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【R-18】Mシチュスレの引用スレ

1 :名無しさん@狐板:2020/01/19(日) 00:15:29 ID:bMTYbG3g



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当スレは某R-18スレの長文レス、SS、スレ主以外のAA・支援AAを投稿する場所です
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1082 :Ume made by machineD:2026/02/08(日) 20:42:59 ID:EilABuET
―マサキが隣にいない人間達の世界に疲れ果てたウメは、ベンチに座りうつむいていた。
足が自然にマサキと訪れた思い出のある居住区の公園である。
あの時と違い花も葉も散った裸の木々、そしてマサキもいない。
まるで変わってしまった風景にウメは虚ろな気持ちでいた。


「どーしたのウメねーちゃん、ひとりでうつむいてて」

「マサキさんはどうしたの?」

子供の声に反応して顔を上げると、そこには公園で遊んでいた子供達がひとりでいるウメを気にしてやって来たのだ。

『あ…みんな…』

「ヒマならいつもみたいに遊んでよー」

「ほらさ、ファイナルクエストもうすぐクリアできそうなんだよー、一緒に見る?」

男の子の一人が手にした携帯ゲームの画面を見せびらかしながらウメヘとつぶやいた。
派手なBGMとセリフとともに流れるゲーム画面を見つめるウメ。

『ぐはははは!!勇者よ、この大魔王ザータンには向かうとは愚かな奴らだ!!』

ウメの口からドスの効いたそっくりな声でヴィランのセリフが放たれ、手を振り上げた大げさなアクションを見せる。

「す、すげー!ザータンの声そっくりだ!」

『我が生贄となるがいい!!エビルビーム!!』

「うわーっ、逃げろー!!」

大笑いしながら逃げる子供達、それを声を模倣して手を上げながら追いかけるウメ。
そんな追いかけっこを続けながら子供達とヒーローごっこに興じるウメもまた、いつの間にか笑っていた。



「ウメねーちゃん、また明日ねー!」

『あはは、楽しかったっすよ』

「マサキさんとも仲良くね!」

『う…うん!そうっすね!今度はご主人といっしょに来るっす!』

複雑な気持ちだったが、思わずその言葉に力強く答える事がウメにはできた。
日が暮れて親の待つ家へと帰っていく子供達の後ろ姿を手を振りながら眺めていた。

―やっぱり、子供はいい。
さっきの男達みたいなやつらは嫌だが、明るくて何も考えずに楽しく笑い合える子供達がウメは好きだった。

そんな子供を自分はマサキと一緒にもうける事ができない。
その事にウメは思い悩んでいた。だが、子供は大好きだ。

―そうだ。ご主人の子供なら誰との相手だろうと愛せる。
その子供と一緒に過ごして、育み、見守りながら笑い合って暮らす。成長を見守る。
それができれば十分ではないか。それこそが自分の成すべき事ではないか。
別にいいじゃないか。ご主人の傍にいられる事こそが自分にとって最高の喜びなのだから。

…複雑な気持ちはあるが、ご主人との間に子供を産んでくれるかもしれない存在なのだから、
あのミカという女と仲良くやっていかなくてはいけない。どう接したらいいだろうか。
M10のオーナーが妻帯者だと聞いたし、彼女から色々アドバイスしてもらおうか?
そうウメは悩みながらも、その歩みと心は前向きだった。

そして、子供達と同様に、ウメもまた帰るべき家に、マサキの家に帰ってきた。

二人の男女の声が聞こえる。まだミカは家にいるのだろう。
何と言って帰ろうか、どう話しかければいいだろうか。
頭の中で模索しながら玄関へと近づく。



「―ねえ、マサキ君…あの子を手放す気…ないかしら?」



聴覚センサーに届いたミカのその声に、ウメの体は凍り付いたように硬直した。

「な、何を言うんだ!?あいつを…ウメを…手放すだって!?そんな事を…」

マサキの困惑した声が続け様に響く。

「最後まで聞いて、マサキ君。…貴方はあの子を連れていたら…地球に帰れない」

「…っ!?」


―自分がいたら、ご主人の夢は叶わない?


