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【R-18】Mシチュスレの引用スレ

409 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:23:07 ID:oSDnTyKy
「まあ。いいだろう。 アリス、ジンを退けた後は好きなだけ回復の時間を取れ。今回はお前が愚行を犯しているってたっぷりと分からせてやる」

 そういいながら腰掛けるジャギをよそにジンは玲子と仲魔達に手を出すなと指示を出した。ここは一騎打ちの方が勝率は高いと彼は踏んだ。剣を構え近づくジンに高島も彼を迎え撃つべく柄を構える。 
ジンは僅かに剣をゆらゆらとさせて近づきながら、不意に後ろに全速力で飛んだ。 
フェイントをかけながら隙を探りあう動きで近づいた時、読みあいでは勝てないと悟った。様々な形の武器を出せるあの柄が相手では出せるフェイントの量が違いすぎる。 

彼は即座に加速し全力で切り込んだ。 高島はそれを見て剣を具現化させて受けた。 ジンは即座に切り込み連続で彼に突っ込む
。高島は横島と同じく、フェイントを織り交ぜ相手を揺さぶるトリッキーな攻撃型だ。なら速さだけは僅かに勝る自分が徹底して奇策を出す暇を与えなければ良い。 
嵐の様な剣撃を高島が受け流す中ジンは僅かに焦りを覚えた。 自分の体力が彼を沈めるまで持つだろうか。

守りの中にも高島が仕掛けてきた騙しは多くあった。僅かとは言え余裕があるのに辛うじて受けた振りやその逆をされたり。その度にジンは肝を冷やした。数回だけだが騙された時は、攻勢に転じられ危うくなった。 

 数回の交差の後、高島が僅かに騙された彼に火事場の馬鹿力めいた力を込めた一撃を放ってきたとき、彼は僅かに体制を崩し、彼も火事場の馬鹿力めいた速さで距離を取った。
その瞬間霊波刀を槍の形に変えた、高島の突きが彼を襲う。もう刹那速ければ片腕に重傷を負っていたかもしれない。そう思いながらそれを防ぐと、高島がそのまま槍に圧をかけてきて、鍔迫り合いめいた状態になった。 
それを見た瞬間アリスの表情が勝利を確信したものに変わったことをジャギ以外は気づかなかった。ジャギもこれも弟子の経験と思い敢えて告げようとはしない。

鍔迫り合いをしつつ槍を剣に変化させながら迫る高島相手に彼は即動いた。彼は非力ではないが、力に関しては高島に及ばない。 近づいてきた高島に拳を放つと即座に距離を取りにかかる。
僅かでもミスれば剣を支える腕が片腕になった瞬間に一気に、切り倒される危険な賭けだが彼はそれに勝った。 だが試練はそれからだ。攻めに回ることができる高島の剣は、
短刀や長巻あるいは双刃刀に変わり彼を切り裂くかもしれない。切り替えるのに僅かな間があるとは言え騙され時間を取られればその隙にそれが来る。

 フェイントが生み出した多数の幻影の刃に警鐘を鳴らす神経を黙らせ、風を切る空気の流れだけに従い、高島の繰り出してきた剣の一撃を受けるというよりそこに一撃を叩き込むように剣を放ち辛うじて打ち勝つと彼は即座に蹴りを放った。
万が一双刃刀にしたとして、刃は届かぬ位置。ジンは足の先に感じる蹴りの感触同時に自分の腹にも衝撃が走ったことに気づくと弾き飛ばされた。高島が僅かに遅れて自分に蹴りを放ったのだと理解すると即座に呼吸を整え、そのまま風神剣を構える。

 一騎打ちを行う両者が警戒をしつつ、決着をつけるべく直前の小休憩に入った瞬間アリスが感嘆の声を上げた。

「本当に貴方の成長力凄いわね」

「ええ、ジャギ師匠曰く恐らくは貴女達の倍くらいになっているだろうと」

 その言葉にアリスは笑いながら言った。

「ええ。だからこそ、忠夫に与えることができる安心感も倍になるわ」

 アリスの宣言が終わった直後それを合図にした様に両者が駆けだし、双方の剣が何度もぶつかり合った。ジンは致命傷以外のフェイントを無視するように意識を切り替えひたすら手数で高島に勝利しつつあった。
お互いが渾身の一撃を込めて双方の剣がぶつかり、互いの隙ができた直後、高島が霊波刀をしまった。そして新たな武器に変えようとする。両方から霊波が出たのを見て、双刃刀そう考えると同時にジンは勝利を確信した。

『ここで双刃刀に変えるとはそうせざるを得ない理由があったのかもしれんが貴方の具現化速度では間に合わないこっちの勝ちだ』

 そう思い彼の首に風神剣を放った直後ジンの腕に硬い感触が帰ってきた。本当に僅かな差だったが、ほんの数瞬速く霊波刀が具現化されていた。そしてその具現化されたものは双刃刀ではない。 
先がまるく刃がない。これは棒術の棒だ。そう思った直後ジンの中ですべてがつながった。さっきの槍を出してきた一撃、あれは本来の具現化よりほんの僅かに遅らせたのだ。
ジンの脳裏に間違った計算を植え付けるために。 そして次の瞬間、高島が棒術の棒で彼に乱打を放ってきた。 僅かに速度で勝る彼も、棒術の乱打はしのぐのは不可能だ。何度か受けた物の足に一撃をもらってから決定的に崩れ、そして倒れた。

 ジンが破れたのを見て驚く横島をアリスが魔力の込めた手で名で脱力させながら口を開いた。

「どう? この世界の封神演義の紂王は色欲三昧に溺れていても最後は見事な武勇を見せたでしょう。だからあの色欲に溺れた貴方の前世もあそこまでになるから心配はいらないわ」

「前世のワイはあの後武芸とかは真面目にやっとたのか、それともずっと色欲に溺れた日々を過ごしてあれだったのか」

「どちらにせよ、あの人形が貴方の故郷を護る戦力として動くから貴方がここで怠惰の極致に堕ちても大丈夫なのは変わらないわ」


 立ち上がろうとしたジンをジャギが手で制すると前に進みだした。

「この戦い女権国家にも放映されているんだろ。なら放送を切るんじゃねぇぞ。 大醜態をさらせばそれだけ失敗を繰り返しにくくなる。俺が知る限り最低最弱となったアリス・マーガトロイドよ」

「安い挑発ね。そんな煽りで私の手元が鈍るとでも思っているの。忠夫から吸収した霊気を大量に注いだこの高島人形、分霊に過ぎない貴方がどうにかできるとでも」


 そういうとアリスが魔力を放つと高島人形の動きがより速く力強くなり、放つ闘気が一気に膨らんだ。ジンはそれを見て、悟った。
たぶん彼女は高島という英雄が生きたどの時期でも再現できる。そして自分に経験を積ませるために一番実力が拮抗していた時の彼を再現していたのだろう。


 強大な闘気にさらされながらも、ジャギは微動だにせず答えた。

「端末にすぎぬ分霊と、珍しくバカ女と化した魔女が操る人形丁度いい勝負だ。最もそっちの方がハンデがでかすぎるが」



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