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【R-18】Mシチュスレの引用スレ

1 :名無しさん@狐板:2020/01/19(日) 00:15:29 ID:bMTYbG3g



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当スレは某R-18スレの長文レス、SS、スレ主以外のAA・支援AAを投稿する場所です
それ以外での使用はお控えください

389 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:45:00 ID:oSDnTyKy
 これはひどい女神転生if 怠惰界編
これは女神転生ifと女権国家のクロスSSで>>355から>>372の続きです以下の注意があります。

@閨の中で圧倒できるとかそういうわけではないし(多分)女権国家の女性なら作中以外の方法でも対処できるとは言え、女権国家の女性の天敵めいたキャラが出ます。
Aこの話に幾つかの動物の習性が出てきますが俗説なので間違っている可能性もあります。
B横島の没になった可能性の高いヒロインが合体したりして出てきます。また応募されていないヒロインとも合体しています。
C北斗神拳の設定が女権国家世界のそれとは異なるかもしれません。
D天敵となる能力持ちの特性は多分本当だと思った話を採用しただけで、実際にはそういう人はいない可能性もあります。


 エヴァの閨房で横島は大人の姿になったエヴァに嫐られていた。飽食界を踏破して以来彼女の責めはねっとりとしておりどこまでも彼を堕とし込んでくる。 彼から大量の精液を搾り取り受け止めすぎて膨らんだ腹は、
暴食の後を連想させその膨らんだ腹を見るたびに自分は貪り食われているのだという実感が強くなっていく。

 魔石とソーマで回復を終えた後、彼女がゆっくりとオーカスと戦った時に受けた古傷をなめ始める。最初に一回下を這わせられただけで快楽によって動けなくなる彼を、容赦なく何度もなめることで彼女は嫐る。
そして彼が懇願するまで本当の絶頂は与えてくれない。毎回情事の終わりは脱力感でしゃべれなくなった彼が屈服すると、『分かっているぞ』と目で伝えてきた後に、牙かあるいは秘所で彼を完全にへし折ってくる。

 彼女は血を吸った後、魔術で彼を子供に変えると、加えこまれるように対面座位に近い騎乗位を受けて、自分の胸で押しつぶされる双球と首筋からの電撃、
そしてつながった秘所から与えられる快感に全ての精と気概を絞りつくされて立てなくなった彼を見下ろしながら、エヴァが子供の姿に戻った。 少女の姿に戻った彼女は、
再び彼を騎乗位で嫐り搾り取るが、大人の時とは違った侮蔑の表情が余計に彼を昂らせる。 少女の姿に戻った彼女は尊厳が壊れた彼を心地良さげに見下ろしていたが、まじめな表情に戻り口を開いた。

「飽食界担当の私が認めるお前は次の魔界に行く資格十分だ。 どうするそろそろ挑み始めるか?」

「は、はい」

 エヴァは朦朧としながらも頷く横島を魔法で回復させると、改まった空気になり、不意に説明を始めた。

「横島、今回の魔界怠惰界は今までの魔界と、試練の内容が大きく異なる。そして公平さを持つためあまり詳しくは言えんが、怠惰界の主は今までの主とは立ち位置が違う」

 エヴァのかけてくれた魔法で頭の調子が戻った横島は彼女の言葉を必死に聞き入った。

「怠惰界の試練はどれだけ長くお前が耐えられるか。それが重要だ。そして『乗り越えられれば』強くなれる。だがそれが凄く難しい。 さらにその試練の難易度は運によって大きく左右される」

「エヴァさん、一番簡単になっても楽ではないだろうけど、仮に一番簡単な状態になったらどれくらい強くなれる?」

「そうなったとしても確実に大きく強くなれることは間違いない。だが今はお前が考えるべきことは、試練を超えるために耐えることだ。『怠惰界』の担当者は本当に試練の与え方がえげつないぞ」

 横島はエヴァを見ながら珍しいものを見た感覚を味わっていた。彼女にしては本当に歯切れが悪い。かなり言葉を選んでいるのが見て取れる。 
少し悩んだのちに横島は彼女が最低限伝えたいことだけは分かったという意味で頷くと。エヴァが少し悩むと言葉をかけてきた。

「飽食界の主として聞こう。お前は怠惰界に挑む準備はできたか?」

「できました」

 エヴァは閨で負けすぎて敬語になっている答えを満足そうに聞くと横島の傷口を再び嘗めてきた。再び襲ってくる脱力感により倒れた彼をエヴァが大人の姿になって、抱き留めると胸に顔を埋めさせてくる。
何らかの魔術で鼻でしか息をできなくされた彼は、甘い果実の様なエヴァの匂いが脳を犯し始める。古傷とかした傷口をなめられただけで立つことすら困難だった彼は動くことがつらくなった。そして、
彼女に牙を手首に突き立てられると完全に快感によって動けなくなった。首筋に来ると、自分が堕ちる感覚がした。エヴァは横島を軽いぬいぐるみの様に持つと、ドアの外に向かって声をかけた。

「アリス、準備は整った。怠惰界の試練を与えて良いぞ」

 朦朧とした意識で外を見ると、アリスがいつのまにか来ていた。彼女は普段のメイドらしい態度ではなく、何度か見せた花の様な気さくな笑みを浮かべている。 疑問を抱く横島をよそに彼女は笑いながら言う。

「それじゃあ、忠夫怠惰界の試練に移りましょうか。 シャーリー、優曇華」

 アリスが声をかけると左右から二人の美女が現れる。片方は栗毛色の髪をした美女であり、強者ゆえの余裕とおおらかさが顔に現れている。脚線美を惜しみなくさらしており男の理想を体現した様なグラマラスな姿をしている。
もう片方はピンク色の髪をした少し気弱そうにも見える女子高生の制服に似た軍服に身を包んだ少女らしい外見の女性だ。シャーロットと呼ばれた方には劣るが女権国家の女性らしい男を悦ばせるのに長けた豊満な体をしている。

 横島は三人の獲物を見るような眼を見て本能的に拙いと感じた。今までとは違う何かがあると、思い怯えて下がろうとした。だがシャーリーと呼ばれた女性に手を握られると一気に抵抗するための力が体から抜け落ちた。
 疑問がる彼をよそにシャーリーと呼ばれた女性は笑う。

「私のフルネームは、シャーロット E イェーガー そして二つ名は韋駄天ウサギ。ご馳走様の由来となった韋駄天様の力もそれなりに使えるんだ。 最もこの世界のじゃなくて女権国家の韋駄天様だけどね」

 そこまで聞いても理解できない様子の横島に彼女は言葉を続ける。

「女権国家において男は女性に食われるもの。そして君はオーカス様の庇護を外れてアリス様達の恋人となることを了承したから、もう食べられるのから逃れられないってわけだ。それじゃあいこうか、旦那様」


 敬う心はなく親愛しかない朗らかな声で彼女は横島を抱き上げた。 エヴァが『勤勉のリング』を使うと怠惰界への封印が解けた様な音が聞こえ、そこから感じられる気が横島にはひどく不吉に感じられる。
嫌な予感に身震いする彼をいつの間にか部屋に来ていたマイが意地の悪そうな笑みを浮かべながら言葉をかけてきた。

「今回は私やエヴァは怠惰界の主であるアリスの助手だから、頑張って試練を乗り越えてね。 私は堕ちても耐えきってもどっちでも良いけどね」

 そこまで言われた後、アリスが笑みを浮かべながら言葉をかけてきた。

「今回の怠惰界の試練、貴方は乗り越えられないかもしれないけど、私はそれでも構わないから。シャーリー後はお願い」

 アリスの目と声の調子を見て横島の勘がこれは拙いと告げてくる。それを考える間もなくシャーリーが豊満な胸に抱きとめるようにして、彼を抱えると駆け始めた。
 テレポートで消えるアリスと優曇華を見ながら彼はおぼろげに思った。シャーリーに運ばれること自体に何か意味があるのかも、と。




390 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:47:37 ID:oSDnTyKy
は怠惰界に入ってから景色すら朧気にしか視認できない速さで駆けていた。彼女が不意に速度を緩め彼に、周りの景色を見せ始めた。 自然と城砦が一体化したような屈強な宮殿都市が目の前にある。 
どちらかという森の奥にある魔女の館などが極限まで立派になるとこういう風になるのではないかと横島は思った。 毎度のことだが、青木師匠の巡った魔界とは全然違うと感じた。
青木師匠がいた魔界は洞窟を思わせる鉱山であり、怠惰とハザマ・イデオがみなした者たちを強制労働させる場だった。彼の思考は不意に強力な悪魔達の気配を感じたことで断ち切られる。
身構えようとする横島を、シャーリーが脱力させる手つきで彼の体中をまさぐってきた。 愛撫を受けて思考能力が落ち切った彼にシャーリーは言う。

「アリス様の意向で、監禁施設であると同時に保護施設でもある場所がどれだけ強固か見せておくようにって、言われたんだ」

 横島はそれを聞きながら周りを見回した。森も城も相当に守りに特化している。これは戦争などで攻めには一切使えない代わり、守りに戦では敵軍にとって悪夢となる類の城だ。
もしも攻めざるを得ない状態に持ち込めば敵軍の兵力を大いに削れるだろう。 森と田畑が一体化したこの様子を見れば兵糧攻めも効きづらそうだ。

 そこまで考えたところでシャーリーにつれられる形で彼は、城の中に連れていかれた。
中身は魔女などが作ったような神秘的な部分もありながら人が好む都の城めいたきらびやかな洋館の様な内装を見ながら、横島はシャーリーに連れられながら城を観察した。

『少なくとも俺を害するような魔術的なものはないか。ただ異界の中にも他の異界に転移させやすいようなほころびが意図的に作ってある。 その異界もこの世界の主の支配下の異界の様だ。一体どんな試練が待っているのか』

 彼の思考はシャーリーが不意に立ち止まった事で断ち切られた。 彼女が立ち止まったのは大廊下の途中にある大きな部屋の扉らの前だ。
 彼女は佇まいを直すと、礼儀正しく扉を開けて部屋に入り横島を地面に下した。 横島の目の前には魔界でおなじみの魔界神の像がある。 
そして横にはマイがいる。彼女に促されるままに魔界神の声にまず耳を傾けることにする。

「飽食界の突破お見事でした。私の娘達を守り通し、選んでくれたこと心から感謝します」

 いつもとは違い改まった口調には初めて見る神としての威厳があふれていた。そしてその中には無条件で人を安心させる母親の様な温かさもある。 かの像の言葉をまじめに聞くべく見つめる横島に彼女は続ける。

「人というものは本来怠け者であり、楽しいことだけをしていたい。そういう方向に流れるものも多いです。例外もいるけど、そういう願望を全く持たないものは皆無と言えるでしょう。
 そういう誘惑に抗うために必要なものすべてを取り上げられてなお、それに抗うことは容易じゃありません。この魔界ではある意味怠惰なる主によって怠惰に落とされることに貴方は抗わないといけません。 
もしもこの世界で貴方が堕ちることになっても、私や娘たちは味方として貴方の意を叶えるように動きます。これはここの主に与するための甘言ではなく、恩があるゆえの約束です。この約束を覚えた状態でなお抗えることを祈ってます」

 神綺の像の発言を聞き、横島はますます恐れと不安が大きくなった。彼女がここまで言うということはこの魔界は相当にやばい気がする。

 神綺の像が崩れ落ちると、マイが話しかけてきた。

「忠夫、今回は私はこの怠惰界の主のサポートを色々とすることになったから。オーカス様の加護を辞退したあんたにはきつい試練になると思うけど頑張ってね♪」
 
マイの楽しそうな笑みを見て嫌な予感を覚えている彼に追い打ちをかけるように、シャーリーも笑みを浮かべながら言った。

「忠夫そこまで怯えなくても大丈夫だ。試練を超えられなくても、少なくとも『お前にとっては』悪い結果にならないから」

 そこまで言うとシャーリーは笑いながら城の主人の部屋へ横島を持って行った。

 怠惰界の主人の部屋は玉座をぎりぎり庶民でも親しみが持てるくらいでありながら、王の部屋と言われても通る程度に豪華な部屋だった。何よりも趣味の良い、インテリアなどが配置が良く彼を安心させる。
玉座にかけているアリスと左右にメイド服を着て控えているユウキとランを見て彼女アリスが怠惰界の主人なのだと、理解できた。
 アリスは笑みを浮かべると横島をシャーリーから受け取り、口づけをしてきた。シャーリーから受けた愛撫で脱力の極みにあったが、アリスの口づけから舌を絡められた時点で完全に体を動かす糸が断ち切られた様な感覚になった。

 アリスは笑いながらいう。

「忠夫、改めまして怠惰界の主アリス・マーガトロイドよ。魔女としての魔性をもって貴方を堕落させしめる、じゃなかったわ。全力で試練を与えるから乗り越えてね」

アリスは言葉を終えると動けなくなった横島を抱えて、寝室にトラポートした。

 寝台に置かれた横島は辺りを見回すと、業魔殿の寝室に僅かに似た場所に自分はいると気付いた。アリスは笑いながら服を脱ぎ始める。 今まで横島は何度もアリスに閨で敗北し嫐られてきた。
だが今のアリスは見慣れてなお美しく恐ろしかった裸体さえいつもと違う。 見ていることすら危険だという直感があったのに、いつの間にか体の中に入っていた糸のせいで目をそらさず見させられた。
 そして彼女は裸体を僅かに見た後敢えてそれを切った。 横島に自らの意志で目がそらせなくなっていると知らしめるためだろう。

 アリスは敢えて裸体の後ろから見せつけた後、回り彼の前で姿を見せるとゆっくりと近づいてきた。 彼の体中を愛撫しつくし射精できない状況にさせたのは僅かな時間でそれが終わるとあっさりと、彼を飲み込んでくる。

「あ!〜…」

 強すぎる快楽に悲鳴を上げたのは一瞬で、それ以降は声すら出すのがやっとになり、最後は完全に言葉も発せなくなった。
アリスは絶えず笑いながら彼の顔を胸で覆うと、腰を密着させ亀頭を自分の奥に飲み込み母親が赤子を撫でる様な手で頭をなでながら、時に魔力を送り込み思考力を奪っていく。

 アリスの許可が出て射精した瞬間、一気に体中から力が抜け、代わりにアリスの指から出てきた魔力でできた糸が彼の中に入ってくる。 アリスは乳房に顔を埋めた彼を見下ろし彼が堕ちていく姿を魔女らしい妖艶な笑みを浮かべている。
 アリスが彼を押し倒し、決定的な何かを始めようとしたとき、ユウキが軽くアリスを小突いた。なぜ小突かれたのか疑問がるアリスに彼女は言う。

「アリスまだダメだって。試練の内容の説明もしてないし、教えてないと訓練にも何にもならないでしょ」

 ユウキの言葉を聞きアリスは初めて思い至った様な顔になり、やや与えてくる性的快感を緩めそれでも安心させる手つきで頭を撫で、脱力させながら言葉をかけてきた。

「え、ええ、そうね。ごめんなさい、忠夫。 この怠惰界の試練は私と配下達が与える怠惰に堕とそうとする快楽に耐えきること。 そして耐えきった時に貴方は多くの能力を得ることになるわ。 
ただし快楽に敗れて堕ち切った時、この世界から出られなくなるから。それが今回の試練よ。そして試練の起源は軽子坂高校の生徒たちの誰かがここに来るか、貴方が自分で怠惰な堕落を跳ねのけるかよ。後者は無理だろうから、頑張って攻略されるまで耐えてね」


391 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:49:45 ID:oSDnTyKy

 最後の言葉と共に口づけをしながらアリスは容赦なく彼に与えてくる快楽を戻した。緩急の中で一切級のない柔らかい緩しかない甘く柔らかい快感が強くなりその快感の中で射精すると、霧がかかったように意識が朦朧とした。
冬の疲れ切った時に好きなだけ眠って良い時の布団の中にいる様な感覚がしてひたすらアリスに弄ばれ続ける。このままでは拙いという意識と恐怖があったがそれすらもアリスの柔らかすぎるからだと密着している場所から抜け落ちていき、
射精の度に危機感が出ていくような感覚がする。恐怖が大きくなっていくがこの恐怖がなくなった時が自分が完全に負けた時なのではないかと彼は思った。

 アリスは自分の与える強すぎる快楽に彼が屈服していくのを笑いながら、インプであるユウキとランに指示を出し始める。 そしてシャーリーと優曇華の二人にも魔術で何らかの伝令を送る。



 ジンはリグルとの戦いを終えた後、飽食界を超えて怠惰界に来ていた。 この世界の敵たちは、基本的には寝取り趣味などはないらしく、彼らに対しては正面から挑んできている。
 トランプが舞うと現れるトランプのマークを身に着けた。女性兵士達など不思議の国を思わせる敵や、生き人形などのモンスターは妖艶で美しく、男を捕らえ連れ去っていく光景も多くみられた。 
魔法を得意とするもの、武具を得意とするものそういった兵隊たちと、切りあいを繰り広げた。クローバーの兵士たちは植物を操る他、金属や魔術で強化された棍棒を駆使してくることが多い。スペードの兵士たちは剣を持つものが最も多く、
ハルバードなど騎士が使ってくる武器を使用してくる。ダイヤの兵士たちは剣なども使うが一番は高価な使い捨ての札などを多く使ってくる。 ジンたちが一番遭遇する率が少なかったのはハートの兵士たちだ。他の兵隊の支援に訪れるか、
他の男をさらおうとしているところに遭遇したぐらいだった。彼女たちは僧侶の様であり、奇跡と似た神聖魔法を多く使ってくる。また聖騎士や僧侶が戦場で使うようなハルバードや棍棒薙刀などを使ってくる。誘惑系統の魔術に最も長けているが、
ジンを誘惑はしてこなかった。寝取り趣味のないところがこういうところにも表れている、と彼らは思った。

「ジン、この魔界も一筋縄ではいかないようですね」

 マハジオンガを唱えながら自身も剣を銃を振るう玲子が彼に声をかけてくる。

「ああ。そうだね。玲子さん」

 戦いながらジンはトランプの兵士たちの猛攻を避けてジャックランタンとジャックフロスト、そしてグリフォンとケルベルスに指示を出しながらかける。 敵を薙ぎ払い進む途中で、スペードの兵士団の中から見知った顔が現れた。

「トゥルダクさん」

 目の前の二刀流の剣を振るう髑髏姿の冥府の使いは間違いなく横島の部下だ。何度も手合わせをしたからこそ間違えるはずがない。以前よりも遥かに力を増していることがその立ち振る舞いだけで分かった。
今までの襲撃とは明らかに違い、戦う前に対話を求めている気配がする。 ジンは玲子を見ると彼女も対話に応じることに異論なし、と瞳で伝えてきた。 ジンは剣を構え、質問をした。

「俺に何か頼みたいことがあるんでしょう。なんでしょうか」

「ジン殿、我と一騎打ちをしてもらいたい。 貴殿が勝利したならこの怠惰界の攻略を我も手伝おう。最後までとは約束はできんが」

 それを聞きジンの顔色が変わった。トゥルダクは横島と共に敵が圧倒的に強い戦いを潜り抜けてきた猛者であり、ジンの仲魔達と比べれば頭一つ抜けている。しかし、彼の意図があまりにも読めない。
死神や冥府にかかわる悪魔は一部を除けば、人格者が多い。この悪魔は、慈悲深い閻魔大王の従者である以上その例外に当てはまる可能性は低いだろう。事実何度も手合わせをして、彼の性格の高潔さはジンも知るところだ。 少し悩んだスレに彼は口を開いた。

