

 基本的に心夢の迷宮は侵入した女性の精神に沿った迷宮となる。そしてその心夢の迷宮のボスもまたその女性の精神に沿った能力などを有する。アリスの場合は彼を人形に変えて快楽の極致に落とし込むというものだった。
こういう他の女性の敵が出てくるパターンは滅多にない。ジェラートやレミリアの迷宮に入った時に、彼女たちが従えていた、信頼していた部下などが出てきたことはあるが、それくらいだ。横島の問いに大鳳は少しだけ、悩むと覚悟を決めたように口を開いた。

 自分を深くし信頼している大鳳ですら直ぐに言うことができない程の事なのだとわかったためか彼の顔も硬くなる。彼は少し悩んだのちに口にした。

「ここは、まどか王女の心夢の迷宮なんだ」

「な」

 あまりにも衝撃的な言葉に、横島は何も言えなくなった。そして大鳳は一切迷いがない様子で言葉を口にした。

「忠夫、僕に嘘を言えなくなる様に文珠を使ってくれる。詳しくは明かせないけど、僕はまどか王女からのお願いで、まどか王女の心夢の迷宮を攻略しているんだ」

 震える大鳳の様子を見て横島は言った。

「まだ話したくないんだろ。なら話さなくていいぞ。 ただ一人で抱えるのがきつくなったら話せ。お前が望むなら現実に戻っても覚えているようにしてやる」

「忠夫、文珠は?」

「いらん。こんなことで嘘言う奴じゃないことはよう知っとるわ」

「ありがとう」

「それと今回はこの迷宮の仕組みについては聞かん。ひたすらお前の指示に従って動く。王女様の心の迷宮のギミックとかその成り立ちとか知りとうないわ」

そういいつつも、半分くらいは自分への配慮でもあると、思い大鳳はその気遣いを嬉しく思うと彼に頭を下げた。

 その後二人は文珠の効果で色欲やトラウマが鎮まった大鳳と共に、多くの敵をなぎ倒していった。

 基本的には女権国家の宮殿を思わせる様な迷宮に大鳳を性的に凌辱した女性が敵として出てきたが、過去の記憶にすぎないそれらは、成長した大鳳と横島の敵ではなかった。
 あまりにも順調に進みすぎたためか、二人は撤退の必要なしと踏んで一気に進み切る道を選んだ。一度だけ ゴルゴの忠告を思い出した、横島が大鳳に退くかと聞いたが、大鳳は珍しく、それを拒否した。

「忠夫ごめん。今回の戦い今日終わらせないともう時間切れってわけじゃないけど、今日終わるなら今日終わらせた方が良い戦いなんだ」

それを聞き、横島は悩まずに答えた。

「分かった。ただし少しでもアイテム切れの不安が出たり、なんかやばそうな罠がありそうなら、長期戦にきりかえるぞ」


 それから二人は順調に進んだ。心夢の迷宮を幾つも超えた横島の目から見て、楽勝ではあっても、迷宮の難易度は普通に高かったため罠とは思えなかった。
それなりの苦戦を何度かした後、最後に王国の宮殿の謁見室を思わせる部屋の眼前に来た時、大鳳は横島の目を見て頼みごとをした。

「忠夫、ここまで協力してもらって本当に恥知らずだと思うけど、このボス部屋は僕一人に行かせてもらえないかな?」

「ああいいぞ。惚れた女の暗部なんて他の男に見せたくないだろ」

 そういうと、横島は『繋』の文珠を大鳳に渡した。

「これでお前の状況が分かるから。『鎮』の文珠の効果が切れたら、『送』の文珠でお前に届けてやる。片づけてこい」

「忠夫、ありがとう」


 大鳳が部屋に入っていくのを見ると、横島は霊波刀を構えた。

「やっぱり来たな大鳳のトラウマども、王女様という役職上自分が襲い掛かってきて弱らせたところで挟み撃ちってか。治癒の文珠もあまり使えんし、こらきつい戦いになりそうだ」

 心夢の迷宮は負ければ犯されるだけの迷宮ではない。現実世界に影響はなくても刀などで切られれば、その痛みは現実と変わらない。 横島は大鳳が早く片付けてくれることを願いながら霊波刀を構え、大鳳の妨害をしようとする無数の敵の群れに駆け入った。


 横島が敵を食い止めている最中、大鳳は内心で彼に礼を言うとそのまま剣を構えまどか王女の前に来ていた。

「王女様、約束通り助けに来ました」

 大鳳は剣を構えながらこの心夢の迷宮に挑むきっかけとなった時のことを思い出していた。

 ある時極秘裏の一時帰国を要請されて、横島の文珠を数個使い王宮に一度戻った時、まどか王女が泣きながら彼に、今までの所業本来受けさせるべき対策なども受けさせずに女権国家に送り出したことを告白してきた。

