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【R-18】Mシチュスレの引用スレ

1 :名無しさん@狐板:2020/01/19(日) 00:15:29 ID:bMTYbG3g



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当スレは某R-18スレの長文レス、SS、スレ主以外のAA・支援AAを投稿する場所です
それ以外での使用はお控えください

695 :名無しさん@狐板:2023/12/25(月) 23:57:50 ID:E93wd1G7

「アリスさん、皆さんも忠夫を救出するためにゲームの最中なんですね」

 声をかけられるとアリスは、なぜかドキドキしている様子で、答えてきた。

「え、ええ、それで今何とか半分くらい終わったところよ」

「そうなんですか。これをクリアできれば、どうにかなるって言ってたけど、アリスさんや他の人たちもそろい踏みなら割と早く終わりそうですね」

「そ、そうね。」

 そう答えた直後に不意にゲーム画面から愛歌が出てくるという異常事態が起こった。

「愛歌さん無事だったんですか」

「大鳳くん、ええ私たち女性は入るのは難しくても出るのは簡単だから。ただ忠夫はどうしてもクリアしないと出られないみたいね。大鳳くん貴方がプレイしてクリアしてあげてくれない?」

「え、でも普通にアリスさんも上手でしたしすぐに終わるんじゃ?」

「技術だけはね」

 愛歌の言葉に意味深なものを感じた彼が、少し悩むと即座にアリスらしい敵のボス『人形の魔女』が現れる彼女が一撃必殺技を放ってきたと思ったら、そのままゲームの中の横島がそれをくらい一撃で倒れた。
それを見てアリスが嬉しそうに笑う。対して愛歌は『言いたいことはあるが気持ちがわかるのであまり強くも言えない』という表情になる。

 アリスはいい笑顔で言葉を続ける。

「ごめんなさい。ゲームオーバーになっちゃった♪ それじゃあ私も失礼するわね」

 そういうとアリスの体が光りとなってゲーム画面に吸い込まれていく。

 そして外の世界ではゲームオーバー画面が始まった。






 ゲーム中の横島は自分が人形の魔女=アリスの攻撃で負けたことに気づいた。最初に天狗なユウキ、この世界では木綿季に敗れてから、
女権国家らしいゲームオーバーを体験することになっている。 そして外の世界からアリスが入ってきた。

「忠夫ごめんなさい。でもこういうプレイも悪くないからそれじゃあいただくわ」

「ア、 アリスちゃん、ゲームのシナリオ通りの逆レしかできんのやろ。 つまりそれは」

「ええ。シナリオ通りの可愛がり方しかできないから物足りないと思っても、それ以上はできないけど、やり過ぎだと思っても止まれないわ。許してね♪」

 アリスの体中から光でできた糸が彼の体内に流れ込むと、そのまま彼はアリスの意のままに動かされながらアリスの乳房を揉みしだき始める。
それだけで射精思想になるが、それを彼の分身の中に入った彼女の糸が容赦なく止める。

「だめよ。貴方が出していいのは、今は私の中だけ♪」

 一息で服を脱いだ彼女は自分の秘所の中に彼を迎え入れる。そしてそれが済んだ瞬間、

 激しい快楽で彼の脳が爆発し。アリスが糸を抜いた瞬間、アリスの秘所から溢れ出ないのが不思議なほどの射精が起こった。

「ギャー!」

「悲鳴を上げるほど気持ちよく思ってくれているなんて嬉しいわ。それじゃあ次に行きましょうか」

 アリスがその豊満な胸を彼の胸板で押しつぶしながら笑うと彼は何ども泣きそうな声を上げる。 そこに不意に木綿季が現れる。

「忠夫今回も負けちゃったね。それじゃあ僕も罰ゲームに参加するよ」

 天狗に転生した彼女は笑うと、天狗の神通力で彼の分身の感度と男としての誇りをより強め始める。

 屈辱がより快楽を引き立て、さらに射精の量が増えるといつの間にか来ていたさとりが嗤いながら言う。

「彼屈辱で余計にたくさん出してますよ。ジパング男子として女性を男性が閨であえがせぬいて圧倒するのが当たり前なのに、その価値観でこうされるのが最高とか。
貴方の前世は王国男子だったけど、このジパングは王国より、ベッドの中で男が女を圧倒するのが当たりまえなのに。 前世よりすごい変態ですねぇ。 余計に固くなってます」

 わざとユウキとアリスに教えながら、恨めしい目で見てくる彼にさとりはいう。

「何ですか。最初の山ステージで私たちに負けた時のこと想起してほしいんですか? あれがきっかけで貴方は負け癖ついちゃいましたからね」

 そこまで言い終えると木綿季が言った。

「アリス僕も王国女子だったし、天狗としてジパングで過ごしたから一度くらいは男性優位の体位でしたいんだけど、忠夫が弱すぎて、すぐ果てちゃうから手伝って上げて」

「わかったわ」

 初めての時彼は、

 木綿季の男の誇りを強くする天狗の術だけでなく、こいしの無意識での強化も重ね掛けされて、ユウキの騎乗レイプを受けて、果てた後、さとりとこいしにも犯された。

 ベッドの中で惨敗しまじ泣き仕掛けている彼の分身をさとりが踏みつけながら吐き捨てる。

「早すぎて寸止めが楽しめないじゃないですか、この早漏。おや、今のジパング女子なら事実であっても、最低限の情けがあれば絶対に言わない言葉で余計に固くなってますねぇ」

「ええ、忠夫そこまで変態になっちゃったのぉ!」

 大げさに驚く木綿季が余計に彼の屈辱感を煽る。言い返したいがあまりにもたくさんの量を射精したために動くことすらできない。さらにさとりの心を読んだ状態での足コキが始まり彼は完全に意のままにされている。

「ほら女性器じゃ数秒も持たないから、足でしてあげているんですよ。少しは感謝しなさい」

 さとりとこいしの足がもたらす快楽で悶絶する彼に木綿季が胸を押し付けしばらくすると唇に乳首を含ませると手で彼の玉袋を揉みしだき始めた。彼は何度も苦しみながら、射精をするとさとりは真っ白に染まった足を敢えて彼に見せつける。

「ほらこれが貴方の変態性の証明ですよ。前世でヴィヴィオから多大な恩を受けたのと引き換えに貴方のプライドを壊す遊びがしたいから、次の転生先をジパングにすることを了承したけど、貴方は普通に了承してこうなっていたかもしれませんね」

 笑いながらさとりは彼の分身を再び飲み込むと嗤いながら言った。

「『想起・いま受けた足コキの屈辱と快楽』」



 過去にさとりとユウキにされたことを思い返した刹那彼は、いつの間にか後背位でアリスを貫いていた。もちろん彼の意志によるものではない。 アリスの糸で射精を封じられ全身を操られていなければ、入れた後すぐに果てていたし、
体も動かなくなっていただろう。与えられた食事で精は尽きずとも快楽には抗えない。

 アリスが糸を解くと彼の分身が振るえそのまま爆発した様に精液を放ち、敏感になった彼の分身をさらに絞りつくしてくる、アリスの秘所に追い打ちを受ける。アリスは体をひねりさらに彼の分身を嫐りながら、糸で彼の手を動かし尻を揉みしだかせる。

「あー! あー!あー!」

 声にならない奇声しか出せない彼の声をうっとりとした様子で聞きながら彼女は立ち上がり正面から彼と抱き合う形に戻り、もう一度彼の分身を内部に招き入れると彼を強く抱きしめて言う。

「すごく名残惜しいけど、約束通り木綿季と交代ね。早くこっち側にきて毎晩こうしましょう」

 最後の言葉に分身が反応するとさとりが意地悪い笑みを浮かべて言う。

「ジパング男子なら怒るか、それか怖がるところですよ。何期待しているんですか」

 射精のし過ぎで僅かに萎えた彼の分身を踏みつけながらさとりは笑いながらいう。 さとりの足で固くなった分身を木綿季が撫でながら言う。

「やっぱりアリスの優しい堕とし方は凄いな。僕もやり方もう少し教えてもらおうかな。久しぶりの忠夫の敗北ちょっとうれしいよ。それじゃあ行くよ♪」

 木綿季に犯された直後彼は悲鳴を上げながらそのまま即座に瞬殺された。木綿季は彼と一つになれることを喜びながらたまにアリスにお願いをすると、
アリスの糸の動かされた彼が木綿季が望む男性優位の体位で彼が動く形となった。それでも分身と脳は過ぎた快楽で常に悲鳴を上げ続けている。
 快楽が強すぎて限界を迎えた時、彼の脳が完全に何かに書き換えらえた。そして彼は犬の様にアリスとユウキの足にじゃれ付き始める。


696 :名無しさん@狐板:2023/12/25(月) 23:59:52 ID:E93wd1G7


 
その後西洋(女権国家)から進出してきた黒船の手下として、女性にあんな風に閨で負けた男に負けるという恥辱を与える妖怪色欲天狗となって彼はジパングの男性たちを逆レしたいストレリチアと女権国家の走狗として大戦果を挙げた。







ゲームオーバー画面を見た、大鳳は頭を抱えた。

「これ多分忠夫はこの体験をゲームの中で実際にしてますよね。かなりやばいのでは、というかこれ、サンドラの冒険ですよね? ゴエモンのパロディゲーなのになんでゲームオーバーだけサンドラなんですか?」

 大鳳の突っ込みにモモイが少しバツが悪そうに答えた。

「そ、その方が受けると思って。それに美男子でなくても、好感が持てる男キャラが主人公なら負けたら逆レゲームオーバーは女権国家のお約束だし」

「ゲームオーバー場面を健全にしたら割と王国でも売れそうなのに。とりあえず計画を立てるとしましょうか、横島に好意を持っている女性達はあてになりそうにありませんし」

 クリアというより自分がボスのステージでゲームオーバーになろうとしている。もしくはクリアしたいけど、誘惑に負けているような横島を好いている女性達を見ながら大鳳はため息をついた。


「うちの会社にも、忠夫に好意的な性格の悪いのが一人いるけど彼女も多分あてにならないでしょうね。というか、忠夫を堕とすチャンスとか言いそう。ある意味彼女は簡単に忠夫を助けられるからこそ、この状況に危機感をもたないんです」

 ミドリが落ち込んだ様子で言うのを確認すると彼らは会議室に向かった。横島に好意を持つ女性達が妨害してくる可能性は低いとは思ったが、
念のために裏切る可能性がない二人と共に彼は会議室に向かった。モモイとミドリも相当横島に好意的だが、恋愛感情ではない可能性もわずかだがあったし、
何より多分彼女たちはあのゲームに登場していなないのだろう。





会議室には狂三が待っており、その横には黒いゴシックドレスに紫色の髪をした美少女が座っている。紫色の淀んだ瞳と髪が彼女を夜に映える魔女を思わせる。どこか黒猫を想起させる彼女は大鳳達の姿を見ると軽く頭を下げた。

「初めまして、私はベルンカステル、魔女よ。猫に関わる種族だけど東洋の猫又か猫の獣人かは想像にお任せするは」

「そうなんですか。よろしくお願いします」

 挨拶を返す大鳳をよそにモモイが狂三に声をかけた。

「きょうぞうさん。忠夫救出作戦の何かいい手は思いついた? あ、大鳳くんこちらはきょうぞうさん。変わった名前だけど、一時的に男性優位な国に女権国家の土地が支配された時に、その男性優位の国の風習だと成人するまでは、
男が女性の恰好させられたりすることもあったから、その風習が一部ゆがんだ結果、成人までは男性名なんだって。考古学にすごく造詣が深くて、
普段は頼んだ歴史資料とかを送ってきてくれる半ば在宅ワークの人なの。 でもたまに来てくれると凄く歴史ゲームに役に立つ知識をたくさん教えてくれるんだよ」

 モモイの説明を聞きながら、多分狂三はこの会社に入る際にその土地出身の戸籍を使ったのだろうと思った。あまり知る者がいないマイナーな土地だからカバーストーリーも作りやすかったのだろう。
四惑がこんな小さな会社に就職はさすがに無理があったのかな、と思いつつベルンカステルの方に目を向けた。

「私はその気になれば必ず忠夫を助けられるし、治せるから心配は無用よ。できれば私も今忠夫を嫐っている彼女たちに参戦したいけど、さすがにそれは不義理だからやめておこうと思っているわ」

「そうですか。とりあえず、どうやって忠夫を助けようか」

 悩む大鳳に狂三が鷹揚に声をかけてきた。

「もう一人有能な人員がいますけど、彼なら器用だから割と早くクリアするかもしれませわぁ」

「ああ、あいつ」

 ベルンカステルの吐き捨てるような言葉を疑問に思うと不意に、扉が空きそこから一人の妖艶な美丈夫が駆け込んできた。
黒く艶やかな髪と整い切った目鼻立ちに、どこか怪談に出てくる魔性の美術品めいた妖艶さが感じられる。ゲーム会社の社員というよりは、
歴戦の武芸者めいた体をしていることが、スーツの上からでもわかる。彼は大鳳に礼儀正しく礼をすると、言った。

「貴方が大鳳殿ですな。某は伊良子清玄、ある女性の怒りに触れた折に横島殿に助けられ、それ以降友誼を結んだもの」

 男ですらくらくらしかねない艶めいた匂いが辺りを包み、品格のある礼がそれを余計に引き立てる様子に大鳳は、本当に綺麗な人だと感じ、その直後に彼の例をベルンカステルの蹴りが遮った。
弁慶の泣き所を蹴られてうずくまる彼をよそに魔女は言う。

「無駄に格好よく言おうとしてるけど、実際は女権国家のすごく強い女を怒らせて、その女性の手引きでこいつに入れあげている性悪女たちに輪姦されて情けなくマジ泣きしまくってたところを、さすがに可哀そうと思った忠夫が救助したのよ」

「ベルンカステル女子物には言い方というものが」

 その言葉に対して狂三が珍しく辛辣な声音で伊良子に言葉をかけた。

「ベルンカスルの対応はかなり優しいと思いますわぁ。
彼が怒らせたのは原初の淫魔ですから。 私と同じくらい猫好きな彼女の前で、自分の剣の腕がすごい早さで上達していって、
気分がハイだったから切るのが難しい猫がたまたまいたので、切り殺そうとしたのですから」

「さ、さすがに猫好きな女性がいたと知ったら控えていました故。ご容赦を」

「だからこそ、原初の淫魔も彼に想いを寄せている性悪な女性達に色々と肩入れするくらいで許したのでしょう」

 狂三の言葉を聞きながら大鳳は珍しいなと思った。彼女がここまで怒るということは、相当に猫好きなのだろう。ベルンカステルも多分猫と同族だから怒っているのかと思ったが今は、横島の救助が最優先だからとりなそうとして言葉を上げた。

「まあまあ、どうせ未遂だったんでしょう。猫を殺していたら、さすがに忠夫も割と不快に思って助けなかったと思いますし」

 その彼の言葉にベルンカステルは面白そうな笑みを浮かべて答えた。

「いいえ。成功していたわ。上半身を下半身がサヨナラしたところを、忠夫が文殊で『着』した後に、『癒』や『回』『復』を使ってくれて傷跡もないけど。そいつ腕は割と確かよ。何せ魔女が化けてた猫を気配を消した一撃で両断するくらいだから」

 そこまで聞いて大鳳は察した。伊良子が切った猫はベルンカステルだ。それを横島が助けたから、彼女は横島に好意的なのだろう。困惑する彼をよそに伊良子は空気を変えるように言葉を続ける。

「とにかく今は横島の救助が先であろう。
それがしは罰として原初の淫魔殿より、しばらくは猫族や猫みたいな娘に奉仕せよと言われて、この会社に勤めているが、彼に対する助けられた音はそれより優先したい。
女性だからというだけで生まれた時から優位で男を見下ろす者どもに好きにさせるのは我慢がならん」

 この伊良子という人物は女権国家人だがかなり気骨のある人物の様だ。仮に狂三に目をつけられていなければ、味方に勧誘したいレベルだ。
生まれた時から出自だけで見下される人物たち、男だというだけで見下された感情に対する憤りなどは正当なものだと狂三も思っているのが見て取れる。
猫殺しで腹を立ててはいても、そういう点では彼女は伊良子を自慢の子孫の一人と思っているのだろう。 先ほど感じた男としての色香も狂三の特性が表れているからだと思うと子孫だなと思えてくる。


697 :名無しさん@狐板:2023/12/26(火) 00:02:34 ID:mlhBljja


 伊良子の言葉に大鳳は少し考えた後、答えた。

「幸い忠夫を思っている女性達は純愛派だから、そこまでひどいことにはならないし、ベルンカステルさんは忠夫を治せるんだから、最悪の事態はないでしょう。
なるべくトラウマは少ない方がいいでしょうから頑張りましょう。作戦としては、僕がゲームをプレイしてみる感じで良いでしょうか? 忠夫を好いている女性達は今回は今一つあてにできないし」

「大鳳殿がプレイして、やり方を覚えたらそれがしがやるというのはどうでしょうか?それがしは、物事の飲み込みに関しては異常な速さを持つので」

 狂三に目で問うと彼女はそれが事実であると、頷いてきた。

「わかりましたそれで行きましょう」






 その後大鳳が何度かゲームオーバーになったが、それを見てプレイを覚えた伊良子の初心者とは思えない異常なゲームの上手さによって、横島は救助された。
ゲームがクリアされて出てきた彼は第一声で伊良子に礼を言った後、心底ほっとしたようにつぶやいた。

「王国男子として性癖が終わる前に戻ってこれてよかったわ」

 ユウキが妙につやつやした様子で言う。

「危ない、危ない。僕も女権国家に染まっちゃうところだったよ。 助けられるかもと思って入って、そしたらお助け師匠天狗キャラだけど、負けると忠夫をお仕置き逆レとか、聞いてないよ」

 心底逆レを楽しんではいたが彼女の言葉には一切嘘はない様だ。

 疲れ果てた様子で彼は言う。

「頼むからお前たち今後はこういうのやめてな。治るの確定とはいえやはりきついものはきついんや」

 やられたことを嫌がっていてもあまり怒ってないのは快楽がすさまじかったのと、治せるのが確定していなければやらないとわかっていた為だろう。 そして『一旦』横島の快楽地獄は終わりを迎える。






 その日の夜目覚めた横島は脅えた様に震えあがった。これは今日さんざん快楽地獄を味わった、『がんばれ!高島』の世界だ。脅える彼に、青紫の花魁衣装に身を包んだベルンカステルが告げる。

「忠夫、これは私がサンタとして配ったおまけ札の効果よ」

「な、なんなんでしょうかベルンカステル様」

 ベルンカステルは不機嫌な顔で指を振ると不意に幾つもの尻尾が現れ、彼を拘束し、そして彼女自身の尻尾が彼の分身を嫐り始める、喘ぐ彼に彼女は言う。

「フルネームの様付けで呼んで欲しい時と、ベルと呼び捨てにして欲しい時の見極めは慎重にしなさいって前も教えたでしょう」

「あ、あ」

 彼女が手を振ると彼の衣服が引きはがされ幼い体に不釣り合いではあるが、不自然ではない大きな乳房で彼の分身を抜き始める。 彼女は射精した分身につく白濁をなめとり始めると、その動作で再び射精した彼の分身をゆっくりと飲み込み言う。

「今回の私がゲームカセットにつけたプレゼントは、クリスマス発売記念で、クリスマスの夜に勝ってクリスマス・イブにかってくれてプレイしてくれた皆様。クリスマスが終わってから買ってくれた人も、
女の子でこのゲームの主人公が好きになってくれた人は枕元に置き理想の自分をイメージしたら、この世界で冒険できるかもってね。
信じた子供たちが理想の自分を抱いてこの世界に転生してきているわ。相手をよろしくね」

 ベルンカステルが魔術を唱えるとその度に彼の分身が悲鳴を上げる。同じ魔女でもアリスのそれは、優しく堕落させてくる感じの怖さがあるが、ベルンカステルは甘すぎて中毒にしてくる暴力的な甘さだ。
 彼女は横島が快楽で思考能力は下がり、されど自分の話は理解できるという状態に陥れた。まるで『可能性を操ったよう』にぴったりとそうすると彼女は彼から離れ魔法でサンタの衣装に身を包み話を続ける。

「それじゃあ、このゲームを遊んでくれた皆さん。主に女の子たちに主人公との素敵な夢を届けに行きましょうか。最も一部の女の子には現実だけど」

 そういい終わった後、彼が目覚めると目の前にはストレリチアの闘技場めいた所がありここは大鳳がプレイしてくれたおかげでゲームオーバーを免れた場所だ。わくわくした様子の大人形態のヴィヴィオが待っていた。

「ベルンカステルさんありがとう。忠夫とできなくて欲求不満でしたから」

「いいわよ、宮廷魔術師にしてもらったお礼だから」

 礼もそこそこにヴィヴィオが彼を押し倒してくると彼の意識はヴィヴィオの豊満な体を密着させられ分身を飲み込まれた時点で完全に果てた。
ヴィヴィオは手加減をして彼を少しずつ蕩かすこともあるが、本気で来るときは聖王らしく彼の全てを完全にへし折る快楽を打ってくる。
ベルンカステルの麻薬めいた快楽の余韻が余計に激しい反動を与えてくる。彼女は笑いながら彼を嫐るとジパング男子として恥ずかしい体位で、
嘲笑する女性騎士たちに見せつけるように彼を犯す。 秀逸な罵倒が出るたびに笑みを体位を変えてくるヴィヴィオ相手に折れると同時に心も完全に奪われると、次に首筋に激しい快楽が走った。

「私は前回少ししかできなかったからな。報酬をもらったら王国の為に尽くすから許せ」

 大人の姿になったエヴァが彼の血を吸い取りながら笑う。ヴィヴィオの聖なる属性で、染め切られた彼はかえってエヴァのもたらす快楽がやばい。エヴァは笑いながら血を吸われてきたいと恐怖と屈服感を見せる彼を見ていった。

「良い仕上がりだ。さすが聖王殿」

「いえいえ、同じ男性を愛する者同士仲良く楽しみましょう」

 子供姿に戻ったヴィヴィオが彼の分身を踏みつけて敢えて屈辱感を煽りながら言う。

「お兄ちゃん、私もストレリチノ王族として王国をできる範囲で支援するから報酬だと思って我慢してね。この埋め合わせは必ずするから」

 ヴィヴィオに踏まれて大きくなったそれをエヴァが上から不意打ちで騎乗すると彼は完全にのたうち回った。さっきヴィヴィオに豊満な部分を押し付けられるたびに感じたのと真逆の性的な快楽が彼を何度も狂わせる。

 いつの間にか来ていたリグルが口移しで彼に蜂蜜を飲ませると言った。

「忠夫、前回僕に虫の巣で配下のジョロウグモとかからも犯されて快楽で泣いている姿可愛かったよ。というわけで今回も僕は参加しに来たよ。 はい蟷螂の加護」

 全開されたのと同じく交尾中に食われても痛みを感じぬ蟷螂の様になる加護が来ると快楽は強いのに恐怖を感じなくなってくる。その分観客席に嘲笑が余計に彼に刺さってくる。

「恐怖よりこっちがきついみたいだね」

 蜂蜜でより強くなった分身をリグルが飲み込み大人なのに少女に犯される背徳感が彼を余計に情けなくさせ、そして大人とは違う快楽が彼を一気に飲み込んでいく。子供の姿に戻ったエヴァとヴィヴィオの二人も笑いながら近づいてくる。

 闘技場の観客たちこれを夢として見ている少女たちにも輪姦されて、快楽でズタボロになった彼を愛歌と陸八魔アルとユウキとアリスが待つ部屋にヴィヴィオが連れてくると、アルは汗をかきながら言った。

「忠夫を回復させるための優しい情事をする役に私を呼ぶとか。貴方聖王、私魔王なのになんかおかしくない。普通は逆でしょう」

「悪辣でないものを出自を理由に無差別に殺すのは騎士道ではありませんから。それに適材適所という言葉もあります」

「そんなこと言われても、アリスとりあえず子供に戻して。それから優しい情事始めた方が回復も速いでしょうから」

 アルの指示に頷きながらアリスがそれを手早く始め彼が子供に戻ると、アルが彼の顔を胸に挟み込みながら上になり彼を優しく律動し始める。
アリスの糸が彼の中に入ると彼の手足も情事に適した動きでアルの全身のふくらみを揉みしだき愛撫し始める。尻を強くつかまれながら頭を撫でるように抱き込んでいたアルは、
彼の精神が蕩け切りかけたところで愛歌と代わった。愛歌は横島を抱きしめると、姉が弟を慰めるような様子で言葉をかけながら彼に無償の快楽を与えていく。

 情事が長時間となり愛歌のある言葉のささやきを聞いた時彼は不意に反応した。


698 :名無しさん@狐板:2023/12/26(火) 00:03:54 ID:mlhBljja

「忠夫、大丈夫。女権国家の女性に閨で勝てないのは当たり前だから。恥ずかしくないのよ。貴方は前回ジパングを救った立派な英雄、さあ自信をもって」

「ちょっと待った今『前回って』言ったか。そういえば、今回はわい、ゲームオーバーになってないのに、逆レされとる気が」

 横島がそこまで考えられるくらいに回復したことにほっとした様子の愛歌が言う。

「これ実はダウンロードコンテンツの世界で、『がんばれ高島! 番外編、伊良子の高島救出劇』の世界なのよ。お年玉が出た時に、売るつもりなんですって」

 そこまで言って、彼は本気でわけがわからなくなった。そこに再び花魁姿のベルンカステルが現れる。

「モモイたちの作るゲームは起きる可能性がもうないか、ほとんどない世界を作るでしょう。 そしてそのイフの世界はその世界と関わりの近いものに良きにせよ悪しきにせよ影響を与える。
ちなみに今回飲み込まれるほどの影響が起きるようにしたのは私の奇跡の力よ」

 ベルンカステルの説明と告白に彼はどこか納得を覚えた。その彼にベルンカステルは笑いながら続ける

「それをやったのも、今回の続編の存在を知っていたからよ。私は今作のラスボスで、ストレリチアの魔女で伊良子に殺されかけた大化け猫、
一応宮廷魔術師だから、ジパングが責められる原因にもなり、伊良子がゲームオーバーになるたびに友人であるあなたをジパング男子にとってはあり得ない恥ずかしい逆レする役ってわけ」

 そういうとベルンカステは笑いながら彼を押し倒し言った。

「奇跡の力でアルたちの処置が早く済むようにしておいたから伊良子に見せるわね、 伊良子見ている、貴方が負けたせいで忠夫がこうなっているわよ」


 テレビ電話の様な水晶が出たと思うと、伊良子が金髪の豊満な体をしたお嬢様の様な女性に犯されていた。
周りには上品だがあまり有能そうでない女権国家の貴族の女性達もいる。 伊良子を犯している長髪の金髪の女性が笑いながら言う。

「どうも、高島様。いえ、ゲームのキャラじゃないから横島様というべきでしょうか? 私はセシリア・オルコットと申します。
想い人である伊良子様を助けてくれてありがとうございました。 ほら伊良子様、良くごらんなさい忠夫さんが貴方のせいでこうなってますよ」

「横島すまん。それがしの巻き添えで」

 伊良子の言葉終わるより先にセシリアが腰を速くくねらせた。

「ひぎゃー!」

 悲鳴を上げる伊良子に何度も彼女は腰をくねらせながら言う。

「御覧なさいとは言いましたけど、ご友人と話す許可までは与えてませんわ。男らしくわきまえなさい。 忠夫様、ついでに言うと私たちはベルンカステ様からもらった奇跡の力で何の努力もせず一族の秘宝とかだけで彼をこうしたのですわよ」

 伊良子は性的な術も覚えていたらしいが、それで反撃してこようとした彼をあっさりと返り討ちにしながら、敢えて物のつい出て彼を圧倒している様子を見せるために彼女はこうしている様だ。
 やり取りを見ていた横島に不意に激しい快楽が走った。ベルンカステルがセシリアと同じことをした様だ。

「情事の最中に他の女の裸に集中しているんじゃないわよ。 セシリア貴方も服を着なさい。十分伊良子をいじめたから、次回のゲームオーバーまでは取り巻きに払い下げる時間でしょう?」

「そうですわね」

 セシリアが離れるといかにも性悪な悪辣貴族な女性達が、この世界のジパング男子の価値観も持っている伊良子にとっては屈辱的すぎる逆レイプを笑いながら始めた。

「今回こうなったのは、伊良子様の来世の可能性の一つがまた罪のない猫を殺す可能性の未来があって。猫殺しが難しいと聞いた途端に、それがしならできると言って、やったそうです。
それで狂三様が怒って『来世でもあんなことするとか矯正が足りませんでしたわぁ』と言って、今回のゲームに入れることを決めたみたいです。
とりあえずジパング男子の価値観を持った状態でこれだけ屈辱的な思いをすれば来世がジパング男子でも、罪のない生き物を殺さないだろうといってました」

「ワイももしかしたら、誰かがクリアするまで帰れんのか?」

「それについてはあまり心配ないかと、少し冷静になった狂三様が、伊良子はともかく『横島くんには』申し訳ないから出す方法考えた方が良いかも、みたいな趣旨の発言をしていましたから。それでは失礼します。
 清玄様も無様な姿を見ていたらまたいじめたくなってきたので」



 電話が切られた後、セシリアが再び彼を対面座位の形で犯し。取り巻きの女性達は彼の背中のツボを押しながら無理やり彼の体を律動させる。

「ほらほら、前世でも狂三様怒らせて。よりによって貴方を狙う女たちの中でも一番嫌いな身分をかさに着ただけの私たちに犯されていたじゃない。ほら猫殺しで頭に来ていた横島でさえも哀れに思って助けるほど無様だったわね」

 セシリアの膣に嫐られつくして、動けなくなった彼の分身を貴族女子たちの足が容赦なく愛撫する。

「あー!」

 狂三直伝の性技の籠ったそれは彼を何度も絶頂させ、敗北感を植え付けていく。罵倒されて倒れる彼を見下す眼で見下ろしながらセシリアが言う。

「清玄様。とっても無様でかわいらしいですわ。先祖の遺品である、努力なしでも強くなる鎧で私に負けた後、されたことの再現ですがどうですか」

「あー!」

 狂三直伝の足コキがあまりにも達者過ぎてしぇべれない彼を見下ろしながら、彼女はわざとらしく起こった演技をする。

「あー! で私に何かを察しろと。貧民街の出身者なのに調子に乗り過ぎですね。貴族の愛で少しは高貴にしてあげましょう」

 射精したばかりで敏感になった伊良子のそれを彼女が膣で飲み込むと泣きわめくような声を上げながら伊良子は意識を失った。他の貴族子女たちも彼を嫐り尽くし満足したのか笑う。

「それじゃあ、次回のゲームオーバーまで待ちましょうか」

「はい。セシリア様」








そのころ横島もアリスや愛歌に回復させられた後、アルと話していた。

「伊良子の奴大丈夫かな」

 間髪入れず答えたのはアルだ。

「大丈夫よ。狂三は良識があるから、怒りが解けたら直ぐに伊良子を助けると思うし。一応性悪女性達も完全には無理でも、多少はましになるように矯正すると思うわ。 それもそう遠くない先にね」

 姉妹だからか心から言うアルの言葉を聞いていると信じられた。事実その予感は正しく、彼らは体感時間的に数週間後には救出された。 現実では経過した時間ははるかに少なかったことが余計に彼を驚かせた。







 おまけ、横島たちがどの様に救出されたのか。

 四惑の執務室狂三の部屋、伊良子に対する怒りが覚め始めた彼女はいかに彼をもとの世界に戻すか思案していた。そこにスカサハが現れた。

「抱かせろ、と言いたいところだが狂三何があった随分と落ち込んでいるな」

「半ば家族みたいになったが故に、冷静に見られない自分の子孫に過剰すぎるかもしれない制裁を下してしまったんですの。 しかも敵とはいえ、
大切な人間を助けてくれたという意味で多少は恩のある相手まで巻き添えにしてしまいましたわぁ。伊良子は割とどうでもいいけど、恩のある敵は助けたほうが良いと思いますわぁ、
伊良子はいささか過剰精細なだけだから、割とどうでもいいですけど」

 半分くらいは許し切れていない照れ隠しな発言をスルーしてスカサハは聞いた。

「どうすればその者たちを救える?」

「テレビゲームをクリアするのが一番簡単な方法ですけれど」

「任せろ」

スカサハの言葉に虚を突かれた狂三は彼女にしては珍しく素っ頓狂な声を上げた。

「は」

「その者たちを助けるにはそれが一番いいだろう任せろ。そのゲームのある場所に案内しろ」

 スカサハを連れて行ってみると彼女は凄まじい反射神経とやりなれている様子で、『頑張れ!高島、番外編』をクリアした。横島たちが解放される予兆が始まりかけた瞬間既に、狂三は姿を消していた。

「さあ彼らは助けたぞ。お礼に抱かせ…、逃げたか。まだ追いつけるな」

 スカサハも瞬間移動めいた速度で動き狂三の後を追った。この後誰がクリアしたかもわからないまま、ゲームから出てきて困惑する横島たちの姿があった。
なおセシリアと彼女の取り巻きの貴族娘たちは陸八魔アルと愛歌に説教され多少は性根が改善されたそうである。


699 :名無しさん@狐板:2023/12/26(火) 23:36:45 ID:lwlTJGco
乙です

700 :名無しさん@狐板:2023/12/27(水) 00:14:12 ID:hkDPxPgj


701 :名無しさん@狐板:2023/12/27(水) 21:47:05 ID:Gor7QX2l
乙です!