「いいでしょう受けて立ちます。 戦いが終わったら、話せる範囲で構いませんので事情の説明をお願いします」

「承知」

 そういうとトゥルダクが両手の剣を構え、ジンが流星の様にかけると彼の首を狙い切り込んだ。その一撃をトゥルダクは右腕の剣で楽にではないが防いで見せた。その瞬間ジンの顔色が変わった。

『やばい、片腕で俺の剣を受けられるか。これじゃあ、絶対に仕留められるとき以外に全力の攻撃を仕掛けたら反撃されて切られるかもしれないな』

 そう考えた瞬間、トゥルダクの左腕の一撃が彼に迫った。紙一重ではないが、決して楽にかわしたとは言えない回避を成功させると、彼は剣を構えた。

『さて、俺はスピードタイプの剣士だから、力強い二刀流使いには不利だ。二刀流は力が分散されるが、それでもあの力で切られると危ない。 何より、横島さんとも日常的に模擬戦していた彼に、騙し合いで勝つのは難しいだろうな』

 考え終わる前にトゥルダクが二刀流を振り回しながら彼に迫ってきた。 彼はとっさに剣を構え最高の速度で下がり始める。 仮にこの光景を武術の知識はあっても実践をあまり見たことがないものがみれば、奇妙すぎると思っただろう。
 明らかに熟練の剣士でありながら隙だらけで意味のない空振りを繰り返すトゥルダクに、同じく手練れの武人でありながらそれを警戒して下がるジン。 トゥルダクは空振りを繰り返しながら本当に切り込んでくる幻影すら見えるフェイントを連続して繰り返している。
ジンはユウキと同タイプの敵の意を感じ取り読みかわしながら切る剣士であるが故にそれが効きやすい。そして一手間違えれば負けるかもしれない。

 追いつかれたジンはトゥルダクより先に攻撃を仕掛けて辛うじて主導権を握りつつ、激しい圧力をかけている。 激しい攻めを見せているのは、ここで怯えたような対応をすれば、向こうに主導権を取られるという確信からだ。
 フェイントだと分かり切った上でも、飛び越えるには勇気を要する剣撃の雨をかわしながら、彼は自分からも苛烈な剣撃の雨をトゥルダクに浴びせる。

『何かがかかっている状態で、負ける可能性のある相手との一騎打ちってこんなに神経がすり減るものなんだな。多対一の戦いは短時間だけやったことがあるけど、練度が低いやつも混じっている多数より強い一人の敵との一騎打ちの方が厄介だな』

 『本当』に打ち込まれていれば、確実に重傷を負っていた一撃の幻覚に僅かに神経をこわばらせながらも彼は曲芸師の様な動きを高速でこなしながら切り込み続ける。トゥルダクの方が下がってはいるが、今敗北に向かっているのはジンの方だ。

 格上との戦いと修羅場をくぐった数で守りに長けたトゥルダクの剣技は、速攻で型をつける速さに特化したジンには相性が悪い。トゥルダクの守りに特化した二刀流の守りを崩せずジンは息を切らした。
フェイントだと分かっていても飛んでくるのではないかという気疲れと、隙を見せれば逆転の一太刀が飛んでくる重圧はかなりのものだ。 疲労から自分の速度が落ちているのではないかという疑念が僅かに浮かびかけるたびにより速く動き自分の怯懦を黙らせた。

 トゥルダクもジンの剣撃の嵐の速さと鋭さに驚嘆していた。そして、少ししくじったかもしれないとも思う。彼の目的はここでジンに成長してもらうことが一番で、二番目はその上で自分を倒し怠惰界の主を倒すのに協力させてもらうことだ。
 ジンは自分が似て非なる経験を味わった戦いを思い出しながら、それでも初めてのプレッシャーに苦しめられながらも、大きく学んでいる。 だが今回は自分が勝つ可能性が高くなってきた。

 トゥルダクが傲慢界にいた頃よりはるかに速く鋭くなった彼の斬撃をここまでうまく捌けるのは、ユウキとの訓練を何度も重ねたからに他ならない。 息を切らし始めたジンに玲子が声をかけてきた。


392 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:52:08 ID:oSDnTyKy

「ジン、欲張りすぎですよ。 ここで負けたところで全てが終わるわけじゃない。この魔界では最悪は訪れる可能性はすごく低いのだからもう少し気楽に剣を振りなさい」

 ジンはそれを聞き、時には自分以上に自分を理解しているパートナーの言葉に従い意識を切り替えようとして、目の前のトゥルダクが敢えて仕掛けてこない意思を見せていることに気づいた。
 油断を誘って不意打ちそういう類を好まぬ敵であることは嫌というほど知っている。

『彼は、俺に強くなってほしいと思っている様な節もあった。 恐らくはこの一戦で何かをつかんでほしいのか?』

 そこまで考えるとジンは風神剣を構えなおした。考えるジンに玲子の声が響く。

「ジン、得るものがなまじ大きいせいか、普段の貴方じゃなくなってますよ。土壇場まで追い込まれたときに見せるあの、危機感を持ちつつ意識してそれすら楽しむいつもの顔を見せてください。
それにここで負けても与えられるリスクはせいぜい怠惰界の攻略が困難になるだけです」

 その玲子の言葉を聞きジンの中で何かが吹っ切れた。そして玲子の言いたいことを理解する。そして彼は意識したわけではなく自然と、笑みに近い気楽な表情になっていた。

「はは、そうだった。そうだった。 所詮負けても失うものは微々たるものだ。トゥルダクさん醜態をさらしてすいませんでした。ここからはいつもの俺で一騎打ちさせてもらいます」

 そういうとジンは一気にトゥルダクに切り込んだ。思い切りの良い一撃を受けて今までより強い圧力を感じながら下がるトゥルダクは次の瞬間、僅かに驚いた。 
ジンは意図的に紙一重で反撃を防げるギリギリの隙を作りながら、切り込んできている。
トゥルダクがそれを見越して切り込んだ瞬間、彼は回避しなかった。正確に言えば、トゥルダクが本来狙った場所とは違う場所を浅く切らせて、トゥルダクのカウンターにカウンターを合わせてきた。
 ジンにも軽くはない傷がついたが、トゥルダクが受けた傷の方が重い。
 彼は後ろに下がり魔石で完全ではないものの傷を癒すと、再び切り込んできた。
 フェイントが通じなくなり、正確に言えば通じていてなお、彼の動きの掣肘と誘導ができなくなったトゥルダクは、懐に飛び込んできた彼の体術を受けつつ刀の柄で殴り返したが、
直ぐに彼に離れられてしまった。 調子に乗ったジンは様々な距離から幻覚が見えるフェイントを何度もかけてきたが、
トゥルダクは長年の経験から正確に真の一撃だけを見定めて、冷静に防ぎ、自身も真贋混じった斬撃の雨を返している。

 ジンの方が総合的にみれば能力は勝るにも関わらずトゥルダクの守りに長けた経験の高さの為に攻めきれない為に攻防は長引いた。
拳などの体術や攻撃を当てているのはジンがほとんどだが、疲労で速度が落ちれば負けることを考えると、決して有利とはいえない。 

「本当にきつい。手練れのあくまでも騙したフェイントを何度も見破られて自信が、ボロボロですよ。横島先生と日常的に手合わせしてりゃそうなるか。俺よりあの人の方が騙し合いじゃ上でしょうしね」

 軽口をたたきながらも、自然体で足に神経を集中し、トゥルダクの打ち込みをかわせるように彼は構えている。そして本当に危ない一歩手前くらいの隙を作りながらトゥルダクが切り込んでくるのを待つ。 必須ではないが数秒は休みたいと思ったが故だ。
そして本当に切り込まれたときに逆に返し技を放つためでもある。 守りに徹されている方がトゥルダクに勝てる可能性は低い。

 トゥルダクも攻めに転じることも可能だが守りに重きを置いた構えをしながら軽口を返してきた。

「自分で思っているより下手ではないぞ。我も実をいうと何度か騙されかけたり、騙されていたのも数度あった。 ただ騙された後の対処を年の功でごまかしたから気づかれなかっただけでな。
本当に騙されたときのことが未だにばれていないということは、我も化かし合いでも捨てたものではない様だ」

 そういいながら剣を滑らかに動かしながら、幾つもの剣が放たれた錯覚にジンは威圧感を覚えながら考える。 今の発言は本心だった。だがそれすらも彼を悩ませる話術でもある。  

 トゥルダクは再び剣を回しながら彼に近づいてくる。彼は悩みながら思う。

『今まで自分は、速さで敵を攪乱できていたが、こういう手数が少ないパワー型の相手は本当に厄介だ。9割以上来ないと分かっていても、万一を考えていけない時もあるし、普通の敵より遥かに疲れる。 たやすくできることじゃないが、体力が尽きる前に決めるしかない』

 決断を下したジンが一切ためらわず弾丸を思わせる踏み込みでトゥルダクに切り込んだ。

 迎え撃とうとしたトゥルダクは剣が届きあう距離の直前に、天狗を思わせるほどに速く高く飛ばれ頭上を取られると、剣の引き起こす風を感じ、即座にその風に合わせて自らの剣を受けに回す。
大きな金属音がすると即座にジンが左側に着地して離れた位置に着地する気配が感じ取れた。 彼は地に足がついた直後でさえも動きがほとんど滞らせずに渾身の一撃を放ってきた。切りあい距離が開いた瞬間に今度は彼を追いかける。
 あまりに距離を空けると思いもかけぬことをされるかもしれない。そう思うほど、玲子の助言を受けて意識を切り替えたジンは油断がならない。

 トゥルダクが動きを読み工夫を尽くしどうにかジンに追いつき、彼に何度も切り込むと大半はかわされた。彼の早すぎる斬撃を防ぎながら、トゥルダクはこの戦いで初めて、全力の攻撃を返し技以外で放った。
ジンはそれを辛うじてかわすと、笑った。おそらくは一度で良いから、達人クラスの守りから、上手程度の腕しかない攻めに転じさせるのが目的だったのだろう。彼が一撃をかわし間合いを広めた瞬間、トゥルダクは考えるより先に距離を詰めようとした。
その時ジンが逆に前に出てきて、これ以上近づけば剣の間合いでなくなる間合いを作り出した。ジンの剣に意識を集中した瞬間、トゥルダクは予想を超えた一撃を受けた。ジンがオーカスと同じく蹴りを放ってきたのだ。


393 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:53:40 ID:oSDnTyKy

 トゥルダクがその一撃を防御できたのは運でしかなかった。蹴りは隙を作りやすい。オーカスがやったような多対一で放つというのは普通は愚行の極みであり、一騎打ちなら確実に当てられるときだけなら、やっても良いかもというぐらいだ。
だが、直前のジンの動きが僅かにオーカスと似ていたから、意識の隅で万が一の可能性を考慮した為にとっさに左腕が動いた。オーカスは完全に防がれること前提でその上で、フェイントと分かっていても相手を縛れる楔を打ち込むためだった。
ジンのこの蹴りはそういう意図もあったのだろうが、確実に自分を倒そうとした一撃だ。完璧に近い受けをした後でも左腕が刹那の間とはいえしびれた。そこにジンが足を地につけたのとほぼ同時に風神剣の斬撃が飛んできた。

 受けきれずに左腕の剣を落としたトゥルダクはジンの斬撃を何度か防いだ後自分から距離を詰めてきたジンにやや強引に拳を当てて距離を、取ったもっと深い一撃を当てることも機会も多分あっただろうが、
警戒が強くなる前に確実に当てられる状態の内に一撃を見舞った。 拳の一撃を受けて、意識にそれが焼き付いたジンは当たる可能性は低くても接近戦を忌避するようになった。そしてトゥルダクは防ぎきることを放棄し、
切られたうえで一刀流になり威力の高まった一撃を彼に当てることに変化した。 距離を詰めることを今の一撃で忌避し始めた彼は守りを崩しきれずにいた。だが戦況の硬直ジンがどんどん有利になっていきながらも、
万が一の逆転の危惧は消えない状態は不意に終止符が打たれた。

 トゥルダクの視界から僅かに離れた瞬間にジンが覚悟を決めた状態になり一気に彼が切り込んだ。そしてトゥルダクは予測していなかったらしく、勝負に来たと僅かに遅れて悟った直後に一手遅れた状態で最善の対処をしながらも最後は討たれた。

 勝利した後、不可解そうな眼を向ける玲子に彼は説明した。

「お互いに読みあっていて硬直したら、賭けに出てみるのも手だと横島さんが言っていましたからね。 勝率が七割くらいと思っていたら、明らかにもっと後でもいい時に攻めてみれば意表をつけて8割くらいはいけると思いました」

 最も下手すると読まれて直ぐ負けてしまうけどと、彼はつづけた。

「今回は負けても良い戦力が一つ手に入らない程度のリスクだしやってみても良いかなと」

 倒されたトゥルダクが立ち上がり、言葉の続きを話す。

「お互いが頭の中で読みあうような戦いの図面が出来上がったような状態で敢えてそれを壊しての全力での攻めか、あそこで蹴りを受けきれればもう少し面白い盤面が続けられたかもしれんがな」

 そういいつつ、トゥルダクは結局は、執念の差が大きかったと思った。もしも自分が譲れない線を賭けていれば、即座に再起動して食らいつきあそこまで一方的な負けにはならなかったかもしれないと。 
勝っても負けても良い戦い、だがジンの方もそうだったが、彼の方が負けられない理由は強かった。トゥルダクは少し考えると口を開いた。

「貴殿らの仲魔になることはできないが、この怠惰界を踏破することに協力しよう」

 トゥルダクの言葉を聞き終えると、ジンは少しだけ気になるような様子で言葉をかけた。

「トゥルダクさん、あなたが俺たちに力を貸す理由って何ですか?」

「なぜそれを聞く?」

「横島さんは特殊な立場にいるせいか様々な干渉を良くも悪くも受けています。でも俺は、飛びぬけて強いという自覚はあるけど、ここで訓練を受ける道を選んだ軽子坂の生徒たちとあまり変わらないと思います。
今まで特殊な干渉を受けた生徒はいなかったはず。怠惰界だから、怠惰にさせようとしているとも考えたけど、それなら立ち会う理由がないでしょう」

 そのジンの問いにトゥルダクは感嘆したような空気を出し、答えた。

「ありていに言ってしまえば、ここの怠惰界の主、正確に言えばその主の横島殿に対する愛し方が我は気に入らない」

「それだけですか?」

「それだけだ。 私にとっては主君たるマイ殿よりも好感を持っている上司に対して籠に入れようとしている。 もっと言えば主人を護る番犬であり猟犬でもある存在を愛玩犬にしようとしている」

「そこまで気に入らないんですね」

「ああ。愛の形はそれぞれ。だが我の基準ではあの愛し方はあまり感心しない。それを見越したのか我が主君はこの怠惰界に限っては他のサマナーに味方しても良いと言ってくれた。
『我の同僚』であるジャックフロストとジャックランタンも私と同意見だが、怠惰界の主にも情が移っているからか、中立になったがな」

「分かりました。 協力しましょう利害は一致しています。彼が堕ちてしまったら、東京を護る戦力も大ダウンですし。
そうなったら、せっかく家族仲良く過ごしせるようになった玲子さんの家庭がまた離散とか起こるかもしれませんし」

「やはり惚れた女の為にがむしゃらに頑張る男は見ていて美しいし、気持ち良いものだ。だからこそ、過保護すぎる女権国家の女にも困ったものと思うのだがな」

 後半の口調は棘があったが宣言した通り相手を嫌っているのではなく、相手の所業に怒っているだけの様に見えた。 トゥルダクは柔らかい声音に戻るといった。

「中盤辺りにもう一人協力者がいる。 その人物はすごく強い。ただ実力が足りないと少ししごかれるかもしれん」

ジンはその言葉に頷くと、怠惰界を歩み始めた。


 アリスの城にとらわれた横島はひたすらに甘い快楽を与えられて脳がぐずぐずに溶かされていた。 多分一時的とはいえ、マイから譲られて魔女であるアリスの使い魔と化したインプのユウキとランも彼を容赦なく嫐る。

 ユウキとランが容赦なく彼の分身を胸に埋め尽くし視認できなくし、アリスが彼を糸で無理やり倒れさせずにいる。 射精の度にことさら聞こえるように嗤う二人の顔を見させられながら横島は意思力が一気に削られていく感覚を味わった。

 アリスが不意に呪文を唱えると彼を成人の形態に戻し、彼の胸板で自分の乳房を潰しながら腰を激しく密着させ動かしてくる。 口づけを受けてどんどん欠けた何かを埋めるものを無理やり流し込まれる彼に口づけをやめると彼女は、
少しだけ顔をだけを離し体をくっつける。柔らかくみだらな彼女の体のせいで何も考えられない彼を見下ろし彼女は心底楽しそうに笑う。

「忠夫、女性閨ごとばかりしていたら、弱くなっちゃうって心配しているでしょう。大丈夫よ。 まじめに鍛錬するよりは少し劣るけど、いつでも貴方の体を戻すことはできるから。
 人形の魔女である私は英雄の語り手で劇による再現者。 あなたの前世の力を再現する魔力を送っているから」


394 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:54:53 ID:oSDnTyKy

 笑うアリスにユウキが言う。

「忠夫、でも横島家の当主としてそれでいいの〜? 前世の再現ってことは君は一生ベッドの中では惨めすぎるペットとして一生を終えることになるんだよ〜。 こんな風に」

 射精した、横島から離れたアリスは彼を後ろから抑えユウキとランの前に差し出す。申し合わせたように二人の足が彼に分身を嫐ろうとする。
だが嫐られるより先に、二人の足があまりに上手く刺激してきたために彼は二人の足を真っ白に染めてしまった。

「ははは! 忠夫ごめん。こんなに君がベッドの中で弱いなんて、あるいは足でしごかれて興奮する変態だったなんて予想外過ぎたよ。 ご先祖様たちが泣いているよ。でもまだ良いかな? 
一応お尻で一番強く勃起するよりは足の裏の方が人間らしいかも。猿から猿以下の変態人間への進化おめでとう!」

 ユウキの心底楽しそうな嘲笑のこもった言葉に対して男として一矢報いようとした瞬間、アリスが彼の口を口でふさいできた。

 口づけで再び脱力状態に落ちた彼を子供に戻すとアリスは言う。

「ユウキが言い過ぎて、ごめんなさいね。主人である魔女として謝るわ。もっと気持ちよくしてあげるから少し待っていて」

 アリスが横島の体に光でできた糸を流し込み、横島は人形の様に動きながらユウキを組み伏せた。 体制こそ男性優位だが、何度も彼女が達するより先に射精を繰り返し、ユウキは笑いながら言う。

「忠夫まだ、僕イけてないよ。男として勝てなくてもせめて相手を満足させようよ」

 逃げかけた彼の腰を後ろから叩き、無理やり奥に分身を加えこみながら彼女が言う。倒れた彼を見下ろしながらユウキは言う。

「一度達することができたし、弱い者いじめしてもしょうがないから、しばらく休んでいいよ」

 アリスの糸からマグネタイトを補給され、回復したところにランが覆いかぶさってきた。子供となった彼の顔を胸で包み込みながら彼女は言う。

「妹がごめんなさい。ユウは昔から貴方を好きになるほど、ベッドの中では意地悪になる悪癖があるんです。でも最初は心が痛いでしょうけど、その後の私やアリス様との性交が癖になり、最後は悦びしか感じなくなりますからご安心を」