 衝撃を受けながらも事情を聞くと彼女は女権国家か、あるいはそれ以外の王国を恨むどこかの陰謀か逆寝取られに興奮する性癖を植え付けられ国を護る救国の志、しかも最も国を救える可能性が高いものを女権国家に送り込む性癖を植え付けられたという。 それを聞いた大鳳はまどかに問うた。

「なぜ今になってそれを明かしたんですか?」

「大鳳くんがよこした報告書に神狼のメダルって言うのがあったよね。あれを使って私を支配して、完全な亭主関白な状態の夫婦になってほしいの。そうすればこんな性癖を植え付けられた私でもこれ以上国を裏切らなくて済むから。
 女権国家、あるいはほかの王国を憎む何者かの呪いを消し去ってほしいの。お願い。これ以上家臣や民を裏切るようなことをする前に、一刻も早く私を支配下に置いて」


そこまで言われて大鳳には否やはなかった。


448 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:54:03 ID:eLEKoExj
 
 大鳳は剣を構えると即座に勝負を決める体制を取ろうとして、それをしようとした瞬間。懐の『繋』の文珠から横島の声が響いた。

『大鳳お前が、なに考えているかはわからんがこれだけは言う。20分くらいなら、絶対に持ちこたえてやるから、俺の為に早く勝負決めるとかは考えるな。 あくまでも自分の都合で決めろ』

 横島の言葉を聞き感謝しながら大鳳は剣を構えた。目の前のまどか王女を倒しそして彼女を支配下に置き救う。それを何が何でも成し遂げなければならない。だが、目の前の王女が楽勝ではない、
しかし強敵とも言えない範囲の敵のせいか余計な悩みが出てきてしまう。合意の上とはいえ、王女を犯しそして支配下に置く。こんなメダルの力で関係を作ってしまっていいのか? など数々の疑問が浮かんでくる。 
それでも目の前の王女が桃色の光を纏う矢を構えた瞬間、その弓矢から感じられる大きな霊気が彼の手加減の枷を外した。

 大鳳は迷わず弓矢をかわすと一瞬でまどかとの間合いを詰めて一気に切り込んだ。しかし、まどか王女を両断するはずだったその一撃は突然現れた乱入者により叩き落された。
一撃で剣がへし折られ飛ばされたのを見た大鳳の顔色が一瞬で変わる。その相手は昨夜さとりの心夢の迷宮で自分を倒し犯した。ナポレオン相手のいさかいのあった日のミクだったからだ。

「な、なぜ」

 さとりの迷宮で彼女と出会ったのはまだ納得だ。あの日の夜のことはトラウマになっていたから。だがなぜまどか王女の心夢の迷宮にさとりの迷宮と同じミクが出現するのか。それに対して、目の前のまどか王女が笑いながら話す。

「前も言ったけど、私は純愛系の寝取られは無理だから、私の迷宮で具現化できるのは大鳳くんが嫌がりつつ快楽に屈した敵だけ。だけどナポレオンさんといさかいを起こした夜のミクさんだけは、大鳳くんを怒りと女権国家の影響を受けた女性として嫐ったから、呼び出せたんだ」

 ミクの蹴りが彼に直撃し、吹き飛んだ彼にまどかの弓矢が当たった。その瞬間大鳳の数々のトラウマが蘇ってくる。最初に蘇ったのはナポレオンとのいさかいの日のミクとの夜だった。

 ナポレオンに頭を下げ終わった後、ミクは大鳳を連れてアジトに戻ると彼を押し倒した。

「大鳳、シスコンをこじらせてお姉さんを真剣に好いてくれた男性に悪辣な嘘をついたじゃない。『少しだけ年上』な武芸の達人な絶対勝てないような相手に、勝たなきゃ認めませんなんて」

 冷静に帰った大鳳は自分が凄まじい地雷を踏んでいたことにやっと気づいた。普段の彼ならありえないことだ。シスコンスイッチは恐ろしいと他人事の様に彼は思った。だが冷静に帰ると即座に土下座外交に移行することを決めた。

「は、はい。姉さんを取られるのが嫌なあまり、妙齢で全盛期なミクさんに勝たなきゃ認めませんなんて、ありえない条件を出してしまいました。嘘とはいえ、あんな失礼な発言ごめんなさい」

 大鳳の謝罪を受けるとミクは柔らかい慈愛に満ちた笑みを浮かべた。

「もうこんどから気をつけなさいよ。 少しは私も年齢を気にしているんだから、私が女として衰えてない確信を得る手伝いをお願い」

 そういって彼女が服を脱ぎだすと大鳳もそれに応じて受け入れることにした。慈愛に満ちた柔らかいミクの手が彼の体をもむたびに異常な脱力が走り、そしてミクが彼の分身を飲み込んだ瞬間――あまりの快感に脳が砕けた。
 何度かミクと体を重ねたことがあるからこれはわかる。明らかにこれは人格を壊す手加減なしの性行為だ。ミクは不意に思いついたような笑顔で言う。