702 :名無しさん@狐板:2023/12/27(水) 22:13:32 ID:jWcbL+0k
乙です
面白かった

703 :693:2023/12/27(水) 23:19:03 ID:6LNSNq+9
みなさん乙ありがとうございます

704 :名無しさん@狐板:2024/01/31(水) 23:48:01 ID:gTW79/kJ
 女権国家2024年お正月SS ゲーム会社の激動後の横島の回想と新年の一コマ

このSSは本スレで連載中の女権国家の二次創作SSです以下の注意書きがあります
@前に>>693から>>698に投降したSSの続編であり、読んでいないとわからないところが多々あります。
Aブルアーカイブのモモイとミドリというキャラが出てきており横島ヒロインになっています。
Bうみねこのなく頃にのベルンカステルがヒロインの一人をやっています。
CこのSS内だけの独自の人間関係があります。


 モモイとミドリが社長を叱咤激励し、立ち上げたゲーム会社『キャット ブリングズ アバウト ホープ ネスト』そこのこたつの中で、死体の様になっている男がいた。青いジーンズに身を包んだ赤いバンダナの彼は、
本当の意味で死体の様にぐったりとしていた。それを心配そうに見つめる女子高生の制服のつなぎ目やアクセサリーを緑で彩った、ネコミミの少女が、彼に声をかけた。

「あのう、忠夫さん、大丈夫ですか?」

「そうみえるか」

 大丈夫なわけもないと、ミドリは思った。自分たちの開発したゲームはもう起こらなくなった、あるいは起こる可能性が極端に低くなった可能性の世界をゲームにしてしまうことがある。
大鳳は自分たちの能力をD4Cというカフェに似ていると評価した。そしてそのイフの世界で激しい逆レイプの数々を受けてしまったのだ。今は精神の治療が急務だろう。落ち込む彼に、『良い意味でも』バカな姉モモイが底なしに明るい声をかける。

「忠夫〜! 彼女たちはあんなことするほど貴方が好きだったんだよ。落ち込むなって方が無理だろうけど、純愛だった分工作員としてはかなりましな方だったと思うよ。 みかん食べる?」

「もらうわ」

 最低限の気遣いを持ちつつ明るく普段と変わらない態度な能天気な姉の対応が彼にはありがたい様だ。モモイが渡したミカンを食べながら横島は二人のしているゲームを見てみた。

「二人とも何のゲームやっとるんや?」

「前配布した、がんばれ!高島のステージクリエイトを使ってお客さんがネットに上げたステージよ。結構面白いのが多くて、割とはまっちゃっているわ」

「そ、そうか。クリスマスとか元旦の時みたいに吸い込まれたりせえへんよな」


 答えながら横島はクリスマスの時に体験した、ゲーム世界での数々の行動を思い出した。

 頑張れ!高島という自分の来世の訪れる可能性が低い世界もしくは皆無の世界線をモモイとミドリ達が読み取り作ったゲームその世界で彼がした体験が思い出される。
本来なら夢や意識だけが一時的にゲームの世界に入り、そこで快楽を味わってトラウマを負ったり、あるいは技などのコツをつかむだけだが彼はそのまま昔の漫画の様にゲームの世界に吸い込まれてしまった。
そしてゲームオーバーになるたびに彼は逆レイプされて、王国より遥かに男性優位なジパング男子の価値観のまま逆レイプを受けた。その時の記憶はあるが、途中まではゲームの主人公の意識の方が強かったり、
あるいは前世の記憶や意識戻っていたりと状況は一貫していなかったが、快楽と屈辱が癖になったことだけは覚えている。




 最初に受けた逆レイプはユウキだった。木綿季(ゆうき)名を変えてと天狗に転生した幼いころから稽古をつけてくれていた彼女は、卒業試験だと言って、
戦いを挑んできた後、彼女に敗れた時彼女は楽しそうに笑いながら彼の服を脱がせると温泉に放り込んだ。このときの彼はまだ、ゲームのキャラとしての意識の方が強かった。
戦って経験を蓄積していくうちに、横島の意識の方が勝り始めることになる。

 温泉に入った時彼は、この温泉は大量の薬草なども入っていることに気づいた。薬湯の快楽で極度の脱力状態になった彼に木綿季は言う。

「忠夫、試験の結果良かったよ」

「あれ、不合格やないんか?」

「僕はこの山最強の天狗だよ。あくまでも総合では、だけどね。
それに勝てなきゃだめなら、この山の山伏も天狗も全部試験不合格になっちゃうよ。 その理論でいけば、僕だって個別の分野で最強に勝てなきゃ不合格だしね。 
そういう訳で合格。けれど、これからジパングが大変なことになるから合格に胡坐かいて、慢心せず頑張らなきゃだめだよ」

 そういうと彼女は横島を風呂から出すと、栄養ドリンクの役割も果たす薬酒を渡してきた。最後の木綿季との手合わせ、その前の多くの山伏や天狗との戦いで消耗した彼は、その薬酒を飲みほした。
それを飲んだ瞬間彼は分身以外が一気に脱力し、温泉の中で抜けた力がさらに抜け落ちていく感覚を味わった。

 脱力状態で仰向けに倒れた彼に木綿季が術をかけながら言う。

「忠夫、実力は一応十分だけど君には足りないものがあるよ。危機感と絶対に負けない鋼の意思だ」

「な、なんで」

「女権国家の女性達はジパングで稀に生まれる凄い女性達とか、あるいは傾国の妖婦とかみたいなのばかりだから、どれだけ危ないか覚えておかないと。
それに負けて犯されたら閨の中で逆転なんか不可能だよ。ジパングで育った今生では心からそう自覚するのは難しいだろうけど」

「そ、そうなんか」

「理解はできているけど実感はできてないみたいだね。これは半端なことじゃ危機感を植え付けられないな。愛歌協力お願い」

 その言葉と共に青い服に身を包み、幼き頃から木綿季と共に彼に修行をつけてきてくれた少女が姿を現す。
彼女は青い衣装に身を包んだ金色の髪を短く切りそろえた少女は笑みを浮かべて彼に口づけをした。 唇を重ねた瞬間電流が走り、
何らかの祝福が自らにかかった直後に愛歌に舌を絡められると一気に分身に血液が集まり始める。それを見て木綿季が笑いながら解説をする。

「それは雄々しき獅子の祝福って言って男性の誇りや教示を固定する術だよ。
僕もさっきの術で天狗としての力で忠夫の男としてのプライドを強化しておいたからね。 
良い、これから女権国家やストレリチアの侵略者に負けると、こんな風にされちゃうからね♪」

 木綿季が足で彼の分身を踏み愛撫し始めると彼はあっさりと達しかけた。愛歌が笑いながら手でつかみ射精を止める。

「木綿季、よしなさい。男の子は割と傷つきやすい部分もあるから、初手から足で射精させられると可哀そうよ」

 微妙に屈辱を煽る声だが、射精を止めつつ快楽も与えてくる愛歌の指がそれを口に出させない。木綿季はわざとらしく驚いた様な声を上げた。

「え、愛歌が止めないと射精しそうだったの? 前世より早すぎるね。それじゃあ漏らしちゃう前に忠夫の初物をいただくね」

 反論するより先に木綿季が彼の分身を秘所に飲み込むと、彼は悲鳴を上げぬいた。彼女の内部から漏れるそれを愛歌が手ですくい上げなめとる。
それを見ただけで射精して萎えかけた彼の分身が再び力を取り戻し始める。それを見て不機嫌になる木綿季。

「忠夫、僕と繋がりながら他の女性で固くするって何考えてるのさ」

 そういうと動かすことすらできなくなった彼の腕を自分の乳房に導き掴ませると。指を絡め揉みしだかせ始める。一度揉まされる度に彼の分身からどんどんと白濁があふれ出す。愛歌はそれを見て笑う。

「忠夫、木綿季はまだぎりぎり大人だし巨乳だけど、少女な私に閨で良い様にされたらジパング男子としておしまいよね」

「は、はい」

 木綿季に焼き付けられた負け犬根性は愛歌にも適応され始めている。それを見て愛歌は楽しそうに笑う。

「木綿季、交代よ。女権国家女子に負けると、私より幼いメスガキにさえ滅茶苦茶にされるって教えなくちゃ」

「わかったよ愛歌。そろそろ達するからそれが済んだらね」

 木綿季が逝くとそれと同時に彼の分身をなめしゃぶり嫐り尽くす秘所が一気に彼の分身を締め付け、限界を超えた様な快楽が脳を砕いた。
彼の分身があまりにも大量の射精をしたために死体の痙攣の様になっている。それを愛歌は一瞬で服を脱ぐと飲み込んだ。愛歌は笑いながら彼を絞り始める。

 成人しているとは言えない少女に閨で負けている感覚が走るがもっと恐ろしいのは、『雄々しき獅子の祝福』がなければ愛歌にずっと嫐られていたいと考えてしまうレベルの快楽が来ていることだ。
愛歌はスレンダーな体で旧王家の性術も遠慮なく使い彼を嫐る。
 愛歌が腰を振り始めるたびに、彼は10秒も持たずに精をまき散らかした。屈辱的な体位でされることは背徳感があり気持ちいいと脳に焼き付き切ったのが自分でもわかる。
愛歌は性行為が終わると、彼の眼を覗き込み言う。


705 :名無しさん@狐板:2024/01/31(水) 23:50:56 ID:gTW79/kJ

「いい。女権国家とストレリチアの女性はみんなこうだから。閨で勝てるという幻想は捨てなさい。 負けたら私たちに今されたような行為が待っているわよ」

 最後の愛歌の言葉が彼の耳に響き、媚薬の様に脳に刻み付けられた。それを見とがめて愛歌が言う。

「名に悦んでいるの。犯されるのが好きなマゾならこの山でもう飼って上げましょうか?」

「い、いえ行ってきます」

「よろしい。でもそのだらしない下半身の精力を今夜は使い切ってから行くことにしなさい。みっともなくて外に出せないわそれじゃあ」

 そういうと言葉とは反対の優しい口づけを彼女はしてきた。その後彼は木綿季と愛歌に交互に犯されつくされた。




 山から下りた後の彼は、何度もゲームオーバーになった。後でわかったのだが、アリスたちが自分をボスキャラとして登場させたステージでわざとゲーム―オーバーになって敗北エロに混ざろうとしたこともあったそうだが、
それだけでは説明がつかないことも多かった。多分だが実際に自分が負けた場合の世界がアリスたちの負けた世界とつながったのではないだろうか。




 高島忠夫は、自分がどうしてこういう任務に就いているかを思い返した。男性が女性を閨で圧倒するのが当たり前のジパングは警戒心が薄い故に女権国家の良い標的だ。
一部の危機感を持った者たちにより、数回江戸の危機を救った高島忠夫がその対策を請け負うこととなった。
 そして幼いころから稽古をつけてくれていた天狗である木綿季と異国の王女の幽霊愛歌に追い込みの修行をつけてもらい今に至る。

『俺も今まで何回かジパングの危機を救った、は言い過ぎだが一応無辜の民衆の被害を大幅に抑える程度の活躍は何度かしたんや。
それでも女権国家からの黒船と戦うなら最終修行と試験を受けていけって言われるってことは相当やばい奴らなんやろうな。 伊良子と組んで全力で行くしかなさそうやな』

 そこまで思考した刹那、彼の意識が現実に引き戻され、即座に戦闘時のそれへと変わる。空間の気配と空気が変わっている。これは人ならざる者や大いなる力を持った存在が降臨あるいは影響を及ぼしている時のそれだ。

 彼は霊波刀を抜き放つと即座に距離をとっていくつかの御札を取り出す。彼の作る札はそれなりに高性能だが、彼以外の者が使うとランクが一段か二段は落ちてしまう。
しかし、自分が使う際には一切問題がない。彼は即座にいくつかの高価な札に僅かな霊力を込めて投擲した。 威力よりも速度を重んじたことと、高価な札だから僅かな霊力でもそれなりに効くだろうと見越してだ。

 突進してきた黒い影は、あまり霊力を込めなかった札を防ぎもせずに突っ切る形で突っ込んできた。
そして、本気で霊力を込めた札だけを叩き落しながら彼と距離を詰める。高島は霊波刀を出現させると、思考をまとめた。

『並大抵の札では防ぐまでもないか。だがある程度力を込めた札なら一応は防ぐ程度には脅威か。なら倒せない程じゃない』

 高島は霊波刀を構えると一番高価な札。僅かな霊力でも今投げたどの札よりも大きな効果が出るものを選び、忍ばせるとそのまま黒いマントに身を包んだ金色の髪をなびかせた美女に攻撃を繰り出した。
黒い外套の麗人はそれを紙一重で見事かわすと、即座に彼に反撃を繰り出してくる。少しでも読み間違えれば、即座に敗北が決定する舞踏めいた打ち合いが展開され始めた。

 打ち合いが始まった直後に、彼の意識は澄み切った状態になり、高い高揚感が体を突き動かしている。その中で彼は僅かな後悔を覚えた。彼女の霊気に包まれた爪の猛攻をしのぎながら、自分は判断を誤ったかもしれないという考えがよぎる。
 強力極まる札を片手に戦うより、腰の刀を抜いて戦う選択を取っていた方がこの吸血鬼は攪乱できた可能性が高い。
全力の霊波刀なら辛うじて大きな傷を与えられるなら、刀に霊力を大量に込めたり、あるいは霊力をほとんど込めなくてもぎりぎり打ち合えるから、彼女相手にどちらを警戒すればよいかわからない駆け引きに持ち込めていただろう。
木綿季と同じく勘が鋭すぎる類の存在はフェイントに引っ掛かりやすい部分もある。引っかからなくても、ある程度は体が反応してしまうのだ。
二刀流で戦うことなど目の前の黒衣の麗人相手には無理だが、それでも突然刀を手放したり幾つもの攻撃を予測しなければならない状態の方が少しは疲労を誘えたかもしれない。

 黒衣の麗人の激しすぎる猛攻を防ぎながら、彼は握りしめた三枚しかないない最高級の札の一枚の放ち時を模索した。少なくとも札を警戒はしている様だが一向に隙が見つけられない。
彼は彼女の連撃をかわしながら即座に決断を下した。確実に当てられるが、それでもこの威力の札を投擲するには割に合わない程度の隙ができた瞬間に札を放った。

「なに」

 驚愕の響きを含んだ低い声と共に目の前の黒衣の麗人が僅かに吹き飛ばされかける。
それを見た瞬間彼は僅かに距離を開き、霊波刀を少し短くしたうえでより威力を増した状態で切りかかる。 
それが彼の敗北を決定づけた。 人外ですら対応に苦慮するその一撃を目の前の黒衣の麗人は高島と同じ形の霊波刀で受け止めていた。
その瞬間彼の頭は負けたという答えを導き出す。 彼はこの技を学び何度も凶悪な妖怪から無辜の民を護ってきた。
だからこそ、一撃受けられただけで、どれくらい相手が上位にいるかがわかってしまう。次の瞬間彼女が霊波刀に力を籠めると腕がしびれ即座に弾き飛ばされた。
吹き飛ばされながら札を取り出そうとした瞬間、かみつかれた。
様々な対処が頭に浮かぶがそれは即座にかき消された牙が刺さっただけで果てしない快感が彼を襲いそれだけで分身が固くなり射精寸前になってしまった。それを見下ろした彼女は笑みを浮かべて笑う。

「今生では初めましてだな。私はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。前世でお前の妻だったうちの一人だ。ちなみに種族は吸血鬼このジパングにはいない種族だっただろう?
その為か知識がなくかまれることがどれほど致命的かわからなかっただろう?」

 エヴァの問いに彼は頭を整理品がら少しでも会話を続けて回復を待つために言葉を選び返した。

「女権国家の侵略部隊の指揮官でもあるんか?」

 質問を一応は言えたが、強すぎる快楽のせいで頭が上手く回らない。彼女は少し不満そうに見下ろすといきなり子供の姿になった。そしていつの間にか脱がされていた彼の下半身の分身を踏みつけながら言う。

「記憶がないから仕方ないが、ご主人様に向かってその口の利き方はなってないぞ。ジパングでは女性優位の性交は特に恥ずかしいらしいが、子供に足でやられるのは特にきつかろう」

 足が彼の分身に触れた瞬間、電撃の様な快感が走りそのまま彼は激しく射精をした。それを見てエヴァは楽しそうに笑う。

「前世で王国ではありえない女性優位の性交をした時以上の表情だな。実にかわいらしいぞ」

 一度の射精だけで指一本動かす力すらなくなる程射精した彼はそのままエヴァに手を持たれるとそのまま転移させられた。





 瞬間移動させられた後、彼が目覚めると見慣れない西洋風の豪奢な寝室にいた。そして目の前には大人の姿に戻ったエヴァンジェリンの姿がある。
彼女は黒いマントの下を敢えて裸にした姿で彼を見下ろしている。そして男を手玉に取り切れている時の女性らしい妖艶で高慢な笑みを浮かべている。

 マントの下の裸体しか目に入らない彼の瞳を見た彼女はゆっくりと口づけしてきた。吸血鬼の魔性の口づけで脳が蕩け分身がより強く硬化し、そして彼の視線がエヴァの肢体にくぎ付けになっている彼の視線を満面の笑みで受け止める。

「なかなかに立派なものを持っているな。前世よりわずかだが大きいかもしれん、こわばり過ぎて苦しいか楽にしてやろう。だがこらえ性がないだらしないモノに処置をしてからだ」

 そういうとエヴァは霊力でできた糸で彼の分身を縛り射精を禁じると首筋にかみつき血を飲んだ。 エヴァが最初に糸を入れた理由を彼は一瞬で理解した。
首筋に走る熱を帯びた電撃の様な快楽を感じた時点で、彼女の糸で縛られていなければ射精してしまっていただろう。彼女は一口だけ彼の血を飲むと不意に離れた。強すぎる快楽のせいで立つことすらできない彼を心底面白そうなものを見る目で見ている。


706 :名無しさん@狐板:2024/01/31(水) 23:53:21 ID:gTW79/kJ

「忠夫、ジパングに転生して王国ですら珍しいタイプの価値観を持ったようだな。血を飲むと相手の考えを共有できる能力を持っているから言うが、私の体を見て思うことが押し倒して喘がせて性奴隷にしたいとか」

 女権国家の女性たちの価値観と現状を知識として知る彼は、恐れた。目の前の女性を怒らせたのではないかと、しかしその予想は外れることになる。エヴァは敢えて演技を完全に捨てた様子で言った。

「別に怒ってはいない。ジパングがそういう男性優位の国だということは良く知っていた。それにジパングには一部を除いて女権国家の様な国もなかったしな。それではお前が満足できる体制でさせてやろう」

 そういうとエヴァは動けない彼を抱くと敢えてゆっくりと自分が押し倒されるような体制で倒れこみ始めた。

「僅かとはいえ血を吸われた快楽がもたらす脱力感で動けない? すぐに消し飛ぶ安心しろ」

 そういうとエヴァは敢えて最初はゆっくりと彼の分身を飲み込んだ。そして彼はエヴァの言葉の意味を理解する。

 先端が入っただけで悲鳴を上げる分身、エヴァの糸がなければ再び射精が起こっていただろう。その快楽が一瞬で脱力感を消し飛ばし、彼に逃げねばと思わせる。
それが終わるより先にエヴァの両手両足が彼を捕らえ、一瞬で最奥まで彼を飲み込みつくした。

「〜〜!」

 言葉にすらならない悲鳴を上げる彼を両手両足でとらえ彼女は糸を外す。それと同時に爆発するような射精が起こり、彼の胸板でつぶれる彼女の乳房が余計にその量を増やしていく。彼女は笑いながら言う。

「女権国家の女に勝つのは無理だとこれでわかっただろう。では続きと行くか」

 そういうとエヴァは容赦なく彼の首筋に吸い付き、上と下から屈服の快楽を送り込み血を精を同時に絞り切る楽しみを味わい始めた。
快楽で脳が壊れていく感覚もすごいがエヴァト意識が溶け合い彼女の精神が一部わかることで、自分がどれほど無様に女性に負けているかがわかりそれも彼の精神を引き裂く。
だがその背徳感と惨めさが余計に彼の分身を力づけていく。それを読み取ったエヴァがより強く彼を抱きしめると、彼は深くまで突き入れさせられ、魂すら出るような射精が起きる。






一度性行為が終わって解放された彼はジパング男子としての価値観がより深い追い打ちとなり、エヴァに対して負け犬根性が完全に刻まれたことに気づくそして、彼女の肢体がトラウマと同時に快楽を脳に焼き付けたことも自覚していた。

「おい、まだまだ私は満足してないぞ。それなのにそんなになって、少しは奉公に力を入れろ」

 そういうとエヴァは再び糸で彼を操り始めた。そして彼女は彼の上になり騎乗すると、乳房を揉みしだかせながら腰を振り始める。

「忠夫、私を満足させられなければ罰ゲームだからな」

「ど、どんな」

「後でわかる」

 そういって彼女は乳房を揉ませながら一度行かせた後、背面騎乗位で形が良い尻を見せつつ途中で彼の手でそれを揉みしだかせながら彼を射精させた。

 三回の射精が終わった後彼は完全にベッドの上で倒れていた。もはや指一本動かせる気がしない。倒れる彼を見下ろしながらエヴァは意地の悪い笑みを浮かべて言った。

「私を満足させる前に果てたな。それでは罰ゲームと行くか」

「ど、どんな」

 エヴァがそれには答えず指を鳴らすと、何人かの女性が部屋に入ってくる。彼は彼女たちを見て、驚愕した。かつての冒険で助けた女性達が以前よりもはるかに美しくなって女権国家のメイド服に身を包みエヴァの配下となっている。
驚愕する彼にエヴァが告げた。

「この者たちはお前に助けられた恩義から、女権国家との諜報戦を買って出ていた。だが、女権国家に行った。その結果影響を強く受け過ぎてな、今では立派な女権国家女子になっているぞ。
一応その者たちの名誉の為に言っておくが、情報は一切漏らさなかったし、女権国家に染まる前はそれなりにジパングに貢献していたぞ」

 最も女権国家の目的が篭絡とジパング男子と遊びたいだけで残虐行為は一切しないと知ったから寝返ったというのも大きいのだが、エヴァは敢えて横島に対してその事は黙っている。

「それでは少しばかり彼女たちを味会わせてもらうか」

 そういうとエヴァは彼女たちを支配する百合的な成功をしながら血をすすり始める。
嬌声以外は無言な彼女たちの行動に違和感を持ちつつ、もしかしたら操られているのでは?という希望が芽生えた。 だがそれは彼女たちと一通り戯れ終わったエヴァに再び襲われて砕け散ることになる。

 ジパングの女子全員を満足させたエヴァが彼に襲い掛かり、再び血を吸いながら搾り取ってきた時。彼女たちが先ほどの横島とエヴァの性交も見ていたことが分かった。
そしてジパング女子の視点から自分がどれほど無様であったかも理化してしまう。このインパクトの為に彼女たちは敢えてしゃべらなかったのだろう。

 エヴァに騎乗されながらジパング男子として無様をさらし続ける彼にようやく彼女たちは語りかけ始めた。

「高島様、私たちを助けてくれた英雄とは思えない無様さですね。女権国家の女に勝つのは無理だってわかってますけど、私たちがどんな感情で見ているか、そしてどれほど無様か理化した後の方が射精の量が多いのはどういうことでしょうか?」

 その問いにエヴァが笑って答える。

「この男が変態だからだろう。さっき私に吸血された時に僅かだが忠夫の意識も味わったからわかっているだろう」

「ええ、ジパング男子にあるまじき変態である恩人様をより気持ちよくさせるという気遣いです」

 全員の嘲笑の中今までで一番、の大量の射精をした直後にエヴァに血を吸われ、さらに絞り出された後、彼女は立ち上がった。 指一本動かせない彼をおいて、言う。

「仕事の時間だ。お前たち私が帰ってくるまで好きにしていいぞ」

「ありがとうございます」

 エヴァが出て行ったあと、彼女たちは笑いながら言う。

「忠夫様、私たちはあなたを恩人と認識していてそのうえで、ジパング女子の価値観を持ちながらこれからのことをする最低の忘恩の徒ですよ」

 そういいながら彼女たちの足が彼の分身を嫐り始めその直後に女権国家に行く前より強い力で、彼の体を動かすと彼女たちは手を自分の乳房などに導きながら女性優位の性交を始めた。

「あー!」

 叫び声と共に射精した彼を数人が愛撫しもう数人は無様な姿を目に焼き付け嘲笑しながら激しい快楽の夜が始まった。




 彼女たちに嫐られ抜いて長時間が過ぎたころに大人姿のエヴァが戻ってきた。彼女は屈辱とそれをはるかに上回る快楽で頭が壊れかけた彼を見下ろすと、他の女性達の血を僅かに飲んだ後、彼に言葉をかけた。

「それではもう一度お前を味わせてもらうとしよう。こいつらにどれくらい骨抜きにされたか、どれ程無様だったのか確認させてもらうか」

 そういってエヴァは全員の血を軽く吸うと服を脱ぎ横島を抱え込み、彼の分身を下腹部で加えこむと血を飲んだ。

 彼女たちからされた情事とどれほど自分がこの一日ジパング男子として無様だったかが伝わってくると同時にエヴァの秘所が強く彼を締め上げていく。
エヴァが吸血する際の快感をコントロールして、射精すらできない快楽から射精をさせ過ぎる快楽に切り替えた直後に彼女の乳房がより強く胸板の押し付けられ信じられない程の量が射精され。
エヴァの視点も共有させられることで周囲の女子たちからの嘲笑の笑い声が余計に分身を硬くしていことを自覚させられる。
最後に激しい射精の後自分の中の切れてはいけない線が切れた音を聞くと、激しい快楽と共に彼はエヴァの牙から血と引き換えに流し込まれてくる快楽をもたらす何かに対する体制がなくなったことを自覚した。



 その後彼はサンドラの大冒険の様に女権国家の男子吸血鬼エヴァのスレイプ仮面と化して対ジパング戦で大戦果を挙げた。

 その活躍を見ながらエヴァはヴィヴィオに言った。


707 :名無しさん@狐板:2024/01/31(水) 23:55:39 ID:gTW79/kJ

「こういうのは今回だけだぞ。忠夫もお前に恩があるから了承したとはいえ、こんなわざわざ男性優位の国に生まれ変わらせた上に、調子に乗らせてへし折る悪趣味な遊びはこれっきりだからな」

「ええ、わかってます。ジパングに対しても、ストレリチアと女権国家尾良識派派閥が一時的に支配したり外圧かけないとひどいことが起こると予言されている地域以外には危害加えないし、
時期が過ぎたら返却させます。忠夫さんも命がけで戦って守ってきた上に触れ合った人たちに善人が多くて、この国に対して愛国心が大分あるみたいですし」

「そっちに関しては疑ってはいない。だが、ヴィヴィオ今回の件が癖になって、来世でもやらかさないか?」

「いえいえ、忠夫さんが望むならこれで最後にします。でも気持ち良すぎて癖になったらそれはしょうがないですね」

「ま、まあそれは確かにそうだな」

 しぶしぶ了承していたエヴァだが一度協力してかなり癖になっていた様だ。誠実な対応しかされていないから良くないという意識もかなり強くあるようだが、
それでも横島の魂が完全に堕ちたら、ノリノリで来世も来世もとやり始めそうではある。今回は横島に入れあげている女性の大半がこのエヴァと同じスタンスだ。

 他のゲームオーバーでも、今生で関りの深い女性達にやられて女権国家の奴隷堕ちしたが、一番ひどいトラウマエンドはラスボスであるベストエンドの条件を満たした状態で、
ヴィヴィオに負けたエンドだった。全ヒロインに格好いい姿を見せて男を見せまくった結果全ヒロインの好感度が上がり切った状態で、好感度ドーピング状態で真・聖王状態と化したヴィヴィオに負けた結果だ。





 激しい激闘の末に彼は紙一重でヴィヴィオに敗れた。彼女は喜色満面という感じで彼に回復魔法と金縛りの魔法をかけると笑顔で話しかけてきた。

「忠夫さんさすがです。アルさんの協力を得て、横暴な侵略者という嘘を本当らしく見せただけあってここまで抗えるなんてさすがです」

「う、嘘?」

「ええ。ほらこれをどうぞ」

 そういうとヴィヴィオは前世の彼から受け取った文殊に『伝』の文字を込めて彼に投げる。

 それと同時に前世の自分がヴィヴィオに対して恩ができた結果、嗜虐心に強く目覚めた彼女が彼の来世を男性優位の国に転生させて遊びたいという頼みを了承したことが分かった。

 事情を理解した彼は目の前の半ば神と化しているヴィヴィオより、前世の自分に怒りがわいてくる。いくら善人とはいえ、彼女は恐らくいくつもある世界線の中の嗜虐親が凄く強くなってしまったヴィヴィオだ。
そんな相手に来世を(自分)をあっさり渡すんじゃない。 そう思った直後にヴィヴィオに接吻すされて唇を塞がれた。その時点で脳が壊れかけるほどの快感が襲ってきたがその直後に舌を絡められた時、彼の意識は完全にくだけた。

 ここに来るまでに前世で縁のあった女性達に何度か女性優位の性行為をされたが、彼女たちは約束は破らず手加減してくれていたのだと納得の念が浮かぶ。

 ヴィヴィオは完全に力を失った状態の彼を運ぶと大浴場らしき場所に導いた。ヴィヴィオが彼の服を剥ぎ取り、女騎士たちに指示を出すと彼女たちが彼に湯をかけてきた。
特殊な薬草が大量に入っているらしいそれは彼に快感と脱力をもたらし、ヴィヴィオの体は余計に力が増していっているように見える。
闘技場で彼女と戦った後の疲労が一気に出て、風呂から出るころには指一本動かすことすら億劫になっていた。


 ヴィヴィオは笑いながら彼を押し倒し、言う。

「ジパング男子に転生した貴方を味会わせてもらいます。いまジパングを侵略している敵国の首魁ですよ、私は。その私にこれからジパング男子にあるまじき性行為をされるんですから御覚悟を」

 笑みを浮かべヴィヴィオが上にまたがり彼の分身を飲み込むと。体中の脱力はそのままに、彼の頭の中の靄が吹き飛んだ。
ヴィヴィオの秘所は熱烈に彼を搾り取りそして彼女が腰を振るたびに魂すら完全にすりつぶし精液に変えて絞り出してくる感覚だ。
そして冴えた頭で余計に理解する。自分はジパング男子でありながら一応とはいえ、敵国の女王にジパング男子としてあり得ない性行為をされていると。ヴィヴィオはそれを見て笑う。

「恥辱を感じてはいるけど、前以上に固くなってますよ。だ・ん・な・さ・ま♪」

 ジパング女子が夫を敬って言う言葉を皮肉気に言いながら余計に彼を辱めその侮辱が余計に彼の分身を固くしたのを理解するとヴィヴィオの体が神聖な気に満ち始める。
その後彼の分身をなめしゃぶる彼女の秘所から特殊な熱が感じられ余計に彼はその熱に肉体だけでなく魂の分身もかすめ取られた感じがする。ヴィヴィオが腰を左に一回ひねった時点で、
一気に快楽で脳が壊れ。もう一度逆にひねられた際の射精で一気に癖になったことを彼は実感する。気をやってしまった彼をヴィヴィオは楽しそうに見下ろしながら言う。

「それじゃあ、仕上げをしに行きましょうか」


 ヴィヴィオは軽々と裸のままの彼を持ち上げると、そのまま彼と紙一重の激闘を繰り広げた闘技場まで彼を連れて行った。
いつの間にか闘技場にはたくさんの女性達が客として入ってきている。 そしてそこにはかつて彼を散々に嫐ったさとりが実況者としてマイクを持ち待ち構えていた。彼女は最高に楽しそうにマイクをとると解説を始めた。

「先ほどはストレリチアでも最強格のヴィヴィオ様と互角に戦いあと一歩まで追い詰めたジパングの英雄高島ですが、敗れヴィヴィオ様に手籠めにされたようです。
すっかりとそれが癖になってますジパング男子の癖に、おっとぉ!私の罵倒に起こりつつ息子が元気になってしまってますねぇ」

 観客からの嘲笑とさとりの蔑む目ですっかりと自分の分身が固くなったのを自覚してジパング男子として情けないと思ったところで、
ヴィヴィオが自分の前世から受け取った文殊に『戻』の字を込めていることに気づいた。それに怪訝な感情を持つ彼に向ってさとりが言う。

「貴方は前世で関係の深い女性達に散々嫐られたけど、彼女たちは一応貴方への配慮から、ジパング男子として恥ずかしすぎる行為は恥ずかしさからトラウマになるのと、
癖になるから記憶から消しておいてくれたんですよ。これからその記憶を戻すようです」

 さとりの言葉が終わった直後に『戻』の文珠がぶつけられて彼の記憶が一気に戻ってきた。そしてそれが彼の分身を一気に固くしたのを見て、さとりが面白そうに笑いながら言う。

「『想起・今戻った全ての性行為』」

 さとりの想起までされて恥辱と快楽のせいで焼けた鉄板の上で拷問されている様な動きで転がりまわる彼をヴィヴィオが押さえつけると、さとりがヴィヴィオに礼を言った。

「ヴィヴィオ様ありがとうございます。それでは一度彼をもらったら実況の仕事に戻ります」

 そういうとさとりが、彼の分身を飲み込みさらに想起を強めてきた。笑いながら彼女は言う。

「こいし、彼の無意識を操ってジパング男子が女に閨で負けるのが恥ずかしいという思いを最高にしなさい」

 その言葉とともに銀色の髪をした美少女が後ろから現れる。

「はい。おねえちゃん」

「それではいくわよ、忠夫」

 さとりの声は既に彼の頭の中には入っていなかった。既に過去の快楽と恥辱の極致の世界に彼は旅立っている。




 リグルに正々堂々と戦って勝った夜いかまきりの加護をもらい、女性に貪られる恐怖が消えた直後に少女である彼女に負ける恥辱心と、幼いからだが巻き起こす快楽が一気に蘇ってくる。


708 :名無しさん@狐板:2024/01/31(水) 23:57:41 ID:gTW79/kJ

「忠夫、気持ちいい? 聞くまでもないか。 エヴァに古傷をなめられた時気持ちよかったでしょう。でも僕の虫妖怪の舌も違った感覚があって気持ちいいでしょう?」

「は、はい」

「敬語でしゃべるようになったね。敗北感が強くて前世の感覚が戻ってきたかな」

 リグルの舌で古傷をなめられるたびに彼はがくがくと震え、そしてその度に射精が止まらなくなる。 そして舌を絡めたキスをした時に、雲にとらわれた虫のようになっていくことに気づいた。
リグルは繋がった状態から離れると他の虫妖怪の美女たちに彼を襲わせ彼の玉袋を揉みしだき始める。虫妖怪の体液使った薬と彼女の手の技が合わさり彼はよけに高ぶらされていく。

「ほら薬だけじゃなくて僕の揉み方も気持ちいでしょう。 今夜のことは忘れさせるけど、前世の他の女性のモノになったら共有の為に思い出させるからね」

「は、はい」

 意識を失いかけている横島の周りの虫妖怪を引かせると、彼女は再び彼の分身を飲み込み、口づけと同時に射精させた。
そして自分が大勢の前で恥ずかしすぎる射精をした上に相手は見かけが愛歌より年下の少女だという事実に気づき落ち込む彼に彼女は言う。

「忠夫を可愛がった女性で見かけ年齢最年少は僕だからね。覚えておいてね」

 次の日リグルに撮影したビデオを一緒に見せられて、そこでまた同じことをやられたことまで彼は思い出した。そして次の想起が始まる。





 彼はアリスと戦い勝利した後、彼女が悪人ではないことが分かったので、彼女の悩み事を解決するために剣をとった。そしてその戦いで重傷を負った後、治療を受けていた。
精の付く大量の料理をとって体の体調が一気に治りだしたころに彼女に押し倒された。本来なら体はろくに動かないはずだが、彼女が霊力でできた糸で彼を動かしてくれたために体を鈍らせずに済んでいる。
そして再び戦闘に戻る前に彼女が彼を押し倒してきたのだ。

「忠夫、どうしてもあなたが格好良すぎて前世を思い出しちゃったの。記憶をちゃんと消すから、後遺症も残さないから今夜だけは私のモノになって」

 アリスに口づけされてそれだけで甘い快楽で完全に脳が蕩け堕ちた。そして彼女は彼に覆いかぶさりながら何度も彼の分身を自分の中で甘く溶かしていく。
つながった部分から男としての気概が溶け出ていくような錯覚を覚えながら彼は何度も射精を繰り返した。

 アリスの糸が彼を操り、彼を自分の意のままに操りながら何度も射精させる時には男性優位の体位も入っていたが、その度に彼女が達する前に何度も何度も射精させられる。
女性優位の性行による屈辱もそうだが、それ以上に甘い霞がかかった様な感覚が強くなっていき、彼の頭は完全にバカになっていった。彼が完全に沈み切ったのを見計らうとアリスが呪文を唱えてきた。
それを受けた彼の姿は小学生くらいの姿に戻る。そして精神も分別が身についた大人ではなく、女性優位の性行為に対する恥辱審がマックスだった頃のそれになるその彼の顔を自分の胸で挟み込みながらアリスはささやく。

「忠夫、ジパング男子としてどれだけ閨で無様をさらしても私は嫌いにならないから。だからもしも今回の戦で負けたら、私に溺れに来て癒されて」

 その魔性めいた蜜の様な声が脳に響き切り終わると彼は射精が起こり、強すぎる快感が生む恐怖におびえる彼をアリスが抱きしめ母の様に抱きしめながら笑い、気絶するほど射精を楽しそうに受けとめた。性交が終わった後、自分の霊力が完全に底をつき、逆にアリスの霊力が前回になっていたが警戒心はわかない。それを察したアリスは嬉しそうに彼を抱えたまま彼に魔術をかけると眠りの中にいざなっていった。


 現実に戻った彼はさとりといつの間にか交代していたこいしにまたがられ絞り尽くされている。つやつやとして霊気に満ちたさとりが嘲笑と共に実況を続ける。

「現実に戻ってきた高島、ここで衝撃の報告がです。実は今受けた想起の内容は、この闘技場のモニターで移っていたので全観客の知るところとなってしまいました。おっとぉ!
屈辱もあるけど、それ以上に興奮して分身が固くなってます。こいしに無意識を操られてジパング男子としての意識が強くなっているのにこれです!」

 さとりの声の後に観客席から爆笑が起り彼はそのまま射精して倒れた。

 その後彼は闘技場で一度でも勝てばジパングの侵攻をやめるという条件でさとりの想起を受けた後にヴィヴィオと戦う日々に身をやつした。一度も勝つことはできなかったが。



「おっと、嘲笑を受けながら陛下や配下に犯されるのが癖になっているド変態が今日も来ました。以前は本気なら瞬殺できる騎士にすら負けて犯されていましたが今日はどこまで行ってしまうのでしょうか?」

 さとりの嘲笑を聞きながら彼は自分の分身が固くなるのを感じていた。そして負けるたびに搾り取られ、その際に奪われた霊力がジパング侵攻兵器である自分の人形を動かす動力に使われていることをしることになる。

 その人形はジパング進行で多大な戦果を挙げた。




 横島はクリスマスから正月の日々を思い出して、完全にグロッキー状態になった。いつの間にか来ていた少女姿のヴィヴィオが笑いながら言う。

「お兄ちゃんもある意味癖になってなかった?」

「ヴィ、ヴィヴィオ、頼むからああいうのやめてな」

「ストレリチアが闘技場の本場だからって悪いことしてもいない相手にあそこまでしないよ。 まあ、旦那様が好きすぎて嗜虐心が強すぎる王にはやっちゃった人もいたけど。
モモイとミドリが作るゲームでパラレルワールドの世界を描くことがあると言っても、その世界は可能性が消えたもしくは低い世界線のパラレルでしょ。私あそこまで嗜虐心持ってないし、
ああいうプレイ来世でしたいって言う要望聞かなきゃダメな程私に恩がないでしょう」

「あ、ああ。まあな。ゲーム世界に吸い込まれとったせいか、トラウマは随分と軽かったが多少はあるんや」

「例えばどんなふうに?」

「大人形態のお前に王族口調でしゃべられると逆らい難くなっとる」

「そうなんだ」

 それを聞くと、ヴィヴィオが大人形態になって不意に横島に声をかけた。

「忠夫さん、実はアリスが今回のゲームの公式番外編の人形劇をやると言ってました。ぜひともモモイとミドリといっしょに見てあげてくれませんか? もう準備できているみたいです」

 ヴィヴィオの声に逆らい難いものを感じた横島は頷いた。

「見かけはともかく、幼女に逆らえんとか情けないわ」

 その言葉にモモイが袖を引きながらフォローをした。

「忠夫、大丈夫だよ。私とミドリも逆らえないから。王族オーラおそるべし」






 人形劇を見に行った横島はヴィヴィオの指定した席に座ると、モモイとミドリも左右にかける。そして彼が『がんばれ!高島番外編』の劇を見始めると伊良子の来世主人公の続編のサイドストーリーだった。
前世と同じくイキって女権国家への宣戦布告に猫殺しをやった伊良子が横島の来世の高島と共に女権国家と戦おうと思ったら、その猫を助けた高島と喧嘩になり、
明日謝るかと思っていたら女権国家に彼が拉致されたので一人で戦うというものだ。 その際に高島がどの様にやられたのかの劇が始まる。





 ステージの人形劇では高島が猫を助けた直後にベルンカステルに不意打ちを受けて倒された状態になる。ベルンカステルは笑いながら言う。

「今生でもあのバカ(伊良子)は変わらないわね。完璧に猫に化けていた私を理由もなく殺して狂三を怒らせてあれだけの目にあったのに、そして貴方も変わらないわね。
猫が可哀そうだと思って、惜しげもなく高い治癒札を使うあたり」

 後半は親愛の情を感じさせる声で言いながら彼を押し倒し始めるベルンカステル。人形劇を見ながら彼は、自分が劇の中の人形と同調し始めていることに気づいた。
そして劇の中のベルンカステルは笑いながら、手を振り何かを呼び出す魔法を唱えたあと、その存在に向かって言う。