 ランの説明を聞き顔を赤くしたユウキは横島の視界が胸で完全に防がれているのを見てほっとした。



 ランに何度か抱き込まれるような形で精液を搾り取られた後、アリスとユウキとランが三人がかりで彼の分身を愛撫し始めた。アリスの手が亀頭を撫でユウキが玉袋を揉みしだきランが竿の部分を撫でまわす。
射精の度にそれぞれが位置を交代し、彼に飽きをこさせない。 途中から寸止めを繰り返され、それが終わるとアリスが再び騎乗位をしてきた。
揺れる胸の揺れを見せつけて、絞った後。 背面騎乗位に切り替えた。そして尻を見せつける様な形で絞りながら彼女は言う。

「やはりまだ乳房よりお尻の方が大きくなってしまうみたいね。 エヴァも助けられて嬉しかったせいかやりすぎたわ」

 そのアリスの言葉をユウキが笑いながら否定した。彼女が足の裏を見せると彼の分身が余計に強く反応し始める。

「それは違うよエヴァさんのせいじゃない。忠夫は屈辱的な性行為が好きすぎる変態だから。今僕の足を見て大きくなったから、足に一番興奮するようにするしかないんじゃない?そうすれば足の裏を見る機会は少ないから対面は守れるよ」

 笑顔で男の尊厳を二重の意味で踏みつけてくるユウキによって分身が激しく硬くなることに情けなさを覚える彼をアリスが抱き留めて、甘やかすように再び搾り取りながら言う。

「ユウキそれくらいにしておきなさい。忠夫、恥ずかしくて嫌?」

 男としての対面上、横島は頷いた。本心ではなかったが、そこまで嫌というわけでもない。ただあざけられると悦んでいる自分がいるのが何となく悔しいと思うところもまだある。 誘導された答えにアリスは笑いながら言う。

「それじゃあ、エヴァと違って本格的に人間に戻る治療に移りましょうか」

 そういった直後に、アリスは離れるとまだ固い彼の分身を乳房で分身が挟んだ。アリスの胸の与える快楽に悶える彼をアリスは自分の胸から出る亀頭をなめ始める。みっともなさすぎるほどに悶える彼をアリスは愛おしそうに見ている。
しばらく嫐りぬいた後アリスの狙い定めたような舌が彼の分身の急所を突くと、一気に彼の意識が砕け散った。とてつもない量の精液をアリスが飲み下しアリスの魔力が大きくなっていく。その状態の横島にランが優しく忠告に入る。

「忠夫さん、あなたが出せば出すほど、この怠惰界の敵は強くなっていくから救助が遅れてしまいますよ。もしかしたら、難易度が上がって軽子坂高校の生徒たちが心折れてしまうかも」

「今自分を助けようとしている相手の足を引っ張ると聞いて興奮したね。 女性の部位より屈辱感と背徳感が一番なんだね。君は」

 本来男性優位の奉仕である口淫をされながらもひたすらアリスの人形の様に好きな時に射精させられ女性に勝てないという意識がどんどんと募っていくのを彼女は達は笑いながら見ていた。




 ジンと玲子は無数のトランプの兵隊たちを切り払い疾風の様に駆けていた。トゥルダクが加わったことで信じられないほどに戦力が上昇している。正確に言えば、トゥルダクが加われば、総合的にみれば戦力が上がるとは思っていたが、
ここまであっさりと彼がなじみ見事な連携もできるとは思っていなかった。 横島の戦い方とジンの戦い方が似ているというのもあるのだろうが一番は大きいのは一度一騎打ちをしたというのが大きい。
お互いに殺す気はなくても、死んでも仕方ないぐらいの気持ちで打ち合った経験は互いを深く理解させた。この死んでも帰ってこれる軽子坂高校でなければできない方法だったとジンは思う。 だが死んでもガーディアンが憑き戻ってこられるこの状態も、
女権国家の悪魔達の前では危ない。特に怠惰界では、捕らえた男を堕落させるのを好む悪魔達が快楽で堕ちた攻略者たちを愉しみながら連れ去っていく。
巣に一度連れ去られた男は二度と戻ってこれないだろう。 トランプのスペードの女騎士が剣を構え彼に切り込み。様々な形状の棍棒を持ったクラブの女兵士たちもそれに続いてくる。



395 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 19:56:54 ID:oSDnTyKy
世界では殺しても大したダメージを本体に与えることはないと分かってはいてもやはり、見目麗しくそして邪悪ではない女性を攻撃することはストレスが大きいと感じながらジンは複数の敵を切り払った。
棍棒の兵士たちは棒術の棒みたいなもの以外はジンには触れられもしないと割り切ってか、剣を合わせた瞬間に太い棍棒が飛んでくる。またはジンの行動を誘導するための避けられる前提の一撃が多い。
玲子が魔法で全員を強化しトゥルダクとジンが切り払う。

 切り払われたトランプの女性兵たちは色を出すとそのまま消滅していった。 さらに大小さまざまなトランプが現れそこからハートやクラブ、ダイヤ、スペード様々な兵士たちが攻めてきた。 全ての敵を切り払い、
一番奥に到着すると今まではとは一線を隔す大きな闘気を彼らは感じ取った。 ジンはこの気配を何度も味わったことがある。自分に基礎の部分だけとはいえ、北斗神拳を伝授してきた闘神ジャギだ。 
ジンは風神剣を構え、トゥルダクと共に彼に近づくと、途端に彼が手刀で切り込んできた。風神剣で受けた瞬間、まるで剣を受けたような感覚がなり、吹き飛ばされかけた瞬間、トゥルダクが彼にジャギに切り込んでいた。 
二刀流ではなく一刀流なのは、トゥルダクの剛力をもってしても、両腕で打ち込まなければ牽制にもならないという考えからだろう。 
ジンは鉄の様に固くなったか体で、トゥルダクの剣すら受けたジャギにフェイントをかけるのはやめて一刀に全てをつぎ込んだ。 
一太刀だけならトゥルダクにも意識を割かれたジャギと互角になれる。ならその瞬間に勝負を決めればよい。 ジンの全てを駆けた一撃はジャギの腕を超えて首筋に届いた。 
勝利を確信したジンは、次の瞬間それが驚愕に変わる。ジャギは首に闘気を集中させて、剣を受けぬいた。 心折れかけながらも彼は迷わず剣を振るおうとし、そこでジャギの一撃が彼に直撃する。
 ジャギは倒れたジンを平均点よりは上だが、やや足りないと断じた教師の様な目で見下ろしながら言葉をかけてきた。

「決断力と、そして心折られない意思力は見事だ。だが想定外の事態が起きた時の立ち上がりと洞察力の低下はいただけなかったな。 俺はわざと首で受けたんじゃなくてあの時点では純粋にお前が上回っていた。 
本当はあんな受けやらずに済むのが一番なんだ。 ただその後で実力差を見せつけられて、俺が余裕で受けたと勘違いしただろ。おかげで距離を取ろうとするとすぐ読めたぞ。
 お前の癖不利な時は引く、逃げるは武人として間違っちゃいない。 死にさえしなければ次があるからな。だが、間違えればチャンスを逃しはするそれを忘れるな」

 師匠らしいジャギの言葉を聞いた後、ジンは少し悩んでから口を開いた。

「ジャギ師匠がトゥルダクさんが言っていた今回の怠惰界の協力者ですか?」

「ああ。その通りだ」

「理由を聞いても? トゥルダクさんと同じ動機ですか」

「それもあるがな、一番は横島の奴への義理だ。 長い話になるが聞くか?」

 ジンは玲子の方を見た。許可を求める視線だったが玲子は頷くだけでなく言葉も返してきた。

「私も知りたいです。 女権国家のある世界から来た方々はこちらに不義理はしていないし、隠しているというより話さなくてもいいから黙っているだけに見えます。
ですが、これからさき一緒に戦う仲間のことだし一応知っておきたいと思います」

 ジャギは少し考えると口を開いた。そして横島が傲慢界を踏破前にアリスから受けた説明と横島の立ち位置について彼らに話した。

「――。ここまでは理解できたか? でないとこれから先の話も理解できないが」

「ええ。大体わかりました。女権国家という天然サキュバス最強サキュバスの群れみたいな国家の一部の、外道がその国と離れた場所で大勢力持ってその時のこの世界の神話とかの情報が向こうに中途半端に伝わって、
こっちの世界に女の天敵がいるって認識が広まり、それで向こうの世界に女殺しの魔物が生まれて、横島さんはずっと輪廻転生の間その魔物達から好かれすぎるとやばい女性たちの盾になって、好感度上げまくってたと」

「ああ。あいつの嫁さんたちは基本的にはあいつの意に添うように動いている部分もある。だが、今回の女は魔女としての本能『男を堕落させ虜にしたい』に従って動いている。
他の女たちは、堕ちたならそれもまた良し、と考えているし本気で堕とそうとはしている。だがあの女は横島に対して過保護なところがあった。
そして理性が強いから女殺しの魔物との戦いのときはあいつをしまってしまいたいのを我慢していたが、オーカスとの戦いであいつが重傷を負ったのがきっかけで、
甘やかしつくして堕落させたいという魔女の本能が爆発しちまったらしい」

「それはまた」

「女殺しの魔物の活動が殆どなくなる休息期に横島を堕落させるような遊びをあいつらはやっていたが、その際の伝承が広まった際の分霊を取り込んでかなりガチになっているな。
あの女の思うとおりになるとこの世界にも愛着や義理ができている横島の奴にはろくな結末にならん。ぶち壊すとしよう」

「分かりました」

「それと俺は今回は道中は手伝わん。ただボスの部屋までついたら俺に全部任せて構わねぇぞ」

 ジャギの言葉に頷くと彼はそのまま駆けだした。その彼の後ろに向けてジャギは言う。

「別にそこまで急がなくても良いぞ。まあ、一回ゲームオーバーになるかもしれないが、あいつならどうにかなる」

「は、はい」

 ジャギの言葉に若干の疑問を抱きながらもジンは先に進むことにした。


 横島はあれから何度も様々な状態で性行為で搾り取られた後、自分が意識を失ったことに気づいた。 そして気が付くと自分の体が、小学生くらいまで若返らせられていた。
その横島の近くに恐らくは前世の自分をモデルに作られたと一目でわかる人形があった。見れば見るほど、その人形は高性能だと自分の中の観察眼が告げてきている。それを見終わる前に、人形の横に立ったアリスが言う。

「これから荒事等はこの子がするから貴方はただ怠惰に快楽を貪りつくして」

 そういうとアリスが彼に口づけし、メイド衣装のユウキとランが何やら魔術を唱え始める。


 不意に彼は異界の中の異界にいることに気づいた。 目の前にはアリスを幼くしたような少女がいる。彼女は間違いなくアリスだ。そして左右にはユウキとランに加えて優曇華とシャーリーが控えている。

 アリスは子供になった横島に同じ子供の体で抱き着きながら口を開いた。


396 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:00:19 ID:oSDnTyKy
「不思議の国にようこそ、横島。ネバーランドと同じく永遠の少女の楽園で白騎士の役をこなしてね」

 アリスがそういい、世界そのものを紹介する様に手をかざした。アリスの手の先に偶然いたユウキとランは前とは違った衣装に変わっている。ユウキは少し騎士らしいスペードの刻印の入った衣装に身を包み、
ランは少しだけ騎士に近いハートの刻印の入った聖職者らしい衣装を着ている。

「やっぱりインプ形態だと主人の影響が大きいね。アリスが子供状態になったら僕達も不思議の国のトランプの兵隊よりになっちゃたし」

 そういいながらユウキはスペードのマークの付いた柔らかく心地よい生地でできた手袋の付いた手で彼の分身をしごき始める。

「ユウ、別に悪いことじゃないでしょう。主人によって能力が変わるという使い魔は便利で、色々な方法で彼を愉しませられるじゃない」

ランも同じくハートのマークの付いた手袋で彼の玉袋をやさしく揉みしだく。

「〜〜!」

 声にならない声をあげながら射精する彼を二人は笑いながら手で何度も射精させる。

「忠夫、頑張って不思議の国を踏破しないと、どんどん元の世界に帰るのが遅くなっちゃよ。 こちらの時間は向こうより早いから元の世界に帰るまでに何度絞られるか分かったものじゃないからね」

「踏破の方法については、ひたすら快感に耐えてギブアップと言わずに進んでいくことです。頑張ってくださいね♪」

 ランはユウキ以上にえげつない快感を与えながら応援する笑顔で言ってきた。

 あえぐ横島を見ながらシャーリーが笑いながら言う。

「頑張って不思議の国を踏破しよう。 一応後付けとはいえ、子供の味方になったウサギとして協力してやるから。でもその前に快楽に負けて永住したくなるのはお前の自己責任だからな」

 はつらつとした笑顔で言う、彼女の言葉に恐怖を覚えると、横でピンク色の光を放つ目を輝かせる優曇華が言う。

「正式にはまだ名乗っていませんでしたね。私は、鈴仙・優曇華院・イナバ。気軽に優曇華と読んでください。女権国家の不思議の国の三日月ウサギが変わったものです。できれば永遠に子供のまま、お茶会のつまみであり続けてくれることを願います」

 怪しく美しい輝きを見せる、彼女の瞳に恐怖を覚える中、シャーリーが笑いながら言った。

「正式な名前は名乗ったけど、私の由来は言ってなかったな。 私は女権国家の不思議の国のアリスに出てくる白ウサギが元ネタだったんだ。
 アリス様が子供たちに食料とか提供する際にこの飢えた子供たちの為に不思議の国のアリスのウサギみたいに走って食料を運ぶようにと言われて、使われるうちに韋駄天ウサギになったんだ。 
これから嫁さんたちが、貴方を『食べたい』と思った時によく顔を合わせることになるかもね」

 不思議の国のアリスは女権国家にもあったらしい。怯えながら下がろうとする彼を彼女は笑いながらつかんだ。

「それじゃあ、次の食べられる場所に行こうか。 大丈夫不思議の国の出口にも近づくから」





 ジンは怠惰界の半分近くを踏破したと感覚で理解できた。途中で出てくる大半の敵を切り払い、何度も苦戦しながらも彼らは多くの敵を薙ぎ払った。多くの敵を切り払い、
小休止に入る時、偶然近くで休む形になったトゥルダクがこれ幸いという様子で、小声で彼に声をかけてきた。

「ジン殿、そろそろ私は離脱するかもしれません。怠惰界の最後まではお供できそうにない」

 それを聞くとジンは無言で頷いた。 トゥルダクは足手まといにはなっていない。むしろ主力といってよい。だがその上でこの発言は彼が犠牲にならないと駄目な様な道があるのだろう。

 ジンは周囲を見ながら警戒しつつ走った。もうすぐで何か恐るべきことが起こる。そう思った直後に長い廊下の向こうに大きな気配を感じた。

 ジンは努めて雰囲気を変えない様に気を付けながら戸を開けた。トゥルダクがあそこまで小さい声で言ってきたということは、気づかれないことが重要なのだろう。気づかれたら彼を無駄死にさせてしまうかもしれない。

 ドアを蹴破るとそこには横島の人形があった。だが何度も手合わせしたことのあるジンは一瞬で、これは今生の横島を模して作ったものではないと気づいた。 風神剣を構える、彼に自衛以外では戦闘に参加していなかったジャギの言葉が響いた。

「何個前か忘れちまったがアリスが正妻だった前世だな。多分だがアリスを正妻にした最初か二回目だったはず」

 それを聞き終わると、ジンは風神剣を構えた。霊波刀などを強化する類の文字の刻まれた刃のない剣の柄。あれは間違いなく、横島の霊波刀を強化する類のものだ。そして両方に穴が開いているということは双刃刀としても使用可能なのだろう。 
ジンは状況を分析し、かなり不利であることに気づいた。この人形は普通に戦った時ですら手強い。だがかつビジョンが見えないわけでもない。 しかし、ここは守りに長けた魔女の領域であり、かなりの量の魔力の供給をこの人形は受けている。
しかも前世の横島の全盛期ということは今の横島より霊波刀を具現化する速度なども速いだろう。 いきなり双刃刀に切り替えられたり、様々な事態を想定して動かなければならない。
幸いにしてこちらが一定の距離に行かなければ仕掛けてはこない様だ。風神剣を前に出してかけようとしたところで、ジャギから助言が響いた。

「今言ったが、それはアリスが正妻になった忠夫の前世を再現した人形だ。その時の横島は一つを極めようとする感じじゃなくて、一流や、一流一歩手前の二流という形で少しでも多くの畑の技を学び、アリスに合わせる支援を考えていた。 
それでアリスの旦那となってからは自分の幾つもある前世の技を再現しまくって、アリスを護っていた。 速さ型によった万能型だ、体術と剣と魔術だけは、一流の中でも上手い方だったな。 あとは一流の中では下手な方とか、一流一歩手前の二流どまりだった。
あくまでも素の技術は、そうだってだけで、前世で英雄となった時の再現をアリスの術でしたときは再現率はそれなりだったぞ」


397 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:01:31 ID:oSDnTyKy

 そこまで聞き終えると、ジンはトゥルダクと二人で駆けだした。仲魔達に自分か赤根沢玲子の指示があるまでは、守りに徹し援護などはしない様に命じ、横島人形にゆっくりと近づいていく。
 仲間同士で庇いあい補いあう戦いの形で入ってしまえば、いきなり仲魔が脱落すると形が崩れてしまう。そして、この人形はある程度安全を確保してからでないと、本来足手まといではない程度に実力が劣る仲魔すら即殺されてしまいかねない。
 玲子に敵の手の内が見えてかつ、実力が劣る仲魔も死なない程度に戦況が硬直するか、隙が出来たら援護の開始を求める旨を視線で伝え彼は距離を縮めだした。 ジンは人形の動きを観察し読みあい始めてから、槍の間合いの辺りで、自分が突かれる姿を幻視した。
 身構えていなければ刺される、という確信を覚えた。大げさに防いでいたら他の手で切られていた、という確信がある。

 ジンは長い柄を見ながら恐らくあれは様々な武器に具現化できるのだろうと、確信しながら足に全神経を集中させた。 決断を固めたジンに、トゥルダクが叫ぶ。

「ジン殿、我と戦った時に玲子殿から助言をもらった時と同じ心持で戦えばよろしい。そしてあなたの戦い方から色々と学ばせてもらった故、忠義の示し方も定まりました」

 そういうとトゥルダクは二刀流を構えた。フェイントなどをしないのは、完全に騙し合いでは目の前の人形に勝てないと割り切り、全ての神経を返し技に徹すると決めたからだろう。

 ジンは読みあいをしばしした後、不意に決断を下し速攻で切り込んだ。彼でもめったに見せない程の速度の一撃を、横島の人形は日本刀に似た霊波刀を柄から具現化させて受け止めた。 
トゥルダクが即座に二刀流を構え、援護に入り二人係で切り込むと彼は一瞬でジンとかれ横島の人形との舞踏に混ざった。 ジンは知らないことだが、ここからの戦いは天狗を相棒に横島が二人係で彼の前世の一つと戦った時と大分似た形になっている。

 横島の人形はとの戦いは彼らにとって困難極まった。この人形は横島の前世のデータから作られているためか、錯覚を見せるほどにフェイントをすごく上手く使い、さらには握られている、
霊波刀の具現力を高める柄のもう片方の方からも霊波刀を出して双刃刀として刃を振るったり、あるいは横島の人形の使う剣めがけて剣を振るった際に、不意に刃を消すなどして彼らを大いに混乱させた。
そして、ジンはかつてないほど荒々しく打ちかかり、何度も剣撃の乱舞を繰り返しながらトゥルダクが自分と共闘した理由を理解した。