信じられないその言葉に硬直したウメはそのまま糸の切れた人形のようにがっくりと地に膝をついた。

既に日は落ち、夕暮れが終わり夜の闇が包もうとしていた。

1083 :Ume made by machineD:2026/02/08(日) 20:46:47 ID:EilABuET
「ど…どういう事なんだ!?ウメがいたらオレは地球に帰れないって!
 借金ならこのまま頑張ればいずれ返済できる!あいつと一緒に任務をこなしていれば!」

「マサキ君、あなたはこの星の開拓がどれくらい進んでいるか知ってるかしら?
 この星では各地に支配種とも言うべき危険な原住生物、ヒューマノイドジオアント…エイリアンが跋扈している。
 そいつらを駆逐して開拓を進めるには遺跡から発掘されたバトルロイドの力がまだまだ必要なのよ」

「…確かにそうだ…」

自分がウメと出会ってからいくつものエイリアンのコロニーを壊滅させて、安全地帯を確保し開拓地を広げてきた。
エイリアンの駆除に既存の技術力とコストで軍隊を出動させていたら、これだけのペースで開拓は進んでいなかっただろう。
そんなバトルロイドを手放し、無用な地である地球で遊ばせておく理由などないだろう。行政府が許す訳がない。

「…それにもうひとつ。マサキ君は、地球と植民星との関係が良くない事は知ってるかしら?」

「人並には知ってるよ。植民星の開拓が進んでようやく自立が可能になってきたから、
 今までの開発の支援を借款として徴収しようとしてるって。
 向こうからしたら自立できるまで金出してやってたつもりなんだろうが、
 この星の殆どの移民にとってはあっちの、地球の都合で追いやられたようなもんだ。
 安全な地球に居座り続けておいて、重税を取り立てようなんて皆納得してない。ふざけるなって感じだ」

「…そうよね。私だってそう思ってるわ。この星での各地を取材して望まずやって来て、厳しい環境で頑張り続けた人達をよく知ってる。
 この植民惑星ジオに住んでる移民、そして行政の人間達もほぼすべての人達が同じように考えてる」

ミカは遠い目をしながらつぶやく。彼女もまた、この星で苦労をしながら生きてきた人間の一人なのだろう。

「遺物、その中でもバトルロイドは対立が深まってる地球に対して、植民星が持つ明確なアドバンテージだわ。
 そんなテクノロジーが地球の手に渡る危険性を行政府は許さない」

「………」

マサキは思い出していた。イレギュラー事件が終わってからの軍や行政府からの自分、そしてウメに対する対応の変化を。
恐らく彼らにとってウメは大した評価ではなかったのだろう。だからこそ素人同然の自分に預け使い捨てても構わないような適当な扱いをしていた。
だがあの事件で評価が一変したのだ。バトルロイドの中でも有数の戦闘力と有用性を持った存在であると。
管理を厳重にすべし、安易にその情報を漏らすような、他所に無断で持ち出す事を禁じる、として監視の目が厳しくなった。
…となれば、なおさらこの星から手放す訳にはいかない存在だ。
自分はどうでもいいだろうが、ウメは絶対に…。

マサキは今になって理解した。自分の地球に帰りたいという目的と、ウメを所有し続ける事は両立しえない事である事を。
どちらかを捨てなければならない。地球への帰還とウメ。その両者が天秤にかけられている現実が目の前に立ちはだかった。

「―わかったでしょ、あの子と一緒にいたら…あなたは地球には帰れないのよ。
 ただし、軍や研究所の中であの子の評価は最高に高くなっている。
 だから、オーナーを解除して所有権を譲渡すれば…借金を帳消しにして地球で住む分の対価もきっと手に入る」

「そ、そんな…!オレにあいつを…ウメを売れっていうのか!?」

マサキは声を荒げてミカへと詰め寄った。その勢いにミカは一瞬うろたえたが、直後にマサキの瞳を見やる。

「マサキ君、貴方は何のために今まで危険な調査員として頑張ってきたの?
 地球に帰りたいからやってきたんでしょ?何年間もつらい日々に耐えて叶えたかった夢を、諦められるの?
 出会ってまだ1年も経ってないようなバトルロイドの為に。あの子は人間じゃないわ、機械なのよ」

ミカの言葉の一つ一つがマサキの胸へと突き刺さった。

「ウメは…ただの機械じゃない…あんな笑ったり泣いたり、怒ったりする様な奴を…そんな風には思えない…」

「それもプログラムでしょ…!生き物ですらないのよ!
 出会ってすぐにオーナーに絶対の忠誠を誓う、全てを肯定して好感度が最高になっている、
 まるで漫画やゲームの様な都合のいい存在、そんなお人形にベタベタされて、貴方はそれで満足なの!?」