709 :名無しさん@狐板:2024/01/31(水) 23:59:00 ID:gTW79/kJ

「モモイ、ミドリ。今生の彼はジパング男子よ。だから王国男子以上に女性優位の性行が恥ずかしいから嫐りぬいてあげなさい。 猫の魔力が特にあなたたちとは相性が良かったから、
センリと猫又の力を用いて彼を完全に堕としなさい。私の奇跡の魔術で堕ちはしても、ジパング男子としての価値観はそのままになるようにしておくから」

 ベルンカステルが指示を終えると、モモイとミドリを大人にしたような豊満な人形が人形劇に登場し彼の体を愛撫し始める。劇の中で彼はベルンカステルの劇場で多くの猫娘たちの嘲笑を受けていたが、
今の自分はまるでその人形と同じ様な目にあっている様な錯覚を覚える。劇の中でモモイとミドリの人形が彼の人形の分身を弄りだすと本格的に、彼の意識がおかしくなり始める。
立ち上がり逃げようとした直後に、彼は両腕を掴まれ無理やり席に戻された。そして左右を見ると、劇の中の人形の様な美女に姿を変えたモモイとミドリがいた。ミドリが丁寧な口調で言う。

「忠夫さん、せっかくだから最後まで楽しみましょう」

「そうそう、アリスの劇だからそんなひどいことにはならないよ」

 そういいながら女権国家の女性特有の好きな男を嫐り貪る直前の様な彼女たち眼におびえた直後に彼の意識は人形の中に移った。





 ベルンカステルが用意した劇場でジパング男子としては最悪に屈辱的な性行為をされながらその背徳感が余計にそれを引き立てる性行為をされながら、ショートカットの髪を揺らすモモイが笑う。

「忠夫、前世でも私たちに負けた時恥ずかしそうだったけど、今生は余計に恥ずかしいみたいね。 まあ、入れて2秒も持たなきゃしょうがないか。
ベッドの中の貴方の名前は早漏でいい? 今固くなったよバカにされて余計に固くなったジパング男子なのに」

 モモイの遊ぶような腰遣いと嘲る言葉とは正反対の優しい攻めが余計に彼を高ぶらせていく。ミドリが楽しそうに笑いながらそれを形だけは諫める。

「やめてあげてお姉ちゃん。ジパング男子なのに、夜で勝てないばかりかこんなに直ぐ変態に染まったなんて大勢の前で暴露されたら可哀そうよ。本人がどれだけ救いようがない変態かわかっているんだから」

 表向きかばいつつ男を惨めにさせるつぼを心得た声で笑いながらミドリは彼の玉袋やモモイの名から出た彼の分身を愛撫して余計に追い詰めていく。
射精が済むとモモイと交代し、正反対の性の技と、性的な術で彼の内部をずたずたにしていく。癒すような性行為をしつつ、彼を敢えて上にしていう。

「いじめてごめんなさい忠夫さん。だから少しだけ譲りますから頑張って」

 その言葉に屈辱を煽られて上になった状態で腰を振るがすぐに達してしまい。それでもミドリの優しい行為がどんどん中毒になっていることに彼は気づく。
ミドリは途中ですぐに体を入れ替えると優しい動きで彼の分身を締め付け始める。優しい動きながらどこまでも鋭い快楽で彼を追い詰めてくる感触に負けて彼が射精するとモモイが、それをとがめた。

「忠夫早く行き過ぎ ミドリは全然満足してないよ!」

 そういってさっきミドリがしていたのと同じ場所を正反対の方法で愛撫すると、彼を回復させずに何度もイカせた。それを見て優しい笑顔で追い打ちをかけるミドリ。ベルンカステルが不意に笑いながらこえを上げる。

「彼の変態ぶりはすさまじいわよ。前世で初めて会った時の恰好で嫐ってみてあげなさい」

 そういってベルンカステルが手を振ると二人は少女の姿になり彼を二人がかりで襲いだす。

「嘘、こんな少女の姿の私たちにされている時の方が射精量が多いって、忠夫どこまで変態なの?」

「お姉ちゃん、忠夫だけのせいじゃなくて、私たちが覚えた性技の師匠(狂三)のせいもあるんじゃない」

 二人に嫐られ抜いた直後にベルンカステルも入ってきて彼女に一度分身を飲み込まれた時に彼の意識は完全にくだけた。


 気が付くと彼は元のコタツの部屋におり、モモイとミドリが普通にゲームをしている。だが二人は妙に上機嫌だ。

「忠夫、起きた。魔術的な関係で少し人形とシンクロしちゃったみたいね。気を付けたほうが良いよ」

 モモイの言葉をミドリが引き取って続ける。

「忠夫さんは本当に好かれすぎるから、ビデオとか本の時も護符がいるかもしれませんね」

「お、おおそうかそれじゃあワイは今日はもう帰るわ」







横島が帰って行ったあとミドリとモモイがにアリスが声をかけた。

「二人ともどうだった? あなたたちは自分たちをヒロインにした話を書くのは恥ずかしいと言っていたから、私が書いたシナリオの番外編をしたけど」

「うん。ありがとうアリス。すごくよかったよ。でも対価もいるんでしょう?」

「今回はもうもらっているわ前回のゲームで楽しませてもらったから。今後も忠夫の経験値を上げてくれるゲームを作って私たちを楽しませてくれたら、その度に私がこういう番外編の人形劇を作るから」

「わかった。頑張って作るね。でも忠夫が本気で壊れたりやばいシナリオができたら女権国家的にどんなに楽しくても破棄するからね」

 モモイの表情はどんな誘惑をされても横島を裏切ることや道義的にやってはいけない一線は超えない光りに満ちた目をしている。
狂三がわざわざ身分を偽りこの会社のアドバイザーをやったのも猫のコスプレが異常にはまっているだけではなくこの姉妹のこの内面に惹かれているところもあるのだろう。
アリスはそう思いこの二人を好ましく思うと共に内心喜んだ。この二人の作るゲームを利用すれば自分の愛する横島を強くすることもできるし、何より人形劇で彼を可愛がるバリエーションも増える。
この二人を計画に入れて、同横島を嫐るか考えるだけで楽しくてたまらなくなってくる。


710 :名無しさん@狐板:2024/03/01(金) 10:43:35 ID:RER5oYtP
乙でしたー面白い

711 :704:2024/03/02(土) 23:48:39 ID:10vrulnk
>>710
ありがとうございます

712 :名無しさん@狐板:2024/03/14(木) 23:09:31 ID:NDMeNv0O
2024年女権国ホワイトデーSS ストレリチアの聖王に愛された男の潔『白』の証明

このSSは本スレで連載されている女権国家の二次創作SSです。以下の注意点があります。

@ 今回のSSでは演技かつ女性に負ける前振りの上げオトシの為だけど、男性優位の性交委の描写が少しだけあります
A このSSだとヴィヴィオが聖王の生まれ変わりであり、ヴァルハラの支配者の一人みたいな設定になってます
B 横島とヴィヴィオの前世に捏造設定ありです。
C 即興で仕上げたのでストレリチアの価値観などが大分オリジナルが入ってます。
D ジパングの価値観の男性優位はこのSSのオリジナル設定です。
E 東洋の術が西洋だと高く評価される傾向にあるというのは、自分が過去に読んだ海外の作家の小説からそう思っただけなので間違えていたらすいません。






 女権国家にあるストレリチの大使館。その豪奢な客室で王国の諜報員である横島忠夫は真剣な表情でたたずんでいた。彼を慕う女性の一人であり、ストレリチアの王族であるヴィヴィに呼び出された為に彼はここにいる。
呼び出された当初はホワイトデーという悪い意味で男にとって特別な日となっている女権国家から逃げられると大喜びだった。
何しろ『今日はホワイトデーだからバレンタインのお返しに私たちを白濁で白く染めなさい』と意中の男子を襲う女性が山ほどいて脅えたものだった。
リグルやアリスやエヴァのことは信じているが、それでも彼女たちも女権国家の女性だ。負けさえしなければ逆レイプされたりしない、ストレリチアの女性達とは安全性が異なりすぎる。
女権国家出身の彼女たちともストレリチアの大使館で一緒に過ごせば多少は安全だろう。

 そこまで考えた後、彼はヴィヴィオの用向きが何なのか考えを巡らせることにした。ヴィヴィオの部下たちの話では最近はヴィヴィオが少し不機嫌だったらしい。
前世の記憶が戻ってきてそのせいだと言っていた。ヴィヴィオは部下に当たったりはしないが、それでも聖王の力を取り戻して絶大な力を持つようになってからは不機嫌なだけでも相当に恐ろしい様だ。 魔王であるアルがヴィヴィオと仲良くなり、
力の扱いに不慣れな彼女の為に部下たちを脅えさせない力の抑え方を教えていると聞いた。ヴィヴィオは善性であることを知るとアルに対して隔意を持たずに接していたと聞いていたが、今ではかなり仲が良いらしい。
それを聞いた時は魔王と聖王が仲良しというのも妙なものだなと思った。


 思案にふける彼のもとに不意に入室の許可を求める声が響き、応じるとヴィヴィオが配下の騎士たちを連れて入ってきた。彼女は笑顔を見せながら言う。

「お兄ちゃん久しぶり」

「ああ一月半くらいか」

「うん! 今日を過ごすために準備していたから。色々と手間が大変だったの。それとお兄ちゃんのホワイトデーのお返し受け取ったよ」

「そうか」

 横島はホワイトデーのお返しとして、それなりに高く並ばないと買えないお菓子を自分を思ってくれている女性達に贈っていた。喜んでいるヴィヴィオの表情を見て、顔が綻んでいる彼を他所にヴィヴィオは言葉を続ける。

「他のお兄ちゃんを思っている女の子たちもかなり喜んでいたよ! 値段はそれなりでも並ばないと買えないモノというのがポイント高かったんだと思う。実際私も嬉しかったし。ユウキさんも後で俺に大使館にくるって」

「そりゃよかった」

 答えつつ、横島はヴィヴィオ配下の騎士達の無言の陳情を読み取った。基本的にヴィヴィオが不機嫌になった時は彼が治せる場合が多い。別に人間なら不機嫌な時もあるだろうが、
聖王の力に目覚めたヴィヴィオは不機嫌でいるだけで、周囲に恐ろしい程の威圧感を与えてしまう。理不尽に当たられないとわかってはいても、彼女ほどの強者に気をぶつけられれば多少は消耗してしまう。
慣れてきている配下達はまだいいが、見習騎士などはたまったものじゃないだろう。 だからこそ、こうなった時は彼の出番となる。横島は少し悩んだ後に口を開いた。

「ヴィヴィオ、最近不機嫌だとうわさで聞いたけど、何か嫌なことでもあったのか? お前の気分が晴れるようなことで俺にできることがあれば協力するで」

 それを聞くとヴィヴィオが花が咲くような笑みを浮かべた。周囲の女騎士たちは横島に感謝の瞳を向けてくる。ヴィヴィオは笑みを浮かべて言葉を続ける。

「実を言うとお兄ちゃんって、前世でも私と一緒に戦っていたでしょう。別にそれがわかる前から好きだったけど」

「ああ、まあな」

 少し照れながら返す横島にヴィヴィオは少しだけ不機嫌な様子に戻り言う。

「それがお兄ちゃんの前世が凄く、悪い書かれ方した劇や小説が流行っているのよ」

 それに対して周りの騎士たちは少し疑問を抱いたような表情になった。騎士たちの中でも特に気心が知れているらしい女性が控えめに声を上げる。

「殿下、恐れながら横島殿の前世である高島様を悪く描写している劇とは何でしょうか?」

 心底疑問に思っている様子の女騎士の言葉を聞き、ヴィヴィオは少し考えると自分の説明不足に気づいた様に頷いた。

「ごめんなさい。少し言葉足らずでしたね。ストレリチアの基準で見ればあれは高島様を悪く描いているとは言わないでしょう。 むしろ私が我慢できない部分を除けば善良で頼れる私の前世である聖王を助けた功臣であり善良な王配とされています」

 横島は説明を聞きながら、かわいらしいと思った。ヴィヴィオとしては横島の前世が総合的に見れば善良とみなされていても、冤罪の部分で貶されているのが我慢ならないのだろう。 その彼女の言葉に彼は少し悩みながら答えた。

「それで、ヴィヴィオは俺の前世のどんな扱いが我慢できないんだ?」

「それそれ。お兄ちゃん、お兄ちゃんの前世である高島は陰陽師で東洋の術を用いて私を助けてくれていて、男性でありながらかなりすごい術使いだったの。
それで前世の私の体目当てで、配下となりそして東洋の性術で私を喘ぎぬかせて男性優位の性交をして雌犬にしていたって」

 それはヴィヴィオが切れるのも無理ないと彼は思った。女権国家とは違うがストレリチアでも、男性にベッドの中で惨敗しているなんて相当な不名誉だろう。そう思ったが、ヴィヴィオの言葉は予想の斜め上だった。

「お兄ちゃんの前世は私が好みの女になるとは限らない状態で、無償の善意で私の前世を助けてくれたんですよ。それに性魔術使ったのだって、
ストレリチアや女権国家の女性と恋人になったら、満足させるにはそれぐらいやらないと無理かもって思ったからだし、雌犬にして飼おうとしていたとかとんでもない風評被害です」

 その言葉を聞きヴィヴィオの配下である女騎士たちは納得いったようにうなずいた。

「それは陛下が怒るのも無理ないですね。しかし、その風評も無理からぬことかも。東洋の術は西洋だと凄く強く評価されますし、そのせいで東洋の性魔術なら陛下も一時期なら負けていたかもって思われたのですね。
確か最近はやっていた劇だと、色欲を除けば善良な彼が術に耐性ができて聖王に閨の中で逆転されるまでの間、陛下をベッドの中で喘がせまくって支配して、
そして陛下に十倍返し近い尊厳崩壊快楽責めを受けて雄犬に成り下がらせられる話でしたね」

女騎士の言葉にヴィヴィオは頷くと王族らしい口調に戻り答える。

「ええ、本当にお兄ちゃんの前世を何だと思っているんですか」

「陛下としてはやはり一時的とはいえ、男性優位の性行為をさせられていたという風評被害も気になりますか?」

「それはあまり、ベッドの中で負けたことはなかったけどある意味自業自得と言える部分もありますから」

 聖王は高島に命を救われた上に良い夫だったためか、女権国家よりは男性の地位が高いストレリチでも珍しいくらい高島に気を遣っていたらしい。多分そのことを言っているのだろう。


713 :名無しさん@狐板:2024/03/14(木) 23:11:58 ID:NDMeNv0O

 憤激するヴィヴィオに女騎士が質問の言葉を続ける。

「殿下としては自業自得の不名誉よりは前世の王配殿の風評被害の方が嫌だと」

「そう。その通りです。前世の記憶をもある私が正しいお兄ちゃんの前世の姿を伝えようと思います。 今度ストレリチア全土に放送する人形劇をアリスさんに頼んでやります。
その劇のプロトタイプを配下達と一緒に見る予定ですから夕食の後で付き合ってくださいね」

「ああ。わかった」

 横島が了承するとヴィヴィオは楽しそうにうなずいた。





 その日の夕食は大変豪勢なものであり、上機嫌なヴィヴィオが自ら狩ったらしい滋養に効く猛獣の肉や元気がでる色とりどりの料理が食卓を彩った。
大人の姿になり夜会服に身を包んだヴィヴィオと食事を楽しんだ後、彼は最後に出された飛び切り美味しいドリンクを飲んだ直後に電灯が落ちるように意識が途切れた。
そしてそれが終わると彼は人形劇の観客席に座っていた。

 ナレーションを口ずさみながら、典雅な所作で劇を続けるショートカットの金髪の美女であるアリスを見ながら彼は眠っていたかと少しアリスに罪悪感を覚えたが、
不思議と劇の内容がすべて頭の中にあることに驚いた。 これは自分の前世絡みの劇だからだろうか? 聖王を守り抜き最後の戦いを終えた彼は褒美という名目で冗談で交わしたような約束ごとに則り聖王と閨を共にした。
そして東洋の性的な術で聖王を喘がせ完全に雌犬として、そこまで考えて彼は猛烈な違和感を覚える。確かヴィヴィオは一度もベッドの負けたことはなかったと言っていた。あれは強がりや嘘の類ではない。
なのに、なぜ自分の中にそういう知識があるのか。これはもしかして間違っているとヴィヴィオが言っていた方の劇を先に上演しているのだろうか?


 そこまで考えた後に、彼の意識は不意にあの人形の中に入る様な錯覚を覚えた。彼の視点は等身大の現実世界に切り替わり。彼の下では東洋の性術であえぐヴィヴィオがいる。
彼は何度も喘ぎ声をあげさせつつ必死に耐えた。性的に相手を圧倒しているとはいえ、ヴィヴィオの体はすさまじい快楽を彼に刻み付けてくる。
必死にこらえながらなんとか先に彼女を達しさせたと思った直後にヴィヴィオの口づけが彼を襲い、彼はそれに耐えながら言った。

「今夜も可愛かったぞ。聖王様」

「もう恥ずかしいことを言わないでください。 それと高島様に質問があるんですけど」

「なんだ」

「死後も私が天界に言った後、共にストレリチアを護るエインヘリアルになってくれますか?」

「ああ。だが良いのか? ストレリチアでは男性優位の性行為は凄く恥ずべき事なんだろう? 一応隠してはいるけど、うわさが広まっているぞ。東洋のやばい性魔術で聖王様が雌犬になっているって」

「それは自業自得ですから。それより誓ってくれますか? 死後の世界においてもわが基に居続けてくれるって」

「ああ。もちろんだが、基本的には輪廻の輪に戻って人として活動する時間もくれや」

 少し残念そうだが、ヴィヴィオは頷いた。

「わかりました死後も我がエインヘリアルとして伴侶として共にいてください」

「ああ分かった。約束するで」

 その言質を終えた直後彼の魂に何かが刻まれた感触が走り、そのまま彼の動きが僅かに鈍くなった。そしてその直後に再びヴィヴィオが彼の唇を奪う。
その瞬間、彼は舌を絡められた直後にかつてない程の快楽が走った。 ヴィヴィオの手が彼の分身を握りしめる。
彼は悲鳴を上げかけた口づけと舌遣いだけで達するほどだったのに射精を許されず、さらに彼の射精を封じる為に分身を掴む手が余計に強い快楽を送り込んでくる。ヴィヴィオは笑いながら言う。

「今までベッドの中で負けるふりしていてすいません。王族としての演技力を全開で頑張らせてもらいました」

「あー!あー!」

「快楽が強すぎて声も出せませんか。これだと頭にも入らないかもしれませんね。それじゃあまずは一度抜きましょう」

 そういってヴィヴィオが彼の分身を秘所で飲み込むと。彼の脳みそが爆発した。今までも性行為でもヴィヴィオの内部と豊満な体は彼に異常な快楽を与え東洋の性魔術をもってしてもぎりぎりの勝利しか得られなかった。
正確に言えば勝利したと思わされてきただが、それでもどれだけ彼女が快楽を抑えてきていたのかわかる。彼女の彼の分身を捕らえる秘所が強く締め付け始めると、彼は一気に悲鳴を上げてヴィヴィオの中に全てを注ぎぬいた。

 射精を終えて、倒れかける彼を他所にヴィヴィオは言葉を続ける。

「ジパングはものすごく男性優位な国だと聞きました。貴方はそこの出身。ベッドの中で女性に負けるというのが凄く恥ずかしい国の出身の殿方を落とすために負けたふりは大変でした。かわいらしくて食べてしまいたくなりますから。 こんな風にね」

 ヴィヴィオが神気に似たものを解放しようとする気配を感じて彼の顔は真っ蒼になった。今までストレリチアの特殊な加護にない状態でこの快楽。もしも特殊な加護を用いられたら自分はどうなるのか。

「泣きそうな顔可愛い過ぎです♪ ではいきますドカーン♪」

 ヴィヴィオの言葉と共に気が解放され、その瞬間彼の脳が爆発し真っ白に染まった。そのまま思考はままならずただ考えることしかできない彼を見下ろしながらヴィヴィオは言う。

「私が貴方にベッドの中で負けているという噂が広まっていると聞いた時、冤罪着せているなと罪悪感もあったけど安心しました。
ストレリチアの者すら騙せるなら貴方にばれる恐れはないなって。 それにジパングの内情を知った時に、私と結婚するってことは私たちでいうところの、
男性にベッドの中で負けるようなものだということなんだなって思ったので、貴方の気持ちを想像するのにも役立ちましたしね。 ちゃんとベッドの外では貴方を立てますし、貴方を共有する騎士達にもそれは徹底させますから。
 これからよろしくお願いします。 旦那様♪」


 ヴィヴィオの言葉を最後に彼はそのまま意識落ちた。

 そして次の瞬間彼は、またも人形劇の観客席に戻っていた。アリスは劇をつづけながら言う。

「以上が一時的とはいえ聖王陛下を雌犬として飼っていたという高島事件の真相でした。魂に訴えかける能力を使って、彼の雄としての支配欲や色欲を聖王陛下は強めていました。
最初に聖王陛下を襲ったのもそのためだったので彼は完全に無罪。白だったのです。 ヴィヴィオ殿下がホワイトデーだからこそ彼の『潔白』を証明したいと思う劇でした」


 アリスのナレーションが終わった後、ヴィヴィオは笑いながら彼を見て言う。

「忠夫さん、どうでしたあの人形劇は」

「すまんなぜか途中で意識が途切れてな」

「そうですか。高島さんは輪廻の中で修行していくことと王配をやるのが疲れるから休暇として庶民の暮らしをしたいみたいな思いもあって、時々現世に来る道を選んだみたいです。
ストレリチアのヴァルハラで味わう快楽は永遠に天国にいても良いと思いませんか」

「ヴァルハラに居た時のことは覚えとらんから何とも言えんわ」

「それじゃあ少し味わってみますか」


 ヴィヴィオがそういった直後に彼は再びさっき高島がいた部屋に戻っていた。

 大人の姿のヴィヴィオが再び彼を犯し、そして彼に懸想していたヴィヴィオの配下の女騎士たちが数人がかりで彼を嫐り始める。
ヴィヴィオが彼に口づけして完全に意識が飛ぶほどの口づけをすると他の騎士たちが左右から乳房を押し付けながら分身と玉袋を愛撫し、やがては口に含むと射精させる。
飲み込んだらしい騎士の霊気が上がると当時に彼のそれが一気に下がるとヴィヴィオは笑いながらその女騎士を離し、彼の分身を飲み込んだ。

 射精をして上向きになった彼を女騎士たちは笑いながら見る。


714 :名無しさん@狐板:2024/03/14(木) 23:13:29 ID:NDMeNv0O

「どんなに強く勇ましくともやはり男性ですね。閨の中ではこれですか」

 他の騎士達も笑いながら彼の分身を足で愛撫し動けない彼を嘲笑する。

「ええ。私の演技が凄かったのもあるけれど、あんなふうに騙される彼が、聖王を雌犬として飼って、国を乗っ取るとか考えるはずがないでしょう。
すべては私の謀略による風評被害です。 潔白だと信じてくれましたか」

「ええ。とても信じられます。こんなに早漏じゃ聖王陛下はおろか一般騎士にすら閨で勝てませんよね」

 そういって他の騎士が彼の分身を飲み込むと彼は数秒も持たずに射精した。ヴィヴィオがマッサージをするように彼のツボを押すと性的な快楽が余計に強くなり、再び射精量が増えていく。
騎士たちは交代しながら彼を嫐り、マッサージをして落としていく。女騎士たちが離れるとアリスとエヴァとユウキとアルとリグルと愛歌が部屋に入ってきた。

「忠夫、大丈夫」

「あ、ああ」

 強すぎる快楽で声が出せない彼に代わってヴィヴィオが答える。

「大丈夫ですよ。ストレリチアの強壮料理を食べましたから、私たち全員に嫐られ抜いても余裕です」

「そうなんだ」

 女騎士たちが彼を嫐りぬいている中でちょうど対面座位となっている時に、ヴィヴィオは彼の顔を両手で挟み口づけをした。
ヴィヴィオの口付で一気に射精の量が増えたのを配下の女騎士は嬉しそうに笑った後離れた。 倒れかけた彼にヴィヴィオは言う。

「私の者となった後ヴァルハラで味わえる快楽はこれです。そして今生で出会った皆様達もそれに加わります。どうですか?」

 崩れ落ちかけた彼を糸で操りアリスが言う。

「忠夫、これ夢じゃなくて現実よ。さっきの人形劇だと思った聖王陛下との性行為も事実だったの。ヴィヴィオ様が、この部屋で聖王を演じてたの。
実を言うとドリンクを夕食で飲んだ時意識が遠くなったでしょう? その時に貴方の本体はここに運ばれていたの。 観客席にいたのが私の作った人形で、意識だけ一時的に移していたの」

「そ、そうなんか」

「ええ。それじゃあヴァルハラの仮体験始めましょうか。貴方だけじゃなくて私たちも、ヴァルハラだとどんな風に貴方を可愛がれるのか経験させてもらいましょう」

 そういうとアリスや他のメンバーも服を脱ぎ始め。エヴァが大人の姿になった時、自分は完全に死ぬかもと思った。





 彼は何時間も時間が過ぎた後、彼は何度も倒れかけていた。体力の限界が来たわけではない。ただ精神の方が射精の度に削られる快楽のせいで持たないのだ。
今は5巡目のアリスが相手だ。大人のから精神まで子供に戻されて、乳房を口に含まされたままま、何度も射精させられている。それが終わるとアルがバツが悪そうに言う。

「実は人形劇の時にヴィヴィオが貴方を騙すのに私も協力していたのよ。高島に対する風評被害を一掃するために全ては聖王の謀略だったって知らしめるために。
ベリアルの嘘でも本当に思える力を使わせてもらったわ。ごめんなさい。あんまりヴィヴィオが真剣に頼むから断れなかったの」

 この人の好さが邪神の欠片でもヴィヴィオに嫌われなかったところなんだろうなと思った直後にアルがアリスと同じ体制で彼を抱き込み分身を飲み込む。
アリスと似ていながら、異なる甘やかし堕落させる彼女の秘所が彼の小さくなった分身を優しく包み込み、射精する度にどんどんと恐れが深くなっていく。
このまま堕落の極みに堕ちてもいいのではないだろうか、そう思った直後にエヴァが笑いながら言う。

「アル、お前の魔王としての甘やかしが凄すぎて忠夫が帰ってこれなくなっているぞ。注射の時間だな」

 エヴァにかまれた瞬間、エヴァが自分に牙を突き立てる前に、血を少し飲んだらしい他の騎士たちから見た自分がどれほど情けない性交をしているのかが、
頭に流れ込んできた。そしてそれが余計に彼を高ぶらせて射精の量を増やし始める。

 エヴァに開けられた穴はすぐにふさがるがそれが終わる前にリグルが舌で虫の妖怪の唾液付きの舌でそこをなめると彼はより高められて射精を終えた。
アルが離れた直後にリグルとエヴァが彼の分身を交互に内部に迎え入れ始める。そして二人との性交の度に二人にかみつかれることとなめられることを繰り返して彼は何度も射精していった。



 彼が完全に倒れたところで愛歌が彼を覗き込むと言った。

「忠夫、それじゃあ、5回目の気付けいくわよ」

 愛歌が彼の分身を飲み込むと脳天に雷が落ちたような快楽が走り、そしてそれと同時に霞がかかったような靄が晴れる感覚がしてくる。彼女は少女らしい膣で分身を嫐りながら旧王朝の呪文を唱えて、何度も彼を搾り取った。

 そして意識が失われかけた彼をユウキが抱き留め彼女は嬉しそうに笑っていう。

「子供時代の忠夫がまた生で見れるなんて、ここは女権国家に来てよかったと思えるよ。愛歌、お願い」

「ええ、任せなさい」

 彼に騎乗して絞るユウキの首筋に愛歌が口づけすると、ユウキの秘所が余計に鋭い快楽を彼に与え。壊れかけた彼をもとに戻していく。これは多分幼馴であるユウキの力を借りた旧王朝の魔術なのだろう。




 全員との性行為が終わって息も絶え気味な彼にヴィヴィオが言った。

「忠夫さん、精神じゃなくて体はどうですか?」

「普段なら死ぬかもってくらい絞られたはずなのに割と大丈夫や。ストレリチアの滋養料理凄いな」

「そうですか。それではもう少し休んだら続きと行きましょうか」

「え」

「今日はホワイトデーですから『潔白』を証明した後は、私たちが満足するまで白く染める液体を注いでもらいます。大丈夫すぐに嫌ではなくなりますから」

 そういってヴィヴィオが彼の唇を奪うと一気に抵抗感や忌避感が薄らぎ彼は倒れた。それを見下ろしながら言う。

「聖王たる私の者となりヴァルハラに来たときは快楽に限りや終わりはありません。ホワイトデーに相応しい全てを城に染め上げてそれを味わってください」

 ヴィヴィオの宣言を聞き彼は自分の意識は多分白く塗りつぶされるのだろうなと思った後、本気でホワイトデーは王国に帰省が正解だったのだと思った。
女権国家は危険だが、ストレリチアは安全だなどと考えていた過去の自分を殴りたいと思ったが、この思いも長くは続かないのだろなと思った。


715 :名無しさん@狐板:2024/03/15(金) 11:57:59 ID:t0M0v0iN
おつ

716 :712:2024/03/15(金) 19:52:12 ID:FZsgblqc
>>715
乙感謝です

717 :名無しさん@狐板:2024/03/16(土) 14:03:15 ID:HJnkfAWx
おつでしたー
男性優位の演技良いよね

718 :712:2024/03/17(日) 00:08:20 ID:dwiwig4A
>>717
乙感謝です
演技とはいえ男性優位の性描写入れるの結構勇気が必要だったので、そういってもらえてうれしいです

719 :名無しさん@狐板:2024/03/17(日) 01:28:00 ID:ePsRAmCW


720 :712:2024/03/18(月) 01:27:44 ID:MOQShH/L
>>719
乙感謝です

721 :名無しさん@狐板:2024/03/21(木) 01:28:30 ID:bvPi3lBq
乙でした

722 :名無しさん@狐板:2024/03/23(土) 14:16:40 ID:2jL89/lI
オツー

723 :712:2024/03/23(土) 19:42:59 ID:MhNfuAvR
>>721
乙感謝です
>>722
乙感謝です

724 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:06:42 ID:AXpTmxZ/
 女権国家&女神転生if…クロスSS数多の不幸を焼き尽くした異世界からの炎風

このSSは現在本スレで連載されている女権国家と女神転生シリーズをクロスさせたSSです。 以下の注意点があります。

@このSSで用いられたユウキ救済案は全て二次創作作者の個人的な見解に基づいて作られたものであり、本編とは一切関係ありません。
A女神転生シリーズとクロスしていますが、著者は世界の神話にそこまで詳しくないので、ふわっとしています。
Bユウキの別人別側面なキャラが出てきます。ユウキと似ているだけで公式には一切関係ありません
Cかなりご都合主義です。
D自分が投稿しているこれはひどい女神転生ifと微妙にかかわっているけど、読まなくても問題ない様に最低限の説明は入れてはいますが、だめだったらすいません。
EこのSSの世界線ではネロとアンリエッタの関係は、ネロはアンリエッタと仲いいけど、畜生すぎる本性も知っており、『困ったものだ。少しは痛い目見た方が良いかもしれん』みたいに思っている感じです。
Fこの世界ではネロはこのSS内で知るまで大鳳くんの存在を知らなかった設定です
G警邏隊の面々はこの世界線だと大鳳くんへの好感度が振り切れる一歩手前くらいです。
H畜生系ヒロインが割とひどい結末を迎えたかもみたいな描写があります。
I穢れなき純潔の束縛に対してかなりの独自解釈が入ってます。
Jアンリエッタ皇女が度畜生になっているけど、好感度が高くなり過ぎて畜生度が高くなった感じです。あくまでも精神的にだけど割とひどい目に合う描写もあります
K>>347の月間少年カンカンと>>246から>>258のこれはひどい女神転生if傲慢界の設定が深くかかわっています。
L女神転生ifの半オリキャラが出ています。その主人公はプレイ次第で性格が大分変ると感じなので、善人よりかつ超人になってます。





女権国家のそれなりに豪華な館の一室でいつになく真剣な表情で、思案にふける男がいた。赤いバンダナをまいた彼は、普段は格好悪いと言われるくらいに崩れた顔ではなく、その表情が引き締まり、美形の側に分類されるよう変化している。
自分が結婚の約束をして、今自分にすら明かすことができない何かを抱えているユウキのことを案じている彼の顔は、何も知らぬ女権国家の女性なら美形を思い狙う女子が多いだろうが、
彼と付き合いの深い者たちからすれば、普段の様子に戻ってほしいと思うだろう。

彼は『速』『読』の文珠を使って読み終わった後、『理』『解』の文珠を使って様々な魔術書などを読みふけり、ユウキを救う術を探っている。
できることはなるべく多い方が良い、そう考えると彼はできる限りのことをしようとしている。   ……――……2時間ほどでいくつかの本を読み終えた彼は、自分ができそうな術を試しつつ、次の鍛錬に移ることを考え始めた。
 自信を苛め抜くように鍛える彼の様子をいつの間にか入試ついていた愛歌が慎重に見守っている。 ユウキの身に不穏なことが起こっていると知ることになった元旦から彼の鍛錬に熱が入り始めた。だが、
最近の彼はより鍛錬に熱が入っている。その原因は彼が先ほど読んでいたホラー小説が原因だ。その題名は『ドッペルゲンガー・彼に相応しくないと思うなら私が代わってあげましょうという女』 この本は、
ドッペルゲンガーという怪談を生み出した作者が十年ぶりに書いた、続編らしい。そしてその内容は過去に畜生な所業をしたりした女性達が多少良心が芽生えたりして、自分は今ものにした男に相応しくないのでは?
と思った直後に自分より内面が善良な偽物が現れて自分ととって変わるというものだ。その描写が凄まじくリアルであり、女権国家の女性で振り切れた外道までいかない良心が多少はある畜生な女性達を震え上がらせた。
好きになった男をよりによって自分より多少優れた同じ存在に奪われていく描写が凄くえげつない。 女権国家ではあまりにも大勢に恐怖されたりした怪談が実在していないのに本当になってしまう例もゼロではないと聞いたことがある。


もしかしたら女権国家以外の他の国でもそういうことは起きていた可能性もゼロとは言えない。だがこの小説はあまりにも出来が良すぎた上に、大衆に知られ過ぎている。 
この怪談が現実化すれば、ユウキが危ないかもしれない。ユウキが取引などをしたとは限らないが、仮に悪いことだと思いつつ契約を交わした場合は、ドッペルゲンガーがユウキの所に来る可能性が高い。
そして、この小説の中では被害者の女性達がドッペルゲンガーに襲われたのは悪事を働いたのが原因ではあるが、それが理由ではない。
この小説のドッペルゲンガーは『男にとって自分が相応しくないかもと思っている女子と取って代わろうとする魔物』だ。作中では被害者の女子がそう思うきっかけが好きな男に畜生すぎることをしたり、
悪事を働いたことがきっかけだっただけで、善人を襲うことも普通にあり得る。そうである以上ユウキが悪いことだと思わずに契約していてもドッペルゲンガーに襲われる可能性は高い。

 彼の悩みはそれだけではないこちらは比較的深刻ではない上にジャギに任せておけばどうにかなる可能性もあるが、大鳳のことだ。
一時的に女権国家と王国が共闘せねばならない程の霊的大災害が起きかけた時に大鳳が僅かな間だが行方不明になった。
それから彼は女性恐怖症と異常なまでの自己肯定感の欠如状態に陥ってしまい、またジャギと横島の二人特に横島に対してなぜか罪悪感を感じている状態になったのだ。
一応二人とまともに話せる時ジャギと話しているうちに少しづつ回復しているようでもある。ジャギも大鳳は自分にまかせてドッペルゲンガー事件に専念しろと言っていた。





 ドッペルゲンガーの小説と、それを基にした考察や怪異辞典などを読み終えると、彼は愛歌に向けて声をかけた。

「愛歌ちゃんワイの実力の上がり具合はどうや、ユウキと闘っても勝てそうか?」

 ドッペルゲンガーのホラー小説で助かったパターンは本人が元々善良であったり、あるいは反省して善良になっていた結果、付き合っている男性や友人たちが加勢してくれて撃退に成功したというものが大体の生存パターンだ。
そうでない場合は、能力が自分と全く同じでありながら、機械の様に最適解を打ち、そして精神の揺さぶりにたけたドッペルゲンガーに殺されるという展開が多い。
だがドッペルゲンガーを討ち果たしたものはなりたい自分に近づける幸運などが一気に舞い込んでくるというパターンが多い。 彼をここまで突き動かしているのは、
ドッペルゲンガーが来た時に倒してしまえば、ユウキが抱える問題の大半が解決する幸運が舞い込んでくる。
そうなればユウキを救える可能性が高い。それを実現させるためにも、ユウキとの戦いにより慣れておく必要がある。 その横島の様子を見ながら愛歌は少し眉をひそめた。
横島の行為や動機が良くないと、思っているのではない。彼の方針に不安がある為だ。

「忠夫、貴方はユウキのドッペルゲンガーが来たとして、彼女もユウキだと認識したら躊躇わず攻撃できる?」

 愛歌の言葉に僅かに横島は詰まった。できないかもという悩みではなく、そうなる事態を想定していなかったという様子だ。できないかもと彼の考えがよぎったところに、いつのまにか来ていたさとりの声が響いた。

「無理ですね。『やらねばだめだ』とか考えている時点で彼女を全力で殺しにかかるのは不可能ですよ、彼」

「さとりちゃん、わざわざ心を読んで不意打ちになるように声かける癖なおしてな」

「癖じゃなくて、わざとやっているのよ。貴方の恥ずかしいエロ本の内容とか知った方が報復できるでしょう」

 さとりの笑みに彼は元旦での失言を悔いつつ有益な情報を得たかもしれないと思った。あまりよくはないが、ドッペルゲンガーが来たら、『ユウキではない』と強く認識できるようにこいしに無意識を操ってもらうのも一つの手かもしれない。