「確か気を遣う術で男性の精液にある気をもらって若さを保つ術もあったし、少しだけ年齢が心配だからそれやらせてもらうわ。何しろ私――歳のおばあちゃんだから」

 ミクがそういいながら抱きしめる様にして大鳳を絶たせると彼の背中のツボを押した。その瞬間その指から睾丸を絞りぬかれたような快感が走り、ミクと一体化している分身の感度も一気に高まった。

「ああー!」

「大鳳、ちゃんと限界ですって言いなさいよ」

 快楽でまともな言葉が話せない状態を作り出しながらミクは言う。それからしばらくの間。

「なんでまだ限界って言わないの? ああなるほど、私の老化を少しでも遅らせようという愛国心と献身の発露ね。えらいわ」

 笑顔で自分を搾り取るミクに対して、大鳳は初めて上司じゃなくて、女性として怒った彼女を目の当たりにした心地がした。 泣きながら許しをこう大鳳に察したらしいミクは笑いながら言った。

「本当に反省したみたいだからこれで終わりにしてあげる」

 手強い敵に必殺の一撃を放つように彼女の体が震え次の瞬間彼の分身を包む快楽が一気に強まり締め上げ切られた感触と共に悲鳴が上がる。最後に信じられない量の射精の音を聞き彼の意識は落ちた。


 あの日の夜の幻影から今に戻ってきた彼はまどか王女の迷宮のベッドで彼女が具現化したミクに跨られていた。快楽に悲鳴をあげる彼をまどか王女が笑いながら見ている。

「大鳳くんどう、私の性癖に甘えてやり放題ハーレム続けたくなっちゃった?」


 揶揄するような口調と共にまどかが手を振るとミクが消え去り代わりに、楯無、雪泉、ユカリ、ティナアンリエッタ皇女など彼にとってはトラウマ、まどか王女にとっては夜の極上のおかずの提供者だ。

 もう勝ち目は千に一つくらいしかなかったが、まどかの術で彼女たちにされたことを思い出させられた時、完全に抵抗の意思が消えて勝率がゼロになった。それを見た彼女たちは心底楽しそうに笑いながらそれぞれが大鳳にとって最も記憶に残る方法で犯し始める。
ティナに最初に犯され女権国家の幼女の膣が彼の分身を一気に飲み込みそのきつさが一気に彼を達しさせる。

「お兄さん惜しかったですね。 でもお友達の文珠がないと自国の王女を救うことより、彼女の逆寝取られ性癖で敵に犯されるのが癖になっちゃてるんだ♪ 王女様に謝ったらどう? 呪いを解くことができないどころか楽しんでごめんなさいって」

 かつて自分が味わったのとまったく同じ快感を与えつつ、それと別の言葉を言うティナはミクのとは違った種類のエネミーらしく、まどか王女が作った理想の寝取り相手らしい。彼はティナの送り込んでくる快感に負けて叫んだ。

「ま、まどか王女様ごめんなさい」

 屈服した声の謝罪を聞き上機嫌なティナの横でまどか王女は楽しそうに自慰を始めた。

「昔の時より射精量多いですねお兄さん? 王女様を裏切る背徳感が癖になっちゃいました」

 大鳳を容赦なく攻めながら彼女は思いついた様にいう。

「もう一人謝らなくちゃいけない人がいますね。 ここに来る前に私達が倒した横島さん。彼、本当に貴方に友情を感じてなきゃできないような戦い方してズタボロになりながらも私達を大分足止めしてましたよ。
 勝てないという結果は一緒でも、最後まで頑張らず、下半身に負けたゴミ野郎でごめんなさいって、彼にも謝りなさい! 」

 明らかに残酷な真実を告げるのを愉しんでいるティナの声を聞き大鳳は半泣きになりながら謝罪の声をあげた。

「た、忠夫ごめん」

 大鳳の謝罪を聞いた瞬間ティナはさっきのまどか王女への謝罪を聞いた時とは正反対に不機嫌な顔になった。意図的に大鳳の射精を早めた後、敏感になった分身をさらに厳しく絞る。

「ああー!」

 激しい快感から精と涙が同時に出る彼を見下ろしながらティナは怒った声で言う。

「今、私に強制されて屈したからじゃなくて、本心から反射的に彼に謝りましたね。つながっている私より男友達ですか。 これは女性と閨を共にするときのマナーを叩き込む必要がありそうです」

 ティナのテンションがあがり始めるとゆかりが、魔曲の奏でと共に、呪歌を歌い始めた。確か女権国家の女性の色香と体がもたらす快楽に敗れる男をあざ笑う類の歌だったはず。それを聞くとティナが与えてくる快感が強くなり、
そして大鳳は自分の頭が余計に朦朧としてくる感じがした。ティナに三回ほど絞られると、楯無がティナを軽くいさめて引き離した。彼女は笑みを浮かべながら大鳳を優しく抱きしめて胸元に顔を埋めさせながら対面座位で彼を優しく絞りながら言う。


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