ミカの目には怒りと嫌悪感が灯っていた。その態度に困惑しながらも、マサキは返す言葉がなかった。
普通の人間からすればどこまでいってもアンドロイドは機械でしかないのだ。
そしてもし自分が逆の立場だったら…もしミカに美形で最高の男性型アンドロイドがいたら男として何も思う所はないか、
そう思えば理解はできなくもなかった。何も口を開かない自分に呆れたのか、ミカは残念そうな目をして振り向いた。

「…マサキ君、私も…貴方と再会して本当に懐かしいと思えたわ。一緒にあの地球に戻れたら…って思ってた。
 ―私、帰るわ。現実を見て、よく考えてみてちょうだい」

待って、とマサキが言うよりも先に、玄関のドアを開けてミカは去っていった。
振り返る事のない後ろ姿にマサキはただ茫然とした。
失った地球での思い出が姿を消してしまう。そんな喪失感に囚われた。

バタン、と静かに閉まるドアの音と、遠ざかっていく靴の音を、静かになった室内でマサキは耳にしていた。

1084 :Ume made by machineD:2026/02/08(日) 20:50:33 ID:EilABuET
―どうしたらいいんだ?
自分は地球に帰りたい。その一心でここまで命をかけて、孤独にも耐えてやってきた。
母親を失って、地球を離れて、それから何もいい思い出なんてなかった。
自分の幸せだった思い出の中にいたミカと偶然出会って、ようやく幸せを取り戻せると思った。
もし、彼女と一緒に再び地球で暮らせるなら…やっと自分は幸せになれると思った。

―その代償はウメを手放す事。それを条件として、果たす事ができる。

手放すと言えばまだ聞こえはいいが、結局の所は売り飛ばすのと同義だ。
かつて自分が目の当たりにしたU-M83、ヤミと彼のオーナーであるヒロ・サイモンを思い出した。
オーナーの権限を譲渡し、自分のバトルロイドを金で売って、引退して悠々自適の生活を送ろうとした。
あれだけ尽くしてきくれたバトルロイドから人間の女に乗り換えるような事を恥もせずに吹聴して。

U-M83、ヤミはそれを認められず暴走してイレギュラーになって、
最後には鎮圧されてオーナーから拒絶される絶望を味わいながら機能を停止した。
あの時の表情は未だに目に焼き付いて離れない。できる事ならせめて元オーナーと言葉を交わさせてやりたかった。

―自分は、あのヤミと同じ様な仕打ちを、ウメにさせようというのか?

マサキは煩悶した。
ゆっくりとイスへと腰を下ろし、机に置かれている写真を眺める。
自分の幼少期の、母親と一緒に写った地球での写真。つらい時はいつもこの写真を眺めていた事を思い出す。
帰りたい、あの頃に戻りたい、そんな一心で孤独に耐えていた。

周囲を見渡すと辺りは静まり返り、ただマサキ一人だけがこの部屋にいる。
昔ならごく当たり前だったこの光景が、ひどく昔の事に思えた。

―この家がこんなに広く感じるなんて思わなかった。ウメが来てからはあんなに狭苦しく感じてたのに。
いつも騒がしくて寂しいなんて考えている暇はなかった。写真を眺めていたら、ウメが飛んできて絡んできた。

「…そうか、あいつにはオレが寂しく見えていたんだな」

ご主人!ご主人!と笑ったり怒ったり、泣いたりしていたウメの顔が頭の中を駆け巡った。
机の隅に、テープで修理したヒビだらけの写真立てがある。壊れたのを捨てるんだったら欲しいってウメが言ってきて、
やめろって言ったのにゴミ箱から拾ってきて飾ったものだ。
そこには居住区の公園で撮影した梅の花と一緒に写る笑顔のウメと、その隣に立つマサキの姿が映っていた。
ウメがご主人といっしょの写真、といつもニヤニヤしながらその写真を眺めていたのを思い出す。

―オレは、この笑顔が曇る所に耐えられるのか…?

―幸せになれるのか?あいつを捨てて。自分の悲願の為に、あいつを犠牲にしてそれで満足できるのか?