「貴方がユウキのドッペルゲンガーに勝つのはかなり難しいわよ。同じ姿と声なだけでもユウキではないと認識しても相当傷つけることに不快感がありそうだし。
ドッペルゲンガーの設定だと貴方のことも相当知り尽くしているでしょうから。むしろ友人たちに倒してもらうパターンに持って行った方が現実的よ。
このヒットした小説だと、ドッペルゲンガーは本人の知る知識しかコピーできないみたいだし。アリスや愛歌やリグルやエヴァにお願いするのが一番だと思うけど」


725 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:08:35 ID:AXpTmxZ/

 横島にできないことを突きつけつつ助言もくれる辺り、いじめながらも自分の助言に依存させる彼女の性質の悪さがうかがえる。 ユウキのことで悩む彼に愛歌が少し考えると不意に口を開いた。

「忠夫、今回のドッペルゲンガー騒動、本当に貴方にとっては災難としか言えないことが起こるわ。今回は貴方全く悪くないのに」

 愛歌は様々な魔術に通じている占いなどの知識があっても不思議はないかもしれない。横島を気の毒に思っているのも本心だが、どこか何かを楽しみにしている彼女の様子に横島は嫌な予感を覚えた。

 愛歌は時には横島を成長させるためとあらば、情報を伏せることもある。その類化と思い確認しようとすると彼女は首を振った。

「ごめんなさい。約束だからいえないわ。でもあなたは既に災難にあっていて、その続きがこれから起こるような状態なの」

 その一言で横島は安心した。

「愛歌ちゃんが約束だからと義理立てするような相手なら心配はいらんな。これからドッペルゲンガーが来たときの対策が必要だ。さてどうするか」

 愛歌は横島の返答を聞き嬉しそうに笑った後、横島が背を見せた後捕食者の様な表情を見せる愛歌をよそに彼は再び思案に移り始めた。





 様々なケースや手段を考えては没にすることを繰り返し、思考の迷路から出るためにはちょうどいいと思い玄関に向かい扉を開けるとそこには、
警邏隊隊長ティアナ・ランスターの姿があった。彼女は横島を見ると真面目な表情で言葉をかけてきた。

「横島くん、会えてよかったわ。多分だけど今あなたが頭を悩ませている件で伝えたいことがあると、翼から言伝を預かってきたの」

 その情報を聞き横島は、朗報だと思った。大鳳の前では極めてダメな女らしいが、それ以外のときは義侠心に厚く理想的な警邏隊の副隊長であり、大鳳と出会う前は誰からも尊敬されていたらしい。
大鳳がらみでダメ人間として醜態をさらすことが多くなった今でさえ大鳳が絡んでない時は、他の警邏隊の人間が彼女の頼みを断ることはほとんどないくらいには信用はされているらしい。

「ありがとうございます」

 多分翼がティアナに伝言を持ってこさせたのは、面識があったのとティアナが伝言を持ってきたという時点で信用してくれると考えたからだろう。横島の礼を受けながらティアナは言葉をつづけた。

「翼はオカルト方面の犯罪にかなり詳しいみたいなのよ。今日貴方自宅にいる可能性が高いと占い師に占ってもらっていたみたいなのよ。いなかったら後日また伝言を頼むつもりだったみたい。
私もその書類の内容は一切知らないわ。ただ受け取ったらすぐに見てほしい。それだけしか伝えられていないわ」

「わかった。もう一度言うけどありがとうな」


 横島の礼にこたえるとティアナは帰っていき。彼は即座に封筒の中身を見た。そこには地図があり、喫茶店らしき場所が載っている。横島はそれを見ると、すぐに出かけることにした。






 喫茶店に到着した彼が、翼に呼ばれたことを告げると、すぐに奥の部屋に通される。店主たちの対応と店の様子を観察するとここは良識的な霊能職の人間の溜まり場の様だ。



 奥の部屋に到着すると、長髪の髪をした凛々しい女性がいた。ラフな格好が凛々しさを引き立てており、強い弓の様なまなざしをした彼女は横島に礼をとると言った。

「初めましてだな。私は風鳴翼、警邏隊副隊長であり、ティアナとリンネがオカルトの知識を得るまでオカルト的な事件を担当していたものだ」

 名乗られて横島は頭の中が真っ白になった。大鳳から聞いた彼女とはあまりにもイメージがかけ離れている。大鳳が絡みさえしなければ善意と義侠心に満ちた理想の警邏隊の副隊長だとは聞いていたが、
それでも大鳳から聞いたティアナに懲罰房に放り込まれまくっている彼女とはイメージが違い過ぎた。横島は動揺しつつ礼を返した。

「初めまして横島忠夫です。王国諜報部のオカルト分野の長やりつつ、一応手が空いた時はこの国の性格の良い美人さんを助けたりもしてます」

「ああ。本来私たちが救わなければならない相手を何人か救ってくれたことには感謝の言葉しかない。その礼として今回は有益と思える情報を持ってきた」

 本心からの誠意が七割、横島が善良な女性限定とはいえ女権国家の女性を理不尽な霊障から救おうとする気質を利用する打算が三割くらいに思える。
彼はそれを不快には思わなかったむしろ利用しようとする気持ちを隠さないことで誠意を見せている様だ。
それに善意の方が大半を占めていることが一目でわかる。 横島は少し考えると答えた。

「翼さんは今回どういう情報を持ってきてくれたんや?」

「ああ。今回君に会いたいと言っている人がいる。その人物は間違いなくある程度は君の力になれると確信しているんだ。
君は『離宮の文豪』もしくは『離宮の悪霊祓い』について聞いたことがあるか? 一昔前は『皇帝の謎の客人』という呼ばれ方が主流だったが」

 横島が首を横に振ると、翼は少し考えて言葉を説明を始めた。

「女権国家には、様々な異常現象や超常現象が起こりやすいところがある。彼は、異世界から来た、というより拉致された被害者だったようなんだ。
大昔に男性優位な性行為が当たり前の国から男性をなかなか得られなくなってそういう異世界から無理やり拉致して王国で言うところの逆レイプをしようと貴族と皇族がいたらしい。
良識派の現四惑メンバーにばれて結局ご破算になったようだが、その魔術的装置が作られて数世紀後後、王国との戦争中に発動してきてしまったみたいなんだ」

「その装置やばすぎる気がする」

 横島の顔色が一気に悪くなる。異世界からの兵器や文化まで持ち込まれたら王国は一気に不利になってしまう。翼は彼を安心させるように言葉をつづけた。

「心配はいらない。その人物は、この世界と多少の縁が偶然できたから呼ばれただけで、そういう縁のないものは呼べない程の不完全なオカルト技術だったようだ。
それに彼は女権国家に味方してくれる存在ではなくて、むしろ自分を拉致して無理やり逆レイプしようとした女権国家の軍人たち、
素行が悪かったと同時に実力が高すぎて処罰できなかった数小隊を一人で潰したそうだ。 ネロ陛下が事情を聞き、正式に謝罪してその小隊の者たちを助命してもらった。そして今は離れ宮で文豪をしているらしい」

「そうなんですか」

「その彼はオカルト畑の戦士だったらしく、時々ネロ陛下のお願いを聞いて、善良な女権国家の女性を助けたりしている。そして気にいった相手に武芸の稽古をつけてくれることもあるそうだ」

 皇帝がわざわざ頼むということはそれ相応に実力はあるのだろう。最も四惑の手が空いてない時の補欠の可能性もあるが。
それでも四惑の補欠が勤められる時点で侮れる相手ではない。その人物がなぜ自分に力を貸してくれるのだろうか? もしかしたら目の前の翼が手をまわしてくれたのだろうか。
まるで横島の疑問を読み取ったように彼女は言葉をつづける。

「その彼だが、この女権国家のドッペルゲンガーの恐怖小説を書いた当人なんだ。そしてなぜかは知らないが次の被害者が確実に君の幼馴染であるユウキになると理解したらしい。
それで迷惑をかけてしまうのが本意でないと考えたそうだ」

 それを聞き横島は納得した。ドッペルゲンガーというのはオリジナルの魔物とは思えないが、女権国家では生まれづらい類の魔物でもある。異世界の人物が書いたと聞いて一気に彼の中でつながった。

「わかったつまり彼のもとに行って力を貸してもらえばいいんやな」

「その通りだ。できれば良い結果になることを祈っている。そしてもしも手におえなければ私にも声をかけてほしい。警邏隊が救わねばならないのに、
君たちがいなければ救われなかった女権国家の民を助けてくれたことへの恩返しはしよう。最も君が手におえないことは私たちでもどうにかできない可能性もあるが、それでも一緒にあがくくらいはして見せよう」

「わかった。ワイも頑張らせてもらうわ」

「彼はできれば早く来てほしいらしいが、それでもいつでもいいそうだ。それと無理にではないが、ユウキくんも連れてきてほしいと言っていた」

「そうか」

 僅かに悩みのある横島の言葉に翼は助言を送ってきた。

「個人的には彼は信用できると思う。絶対に約束は守るし、個人としては決して悪人ではない。むしろ善人だ。だが、
過去に一人の女性の為にいかなることでもすると誓うほど惚れた女性がいたらしく、その女性の為とあればどんな非道でもすると言っていた。その女性が絡まない限り絶対に信頼できるだろう」

「それならユウキも連れて行って大丈夫そうやな。翼さんありがとうな」

「ああ。頑張ってくれ」


 翼に礼を言った後、横島は自宅に戻りユウキに声をかけた。

「ユウキ、お前の抱えている悩みが解決するかもしれん」

 横島の力強く確信した声に、ユウキは嬉しそうに顔を上げた。

「忠夫、本当に?」

「まだ確定じゃないがある程度役に立ってくれそうな人が見つかったことは確かや。今から女権国家の離宮に行くで」





 離宮にたどり着いた横島は既に想い人のいる良識派な女性達がこの離宮の警備をしているのを見て、ネロは相当この人物に気を遣っているのだろうと思った。
近づいて彼が礼をとって要件を告げると、警備隊のメンバーが気さくに声を返してきた。

「貴方が、青木さんが招いたというお客様ですね。横島忠夫という人が来たら、よほどの非常事態が他に起きてない限りは速攻で取り次げと言われております。どうぞ」

 案内してくれる警備兵の女性の後ろに進みながら彼は皇帝の直筆と思われる字が書いてあるのを見つけた。字は既に消えかけていたが読み取ることに難儀はない。その内容は
『アンリエッタ立ち入り禁止。もしも入ろうとしたら、暴力を持ってでも追い出せ。余が許す。byネロ』

 本気で疑問めいた様子になる彼に察した警備兵が説明をしてくれた。


726 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:10:43 ID:AXpTmxZ/

「実を言うとここにおられる青木様、もしくは葛葉(くずのは)伯爵様は一人の女性の為だけに全てをかけて戦って両想い、というよりは両片想いだった女性の為だけに生きているようなところがあったのです。
それで最初にそれを知った第一発見者の女性達が遊びで彼を犯そうとしたところ大惨事になってしまいまして。それが彼にとっては殺そうかとも思うくらいには凄い地雷だったのです。
しかし、いきなり異世界からの住人である自分が、どれだけ悪いことかわかっていない相手を蹂躙したら、それは自分にとって大切なものをいくつも奪った相手と同じことだと思ってやめたと、言っていたそうです」


 横島たちは知る由もなかったが、これはかつて彼がいた軽子坂高校が突然魔界にのみこまれ、彼が惚れた女性ほどではなくても、大切な人間が何人も悲惨な目にあったことに起因した思いが産んだことだ。
まだわからないことが多い彼に彼女は歩を進めつつ説明をつづけた。

「アンリエッタ皇女様は男を寝取るのが好きですから。しかもハードルが高い程燃えるタイプ。危険を察知して引く可能性もあるけど、逆だったら彼に速攻で切り捨てられかねませんでした。
彼は、スローライフを送っているような心境でいるため、『死にたいわけではないけど、自分を貫いて死んだらそれはそれで仕方なし』そんな考え方をしている方です。故に皇女を切ることにすら何の躊躇いもないでしょう」

 横島はそれを聞き、もう少し運命が変わっていれば大鳳はアンリエッタに傷つけられずに済んだのでは? と僅かに思ったが継承権第一位の皇女が死亡すればそれなりに大きな変化が歴史に起きていたはずだ。
王国に関係がないところで女権国家に痛手があれば必ずしも今よりいい歴史になったとは限らない。そこまで考えると部屋に到着したことが告げられた。

 案内してくれたメイドが戸を叩くと入室を促す低く威厳があるがどこか気さくな親しみやすい声が響き、メイドが戸を開けると一礼して彼を迎える体制をとる。

「客人の案内ありがとう。リャナンシー」

 その言葉と共に、横島が目を向けると不意に目の前の女権国家の女性の気配が変わり、淡い光と共に彼女が姿を変える赤色の服に身を包んだ洗練されたメイドが、横島とユウキに優雅に一礼しながら言う。

「初めまして、青木様の仲魔リャナンシーです。こちらで言うところの異世界からのお付き合いをしております。 女権国家のメイドの振りをしていたことを平にご容赦を。貴方たちの見方をするうえで万が一の情報の漏洩の可能性を減らすためでした」

 誠意ある言葉を送ってくるリャナンシーに少しだけ戸惑う二人をよそに、扉の向こうから声の主が姿を現した。

 その年齢は20代後半くらいにも若々しさに満ちた50代半ばくらいにも見える。染めているわけではない茶色の地毛に鮮やかな白髪が混じった髪を纏めている。
そしてその瞳は温厚な中にも強い情熱の様なものが感じられる。男はどう生きてきたかが顔に出るというが、彼は平凡な顔立ちながら良い生き方を貫き続けて、
美形に見える年の取り方をした男性だと思える。彼はその顔を引き立てる紳士的で隙の無いふるまいで礼をとると二人に声をかけてきた。

「君たちがこの世界の横島忠夫とユウキさんか。はじめまして。私は青木・仁(あおき・じん)ネロ陛下からは特別にかつて所属していた組織の公称の姓をいただき、
葛葉(くずのは)伯爵を名乗っている。ある異世界において、君が行き着いた果ての来世の師匠を勤めたこともあるものだ。今回は弟子だった存在と惚れた女性への義理で君たちを助けることにした」

「初めまして俺は横島忠夫と言います」

 相手の礼に則った態度に感かされ堅苦しい程の礼を持って応じると、青木はユウキと彼を観察するように見た。
その眼の中に郷愁に似た色と親愛の感情が混じっていることに彼は若干の戸惑いを二人は覚えたが、二人はすぐにその理由に思い至った。

「やはりあなたが師匠を勤めた俺に似ているんですか?」

「ああ。別人ではあっても同一人物だから当然と言えば当然か。正確に言えば、君が行き着いた可能性が転生をつづけた結末というべきか。それでも今の君とあまりにも似ていて驚いたがな」

「そうなんすか」

「その通りだ。だが順序が逆なのかもしれない。俺が師匠をした相手は、『既にこの世界線では起こりえない大事件が起きた際に全力で駆けた君の同一存在だった別人が行き着いた幾つもの転生を経た来世』だ。
むしろあいつが君に似ているというべきなんだろうな」

 それだけ言い終えると、彼はユウキを見て少しだけ驚いたような表情になった。

「君がユウキか、一応君の同一存在とも私は話したことがある。 安心させられる話と、残念な報告をしよう」

 青木の言葉に少しだけ不安そうにするユウキに彼は言った。

「君は私がいた未来では普通に横島の傍にいたよ。どうやったのかはついぞわからなかったがな。そしてあの世界の横島がどうやって君を助けたのかは私も知らない」

「そうなんですか。まあ忠夫が何度も転生した後だから、彼らからしたら相当昔のことだから仕方ないかな」

 答えつつ残念そうな声を出すユウキに彼は発破をかける様な声で言った。

「その方法は多分使う必要はなくなるだろう。何しろ私が君たちを助けるからな」

 そういうと、青木はついてくるように促すと奥の部屋に歩み始める。後に続く横島とユウキは不思議と頼もしいと感じながら、彼に続いた。


 奥に進むと彼らを迎えたのは簡素だが趣味の良い装飾品に包まれた一人暮らしの男性が済んでいると思われる部屋だ。 趣味が良いと言えばいいが、『謎の皇帝の客人』が住んでいる部屋にしては普通過ぎると彼らは思った。
それに対して青木は、少し残念に見えるのも当然だという感じで言う。

「私はもともと、生まれが小市民だからな。それに人間などというものは能力が超人になっても本質はあまり変わらん。
正直豪華な屋敷などには威光を示す必要がある状況なら住むのにためらいはない。だが、その場合苦痛とまではいかんが、こういう住居と比べると気が休まらない」

 彼の言葉は明らかに経験則の様だ。恐らく必要に迫られて豪華な屋敷に住んだことがあるのだろう。 部屋の中に入ってみると客人を迎える際の間取りなどもよく考えられていることが感じられた。
そして部屋には執筆用のパソコンや、女権国家やストレリチアの神話や民話、幻想の物語が多く、置かれている。彼は横島とユウキを向かいに座らせると、自分も座り言った。


「端的に言おう。横島、君がいま悩みを抱えている悩み、ユウキを縛っている契約と体のことだが解決することができる。ただしそれにはお前たちが強くならねばならない」

「そうなんですか」

「ああ。私はかつて君の同一存在の来世を鍛えたことがある。それゆえに弟子入りすれば、鍛えてやろう。試練を超えられなくても、
『周りに迷惑をかけずにユウキと添い遂げられる状況にはなるように』算段は立てたし邪魔する可能性のある者達とも話はつけておいた」

「ちなみに話をつけた相手は誰ですか?」

「四惑達だ。彼女たちにとって有益な未来の情報を私が渡した。むろん俺が渡した情報が王国に迷惑をかける様な内容ではなかったことは、俺が愛する女性、赤根沢玲子(あかねざわれいこ)に誓おう」

 横島の頭は本当に混乱の中に放り込まれている。いきなり目の前の問題が片付き、それでいて四惑が条件を飲むような情報を彼は渡したのだろうか。横島は少し考えた後、どうにか質問を返した。

「取引する前に呼びたい人がいるけどいいですか」

「構わない」

 横島は大鳳を呼ぶかミクを呼ぶか少し悩んだ末に、ミクを呼ぶことにした。大鳳の方が頭の良さは上かもしれないが、ミクの方が王国の長官として大局を見てきている時間が長い。
それに自分やユウキに親愛の情が強すぎる面子ではかえって冷静になれない恐れもある。 連絡を入れるとミクはあっさりとくることを承諾してくれた。四惑に取引を飲ませることができる存在に興味が一番大きかったのだろう。そして諜報部にとって興味深い存在であった『謎の皇帝の客人』を見られるという好奇心も多少はあったのかもしれない。



 一時間も経たないうちに彼の仲魔であるメイド妖精のシルキーに案内されてミクが来ると青木は他国の作法ではあるが洗練された礼をとって彼女を迎えた。 そして青木とミクが並んだ様子を見て、
横島は青木を見た時に感じた謎の既視感が何なのか理解する。 青木はミクと似ていた。正確に言えば、ミクが行き着く一つの結末というべきか。 彼は執念や様々な地獄を見ながら信念を貫きそれでもかけぬき、
悲願を果たして隠居などをしたミクは恐らく彼の様になるのだろう。ミクが青木に負けることは絶対にないと悟る。実力の差云々以上に、彼は全てを賭けて成し遂げるべきことをなした為に、
既に大往生を迎えた亡霊だ。現役時代の彼なら可能性もあったかもしれないが、今の彼では百回闘っても一度たりとも彼女に勝てないだろう。 話していて、
警戒心が沸かなかったのもスローライフを送る状態になって善性だけを発揮している状態だと理解できためだろう。


 武人としては天域に至っているミクは一目見て彼の本質に思い至ったのか、一瞬で警戒を解くと敵とは見なしていない様子で彼に挨拶をした。

「初めましてあなたが、『謎の皇帝の客人』と名高いお方ですね。 横島、彼は敵じゃないわ。どちらかと言えば味方だからそこまで警戒しなくていいわよ」

 ミクの言葉にほっとしながら横島は彼女に現在の状況を伝えた。それを聞くとミクは横島の成長を促そうとするように答えた。

「混乱していても思考力をはたらかせる訓練代わりに彼に思いついた質問をしてみなさい」

 その返しを聞いた彼は少し悩んだ末に言った。


727 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:13:11 ID:AXpTmxZ/

「四惑に教えた情報って、もしかしてストレリチアの情報ですか? それとも王国の敵だけど、女権国家の敵でもある相手とか」

「ストレリチアの情報ではない。後者に関してはその通りと言えるかもしれない。正確に言うと、すごく馬鹿なことをやらかして女権国家全体だけじゃなくて、
この大陸どころか世界中に迷惑をかける勢力の芽を摘むための情報と引き換えに幾つもの行動の許可を得た。
王国と女権国家が手を組むほどの大迷惑自体を引き起こし、十数世紀に渡って女権国家人も本来必要なかった犠牲として死にまくる事態を巻き起こす勢力の芽を摘む情報を寄こすから、
今回の取引を頼むと言ったら、応じてくれた。 むろん正式な契約を結んでおいた。
狂三殿は相手が約束を守っているのに破るのは大嫌いだが、絶対にやらないとは断言はできないからな。 ユウキが契約した相手が四惑かどうかはわからんが、
そいつが妨害に来るなら四惑総出で抑えるという約束も取り付けておいた」

 青木の言葉に対して横島はある程度聞こうと思ったことが絞れたが、彼が言おうとした質問を先にミクが口にした。

「女権国家と王国が手を組む? 貴方のかかわった未来では本当に世界滅亡にリーチをかけるレベルの馬鹿をやったやつがいたの? 十数世紀に渡ってということは無差別虐殺する生物兵器でも作って世界中にばらまきでもしたの?」

 驚きと呆れが入り混じったミクの声に横島は凄く珍しいものが見れたと他人事の様に感じる。そして王国と女権国家が同盟などとはそれくらいの事態にならないとあり得ないんだろうなと、
改めて再認識した。 少し前の共闘もそういう事態だったからこそ実感がより強い。ミクの言葉に彼は本筋から脱線しすぎないようになるべく簡潔にまとめるように答えた。

「ああ。今から100年以上先のきわめて可能性の低い世界線の話だが、男尊破遊魔術団(だんそんはゆうまじゅつだん)なる組織が生まれて、
女権国家とは遠く離れた国で外道の限りを尽くした。そしてそれを見て危機感を感じた男が、男性優位の神話や宗教しかない世界から多くの魔物を呼び寄せてしまったんだ。
その異世界と繋がってない世界線でも奴らは女権国家に大迷惑をかける様な事をいくつもやらかしているみたいでな。俺が見た世界程でなくても、女権国家人に大量の被害を出している。
今でも秘密裏になかなか侮れない勢力を持っていたが、狂三殿たちは把握していなかった。もしくはさすがにあそこまで大事にならないと思っていたのか放置していたかのどちらかだったみたいだ」

「確かに女権国家に損失を与えるのが百年以上先のことで、かつ女権国家人同士の争いとなる勢力の情報なら王国に対して迷惑とは言えないわね。 青木殿、私としては納得いきました。
横島、私からはもう言うことはないわ。 どうするかあんたが決めなさい」


 ミクからの許可を得た彼は少し悩むと言葉を口にした。


「青木さん、俺にユウキを護る為の試練と修行をお願いします」

 ユウキも進み出て続ける。

「僕もお願いします。幸せの為に困難を乗り越える力が欲しいから。そしてずっと忠夫の傍にいるために」

 ユウキの言葉を聞くと青木は彼女の眼を覗き込み少し考え後言った。


「本当に情念が強いな。よくもまあ、私が来た未来では、共有している女相手とはいえ、幼き頃から彼の傍にいる立場を譲ったものだ。それだけ長いこと共に戦いつづけて信頼関係などが出来上がっていたか」

 青木の言葉に僅かに好奇心がくすぐられた横島が声を上げた。

「あのすいません。俺のずっと先の来世の幼馴染って、誰だったんですか?」

「そうだな。女権国家の女性には珍しい公平で善良な女神の様な気質の女性だった。 ただし、横島、君以外にはという言葉が最後につくが。
君を愛してはいるが腹黒演技派で、君の同一存在である別人な来世をいじめまくれる日を心待ちにしていたよ」

「なにそれ、怖!」

「まあ、今生では出会うとは限らん」

「まだ出会ってないと断言できるのはなんでですか?」

「ああ。出会っていたら今の説明だけで誰かわかっただろうからな」

 そう返した後、青木がミクに向き直り言った。

「ミク殿今日の対談はこれで終わりということでよろしいでしょうか。これからこの二人に訓練をつけたいので。信用できなければ見ていきますか」

「その必要はないわ。私も忙しいし、貴方が信用できる人間であることは分かったから」

 ミクに一礼すると青木は、横島に向き直り言った。

「今から君は私の弟子ということで良いか?」

「それでユウキを助けられるんなら構わん」

 その返答を聞くと青木は懐かしそうな眼になった。僅かに称賛の念が含まれた瞳で彼を見ながら言う。

「お前はどの世界でも変わらないな」

口調が僅かに崩れると同時に青木の身に纏う気配が変わる。これは前線にいたころの自分を呼び戻しているのだと横島は一目で察した。 彼はこの瞬間、葛葉伯爵から、
青木仁になったのだろう。騎士を思わせる優雅さと力強さを合わせたような足運びの野性味を僅かに纏いはじめ、そしてその身から放たれる威圧感が大きくなっていく。

彼の凄まじい気に圧倒されている横島をよそに青木はメイドが持ってきた腕に装着する方のパソコンを腕につけると起動させた。それを見て横島はその用途をすぐ理解する。
理あれは教師でもあったアティの召喚と似たものだ。 彼女が召喚する時と気配が似ていることが、それに思い至らせた。青木が召喚を終えると猿の姿をした巨大な力を感じる神が姿を現した。

「ハヌマーンという俺の世界の神様の一人だ。お前に稽古をつけることも多いだろう。後で話すが彼は俺のガーディアンという特殊な守護霊を勤めていたこともあるんだが、
そのせいかなぜか彼が適任な気がしてな。 もっとも今回はただの案内人だが。ハヌマーン頼む」

「お任せあれ。わが主君。トラポート」

 ハヌマーンの呪文と同時に、横島とユウキの視界が光りに包まれた。そして数舜だけ意識が度切れた。





意識が戻ると彼らの前には広い訓練場の様な光景が広がっている。その場所で少し離れた位置にいる青木は業物と思われる刀を構えていた。
実践に適した刀であるだけではない。あれは青木が振るい多くの強大な悪魔たちを切り続け、昇華された刀だ。
剣の威圧感だけでたいていの邪悪なる存在は寄り付かなくなるだろう。それを自分の体の一部の様に動かして彼に向けると、青木は言った。

「来い。俺は器用じゃないからな。それに基礎から教えるより、お前が覚えられそうな技や経験を叩き込むのが一番だろう」

 言葉を終えるとともに全体の空気が一気に変わり、一流の兵士でも息苦しさを覚えるほどの威圧感を放っている。それを見て横島は迷わず一気に切り込んだ。
霊波刀を信じられない程の速さで出現させ、『速』の文珠を発動させると彼の刀とぶつかり合わせる。青木がその一撃を楽しそうに生徒が予想以上の答えを返してきた教師の様な笑みを浮かべ受け切りかけた瞬間、
霊波刀を消して籠手に変化させる。本当に僅かとしか言えない隙が生じた瞬間に、籠手のない左手に霊力を込めて殴りつけた。 その一撃を受けて青木に感嘆の念が走る。
今の彼が身にまとっている気は危機を察知する能力が高ければ高い程打ち込むことに恐怖を覚える威圧感だ。それを乗り越えてかかってくるのが数瞬早かっただけではなく、
霊力の籠手に守られていない左手で殴ってくるとは。これは反撃される恐れがないと確信していてもよほどの覚悟がなければできることではない。



連続攻撃を放とうとした瞬間、横島は急に視界が反転し天井を見ていることに気づいた。視界の変化から僅かに遅れて腹部に激痛が走る。倒れる彼を見下ろしながら青木が言う。


「すまんな。少しお前をなめてた。 かつて弟子だった相手のイメージが抜けてないか。あいつも覚悟はあったが、お前ほど追い込まれてなかったし、あの時点ではまだ戦士じゃなかったからなぁ」

 言い終わる前に、横島が霊波刀を彼の首筋めがけて突き出すと、青木はそれを刀で受けて上機嫌に笑う。

「普通の刀と違って霊波刀は突きだけならどこでも繰り出せるか。こんなに早く攻撃してくるあたりプロの軍人らしい。これなら遠慮なく行けるな」

 そういうと起き上がった横島に青木は一瞬で距離を詰めて、拳を叩き込んだ。 撃ち込まれた一撃はいかにして霊力を込めれば、相手の体に響くか嫌でも理解させられる一撃だ。
横島はそれを受けて少しでも覚えなければと思いながら下がり、青木の斬撃を辛うじてかわし、文珠を使おうとしたところに容赦なく彼の鞘の一撃が彼を吹き飛ばした。

「文珠は便利だが脅威を知っている奴は発動を是が非でも止めに来るぞ。俺がユウキを不幸にしようとしている敵だったら。彼女はどうなっていた。 残された時間はそこまで多くはない」

 敢えて横島が『癒』の文珠で回復するのを待った後、彼は再び切り込んだ。

 横島は剣撃を受けながら何度も下がる。青木の剣撃は速さが生む力で非力さを補う類の剣だ。だがそれでも彼は本来よりは力を抜いているのがわかる。
本来の青木の剣はあくまでも『英雄たちの中ではやや力が弱い』程度だ。だが今の彼の技は速さで力を補うことに特化した英雄の剣技を模している。
そしてその剣を受けながら横島は悟った。この剣の速さと重さは、ユウキの剣と同じにしている。


 それを悟ると彼はその技を受け流しながら切り返した。 切りあい何度もくらいつきながらも、彼は膝を何度もつきそうになる。ユウキと同じ力で攻撃をしてきているのに、
拳を受ければ、今の彼以上に力強い敵より受けたものより奥に響き、首から上にもらえば、脳が揺れる。これが圧倒的な強さの敵と戦ってきた経験の差なのだろう。青木は笑いながら言う。

「そろそろ、本腰を入れていくぞ」

 次の瞬間、青木の剣撃が速さを増し、その一撃を受けた際に手がしびれる重さも伴っている。 青木は続けて言う


728 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:16:52 ID:AXpTmxZ/


「どうだ、戦っている時に不意に強さを変えられると脳が混乱するだろう。敵がわざわざ手加減して後に本気だしてくるなんてことは滅多にいないが、たまに伝承から生じた悪魔はパターンの違う伝承に切り替えてくることもあるからな」

 敢えて手のしびれが退くのを待った後彼は、再び多くの斬撃を放ち始めた。適切な受けをすれば、大丈夫な攻めはしくじるたびに激痛が走る連撃となり彼を襲う。そして倒れると回復魔法がかかってきて、彼の傷を癒す。


 倒れることと回復魔法を何度も繰り返して数時間がたった後、青木は彼に言った。

「今日の訓練はこれまでだ。これ以上は意味がない。 リャナンシーとシルキーが回復させる料理と薬酒用意しているから食べておけ」

「あ、ありがとうございました」

 気絶しかけた横島に回復用の魔力のこもったラスタキャンディを横島の口に突っ込むと途切れかけた彼の意識が戻り、そのまま彼はふらつく足で食卓に向かった。





 青木にしごかれる日々が訪れ、昼は青木に模擬戦でしごかれたり、彼が作った異界や、女権国家で自然発生した異界に放り込まれる他、
夜は青木が儀式を終えたり術をかけた女権国家で縁を結んだ女性に嫐られる。どういうわけか他の女性よりリグルと愛歌が訪れる頻度がやや多い。これも青木の指示らしかった。彼のことだから何か意味があるのだろう。
訓練を課してくる青木の行動に一つだけ疑問に感じることがあり、それがドッペルゲンガーが来るかもしれない相手であるユウキまで鍛えていることだ。疑問がる横島に青木は真剣な様子で答えた。

「ちゃんと意味のあることだ。むしろ後々これは王国の為になる。すまんが今はこれ以上のことは言えん」

 その際に同席していた愛歌も同じように笑って頷いたのを見たことが彼が追及を辞めることを決断した最大の理由だ。そしてその時青木は横島に不意に頼みごとをしてきた。

「横島、お前が持つ文珠いくつかもらいたい。最低でも五個はほしい」

「理由を聞かせてもらっても?」

「ここ(青木の館)なら多少は言える。ただあまり知られない方が良いことでもある。お前の友である大鳳やジャギの為にもなることだ」

「どうぞ」

 僅かなやりとりで彼は、あっさりと渡した。青木の人柄はここ半月くらい過ごして大体わかっているので拒む理由はない。

「感謝するぞ、横島必ず大鳳の為になることを成し遂げて見せる」

 そういうと青木は早速何かの儀式をする様子で、駆け去っていく。横島はそれを見て絶対に何らかの形で事態が好転すると確信できた。

 その次の日に、青木の戦い方が大きな変化を見せる。僅かだが速度が落ち代わりに敵を騙すフェイントなどが上手くなった。
そしてそのだましの技術はなぜか異常に横島にとって覚え安いものばかりだ。 何度も地べたに這いつくばらせながら彼はそれでも自分が強くなっていると感じた。
その日彼は横島に不意にある提案をした。その提案をされた時のことは不思議と印象に残っている。彼は珍しく、覚悟を決めるような間をとってから言葉をかけてきた。

「本人たちが良いなら大鳳くんとジャギもここに連れてきてくれるか。あの二人に対しても有益な指導ができるようになった」

「わかりました二人にも聞いてみます」

 答えつつ彼の内心は驚きが満たしている。青木と稽古する際に様々なことを彼に教えられ、敵を知り己を知ることも大事だと言われて彼のことを調べてみたが、彼の経歴は異常だった。
ネロの客人として多の霊的災害を解決し男性でありながら女権国家で霊的に不安定な土地の辺境伯の位を得るという偉業を成し遂げ、今でも時にはネロに頼まれて四惑の手がふさがっている際の霊的案件を請け負っているらしい。
そして彼はいかなる時も余裕の表情と態度を崩さなかったそうだ。演技だった可能性もあるが、皇帝が直々に頼むほど危ない任務をいくつこなしても、
余裕を見せていたらしい。さらに彼の異常性を引き立たせるのはその女性関係だ。死んだ相手に一途なだけではなくしょっちゅう外に出て数えきれないほどの孤児などに炊き出しや職業訓練を施し、
大勢の理不尽な不幸に見舞われる女性を救って回っていたらしいのに、誰も彼を恋愛的な意味で好きになった女性はいないという。特殊な占いで、自分が琴線に触れない女性を選んでいると言ったが、
絶対にそれだけではないと自分の勘が告げている。女権国家の女性と友好的に過ごしまるで理想の騎士や王子の如く接しても、惚れられない様にできる何かが彼にはあるのだろう。
親愛だけを勝ち取る処世術を用いたにせよ、あるいは術であれ常人どころか英雄でも不可能な類のことだ。

そんな怪物めいた能力を持つ彼が何か覚悟を要する様な事をしようとしているのだろうか?
 横島の警戒とやや驚愕よりの内心を察したのか、青木はいつもの余裕を意識的に取り戻し答えた。

「ああ誓って言うがお前たちを巻き添えにしてしまう様な大事は起こっていない。 祖霊より、別に無理に修業は受けなくてもいいが、
大鳳くんには一度ここに顔を見せてほしいと伝えてくれ。彼を蝕んでいる呪いを私ならどうにかできるかもしれない」





 その言葉を聞いてすぐに彼が大鳳とジャギを呼ぶと二人を割と直ぐに訪れた二人を見て青木は礼儀正しく優雅ではないが見栄えのする貴族礼をとって迎えた。

 ジャギは彼を図る様に彼を見ていたが味方だとわかると少し、居心地が悪そうだ。武術家としての礼法も多少はあるが、
青木くらいの高位貴族として恥ずかしくない類の礼を受けると、少々座りが悪いと感じているのがみていてわかる。

「あんたが葛葉伯爵か見てみてわかったが、実戦からのたたき上げで強くなったタイプか」

「ああ、そんなところだ。君たち二人の師としては向かないかもしれないが、それでも気が向いたら手ほどきくらいならしよう」

「いや、そこまで手間はかけさせねぇさ」

 ジャギはそういいながら獰猛な笑みを浮かべた。顔は見えないが、声の調子で好ましい武人と会えたことを多少は喜んでいるのがわかる。そして彼は気を練り上げながら下がっていう。

「あんたは実戦の中で練り上げて技を盗んできた類の達人だろう。恐らくはそれで一流になった後に、本格的に型にはまった武術を学んだ。
指導するような気でこなくてもいい。思いっきり俺たちを身に着けた技でぶっ叩け。 勝手に盗ませてもらう」

 大鳳も彼を見ながら頷きいう、

「貴方は指導もできない訳ではないけど、あまり得手ではないでしょう。実戦形式で受けた技が一番為になると思います」

 大鳳とジャギの言葉を聞くと青木は頷いた。

「結局横島の奴にやっていることと変わらなそうだな。最低限の手加減はしよう。勝手に覚えてくれ。ミク殿の方が上手いかもしれんが時間は俺の方があるからな」

 その戦いの後は三人でかかり、ある程度善戦したものの青木が最終的には勝利した。大鳳は後で型も彼から教えてもらっていたが、
ジャギは回復してもらうたびに立ち上がり、青木にたたき伏せられる度に、北斗の型の練習をしている。青木が注意をしない辺り確実に無益なことではないのだろう。