『なるほどな。こりゃトゥルダクさんもこういう人形がいることが分かっていたら、俺みたいなのと組まないと勝てんと断ずるな』

 横島とトゥルダクは純粋な剣の稽古でも横島の方が勝率が高いという。その理由はトゥルダクの剣は速さではジンより劣り、横島相手にも劣る。だが圧倒的な膂力と先読みで相手の攻めを崩す剣技に長けている。
速さではジンよりやや劣ってもフェイントと読みあいで勝ちやすい、横島には崩されやすいのだ。逆にジンは横島から吸収しているとは言え、生粋の速さのおかげでフェイントを磨く必要がなかった。
だからトゥルダクには読まれやすく、速さ自慢の剣を合わされやすいから、トゥルダクが勝ちやすい。しかし、横島相手には若干速さで勝っており、速さ任せで手数で圧倒する戦いになれているため、フェイントを潰しながら打ちかかれるため勝ち目がある。


 トゥルダクは本当に必要な時にだけ重い斬撃を放つ。そして放つ必要がないときは牽制を繰り返し横島の人形にプレッシャーをかけている。 そして彼の行動で横島の人形は万一を考えて動いているため、ジンが悪手を打った時に致命傷になることもない。 
ジンは横島人形に拳を打ち込んだ直後にしまったと思った。霊気を込めて生物を殺すより、単純な物質破壊の方が人形には効果的だ。 失策を悔いた次の瞬間、横島人形が彼に拳を返してきた。そしてそれを受けた時、ジンの顔色が変わった。人形の拳は魔力が霊気や気を込めた一撃とほとんど変わらない拳だった。

『なんだこりゃ。 本気でやばい威力だ。 だが気を込めた拳を打ったてことは、人間がこういう拳を打った時と同じくらい隙ができるはずだ。なにせこの人形の本質は【英雄の動きの再現】なんだからな』

 手首の先からだけでも上手く振るえば風神剣の切れ味はすさまじい。 横島の人形の首か肩を切ろうとしたら、案の定人形は多少無理をしてでもそれをかわしに移った。 
そしてその隙をつきジンが魔石を使った直後、トゥルダクが不意に二刀流の片方の剣を捨てて一刀流になり、横島の人形に切り込んだ。 横島の人形は即座にそれを受けて鍔迫り合いになった。  硬直状態になった直後トゥルダクが叫んだ。

「ジン殿、今のうちに先に進め!」

 それを聞くとジンは即座に頷いた。

「玲子さん今のうちに通り抜けるぞ」

 玲子もその言葉に頷き即座に通り過ぎた。

 ジンたちが奥に進む通路に行くとトゥルダクはその通路の前に立って正眼にやや近い、返し技重視の構えをとった。

「こうなればそちらから攻めざるをえまい。 我は返し技に関しては最高峰の剣士だ。普通の勝負ならまだしも、そちらが攻めに固定されれば勝つことも不可能ではない」

 横島の人形はいら立ちもなにもせず霊波刀を構え、凄まじい量のフェイントを織り交ぜた攻撃を嵐の様に仕掛けてきたが、トゥルダクは守りに徹せる状況から何度か軽い傷を受けつつ守り切った。
向こうがこちらを倒しジンたちを追わなければならない状態。そして時間の制限、時と地の利が味方になったことで横島の人形に勝てる。


 トゥルダクと別れたジンは無数のサキュバスやトランプの魔物や妖狐、天狗、魔女、人形などを相手取りながら、あの横島の人形が来ても有利に戦える地形、玲子の魔法でごり押しできる場所に来ると一旦、休みジャギの方を見ると問いかけた。

「ジャギ師匠、トゥルダクさんは勝てると思いますか?」

「勝負はいつだって決着がつくまではわからねぇよ。ただ負けの可能性よりは、勝ちか相打ちの方が大きいと思う。 横島の奴は女尽流(めしんりゅう)なんていう流派を立ち上げただけに、基本的には相棒の女に合わせて強くなったケースが多い。
あれはアリスという色々な人形を使う彼女に合わせられるように器用貧乏を極めた前世だ」

「それならあのまま袋叩きを狙えば簡単ではないけど勝てましたかね?」

「難しいと思うぞ。あの前世の特技は相手に合わせることと守りの戦いだから、自分から事態を主導するのと攻めは若干下手なんだ。だから、あのトゥルダクの判断の方が正しい。向こうに対処させる方向で行ってしまうと、こっちの動きに合わせて対処されて逆に負けていたかもしれない」

 ジャギは手を貸さないといったが、アドバイスを求めるとそっちに関しては直ぐに答えてくれた。 ジンは少し考えたのちに進む方を選んだ。 トゥルダクが負けたか勝ったかはわからないが、どちらにしろ彼は義理を果たしてくれた。もしかしたら決戦が長引いたら合流してくれるかもしれない程度に思っておいた方が良いだろう。


398 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:02:59 ID:oSDnTyKy
ジンが去ったあと、トゥルダクは本気で攻勢をかけてきた横島の人形の剣を捌きぬいていた。一刀流になったことで、重すぎる一撃を放てることで逆にフェイントの効果が上がる部分もある。
オーカスとの戦いで学んだことが存分に活きていた。横島の人形の剣を何度も受ける。防がれた回数が一定になった時、横島の人形は不意に霊波刀を構えるとジンが最速の一撃を放つときに似た構えをとった。 
横島の人形はそのままジンの最速の一撃に僅かに届かぬ、速さの一撃を彼に放ってきた。 本来は予測できてなお、敵に重傷を負わせる返し技は不可能な一撃だ。
トゥルダクは守りを捨てて相打ち狙いですらない一撃を放った。命を絶たせて骨を切るそれくらいの交換をするその一撃は彼の計算を崩す。 トゥルダクは自身が致命傷を負いながらも人形が崩れ落ちかけるのを見て内心で笑う。

『これで良い。この人形もここまで壊れれば修理に時間がかかろう。 あるいは壊れるかもしれない。修理されずともこのまま彼らを追うかもしれないが、その場合はそこまで脅威ではない』

 自分が消滅する可能性も考慮しながらも、トゥルダクは笑った。自分が消滅するよりは『今』のアリスに横島を委ねる方が嫌だという思いが強い。
この人形くらいの物はそう多くない。難所は多いが、ボスの元にたどり着けないほどの脅威はもうないだろう。
 トゥルダクは自分の深手を見ながら考える。

『大体回収して再生してもらえる可能性は2割くらいか。 まあ、この戦いも女権国家に放送されて記録されるなら我が種族の底上げにはつながるだろうが』




 時間はさかのぼりトゥルダク達が横島の前世の人形と戦い始める前、横島は不思議の国で多くの女性に弄ばれ尽くされながら、最後の最深部らしき場所に来ていた。
 彼は途中で鏡の国のアリスを思わせる様な場面にも出くわし、アリスに白騎士として自分を護ってと言われて、赤騎士と化した夢子と滑稽な決闘をさせられた。

「それでは一度でも、私を達せさせることができたら貴方の勝ちということで」

 そういった彼女に押し倒され何度も瞬殺され絞り出させられてしまい意識が何度も飛んでしまい。それを見て笑うアリスとマイ。

「白騎士様は毎回一方的に負けて滑稽ですね。一度達せさせるまで何回負けるか数えましょうか」

「赤騎士様が強すぎるとしてもあれはさすがに、演技だよね。あんなに早く行っちゃうなんてかわいそうだもん」

 子どもの姿になったアリスは口調もいつもの淑女らしい口調から子供らしい口調に変わっており、その罵る声が余計に彼を興奮させる。夢子は笑いながら彼を絞りながら言う。

「守るべきレディに醜態をこき下ろされて、逆に分身が固くなっておりますよ。彼は」

 夢子は直ぐに達せさせることができるのにそれを敢えて待ちながらアリスとマイが最高の侮蔑しきった嘲笑を浮かべるまで待った。

「「きゃははー」」

 二人の笑い声によって起こった興奮に合わせるように彼女は横島を絶頂に導く。強すぎる快感に破れた瞬間に彼女自身も達することで余計に強く搾り取り建てなくなった彼を抱きしめながら言う。

「女権国家の女性に勝てないのは当たり前ですから恥ずかしがらなくて良いのですよ。マイもアリスも貴方を無様だ滑稽だとは思っても嫌いにはなってませんから」

 夢子の奉仕めいた女性優位の性交で、ここにずっといたいという意思が強くなるが辛うじて耐えきり彼は進む決断をした。 進もうとする彼は自分の中の大事な何かが鋭い剣で切り刻まれたような快感の余韻がむしばんでくる。
その後、彼は不思議の国の裁判で色欲の為に大功をなしたのに美化されすぎとして有罪を受けて、アリス達への奉仕の刑を受けた。

 今鏡の前で彼はトランプのマークを付けた女性たちや優曇華やシャーリというウサギなどの不思議の国の住人の女性たちに嫐られている。 
ユウキとランはアリスと共に彼のベッドの中での敗北をけなしながら時々嫐る中に参加してくる。 優曇華とシャーリーが笑いながら言う。

「私たちはウサギだから後ろから攻められるのが好きなんだが、忠夫ではもう無理だ。マゾとして目覚めるのが早すぎて、男性優位の体位では起たなくなっちゃたしな」

 シャーリーの言葉に優曇華が笑いながら言う。

「アリス様の糸で動かしてもらえば行けるんじゃない? マゾに対するサービスも私がするから」

 アリスの指から延びる光でできた糸が体に入ってきた後に、優曇華の瞳が光り途端に彼は違和感を覚えた。シャーリーを後ろから攻め立てながら彼は違和感を覚えた。後背位という攻める体位なのに自分が女性優位で嫐られているような感覚を覚えた。

「優曇華は三日月ウサギだから人の波長を操れるのよ。だから体位に対してだけ、貴方の認識を変えたのよ。変態マゾ騎士さん」

 シャーリーにそういわれて、横島は何度も達した。アリスはそれを見ながら妖艶で恐ろしい子供の笑みでいう。

「大丈夫よ。貴方が望むなら何度でも何の負担もなく私の糸で動かしてあげる。そしてすべての権限を私に譲って。その時に最高の快楽だけの場所に連れていってあげるから」

 アリスが糸を抜くと強すぎる快楽と脱力感で完崩れ落ちかけた彼を今度はシャーリーと交代した優曇華が嫐り始める。シャーリーはひたすら速度で屈服させて来る夜の攻めだが。彼女の場合は横島の気を操り、
達することができないようにしながら波長を操り一番恥ずかしいと感じていた時にその一目で絶頂を強めたりした。

「ああー!」

 シャーリーにしたのと同じように後背位で出して倒れた彼を見下ろしながらアリスが言う。

「忠夫、確か貴方の家は色事で名をはせた女悪魔を閨で屈服させた、家だったわよね。その術、男性優位の体位で使用する術だから効果が落ちていたのよね? それじゃあ、シャーリーと優曇華も後背位が好きらしいし使ってみる?」

「そ、それは」

 横島の声音には拒否の割合が強く含まれていた。 破られたら後がないというのもあるが、これは本当に非道なことをやった女性悪魔などを屈服させて隷属させる閨の魔術だから
、もしも彼女たちが壊れたら嫌だという気持ちもある。むしろ彼が拒否しているのは、後者の理由の方が強い。横島の心情を正確に読み取ったここにいる女性達は笑みを浮かべた。


399 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:05:17 ID:oSDnTyKy

「それじゃあ、糸を使って私が操るからまずはユウキとランにやってみましょうか。二人ならもともと仲魔だし、私から一時的に貴方が主人に移るだけでしょう」

 そういわれて、優曇華とシャーリーがまるで圧勝したスポーツ選手みたいな足取りで、自分から離れた後、ユウキに同じく後背位でやった瞬間、先に絶頂し。
その瞬間体の中の大事な何かが快感でちぎられた音が聞こえた気がした。 それを見てアリスがわざとらしく手を打つ。

「そういえば、この世界にも呪い返しや術返しがあったわね。 女性をベッドで屈服させて隷属させる魔術なら、逆に負けたら自分が隷属させられちゃうわね。 しかも私の使い魔に負けちゃったら、使い魔の使い魔まで落ちちゃうか」

 そしてそのあとユウキに男性優位の体位でその魔術を使うと自分の方が閨で負けた感覚がしてその射精と同時に一気に大切なものが砕け散った感覚がした。
ユウキは逃げようとする横島を抱え込みながら笑い、両手両足で彼を拘束し何度も搾り取る。ユウキは一切動かず横島の好きにさせ、あるいは両方動きが止まった時でも彼は自然に射精させられる。

 射精する横島を糸で操り、ユウキに何回も負けた彼が使い魔の様に変わったのを見てアリスが妖艶な冷笑を浮かべながら口を開いた。

「これだけハンデを上げてこの結果。これじゃあダメね。他のろくでもない女性の物にされない様に女権国家の男性隷属魔術をかけて上げるのが貴方のためだわ。『嫌なら』直ぐ解いてあげるから安心して」

 そういうとアリスはユウキに横島を解放させると、敢えて子供の姿に戻り横島に騎乗し彼が壊れかけるほどの快感を送り込んでくる。 子供になったアリスは大人の時と違う快感を送ってくるだけではなく、
与えてくる快感での嫐り方が大人の時より容赦なく堕としに来ている感じがする。ペットを容赦なくしつける様な鞭を思わせる強すぎる快感で彼が射精し動けなくなると、敢えて幼女の姿で嘲笑の声を聴かせながら、
アリスは達するたびに魔術を唱えた。その度に射精と同時に大量の霊力が消費され、他の何かで補われてていく。そしてそれを何度か繰り返したのち、横島は再び子供の姿に戻された。 逆にアリスは大人の姿になる。

 彼女は丁度胸元の辺りに頭が来るようにした彼を抱き留め、体の中に入れた糸で操り自分に奉仕させながら言う。 子供の時とは逆に甘すぎる蜜を思わせる快感が今まで以上に鮮明に彼にしみこんでくる。

「あなたの体に貴方の前世の英雄譚やそれを題材にした私の人形劇で広まった信仰が産んだマグネタイトを入れているわ。いつ現実に戻っても腕は鈍らない。だから気が済むまで、この怠惰界でひたすら快楽だけを貪り続けて」

 射精の度に脳が壊れ朦朧とする彼は、アリスの乳首に吸い付いたことすら糸で操られたのか自分でやったのかさえわからなくなっている。 朦朧としている横島を見て妖艶な魔女の笑みを浮かべたアリスは、
不意に不機嫌な顔になった。そしてその顔とは対照的にどこまでも優しい快感を与え、横島の意識を奪うほどの射精をさせると、魔術を唱える。魔法円が描かれたのちにそこには、スペードの刻印のある衣装に身を包んだアリス・シンセシス・サーティが現れた。

「アリス様、お久しぶりです傲慢界ではありがとうございました」

「よく来てくれたわね。ありがとう、シンセシス。 今日は忠夫の護衛と快楽漬けにする係の一時的な交代をお願い。私はやらなきゃダメなことができたから」

 シンセシスは快楽でどこかに頭が行ってしまっている横島を見て、女権国家の女性特有の笑みを浮かべた後、アリスに対しては騎士らしい優雅な礼をとった。

 シンセシスが彼を抱き込み敢えてアリスと同じ様な動きで快楽を与え始めると、アリスは強すぎる快楽からくる横島の悲鳴を聞き少し名残惜しそうな表情で服を着こみ魔法陣で転移した。


 消滅しかかったトゥルダクは不意に大きな回復魔法をかけられて自分が復活したことに気づいた。そしてその相手を見て意外な思いを抱く。

「アリス殿、まさか貴女が我を助けるとは思いませんでした。 一応は私の忠義を得難いものと認めてくれてはいたと思っておりましたが」

「あなたに死なれたら、忠夫が気に病んで立派なデビルバスターのならなきゃとか思ってしまうじゃない。円満退職してもらわないと困るわ。 それにあなたの性格上もう私には剣を向けられないでしょう」

 アリスの言葉は正解だ。トゥルダクは一度命を失う状態となり救われた以上、もうアリスに剣を向けることはできない。
彼の気質では主君の妻に剣を向けるなど過ちを犯した度に一度限りのことだ。そして過ちを犯している主君の妻であろうと、命を助けられたらよほどのことがないかぎり敵対行動をとることに抵抗がある。

「正解であります。 一つ聞きますがこれからどうなさるのですか?」

「ジン君たちが怠惰界のボスの間に着いたら迎え撃つわ。そして完成品のあの人形の威力を忠夫に見てもらって、自分は怠惰界に永遠に引きこもっていても大丈夫だと分かってもらうわ」

「さようですか」

 答えながらトゥルダクは目の前のアリスを見て思う。彼女は大分魔女として本能に飲まれている。魔女にもいろいろな業を抱えた者がいるが、彼女は男を操り甘やかし自らの人形の様に保護したいと思うのが性だ。
 必要だと何度も我慢していたものがオーカス戦で横島が負傷したのと、自分を守ってくれた愛しさが爆発して抑えが効かなくなったのだろう。 彼を快楽漬けにしたことである程度は魔女としての業は落ち着いたようだ。あとは理性を呼び戻せばもとに戻るだろう。

 アリスは魔術で周囲のことを調べるとトラポートを唱えて姿を消した。多分横島の元に戻ったのだろう。トゥルダクはそれを見て、無理かもしれないが自分の主君が耐え抜いてくれることを願った。


 横島はシンセシスに何度も意識を奪われながら、途中からは自らの意思で彼女に体を委ね始めた。 シンセシスはその豊満な体で時には自分自身の動きで、時にはアリスを真似た動きで彼を嫐っていく。
僅かにアリスに届かぬ快感が彼女の再来を待ち遠しく思わせ、そしてシンセシス自身の攻めになった時の快感を倍増させる。

 シンセシスが笑いながら意識を失いかけた彼を搾り取っているところにアリスが戻ってきた。彼女は少しだけ不機嫌そうな顔で、シンセシスに指示を出した。

「軽子坂高校の生徒たち、主にジンくんがボスの部屋に到着するまで『外の時間』ではもう少しよ。 完全に堕とすために色々しなきゃダメだから。シャーリーお願い」


400 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:07:08 ID:oSDnTyKy

 それを聞くとシャーリーは楽しそうに笑った。

「アリス様久しぶりにあれやっていいんですね」

 シャーリーはそういうと横島にゆっくりと抱き着き彼を加えこんだ。横島は不意に奇妙な不安を覚えた。彼女の豊満な体がもたらす快感はすさまじいが、
自分の分身への刺激があまりにも小さく遅い感じがする。それに対してシャーリーは笑いながら言う。

「実を言うと私は『超加速』っていう術を使えるんだ。そこまで万能じゃないし制約も多いんだけどね。この異界に限っては割と使いたい放題なんだ。
それで全体の時間を早めていたけど、忠夫、お前の男性器の部分だけ解除したんだ。つまり」

 言いながら彼女はいろいろな形で腰をグラインドさせた。朦朧として理解できない彼に、さらに言葉を続ける。

「快感を溜めた後に再び超加速をかける。つまりお前の股間を同じ時間に戻すと」

 シャーリーが笑いながら楽しそうに宣言した。

「こうなるんだ。ドカーン♪」

 サプライズパーティの様な乗りの言葉の後に横島は、自分の脳が強すぎる快感で一気に壊された感覚を味わった。シャーリーは笑いながら言う。

「何回生まれ変わっても初めてこれを受けた時の忠夫の反応は面白いな。はい♪ もう一回♪」

「ぎゃー!」

 二回目でどこかに意識が飛んだ彼をアリスが抱えた。

「シャーリー、ご苦労様。これで彼の精神的な防御力は吹き飛んだからここから追い込みの本番と行きましょう」

 その言葉を聞くとシンセシスが嬉しそうな顔をしつつ、部屋に置いてあった無数のメイド服の人形を指し示しながら、アリスに娘が母に頼むような様子で言葉を口にし始めた。

「アリス様、それではこの娘達を使ってあげてください。 この娘達も忠夫様を大分気に入ったようですし、働き詰めでしたから」

「ええ。それとシンセシス。私が指定した女性達で都合がついている人は乗り気でなくても良いからここに招待して。今回の私の行いに否定的でも約束と義理で協力するくらいの人も帰さなくていいから」