ピンポーン、という玄関のチャイム音が、マサキの意識を現実に引き戻した。

『マサキ君、ごめんさい、話があるの…いいかしら?』

ミカの声だった。戻ってきてくれたのかと思わずその声に反応し、駆けだして玄関のドアを開けて迎えた。

「ミカ、さっきはすまない…」

そう声を放った途端に、マサキは驚愕した。
目の前にいるのはミカではなく、ウメだった。
暗闇に灯る明かりの下で、ウメはうつむいたまま無言で玄関から中へと入っていった。

「ウ、ウメ…?どうしたんだ?さっきの声は?」

マサキは思い出した。ウメには他者の声を模倣できる機能がある事を。
普通に帰ってくればいいのに、なぜ自分を騙すような行動をした?
そして、なぜうつむいたまま何も言わない?
そのままゆっくりとマサキを押し出す様に部屋の中へと入っていく。

「ウメ、どうしたんだ?なぜ、何も言わない!?」

後ずさるような形で部屋の中央辺りまで来てから、ウメは静かに口を開いた。


『―ご主人、アタシを捨てて、あの女と一緒になるんすか?』


1085 :Ume made by machineD:2026/02/08(日) 20:52:25 ID:EilABuET
いつものウメとは全く違う雰囲気で放たれたその言葉がマサキの胸を貫く。
マサキは心臓を槍で一突きされたような感覚と、背筋が凍り付くような寒気を感じた。
そして直後に、確信した。ウメは先程の会話を聞いていたのだと。

マサキは何も言えなかった。雰囲気に気圧されたのか、自分でもその答えが出ていないからなのか。
そのリアクションにウメはうつむいて声を小さく漏らすと、口を開いた。

『―できるわけがないっす』

「―」

『ケッコンして子供が育っていくにはアイが必要だって、ご主人は言ってったっす。
 あの女が、ご主人を愛してる訳がないっす』

「いきなり、な…何を言って…」

壁にまで後ずさっていたマサキ。
壁際に据え付けれていたベッドにつまずく形で、尻餅をついた。
上を見上げればウメの姿がある。表情は髪に隠れてよく見えない。
ずっと大きく見える。自分よりも背の高いウメの威圧感を、初めて実感した。

『ご主人を一番アイしてるのは、アタシっす。
 ご主人が一番必要で、一番ふさわしいのは、アタシだけっす』

「ウ…メ…」

『ご主人も、アタシのコト、アイしてるっすよね?』

じっと心の奥までも見据える様な視線。
あの時と同じように、はぐらかす事の出来ない空気を感じ取った。
ウメは自分からの本気の返答を求めている。
マサキはただならぬ雰囲気に困惑するも、ぐっ、と拳を握ってウメの瞳を見つめ返した。

「…愛してるさ。お前は…もうオレにとって…かけがえのない家族になってたんだから…」

マサキの言葉を聞くと、ウメは動きを止めた。
そしてその直後、静かに、微笑んだ。

『やっぱり…ご主人は優しいっすね…』

―一瞬、マサキは、そのウメの表情が幼い頃に見た母親の表情と重なる感覚を覚えた。


『…ご主人、アタシとセックスするっす』

「―!?」

マサキはウメの口から放たれたその言葉に耳を疑った。

『ご主人とアタシにアイがあるなら、子供ができるはずっす』

「何を馬鹿な事を言ってる!?アンドロイドのお前にそんな機能がある訳がないだろう!?
 それに…オレはお前の事を家族だと、こど」

―言い終えるよりも前に、マサキの全身に電流が走る感覚があった。
身を乗り出して否定しようとした体がベッドへと沈んでいく。
手足が痺れる。立ち上がれない。手足が動かせない。

マサキの視線の先には、残渣の火花を散らすウメの尻尾状のケーブルが動いていた。
ウメはマサキの身体機能を電流で麻痺させたのだ。

『アイがあれば、奇跡は起こるっす。白雪姫も、ピノキオも、アイがあったからハッピーエンドになったんす。
 ご主人とアタシはケッコンして子供を産んで育てて、一緒に幸せに暮らすんす』

「ウ…メ…!」

狂ったとしか思えないウメの発言と瞳。
震わせる事しかできない手足を必死に動かし、拒否の姿勢を示した。
そして子供の様に思っていたウメの、情欲に染まった妖艶な顔と魅力的な肢体がマサキの眼前に迫っていた―。

(つづく)

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