 鍛錬が終わった夜青木は大鳳に言った。

「君の呪いについて調査したい。かなりプライベートなことまでわかってしまうが良いか。治療に必要がない限り、他人に打ち明けたりはしないから」

 少し悩んだ末に大鳳は頷いた。実際に少し話しただけで、彼が信用できる相手であることは分かったからだ。横島は少し解せない者を覚えた。
青木の大鳳を見る目が好意的に過ぎる。心から彼を案じ助ける最適解を何が何でも見出そうとしている眼だ。それを感じているからこそ、
大鳳も診せることを悩みはしても警戒はしていないのだろう。だが、なぜ彼はここまで大鳳を案じるのだろうか? その疑問が浮かんでもなぜか警戒の念はわかないまま彼はその様子を見守った。
 大鳳の体を診療のベッドと思える寝台に横たえた後、青木は呪文を唱えた後、瞑想ししばらくすると、空気を振るわせるほどの怒りを一瞬だが見せた。 大鳳が僅かに脅えたのを見て、怒りをしまうと彼は言った。

「大鳳くん大丈夫だ。君の呪いを私なら解ける。お別れの日に解くことになりそうだ。それまで準備をしなければならないがな」

「青木さんどこかに去るんですか?」

「近々な。それまでは君たちに稽古をつけよう。そして最後の日は唐突に呼び出すかもしれないし、君が少しの間女権国家から離れることになるかもしれない。だから身辺の整理をしておいてくれ」

「わかりました。自覚があるにも関わらず僕はどんどん、アンリエッタ皇女に好意を抱いています。このままだと利敵行為にも走ってしまいそうですから」

 大鳳の言葉に頷いた後彼はハヌマーンと天狗を召喚すると言った。

「一週間ほど、この二人が訓練を受け持つ。それまでに俺はやらねばならないことができた」

 そういって彼が引っ込んで一週間後に、『モンテ・クリスト伯』という異世界の小説が発行された。女権国家では、オカルトだけではなく、
SF的な超技術的な分野からも『異世界はある』という考えが主流であり、青木こと葛葉伯爵の書籍は本当に異世界の物語である可能性が高いと全ての部署が太鼓判を押している。
男性も女性も面白いと考える作品を書く彼の支持率は高い。女権国家の女性達としても、男性との共通の話題ができるのは堕とす際に便利だし、
自分たちも楽しめるからだ。意中の男を得る為なら自分が微塵も面白くないと感じる作品すら細部まで把握して、楽しんでいるふりをすることもできる。
それでも、どうせなら自分も面白いと思える作品を提供してもらった方が色々と負担が少ない。


729 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:18:20 ID:AXpTmxZ/

 モンテ・クリスト伯は他の作者の作品出ることを明言したうえで、出版され男女両方から高い支持を受けた。
ネロが青木の所に一度だけ文句を言いに来た以外はかね平和だった。文句の内容は『こんな面白い話を知ってたならもっと早く書かんか!そなたが書いていてくれたら、余が退屈した空き時間がどれだけつぶれたか』

 その時の文句の良い型を見ても、ネロは恋愛感情ではないが青木を信頼しかなり気を許しているのがうかがえた。

 それ以降は大鳳と共に訓練し、たまに交じりに来ては技を盗みに来るジャギと共にしごかれたり叩きのめされる日々が続いた。

 そしてある日、青木が夕食の後彼を珍しく部屋に呼び出した。常に鍛錬を課すときはまじめだったが、いつになく真剣な様子に彼も覚悟を決めて彼は覚悟がいるなという確信と共に部屋に足を向け歩み出す。

 重々しく部屋を空けるとそこには彼が待っていて、横島に言葉をかけてきた。

「横島、お前達の鍛錬はそろそろ卒業と言っていい。俺のこの多大な善行と引き換えに神々からもらった人生のボーナスタイムな肉体もそろそろ寿命が来る」

「そ、そうですか。師匠」

 声が振るえる辺り、自分はこの人物のことが思ったより好きだったんだなと横島は思う。その彼に対して青木は言葉を続ける。

「実は異世界の神話などが最近広まったのは俺の仕業だったんだ。最近発表したモンテ・クリスト伯やドッペルゲンガーだけじゃなくて、俺の出身世界のインド、北欧、ギリシャ、メソポタミア様々な神話を俺が広めた」

 雑談の様だがこれは大事な話だなと、いう確信が横島の脳裏によぎる。その彼の表情を見ながら彼は言う。

「俺の広めた神話などの浸透率は女権国家だとどれくらいになっている?むろん数字は知っているし、自分なりに調べても見た。だが、市民に紛れる時間が長かったお前の口からもききたい」

「異世界は確かに実現し、女権国家の歴史家たちも、確かに異世界から来た人間も本当に過去にいたと知っている面子は、大半が本物だと太鼓判を押しています。
青木師匠の書いた話を面白いと思った面子はほとんどが走り読み程度には読んでいると思います」

「そうか、それなら俺の計画も十分進みそうだな」

「そうなんですか」

「ああ。四惑と取引した際に、取引が終了後に一番俺のやることに口を出してきたのは狂三。彼女の相手が一番大変だった」

「なんでまた」

 青木の交渉面などの有能さなども見ていると彼が苦戦している姿はとても想像ができない。四惑が相手でも、有利な状況で始まった場合は必要最低限の成果はあげられるだろう。悩む横島に返ってきた返事は意外なものだった。

「利益問題じゃなくて、良識から口を出してきたからな。ちゃんと礼を持って良心から要求をしてくる相手の意見を無碍にしては俺に惚れてくれた玲子さんの品格まで落ちる。だからなるべく彼女の意見は尊重するようにした」

 それを聞き、横島は愛歌から聞いた、心情的には彼女が愛歌の王国側だったらしいという噂は本当の可能性が高いと思った。思案顔になった彼に青木は言葉を続ける。

「俺の世界の神話と女権国家世界の類似点とかをまとめた本とかも相当に売れたか」

「はい。考察している人たちもかなり多いです。特にストレリチアの聖王は北欧神話のオーディンと同一存在だったのでは?とか言われるケースが多いっす」

「そうか。俺はお前を鍛え上げるのも今日で最後だ。あとはこの世界の者たちの仕事だな。それじゃあ失礼する。これから最後の試練場というか、戦場にお前を送る。いかなる結末でもユウキは不幸にならないから安心しろ」

 そういって青木が魔法のこもった石を投げてくると、彼の意識が一瞬だけ途切れた。

 青木は意識を失った彼の前で、彼から受け取った文殊に『隠』の字を入れて発動させた後、もう一つの文珠に『移』の字を入れてかざした。その瞬間彼に何かが移っていく。それを見届けると彼は横島をどこかに瞬間移動させた。





 次に彼が目覚めたとき最初に彼の視界に入ったのは、宮殿の様な廊下に立つユウキの姿だ。彼女が一言もしゃべらず無言で剣に手をかけた時、彼は目の前の存在がドッペルゲンガーだと、確信した。最初に放ってきた抜き打ちをかわし、即座に霊波刀を出現させる。彼女の剣を受け止め、打ち合いながら彼の心は散々に乱れた。ユウキではないとわかっていても、彼女を傷つけるという行為をすることにブレーキがかっているのが自分でもわかる。


 横島は青木と比べれば速さも力も劣ると断じた。なまじ余裕があることも、彼が力を出せない原因の一つだ。
もっと追い込まれれば、余裕がなくなり多少は容赦のない反撃もできたかもしれないが、今の状態ではユウキと同じ姿の存在を傷つけることに対する忌避感が勝っている。

 ユウキの剣は横島が断じた通り、青木と比べれば遅く軽い。だが決して弱いわけではない。この剣を余裕をもっていなせるものは女権国家でもそう多くない。
横島の場合は幼いころからユウキを知っているからこそ、読み取ることに長けているために防ぐことができている。 無言で機械の様な表情で剣撃の荒らしを放ってくるユウキの剣を彼はあしらいながら、
内心驚いていた。 ドッペルゲンガーの強さではなくそれをあしらえている自分にだ。

『ユウキが強くなるとドッペルゲンガーも強くなるか。青木師匠の指導を受けてユウキも実力を上げたんやな。 ただ青木師匠が言うには俺の実力がここまで上がったのは、異常に師弟の相性が良かったためらしいから、ワイ程強くなってないか』

 ユウキの剣の鋭さと速さが、前より遥かに上がっているのにあしらえているだけではなく、わずかとはいえ余裕がある。
彼は特に激しくなった、ユウキの剣撃の乱舞が始まりかけた瞬間に初めてドッペルゲンガーに向かって言葉を放った。

「ユウキの偽物、ここでおれを仕留められないと本当に終わりだぞ。俺はユウキの癖を知り尽くしているから、それまでコピーしたのが、いや、コピーしないということができないんだな。
その性質上。物語から作られた怪異はその物語から強大な力を得られる代わりに、その物語に弱点も縛られる」

 言い終わった直後にさっきよりも一段上の速さになったドッペルゲンガーの剣の激しい乱舞が放たれてきた。

 横島は全ての攻撃を捌き切りながら特に振りの大きい攻撃を辛うじて受けた直後に霊波刀を籠手型に変えて相手のバランスを崩した。僅かな違和感を感じたがそれでも、
彼は躊躇わずにドッペルゲンガーに殴り掛かった。仮に今の失敗がわざとであっても、この隙は大きすぎる。拳が当たりかけた直前にドッペルゲンガーが言葉を発した。

「忠夫、強くなったね。でもさすがにそれされると痛いから止めてくれるかな?」

 その言葉を聞いた瞬間、横島の戦意が消えうせる。脅えたとかではなく、目の前の存在が本物のユウキだと確信したためだ。攻撃を止めた瞬間にユウキが再び攻撃を放ってきた。
その一撃は今までの中でも最高のものだ。それを受けて彼が倒れると、ユウキは嬉しそうに彼を見た後、彼ではない他の誰かを煽る様な笑みを浮かべた。

「見ているかい、ドッペルゲンガー、いやその伝承を使って出てきた僕の前世。 忠夫は君の時と違って攻撃を躊躇うじゃなくて、ドッペルゲンガーかもって思っていても僕を傷つけられなかったよ」

 ユウキの言葉を意味不明だと思いながらも、彼は意識が落ちかけるのを感じた。そしてユウキの足元『演』の字が入っている文珠が転がっていることに気づく。彼女はこれを使ってドッペルゲンガーを演じていたのだろう。

 そこまで考えた時不意にユウキが軽々と彼を抱き上げた。ユウキの信じられない力強さに好感度ドーピングという言葉が浮かんだが彼はそのまま運ばれていった。
彼が状況を打開できなかったのは、相手がユウキだと確信してしまったためだ。ユウキが相手だと確信した結果、危機に陥った時に起こる火事場の馬鹿力が発動しなかった。






 寝室らしき場所に運ばれた彼をユウキは女権国家の女性が見せる特有の発情の籠った笑みで見下ろしながら言った。

「アリス、お願い」

「ええ」

 ユウキの言葉にこたえて金色の髪の美女であるアリスが姿を現すと彼に呪文をかけた。その瞬間目線が低くなり、ユウキの姿が大きくなりはじめ、
しばらくして自分が子供の姿になっていることに気づく。だが今の自分は大人だったころの記憶もあるが、精神も少年時代のそれに戻っている。

 ユウキはその横島を見ると満足そうにうなずき彼の唇を貪り始めた。最初の口付で完全に彼が腰砕けになると、だぼだぼになった服から彼を引き出し、そのまま対面座位の体制で犯し始める。

 敢えてユウキは与えてくる快感を調節しながら、アリスに目配せをした。アリスは笑みを浮かべて左手で玉袋を揉みしだきながら、彼の分身の下の方を指で強弱の力を使い分けながら押し始める。

「忠夫〜、気持ちよさと不安さが同時に訪れてきてすごいでしょう。アリスだけじゃなくて僕もそうなるようにしているからね。 それじゃあ一気に行くよ〜」

 敢えて寸止めをやめて本気を出したユウキに射精させられると彼は、快楽と不安が同時に襲い掛かってくる。その状態を見計らったように、
ユウキが敢えて彼の口に乳首を突っ込むと片腕で彼の頭をなでもう片腕と足で彼の体を強く拘束した。最初の射精で一気に、脱力した彼はそのままユウキにあやされ始める。
気持ち良すぎるが射精したばかりで動くと敏感になった分身がどうなるかわからない。そう思い脅える彼の様子を察したユウキが敢えて腰を激しく動かし何度も射精させながらアリスに言う。

「アリスありがとね。当分は僕だけで大丈夫だから」

「ええ、後で私も混ぜてね」


730 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:20:20 ID:AXpTmxZ/

 そういって姿を消したアリスをよそにユウキは横島の分身を敢えて抜くと唇に乳首を含ませたまま彼の分身を手でなぶり始める。
分身を愛撫する手は気持ち良いが不安も煽るそういうことをしながら、抱き込み頭を撫でる手はどこまでも優しく彼を堕としてくる。
意識を失いそうな彼を見下ろしならユウキは何度も手で彼を射精させた。



 射精した精液はユウキ手にぶちまけられその度にインプと化した彼女に吸収されていき、どんどんと彼女を強くして言っている。
強すぎる快楽の中で何も考えられなくなりそうになりながらも彼はどうにか思考し、言葉を絞り出した。

「ユ、ユウキなんでや?」

 なぜこんな逆レイプをするのか。その問いにユウキは少しだけ忌々しそうな表所をすると答えた。

「敢えて言うなら絶対に負けたくない相手との勝負だからかな? もちろん忠夫のことじゃないよ。 それじゃあ次は僕の胸にいい意味でのトラウマをプレゼント♪」

 ユウキが手を離し彼の分身を胸で挟み込むと腰砕けになるほどの快楽が彼を襲ってくる。
ユウキは敢えて優しくゆっくりと何度も彼の分身を胸の中で泳がせて精液を溜めさせると一気に射精させ、それが済むと。彼女は言った。

「それじゃあ次は激しくいくよ♪」

「ちょ、ちょっと、ま」

 言い終わるより先にやさしい快楽に慣らされた後に、不意にきた激しいパイズリで彼はそのまま果ててしまい一気に倒れた。
意識を失いかけながら彼は思う。ユウキの胸怖い、でもほしい。そんな感情に支配され終えると同時に彼の意識は完全に堕ちた。





 意識を取り戻した彼は、豪奢な寝室にいることに気づく。ファンタジーの小説などで森の妖精などが住まいそうな美しい夜の森が見える屋敷にいるようだ。
目の前には嬉しそうな笑みを浮かべているユウキがいる。彼女は笑顔を浮かべながら横島に話しかけてきた。

「忠夫、僕の体を見て今どう思う?」

 明らかに本気の害意ではないのに威嚇的な笑みが恐ろしく感じる。そしてユウキの威圧的な言葉で分身が屹立してきていることに気づき、
自分が完全に彼女に屈服していることに気づく。さらには今まで発情を感じたことがなかったユウキの体に自分がトラウマの様な快感を刻まれて、完全に性の対象内にユウキが入ってきている。 満足そうにユウキは笑いながら言う。

「精神も子供に戻した状態で逆レイプしたのが良かったみたいだね。それじゃあ続きをしようか」

 そういった彼女が服を脱いで行きあらわになった裸体を見て自分の中の恐れと期待が絶頂に達するとユウキは彼を容赦なく押し倒した。
上になった彼女の中に何度も精を放ちながら、揺れる乳房から目が離せなくなると彼女は敢えて彼の分身を寸止めの状態に持ち込んで、
少し焦らしたのちに激しい射精をさせる。それと同時に彼の腕をとり自分の乳房を鷲掴みにさせて彼の射精の量を一気に増やす。
脱力の極みにより倒れる彼を見下ろしながら彼女は自分の内部で彼の分身を嫐りそれでもだえる彼を嬉しそうに見下ろしながら言う。

「ほら、見たかい僕の前世、同じ初体験なら僕の方がうまく刻み付けられるんだよ。生まれた時からの付き合いだからね」

 ユウキの様子を疑問気に見る彼にユウキはいま思い出したという感じで、横島から護身用に渡されていた文殊に『戻』の文字を込めて彼に投げつけた。
それを受けると同時に彼の記憶が『戻』り始めた。それを見越した様にユウキが不意に彼の後ろに言葉をかける。

「さとりお願い」

「任せなさい。『想起・ドッペルゲンガーの皮をかぶって現れたユウキの前世に敗れた時の思い出』」

 さとりの宣誓と共に彼の意識が一気に過去のトラウマの世界へと引き戻される。それと同時に過去の記憶が蘇ってくる。






 今から二か月以上前に彼はドッペルゲンガーのうわさが広まりだすと同時に、異世界の神話がこの女権国家で広まりだすと同時に鍛錬に賭ける熱の用が倍以上になっていた。
動機は記憶を失う前と同じ、ユウキの所にドッペルゲンガーが来るかもしれないという危惧からだ。そしてその危惧は的中し、彼はユウキのドッペルゲンガーが来たと確信したが大きな違和感も覚えた。

 目の前に現れた少女は見かけもユウキに似ているがとても似ている従妹や姉妹と言ったくらいだ。ユウキの髪は黒が強い紫色の髪だが、目の前の少女は青に近い紫の髪をしている。
ユウキの様に魔法剣士の様な風貌ではなく、オレンジ色で統一された傭兵らしい服装だ。しかし、その魂は間違いなくユウキに近い。横島は覚悟を決めると霊波刀を抜き放った。

「君がユウキのドッペルゲンガーか」

「うん。正確には彼女の理想の姿に近い前世かな。あたしはワユ、クレイル傭兵団に所属し、聖王陛下を貴方の前世高島と共に支えた剣士だよ」

 それを聞き、横島の顔色が変わった。聖王の伝承は神職しか知らないものも多い。彼女はちゃんとメジャーな方に分類される英雄ではあるが、神職しか知らない活躍も多い。
ユウキのドッペルゲンガーが相手ならば、知り尽くしているという意味ではこちらも一緒だ。だが、前世の姿が現れたとなれば、わからないことも多い。困惑する彼を他所に彼女は、はつらつとした明るい声で彼に向って告げた。

「忠夫、それじゃあさっそくだけどいっちょ私と勝負してくれない? 私の最終的な所属国はストレリチアだからこの意味は分かるよね」

 横島はそれを聞くと霊波刀を具現化させて構えた。

「俺が君に勝てばユウキはドッペルゲンガーに勝利した女性達の様な運気を得ることになるのか?」

「うん。ただし簡単にはいかないけどね」

 言い終わると同時にユウキと似たそれでいて確かに異なる連続の剣撃が彼に迫ってくるが、それに対して彼は数劇を受け止めると、即座に霊波刀の重い一撃を放った。
その一撃を近くした瞬間、彼女の顔色が変わりそして、それを受けた時刃同士の触れる大きな金属音が響き、戦場の空気が一気に変わる。 その一撃が放たれるまではワユが勝利する流れだったが、
今の一撃で流れが横島の方に傾いた。 横島はワユの地力の高さを見て賭けに出なければ勝てないと断じた。

 ユウキの剣技は速さによって増す重量が増した剣撃の連続で、勝機を作り出していく。そして3割くらいの力を込めて打つ予定だった一撃でさえ、
勝負所と見れば6割から7割くらいの力や全力に変えてしまう時もある。彼はワユが6割くらいの力ではなってきた一撃を見極めそこに切り込んだ。
ユウキの癖と似通ったところもあるからこそ、どの程度本気かもわかった。普段の横島ならもう少し見極めてから勝負に出るが、彼が彼女に対してある程度予想がつけられる以上その逆もあり得る。
だからこそ、絶対に勝負に出ないときに賭けに出たのだ。横島の予想は当たっており、そして予想外の一撃を受けた彼女は六割の力の所に全力の一撃をもらってバランスを崩した。
そこから一気に防戦気味に傾いたが、横島は攻めながら恐怖していた。ワユの失策というより、自分の策が上手く嵌ったにもかかわらず、彼女はその速度を活かして不利ながらも時々反撃を繰り出してきている。
その反撃を捌く度に、さらに連撃が飛んできて一気に巻き返されるのではないだろうか。ユウキと同じ様な戦い方だが、ストレリチア寄りの彼女の剣技を彼も知り尽くしているわけではない。



 横島が辛うじて優勢を保ったまま、5分近い時間が流れた時不意にワユの雰囲気が変わった。横島はそれに嫌な予感を覚え、攻めをより激しくしたが、
ワユは辛うじてそれをかわすと反撃の一撃を放てそうなときが訪れた。にもかかわらず彼女はそれを見送った。横島は生じた違和感をねじ伏せるとさらに攻撃を続ける。
彼女の神速の剣技は僅かでも油断ができない。長考すれば即座に流れを取り返される。一度大きな機会を逃した後に何度か打ち込んできた剣撃をかわし、霊波刀を手甲型に変えて距離を詰めかけた瞬間、
今までで一番早い一撃が飛んできた。 それを手甲とかした霊波刀で受けた瞬間彼の腕に凄まじい鈍痛が走る。

 それを受けて動きが鈍くなった瞬間、ワユが連続攻撃を仕掛けてきた。手甲型の霊波刀だけではなく、つけている防具の上からでも、
容赦なく彼の体に斬撃が響く。横島が距離を取ろうとした瞬間、彼女の鋭い一撃が決定的に彼の意識を刈り取った。

「相変わらず、騙しあいにかけては凄いね。でも今回はあたしの勝ち!」

「な、なぜあんなことができたんや」

「手品の種はこれだよ」

 そういうとワユが横島に一つの文珠を見せてきた。それには『隠』という字が刻まれている。

「ドッペルゲンガーは持ち物もコピーできるし、前世の貴方から護身用に文殊もらっていたから」

「技を隠せるほどだったんか?」

「それは違うよ。私が隠したのは文殊の所持。そして入れたのは『忘』の字。そして『戻』の文珠を使って、戦って5分後くらいにその効果が表れるように『決』めておいたの」

「自分で自分の技を忘れさせていたのか?」

「うん、防具の効果を激減させる月光。まだ未熟な貴方ならそれを使わなくても勝てたかもしれないし、それでだめなら思い出して不意に切り込めば行けると思って。敵を欺くには味方から。こうでもしないと騙しあいじゃ貴方には勝てないからね」

 これはワユの戦闘スタイルが、月光という技を忘れていても十分強くかつ、スタイルに変化が生じないからこそできた騙し技でもあっただろう。負けたと思って落ち込む彼に彼女は言う。


731 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:22:35 ID:AXpTmxZ/

「貴方、いつまでもこういうのは何だし、忠夫と呼ばせてもらうね。ストレリチアで貴方の前世の名は、禁忌って程じゃないけど、神職とか以外にはあまり聞かせない方がいい名前らしいから。
陛下も前世から独占欲強いね。私も人のことあまり言えないけど。 それから今日は別に貴方の命もユウキの命もとったりしないから安心して」

「それじゃあなんの用でここに」

「そりゃもちろん来世の自分や来世の自分の想い人と手合わせに決まっているでしょう。世界一の剣士を目指していたから未来の闘術にも興味あったし。それはそれとして、ストレリチアの法に習わせてもらうね」

 そういうと彼女は彼を気絶させるとそのまま、どこかに連れ去った。





次に目覚めたとき彼は顔が柔らかく暖かいものに包まれていることに気づいた直後に、分身がいきり立ち切った状態で果てしない快楽を与える蜜壺の中で捕食されていることに気づいた。
何が起きたか理解できない彼の頭上からワユの声が響く。

「目が覚めたみたいだねそれじゃあお目覚めの一発行こうか」

 その言葉で自分が胸に顔をうずめさせられながら、寸止めされていたらしいことに気づいた。その直後彼の分身を嫐るワユの蜜壺の拘束が解かれると同時に爆発した。
脳が破壊しつくされるような快楽と共に彼は震えながらすべての精液を一気にぶちまけた。
 ワユの手の拘束が解けると彼の顔を包んでいた乳房から離れ、そのまま彼は気をやったように倒れた。

「忠夫、どうだった。今生の私より気持ち良い」

 ワユの姿を見て自分の目線が低いことに気づき。これは何度かアリスに戯れでされた、子供時代に戻す術だと彼は理解する。 恐らくだがヴィヴィオか、もしくはヴィヴィオの前世である聖王からそういうアイテムをもらうか、
術を習ったのだろう。脳が子供に戻ったことで、快楽を処理しきれない彼にワユは笑いながら言う。

「ユウキともそれなりにしたみたいだけど、心身共に子供時代に戻されてやったのはこれが初めてでしょう? ドッペルゲンガーの本能か、本人がしてないプレイとかしたり上書きしたくなっちゃうんだ。それじゃあ続きやろう」

 その後彼は甘いお香の匂いのせいで脱力状態の彼を解きに授乳するように口に含ませ、手で抜き。ある時は胸の間に彼を分身を挟み何度も彼を達しさせた。
最後は最初と同じような体制になり、乳首を彼の唇に含ませたまま彼女は一気に彼から精を吸い尽くした。彼女の霊力が一気に上がり、
自分は指一本動かすことすらきつくなった直後に不意にドアがけ破られ、一気に気配が変わった。



 ドアがけ破られるとその向こうから全身から震えるほどの怒気と闘気を噴出させる彼の幼馴染ユウキの姿が見える。横島がワユ相手に抵抗できなかったのは、特殊な香のせいもあったが、
もう一つはワユもユウキの前世であるためか、ユウキと認識していたせいもある。しかし、今生のユウキを見たことでそれが大きく揺らいだ。 いつの間にか服を出現させたワユが一足飛びに切り込んできたユウキの剣を受けて笑う。

「はじめまして今生のあたし、いやあたしの来世っていうべきかな。旦那様の来世を閨で味わった後は、来世の自分と勝負なんて初体験とっても贅沢だね」


 ワユの向上を聞き終えると、ユウキは横島ですら見たことがない程の速さの剣撃を繰り返しながら恐ろしい笑みを浮かべた。

「君が噂のドッペルゲンガーだね。理想の自分で現れるパターンが拡大解釈されて、僕の前世が僕の理想に近かったから出てきた感じかな? それはともかく、ドッペルゲンガーを自分の手で倒せば完全にすべてを吸収できるらしいから、
今までやっていた忠夫との情事の記憶ももらうね。いくよ♪」

 楽しそうな声でありながら、今までで一番怖い幼馴染の声に脅えつつ、ワユに絞られ過ぎて動かない自分の体をどうにか動かそうとすると、いつの間にか来ていた。愛歌に止められた。

「大丈夫よ。今回はそんなひどい結果にはならないから」

 ユウキとワユの戦いは凄まじく、少しでも目を離したらその瞬間にどちらかが死んでいるのでは?と感じさせるような剣撃を双方が放っている。
ワユの放つ月光も防御力を半減させる斬撃なためか、同じ速度でかわすユウキにはそれを発動できない様だ。しかし僅かだが、ワユの方が優勢に見える。その理由はユウキはその圧倒的な速度故に、
自分より速いもしくは自分と同じ速さの相手と戦った経験が少ないからだ。 もちろんユウキに食らいつける強者や、ユウキより強い敵と戦った経験はそれなりにあるが、
そういう相手と戦った時ですら、ユウキの方が速度に関しては多少は上だったことがほとんどだった。

 だが今の闘っているユウキの前世の姿で現れたドッペルゲンガーはユウキよりも速度が上だ。本当に少しの差でしかないがその差は大きい。
しかし、彼女も自分と同じくらいの速さの相手との戦いには慣れていないらしく、僅かに手間取っている。そこに付け込むかの様にユウキの怒りの籠った剣の連続の攻撃が距離を一気に詰めている。
ユウキの剣撃は好感度ドーピングと怒りで天井知らずと化している。 横島は子供の体でできることは少ないができることはないか懸命に考え始めた。
文珠が一つでもあれば『戻』の文珠で元の姿に戻ればできることがあるかもしれないが、多分奪われているだろう。
では子供の姿でできることはないか。 思いついたのは二人の間に割って入ることだ。ドッペルゲンガーは意中の相手に対する、感情もコピーする。
それなら自分を傷つけることもできないはずだ。 そう考え指一本動かすことすらきつい体に無理やり鞭を入れて立とうとするが、なかなかにできない。
寝ているうちに媚薬と精力剤と脱力させる薬と同時に使われていたようだ。分身以外には入らない力を無理やり奮い立たせるためにベッドの角ある場所に頭を叩きつけようとすると、
不意に聞きなれた愉悦を楽しんでいる美しいにも関わらず性根の腐った感じがする、女子の声が響いた。

「約束通り、今回はあなたと彼女で遊ばせてもらうわ」

 目の前に不意に現れたさとりが、こいしと二人で笑みを浮かべ彼を捕らえると、ワユからもらったらしい文珠に『伝』の文字を込めた。
それと同時に少しだけユウキが押され気味な打ち合いのさなかの向こうは鍔迫り合いに持ち込まれる。ワユは笑いながら言った。

「今生の忠夫もとっても閨では可愛かったよ。さとり、教えてあげて」

「ええ、楽しい修羅場の時間だわ。『想起・ワユにやられた王国男子としてはあり得ない、閨での女性優位性交』」

 さとりの言葉と共に横島の意識に『忘』の文珠で消されたらしいワユにされたベッドの中での快楽による精神的殺害の数々が浮かび上がる。時には大人の姿で惨敗させられ。あり得ない懇願の言葉を寸止めされて言わされ、
精神まで子供に戻されて恥ずかしすぎる女性優位の逆レイプを受けた後、大人に戻され恥辱心を煽られさらにそのまま嘲る言葉で、余計に興奮されたことを性交しながら指摘される。

 さとりがこいしに目配せすると、王国男子として女性をベッドの中で圧倒するのが当たり前という意識が強まりそれを見越した様に、余計に分身が固くなるとさとりが言う。

「王国女子で内心では貴方をヒーローだと思っていた、ユウキちゃんにもこれ見えてますよ」

 そういってさとりは彼の分身を踏みつけつつ、いつの間にか服を脱ぎ同じく全裸になっていたこいしと二人で彼を押し倒し始める。

「『最悪の悪意を持ってユウキちゃんに一番見られたくない姿を見せた相手に犯される背徳感が溜まらない?』本当にひどい変態ですね。こいし変態な彼をもっともっと、喜ばせてあげるために、王国男子としての意識を強くしてあげなさい」

「はーい。恥辱と快楽で泣いている忠夫の顔可愛い!」

 さとりが彼の心を読みながらされると心が崩れる快楽を一番効率良く与えながら言う。

「王国男子としてのプライドを破壊してくるのが幼女にも見える少女というのが余計に燃え盛っているでしょう。元旦に馬鹿にした体でギンギンに勃起する変態に堕ちなさ……、もう堕ちているわね。射精も、堕ちる速度も早すぎるわ」


 最後の罵る言葉で、余計に激しい射精をした彼を嘲笑するさとりはこいしと代わり彼の耳元で彼に対する言葉攻めをしながら、ワユにやられたことも思い出させてくる。
さとりの膣が毒々しい蜘蛛の様にからめとる快楽なら、こいしのは一気に堕としてくる鋭い刃物の様な快楽だ。

「幼馴染が危ないかもしれない状態で逆レイプされて余計に興奮してるんですか。このクズが!(最もそうなるようにこいしに無意識を操作させているのは私だけど)」

 激しい快楽に脳を壊されながらもどうにか二人の方向に視線を送るとユウキとワユの戦いはよりすさまじいものになっている。

 ワユが心底楽しそうな笑みを浮かべて速度と重さをよりましたユウキの剣を受けながら言う。

「すごい。すごい。 あたしの来世は本当に悋気が強いんだ。ドッペルゲンガーの心を読んで具現化という、部分に親近感を持って色々教えてくれたさとりの言う通り、本当に楽しい勝負になってきたね」

「さとりとはもともとそういう契約だからしょうがないけど、自分の前世なら遠慮はいらないね。早く死んで僕に吸収されて、僕と忠夫の未来の糧になってね♪」

 ユウキのこれ見よがしに激怒しているよりもはるかに恐ろしい笑顔に横島は脅えつつ、僅かにユウキが冷静さを取り戻していることにも気づいた。
さとりとの約束だと横島を嫐り遊ぶが一応王国寄りで行動するという約束をかわしている。だからこそ、ユウキも今回は横島に対しては被害があまり行かないという、確信を得て冷静に目の前の存在をどうするか考えている様だ。

 ユウキがワユに迫り剣を振るいさっきよりも互角に近い形で鍔迫り合いになるとワユは笑いながらユウキにだけ聞こえる声で言った。


732 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:24:02 ID:AXpTmxZ/

「ユウキちゃん。本当に楽しい敵と闘えて面白いけど、貴女ももっと本気というか、さらに高いモチベーションで挑んできたら?」

「忠夫を怪異から救出する。それ以外に何かあるとでも」

 ユウキの剣をワユはいなしながら言う。

「文珠は貴重品でしょう。あたしに勝ったら、あたしが彼の前世からもらった文珠あげるよ。それで最後に『忘』の文字入れて彼の記憶を消すことにして、
王国女子として悪いことしてない彼氏にすると気が咎めると思うプレイ全部しちゃったら? 具体的には今さとりが『伝』の文珠で伝えてきたあたしが忠夫にしたプレイとか」

 それを聞いた瞬間、ユウキの体から嫉妬と怒り以外にも欲望めいた感情が剣にこもり始めた。ユウキは剣の速度と力が余計に上がり僅かだが技も洗練され始めた。ユウキは激しく打ち込みながらも僅かに同様の籠った声で叫ぶ。

「そ、そんなことするわけないでしょう。忠夫は今回何も悪くないから、助けて見せるよ!」

 言いながら彼女を倒せばそれができると思うとどんどんと剣の速度と力上がる自分を諫めながらユウキは必死にワユに切り込み続ける。ワユはそれを受け止めると、拳をユウキ叩き込んだ。
深手と言える、一撃を受けてもまだ勝負は決していない。しかし、少しだけ残念そうな眼をするとワユは距離をとった。

「もっと素直になって欲望すらも力に変えてからきなよ。今だって、『そういうプレイ忠夫としたいから、文殊もらうよ!』くらい言えれば勝てたかもよ。
来世の自分が宿敵になるなんてめったにない体験ができているんだから、つまらない結末にはしないで。こんどは全力でやろう。それとこの文殊もプレゼント今言ったことをやってみるといいよ」

 ワユはそういうとさとりの方を見た。

「さとり、次回までにユウキを私の宿敵に仕立ててくれるんでしょう。楽しみ、この時点でも苦戦するのに勝てるかどうかわからなくなっている自分の来世とか腕が鳴るねぇ」

 ワユにとっては人生を終えた後の泡沫の夢に過ぎない為か剣士として強者と技比べをすることや楽しむことに重点を置いている様だ。

 ワユが去ったあと、横島はユウキに近づいていき、さとりがワユからもらったらしい『癒』文殊を使ってユウキを治すと彼は少し不安そうに言った。

「ユ、ユウキ、ワイはワユ相手に王国男子としてあまりにも情けなさすぎる懇願とかワイはしていたけどワイのこと嫌いになったか」

 不安そうな彼の表情を見た瞬間、ユウキの背筋にゾクゾクとしたものが走る。そして彼女は信じられない程上手な演技で言った。

「忠夫を嫌いになるとかありえないけど、さすがにあそこまで無様だと幻滅したよ。あんなに意思が弱いなら少し王国寄りの女性達に調教された方がいいんじゃない。 拒否権はないから」

 そういった後にユウキが彼を押し倒してきた。





 さとりから受けた想起でワユにされたことと同じプレイをされたことまで思い出した彼は、丁度ユウキにされたプレイと同じ状態になっているところで正気に戻された。それと同時に彼はなぜ自分が記憶を失っていたのかも思い出す。
ユウキが横島に初めての体験をさせるためにワユにされたことをワユからもらった『忘』の文珠で消していた為だ。

 ユウキは記憶を取り戻しつつ虚脱状態の中で崩れ落ちる彼を楽しそうに見下ろしながら彼を抱える腕から解放すると。こぼれ落ちそうになる精液を自分の内部に戻し霊力ごと吸収し言った。

「これから、あのストレリチアの前世と決着をつけてくるね」

「あ、ああ。俺も行こうか」

「無理だって。あの女にしたい放題されて快楽付けになった忠夫じゃ、足手まといにしかならないよ。僕と僕以外の君に寄ってきている娘たちと一緒の方がまだ勝率は高いと思うよ。これから僕があの女と決着をつけてくるから」


 そういうとユウキはいつの間にか出現していた転移させるための魔法陣に彼が止める間もなく飛び込むと、姿を消した。横島は考える間もなく。彼女を追い魔法陣に飛び込んだ。


 魔法陣を潜り抜けた彼が目にしたのはストレリチアの宮殿を思わせる豪奢な部屋だ。確か青木が話してくれたヴァルハラとも少し似ているかもと彼は思う。
恐らくはユウキと別の場所に転送されたのだろう。そしてそこには愛歌とリグルの姿がある。リグルが第一声で横島に声をかけた。


「これが青木さんが作ってくれた忠夫用の刀だよ。蛍丸という刀を打った一門の刀なんだって。
僕の加護が宿るならこれが一番だそうだよ。蛍の輝きは雌を惹きつける為のものだから、いろんな意味で忠夫にとって最適だろうって。今回の戦いは厳しいからこれくらい持っておけ、って卒業祝いでもあるって言ってたよ」