「良いのですか? 他のお方々もアリス様の行いを否と思っていても、約束は守るし妨害はしないでしょう。ですが乗り気でない方が混じると妨害の意図はなくとも効率が落ちるのでは?」

 アリスは抱えた横島に口づけし、気絶した彼が電流でも流されたように痙攣した後、彼の顔を胸に埋めさせて、片方の空いている手で分身を弄り回しながら妖艶な笑みを浮かべた。
 遊郭を思わせるこの寝室が彼女の恐ろしい美しさというものが余計に映えさせている。アリスは自信に満ちた声で、シンセシスに答えた。

「彼を堕とすにはあの劇をやるのが一番だから。そして役者が乗り気でなくとも、真面目にやる意思があるなら乗り気にさせることこそ、劇団の長の腕の見せ所よ」

 アリスの言葉を聞くとシンセシスは頷き部屋を出ていった。それを見ながらアリスは楽しそうに横島を愛撫しながら人形たちに指示を出し何かの準備を始める。
人形たちの掃除などの家事を行う人形たちの動きは鮮やかだ。 舞踏すら連想させる速度で家事を行う人形たちの足元が不意に光だし、鮮やかでありながら禍々しさも僅かにある桜色の光が不意に起こり始める。
その光は強くなると足元の魔法円の光であることが分かった。
桜色の魔法円の上でアリスは呪文を唱え始める。 彼女の詠唱が終わると魔法円がより強く輝き、演劇で部隊が切り替わった時の様な気配が部屋全体に流れた。

 横島は目を空けると自分が宴の席にいることに気づいた。様々な情報が一気に流れ込んでくる。これはアリスの人形劇だ。過去にした経験から直ぐに分かった。この人形劇は自分の前世の一つ。
そして今は目の前にヴィヴィオとマイがいる。青いメイド服に身を包んだアリスと赤いメイド服に身を包んだ夢子が給仕をしている。



 アリスが人形劇を上演している部屋、この部屋は見た目からして奇妙な空間となっていた。 人形劇の舞台をそのまま大きくしたような部屋に人形劇の人形と同じ衣装に身を包んだ女性達がいる。
アリスが糸を使わずとも自然に動く人形たちはまるで、現実の彼女たちの動きと連動しているようだ。人形がこの部屋の住民の動きに合わせて動いているのか
、この部屋の住民が人形に合わせて動いているのかわからなくなるような光景の中で、ただ一人異物と思える状態になっているのは横島だ。
アリスの魔術で子供に戻された彼は他の女性達がはっきりとした意志を持ち嗜虐審に満ちた目で見ている中で、彼は朦朧として心ここにあらずといった、人形に魂を吸い取られ切った様な目をしている。その光景はまるで部隊の人形が本物の彼であり、
今この部屋の女性たちに寄り添っている彼は人形なのではと錯覚された。

 横島は自分が生を全うした後の情報すらも自分の頭の中に入ってきたことに僅かに驚きながらも、自分がいま演じさせられている事実を知らぬ人形と同じ感性になっていることに驚いた。アリスはこういうこともできるのか、そう思いながら頭の中で情報を整理する。

 これは幾つかの前世の一つで、女殺しの魔物達が身を潜め一時的な休戦状態となった後の前世だ。 自分は女権国家より遥かに悪辣だが、それをうまく隠している国の暗部をしらぬ善人たちが所属する綺麗な部署に所属して、善行を積んでいた。
この時敵国のヴィヴィオたちやマイと共闘し、女殺しの魔物を倒しその後、同盟を破った彼女達に敗れ、宮廷魔術師であるアリスの魔術で子供に戻され彼女の糸で操られていた。

 ヴィヴィオは笑いながら彼を捕らえると押し倒し容赦なく騎乗位で彼を搾り取る。横島は本当の事情を知識としては知っているにも関わらず彼を襲う、同盟破りの背徳感と屈辱感そしてそれが生み出す快感に討ち果たされた。彼は悲鳴を上げながらあえぐ。

「どうですか、貴方が所属する帝国を滅ぼす悪の女王に精を捧げる感覚は。破ったら最低の同盟破りまで私はしていたんですよ。あら事実を告げられて逆に硬くなってますね」

 ヴィヴィオが彼を絞りながら嘲笑い、天使の様に羽を出すマイが言葉を続ける。

「ヴィヴィオに精を捧げれば捧げるほど、彼女に仕える天女騎士たちは強くなるし、子供ができちゃったら貴方の仕える帝国を滅ぼす王様のパパ決定だけどどう思う?」


401 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:08:09 ID:oSDnTyKy

 この時の真相は帝国が腐敗しきり女殺しの魔物達と手を結ぶような所業に走っていた。さらに大勢力すぎて上手く隠しぬいていたために、良識的な将校たちは知らずに仕えていたものも多かった。
 この時の同盟破りの真相は帝国が大量の善人な将兵たちを意図的に人類の敵である魔物の大軍に戦死するような特効をさせようとしたことと、その部隊の中に横島がいたことが彼女たちの怒りに触れた。
それが同盟破りの帝都襲撃の真相だ。 表向きは知恵をつけた女殺しの魔物に操られた皇帝と配下達を良識派の皇族がヴィヴィオ達と共闘し討ち取った上での政権交代と歴史の書物には記されている。

 彼を搾り取りつくして満足したヴィヴィオが彼から離れるとマイが代わりに近づいてきた。騎乗位をする寸前に秘所で彼の分身を飲み込む直前の状態で彼女は言う。

「忠夫、あんたの国との同盟破棄と不意打ち奇襲作戦お告げ下したのは、聖王の国の守護神が人柱の私よ。他の神々は正々堂々でも勝てるって言ったんだけど、卑怯な方法で滅ぼした方が燃えるでしょう。最低の外道女神に精と魔力を捧げる気分はどう?」

「そ、そんなこのクソアマ、アー!」

 言葉を言い終える途中で彼の分身を秘所で包み怒りの声を上げかけた彼をマイは笑う。

「前世の時から変態だったけど、頭に上らせるべき血を下半身に全振りしてどうするの。 帝国民らしく、私をベッドの中で圧倒して雌奴隷にしてみる? こんなに早漏じゃ無理ね」

 そして次の日に彼はヴィヴィオの寝室で帝都が彼女の配下達に蹂躙されている様子をアリスの魔術で見せられながら搾り取られ続けた。

「あなたが注いだ精に含まれる霊力で今も強化されている私の配下達の働きはどうですか? 帝都が落ちるのを見ながら性行為を愉しみましょう」

「あ、ああ、だめやー! 防衛拠点のかなめが半分以上も落ちとる、本城まで遠距離の魔法弾だけとは言えもう届き始めとる」

「そういいながらも余計に硬くなってますね。 はっきり言って最低の悪の王国の女王に射精して自国を滅ぼす状態に興奮しているのでは?」

「そんなこと言わんでー?」

 嘲笑した笑い声を上げるヴィヴィオに屈服の射精をした後、宮廷魔術師のアリスと夢子が入ってきた。彼女たちはメイド服に身を包み恭しく、ヴィヴィオに頭を下げると、
アリスがヴィヴィオに耳打ちを始めた。横島には聞こえない様に最新の注意が払われており内容はこういう物だった。

『ヴィヴィオ、そろそろ正規兵たちは引き上げさせて。一部の桁外れ以外のメンバーは私の高性能人形たちだけに突入させて。 ここまでは自分たちの手駒を減らしたくない上層部の外道どもの策もあって、
外道な帝国兵と何も知らない良識派が綺麗に分かれていたけど、ここからは少し混じるから、善人たちを殺さずに勝つのは難しいでしょう。でも、私の人形たちなら善人勢相手なら壊されても捕獲だけを考えて戦えるわ』

『わかりました。それじゃあ彼から搾り取った霊力で私たちは外道な皇帝を討伐に赴きます。前からの打ち合わせの通り今回は女殺しの魔物本体はいなくて、あくまでもそれと契約して力を得た皇帝と配下だけだから、忠夫は必要ないでしょう』

 そしてヴィヴィオが悠々と闘技場で勝利した選手を思わせる様な足取りで出て行くと、アリスと夢子が交代するかの用に彼を押し倒してくる。

 アリスは彼を押し倒し笑いながら言った。

「これから貴方に精と霊力を注がれて強くなったヴィヴィオ陛下のご活躍と、貴方に精を私が頂どんどん強くなっていく人形たちの活躍ご覧ください」

 アリスが手を振ると画面が映し出され、燃え盛る帝都とそれを破壊して回る人形たちの破壊劇が見えた。離れようと思ってもアリスの体がもたらす体中が絹糸で愛撫されているような快楽が彼を動けなくしていく。夢子が彼女と時々交代し笑いながら言う。

「忠夫様、あの帝都を攻めている精兵部隊の剣は私が作った剣です。私が魔力を送れば一時的に威力が上がっていきます。そしてアリスやヴィヴィオ陛下と同じく、私も貴方から霊力をもらっています。それが何を意味するかお分かりですね」

 言い終わると同時に夢子が横島の分身をアリスと代わるように飲み込んだ。 快感を味わいながら横島はアリスが夢子と二人で彼を攻めるのを好む理由を理解した。
アリスは基本的に甘やかすように少しずつ彼を嫐っていく性行為が好きだし上手い。そして夢子は一気に切り刻むような快感を与えてくる。自分と対極の相手と組むことで彼をよりひどく快感に溺れさせられると思っているのだろう。

 その戦いが終わった後、横島はしばらくの間子供の姿でヴィヴィオに仕える給仕をやらされていた。 ヴィヴィオや配下がその気になると即座に寝室連れ込まれる。
アリスは彼が雄々しき帝国民だったころに手柄を立てた劇を開催し、その時に本気で周りに称えさせて、その信仰心などを凝縮したものを彼に注入してからヴィヴィオ達と共に彼を嫐る。
何度犯されても、帝国民だったころの意識が抜けず女性優位の性行為の恥ずかしさや背徳感に打ち負かされ続けた。


 ヴィヴィオに絞られ続けて意識が落ちて戻った時、横島は自分が人形から現実の体に戻ってきていることに気づいた。目の前ではアリスが満足そうに彼を見下ろしている。

 彼女の横には純白の羽をはためかし、彼を嫐る楽しみを堪能しつくしたマイが笑顔を浮かべている。

「忠夫、怠惰というのは色々な形態があるのよ。ただ寵愛を受け続ける仕える者としての底辺に落ちた快感はどうだった。 私たちは奴隷に落とした貴方を永遠にああ扱うけど」

「それとこの世界に来てから人形劇で得られる快感というか人形とのシンクロ率前凄かったでしょう。 前も低いわけじゃなかったけど、オーカス様の加護が消えたのと今回は私がアリスに協力しているからそうなっているの。今の気分はどう? 私たちの奴隷で居続けたくなってきているんじゃない?」

 分かっている上で聞いてきているマイの言葉が彼をすさまじく追い込んだ。ずっとあのままで居続けたいという願望が全身を貫くが横島は頷くことだけは辛うじて耐えた。アリスはそれを見ながら自分のもたらした蜜が彼を打ち負かしていることに気づき満足そうに頷くと彼女は、笑いながら言った。

「忠夫これからジン君たちをお迎えする準備をするわ。それが済んだら決戦前に一度戻ってくるから。エヴァそれまで人形劇の人形たちを操るのをお願い」

「うむ」

 簡潔に答えつつエヴァは複雑な表情をしている。彼女は今回のアリスの行動に思うところはあるものの、嗜虐心にスイッチが入ってしまい。彼を嫐りたい感情に流されているようだ。


402 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:10:44 ID:oSDnTyKy
 アリスは笑いながら不意に魔術でメイド服を着こむと横島に対して臣下の礼を取った。

「忠夫様、これからは女権国家で王となった男性の怠惰を存分にお楽しみください。次の回演劇『ジパング空至王(くうしおう)の転落』のメインヒロインとの逢瀬を大劇場と化した闘技場でお楽しみください」


 アリスが声をかけ終えると不意に、あたりの空気が歪んだ。トラポートをかけられたと思った瞬間、自分がいる場所は西洋の宮殿から和風の豪奢な寝室に移ったことが分かった。
心地よい夢見心地にさせる甘い香の匂いが周囲を見たし、目の前にはピンク色の髪をし豊和風の着物の上からでも豊満だと分かる肉体をした美女がいる。

「今生では始めまして、転生の度に貴方のお傍に侍る女権国家的な良妻狐、玉藻でございます。傾国の狐の快楽をお楽しみください。そう――男尊女卑の世界への未練が枯れ果て腐れ落ちるまで」

 最後の言葉の下りには情欲には背筋が恐怖とその妖艶さで震えるほどの艶が籠っていた。
彼女が衣服をゆっくりと見せつけるように脱ぐ姿は彼の搾り取られすぎて萎えていた分身すら再び蘇り激しくそそり立つほどだ。玉藻は笑いながら彼を押し倒し、分身を飲み込む。一つになる瞬間、
彼女の人差し指が彼の下腹部を抑えそしてその人差し指に全てを支配されているような錯覚を覚えた。分身を飲まれた瞬間、彼の意識は一気に快楽で壊れ落ちた。直ぐに射精しなければおかしい状態だが、
彼女が下腹部に充てる人差し指にそれをせき止められ、さらにはその人差し指か与えてくる快楽をより強くしてきている。どんなに懇願しても彼女が決めた時まで射精は許されないそんな確信がある。
 体の自由が奪われない中横島は必死に腰を振った。彼女を屈服させるためではない。もしかしたら射精できるかもしれないという一縷の希望に縋ってだ。

「ご主人様、お辛いのはわかりますけどぉ、今はそのときじゃあ、ありませんもう少しご辛抱を」

 子供をあやすような優しさと揶揄を込めた声に苛立ちながらも彼女の人差し指と膣が彼の下半身を完全に支配した。少し時間がたつと彼女は笑いながら指で彼の下腹部を強く推した。
その瞬間一気に全ての意識が弾けるような快感と共に射精が起こった。彼は自分がミイラの様になりかけている感覚に怯えた。ここまで早く肉体が細くなるのは初めてだったからだ。
玉藻は笑いながら彼を泣きじゃくる子供をあやす様に抱きしめながら頭をなでてきた。意識を失う彼を楽しそうに見下ろす彼女の姿を最後に彼の意識は落ちていった。


 横島は目を空けると自分の目線が低くなっていた。そして気づく自分が子供に変えられているのだと。アリスやヴィヴィオやエヴァに何度もやられた経験がそれに気づかせたが、
いつもとは違う感じがする。これは自分の前世の記憶だ。そして今、恐らくは一時的にはではあるが、自分の今生――この前世からすれば来世の記憶が一気になくなっていっている。
ここまでのことができるのもオーカスの加護を自ら断ち切ったことも影響しているのだろう。

 辺りを見回すと、自分は今和風の宮殿にいることに気づく。この建物は間違いなく、女権国家のある世界のジパングだ。木綿季と藍子に激しく嫐られた前世とはまた別の前世の様だ。 
横島は自分の腕を見て軽く驚いた。玉藻に絞られた今生と同じくらいに自分の腕がミイラに近づいていたためだ。玉藻はこの前世の自分に近づけるためにあれくらい搾り取ったのかもしれない。
そう思った直後に彼の来世の記憶が不意に流れ落ちていき、代わりに前世の記憶が流れ込んでくる。

「ご主人様おはようございまーす。 勇者としての最後のお仕事いかがでしたか?」

 玉藻にそういわれて彼は様々な記憶を思い出した。女権国家という国に落ち延びて強大な力を持った九尾の狐それを自分は倒す勇者として選ばれた。
 かの狐は女殺しの魔物の遺骸を使った儀式で自分を強化し、完全ではないがその魔物の力も取り込んでいたため前世からさんざん女殺しの魔物を狩っていた自分が勇者に選ばれたらしい。
女権国家で強化された九尾の狐は傾国の美と共にこのジパングを滅ぼしに来ていた。自分高島忠雄はかの妖怪との戦いで最後に放った一撃に霊力を込めすぎて生命力まで削られ、了承せねばならなくなっているのだ。

 そこまで思い返すと玉藻が彼の前に膳を並べ始める。

「同じ狐の面汚しの外道分霊を倒す旅に私も同行させてくださり、ありがとうございます。おかげで妖狐もそこまで肩身が狭い思いせずに済みましたしぃ、忠雄様には感謝しかありませんよ。
でもぉ女権国家時代の前世からご主人様に寄り添っている身としては今のご主人様も嫌いではありませんけどぉ、違和感がバリバリですねぇ」

「そうだろうな。俺があの九尾、羽衣狐を倒せたのも術者と武芸者としての空位に至れたのも積んだ善行と引き換えにある程度来世の生まれ先を決められるせいだろう」

 玉藻の作ってくれた山芋などをふんだんに使った滋養に効く料理を食べながら彼は回付していく自分の体に思いをはせた。目の前にけた外れの美女がいるのに、
横島の転生先にしては珍しくあまり心動かされていない。彼、高島忠雄は稀に見る精通まで性欲がない、あるいは異常に薄い少年だった。子供でも男性なら多少は性欲があるが彼の場合はほとんどない。
病気などではなく、精通すれば普通に性欲が出てくるらしいが今の自分にはそれが理解できない。他の子どもたちが春画などを見て喜んでいたのを浅ましいと一時期は思っていた。
だが、自分の方が特殊なのだと知ってからはそういうものなのかと思い、表にそういう感情を出さなくてよかったと思ったものだ。不当に相手を見下すような言動をしても得はない。

「それよりご主人様ぁ、本当に1年で退位しちゃうおつもりですかぁ?」

「ああ。羽衣狐の配下達の色香に敗れて狂ったやつらをワイは旅の途中で嫌って程見た。王族や貴族になるとたくさんの側室持つのが義務の様な側面もあるんだろう。木綿季や藍子やお前とならそうなるのも悪くない。 
だが色欲に溺れさせられて、この国では恥ずべきことである、女性優位の性交行を喜々としてやっていた貴族達もいた。あんな醜態はごめんだ。たくさんの側室持ったら以上に夜が強い女がいてああされちまうかもしれない」

 横島がエヴァにやられた女性の尻に顔を埋めさせられるのが異常に恥ずかしいとされる伝統はこの時代のジパングから始まっていた。最もこの風習は発足した国では廃れていた時期もあったようだが。

 玉藻は残念そうな顔で言った。


403 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:13:13 ID:oSDnTyKy

「それじゃあ宮殿を支配した邪悪を滅ぼした者は一国の王になるという風習による任命はうけますが、ジパング全体の立て直しが済んだら退位ということで」

「ああ。財宝と食料は残っとるから公平に分配すればこの国はどうにか立ち直るやろ」

 そのやり取りの後、高島忠雄は良識的な内政官を呼び戻し業務に励んだ。ハンコを押すだけで儀式などの進行役などをするのが主だったが、
それでも王をやった以上はいい加減はできないとなるべく旅で得た知識などと照らし合わせ何度も書類に目を通し、文官の意見もよく聞いた上でハンコを押し続けた。

 そしてその日々が過ぎて退位三か月前の秋の夜、月の出ている日に彼は木綿季と藍子と玉藻を呼び寄せていた。 最後の書類に入念に目を通した後、それに判をおし三人を出迎える。