「忠夫、旧王家の男性を盛り立てるための加護を与える儀式もしておいたから」

 そういうと愛歌は彼に近づいてきて、少女めいた容姿をそれすら感じさせず男を欲情に駆り立てる、妖艶な色香を纏いながら言葉を続ける。

「ここ数日の閨で私たち実は新手の祝福を貴方に授けていたから」


 愛歌の言葉と共にここ数日間リグルと愛歌が彼を嫐ってきた記憶が蘇ってくる。分身が反応し始めたのを見て愛歌が言う。

「あれ以上の快楽を約束するから、ユウキも混ざって貴方を可愛がれる状態を早く作ってね。この蛍守(ほたるもり)で勝利をつかみ取ってきて」

 その言葉を聞きながら刀を受け取ると、信じられないくらい手になじむ感覚がしてきて、師匠の粋な計らいが感じられた。

「わかった。この刀でワイは必ず勝利して二人とも助けてくるわ」


横島が駆け去ったあと、不意に二人の前に青木が現れた。彼は二人に挨拶をすると、唐突に召喚の魔法陣を出現させる。彼の生み出した魔法円から現れた人物を見たら、
大鳳は驚愕するだろう。そこには闘技場の選手である遠坂凛が神々しい気に身を包みながら現れたのだから。女権国家では珍しくない露出の激しい水着みたいな服装に、
弓を思わせる大きな浮遊物に乗りこなす彼女は、気さくな様子で青木に声をかけた。

「やっと呼んでくれたわね。ジン、私の自己満足に付き合ってくれてありがとね」

 その言葉に青木は完璧な礼節を持って応じた。

「かつて愛する人の悲願を成就するためにあれほど力を貸してくれた貴女様の頼みを断る言葉を私は持ち合わせておりません。
貴女の同一存在が自由恋愛の守護者という役割に反する行為で彼に不幸をもたらしたのだとか」

「ええ。厳密にはあれは私じゃないけど、同一存在がやったことを見ると罪悪感がね」

「わかっております。私も貴方の堕ちた姿アスタロトをガーディアンとしたことがある身です。その罪悪感理解できております。
それゆえに貴女が望む結末の為に微力を尽くします。最もそれほど出番はないかもしれませんが。私の弟子ならことをうまく終えるでしょう」

「そう、あいつが上手くやっても必ずしも良い結果になるとは限らないのがこの国の怖いところよ。まあこれが終わったら愛歌をはじめとした私の権能と相性の良さそうな娘たちに加護を与えておいたしどうにかなるでしょう」

イシュタル姿を認めると愛歌は前王族らしく恭しく礼をとり、リグルもやや拙いなりに敬う心が伝わるように頭を下げる。それを見てイシュタルは愛歌とリグルを可愛い子供を見るような目で見て言葉を告げた。

「二人とも私が悲恋に終わらせてしまった娘の想い人の同一存在、あるいは転生体に良くしてくれてありがとね。特にリグルちゃん、貴方は私の同一存在が最も報いるべきだったのに最低の対応をした娘に似ているから幸せになってほしいわ」

 イシュタルは自由恋愛の守護者としてどこか思うところがあると青木が言っていたが、同一存在ではあっても別人のやらかしたことに罪悪感を感じるあたり、
彼女は凛という善性の娘を依り代にした影響が相当大きいのだろう。彼女が気に病んでいる理由は、イシュタル神は性交を通じて男性に祝福と力を与える神殿娼婦の守護者でもある。
そして横島の同一存在でもある相手と恋に落ちた娘がとった行動は賞すべきことだった。それに真逆の結末を与えたことが彼女の心に負い目を与えている。なんとなく青木がリグルには他の女性以上に優しかった理由も少しわかった気がする。

 様々な想いを胸にイシュタルの言葉にリグルは笑って答える。

「大丈夫ですよ。忠夫は絶対にユウキを取りこぼしたりしませんから」

 その言葉にイシュタルが強くうなずくと。光の柱が立ち上りもう一柱の女神が現れる。
桜色めいたピンク色の髪をした温和そうな美を纏った姿をした彼女は自分の髪と同じ色をしたアクセントを加えたインドの民族衣装に身を包んでいる。彼女は慈愛に満ちた目で横島が進んでいった方を見ると言った。

「あの子なら無事に事をこなしてくれるでしょう。青木様、それでだめならよろしくお願いしますね」

 彼女を見ている時の青木は明らかに気を遣っている様子で下がりながら頷いた。

「あ、ああわかっている。パールヴァティ」

 リグルはその様子を見て少し驚いた。青木という存在はある意味技を極めた結果人外になったものに近い気質をしている。
そして唯一拘っていたものからも切り離された人物であり、技を極めぬいた結果何事にも縛られなくなった仙人などの類に近い思考をしている。
だが彼は明らかに目の前の存在に縛られているのがわかる。むろんイシュタルと呼ばれた存在に対してもかなり気を遣っていたが、目の前のパールヴァティに対してはその度合いが段違いだ。

 疑問がるリグルに青木は特に隠す気もない様子でさらっと答えた。


733 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:26:11 ID:AXpTmxZ/

「実を言うと、イシュタル神とパールヴァティ神は、愛する女性の望みをかなえる戦いを最初に戦い抜いた仲魔であるだけじゃなくて、愛する女性に多大な影響を与える守護霊、
ガーディアンだった時期もあったんだ。そして私のガーディアンを勤めた存在シヴァの妻でもある」

「へー」

「ああ、ガーディアンは通常実体化できないが強者に宿ることでより強くしてくれたりする霊だ。対して仲魔は実体化して共に戦ってくれている別の分霊だったが、
私が元の世界に戻る際に解き放った後、玲子さんについていたガーディアンと合体してな。そのためか、玲子さんの影響が強く残った彼女に対しては逆らい難いところもある。
それに俺自身もパールヴァティ神の夫であり愛妻家極まるシヴァ神がガーディアンをしていた時期もあったからな」

 最後に“私”が“俺”に変わっていたのは、過去の話をして少しだけ昔のテンションが戻って葛葉伯爵の仮面がはがれたためだろう。

「そうなんですか」

 そう答えるリグルに彼は言う。

「ああ、あいつには少し荷が重いかもしれんが、肩代わりをするかそれとも最後の仕上げをするかその差が出てくるだけだ。ユウキが救われることは俺が約束しよう」





 リグルから受け取った、蛍守を構えながら彼が部屋に飛び込むと、ユウキとワユの姿はなく、そこにはユウキだけの姿があった。だが彼にはすぐにそれが異質なものだと理解する。

「ワユでもユウキでもない。君は二人が融合した場合のイフの姿なドッペルゲンガーか」

 その言葉に目の前のユウキが笑って答えた。

「あたり、女権国家の空気から生まれた僕に勝てるかな♪ 僕に勝てば二人とも救えるよ。その代わり難易度はユウキだけを助けるよりずっと高いけど」

 ワユとユウキを合わせたような速く鋭い攻撃に対して彼は全力の打ち込みで応じ連続攻撃を繰り出した。 ユウキは僅かに驚いた表情を見せたがその横島以外には気づくものがいないその表情の変化がこの戦いの結果を決定づけた。

 ドッペルゲンガーに切り込んだ直後に彼はそのまま手を休めないどころか、火事場の馬鹿力めいた力を引き起こし連続攻撃を繰り返していく。
リグルと愛歌が祝福を施したこの剣は彼の意図をどこまでも組んでくれると本能が告げている。そして目の前の存在を殺さずに制する方法が彼の頭の中で出来上がっていた。
彼はそれを異常に感じたがそれでも迷わない。ユウキとワユの融合体の第三のドッペルゲンガー相手なのにまるで預言者の様に対処法が次々と浮かんでくる。
これはさっきのユウキとの戦いでもそうだったが今では受け取った刀の効果なのかさっきとは段違いだ。異常なまでの既視感を不信がるよりも頼もしく思いながら彼は駆けた。


横島はドッペルゲンガーに生まれた僅かな隙が生んだ有利な状況を徹底的に生かして切り込みぬく。
ユウキが彼以外には見抜けないであろう、完璧すぎる演技で作り上げたもうすぐ逆転できるという余裕の表情に僅かに不安を掻き立てられながらもそれを追い払い、
彼女の一見すると余裕をもって捌いているように見える動きにも惑わされず連続で切り込み続ける。

 ユウキ相手に横島が優位に立てている理由は、一番は異常なる既視感だが、最初の一合目で横島がいきなり勝負に出て意表を突けたのもある。
それ以上に今手にした青木の指導と蛍守の効果も大きい。横島は基本的に霊波刀もそうだが、西洋剣でしか行ったことがなかった。
今この時初めて日本刀で切り込まれたことが彼女の計算を大いに狂わせている。 死に物狂いの攻めが生み出した僅かな余裕を見出した彼は、
剣がぶつかりあう直前に自らの力を文殊で『強』めた。そして鍔迫り合いに持ち込んだ瞬間、勝てると確信し一気になだれ込んだ。
ドッペルゲンガーがそれを受け止めた直後に有利な形で鍔迫り合いに持ち込んだ。 もととなったユウキもドッペルゲンガーも貧弱というわけではない。
ただ敵に捕まえられる形での鍔迫り合いには慣れていないのだ。だからこそこの体制なら文珠を発動できる。彼の手の中にある文殊が発動する。
その文字は『略』青木に叩き込まれた、陰陽道などの術を呪文などと略して発動させた。金縛りの術で動けなくなったドッペルゲンガーを彼が倒しかけると、ここ数週間で聞きなれた足音が響いてきた。


振り向いた先には、師匠となった青木の姿がある。彼は教え子の成長を喜ぶ教師の様な目で横島を見ると言った。

「見事だった。だがお前には彼女を殺せないんだろう」

「はい。痛みを感じない、調伏させる術で浄化して、ユウキにドッペルゲンガーを討ち果たした際の幸運をもたらそうかと。できればワユも同様の処置をとりたいです」

 青木はそれを聞いた後、言った。

「だそうだぞ、ユウキ、ワユ、男を見る目は確かだったな」

 そういって背後を見るといつの間にか来ていたらしい、ユウキとワユの姿があった。横島が二人の姿を認めると、青木は笑みを浮かべて言葉を続ける。

「それじゃあ、弟子が見事なことを成し遂げたんだ。師匠であるが俺が仕上げと行こうか」

 そこまで言った後青木は不意に虚空に向けて言葉を放った。恐らくは相手がみているか、聞いていると確信しているか、もしくは敢えて聞かせる類の術か霊具を使ったのだろう。

「狂三殿、貴女との約束を果たさせてもらう。見届けたければこちらに来てくれて構わない」

 その言葉と共に辺りの空気が変わり、その姿だけで男を惑わす紅の服に身を包んだ淫魔が姿を現した。その姿を見ただけで、全ての男は多少は欲情を引き立てられる。横島も例外ではない。
だが今回はそれほどではなかった。恐らくは今回は約束を守る青木のもとに見届けに来ただけだから、邪魔しない様に淫魔としての力を抑えているのだろう。それでも、
多少は欲情させられ集中力を落とされるのに、青木だけは一切彼女に対して反応していない。それほど赤根沢玲子への愛が強いのだろうかと、横島が思うと、それを青木は打ち消した。

「違うぞ。俺の特性によるものだ。鬼でも竜でも殺せる名刀があった場合、最初に鬼を殺したか、竜を殺したかで存在が定義されるんだ。もともとどちらも殺せるほどの名刀なら鬼を殺したからと言って、
竜が殺せなくなるなんてことはない。 だが鬼殺しという概念がその剣には焼き付く。鬼を倒す上で有利な力が宿るようになる」

「はい」

 青木の教えを聞きながら頭の中を整理する横島に青木は説明を続ける。

「それは人にも起こるんだ。俺は異世界の原初の淫魔ともいえる存在を倒したことがある。劣化分霊と言ってもそこら辺の上級悪魔よりずっと強かったがな」

 そこまで話を聞くと狂三が納得いったという表情になった。

「どおりで初めて会った時から自分の危機感の様なものが働くと思いましたわぁ。まさか異世界の原初の淫魔殺しをなしていたなんて」

 青木は狂三の方に向き直ると敬意の念が感じられる礼を取りながら言った。

「狂三殿、まだ私は切り札を隠し持っております。そしてそれをこの世界から無くすことが貴女方との契約の完遂の証です。全ての女性特に貴女にとっては最悪の武器をこの世から消し去りましょう」

「ええ。貴方が約束を違えるような殿方でないことはよくわかっていますわぁ。でも見届けさせていただきますわぁ」

「ああ、構わないが。何か気になることでも?」

「ええ、私の天敵と言える切り札とは何なのか、なくなってしまうのだから知らなくても問題はないのでしょうが、それでもどんなものだったのか、多少は気になってしまいますわぁ」

「それも道理ですか。横島、彼女が立ち会いというか見学することを許してくれるか。その代わりもしも俺がしくじったら多少補助していただけますか」

「しくじる? 貴方が? ありえないとは思いますけど万が一そんな事態になるようならわたくしも骨を折ることになりそうですわね」

「ありがとうございます。しかし、私も昔はしょっちゅう失敗しましたよ。出会って少ししか経ってない頃に玲子さんがやきもち焼くぐらいには自分を好いていると気づきもせず、
交渉中の女悪魔に冗談で『気持ち良いことしよう』って言って殴られたり、女悪魔の『良いことしましょう』って言葉に頷いて服を脱ぎだしたので見とれていたら、
鼻の下を伸ばしていると言ってゴミクズの様に蹴散らされたり」

 ユウキが横島をやきもちからシバくのを見るたびに彼はほほえましいものを見る目で見ていたが、これが原因だったのだろう。
その度に笑いながら『こういうやり取りができるのは恵まれているぞ。私はそれがどれだけ得難いものか失うまでわからなかったがな』と言っていた。
両片想いでも二人は本当に愛し合っていたのだろう。だからこそ、自分以外の男、兄の為に全てを捨てて去った玲子の遺命や名誉を守ることが彼の全てとなったのだなと、横島は思った。

 狂三とどこか友人めいたやり取りをしていたが、不意に彼の雰囲気が変わる。横島に見せていた、地獄を見せつつもどこか親しみを感じさせていた師父の顔とも違う、
神官と執事を合わせた様な様子へと変わった。厳粛だが人を安心させる温かみもある声で言う。

「それでは俺の最後の舞台へと移動させてもらおう」

 青木が言葉と共に仲魔を召喚しトラポートを唱えると、目の前のヴァルハラの様な景色ら一転して、厳粛な裁判所を思わせる大きな部屋に彼らは移動していた。

 そして青木は横島が動きを封じたドッペルゲンガーを見下ろすと言った。

「お前もまた、ユウキとワユが融合したイフの形のドッペルゲンガーだ。だからこそ、これからやることに異論はないな」

「うん。僕もまた貴方の世界の悪魔でもある。だからこそ悪魔合体めいたこの処置に異論はないよ。むしろより強い存在に生まれ変われることは喜びでもある」


734 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:27:59 ID:AXpTmxZ/

 この発言は狂三に聞かせるために言っている様だ。彼女にとっては養子の様な存在でも子供だから殺されるのは看過できないのだろう。嘘を言っていないことを確信すると狂三は同意するようにうなずいた。

 青木は覚悟を決めると、虚空に向かって何かを手に取ろうとするように手を伸ばす。そして何らかの呪文を唱えた。
そしてそれと共に圧倒的な神聖で荘厳な気配に身を包み大量の火炎が現れ、その中に刀身が赤い炎でできている剣が現れる。
それを見て、狂三の表情が変わる。彼女は納得がいったように言葉を紡いだ。

「それが貴方の体の一部ともいえる剣なのですわね。理屈はわかりませんがそれこそが私の天敵ともいえる剣であり、
貴方が女権国家の女性達からどれほどの尊崇や親愛を得ても恋されることはなかった理由」

「その通りだ。ヒノカグツチ。天津神の化身の一つでもある剣です。日本という俺の故郷。この世界でいうところのジパングにあたる国の神様で。
日本神話の『あらゆる全の火の概念を司っている』 そしてこれこそが異世界の原初の淫魔を斃した剣でもあります。だからこそこれから儀式ができる。頼むぞパールヴァティ」

 青木の言葉にパールヴァティが現れるとヒノカグツチに向かって祝福の言葉をかけた。それと共に青木は高らかに宣言する。

「大自在天姫でもあるパールヴァティ神は、サティであった頃に、父がシヴァを愚弄するが故に、この様な人物の娘の体ではシヴァ神に妻としてふさわしからず。
故に自分はよりふさわしき体に生まれ変わると。 サティ神は韋駄天と神と縁が結ばれた彼の伴侶たりえるユウキに夫に相応しき体になる機会を与えんとしている。ヒノカグツチよ我が祝福の炎となれ」

 青木の厳かなる宣言と共に、彼の剣がユウキとワユが融合したイフの姿と言えるドッペルゲンガーを炎で包むとドッペルゲンガーの体を薪としてすさまじい火柱がたった。

 その炎がユウキとワユを包んだとき横島の心臓が跳ねたが、青木への信頼と、そして火の中にいる二人が全く苦しんでいない様子を見て、安心した。青木は横島に軽く説明をする。

「ここは女権国家のファンタジーな世界に力を与える多くの信仰などの人々の普遍無意識の集まる魔界だ。ここでユウキは、
もう何物にも縛られないという状態を示すことで彼女を縛る幻想を、彼女を祝福する幻想に打ち負かさせて、彼女を救う」

 あたりから凄まじいまがまがしい気配を身に纏った魔獣や鎖などがユウキに迫り中にはタコを思わせる禍々しい触手もあった。どれも上級霊に匹敵する邪気を纏っていたが、それを見て青木は笑う。

「俺が千以上も切ったニャルラトホテプ、劣化分霊に似ているが、それ以下だな」

 そして青木は詩人を葬送を勤める洗練された司祭の様な声で言う。

「幻想にすがり恩恵を得たものは、幻想に縛られる。されど幻想で縛る者もまた幻想の法則から逃れられない」

 そういうと青木の手で振るわれるヒノカグツチの刀身から出た炎が鎖を溶かし切り魔獣たちを一瞬で絶命させていく。
魔獣と鎖の群れは引き絞れ抜かれた矢を思わせていたが、青木の動きはそれすら上回る銃弾の様だ。彼の姿一瞬だけ目にも映らぬ速さになるたびに、火炎が巻き上がり、不浄な気を持つユウキをからめとろうとするものは消えていく。
そしてユウキ達を包む祝福めいた炎がますます大きくなっていく。 その様子を見ながら、狂三が疑問めいた表情を浮かべていたが、青木がすぐに説明をした。

「貴女のお友達は約束を破っていませんよ。ここは普遍無意識ファンタジーの法則を生み出している場所。ああいうものと契約し者にはハッピーエンドは訪れないという概念や、あるいは試練を越えねばだめだという概念が襲ってきたのです。
彼女だって何もかもを制御できているわけではなありません」

 得心が言った顔になった狂三を見ると青木は言葉をつづけた。

「狂三殿、おさらばです。契約通り女権国家の女性とあなたにとって天敵である、ヒノカグツチはこの世から消え去ります。  そしてもう一人の俺の弟子、絶対にユウキを守り抜け。
これはお前の為に言っている。かつて玲子さんを護ろうとしていた時の俺はお前と同じ目をしていたと言われた。そのお前と同じ目をしていた男からの経験則だ。大事に思える女性を不幸にしてしまうととんでもなく堪えるぞ。
落ち度がなくても俺は立ち直るのに相当かかった。まして少しでも落ち度があればどうなるか」

「わかりました師匠」

 その答えを聞くと青木は笑って冗談を言う様な口調で言った。

「俺はシヴァを宿していたせいか、色んな世界で韋駄天と縁があるお前と付き合っているユウキを見ていると、義理の娘みたいに思えてたんだ。義理の娘の為に最後の役目と行くか」

 そして彼は生涯最後の宣言を口にした。

「幻想はより強気幻想に書き換えられる。パールヴァティの夫であるシヴァをその身に宿人々を不幸にする幻想を狩り尽くした我が肉体を薪とした炎は果たしてユウキの災いとなる幻想を焼き尽くすに足らざるや?」

 一応疑問詞で問うてはいるが、否とは言うまいという有無を言わさぬ圧がその言葉には込められていた。 その言葉を最後に彼は言う。

「破壊と再生を司るシヴァを宿したことのある我が一撃よ、ユウキ達の体をシヴァの伴侶たるパールヴァティが生みだした転生の炎で焼き払いユウキが望む肉体へと再創造せよ」

 ユウキを襲おうとする黒く力強い触手めがけて青木が炎を飛ばし、そしてそこから生じた炎に彼が飛び込むとそのまま火炎が大きくなりその触手が完全に消え去り、
ユウキとワユを包む炎が一気に燃え上がった。そして彼女たちの転生が果たされたと横島は確信した。

「お見事でしたわぁ。 自分が愛した女性と一時来ても意識を共有していた女神たちの願いすらかなえる見事な愛でした」

 狂三は心からの称賛を述べると一瞬で姿を消し去った。この場ではこれ以上青木が助けた者たちにとって不利な情報を僅かたりとも求めないことが、彼への礼儀だというかのように。


 青木は炎の中からもう一度横島に向けて念話で言葉を送ってきた。

『狂三殿がいなくなった所でもう一つの、プレゼントだ。お前の親友大鳳をこれに』

 横島はそれを聞くと文殊で『大』『鳳』の文字を出すと青木のハヌマーンが転移魔法トラポートを唱えた。そこに何が起きたのかわからない様子の大鳳の姿が現れる。それを見て、青木は念話で大鳳に言う。

『我が弟子の友よ、今から君にかけられた呪いを解く。フェニックス。イシュタル神』

 青木の仲魔の一柱であり、横島が気絶や瀕死になった時の治療係の一人だった霊鳥がイシュタルの祝福を受けるとそのまま青木を燃やす炎と合体し、
大鳳を飲み込んだ。大鳳は圧倒的な熱さを感じながらも一切の苦痛を感じない不思議な感覚を味わった。共に自分の体が焼け落ち再生され終わると、
疲労に効く温泉に入り思う存分寝て起きた後の様な、あるいは腕の立つ整体師に体をいじり尽くされた後の様な感じの爽快感が彼を包む。そしてそれを見て横島は確信した。

「大鳳お前」

「うん、忠夫、多分だけど、アンリエッタ皇女にかけられた呪いは解けたよ!」

「師匠、ありがとうございます。でもなぜここまで俺たちの為に」

 その答えに青木は魂だけとなった状態で念話を返してきた。

『お前たちの為というのもあるが、一番はイシュタル様の為だ。あの方は、お前にとある並行世界で引け目を感じることがあり、幸せを願っていた。
そして彼女は自由恋愛の守護者だ。だからからこそ、大鳳にかけられていた呪いが気にいらなかった。 彼女やパールヴァティ様は玲子さんのガーディアンを勤め彼女と意識を共有していたこともある。
だからこそ彼女たちが喜ぶなら何でもしてやりたかった』

「そうですか」

『それに、デビルサマナーをやってからは仲魔や友達はいても、『家族』は永らくいなかったからな。お前やユウキがそれだった』

 その言葉は嘘ではないようだがそれだけではない様に横島には思えた。そして更なる違和感を感じる。大鳳は横島の横でただ感謝を浮かべるだけの目をしている。
なぜ自分が大鳳でも気づけないことにづけたのだろうか? だがその疑問は声を潤ませた大鳳の感謝の言葉が消し飛ばした。

「青木さん助けてくれてありがとうございます。もう死後の世界に旅立つんでしょうけど僕たちから貴方に返せるものはありますか? 例えば遺言の執行や気になることとか?」

『大丈夫不要だ。それに報酬ならもう、もらった』

「それはいったい」

『イシュタル様とパールヴァティの喜ぶ姿。そしてあのいけ好かないアンリエッタの悔しがる姿を想像しながら旅立てるということだ』

 最後の弾むような声を聞き、ここ数週間の暮らしで、青木はアンリエッタを凄く嫌っていたことを思い出す。大鳳をひどい目にあわされて嫌いな自分と話が合ったことが、
青木と自分がすごい早さで仲良くなった理由の一因でもあった。最もそれがなくてもすごく気は合っていたが、余計に仲良くなるのが早まったと思う。 


735 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:29:50 ID:AXpTmxZ/

酒の席で青木から聞いた話だと、確か大鳳と出会う前のアンリエッタが、赤根沢玲子から彼を寝取る遊びをしようと計画を立てたことがあり、それをネロが止めて、近づかせない様に厳命したらしい。
自分にまだ迷惑をかけてないから報復まではしなかったが、遊びでそういうことをしようとしたことが余程不快だったようだ。

 最後の言葉で湿っぽさが消えたと思うと炎がより一層強くなり青木の仲魔たちが青木に来世でまたみたいな別れの言葉を言うと、彼らは横島達にも健闘を祈る旨を伝えてきた。最後に激しい炎が辺りを包んだ後、彼の意識は落ちた。




どれだけ寝ていたかはわからないが次に彼が目覚めた時、青木の家ではなく見たことがない城に転移していた。そして目を開けると満面の笑みを浮かべたユウキとワユの姿がある。

「忠夫、ありがとう。これで僕たちは二人とも転生完了だよ」

ユウキの言葉は喜びに満ちていたドッペルゲンガーに勝った場合は、より意中の相手に相応しい様に変われる上に様々な幸運が訪れハッピーエンドに行き着けるという物語の法則それが完遂されたのだ。
イフの姿のドッペルゲンガーを討ち果たして、ハッピーエンド供給機と化したドッペルゲンガーも薪にしてサティを生まれ変わらせた火炎にイシュタル神が祝福を施した炎で転生した以上もう自由恋愛を妨げることはないだろう。

 横島には難しいことはわからないがユウキの顔を見て確信した。これで彼女の憂いは完全になくなったのだろう。

 安心した彼の唇をユウキが奪い笑う。

 口づけを受けて完全に腰砕けになりながら横島は思った。ユウキは女権国家の影響を大いに受けていた。
さらに女権国家の普遍無意識を集めた異界で転生したことで前より強くなっている。横島が立つことすらできなくなったのを見て、ユウキは彼の服を脱がせながら言う。

「それじゃあ、忠夫の調整も兼ねて僕とワユ、どっちが上か決めようか」

 ユウキの言葉に前ほど険悪な気配はしないが、それでも対抗心の強そうなワユがいう。

「そうだね、それじゃあ青木さんからもらった新しい体で、一戦目行ってみようー!」

 ユウキとワユが服を脱ぎ笑う。そしてワユがユウキと同じように口づけしてくると、彼は射精直前になりそれをユウキの手が握りしめ、とめる。

「ほら、ワユ今生の忠夫の射精前の癖まだ覚えてないでしょう」

 乳房を背に押し付け余計に泣きそうになる彼を楽しそうに見ながら言うユウキをどうにかワユから解放された後に、必死に抗議めいた目で見ると、二人は一瞬だけ怪訝な顔をした後、すぐにした表情に変わる。

「「青木さんが死んだ直後に喪も明けてないのに不謹慎だって?」」

 横島が辛うじて頷くと、ユウキもワユもこの瞬間だけは真面目な顔になっていった。ワユが少しだけ悔しそうな様子でユウキに視線で促すと、幼馴染だからこそわかる、嘘を言ってない口調で言った。

「青木さんは消える前に、自分が消えたら一秒でも早く夫婦としての結びつきが強くなる儀式を終えてしまえって言ってたよ。僕たちが悲恋に終わると辛いからって。だから自分の死に限っては喪中とか考えなくていいって」

 そこまで言った後、ユウキは彼の分身を飲み込むながら続きを言う。

「忠夫に取った処置の副作用の悪影響を抑えるための処置の一部でもあるってこれは♪」

 副作用の悪い部分を抑えるための処置の一部でもある。そのくだりまでは本当に真面目な声の響きだった。
それを聞き怒りというより疑問が浮かび上がる副作用とは何なのだろうか? その考えもユウキに分身が飲み込まれた瞬間に果てて白濁を彼女の中に放った直後に頭が白く染まり切るまでだった。

「ああー!」

 悲鳴を上げる彼の上で射精直後の敏感になった分身に追い打ちをかけるように腰を振るユウキの動きに耐え切れずに叫ぶ彼の唇をワユが接吻でふさぎ、さらにユウキの動きに合わせるように舌で彼の口内を蹂躙する。
ユウキが彼に引っ付き胸を押し付けながら絞る方向に変えるとワユも優しめに口づけして彼の理性を溶かし始める。射精しない程度の快楽で抑えながら、
彼の意識が眠りに堕ちかけた直後にユウキが再び立ち上がり一気に強く締めた。そしてワユの舌がそのまま喉の奥の快楽のツボを押して二人の手が彼の腕を自分の乳房に導き揉みしだかせる。
完全に意識が飛んだ彼を見下ろしながらユウキがいう。

「ちょっと、忠夫―! 君が早漏で弱すぎるせいでまだ処置終わってないのに意識が飛んでるよー! もうちょっと頑張ってよー!」

 王国女子に言われると恥ずかしい言葉を知り尽くしたユウキの言葉に興奮しつつ、彼は違和感を覚えた。いつもベッドの中で惨敗させられると逆らい難くなるが、
今回はいつも以上にその感覚と与えてくる快楽が強い。 恐らくは青木の手引きで転生したせいで霊的にも強くなったせいだろう。 倒れかける彼に、ワユがソーマと呼ばれる完全回復させてくれる酒を差し出してくる。

「これも処置の為だから、早く回復して」

「あ、ああ」

 なんのためなのかわからないがこれも処置なのだろう。そうしてそれを飲んだ直後に、ユウキが彼から離れ、ワユと位置を交代する。
ユウキと似て非なる彼女の内部が彼の分身を包み込みその快楽に喘ぐ今度はユウキが口づけしてさっきのワユと同じ様な舌遣いでワユの中に注がれる射精量を増やしていく。
そしてワユの与えてくる快楽が射精に至らせない優しく緩いものに変わった直後に彼はまたユウキと同じことをしてくると思い構えようとし瞬間、ユウキ唇を離していった。

「忠夫、実を言うと副作用に関してなんだけどね」

 さっきとは違い真面目な真剣な口調ではないことが気になったが、それでも何なのだろうと、思った直後にワユがさっきのユウキよりはるかに早いタイミングで射精に至る鋭い快楽を送り込んできた。

「ぎゃあぁ!」

 彼の悲鳴はユウキの再びの口づけによって遮られた。ワユは横島の全てを理解しているという目で、見ながらこれ以上の快楽は限界を超えると理解したうえで、
心底愉しんでいる満面の笑みに切り替えると彼の片腕をさっきのユウキと同じように自分の乳房に導き揉みしだかせ始める。ユウキも口づけをつづけながら、先ほどのワユと同じように彼の手を自分の乳房に走らせる。

 二人に無理やり乳房を強く揉まされてその電撃が脳の中で完全に雷を落としその直後の射精で気をやってしまった彼を見下ろしながら二人は笑う。

「前世の僕。忠夫は僕たち二人を助けるためにあれだけ頑張ってくれたんだし、忠夫を大事にしようねー」

「もちろん。それはそれとしてどっちが上かはちゃんと決めようか。」

 そういうと二人は、左右から横島の分身を乳房で挟み込みその快楽で彼が気を戻すと舌をも這わせ始める。

「ユ、ユウキ、ワユちゃん、ちょっと待って」 射精した直後に霊力が大いに吸い取られ二人の霊力がその精液を窮して一気に大きくなったのを見て、脅える彼を二人は満足そうに見て言う。

「この調子なら処置はすぐ終わりそうだね」

「うん、うん、どんどんもらうよ」

 そういって激しく乳房を動かしながら舌でなめられ始めると彼の意識は何度も飛びぬいた。そこに愛歌、アリス、リグル、エヴァ、陸八魔アル、さとり、こいしが入ってくる。
最後にヴィーラと、オリヴィエと、シンセシスの姓を持つ騎士であるアリスとユグドラをひきつれたヴィヴィオがやってくる。

 彼女たちはあまりの快楽のせいで苦痛の極にある状態に近づけられた様な悲鳴を上げる横島を欲情と自分も嫐りたいという欲望の籠った目で見つめてきた。
そしてヴィヴィオが満面の笑みを浮かべ娯楽となる処刑を決定づける貴婦人の様な口調で言う。

「ワユ、ストレリチアの前世の私を支えてくれた騎士よ、自分とユウキがどちらが上かすべてを持って競うって言いましたよね。私はそれを全力で見届けるって」

「はい。ヴィヴィオ様」

 ヴィヴィオの言うことはわかりきっているのに敢えて白々しく疑問に思っている様な声でワユが答えた。

「それなら人脈も考慮に入れるべきですね。ワユはストレリチアの守護女神の一柱でもあるので、私とストレリチアの騎士はワユに味方します。他の皆様はユウキちゃんですね」

「それが妥当かと」

 そういってワユが魔術めいた呪文を唱えると、横島の体が変化し始める。自分の霊気が、ヴィヴィオたちの持つ気がもたらす快楽に染まりやすいものに変わり始めたと彼は確信した。
そういえばワユはストレリチアの守護女神であり、旦那が現世に現れると他の騎士たちと共に転生して嫐ったり、あるいは天国に来た時により夫を快楽に沈める為の手助けもすると書いてあった。 そこまで考えた直後にヴィヴィオが彼の唇を奪い、
その後にオリヴィエも続く。そしてヴィヴィオが笑いながら言う。

「オリヴィエ確か、ストレリチアのヴァルハラに来るという証二人で刻んでしまいます?」

「良いですね。壊れても青木様が残してくれたソーマで回復するだろうし、今回だけは一度壊した方が忠夫さんの為です」

 横島の恐怖心をあおる楽しそうな声だが、『今回だけは一度壊した方が忠夫さんの為です』のくだりだけは心底真面目な声音だ。 何かがある。
そう思った直後にヴィヴィオとオリヴィエが術を唱え、ヴィヴィオが乳房を彼の胸で押しつぶしオリヴィエも後ろから強く抱き着いてきて快楽を与えヴィヴィオに飲み込まれたそれをより奥まで無理に挿入させながら玉袋を揉みしだき、
射精をより多くさせる。

 泣きわめく彼の耳元で彼女たちは二人で解説を始める。


736 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:31:28 ID:AXpTmxZ/

「忠夫さん、これはストレリチのヴァルハラの刻印で、死後の世界で男がこれを刻まれた時期の状態になると信じられています。
女権国家気質のストレリチアの騎士たちがこれを刻んだから愛しい男を快楽で壊しても問題なし、という方便にも使われますね」

 ヴィヴィオがそういって彼から離れると足で彼の分身に凄まじい快楽を与えながら笑って言う。

「われらストレリチの王族は死後の世界も支配していますから、それを刻まれたら冥府でも私たちのもの。そして魂がそれを理解するから、こういう屈辱的行為による背徳感と快感が増します」

 ヴィヴィオがストレリチの加護をフルパワーにして彼を絞っていたがそれを抑えて寸止めを続ける。オリヴィエが拘束を解き即座に彼を前から抱きしめて飲み込んだ直後に、快楽で泣きわめく彼を背後に回ってとがめた。

「忠夫さん、オリヴィエをもっと満足させてあげなさい」

 ワユから放たれる霊気が余計に二人に刻まれた刻印の効果を高め苦しむ彼にヴィヴィオが後ろから抱き着いた。
豊かな乳房の感触が彼の快楽で壊れていく速度を加速させるが、オリヴィエは抱き着きながらヴィヴィオと目配せしあって笑う。

「ヴィヴィオ、少しあなたは前世からストレリチアが過ぎますよ。こんなに気持ち良いと動けないのも仕方ないでしょう」

「あ、ああ?」

 オリヴィエのこの口調は苛め抜きたいが、緩急の緩めるときの形だけのとがめだと思い、僅かに安心した彼に対してヴィヴィオが笑いながら返す。

「じゃあ忠夫さんに加勢しますね。オリヴィエを少しは感じさせてあげてくださいね」

 そういって悲鳴を上げる彼の手を掴むとオリヴィエの尻に手を伸ばさせて強く握りしめさせた。 そこに来てオリヴィエガ示し合わせた様に射精を許すと完全に彼の脳が壊れたようになり倒れた。

「泣きわめく忠夫さんの声たまりませんでした」

 満足げなヴィヴィオは笑いながらオリヴィエと共にいったん彼から離れる。

 倒れ落ちた彼の傍に愛歌が笑いながら近づいてきた。彼女は立てない、横島の顔を楽しそうに見下ろしている。
そして横にはインプと化したユウキがいる。ユウキに向かって愛歌が呪文を唱えるとユウキと愛歌の間に契約が成立したような気配がする。

 愛歌は横島の顎をとると言った。楽しみながらそれでも頼み事自体は真面目な口調と声音で声をかけてきた。

「忠夫、少し文殊に文字を入れてくれる? 今回している処置は私たちが楽しんでいるのもあるけど、一応はあなたの為の処置でもあるの。 やらなくても大丈夫だとは思うけどした方がより安全だから」

 それを聞いた横島は、どうにか持ち直して、愛歌が入れてほしい言葉を聞く。愛歌は満足そうにうなずき言った。

「文珠に『誘』『導』と入れて」

 横島が愛歌の言うとおりにすると愛歌が彼の耳元に彼を魅了してやまなくなった唇を当てながら言う。その吐息ですらも彼の分身が反応し始める。

「この処置を成功させるために必要なことだから言うけど、私との約束を守ることを考え続けて」

 愛歌の為に英雄になる。その約束が頭の中に過りこれが折れない限り大丈夫だというセーフティが自分の中に出来上がった感じがした。これが快楽で塗りつぶされた時自分は危ないだろう。

『そうや。ワイがここまでこれたのや、仲間が誰も欠けなかったのは何割かは愛歌ちゃんのおかげや彼女との約束を破るなんて最低や』

 それを見てヴィヴィオがその手があったかという顔になった。そして彼女は言う。

「忠夫さん相手なら女権国家的な愛で方もありという私には無理な方法ですね。ユウキさんたちが有利かも」


 ヴィヴィオの言葉を他所にアリスが前に出てきた。彼女は愛歌と位置を変えるとユウキと使い魔と主人の契約を結ぶと笑う。

「忠夫、愛歌の約束が頭にあるなら簡単には精神的な再起不能にはならないわね。これなら、思う存分甘やかせそう。 万一が起きても仮に魔女の蜜で英雄の素質が腐っても、愛しているから安心して」

 そういうとアリスは彼の分身を飲み込み、どこまでも甘く気持ち良すぎる眠りに誘う風呂や、
冬の布団を思わせる快楽で彼を何度も射精させる。 彼女の指から出てくる意図が胸を揉みしだかせ尻を握らせるたびに彼は射精していく。
彼女は色々な体位を試したが横最後は口づけしながらの体をくっつけ切った女性が上になった正常位に落ち着いた。彼女は笑いながら言う。

「忠夫、ほらいくら堕ちても大丈夫よ。元に戻す方法はあるし、堕ちたままでも私は大丈夫だから」

 堕落しきった先に進める彼女の言葉を聞く度に彼は強すぎる快楽で脳が壊れるというより溶けていく感覚を味わう。
そして時々アリスと交代し、体を押し付けてくるユウキがさらに追い打ちをかけてくる。

「忠夫〜ちなみに僕も堕ちても大丈夫派だよ♪ 女権国家に大分染まっているからね♪」

 アリスが後ろから豊満な胸を押し付け、抱えユウキが彼の腹に乳房を押し付けながら腰をくねらせて分身を嫐りながら笑う。
アリスの何もしなくても良い、という脱力の極みの快楽をユウキが余計に刺激してくる。
ユウキが途中で彼の射精を寸止めし始めた後に、二人が強く彼を抱きしめ乳房を押し付けた後に二人の尻を思いっきり握りしめさせた瞬間に射精が許され、
絶叫を上げて彼が射精するとこの部屋の女性陣全員が恍惚とした表情を浮かべてそれを見ていた。

 意識が途絶えたと思った直後、長い夢を見たような感覚が起り、目覚めると目の前にはヴィーラがとシンセシスとユグドラがいる。彼女達は楽しそうに言う。

「ヴィヴィオ様は凄く興が乗ったらしく、今宵だけは後先を考えずに貴方を好きにして良いと、仰ってくれました。私達の技を存分に味わってください」

 ユグドラが神聖な気を纏って彼に触れてくるとそれだけで彼の分身は一気にそそり立ち、それを見てヴィーラが最初に彼の分身を飲み込む。
同じ暴力的快楽でもアリスの優しい、性技で脳をぐずぐずにされた後に、不意打ちで強い快楽を与えられ、免疫がゼロに等しくなっていた彼はそのまま、射精をする。
即座にヴィーラが笑いながら、何度も激しく腰を振り彼を押し倒し、敏感になった分身を快楽で痛めつける。その度に面白い様に彼は射精を繰り返した。

「ヴィーラ、交代の時間ですよ。貴方の与える快楽に彼は慣れ切ってます」

 シンセシスの方のアリスが目の前に来た時、彼は疑問を抱いた。確かに自分に対して好意的だったが、性行為に参加するほどだっただろうか? その疑問に対して彼女は説明するように答えた。

「実を言うと、私は青木殿、もしくは葛葉伯爵殿が持ってきていた、未来の自分の霊体を取り込んだのです。 霊的な損傷を受けて死産になりかけた私の体を補ってくれたのが、
マーガトロイド殿の付喪神と化した人形たち。より早く強くなれるならと受け入れたら、思った以上に影響が大きくて、貴方に抱いていた好意が余計大きくなりました」

 一応納得した彼の分身をアリスが手でいじり始めると、信じられない程の上手さで彼は感電するように悶え始める。

「どうですか『もう起こりえない未来の転生先の数々』で貴方を嫐ってきた技術は。同一存在だから感じる触り方も一緒の様ですね」

「あ、ああ」

 シンセシスの手が分身を弄るのをやめて玉袋を揉みしだく動きに代わると、ユグドラが足で分身を踏みつける。快感だけを与えたり、痛みより強い快楽を与えたりをしながら彼女は笑う。

「ほら、子供過ぎると依然言っていたけど、愛歌様のご寵愛で完全にロリコンもいける口になりましたね。さとりさん曰く、『少女に足で嫐られると背徳感で余計に気持ち良いですか』わが想い人ながら気持ち悪い性癖ですね」

 最後の侮蔑の言葉を聞いた直後にシンセシスが彼の分身を握り閉めた。

「経験上あの罵り言葉が暴発を引き起こすと知っていましたから。それでは参ります」

 シンセシスが彼を飲み込んだ後、彼を嫐り続けた技術を使ったらしい優しい動きを繰り返す。射精の度に動きを変えて敏感になった分身に新しい快感を与えてその度に彼は涙をす。
シンセシスはアリスの人形の付喪神の霊気で霊的な傷を補ったせいかアリスの堕とし方と似ているなと彼は感じた。 これ以上続けられると危ないと思いつつ慣れ始めると途端にシンセシスが彼から離れ、
ユグドラと変わった。アリスがしたのと同じように、後ろから豊満な胸を押し付けながらユグドラに前から犯させる。ユグドラは彼のそれを少女らしい秘所で強く締め付けながら、ストレリチア騎士の神通力で快楽に追い打ちをかける。
ユグドラの秘所から零れ落ちるほどの射精をした彼が倒れると、二人は楽しそうに笑い、彼をユウキ達の方に渡す。



 ハンマーの様な快楽で殴られぬき、甘い極上の酒の様な快楽に完全に溶かされたり、聖王の系譜二人や王女のユグドラの追い打ちで完全に彼はバカになっている。
拷問を受けた後みたいな表情の彼は『愛歌との約束を守るために一線を越えてはだめだ』以外は考えられない状態だ。その状態の横島が戻ってきたのを見ると愛歌が笑いながら言う。

「忠夫、すごい凄い、女権国家とストレリチアではめったに使われない、惚れた男を完全に壊して自分たちの愛玩動物に変える類の攻めを受けても屈服しないなんて、私との約束を守ってくれいて嬉しいわ!」


737 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:33:25 ID:AXpTmxZ/

 どこか芝居めいた嘘らしい声だが、脳が快楽でズタズタになった彼は気づけない。愛歌が差し出してきた回復薬でもある青木がくれたソーマを飲み干すが、
体力は戻っても脳は治らず多分今までの生涯で一番無様で弱弱しい、表情をさらしているのだろう。
愛歌は彼を魅了しつくしてきた唇で彼の唇を奪うとそのまま彼の分身を飲み込んだ。 
強すぎる快楽が彼の理性を崩し始めるが、きっともう少しで愛歌は自分を回復させる類の性魔術を使い始めてくれるだろう。そう信じていたが、
そこで愛歌は彼から渡されていた文殊を取り出した。ほとんど思考能力ない、彼はただ彼女の掌の文珠に『誠』の文字がこもるのを見ていた。彼女はそれを自分に使うという。

「あの約束だけど貴方のことが大分好きになったから、私も別に堕ちても良いと考えているわ。これだけ霊的素質が高ければ来世で鍛えるのも手だし。
約束破っても好きなままだし、許すわ。そして堕とすのも楽しいから今日はこのまま本気で行くわね」

 その宣言を聞いた直後、彼は愛歌が追い打ちをかけてくるという絶望と、唯一の堕ちてはいけない理由であり、よりどころだったものが、壊れブチーン!という己の中の快楽に抗う最後の線が切れた音が聞こえた。
そしてその音が切れた直後に愛歌は、全力で彼の分身を絞り一気に彼の霊力を吸い上げる。ソーマで回復した分の霊力まで一気に精液に溶かされ搾り取られると、
愛歌の霊力が天井知らずに上がり、彼は取られた霊力の大きさに比例する快楽で糸が切られた。その快楽による衝撃の追い打ちに激しい快楽から優しい快楽に変わった愛歌の膣の中で彼は長い射精を繰り返す。
 自分の与える快楽と美貌で男の全てが崩れたのを気品のある笑みで愛歌が見下ろし軽やかに彼らから離れる。 そこにエヴァとリグルが交代の様に訪れる。

「忠夫〜なんとなく怖いみたいだけど、特に落ち切ってもデメリットないでしょう? というわけで忠夫が思いっきり堕ちられるように『かまきりの加護』」


 恐怖心というものまでなくなった直後にリグルが彼の分身を加え虫の妖怪の唾液と口淫で彼の精液を絞る。そしてエヴァが大人の姿になって彼の前に立った。乳房に釘付けになる彼の視線を心地よさそうに受け止めると彼女は言った。

「今宵だけは本気でお前を壊しても、再生可能な上にむしろお前の為になる。手加減なしの女権国家の吸血鬼の本気を味わうがいい」

宣言の直後に首筋に歯を立てると、今までの自分の痴態が脳に入ってきて一気に彼は堕ちていく、それを見てユウキが二人にインプとして支援をしているのを感じ取っていると、ユウキが口を開いた。

「前世の僕、もうこういう競争もやめない? お互い協力しあった方が忠夫を気持ちよくできるし」

「うん、賛成。これじゃ忠夫が自分で選ぶどころじゃないしね」

 そういって二人が和解した直後に、リグルが彼の分身から口を離し、エヴァがそのまま彼を正常位の形でとらえて首筋と分身両方から霊気を吸い取り始めた。
エヴァが満足しそうになるとユウキがインプとしての力を使い彼にリグルが作った蜂蜜酒を飲ませてくる。その直後にリグルとエヴァが交代すると、
蜂蜜酒の為かリグルの与えてくる快楽への防御が一気に下がり彼は彼女への射精を最後に意識を失った。ブチーン!という音の後の苛烈な攻めが脳に焼き付く。
そしてそれがもう自分は取り返しのつかないところが切れたのだとどこか他人事の様に思った。 自分を嘲りながらも愛と情欲をたぎらせる彼女たちの顔をもっと見ていたい。そう考えて次の目覚めが楽しみだと思う。




 目覚めた彼は眠っていた時も果てしない快楽に包まれていたことと、自分が眠りに落ちる前より遥かに堕ちたという確信を味わっていた。目の前にはアルがいて、
満足げな天真爛漫な笑みを浮かべている。彼女は魔王の力を取り戻す前と変わらない元気のよい声で彼に目覚めの挨拶をした。

「忠夫、おはよう。眠姦なのが不満だったけどとっても楽しませてもらったわ。私たちの取った処置は成功かしら」

 アルが何らかの魔術で彼を探るために近づいてくると、彼女を覆っている毛布が取れ乳房が見えた。そしてそれを見た瞬間彼の分身が一気に反応し、
痛いほどにこわばったのを見て確信する。恐らく眠っている間に相当な快楽を与えられて、トラウマになっているのだろう。アルはそれを見て笑う。

「これじゃあ、まともに動けないわね。一度抜いちゃいましょうか」

 アルがそういって彼を見つめるとそれだけで彼は動けなくなった。完全に魔王の力を取り戻した彼女は本当にすごい力を持っていると思う。
アルに押し倒され乳房を胸板で潰されながら口を塞がれて、舌を絡められるたびに射精の量が増えぬき唇を解放された瞬間、彼女の背後の鏡が視界に入る。あるいは彼女がわざとそうしたのかもしれない。
そして鏡越しに彼女の背中と豊満で形の良い尻が見えると分身が再び硬さを取り戻し、それを察したかのように彼女の腕が彼の手を自分の底に充てて胸板で乳房を潰すのもより強める。その射精で彼が倒れると彼女は笑う。

「頭もすっきりしたしシャワー浴びたら朝食とって最後の確認に行きましょう」

「は、はい」

 アルは腰砕けになって立てない彼を軽々と持ち上げるとそのまま彼女はシャワー室で動けない彼を洗ってくれた。






 全てが終了し朝食に青木が作っておいたらしい、甘いケーキと霊力を回復させる飲み物を飲み干すと、愛歌が唐突に言う。

「忠夫、それじゃあ私たちがとった処置がちゃんと聞いたか見るから、ユウキと手合わせしてくれる?」

「あ、ああわかった」

 昨夜の情事は彼女たちが愉しんだのもあるが、横島に対して取らなきゃダメな霊的な処置でもあった様だ。彼は食べ終わってしばらくすると、
愛歌に案内された武道場らしい、場所にたどり着いた。ユウキとワユの二人がヴィヴィオの左右に控えている。ユウキは横島の姿を認めると凄く嬉しそうに駆け寄ってきて、
抱き着きながら言葉をかけてくる。

「忠夫―! それじゃあ処置が上手くいったかどうかの最後のチェックに移ろうか、それじゃあリグルと愛歌が加護を込めた剣を使って僕と立ち会って」

「ああ」

 勝敗を競うのではなく、何かを調べる為のものの様だ。それでもユウキがここまで真面目になる以上自分も真面目にやらなければならない。
そう決意をすると横島は刀を構えユウキに切り込んだ。以前より段違いに速く鋭くなった剣撃にフェイントを混ぜて切り込むとユウキも、青木の指導で身についた前以上に速い速度でそれに応じる。
剣をぶつけ合い、ながら、彼はユウキに押され始める。フェイントを織り交ぜて彼女の感覚の鋭さゆえに反応してしまう隙に付け入り、どうにか渡り合うが、今度はユウキの速すぎる剣技に力までが加わり、
徐々に逆転され始める。

 ユウキと打ち合いながら彼は大きな違和感に気づいた。今のユウキははっきり言って、自分が倒したワユとユウキが合体した場合のドッペルゲンガーより少しだけ弱いくらいだ。
にもかかわらず、今押されているのは自分の方だ。体が不調とかそういうものではない。今生で関係のある女性達に嫐られ抜いた時、
多分だが彼女たちは恐らく性魔術を使いながら加護などを自分に与えていた。だからこそ以上に頭のさえも、体の切れも上がっている。
にもかかわらず、劣勢なのは自分の方だ。 そこまで考えた直後にユウキが笑みを浮かべた。その瞬間彼は劣勢の原因を理解し、もはや九割近く負けは避けられないことに気づく。

 次の瞬間ユウキの剣撃の速度が一気に上がり彼は思う。あの笑みを浮かべた時のユウキは勝機を見出した瞬間であり、
そして自分が今味わった既視感を感じる箇所が勝利した時はもっと多かった。ユウキの動きを読むことが容易だったのだ。
だが今の横島が衰えたというわけではない。ユウキとワユが融合した場合のイフと思われるドッペルゲンガーと戦った時はそれが異常に高まっていたのだ。
違和感が消えた後に、彼は一割の正気を逃さないために、敢えてユウキの渾身の一撃に自分も全力で打ち返す。 手がしびれたが、
予想外の動きをしたことで僅かに彼女の計算が狂い、二撃めが僅かに遅れる。そして放たれた二撃目を――受けきれなかった。

 今までよりわずかに速い、自分が倒したドッペルゲンガーと同じ速度の一撃で彼は沈んだ。それを見ながらユウキは笑みを浮かべて言う。

「忠夫、騙しあいでは勝てないと思ったから、これ使わせてもらったよ」

 ユウキの手には『騙』の字が入った文殊がある。これで僅かに遅い速度の攻撃を全力だと思わせていたのだろう。彼女は言う。

「おとといの忠夫なら見破っていたから、これを見破れないってことは処置が上手くいったことだね」

「いったい何の処置やったんや」

「青木さんが僕のドッペルゲンガーと戦う前に文殊で何かしたでしょう。あれって実は、青木さんの宿していたガーディアンを文殊で忠夫に『移』していたんだよ。その事実をもう一つ文殊で『隠』していたけどね」

「そうなんか」

 横島の問いにユウキは彼に口づけしながら説明を続ける。

「それで、何のガーディアンを付けたかと言うと、パラレルワールドの忠夫の転生体の集合体みたいな神様。青木さんはかつて、
世界が法と秩序の戦争で滅んだパラレルワールドで英雄となった人たちの霊体が、時系列手的には前な上に別の方向に進むこともある自分の世界に来て守護霊であるガーディアンになったことがあるから、できると思ってやったみたい」


738 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:35:29 ID:AXpTmxZ/

 そこまで聞くと彼は何となく納得がいった。青木のフェイントや戦い方がやたらと自分には覚え易かったり、ユウキの技を読み取れたのもずっとユウキを護る為に一種に戦った、十数回以上の人生経験が流れ込んできていた為だったのか。

 そこまで考えた直後にアリスとヴィヴィオが近づいてきて、彼に手を当てると、彼は少年の姿に変えられた。 ユウキの口づけで舌を絡められた時点で完全に動けなくなっている彼を見下ろしながらヴィヴィオは言う。

「ガーディアンは恩恵も凄く大きいけどデメリットもあるんです。 例えばガーディアンになってくれた存在が総合的に見れば、憑いた人より優れていても、
一点だけそのガーディアンより勝っている部分があったりすると、その優れた一点だけ能力が下がっちゃったりするそうです。
忠夫さんの場合は英雄として称えられるレベルになった自分を一緒くたにして祀っている宗派の自分をガーディアンにしたから、悲惨な最後とか大怪我もその英雄たちと同じにする可能性が高いって。
一応、青木さんはあの戦いが終わったらガーディアンが送還されるようにしておいてくれたみたいだけど、念には念を入れろって」

 その説明を聞いて彼は青木があそこまで自分たち特に大鳳やジャギに好意的だったのか、恐らくはガーディアンになった自分の未来の可能性達を宿していた影響も相当強かったのだろう。
それを聞き感傷に浸りかけた瞬間ヴィヴィオが何かの呪文を唱えた音が聞こえた。恐らくはこの館限定で使える転移魔法のようなものだろうと彼の霊感が告げる。その直後に視界が暗転した。





 転移魔法で彼が連れてこられた寝室は、昨夜嫐られつくした場所とは用向きが違う気がする。霊感が告げるところは今思い出すと昨夜の寝室は、
ストレリチアや女権国家で、気に入った男性の他国人としての生命を終わらせる儀式に使われるような部屋だった気がする。
それに対してここは女権国家やストレリチアの民として生まれ変わらせる部屋だと霊感が告げている。 彼の目の前でヴィヴィオたちが服を脱ぎだすと、分身がそれだけで痛い程こわばり始める。 
子供の視点になったことで余計に彼女たちの体のボリュームが感じられる上に、その体でされた昨夜王国男子なら恥ずかしすぎる女性優位の行為の数々も思い出され興奮が止まらない。その横島の耳元に不意に嘲笑めいた声が響く。

「随分と変態になったようですね。あんな行為の数々を思い出してここまで固くするなんて」

 嘲笑めいた声に気づき見るとそこにはさとりとこいしの姿がある。彼女は笑いながら彼の分身を踏みつけ、屈辱と興奮を与える絶妙な加減で彼を悶えさせながら言う。

「想起はしていませんよ。ただ彼女たちが貴方から渡された文殊で『刻』していただけです」

 こいしが彼の腕をとり動きを封じると、さとりが踏むのをやめて分身を飲み込んで言う。

「微想起すらしてませんよ。私も青木さんのおかげであり得た未来の知識を得て、強くなりましたから。今の私の想起はこうです。『想起・昨夜の覚えていない情事と夢』

 さとりの秘所が彼の分身を甘い媚薬の様な感触で嫐っていた上に、彼に記憶から消えた情事までが蘇ってくる。

 アリスがさとりの目配せを受けて横島の人形をいくつも出すと、その人形たちと視点が混じり自分がどれだけ無様にさとりに圧倒されているかが見える。それと同時に昨夜の敗北の数々も蘇ってくる。
 眠りに堕ちた後、ユウキがこいしやさとりと組んで夢の世界に侵入してきた。さらに彼の枕元で人形劇を演じるアリスがいる。これは間違いなく、この人形劇が彼の見せられている夢なのだろう。


 ユウキに見せられていた夢は『月間少年カンカン』の登場人物になる夢だ。感情移入できる主人公というより、尊敬できるあるいは応援したくなる主人公たちが多かった物語『転生英雄集結伝』だ。
前世が英雄だった少年たちがさまざまな困難を乗り越えながらいろいろな戦いを潜り抜け成長していくとものだった。そして女権国家の女性陣と関わらなければ道を踏み外さずに済んだ者たちが大半であり、
まだ性欲が薄い少年期だったから辛うじて前世で破滅させてきた女性の色香に打ち克ち、ハッピーエンドになるという内容だ。彼はそれを見た時は感情移入できなかったが、
面白いと思ったし主人公たちに好感が持てたので読み返した回数は少ないが未だに全巻実家に置いてある。だがこの想起を受けた時は感情移入できる話になっていた。
これは恐らくガーディアンにあり得た転生体達の集合体がついて融合に近い形になっていた為だろう。



 そして彼の頭の中に様々な情報が入ってくる。今自分は原作にでてくる心から尊敬していた主人公たちとは関係のない隣の学校の生徒だ。だが主人公たちの頑張りを占いや遠見の術で一方的に知って尊敬して、彼らを間接的に助けられる場所で頑張っていた。

 だが精通を迎えた直後に魔王に逆レイプされて、一度の射精で完全に腑抜けにされて、射精すればするほど主人公の敵たちを強化する状態で射精を繰り返している。
アルが目の前で彼を抱え込み口づけすると彼女の口づけから嘘だとわかっていた情報が真実に思えてくる。これはさとりやこいしでもできることだが、
ベリアルとしての嘘だとわかっていてもなお信じる契約者が後を絶たないという彼女の力によるものだろう。

 限界を超えた様な快楽で倒れる彼から、アルが笑いながら離れる。

「尊敬する隣の学校の〇〇くんや××くんを応援するって志も所詮ここには勝てないのね」

 アルは嘲笑を込めて分身を足蹴にすると彼はそれだけで射精してしまった。それを見て彼女の左右に侍るユウキとワユが笑う。

「地獄の魔王におちんちんを足蹴にされた背徳感でいつもよりたくさん射精するとか終わり切っているよ。忠夫―!」

「剣士として正々堂々戦えるのはさっきの一戦が最後だったけど、あたしに勝ったのにこれとか無様すぎない」

 そういって従妹という設定の二人、魔女の衣装に着替えたワユとインプと化したユウキが彼の分身を二人がかりで嫐り始める。
二人は魔王と契約して数年後の姿になっているという設定だ。ユウキが手で先端を握りワユが幹をしごく。したと胸まで使われだした時点で彼の分身は白旗を上げて二人に射精を繰り返す。そして命令めいた口調でワユが言う。

「あたしたちもしかしたら、貴方の尊敬している〇〇一行と戦うかもしれないの。そうなった場合の未来を見なさい」

 ワユとユウキが彼の精液を絞るたびに強化され、彼らの苦戦が重くなっていく姿が見える。 二人は笑いながら離れるとワユが剣士の衣装から着替えていた魔女の衣装を脱ぎ。ユウキも敢えて彼に背を向けていう。

「自分の意志で堕落して、僕たちに腰を振る忠夫がみたくなっちゃった♪ 今なら無防備だよ」

 そこで隠れていたさとりの弱めの想起が入り、二人にも絞られた秘所の感触が蘇り、彼はユウキに剣で切りかかるのではなく、分身を背後からねじ込んだ。

「ああー!」

 罪悪感と強すぎる快楽で、叫びながら射精する彼を笑いながら見るユウキとは対照的に、不機嫌な顔で見るワユ。彼女は射精して倒れた横島に迫る。

「どうしてあたしじゃなくてユウキの方が先なのさ。魔女衣装より背徳感が勝っていたから? それならこうしてあげよう」

 ワユがかつて一緒に戦っていた時の剣士としての服に魔法で着替えるとそのまま胸元を空けて彼の顔を乳房で挟んだ後、分身を飲み込んだ。
かつて正義の味方として共に戦った彼女に悪の手先として動く際の力を与える。その背徳感が分身により大きな快楽を与え彼はそのままワユにもユウキを上回るかもしれない量を射精した。そこで彼の夢は終わった。





 現実世界ではさとりとこいしが交互に彼の分身を飲み込みながら笑いあっていた。途中で彼女たちは横島から離れ他の女性陣に場所を譲る。
エヴァは大人の姿のまま電気椅子にかけられた囚人の様になっている横島に近づくと横島の耳元で言った。

「ユウキ、ワユ、次は私が嫐るからあの悪の吸血鬼が出てくる漫画の内容の夢で頼む」

 横島の夢の中に入っていたらしいユウキとワユから了承の声をもらうとエヴァが彼の分身を飲み込み、小さくなった彼の顔を胸で挟み込み何度も搾り取りながら笑いだす。
 
それから彼を嫐る女性陣が変わるたびに夢の内容をユウキが変えていく。アリスが上になった時は魔女が悪役なカンカンの物語を、アルの時は悪魔が主人公の物語を、
そして彼女たちが一周して、愛歌とヴィヴィオが来ると儀式の雰囲気が変わるこれが彼を生まれ変わらせる最後の仕上げの様だ。




 夢の中で横島の精神は完全に限界を超えていた。屈辱と背徳感それが強める快楽で目が完全におぼつかなくなっている。
ユウキとワユは二人とも対抗意識を燃やしながら彼をどれだけ自分の与える快楽に溺れさせられるか競い合っている。
特にユウキは横島を幼少の姿に戻し丁度抱き合った時に顔が胸に来る体制でするのを好んで行う。恐らくは背丈の都合で他の女性陣がやったのを見ていたからだろう。
ユウキの乳首を口にねじ込まれた後、完全に思考が止まりただ自分が王国男子として恥ずかしすぎるレベルのプレイをしていることだけを理解しているその彼を母親がするように撫でながらユウキは腰を振り嫐って射精させる。
何度も繰り返したように、完全に堕ちた彼をワユに渡す動作をしなかったのを見て、ワユが文句を言いかけるとユウキが止めた。


739 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:37:32 ID:AXpTmxZ/

「忠夫を達しさせた回数はこれで一緒だよ。それに仕上げの時間みたい」

「え、もう? そっかぁ、楽しい時間が過ぎるのは速いって本当なんだね」

 ワユがそういうと愛歌が彼の夢の世界に入ってくる。そして現実世界ではヴィヴィオが祭壇の前でストレリチアの神々から加護をもらう儀式をして何か呪文を唱え準備をしている。
ストレリチアの加護だけじゃなくて、旧王朝のシャーマニズムも混ぜた特別製の様だ。現実世界のその光景が頭に流れ込んでくると、横島は『嫌』ではなく『怖』いという感情を覚えた。

 愛歌が彼の唇を塞ぐと笑って言う。

「私の英雄さん、あの異世界の集合体の皆さんみたいになっても不足というわけではないんだけど、できるなら自分で育てていきたいから最後の儀式に移るわね。 それじゃあ行きましょうヴィヴィオ」


 現実世界のヴィヴィオが祭壇の前で響いた愛歌の声に頷くと、愛歌が夢の世界の彼の分身を飲み込んだのと同時にヴィヴィオが現実でも飲み込む。

「フギャー! ああー!」

 鳴き声を恍惚とした表情で聞きながら愛歌が彼の分身を飲み込んで笑うと、現実世界のヴィヴィオも同じ様な表情で笑う。

 ヴィヴィオの大きいながらも完全に隷属させてくる感じの膣は彼に自分こそが使えるべき女王だと教えてくるような感じで射精の度にそれが脳に焼き付いていく。
今回はそれが特に顕著だ。対して愛歌は横島がダメ人間でも良いと言い切ってしまうようになってからは英雄になってほしいけどあなたらしくあればよいという柔らかく活力を与えてくれるが、
加減を誤れば堕とし切ってしまう感じの快楽を与えてくる。 ヴィヴィオの激しすぎる快楽まで同時に味わった彼は愛歌に泣きながら抱き着き優しい快楽に逃れようとした。両方の快楽が襲ってきていたが、
それでも夢の世界にいるせいか愛歌の与えてくる快楽の方が少し強かったためだ。その瞬間現実に戻された。

「忠夫さん♪ 逃げた先は逃げようとした相手でしたね♪」

「ああー!」

「私の与える快楽が一番やばいときはこちらです。逆に愛歌様の快楽がやばいときはあっち、今夜は転生ですから♪」

 ヴィヴィオの与えてくる快楽が強すぎたのち、いま愛歌の与えてくる快楽が主となったらその優しすぎる快楽で完全い落ち切ってしまう。そう思った瞬間彼の意識は夢に堕ちた。


 優しすぎる快楽で彼が倒れかけると愛歌が笑いながら言う。

「ほら早く堕ちて、いえ長く持ちこたえて。これはこれで楽しいから♪」

 横島が彼女が腰を振るたびにビクンと体中を動かすのを楽しそうに見ながら愛歌は笑う。その度に彼女の霊力が大きくなり彼は惰弱になっていく。そして愛歌は耳元で言う。

「夢の世界にいたから分かったけど、青木先生が自慢の弟子であれと言ったから、さすがにこれは情けなさすぎると思って耐えているのね」

 実際そういう気持ちはあったが、愛歌に言われるとそうだという思いが強くなった。そしてその思考が固まった頃を見計らって彼女は言う。

「この処置青木先生の指示よ。貴方がひどい死に方する未来を完全に潰したいんだって。それと意図はわからないけど、ユウキとワユが見せた夢は葛葉伯爵が必ずあの夢を見せろと、指示していたらしいの」

 よりどころができた直後に叩き潰されると愛歌が子供の姿の彼の唇を塞ぎ余計に精液をたくさん出させた。
最後になぜ青木がそんな指示を出したのかは気になったがそれもすぐに愛歌とヴィヴィオ二人の王女に飲み込まれた分身から流れ込んでくる快楽に飲まれていく。

 そしてその直後にヴィヴィオのいる現実に彼の意識は戻る。

 女神めいた美しさのヴィヴィオが大人に戻った彼の胸板で乳房を潰しながら愛歌と同じ口づけをしていたが、それを解き言う。

「愛歌殿が言ってたことは本当ですよ。これは聖王の系譜の血にかけて約束します。だから早く堕ちて私の者になりなさい」

 敢えて王族としてのカリスマなどを出していなかったのはここでとどめを刺すためだったのだろう。最後にヴィヴィオが思いっきり腰をひねった直後に彼の魂がつぶれ絞られたような感触共に最大の射精を起こして彼は夢に堕ちて、
愛歌にも同じくらいに放つと、夢すら消えるほどの眠りに落ちた。






 情事が終わった直後倒れた横島を満足そうに見下ろす、彼と縁のできた女性達の中で、陸八魔アルだけは若干浮かない顔をしていた。行為自体は楽しんだ様だが引っかかるものがあるようだ。それを見て、ユウキが声をかける。

「アルさんどうしたの?」

「いや忠夫の夢の中で三人でやったじゃない。あれ楽しかったけど終わった今は罪悪感が凄いのよ。特に題材に使われた作品読んだら、背徳感もすごいけど忠夫だって落ち込むわと思って」

「そうだね。でもあの作品は僕も好きだったけど、特に効果的かと思ってね」

「それだけ?」

 その問いにユウキは少し不機嫌な様子になり答えた。

「もちろん恩のある葛葉伯爵様の頼みだしなにか意味があるんだなって、思ったのもあるけど一番の理由はね、忠夫が精通したのってあの話の悪役女が原因で、
自慰する時も一時期あれ使ってたんだ。だから完全に上書きしないとだめだって思ったの」

「うん。その通り」

 二人の答えを聞きアルは思ったこの二人凄く嫉妬深いなと。フィクションの人物からすら横島の一番の欲情対象の座を奪おうとするとは。



 横島は目覚めると自分が完全に過剰な英雄としての非業の最後などの副作用が消えていると確信した。
そして思い出した数々の夢の中での行為や現実世界で夢に合わせて彼女たちに嫐られていたことも蘇ってくる。それを思い出した彼に愛歌が声をかける。

「忠夫、とりあえず今の状況について知りたい」

「ああ。とりあえずここの城はどこなんや?」

「ここは数週間前までぎりぎり女権国家だった王国と女権国家の国境の街――……に建てられた貴方の城ね」

「はあ?」

「クズノハ伯爵が元々王国寄りの中立だったこの土地の人たちに女権国家の方が先に協定違反をした証拠を提出して、
そして皇帝ネロにも今までも手柄といくつかの国宝クラスの霊具を献上して王国の領に戻したのよ。少なくとも女権国家としては名分がなければ攻め込み辛い拠点でもあるわ」

「それでなぜ俺がここの城主に?」

「それもあの伯爵の根回しよ。ここなら霊的防衛的な意味で守りやすいところだからと言っていたわ。そして大鳳くんも任を解かれて王国に戻って良い様にあの人が根回ししていたみたい。
昨夜の炎によるテレポートで王国に戻すための処置だったみたいだけど宮廷の良識派の貴族たちにさっきの大戦で女権国家が先にがやらかした協定違反をリークして、
攻め込むのではなく融和にすべきという派閥が有利になるように動いていったから、『どんなに短くても』二年はくらいは平和なんじゃない?」

 多分だがこの情報を知っていたのはミクくらいの一部の者で、葛葉伯爵こと青木師匠は最後にここまでテレポートさせることで完全に女権国家と自分たちの縁を切るつもりだったのだろう。
ジャギやモヒカンたちもこちらに戻ってきているらしいが、良識派の女性達なら会いに来られる絶妙な場所だと横島は思った。





 執務室に到着すると女権国家に居た時よりはるかに元気になった大鳳の姿が見えた。

「忠夫、おはよう。とりあえず僕は当分ここで秘書官やることになったよ。青木さんは僕の方が城主に向いているかもと思ったらしいけど、女権国家の悪辣派の女性が攻めてきたら、早く逃げられるように秘書官にしておくって。
僕が逃げなきゃダメになった時の為にも、ビシビシ仕事覚えてね」

「ああ。女権国家のやばいやつらから、霊的な意味でもこの国護らんとな」

 大鳳の笑みを見ながらいきなり転職になったが、そこまで苦労せず楽しく仕事をこなせそうだと彼は思った。城主の仕事から霊的防衛職などに仕事が変わる日もすぐ来るかもしれないが、それまではこの土地で良い思い出を作っていけそうだ。






 青木が大鳳達を助ける一週間前、アンリエッタ皇女は珍しくそして意外な訪問者を迎える準備をしていた。数日前に私的な宴会に近いとはいえ、
かろうじて公の場ともいえる場所でネロから勅令ともいえる命令を受けたのだ。その際に妙に上機嫌だったネロはアンリエッタに向けて怒ってはいないが、少しは反省しろという教師に似た意思をにじませながら言う。

「アンリエッタ、そなたなにをやったのだ?」

「具体性を欠きすぎている質問で理解できませんが」

「余の客将の葛葉伯爵殿が何やらそなたにお冠な様子だったぞ。一度面談の約束を取り付けてほしいと、言っておった。
そなたに頼みたいことがあるからそれを聞くように余に命じてほしいとな。それをしたら、余が払わねばならぬ報酬をいくつか清算したことにしてくれるそうだ」

 アンリエッタはネロの上機嫌の理由を理解した。葛葉伯爵に払わなければならない報酬がいくつか消える上に、アンリエッタに反省を促す機会も訪れる。
ネロにとっては得しかない出来事だ。ネロのその様子にアンリエッタは葛葉伯爵は暴力ではなく政争的な報復をしようとしているなと察すると、余裕の笑みを浮かべる。
ネロの呆れがより深くなったが、特にことはない。アンリエッタの悪行に怒ることもあるがそのうえで彼女と仲良くしている。だからこそアンリエッタも私的な席ではあまりとりつくろう必要もないのだ。


740 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:39:36 ID:AXpTmxZ/

「心覚えが多すぎてわかりませんわ。彼の様な義侠心に厚い殿方を本気で怒らせるようなことですか。過去に女権国家の女性の業を抑えきれずついやり過ぎてしまったことのどれかがばれたのでしょうね」

 悪事だと自覚しつつ全く悪びれないアンリエッタにネロは呆れながら答えた。

「覚えがあるなら勅令として命ずる。〇月×日に葛葉伯爵を迎え入れよ。そして目に余る無礼があったり、よほど無茶な内容でない限り彼の頼みを聞き入れよ。そなたもたまには悪行の報いを受けて反省するが良い」

 葛葉伯爵は過去に本気でアンリエッタに怒ったこともあるようだが、今はただ嫌悪しているに過ぎない。そして彼は嫌いなものが相手でも、戦闘になったとき以外は犯した罪に見合った程度の罰しか与えない。
別名の一つに『応報伯爵』というのがあるのもその為だ。ネロが異例の頼みを聞けという遥かに不利になる勅令を出したのもそれが原因だろう。





 葛葉伯爵を待つアンリエッタは軍靴と思敷き彼の足音が遠くから聞こえだしたとき、静粛にするように布令を出したことを少しだけ後悔した。ネロに命じられた以上彼は客人である。
その際に向こうに対して無礼があればそこを政治的攻撃の口実にされかねない。自分より政争に関して劣ると思うがそれでも確実に傷を負わせられる時しか動かない慎重さを持つ男だ。侮ってはいけないと感じていた。


 葛葉伯爵が履いている靴は決闘で勝利すれば放免という制度があった時などに処刑人がつけていたものが改良された靴らしい。
そのためか処刑人が来るような不吉な気配を醸し出している。 訪問した彼を見てアンリエッタは皇族であるからこそ、彼の異常性とネロが一切彼を恐れない理由を理解した。
この人物は悪に対する制裁と善人への報いを繰り返して応報の化身となりかけている。 人も偉業を成し遂げ過ぎれば、善行をなす聖剣や災いを振りまく魔剣などに近づいて行ってしまう。
ネロの様に善行を多く積んだ者にはさぞ好ましくそして頼もしく映るだろう。そしてもう一つは直感的な何かがこの男を恐れている。恐らく女権国家の女性にとって天敵と言える何かとこの男は繋がっているか、
中に何かが眠っているのだろう。それが意識的にやったものか結果的にそうなっただけなのかはわからないが。 思案するアンリエッタを他所に葛葉伯爵は非の打ち所がない程に洗練された礼をとると短く向上を述べた。