 この転生先では木綿季と藍子は前世の高島の頃からの天狗と妖狐であり、幼いころから彼を鍛え上げていた。性欲はなくても前世から持ち越した記憶のせいかこの二人のためと思えば頑張ることができた。
彼が今回こういう所に転生したのは九尾の狐の分霊が今回妻達を脅かす敵が九尾の狐だと知り性欲があると勝率が下がると聞き、オーカスに頼みこういう少年に転生させてもらった。最もその時の記憶は今生になってからはないが。

 公ではなく私室に来た三人を見て彼は美しいと思った。森と山が背後に見える景色の下に映える彼女たちは妖狐や天狗特有の美がある。白い衣装に身を包む木綿季と藍子そして玉藻を見て、
純粋に見事な美術品を見たような心地に飲まれた後に彼は、私室に入ってきた三人に昔と変わらぬ気さくな様子で頭を下げて挨拶をすると、告げた。

「後三か月後に俺は退位となる。初夜もまだだけど嫁さんになってくれたお前たちには話しておくべきだからな」

 王となった以上は形だけでも妻を置くべきと言われ、悩んだ末に三人に頼んだ結果快く彼女たちは引き受けてくれた。今生でもそのつもりだったと言われてほっとしつつ、
彼女たちの愛に報いられない自分を彼は少し歯がゆく思ってもいる。 その言葉に三人は頷き、代表するように木綿季が答えた。

「うん、別に構わないよ。子供の頃から一緒だった君と一緒にいられれば別にいいし、勇者としての今回の功績があればジパングにいる限りは暮らしに困ることはないと思うしね」


 旅の最中も何度も自分の背を押してくれた笑顔で答える木綿季に忠雄の表情も綻ぶ、姉であり師でもあるこの三人は彼にとって救いだった。 
旅の最中には良いことも悪いことも数えきれないほどあったが、彼女たちと共にいなければ途中で折れていたかもしれない。 性欲がない今ですらも彼女たち全員を娶れることを幸せだと思う。

 言うべきことを伝え終わり布団に入った彼に木綿季と藍子が布団に入ってきた。

「木綿季どうした?」

「明日は休みでしょう? この城にいる時間も後三か月だし、色々思い出作るのも悪くないかなって。それに今日は寒いからたまにはみんなで寝たいんだけどダメ?」

 その木綿季の言葉に対して彼は笑って頷いた。

柔らかく心地よい彼女たちの感触が安心感を与えてきて余計に眠気を強くすることを自覚しながら彼は話しかけてくる木綿季の言葉に応じた。

「でもまさか前世ではあそこまで僕達の色香に惨敗していた忠夫の来世が武芸者としての理想の空位に達して僕達二人にも常勝なんて」

 忠雄はそれを聞き、自慢にもならないと思った。霊的武道の理想の空位欲望などに一切流されない心理状態になったものだけが、練ることができる霊気を操り精神状態も機械のごとくとなりながら、
目的を達成する意思力を持った人とカラクリの良いとこ取りの武の理想形、自分は確かにそれに至っている。だがそれは単に欲望が薄いために簡単に至れたというだけに過ぎない。
生まれつき欲望が強くそれを修行の果てに超えてそこに至った者たちの方が凄いだろう。

 そう思う横島に木綿季に続いて藍子が声をかけてくる。

「ええ、忠雄さんは本当に前世でも私たちの為に頑張ってくれたし今生でもそうでしたから、しかもその年で空位に至るのはすごすぎます」

「お姉ちゃん、空位に至ったのはそこまで凄くないと思うよ。 それに女権国家の力を得た女妖怪達の色香跳ね返せたのは単に忠雄は色香に反応する欲望が今のところはないからってだから。
前世の忠夫だったら揺れまくって手元が鈍りまくりながらも、僕達への想いで何とか耐えるって感じだったと思うよ」

「多分そうやろうな」

「もう! 嘘でもいいから少しは嫉妬してほしいな。前世の自分ばかりじゃなくて今の俺を見ろ。見たいにさ!」

 木綿季の様子に微笑ましいものを彼は覚える彼に玉藻が声をかけてきた。

「ところでご主人様、やはり退位の考えは変わりませんか」

「ああ。今のジパングの情勢だと女権国家とも同盟することになりそうだ。そしたら女権国家の女達とも結婚せないかんやろ。
お前たち以外の女権国家の影響を受けた女と結婚とかごめんだ。旅の途中で見た色香に敗れたみっともない男たちみたいになりとうないわ」

 忠雄の言葉には理性では抑えきれない、国を裏切り国士や男としての尊厳どころか、人としての尊厳すら捨てて回った男たちへの軽蔑がにじんでいた。 女権国家の力を得た女に閨で嫐られれば逆らうなど無理であり、
男性である以上仕方ないと『理解』はできているが一切『実感』と『共感』ができない自分にとっては彼らの醜態は醜すぎて目に余るものだった。
『理性』では彼らはそこまで咎められるほどではないと思う。だから王として在位中は差別しない様に気を付けているつもりではある。 
しかし、私人としてはどうしても良い感情が持てない。 自重するために彼らの賞罰を決めるときはこの三人と、女権国家の女性に一度敗れた経験があるものの意見を聞いてから定めていた。

 不意に木綿季が彼の鼻を摘まんできた。

「忠夫、僕達と過ごす時間なのに、政務の方に意識が行きかけてたでしょう。 それと少し気になったんだけど、女権国家の女性とも結婚しないと僕達とお別れってなったらどうする?」

 彼はたっぷりと逡巡しそれからようやく答えた。

「う〜〜ん、お前たちと別れるくらいなら女権国家の女生との結婚を選ぶわ」

 横島の返答に三人は嬉しそうな様子を見せたが、少し不機嫌な顔になった。

「即答してくれなかったね。そんなに悩まないでよ!」

「あ、ああ。旅の途中で見た九尾の配下になった男共の醜態がひどすぎてな」

 武芸や術の実力では、理想形である空位に至った彼は三対一でも容易に負けたりはしない。だが子供の頃から世話になった身として彼女たちには頭が上がらない。 その返答に玉藻は笑いながら言った。


404 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:14:48 ID:oSDnTyKy

「まあまあ、木綿季さん、ご主人様ももう少しで彼らのことを笑えない気持ちになりますよぉ。 そうなったら、私たちの価値をたっぷり教えてあげましょう」


 玉藻の言葉を聞き忠雄の背筋に冷たいものが走った。それを聞くと本当に怖いと思う。自分の幾つか前の前世らしい初代高島は木綿季と藍子に敗れた後、武芸の腕でも勝てないだけではなく、
閨での敗北のトラウマと刻まれた快楽で隷属状態だったらしい。精通して性欲が芽生えたら自分もそうならないという保証はない。 彼が九尾の配下と化していた男たちを冷遇したりしない様に気を付けているのは、
公平な王であろうという意識だけでなく明日は我が身の可能性も否定できないから、というのもある。

 その日彼は不吉な気配を感じつつもそのまま眠りに落ちていった。

 次の日に彼は不穏な気配のことなどをすっかり忘れるほど楽しく彼女たちと遊び倒し、夕飯に玉藻が作ってくれた少し変わったうなぎのかば焼きを前にしていた。美味しそうなタレの香りをかぎながら食べると、
うなぎとは違いコリっとした触感がしており癖になりそうな味だ。少し濃すぎるかもしれないタレがお茶とよく合い甘い味が癖になった。惜美味いけど何なのか気になると考える横島に、玉藻は笑いながら言う。

「やつめうなぎですよ。ちなみにタレは女権国家産の材料も結構使った特殊タレですよ」

「そうか」

 忠雄はそれを聞きながら、最近の自分の疲労が目に余っていたのかもしれないと思った。女権国家は恐ろしいがそれでも有益な医療技術や食文化なども多い。
そういう滋養強壮に効く品を自分に食べさせた方が良いと彼女が判断したのだろう。女権国家に堕落させられるのを恐れてはいても、
悪感情はそこまでない彼は蒲焼の美味しさの方に夢中になった。  他にもすっぽんのスープや山芋などもふるまわれ、それに舌鼓を打ちながら楽しく夕食は済んだ。
食事の途中で、彼は不意に少しだけ気になっていたことを思い出し彼女たちに問いかけた。

「そういえば、玉三人で稀に見る熱の入った模擬戦したんやってな。珍しく木綿季と藍子が組まず、一対一対一の乱戦模様だったそうじゃないか。喧嘩とかじゃなかったみたいだけど、なんだったんだ?」

 横島の声に玉藻が笑いながら一つ手をたたいて答えた。

「ああ、あれですか。ちょっとした賭けをしてたんですよ。最後は私が勝ちました」

「そうなのか。まあ大怪我をしたり後引いてないなら俺が言うことはないけど、あんまり熱くなってお互い負傷させるような事態は今後も避けてな」

「ええ」

「時に何を賭けていたんだ」

「それはもう少しでわかりますよぉ。ご主人様へのサプライズプレゼントする際のポジションの取り合いです」

 玉藻の言葉になぜか背筋が寒くなりながらも、共に戦ってきた日々を思い出し彼女たちが自分を害するはずもないと断じると、体調に気を使ってくれた料理を作ってくれた三人に礼を述べて自室に戻った。
 
その日の夜彼は空至王の称号を失うことになった。

 忠雄は寝所に入っても体が熱く眠れず、自分でもよくわからない苛立ちに身を焼かれそうになり、苛立ちながら歩き回りこれは病気か何かかもしれないと思い、玉藻と木綿季と藍子の元に式神を飛ばした。 
天狗と妖狐であり修験者の術にも通じる彼女たちは、戦闘だけでなく健康面などの不安が起きた時に彼を助けてくれるありがたい存在でもある。
 式神を送った直後に、不意に寝間着で現れた彼女たちに彼は僅かに驚き、直ぐに納得する。

「三人とも俺の体調がおかしいって気づいていたんだな。 でないとあそこまで栄養価の高い料理出さんわな」

「ええ、ご主人様のそのほてりを沈めに参りましたぁ」

 玉藻の普段ならなんとも思わない、声と甘い香りになぜか平常心を乱されいら立ちと疑問を抱く彼をよそに、玉藻は手慣れた様子で光でできた文字を浮かびあがらせて彼の両手両足に潜り込ませた。
その瞬間、彼の体が緊張で強張る。これは玉藻に対する不信ではない。医療行為の際に激痛を伴う時に暴れない様にする拘束具の代わりの術だと思ったためだ。

『これは相当拙いな、さすがに切開手術とかではないだろうけど、激痛の伴う類の治療が必要な程か?』

 横島の考えを読んだのか玉藻がどこか不安を感じさせる妖艶な笑みを浮かべ言った。

「ちっとも痛くなんてありませんよ。ただある意味痛いより辛いかもしれませんけどぉ、カモーン! 女権国家でご主人様の最初の前世と出会ったときからの友達アリスさん」

 そういうと不意に魔法円が現れその魔法円の中から金色の髪にショートヘアの女性が姿を現した。

「今生では初めまして忠雄さん。前世で貴方の妻だったアリス・マーガトロイドよ。 今日は奥様たちに頼まれて貴方のほてりと女権国家の女性に負けた男性への差別意識の改善に来ました」

 そういうとアリスは優雅に一礼すると彼そっくりの人形を幾つか寝所の周りに置き始めた。

 それが終わると玉藻は彼を先ほど送り込んだ光の文字で操り始め目の前で服を脱ぎ始める。 彼女の服を脱ぐときの所作を見ているだけで、分身が一気に大きくなっていくことに彼は気づいた。
そして彼女は笑いながら光でできた文字を彼の分身に送り込む。

「一応私はもともと傾国の狐だった上に女権国家で強化されましたからぁ、性欲との向き合い方をよく知らないご主人様じゃ、裸見ただけでお漏らししちゃいそうですからねぇ」

 そういい終わると彼女は彼を抱きしめ胸に顔を埋めさせる、その柔らかさが彼の意識を一気に溶かす。

『柔らかくて気持ちよくて暖かい。昨日まではこんなじゃなかったのに女体ってこんな感じなのか』

 生まれて初めて味わう電撃と自分の中の何かを破壊する快感が彼を蝕み、玉藻は笑いながら術で彼の腕を操ると自分の尻を揉ませた。

 顔だけではなく両腕にまで激しい電撃めいた快楽を受けて許容範囲を超えかけた快感にとどめを刺され自分の分身がかつてない変化を犯している。それを見ると玉藻は意地悪く笑いながら彼の分身を迎え入れる。


405 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:16:52 ID:oSDnTyKy

「あー!」

 何を言えばよいのか懇願すればいいのかわからずただ叫ぶ彼をよそに玉藻は笑いながら言う。

「アリスさんお願いします」

「ええ、忠雄が嫌だと言わなかったら後で私も混ぜてね」

 そういうと、彼の視点が不意に切り替わる。これはアリスが置いた自分の姿を真似た人形が見ている光景だと彼は気づいた。
桜色の乳首をたたえた形の良い乳房や、美しくそれだけで欲情を誘う背中とその下の肉付きと形の良い尻それらを時には揉まされたりあるいは扇情的に揺れる姿などを彼は幾つかの人形の視点で切り替えられながら見せつけられた。


 自分が壊されている賢王、武芸者としての理想の天位、あるいは空位に至ったところから堕ちている。彼女の柔らかさと美しく淫らな肢体を見せられる視界からどんどん内面が破壊されている。
そう思いながらもアリスはひたすら容赦なく最も扇情的になっている部分を見ている人形と彼の視点を共有させる。 胸を揉ませられ時には乳首を口の中に入れられ、あやされるように撫でられぬいた彼に玉藻は不意に声をかけた。

「それではご主人様の様々な初めては玉藻がいただきます。傾国の体で精通した男子はどれくらいだらしなくなっちゃうんでしょうね。 あなたが軽蔑するジパングでは恥ずかしい性行為を喜々としてやっていた裏切り者たちの情けなさをどれくらい超えちゃうんでしょうか」

「や、やめて」

 言い終わる前に玉藻が呪文を唱えると彼の射精を止めていた札が消え。その瞬間、彼女の腹が膨れるほどの射精が起きた。玉藻は白濁を自分の腹に詰め戻しながら笑った。

「私達と別れるか女権国家の女生と結婚するかの二択の際の長すぎる逡巡、とっても腹が立ちました。ご主人様は悪くないけど、それと感情は別です。私たちと別れるか否かの問いに時即答してくれなかった意趣返しを受け取りなさいませ」

「あ、ああ」

 快感を感じながら彼は本気で震えた。他の男性は玉藻や木綿季や藍子の美に見惚れ玉藻に対しては妖艶すぎてまともに戦えないと言っていた。しかし、
横島はここにきて彼女に色香を使われたら自分はもう勝てなくなったと確信した。彼女がその気になれば服の上からでもその色香と美貌で彼を射精させる誘惑などたやすいだろう。

「名残惜しいでしょうけど一旦交代ですね」

「そ、そんな」

 否定しかけて忠雄は言葉に詰まった。男性優位の性交行が当たり前のジパングでは最大の恥辱なあの性行為。精通前の自分なら侮蔑の対象だったそれが、今では最高に気持ちよく玉藻の言葉を否定しきれない。


 横島が震え怯えながら下がる背中に柔らかく温かい感触が当たり、彼の分身が再び大きくなり始める。優しい笑みを浮かべた藍子が彼の両腕を拘束しながら胸を当ててきている。彼女は、笑みを浮かべながら言う。

「忠雄さん今宵で完全に私たちの物になっていただきます。ユウ早く忠雄さんをものにしてあげなさい。私ではそう長時間抑えられませんよ」

 抑えられませんよ、の下りは明らかに本心ではない。昨日までの彼なら女性の胸が背に当てられていても精神を集中させて、心が乱れると使えない強化の術を一瞬で発動させて彼女を振りほどいていただろう。だが今は彼女の吐息と背に当たる乳房が一番簡単な術すら発動させてくれない。

「ごめん、お姉ちゃん玉藻のいじめ方があまりにも見事で見入っていて、まだ服さえ脱いでないんだ。早く脱ぎ終わらないと逃げられちゃうね」

 そういいながら彼女はゆっくりと天狗装束を脱ぎその様子をアリスが人形と視線を共有させて彼に見せる。乗っ取られた視界を奪い返そうとするが、
彼女の乳房や尻を見て完全に意識がそれを見続けることしか考えられなくなっている。木綿季は笑いながら彼を押し倒しわざとらしく疑問を浮かべた風を装い言う。

「忠雄どうしたの、普段の君ならお姉ちゃんの拘束ですら直ぐに解いちゃうんじゃない?」

 からかう様な声と共に彼女が彼を藍子と挟むようにして乳房を胸板に押し付けながら分身を飲み込むと彼は即座に達した。 何度も二人は後退しながら彼を嫐り続ける。今生では初めて二人と交わる彼は気づかなかったが、二人の責めはいつもと違った。
木綿季と藍子は普段はお互いの気分で木綿季の方が上手い激しい責めを藍子がやる時もあり、逆に藍子が得意な優しい責めを木綿季がすることもある。しかし、今回は木綿季は一番得意な激しい責めしかしないし、
藍子も木綿季のそれを引き立てる優しい感じの責めしかしない。まるでお互いがお互いの与える快感の威力を倍増させあって彼を慣れさせない様にしているようだ。

 何度かの交合の後、藍子に騎乗されて精を絞られる彼はここで彼女の優しくも苛烈な攻めで達しそうになっている。それにも拘わらず彼女は敢えて彼が達せない様に快感を捜査している。
 さっきから笑いながら見下ろしていた玉藻が不意に彼の顔に腰掛けるようにして尻を押し付けてきた。アリスが人形の視点に彼の眼を移しそれを殊勝に見せつけてくる。玉藻は笑いながら横島の視点を乗っ取った人形と目を合わせ見下した感情を込めた目で彼を見ながら彼女は言う。

「ジパングでは、女性に優位の性交が恥ずかしいうえに顔面騎乗されるのは特に恥ずかしいとされてますけどぉ、それを浸透させたのは私ですよ。狐は求愛行動の際に相手の顔に尻を押し付けますからぁ。
 一番恥ずかしい性行為をわざわざ仕込まれていてどんな気持ちですかぁ」

 バカにしつくしたその言葉機器屈辱と怒りが沸き上がるのに合わせたかのように同じ狐である玉藻の指示を受けた藍子が彼に射精を促した。

「〜〜!」

 尻に顔を塞がれ聞き取るのが不可能な奇声を上げながら彼は一気に達した。そして何度も射精をした後なのに、最初よりはるかに多い量だったことが彼を一気に追い詰めた。

「あらあら、ジパング男子として最低の屈辱を与える謀略を張り巡らせていた狐の下にされるのがそんなに良かったですかご主人様ぁ」

 ありったけの蔑みの念を込めたご主人様呼びでさらに射精の量が増え、それを藍子が容赦なく搾り取る。


406 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:18:17 ID:oSDnTyKy

 玉藻は絞りつくされ倒れた彼を抱えながら椅子にかける。椅子の前に彼が眠る前に見ているテレビがある。彼女は鼻歌交じりにDVDとテレビをつけながら楽しそうに声を上げた。

「ご主人様それでは先ほどの情事を見てみましょうか特にご主人様の表情を」

 再生されたビデオの内容はアリスの人形の視点からの物の様で、幾つかに画面が分かれている。彼が大きな衝撃を受けたのは、自分の表情だ。自分が軽蔑の極みと感じた、
旅の途中で羽衣狐の配下の女権国家の力を得た妖怪たちの下部となった男たちと同じ否、それ以上に情けなない表情をしている。快感に負けているだけの時はまだ良い。
自分から彼女たちの胸や尻に手や顔を伸ばす時の顔はあまりにも情けなかった。そしてそれを見ながら敗北感に打ちひしがれる彼の分身が急に電撃を浴びたような快感に包まれる。