「アンリエッタ皇女殿下、ネロ陛下のご命令に従いお時間をいただいたことに感謝します」

 内心に沸いた嫌な予感と警戒心を微塵も出さず女神の様な笑みを浮かべて彼女は答えた。

「いえいえ、皇帝陛下を日々助けるだけではなく、本来皇室が救うべき女権国家の民たちを数えきれないほど助けてくれた伯爵様の御訪問、拒否するわけがありません」

 その答えに、彼は女権国家の女性達が群がってくるような完璧な笑みを浮かべて答えた。作り笑いだとわかったがその上でも心奪われる女は多いだろう。
ナイスミドルあるいは老人好きというタイプの女性なら彼を運命の相手と決めるものが大半だろうし、そういう趣味がない者ですら、十人中、二人か三人くらいは彼に走るのではと、アンリエッタは思った。
そう他人事の様に考えた直後に彼は、頭を下げていった。

「自ら訪問しておきながら、失礼とは思いますが、私も多忙故手短に用件を済ませねばなりません。 こちらの小包と便箋を受け取っていただきたい。
そして10日立ったら時間があるときに開けて中身を見ていただきたい。とてもめでたき知らせが届きます故」

 アンリエッタは彼が渡してきた二つを見て警戒心が刺激されるのを感じた。彼は普段は自力で魔術などを使うことはできないらしいが、準備を万全にしたり特殊な触媒を用いれば、とてつもなく強力な術を使うらしい。
一流の術者でも見抜けない何かが仕込まれている可能性もある。警戒心を持つ彼女に彼は朗らかな笑みを浮かべて言葉を続ける。

「ご安心ください、この封筒に呪いなどを仕込むなど決して私が許しません。ただ、十日経つ前に事故か何かで空いた場合に限り私が気づく類のまじないがかかっております。それでは失礼いたします。
ネロ陛下に頼まれた無辜の民草に災難をもたらす霊障の処置をしなければならないので」

 そういって去っていく彼の背を見送りながら、アンリエッタはほっとすると共に、大鳳少し前の様に嫐りたいと思った。彼の肌が恋しくなるのと一応は子孫を早く残さねばと思うくらいには威圧感を感じる相手だったのだなと思い、
男性にも警戒すべきものはいると強い実感が宿る。




 それからすぐにアンリエッタは超一流と名高い魔術師などを招きそれを調べさせた。最優先で呼び出した為に他への警戒なども少し割く羽目になったが、
それでも一応の確認として必要だったからだ。 だがその内容は十日経たずに封を切ると葛葉伯爵にわかる様になっている魔術以外は仕掛けられていないという答えだった。


 それ以降も不気味に思いつつ様々な調査をしたが、結局は葛葉伯爵のたくらみはわからずじまいだ。






 アンリエッタのもとを去り、自室の廊下に戻った葛葉伯爵、否、既に私の自分に戻っているので青木というべきだろう。
彼の背後の唐突に罪の浄化を司る様な青い炎が現れる。黒い外套に身を包み端正な顔をした白髪の整った顔をした男性が彼の後ろに現れた。彼は哄笑を上げながら青木に話しかける。

「クハハ! 我が共犯者と似た運命をたどり、されど自ら剣を執った我が弟子よ、よくぞやった!これで応報は果たされる」

 素の自分に戻った青木は少しだけ目の前の巌窟王=エドモンに引きながらかれを見据えると答えた。

「これで良かったのですか、エドモン先生」

「ははっ! ガーディアンという召喚体系は利益もあるが不利益も大きい。ままならぬものだな! 横島忠夫の来世の集合体である神をガーディアンとする前のお前ならばこのくらいはできたであろう!」

 その答えに彼は少しだけ悩みながら答えた。彼がエドモンをこの女権国家の世界で物語を広めてまで読んだのは、横島の転生体が集合して崇められた神を彼の鍛錬の効率を上げるためだ意図的にガーディアンとして付けたのだ。
その結果狙いは当たった。だが十数世紀も神となった大鳳やジャギと助け合いつづけた者をガーディアンとした結果、
大鳳やジャギに対する好意が溢れすぎて、客観視できなくなってしまった。だからこそある意味応報の化身ともいえる存在である彼を呼び出し助言を求めたのだ。

「貴方を疑っているわけではありません。確かに制裁とはなるのでしょう。ですが、本当にあの程度であの女を除けると?」

 青木は巌窟王エドモンの有能さを認めたうえで疑問を抱くほど軽い制裁だと思っている。だがそれに対してエドモンは哄笑をもって答える。

「クハハハ! ああ、あれで十分だ。あの女を断罪するために作ったされど使われぬ数々の砦をあの女が壊している間に、
あの女ですらも知らぬあの女の急所を抉る応報の剣は既に刺さっている!」

 エドモンの問いに青木は頷いた。応報を与える際に重すぎる報復は因果が重なりあまり良い結果をもたらさない。
いくつも彼女への制裁の為に用意した罠は彼が作ったと気づかれぬように細心の注意を払っている。まして、彼が手を引いた今では絶対に彼が関わっているという証拠は出ないだろう。

 青木は彼に感謝すると言った。

「エドモン先生、いえ敢えてこういいましょう。モンテ・クリスト伯爵殿。かつて別なる次元で世界の滅亡がかかった戦いをする少年の意識を護る浄化の炎をもたらし続けた貴方に、人の精神を護るやり方を教えていただきたい」

「任せるがいい! 炎の剣を使い我が恩讐の炎を持って幼き鳳凰の雛鳥を護り抜け!」

 彼は仲魔であるモンテ・クリスト伯を連れて悪魔を剣に宿す類の悪魔合体である剣合体をしに部屋に向かった。








 大鳳と共に王国と女権国家の国境の城主となった横島はその日の夜奇妙な夢を見た。見てわかるこれは大鳳がした経験を見た青木の記憶だ。





 大鳳が諜報員引退を考え出し以上に落ち込みだした日の事実を彼は知った。王国と女権国家双方に多大な損害を与えかねない大きな霊的災害が起きかけた時、
大鳳は女権国家の善良な女性達を救うために危険な場所に身を投じていた。彼の父親が戦争の約束事を護っていたにもかかわらず、
篭絡部隊が絶対にやっていけない戦争の禁じ手まで使って篭絡していたことが分かった直後のことである。それを知り大半の良識人の上層部たちは過去の所業を恥じていた。
王国上層部もこの共闘が終わるまでは絶対に女権国家は不義理をしてこないと疑わなかったほどだ。ビスマルク元帥も敢えて公の場で元帥号を見えるようにしてはっきりと宣言をした。

「もしも、今回の共闘中に彼を辱めるような行為をした者がいたら、私は狂三様の制止すら無視します。それをやったものを絶対に処断します」

 その一言には間違いなく本心だった。この件に対しては、悪辣寄りな女性達ですら、『仇を恩で返してきた相手にまた仇で返すという恥知らずはいないな』と無言の威圧をかけているものが大半だ。


741 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:41:13 ID:AXpTmxZ/

 しかしそれを破ったもの達がいた。大鳳に対して無自覚で惚れぬき過ぎて彼を嫐りたい欲を抑えらなくなったアンリエッタとその配下のメイド達だ。
この日の夜はアンリエッタの配下のメイドでも特に大鳳に惚れぬきそれでいて鬼畜寄りな女性達だけが選ばれた。悪人であってもこの状況では、良心の叱責から邪魔をするものや、
あるいは後になって慚愧して密告する者が出てくるかもしれなかったためだ。 特にアンリエッタが人を見る目を十全に使い、大鳳の様子を監視させ自分の悪行を知らない誠実な女近衛兵大鳳にあくまでも疑惑程度だが、
この戦いの最中に大鳳に質の悪い男性を奴隷にする呪いをかけたものがいるかもしれないから、チェックするために彼が力を使い果たしたら連れてきてほしいと頼んでおいた。
恩を仇で返す行為は女権国家でも最低中の最低な行いとされている。だからこそ問い詰めることさえ無礼と言える。その騎士は可能性が低いからこそ失礼で貴族相手には調査できないのだなと、
納得し大悪霊との戦いで疲労困憊の彼を内密に拉致して攫ってきた。 この計画が上手くいったのはまどか王女のおかげだ。嘘の事情を説明すると一切疑わずに裏で協力していなければここまで成功することはなかっただろう。



 悪霊との戦いで疲労困憊となった彼は、下心をもたない女騎士に拉致されてここに来た。
高価な霊具を持たせたのもあるが彼女自身が一切邪心を持っていなかったことも拉致に成功した理由の一つだろう。


 大鳳は目を空けた瞬間アンリエッタと彼女の直属の特に畜生なメイドに囲まれているとわかった瞬間、恐怖と同時に女権国家に来てから味わった初体験を思い出して、
一気に分身が反応したことに気づいた。そしてそれと同時に立ち上がったそれが、アンリエッタの手に収められた直後に彼は悲鳴を上げる。

「あ、ああ!」

 アンリエッタの手が上下する度に叫ぶ彼を蔑む様に見るメイド達を他所にアンリエッタは告げる。

「今、私は仇を恩で返して貴人の如く扱わなければいけないあなたを最低の卑怯な手段で自分のもとに連れてこさせたのですよ。そして連れてきた騎士も貴方が受けるのはただの検査だと疑っていない。
なぜかわかります? さすがに女権国家でもこれは僅かでも良心があればやらないことだからです。 あの女騎士も可哀そうに」

「あ、ああ、やめやめ」

 アンリエッタが手を離した直後に二人のメイドが左右から彼の分身をしごきだす。アンリエッタは言う。

「疲れやダメージは取らず精力だけは回復させるお薬の効果は絶大な様ですね。今体力も戻してあげます」

 最後に足で彼の分身を踏みつけて射精させた後、アンリエッタは笑いながら言う。

「普通なら殺意を抱いてもおかしくないレベルのことなんですけど、私を嫌えてますか?無理でしょう。『穢れなき純潔の束縛』の影響が相当大きいようですね」

 射精直後の敏感になったそれを彼女が飲み込むと大鳳は、この国の中で受けた数々の行為を思い出してしまい、彼はどんどんと追い込まれていく。
そして自分は人として最低の行為をしている敵国の皇女にこれをされていると思った直後にアンリエッタ配下のメイド達が鏡を持ってくると、アンリエッタが強い口調で言った。

「自分がいまどれだけ無様かよく見なさい」

 アンリエッタの命令に逆らい難いものを感じてみると、騎乗されて喘ぐ己の惨めさが余計に際立ち、それがとどめとなって彼は一気に射精した。
それを見ながらアンリエッタは満足そうに見下ろすと、大鳳の荷物から何かを取り出した。アル社長からもらったベリアルの力の籠った騙し玉だ。
これを使われると、嘘だとわかっていても本当だと感じてしまう。戦った時に、『シノン援護射撃お願い!』などというと、嘘だとわかっていても相手に隙ができることがしょっちゅうだった。アンリエッタもそれを知っていたのかとると発動させた。

「貴方は今回の役目は果たしたけど、横島やジャギというお友達たちは、まだ女権国家と王国両方害する霊的な悪魔と戦っていますよね。実は私とここにいるメイド達は、
貴方という極上の男性からもらった精を霊力変えて、その悪魔に贈る様にしているんですよ。つまり注げば注ぐほど、彼らが死ぬ可能性が高くなっていきます」

「う、嘘だ」

 大鳳の推察通り嘘である。だが本当だと思う念は消え去らない。特にジャギは既に対象を倒している。

「そう思っていてもここは反応していますね」

 アンリエッタにもう一度犯された直後彼はさっきより大量の射精をしてしまった。アンリエッタは精液を敢えて自分の秘所から漏れ落ちさせて見せながら言う。

「仲間を裏切る背徳感を得て興奮しているんですか。貴方は自分が快楽に屈して最悪の卑怯な行為をした男性である問レッテルからは永久に逃げられませんよ」

 アンリエッタは敢えて彼から離れると手を広げて待った。まだ大量の精液が残った彼は耐え切れず彼女に挿入してしまい。その瞬間、完全に自分がゴミクズに堕ちたと思った。
そう考えた瞬間を狙ったようにアンリエッタが膣を締めて彼の脳にその後悔が焼き付くような射精を巻き起こす。その後メイド達が輪姦を始めるのを貴族らしい口調で大鳳の無様さを罵りながら、眺める。

「そのメイドは受けた恩を返す最低の行為で貴方を辱めると聞いて特に乗り気でした。さらに今あなたとの友誼の為に死にかけている横島という方が多々かかっている悪魔の戦闘力を上げていますよ。
おやおや余計に固くしていますね。もう一度あふれ出るほど射精して。本当に彼らは良いお友達を持ちましたね」

 射精を終えた大鳳の体に胸を押し付けながら分身をしごく二人のメイド達の様子を見て笑いながら彼女の言葉攻めは終わらない。



 全員のメイドに犯された後、アンリエッタが再び彼に騎乗しながら言う。

「今回の件相手がどんなに見下げ果てた人間でも貴人の如く扱わなければならない恩をあだで返した行為、普通に私以外の女権国家の貴族に密告すれば私の政治的生命は大打撃です。
可能性は極めて低いけど、廃嫡や最悪の場合は打ち首もあるかもしれませんね。三日たったら証拠がすべて消えますけど」

 最悪打ち首もあるかも、その一言を聞いた直後に大鳳は言えないという思いが強くなった。穢れなき純潔の束縛の効果だろう。そして嘲笑と共に彼の分身を嫐りだした彼女に気絶させられた後、
最低の卑怯をした兵士だけが贈られるというゴミ箱で彼は次の日目を覚ました。





 アンリエッタが大鳳との関係を思い出していた直後に、横島も青木が返してきた『伝』の文珠が見せた夢で同様の情報を読み取っていた。
大鳳が自分を生きる価値もない屑だと思って落ち込んでいた時期があった理由を知り、怒り狂いかけたが、それを止めたのは愛歌だった。

「忠夫、葛葉伯爵様は既にアンリエッタへの応報の手続きは終えると言っていたわ。つまり今夜であの女は破滅に導かれると言っていたわ。そして忠夫にも協力してほしいって」

「そ、そうなのか」

 横島は本気で悩んだ。今は亡き師匠の能力高さを彼は誰よりも信じている。そして文殊で集めた情報によれば、葛葉伯爵死亡。後継者は彼が鍛え上げた良識的男性孤児らしい。
 作家としても大ヒットをいくつも出した彼が最後に発表したドッペルゲンガーシリーズの最後が今では女権国家で飛ぶように売れているそうだ。

「いったい何を考えているのやら」

 アンリエッタ皇女が突如行幸を停止して、政争に本腰を入れ始めて王国を従属させようとする派閥とのつながりを強め始めたという情報もある。恐らくは青木師匠が何かしたのだろうと彼は思った。





 その日の夜横島は不意に愛歌に起こされて、大鳳の精神世界に入る様に言われた。城にある仕掛けで客人の気配を感じ彼女たちを迎えなくていいのかと聞くと、愛歌は首を横に振った。

「彼らは大鳳くんを助けるために来ている治療者たちだから、その治療が終わった後で会ってお礼を言って」

「そうなんか。緊急事態なのか?」

「葛葉伯爵様の最後の遺言。一応大丈夫だけど、もしかしたら大鳳くんを完治させられないかもしれない事態が起きたら、知らせる仕掛けが動いたの。
この仕掛けが動いても大鳳くんの治療が処置が失敗した可能性は低いけど一応動けるときにすぐ動いてって」

「わかった。客人の方たちも了承済みのみたいだけどお詫びと礼を頼むで」

「多分彼女たちも了承済みだから大丈夫だと思うけどわかったわ」
 愛歌の返事を聞きながらも横島は眠っている大鳳の部屋に駆け込むと、愛歌とアルとエヴァの協力で彼の精神世界に文殊で『入』った。





 大鳳の精神世界にたどり着いた彼は、二度と会えないと思う人物がいる、青木仁だ。一目見て横島はこの青木は本人でないないと悟った。
彼はもはや生者でも幽霊でもない。多分青木の残滓やコピーに近い存在なのだろう。青木は横島を見ると落ち込んだ顔になった。

「あれほど格好よく分かれたのに、残滓に過ぎぬとはいえ再開とはな。本来なら大鳳の精神の負荷をすべて綺麗に燃却して、後始末だけお前に頼む予定だった」

青木の持つ剣からでる紫色の禍々しい黒紫の炎があまたの敵を切り払うとそこから黒紫の炎の化身の如きシルクハットの男が現れる。横島は彼を見て一目で何者か理解した。彼こそ青木が女権国家に広めた、モンテ・クリスト伯爵だ。

 彼は黒紫の炎に包まれた剣で禍々しい気配を纏う影の様な妖怪の群れを薙ぎ払いながら、笑う。


742 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:42:37 ID:AXpTmxZ/

「クハハハ! 良いではないか。自分の息子と等しき存在との再会だ!喜ぶがいい!」

 大鳳の精神世界であるせいかどこか大鳳を逆レイプした女性達に妖艶な気配を放つ影たちは恐ろしい程に強い。モンテ・クリスト伯が笑いながら幾つもの炎で作られた剣で敵を薙ぎ払い彼もそれに習おうとするが、
攻撃が今一通り辛い。それを見て青木が言葉を続ける。

「ここは穢れなき純潔の束縛の残滓と彼の快楽を望む帰還呪術などに反応する意識だ」

「それで俺はどうすればいいんですか」

 青木は横島の顔を見て安心した表情になった。

「彼女たちは俺が望んだ処置をとってくれた様だな。お前は一度魂までくだけるレベルの快楽を与えられて、再生された。これならもうあり得た来世の武器を使っても運命が引きずらないだろう」

 そういうと彼の手にある炎の剣から蛍火を思わせる火炎が生じ、その蛍火から出来上がったいくつもの剣が横島の周りをまわりながら敵をなぎ倒し始める。

「横島、その剣から生まれた剣でこの念を切り倒せ。お前のあり得た可能性の来世たちが大鳳と共闘したり、助けるときに使った剣だ」

「わかりました師匠」

 青木から受け取った剣で大勢の敵を薙ぎ払いながら、彼は初めて青木が女権国家で十年以上も過ごして女性に一切襲われなかった理由が分かった。
青木が生み出した横島が今振るっている剣に宿っている炎が原因だ。前にも説明は受けたが、この剣は原初の淫魔を殺しただけではない。
もう一つ大きな女性殺しの概念が宿っている。これは狂三とその子孫女権国家の女性達に対する天敵と言える力なのだろう。
だからこそ彼の人柄に惚れこんだり、大きな感謝の念を持った女性達も彼に異性として恋愛感情を持たなかった。
女権国家以外の国でも大勢の女性をほれ込みぬかせて大奥が出来上がりそうな行動をしても一切女権国家の女性に惚れられないというのは凄く便利だろうなと、
横島は思う。ある程度の恩を受ければマフィアでさえも、恩返しと引き換えの約束は絶対に違えない。絶対に裏切らない義理堅い味方を無限に作れたようなものなのだから。
それこそが彼が女権国家で伯爵をやっていられた理由だろう。 この炎は何なのだろう、その疑問を横島が抱いた時、丁度それにこたえようとしたかのように青木の言葉が響く。


「これを見ている大鳳の過去の快楽を思い出させて女権国家に呼び戻そうとしているものよ、無駄だ。大鳳が受けた快楽がどれほど強かろうとその記憶を私は消し去れる。
この剣はヒノカグツチの神の化身。そして俺が最初に振るった相手はリリスと言われる異世界における原初の淫魔の分霊だ。俺の書いた本が発売されたことでわかっているだろう。
ヒノカグツチはただ現象として、母である国の母である神の陰部を焼き死に至らしめたつまり、原初の淫魔の血を引き国の母としている女権国家の魔力の天敵なんだ。
そして何より大鳳の精神を蝕んでいるのは『女陰による快楽』ならば俺の力で焼き尽くせぬ道理なし」

 そういって彼がヒノカグツチから火炎を放射するごとにどんどんと大鳳の精神を蝕む魔物たちがなぎ倒され消えていく。モンテ・クリスト伯も軽口をたたきながら共に敵を倒していく。

「我が恩讐の炎にて邪悪なる魔性の女どもの記憶よ消え去れ。クハハ!」

 最後に青木がヒノカグツチを全開にして全ての敵を焼き払うと。モンテ・クリスト伯も黒紫の炎を全開にして大鳳の意識にあるすべてを焼き払った。そしてよどみが消えた後に青木は、笑って言う。

「モンテ・クリスト伯殿。精神浄化警備員の先輩として私の手腕はいかがでしたか?」

「クハハ! 幼き鳳凰の精神を再生させる技見事だった。これであの子供はもう快楽や呪術の影響で女権国家に戻りたいなどとは言うまい。
全ての火を司る神の化身たる剣を己が魂の一部となるほど昇華せしものよ、我が恩讐の炎も一部としよくぞ成し遂げた」

 そういうとモンテ・クリスト伯は黒紫の炎となるとそのまま姿を消した。二人だけになった後、横島は青木を自分の方に振り向かせた。そして気になったことを問い詰めた。

「師匠色々と感謝してますけど、なんで昨夜あんなことする指示をユウキに出したんですか。一応ガキのころ読んで入れ込んだ漫画汚されるって割と来るんですけど」

「さすがに私が相手でも簡単には許せんか。 何大鳳が受けた仕打ちを見ただろう。彼はあれが原因でお前に負い目を感じていたから、
お前が精神の世界に入れないかもしれないと思った。だからこそ、同じ状況で快楽に抗えなかった状態にすれば精神の同調もたやすいと思ったからこその処置だ。私が一時期ガーディアンをやってもらった、
ザ・ヒーローは愛する女の精神に入ったこともあるから、その記憶の経験上そうしたほうが良いと思ってな」

「そういう事情でしたかそりゃしょうがない」

「それではな、横島。アンリエッタへの応報が十分でないと感じるなら執務室にある文殊を見ておけ。愛歌殿にも伝えるように言ってはおいたが、機械が来たのでな。それではさらばだ」

 大鳳の精神が夜のいかがわしい店を思わせる桜と黒から綺麗な空へと変わったのを見て彼は安心して意識を外に戻した。





 横島が目を開けると彼は既に城主の間に戻っており、そこにはすっかり元気になっている様子の大鳳がいた。彼は笑みを浮かべて言う。

「忠夫おかげですごく元気になれたよ! ありがとうね」

「ああ、大鳳お前の精神はもう大丈夫か」

「うん、それとアンリエッタ皇女への報復とかやめてね。守り抜けるのが確定で王国もここまで盛り返したんだからこれからはみんなですごす方が大事だよ」

「そうか。だが悪女にもてあそばれるのは魅惑があるだろうし、またやられたいって気持ちが強いんじゃないか?」

 大鳳は力強く首を横に振る。

「もう、アンリエッタ皇女に対する未練はないよ。細胞全部焼き払って転生させてもらったのもあるけど一番の理由は」



大鳳の言葉を遮るように、ユウキの声が不意に響いた。

「忠夫〜、昨日大鳳を助けるための処置をとってくれた人たちがいまそっちに行くよ。時間がないから早く報告済ませたいんだって」

「わかった。大鳳後で詳しく話はきくわ」

 横島が答え終わった直後に扉がドンという音とともに開き彼らの視線がそちら移った。そしてティアナとリンネと翼を見た直後に懐かしい顔を見た。
彼らの担当教師だったアティだ。彼女は途轍もなく上機嫌な笑みを浮かべると横島に頭を下げた。

「久しぶりですね横島くん、いえ城主殿。城主となった以上は昔の様な態度で接するわけにはいきませんから。」

 それを聞き横島はよほど疑わしく見える人物なのだろうなと感じつつアティに返事を返す。

「いえいえ、昔あれだけ迷惑かけたし何よりここはプライベートな場所ですから昔どおりで構いませんよ。アティ先生。それとよくわからないけど昨夜大鳳の為に処置をとってくれたんですよね。ありがとうございます」

「そういってくれると思ったけど、一応は許可が出てからと思いまして、葛葉伯爵様の指示でこの城の防衛と学校での育成を任されたアティです。以後よろしくお願いします」

 それを聞いて横島の顔色が変わった過去に散々迷惑をかけた恩師が部下になるというのは何とも座りが悪い。
決して彼女に悪感情があるわけではないが、窮屈かつ距離感の取り方がわからない。それに対してアティが言う。

「横島くん、プライベートな空間では昔と同じで構わないと言われたからこそ言いますけど、貴方は自分の意志で領主となることを了承し私は既に部下となっています。
だからこそ、窮屈であっても乗り切って見せる、上手く使って見せるという気概を持って、俺が上司だ。従えって思いでいなければなりません」

 それを言われて横島も戦場で意識を切り替えるのと同じ要領で意識を切り替える。

「わかりました。アティ先生。いや、アティ殿。これから大鳳の護衛と精神的治癒と人材の育成をお願いします。
しばらくはあなたの役職に影響しない初期の取り決めのままことを進めるので、俺も訓練を受けさせてもらったり助言を求めることも多いと思いますがよろしくお願いします」

「お任せください領主殿」

 言い終わると横島は領主としての口調から、私人としての口調に戻っていった。

「しかし、青木師匠は召喚士でアティ先生と似たところもあったのに、全然アティ先生の下では俺の便かったな。それだけ怠惰だったということか」

「どちらかというと、貴方は天命みたいなものがないと覚醒しないタイプの生徒に見えましたから、最低限の指導しかしなかったのもあると思います。今の貴方を見ていると間違えてなかった様でほっとしました」

 ここまでは教え子の立派な姿を見ていた朗らかな恩師の顔だったが、不意に真面目な顔になり彼女は言う。

「領主殿、本日最後の役目として貴方に紹介しなければならない人がいます」

 アティの真剣な声に彼も身を正して彼女の様子をうかがうとアティは真面目な声で言葉を続ける。

「その、人物はとても信用できないでしょうけど、彼は葛葉伯爵殿が大鳳くんを護る為に連れてきた人です。今は私の召喚獣というより、伯爵風に言えば仲魔でしょうか」

 それを聞いた直後に彼は内心少しだけ驚いた。彼女がそんな風に前置きをするということはよほど疑われるような要素があるのだろう。だが青木が判を押したのなら問題ないと確信できる。


743 :名無しさん@狐板:2024/04/16(火) 23:43:59 ID:AXpTmxZ/






 横島と大鳳が話を始める3時間ほど前、大鳳は横島の意識が彼の精神世界に入り治療が完治した後、驚愕の表情を浮かべることになっていた。
治療に訪れた面々が警邏隊の幹部たちとアティだっただけではなく、アティが見慣れた召喚術を使った直後に現れたのが、アンリエッタ皇女だったからだ。
だが彼女の顔には悪女らしい気配は鳴りを潜めている彼女は笑いながら言った。

「初めまして大鳳くん、私はアンリエッタ皇女の善玉ドッペルゲンガー、アンとお呼びください。葛葉伯爵様が最後に残した、仲魔です。今はアティさんの召喚獣でもあります。
あの人が書いた作品、ドッペルゲンガーの最終シリーズ、悪女を殺してなり替わるんじゃなくて寝取って相手の男性と共に去っていくタイプのドッペルゲンガーです」

 そこまで聞いて大鳳は納得した恐らく彼女が残されたのはアンリエッタ皇女の対策としてなのだろう。

 そこまで大鳳が考えるとアンリエッタのドッペルゲンガー=アンが言う。

「貴方の中にあるあの女への未練を今夜完全に消し去ります。私はあの女と同じくらい貴方に執着していますから」

 そういって口づけだけで、完全に腰砕けになった彼の服を脱がせるとそのまま分身を一気に飲み込んだ。
初めてアンリエッタ皇女に犯された時と同じされど性悪ではなく、善良な気質の女性が送り込んでくる快楽に狂う彼の唇を口付でふさいだ後、彼女は言う。

「警邏隊の皆さん、協力お願いします。マフィアの淫紋の上書きをする要領で彼に快楽を刻み込んでください」

 そういいながらアンリエッタがしたのと同じ方法で彼女は穢れなき純潔の束縛を大鳳に刻んだ。

「私がかけた以上、あの女は自分を対象とした穢れなき純潔の束縛はかけられません。私は彼の安全が確保されて望むならいつでも解くのに協力します」

 アンリエッタのドッペルゲンガーである彼女はそこまでコピーされていたのか。驚く大鳳を他所にティアナがその豊かな乳房を押し付けながら彼の唇を塞ぎ優しく分身を飲み込んでくる。

「良く頑張ったわね。今までたくさんの人を助けたからもう休んでいいのよ」

 底なしの善意からくる甘やかす快楽に彼は何度も射精していき表情が完全に幼児退行しか始める。
それを見てティアナの甘やかしたがるスイッチが入り、何度も射精をさせられる。大鳳が完全に腑抜けた表情になった時に翼が変わる。

「ティアナ少し甘やかしすぎだぞ。 これだとどんな男性でも腑抜けになってしまう。大丈夫か?」

「あ、ああ?」

 焦点が定まらない彼を覗き込むと翼は笑みを浮かべて言う。

「今から正気に戻すぞ。行くぞ」

 翼に抱き着かれかつてない程の密着をされながら、分身を飲み込まれ。激しい快楽で彼の頭が僅かに正気戻る。アンが背後から彼を抱き乳房を押し付けると、翼が対抗心を燃やしたように腰を振る速度が上げていく。

「も、もうだめぇ〜」

 翼の中に射精した後、崩れ落ちる彼をリンネが受け止めて言う。

「大鳳さん、証拠はもう見つけられないけど我が国の皇族がごめんなさい。だから償いも込めて、完全に貴方を解き放ちますあの女から」

 リンネがそういって彼の上に乗り力強く彼を抱き込むと彼の意識が一気に落ちた。彼女相手にさせられた射精で彼は完全に壊れたようにすべてが止まる。そしてアンが笑いながら彼の上に乗り言う。

「かつての私と同じ快楽をあたえることができる私がいればあの女はもういらないでしょう。これが生まれ変わった貴方の初体験ですよ」

 アンリエッタに何度もやられた激しい嫐られる行為を再現されて彼が果てるとアティがアンと交代しティアナに似た甘やかす性行為で彼を堕とす。

「大鳳くん、さあ存分に溺れて堕ちてください。どんなに壊れたも戻せるヒーラーな召喚獣を用意していますから」

「あ、せ、先生」

 そういわれた直後にアティは腰をひねり彼にやや強すぎる快楽を与えると言った。

「こういう時は名前で呼びなさい」

 射精した直後の彼の分身をアティとアンの二人が乳房で挟みしごき始める。彼は何度も悲鳴を上げて喘ぐと警邏隊の面々もアティ達も燃え上がった。

「回復薬も山ほどありますし、完全にあの女の影響を消し去る為に上書きしましょうか」

「そうですね。大鳳くんの治療です」

 その後はただ射精を繰り返した記憶しか彼には残っていない。
 ただ最後に、アンに犯されながら、細胞一粒まで完全に転生してまた同じ女性に嫐られるのは奇妙なものだなと大鳳は思って堕ちた。






 執務室で事情の全てを聞いた横島は、アンリエッタのドッペルゲンガーアンを見ながらとりあえず折り合いをつけていた。

「そういう理由だったんか。調べてみたが、あの畜生皇女とは違って善寄りな性格見たいやしな。それで君の役割は」

「一応国家機密に類しない程度のアンリエッタと同じ知識や技術はあります。そして王族の知識なら大半は持ってます。あとはあの女(アンリエッタ)の思考パターンをトレースできるのであの女から大鳳くんを護る上で大変有力だと自負しています」

「だろうな。しかし善良なドッペルゲンガー程悪辣な本体を嫌うと、師匠の書いた物語で定義づけられたみたいだけど、本当にアンリエッタが嫌いなんだな」

 アンは心外だという風に首を振った。

「そんな嫌いなんかじゃありませんわ。私は本体のことが大大大っ嫌いです」

 そこまで聞いた後、彼はアンリエッタをこの城の参謀の一人で霊的防衛係に任命した。彼女のオリジナル皇女の精神のやばさを何となく把握したためだ。

 そして矢継ぎ早に指示を出す。

「アティ殿、青木先生、いや葛葉伯爵殿の狙いは、召喚獣とすればアンリエッタ皇女にアンが暗殺される可能性が減るという判断からだろう。
できるだけアンを死なない様に守りってください。最悪アンが殺されそうになったら断りなく大鳳やシノンやキャルと出奔してかまいません」

「はい♪」

 嬉しそうに答えるアティを見ながら、国境の警備に目を光らせるとティアナたちが決意を固めて、これも先生の狙いなんだろうなと思った。

「ティアナさんと警邏隊の皆様方。俺は良識派な女性であれば、女権国家の女性にも隔意はありません。ただし、
畜生極まる外道にも大鳳は目を付けられています。だからあいつの身がある程度危なくなったら、本人が嫌がったとしても、
穢れなき純潔の束縛の力を使ってアンに遠くに連れて逃げてもらうことになると思います。だけど大鳳と関わった良識ある女性達を苦しめたいとは思っていないので、
国境に畜生な女性が来ない様に守ってください。それと青木師匠が貴方たちに渡したらしい、この城への転移アイテムは休暇中であればいつ使ってくれてもかまいませんから」

「ああ。絶対に悪党外道を近づかせるものか」

 翼が力強く答えた。

 横島は本当に青木師匠は怖いと思った十数年も女権国家で男でありながら伯爵をやれていたのは伊達ではないのだろうな。そう感じながら彼は大鳳を護る為の作戦を立て始める。
女権国家で一度くらいは大きな内乱が起きるかもしれない。まさに大鳳は傾国の美少年だと内心でつぶやいた。そう考える彼の頭に文殊による伝達が不意に起る。





 アンリエッタ皇女は葛葉伯爵から送られた小包を空けた直後に今の大鳳の状況すべてと、自分のドッペルゲンガーとの情交の情報を得た。
そして彼女は良識派の女性達が大鳳を自分たちがいつでも会いに行ける、国境の王国領土から出さないためにあらゆる手を尽くすことまで読み取ったのだ。絶対に解かれないはずの穢れなき純潔の束縛が解かれるという事態が彼女を嫉妬の地獄に叩き込んだ。彼女の眼には恐ろしい程の情念の炎が宿っている。彼女はあの日の夜大鳳を共に嫐った一人のメイドを呼んだ。

「ア、アンリエッタ様、何の御用でしょうか」

「これから、あらゆる手段を用いて彼を確保します。最後の手段に出ることも辞さないので、オブサーバーに連絡を場合によってはあなたと契約するかもとお伝えください」

 その情念の炎を見て脅えるメイドが矢の様に駆け出して行った。



 青木の残した文殊で見た横島は十分にアンリエッタへの応報は果たされたが、当分は気が抜けないと覚悟を決めた王国と女権国家の戦いではなく、
王国と女権国家の良識的な女性達の派閥とアンリエッタが使う悪辣派の派閥の戦いに自分はまきこまれたのかもしれない。とんでもない宿題を残してくれたと師匠に毒づきながら彼は城主の間の執務室の机に座った。
諜報部としての戦いは終わり、これからは国境の城主としての戦いが始まるのだ。


744 :724:2024/04/19(金) 00:09:09 ID:EAUuRN4+
これは>>724から>>743まで投下したSSの女神転生if主人公な半分以上オリキャラな登場人物が各場面でなにを考えていたかのまとめです。
キャラのイメージが壊れる恐れがあるので人はすぐ下のアンカーから次に移ってください
>>745














おまけ 葛葉伯爵こと青木の思考と行動の遍歴まとめ


これはひどいの女神転生ifの横島に稽古つけて成仏しようと思ったら、今までの善行から神々になんか異世界でスローライフ送ってよいと言われた。
よしパラレル世界行ってスローライフ送りつつ、善行を積んであの世の玲子さんへの土産話増やすか。
                               ↓
なぜか過去の女権国家来てしまった。しかも男尊破遊魔術団とかが生まれる前の世界だ。操立てている男サイコーとか言って逆レしてこようとする女たちぶちのめしたらネロと知り合った。
しばらく中立派のオカルト警察やって、弟子の同一存在と会えたら、助けてやるか。
                               ↓
 ヒノカグツチの力使ったら一切言い寄られなくなったけど、弟子の過去調べたらユウキが割とひどいことになっている。
(玲子さんを助けてくれて同化に近い状態でしかも一時期玲子さんと意識を共有していた女神や仲魔たちも心痛めているし)←彼にとっては最重要事項。なにがなんでも助けてやるぞ!           
                               ↓
横島に稽古つけるためにあり得た横島の可能性である大鳳くんと数世紀も一緒に戦ってきた横島の転生体の集合体な神様をガーディアンにしたら客観視できなくなった。
大鳳くんにひどいことしたアンリエッタへの怒りが抑えられん。よし応報の化身のモンテ・クリスト伯の話広めて召喚して過剰報復にならない様に助言もらおう。
                               ↓
モンテ・クリスト伯呼んでその通りにしたら上手くいきそうだ。モンテ・クリスト伯さん、助言だけじゃなくて大鳳くんの精神浄化の手伝いありがとうございます。
モンテ・クリスト伯が言うには自分の行動ヒノカグツチの力を使ってないと女権国家でなくてもヤンデレ製造機なレベルか、本当に私は運が良かった。早く仕事終えてこの世界から去ろう
                               ↓
 女権国家で人助けしまくって、手に入れた人脈使って、王国に協定反して奪った土地返却派かつ良識派の女性達を大鳳くんたちを住ませる予定の城の通り道に配置だ。
私に恩のある貴族や権力者が協力的すぎて何もかもが簡単に進む。女権国家の女性は惚れていない恩のある男には理想的な報恩者だというのは本当だな。
あとアンリエッタ全然私を警戒しない。穢れなき純潔の束縛が解かれるとかありえないから無理もないか。
                               ↓
 大鳳くんを転生の炎で細胞一粒残らず焼き尽くして浄化したけど、彼があちこちで受けた快楽が強すぎて女権国家のまじないで意識を操作されて呼び戻されそう。
モンテ・クリスト伯と二人でもちょっとやばい。あんなに格好よく分かれた後で格好悪いが弟子を大鳳くんの精神世界に呼んで浄化手伝ってもらおう。浄化完了こんどこそさようなら。












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