自分でも気づかぬうちに勃起した分身を玉藻の手が掴んでいた。

「〜〜!」

「ご主人様ぁ、もう少しご子息の耐性上げてください。弱すぎてしゃべれないと閨の中の問答が楽しめないじゃないですかぁ。 しゃべれないなら息子さんの反応で肯定か否定か判断しちゃいますよ」

 この傾国の狐は多くの閨の術を極めつくした女性を味わいつくした王さえ陥落させた手淫で彼にわざと発言できない状態に追い込みながら言葉で彼を嫐る。

「ご主人様はぁ、ご自分を陥れ辱めることをずっと目論んでいた女にジパングでは特に屈辱的な性行為されるのが大好きなんですかぁ? 硬くなった手ことは肯定ですねぇ」

 屈辱を煽る丁寧な従者言葉と彼女の侮蔑の目が余計に彼を欲情させ、彼女は笑いながら言う。

「こら!私の許可があるまで言っちゃだめですよぉ。 国政上女権国家の女性達と結婚するんですから、閨の中では立場をわきまえませんとぉ」

 彼女は笑いながら何度も寸止めし、行く直前に強い命令口調で彼に告げた。

「達しなさい! 空至王から九尾に負けたクソごみ男たちの同類に堕ちたゴミ男!」

 強すぎる快感の射精の中で彼女の言葉が強く焼き付き、彼は完全に意識を絶たれた。

 次の日彼は木綿季と藍子に鍛錬上に呼び出された。

「忠雄、僕達に色香で惨敗したじゃない。どれくらい弱くなっているか、確認した方が良いと思うんだ。一応女権国家からくる船を迎え入れる港のある所の王様なわけだしね」

 横島がここを任されたのは関係が良好とは言え女権国家との戦争も視野に入れねばならない土地の王だからでもある。 だがだめだ。昨日の夜で自分は一気に欲望に目覚めてしまった。
 今でも並みの英雄くらいには強いとは思う。だが今の彼は彼を無敵に近い最強にしていた大半の術や技が使用不能になった。
欲望が薄いからこそ自然の気と調和して、無限に近い気を得る外気孔術や機械のごとく早く威力の高い術や霊力の扱いも失われた。

「あ、ああ分かった。木綿季、わい多分めっちゃ弱くなっていると思うから手加減たのむで」

「うん。いくよ!」

 木綿季の剣撃を受けて彼は大いに冷や汗をかいた。昨日までは自分しかできないらしい霊力による身体強化であっさりとかわした彼女の技が速く重すぎる。 そして多分彼女はわざと彼がぎりぎり受けきれるように打ちかかってきた。

「忠雄そこまで悲観することないよ。まだ13の状態でそれだから伸びしろあるし、むしろ昨日までが異常すぎただけだよ。
悟りの境地みたいな精神状態じゃないとできない技とかをその年で使えていたことが変なんだって。 女権国家の女生と戦えるかの最終チェック行くよ」

「おう」

 横島は霊波刀を構えながら、頷いた。木綿季は笑いながら言う。

「決して破ってはいけない誓いを立てるけど、僕はこの戦いで買ったら昨日の夜と同じく君を閨の中で嫐りぬくよ」

 それを聞いた途端、彼の分身が固くなり、そして三人にされた行為の数々が思い出される。 霊力を練ろうとしても体が言うことを聞かず一気に制度が落ちその後はひたすら木綿季に叩き伏せられた。

 意識が戻ると彼は激しすぎる快感を分身に感じる状態で目覚めた。木綿季が満面の笑みで彼の分身を足で嫐っている。そして背中に電撃の様な快感が走り、藍子が背筋に裸で乳房を押し付けていることに気づく。

「忠雄ちょっと今日の君ダメすぎたよ。女権国家の力を得ている僕達とは言え、あそこまでひどいのはちょっとないよ」

「そ、そうだな。だが、足でするのはやめ、ああ!」

 強すぎる快感にあえぐ彼に木綿季は好きな子をいじめて全力で楽しんでいる女子特有の満面の笑みでいう。

「旅先で出会った羽衣狐の配下になっちゃった男よりだらしなくなかった」

「返す言葉もありまへん師匠」

 実力が木綿季を上回り旅のリーダーとなってからは呼び捨てで敬語も使わなくなったが、稽古と閨両方での敗北感が強すぎて昔の調子に戻ってしまった。彼女は満面の笑みでいう

「ほら旅の途中で内心馬鹿にしていた男の人達に謝って。『貴方たち以下のクズ男のクセに見下してごめんなさい』って」

 忠雄はさすがにそれは理不尽だと思った。少なくとも『理性』では彼らはそこまで責められるほど悪くないと思っていたから、内心侮蔑の念を持ってもそれを表に出さない様に細心の注意を払ってきた。
事実彼の努力は無駄ではなかった。それに気づいていたのは旅を共にしていた三人以外にはいない。だが、木綿季の強い口調での命令が昨日の玉藻からの行動を思い起こさせ、つい命令通りの謝罪を口にしてしまった。

「貴方たち以下のクズ男のくせに見下してごめんなさい」

「はい。よく言えたね。ご褒美♪」

 育ての親同然に鍛えてくれていた時の子供や弟へいうような言葉と共に木綿季は彼を射精させた。さらには敢えて妖術で彼を操り、自分が足に向かってどれだけ出したか凝視させる。

 木綿季は一瞬で彼を抱き込み、射精したばかりの敏感な分身を飲み込む。再び即座に射精しその量からぐったりとした彼を藍子が笑いながらツボを押して、追い打ちをかける。

「ユウをもっと悦ばせてあげなさい」

 彼女に体の様々な部分のツボを押されるたびに、射精しそしてその度にこの三人にあらゆる意味で勝てなくなっていくことを実感しながら彼は問うた。

「師匠、藍子姐さん。女権国家でもここまで男をいじめるのは稀らしいけど何でここまでやるんですか? ワイなんか怒らせるようなことしましたか」


407 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:20:21 ID:oSDnTyKy
「それが分からないってことは私たちの演技力も捨てたものではありませんね。玉藻が言った通りですよ。貴方精通前の日に、
私達と別れるか女権国家の女と結婚するかの二択ならどうするって聞かれたときに凄く逡巡したじゃないですか。
ああいう時は即答してほしいのが女心です。制裁の為に深刻じゃない怒り方の演技したけどすっかり騙されてくれましたね♪」

 そこまで言った後、藍子は彼を解放し天狗と妖狐の薬酒を取り出し彼に渡した。絞られすぎて、体がつらかった彼はそれを飲み回復すると二人が不意に魔術を使い一瞬で衣装を着こんだ。

 藍子は笑いながら彼の両頬を掴み言う。

「実は私たち以外にも怒っている人たちがいるんですよ」

 誰が怒っているのか想像もつかない忠雄は真面目に首をひねった。さすがにわからなくて当たり前だと感じた彼女は口を開く。

「前世のお嫁さんたちです。旅の途中でいくら美人でも、男をあんな状態にする女権国家の女とは結婚したくないな、前世の嫁さんたちとは私たち以外とは縁切ろうかな、見たいなこと言ってたじゃないですか」

「ジパングを危機に陥れた妖怪倒したら、一時的かもしれなくても一国の王やらなきゃダメなんやからしょうがないやろ。他国の女性に跪かされとる奴が王様とか民に申し訳なさすぎるわ」

 そう答えた彼に、藍子言う。

「彼女たちも貴方の言い分も理解できると思ってはいますからそこまでひどくはなりませんよ。それじゃあユウ、天狗隠しして彼をあそこに連れて行きましょう」

 そういうと木綿季が彼を掴み天狗の術唱えた。光に包まれ目を空けるとそこは別世界に変わっている。
西洋の闘技場だと王になってから勉学していた彼には分かった。そこまで考えた彼の前に白い羽と青い髪の美女=マイがマイクを持ち不意に告げる。

「さあ本日のメインイベント。空至王忠雄対玉藻の前の暗黒面ジパングを闇に包んだ九尾羽衣狐のリベンジマッチです。色香に溺れ切った彼にどうにか逆転の気は訪れるのでしょうか?」

 羽衣狐の下りを聞き彼は即座に剣を取り出した。だが目の前には玉藻しかいない。彼女は不穏な笑みを浮かべて言う。

「あれは私の分霊ですからご心配なく。女殺しの魔物が女権国家の女性の能力を取り込み男性を味方につける存在を産もうとしたから、私の分身体を送り込んで弱体化させたのがあれです。
 羽衣狐は凄くパワーアップしていたのにご主人様に負けてプライドが傷ついたからリベンジマッチに付き合ってあげることにしました」

 そう玉藻が言い自らの体に札を張り付けると、絶世の美女という共通点はあっても玉藻とは大いに特徴が異なる黒を基準とした魔性の美を誇る存在が現れた。かの存在は彼をせせら笑いながら剣を構える。

「それでは勝負と行くか旦那様。一度強化済みなわらわに勝ったのだ。ハンデとして色香に頼らせてもらうぞ」

 そういうと彼女は笑いながら服を脱ぎそして札を構えた。玉藻と種類の違う傾国の美を見ながら自分が一気に欲望にとらわれる彼に笑いながら彼女は言う。

「勝った時はそなたを玉藻と同じように嫐りつくそう」

 この時、忠雄は気づかなかったがマイによって彼は羽衣狐に対する自身の感情を彼女たちにぞっこんで屈服しきった前世の頃に戻されていた。そしてその後はあまりに惨め極まる試合となり、最後は女権国家の爆笑の渦の中で彼は羽衣狐に犯されぬいた。

「おーと! 先日アリスが開演した人形劇の通りの活躍をしていたらしい彼も、しょせん精通すればただの男の様です情けなさすぎて、鍛えた木綿季ちゃんたち泣きたいのでは〜!」

 マイのバカにしつくしたナレーションでより周りの笑いは余計強まり羽衣狐は彼を騎乗位で搾り取りつつ侮蔑の笑みを浮かべながら言う。

「そなた空至王の称号返上した方が良いのではないか? いや、一応は一度空位に至ったのだから誇大広告とは言えぬか。誰か彼に相応しい、称号思いつかぬか」

 そういう羽衣狐に不意にアリスが意見を言った。

「じゃあ、サルと書いて猿王(えんおう)なんてどう? 一番屈辱的なセックスであるらしいお尻に顔を押し付けられた時が一番射精量多かったらしいし」

「確か猿は自慰を教えらえると死ぬまでやりもするそうじゃし、あっておるな。いやだが、こやつは恥という感情があるのにそれを差し出しておるしなぁ。しかしそれ以外に相応しい称号も思いつかぬ」

 そこまで言うと羽衣狐は腰を動かしながら強い口調で言った。

「ほら、アリス殿に礼を言わぬか! 『猿以下の自分に過ぎた称号をくれてありがとうございます』とな」

「さ、猿以下の自分に過ぎた称号をくれてありがとうございます」

「もっとましな称号を考えてあげてもよかったけど、私も少しは怒っていたのよ。貴方の道中の発言の数々には。羽衣狐さん、名前考えた褒美に次は私がもらっていい?」

 羽衣狐が彼から離れるとアリスが代わりに彼に覆いかぶさりそのまま一気に精を絞った。
 羽衣狐の鋭い刃の様な快感と対極の甘く優しい快感に彼は一気にやられそのまま意識を失った。

 横島が目を空けると今の夢と同じ光景が目の前にあった。自分をあざ笑う女性の観客にあふれた闘技場。さらに目の前ではアリスが自分を見下ろしながら腰を振っている。あまりの快感にしゃべることすら不可能な彼を見下ろしながら彼女は言う。

「貴方の前世の快感はどう」

 しゃべることすらできない彼の悲鳴に近い快感が生み出す声が一番の返答になったようだ。アリスは笑いながら彼の頬を手でつかみ口づけし、人形に変わっていく快感を与えながら言う。

「エヴァ、お願い」

「ああ分かった」

 エヴァは少し微妙な表情をしながらも、飽食界で飲んだスペシャルカクテルと同じものを飲みそれから一瞬だけアリスの首筋から血を啜る。 
エヴァに血を吸われた瞬間、快感でアリスの膣が締まり彼をより多く射精させる。それが済むとエヴァは後ろから横島の首筋から血を吸った。 その途端彼の中に自分がどれほどみっともない性行為をしているかという観客全体からの意識が入ってきたが、
それと同時にアリスの自分に対するどれほどみっともなくても愛おしく自分を思う感情も入ってきた。観客の侮蔑の感情という鞭とアリスの毒の蜜を思わせる好意で揺らぐ彼にアリスは言う。


408 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:21:44 ID:oSDnTyKy

「貴方がどうなろうと私の感情は変わらないから、永遠に怠惰なまま沈んでも大丈夫よ」

 その言葉と共に来た快感で彼は再び意識を失った。

 その後彼は夢の中でジパングの一国の王として、政略結婚をした彼女たちに嫐られ続け高貴な身分の者だけが許される怠惰を追体験させられた。 婚姻の際に名前も忠雄から忠夫に改めさせられた。
これは前世の名が好きな彼女たちの意向もあったが、英雄の文字から忠実なる夫に変える呪術的な意味合いもあったのだろう。

 宮殿の中で彼は何度も玉藻相手に後背位で性行をさせられていた。横には優曇華が控えている。優曇華の瞳で体位に対する認識を女性上位と変えられて腰を振る彼を侮蔑の目で鏡越しに見ながら玉藻が優曇華に礼を言う。

「優曇華さんありがとうございます。狐である私はたまにはこっちの体位でもしたいんですけど、ご主人様はジパング男子として恥ずべき体位じゃないと勃起しなくなっちゃって。猿と同じ体位でできない上に男性優位でない猿王。本当に格好良すぎですねぇ」

「いえいえ、気にしないで玉藻さん。私も元がウサギだからその気持ちは凄くわかるから」

 優曇華と雑談に興じながら必死に攻め立てる彼に自分は足元にも及ばないと敢えて見せつけながら玉藻はせせら笑う。

 少し時間がたち強すぎる快感で何も言えない横島が射精した瞬間、快感の極が来る瞬間に合わせて玉藻がより強い快感を与え、そしてこれ以上快感を与えられると辛い時期を見越してさらに尻を押し付けてくる。

「あー!」

「また、あー!ですかご主人様攻めてしゃべれるくらいにはなりましょうよ」

 玉藻が手をたたくと多くの女性が入ってくる。彼女たちはかつて羽衣狐に寝返っていた、性悪な女性達だ。戦いが終わると尻尾を振ってきてその様子を馬鹿にしていたが、玉藻の力で彼女の眷属となってからは、ひたすら恐ろしい。
性悪女達だと分かっているのに彼女たちの色香と快感に逆らえない。 口淫をしてきた女性乳房を押し付けてる女性、全員が彼を見下し馬鹿にした目で見ているのに振りほどこうとも思えない。その中の口淫をして女性が笑いながら言う。

「私たちの様な汚らわしい女の色香に負けた男はクズなんじゃありませんでしたか、猿王様?」

「そ、それは」

 反論しかけたところで分身の奥に舌を突っ込まれ彼は一気に達した。そのまま倒れた彼を何人かの女が笑いながら犯す。 射精しつくし仰向けに倒れた彼の分身を踏みつけながら玉藻が言う。

「ご主人様、彼女たちの与えてくる快感はすごいけど私達よりは下ですよぉ。 なのになぜ切り捨てておしまいにならないんですか」

「む、無駄な殺生はよくないし、それにお前たちが睨みを聞かせておくって」

「それも嘘じゃないけど、一番は性悪で打算込みで貴方を支配従っている女たちに嫐られる状況が好きなんでしょうご主人様は。九尾の狐として王を堕落させた身だからよくわかりますよ」

そういうと玉藻は笑いながら彼に騎乗し何度も彼を絞った。その後の彼はこの色欲の世界を維持するという念の元善政を行い、武芸の腕を磨いた。だがどんなに世の中から称えられても、
自分は性欲の為にこれをやっているという負い目から抜けられることはなかったらしい。 らしいというのは人形劇で上演された舞台しか追体験できないために彼の主観では延々と女性達に嫐られぬき続けた記憶しかない。

 王としての一生を終えると同時に夢から覚めた横島は、全身が完全に彼女の霊力で来た糸に掌握されていることに気づいた。目の前で彼に覆いかぶさり絞りぬいていたらしい、アリスは目覚めた彼を笑顔で迎えるといった。

「従属する怠惰と高貴なものが味わう怠惰どちらもよかったでしょう? あなたが望むならどちらでも私は与えるから。 王だったころの閨の中だけの日々でも奴隷として主人から愛でられるだけの怠惰どちらでも授けましょう。
 それとこれから貴方が本当に怠惰に生きても大丈夫という保証を与えるから」

 そういうとアリスは魔術を使って一瞬で服を着こみユウキと藍子に目配せをした。ユウキとランは二人ともインプのままだ。彼女たちが夢の世界で天狗などをやっていたのは、悪魔合体をして戻ったわけでなく、
アリスの使い魔をやっていたので人形劇の再現に協力する力が上がっていただけの様だ。二人は使い魔然とした態度で彼に魔術をかけると、そのままどこかに彼を転移させた。


 ジンは大勢の敵を薙ぎ払い怠惰界のボスの間の前に到着した。

「ジャギさん、ここに怠惰界のボスがいるんですね」

「おう。今回は横島の奴が何回も大怪我しまくっていたせいか少し魔女としての性が暴走気味だ。少し頭を冷やさせるとしよう」

 ドアを開けて入るとそこは多くの人形が山ほどある美しくも恐ろしい幻想の世界だった。
中央の玉座にはこの幻想の世界に最も映える魔女を基準とした衣装に身を包んだ金色のショートヘアの美女とそして、傍らには人としての大切なものを断ち切られたかのように快楽で意識をえぐられぬき朦朧とした横島がいる。
 くしくも彼女の与える快楽は意図せずとも意中の男を己の人形のように変えていくようだ。 ジャギは短く口上を述べた。

「アリス、人間だった時からの付き合いだ。ここで怠惰界の攻略条件クリアにしてくれなねぇか」

「ジャギ久しぶりね。旦那様を何度も助けてくれた旦那様の親友相手に無体と思うけど、私を倒してからにして。最も私はここを攻略させる気はないけど」

 そこまで言い終わると彼女が一体の等身大の人形を取り出してきた。ジンがトゥルダクと共に倒した人形と似た存在だ。年齢は20代中盤位に見える。トゥルダクと共に戦った人形と似た刃のない柄を持っている。

「猿王、高島忠夫か、忠雄という名の頃に妖狐討伐の功績でジパングの港町の王に任じられ、女権国家の女生との結婚を機に呪術的な意味で名を変えられた。おもに聖王ヴィヴィオとの婚姻の縁を通じて外交に励みジパングを守護した」

「ええ、貴方たちを全滅させれば、自分が何もしなくても故郷は安心だと彼は思うでしょう」

 不意にジンが口を開いた

「ジャギ師匠、すいません、今回は俺が挑んで負けてから出てくれませんか」

「どうした、やはり成長の機会は逃したくないか」

「それもありますけど、こういう馬鹿をやってしまった時の実力者は負けるわけない相手に負けた方が諫言が効くでしょう」


409 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:23:07 ID:oSDnTyKy
「まあ。いいだろう。 アリス、ジンを退けた後は好きなだけ回復の時間を取れ。今回はお前が愚行を犯しているってたっぷりと分からせてやる」

 そういいながら腰掛けるジャギをよそにジンは玲子と仲魔達に手を出すなと指示を出した。ここは一騎打ちの方が勝率は高いと彼は踏んだ。剣を構え近づくジンに高島も彼を迎え撃つべく柄を構える。 
ジンは僅かに剣をゆらゆらとさせて近づきながら、不意に後ろに全速力で飛んだ。 
フェイントをかけながら隙を探りあう動きで近づいた時、読みあいでは勝てないと悟った。様々な形の武器を出せるあの柄が相手では出せるフェイントの量が違いすぎる。 

彼は即座に加速し全力で切り込んだ。 高島はそれを見て剣を具現化させて受けた。 ジンは即座に切り込み連続で彼に突っ込む
。高島は横島と同じく、フェイントを織り交ぜ相手を揺さぶるトリッキーな攻撃型だ。なら速さだけは僅かに勝る自分が徹底して奇策を出す暇を与えなければ良い。 
嵐の様な剣撃を高島が受け流す中ジンは僅かに焦りを覚えた。 自分の体力が彼を沈めるまで持つだろうか。

守りの中にも高島が仕掛けてきた騙しは多くあった。僅かとは言え余裕があるのに辛うじて受けた振りやその逆をされたり。その度にジンは肝を冷やした。数回だけだが騙された時は、攻勢に転じられ危うくなった。 

 数回の交差の後、高島が僅かに騙された彼に火事場の馬鹿力めいた力を込めた一撃を放ってきたとき、彼は僅かに体制を崩し、彼も火事場の馬鹿力めいた速さで距離を取った。
その瞬間霊波刀を槍の形に変えた、高島の突きが彼を襲う。もう刹那速ければ片腕に重傷を負っていたかもしれない。そう思いながらそれを防ぐと、高島がそのまま槍に圧をかけてきて、鍔迫り合いめいた状態になった。 
それを見た瞬間アリスの表情が勝利を確信したものに変わったことをジャギ以外は気づかなかった。ジャギもこれも弟子の経験と思い敢えて告げようとはしない。

鍔迫り合いをしつつ槍を剣に変化させながら迫る高島相手に彼は即動いた。彼は非力ではないが、力に関しては高島に及ばない。 近づいてきた高島に拳を放つと即座に距離を取りにかかる。
僅かでもミスれば剣を支える腕が片腕になった瞬間に一気に、切り倒される危険な賭けだが彼はそれに勝った。 だが試練はそれからだ。攻めに回ることができる高島の剣は、
短刀や長巻あるいは双刃刀に変わり彼を切り裂くかもしれない。切り替えるのに僅かな間があるとは言え騙され時間を取られればその隙にそれが来る。

 フェイントが生み出した多数の幻影の刃に警鐘を鳴らす神経を黙らせ、風を切る空気の流れだけに従い、高島の繰り出してきた剣の一撃を受けるというよりそこに一撃を叩き込むように剣を放ち辛うじて打ち勝つと彼は即座に蹴りを放った。
万が一双刃刀にしたとして、刃は届かぬ位置。ジンは足の先に感じる蹴りの感触同時に自分の腹にも衝撃が走ったことに気づくと弾き飛ばされた。高島が僅かに遅れて自分に蹴りを放ったのだと理解すると即座に呼吸を整え、そのまま風神剣を構える。

 一騎打ちを行う両者が警戒をしつつ、決着をつけるべく直前の小休憩に入った瞬間アリスが感嘆の声を上げた。

「本当に貴方の成長力凄いわね」

「ええ、ジャギ師匠曰く恐らくは貴女達の倍くらいになっているだろうと」

 その言葉にアリスは笑いながら言った。

「ええ。だからこそ、忠夫に与えることができる安心感も倍になるわ」

 アリスの宣言が終わった直後それを合図にした様に両者が駆けだし、双方の剣が何度もぶつかり合った。ジンは致命傷以外のフェイントを無視するように意識を切り替えひたすら手数で高島に勝利しつつあった。
お互いが渾身の一撃を込めて双方の剣がぶつかり、互いの隙ができた直後、高島が霊波刀をしまった。そして新たな武器に変えようとする。両方から霊波が出たのを見て、双刃刀そう考えると同時にジンは勝利を確信した。

『ここで双刃刀に変えるとはそうせざるを得ない理由があったのかもしれんが貴方の具現化速度では間に合わないこっちの勝ちだ』

 そう思い彼の首に風神剣を放った直後ジンの腕に硬い感触が帰ってきた。本当に僅かな差だったが、ほんの数瞬速く霊波刀が具現化されていた。そしてその具現化されたものは双刃刀ではない。 
先がまるく刃がない。これは棒術の棒だ。そう思った直後ジンの中ですべてがつながった。さっきの槍を出してきた一撃、あれは本来の具現化よりほんの僅かに遅らせたのだ。
ジンの脳裏に間違った計算を植え付けるために。 そして次の瞬間、高島が棒術の棒で彼に乱打を放ってきた。 僅かに速度で勝る彼も、棒術の乱打はしのぐのは不可能だ。何度か受けた物の足に一撃をもらってから決定的に崩れ、そして倒れた。

 ジンが破れたのを見て驚く横島をアリスが魔力の込めた手で名で脱力させながら口を開いた。

「どう? この世界の封神演義の紂王は色欲三昧に溺れていても最後は見事な武勇を見せたでしょう。だからあの色欲に溺れた貴方の前世もあそこまでになるから心配はいらないわ」

「前世のワイはあの後武芸とかは真面目にやっとたのか、それともずっと色欲に溺れた日々を過ごしてあれだったのか」

「どちらにせよ、あの人形が貴方の故郷を護る戦力として動くから貴方がここで怠惰の極致に堕ちても大丈夫なのは変わらないわ」


 立ち上がろうとしたジンをジャギが手で制すると前に進みだした。

「この戦い女権国家にも放映されているんだろ。なら放送を切るんじゃねぇぞ。 大醜態をさらせばそれだけ失敗を繰り返しにくくなる。俺が知る限り最低最弱となったアリス・マーガトロイドよ」

「安い挑発ね。そんな煽りで私の手元が鈍るとでも思っているの。忠夫から吸収した霊気を大量に注いだこの高島人形、分霊に過ぎない貴方がどうにかできるとでも」


 そういうとアリスが魔力を放つと高島人形の動きがより速く力強くなり、放つ闘気が一気に膨らんだ。ジンはそれを見て、悟った。
たぶん彼女は高島という英雄が生きたどの時期でも再現できる。そして自分に経験を積ませるために一番実力が拮抗していた時の彼を再現していたのだろう。


 強大な闘気にさらされながらも、ジャギは微動だにせず答えた。

「端末にすぎぬ分霊と、珍しくバカ女と化した魔女が操る人形丁度いい勝負だ。最もそっちの方がハンデがでかすぎるが」



410 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:24:45 ID:oSDnTyKy
「貴方のレベルではこの人形とまともな戦いになるのがやっとなんじゃない?」

 アリスの言葉にジャギは淀みなく答えた。

「勝てるさ。相方の女がこれでは、横島の奴も本来の力は出せん。女尽流はどの流派でも女を支える支援の技、特にその高島が覚えた女尽鏡流(めしんきょうりゅう)女を映す鏡となる技だ。鏡の前に立つ女がそれじゃあ映えようがない」

 そこまで言うとジャギはアリスを警戒する価値なしとでもいうように目をそらすとジンの方を見た。 理想に近い自然体であり空気の乱れを感じれば次の瞬間風より早く動く。その確信を抱くジンに彼は言う。

「すまんな。格上とは言え、『今の』バカ女なアリスに負けたなんて汚点だろうがお前から名誉挽回の機会取らせてもらうわ。今のあいつあいてならお前でもそう遠くないうちに多分勝てるだろうがな」

 そういうとジャギは剣としても棒としても使えそうな鉄の棒を取り出した。多分あれはリグルの作品だろうと思った。かなり昔の品の様だが多くの強大な敵との戦いで役立った武器特有の風格がある。その武器を見てアリスは疑問めいた表情になった。

「その武器で立ち会う気?」

 ジャギが本気でそうしようとしているのを見て、彼女は僅かに悩むと即座に決断した。

 高島の人形が剣を構えジャギに突っ込むと袈裟斬りの鋭い一撃を放ったジャギも高島の剣と似た太刀筋の動きでそれを迎え撃つ。
ジャギは拳法かであって剣士ではない。状況に合わせて剣を使う例も皆無ではなかったが、剣を主に戦った横島相手には及ぶはずがない。
にも拘わらずお互いの剣のぶつかり合いは僅かだがジャギが競り勝っている。それを見てアリスが驚愕の極みという表情になる。

「そんな、なぜここまで高島人形と戦えるの?まさか水影心が爆発的に進歩したの?」

打ち合い僅かに押される高島を見て驚きつつ状況を分析するアリスに説明するような口調でジャギは言う。

「それはお前が愚行を犯しているからだ。猿王忠夫。女権国家の女性達に嫐り尽くされながらも相手の女性達が心底自分を好いていることと民の為になる政策をしてくれたことに気づき生涯かけて、
彼女たちを支えるべく武の修行を怠らなかった横島の転生先の一つ。 空位から降ろされた後、女尽鏡流を学び元最終的には精通前の自分より少し弱いところまで強くなった」

そこまで言って区切ると彼はさらに続ける

「女尽流の元となる霊力は自らの意思で女に尽くさんとする意思と、自らに快楽を与えてくれる女を失いたくなという色欲が産んだ執念の霊力。
この二つが武道の理想形の一つである無限の変化を遂げる鏡の様な形に至らせている。それがない女尽流など効率が良い霊的戦闘術にすぎん。 哀しみを知らぬ北斗神拳がただの拳法にすぎんようにな」

 哀しみを知らぬ――の下りには失われたものへの郷愁が深く籠っていた。レベル事態は上の高島の猛攻をしのぎながらジャギは言う。

「横島よく見ておけ、お前と大鳳と幸運のおかげで生前の俺は至らなかった北斗の極致、これこそが核となる心が宿った武芸の技だ」

 お前と大鳳のおかげでという言葉に深い感謝と戦友への親しみが籠っていたのがこの場にいる誰にも分った。 
ジャギは高島の一撃速度と力の理想的な配分の一刀を辛うじてだが防ぎ、高島を逆に弾き飛ばすと、両腕を前に出し膝を曲げると気を練り技を繰り出した。


「北斗羅漢撃」

 無数の残像と思われる手刀の雨を作り出しながら突撃するジャギが一気に高島人形を追い込む。高島人形は生前の彼の再現の様にすさまじい動きでそれを防ぐが徐々に圧倒されている。

ジャギは羅漢撃を放ち闘気で強化された手刀で高島と打ち合いながら、この技を完全に習得した時のことを思い返していた。死して闘神と化した自分に弟子入りしてきた無数の良き男子たち、
大半は自らよりも才が低いのに死に物狂いで修業し彼を敬ってくれた。彼らは女殺しの魔物達との戦いで戦死する際も才を与えてくれなかった天を恨まず、ただ被害の収束を願っていた。

彼らの師として恥ずべき事は出来ぬと思った時、妬み、嫉み、弟子たちを殺した魔物達への憎しみと恨みすら消え去った。そして気が付いた時この技が破れることは殆どなくなり、
自分は多くの人々を救える様になった。夢想転生を発動できるようになったのもあの時からだったろうと思う。

高島の技や術を手刀の速度と剛力でねじ伏せながら彼は横島の転生先達との日々も思い返した。全く合わなかった転生先もいたが自分の男子な弟子たちは大半が彼と共闘していた。
そして彼は自分の弟子だと知ると自身でもわからない理由の為にひたすら彼らを生かすために頑張ってくれた。彼の友情がなければ天寿を全うできた弟子はもっと少なかっただろう。 
羅漢撃の中から特に早く鋭い一撃が繰り出された時、高島人形が韋駄天の型という女尽流の技でアリスの盾となり霊波刀で彼の手刀を受けた。 自らの一撃を一時的とは言え受け止めた人形に僅かに驚きながら彼は言う。

「アリス、横島の奴に霊力を注いだお前への愛があっても怠惰に堕とされた霊力を注がれた高島人形では羅漢撃は防ぎきれん。死に物狂いでお前を護ろうとする横島なら防いだだろうがな」

 そこまで言った直後に高島人形がジャギの手刀で霊波刀ごと貫かれた。そして彼の手刀がアリスに迫った時、アリスは人形たちを動かし一撃もらう覚悟で迎撃しようとする。
その瞬間脱力させる快楽で完全に動きを止められていたはずの横島の目に光が戻り。高島人形が使った韋駄天の型を繰り出した。高島人形と比べればまだ未熟な動きだったが、
彼はジャギの一撃を霊力で生み出した盾で防ぎぬいた。全身の霊力を一転に集中させ、正確な一つを読み取り受けきった彼をジャギは小気味よさそうに見ながら言った。

「こんな風にな。 これで怠惰界はクリアだろう」

「ええ」

 ジャギに敗れて負けを認めたアリスの様子は明らかに憑き物が落ちたようだ。おそらくは魔女としての性を思う存分に発揮して発散した後、ダメだとは思うがやってみたかったことがだめだと実感できたのだろう。

 ジャギを見て疑問と懐かしさを覚えている横島に向けて彼は言った。

「まあ、普段はこんなバカ女じゃないんだが、魔女としての業がお前が傷つく姿を見すぎて溜まっていたんだ。今回の件で落ち着いただろう」

411 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 20:27:15 ID:oSDnTyKy
そういうと、瞬間移動すら思わせる足取りで去っていくジャギを見て横島は思う。自分の中でアリスを護りたいと思う気持ちも強かったが、
彼に無様な姿を見せたくないという思いもあったと。前世では多分相当深い戦友だったのだろう。

 戦いを終えた後ジャギは、怠惰界の森で瞑想し過去を思い返していた。自分の弟子たちを常に守るために最善を尽くしくれた横島の転生先と彼の妻達。
アリスはその中でも人形劇をやっているだけに子供な自分の弟子の面倒をよく見てくれていた。

 全てを思い返した後、彼は独り言を漏らした。

「悪いな、ジン。多分大丈夫だとは思ったが、弟子の面倒を一番見てくれた女が愚妻に堕ちるかもしれない状況をみてられなくてな」


 怠惰界を超えた後、横島はアリスと向き合い話していた。

「忠夫、今回は試練の域を辛うじて出なかったとは言え、私は貴方に超えてはいけない線を越えたかもしれないわ」

 沙汰を待つ罪人の様な声を出すアリスに横島は笑いながら答えた。

「恥ずかしいシチュエーションは勘弁やけど、アリスちゃんとのエロめっちゃ気持ちよかったで。アリスちゃん俺が隠居したら恥ずかしさ控えめであの酒池肉林をもう一回お願いします!」

 裁判を思わせる空気を壊し、とびかかってくる横島にアリスは嬉しそうな笑みを浮かべた。彼女は彼を押さえつけ言う。

「毎回貴方は冗談めかして嬉しいことを言ってくれるわ。でも今日はやめておいて。今度は試練じゃない本気の誘いをかけてしまいそうになるわ」

 本気の誘い。その言葉を聞くと彼の背筋が一気に寒くなりアリスにされた行為をすべて思い出されてくる。
何もしなくてもあれが与え続けられる状況が想像でき立つことすらままならなくなりかけると、いつの間にか来ていたマイが彼を支えてくれた。

「落ち込んだ女権国家の女性に優しくするのはかなり危ないのよ。 ほらあんたを完全回復させるのは私でも少し時間がかかるから、とりあえず戦線復帰させて、修行さながら癒すことにしたから、急場しのぎできる娘を連れてきたわ」

 マイがそういい指示した先に狐面をつけた赤い羽織に身を包んだ少女がいた。その少女は不意に狐火を思わせる日を放つと玉藻の姿へと変わる。

「ご主人様、マイさんが貴方のケアに時間がかかるそうなのでそれまで戦うモチベーションを与えにやってきた良妻九尾ちゃん参上です。玉藻の前でもチェフェイでも羽衣狐でもお好きな様に呼んでください。 
ご主人様が少しロリコンに目覚めたと聞いて少女姿も練習させてもらいましたぁ」

 ここまでは冗談めいた口調で良い不意に、妖艶で恐ろしい目に変わると彼の眼をのぞき込み言葉をかけてきた。

「ご主人様ぁ、ちゃーんと全ての魔界を踏破してきてくださいね。 私の担当は最後の魔界貪欲界。そこで一番過激な快楽をご用意してありますから、――貪欲界で会いましょう」

 貪欲界で会いましょうという言葉に妖艶極まる言葉が籠っておりそれを聞いた彼はトラウマをさらに刺激された。にも拘わらず体は他の魔界をすべて踏破するという意思に満ちていた。
快楽のトラウマと期待の超過で彼が倒れるとマイがそれを抱きとめる。彼女は横島を抱えるとトラポートを唱えどこかへと転移した。


 静謐な蒼い月にどこまでも映える神殿で。そこにマイがいた。今の彼女は見かけ通りの冥府の厳格などこまでも純白が似合う天使に見える。彼女は両の眼を閉じながら水の中に着けた横島に回復の光を注ぎ続けている。不意に大きな魔力の奔流が起こった。
世界そのものが切り替わるような大きな違和感が生じた刹那に、神殿の中に来訪者があった。その来訪者は赤い衣装に身を包んだ銀色の髪をした麗人=神綺は感謝のこもった目で横島を見ながら、慈母の様な目でマイを見て問いかけた。

「マイちゃん。今回はどう」

「ええ、私の予想通りだったわ。ちゃんとアリスの溜まりすぎた業を発散させて、そしてその後のケアもちゃんと忠夫がやってくれたわ」

「なんだかんだ言ってマイちゃんもアリスちゃんがかわいいのね」

「妹ですから」

「次の魔界も彼にはきつそうね。作った私が行っていいことかとも思うけど」

 心底申し訳なさそうに言う神綺をよそにマイは笑いながら答えた。

「きついことはきついけど、愚弟は折れることは多いでしょうけど最後には必ず立ち直りこの魔界を踏破し、強くなりますよ踏破します神綺様」

 珍しく敬語で真面目な口調で話すマイに神綺は頬を綻ばせる。女権国家と異なる世界に来て、多くの災難が待っていそうだが、彼と共にいれば娘達はそこまでひどいことにはならないだろうそう信じ切った目をしている。
神殿を美しく彩る蒼い月がそれを保証しているかのように輝いていた。


412 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 23:50:47 ID:21nDh4++
乙です

413 :名無しさん@狐板:2022/05/24(火) 23:56:46 ID:oSDnTyKy
>>412
ありがとうございます。
あちらのシェルターの方にも書きましたけど、ミスして字が入ってなかったところがあります。
>>390の一番最初の所に『シャーリー」が入り>>395の初めに『この』が入るはずでした

414 :名無しさん@狐板:2022/05/25(水) 11:58:59 ID:JDQxEwJp
乙でした!

415 :413:2022/05/25(水) 17:18:55 ID:3sAQSKmO
>>414
乙感謝です

416 :名無しさん@狐板:2022/05/25(水) 21:42:40 ID:3sAQSKmO
すいません脱字報告です。
>>409のジンのセリフ「ええ、ジャギ師匠曰く恐らくは貴女達の倍くらいになっているだろうと」は
正確には「ええ、ジャギ師匠曰く恐らくは貴女達の予想の倍くらいになっているだろうと」です

417 :名無しさん@狐板:2022/05/29(日) 16:40:49 ID:JVZPqTAB


418 :名無しさん@狐板:2022/05/29(日) 16:40:56 ID:JVZPqTAB


419 :413:2022/05/30(月) 23:21:05 ID:s5GW2u3z
>>417
乙感謝です

420 :名無しさん@狐板:2022/06/02(木) 21:21:19 ID:B82OSa4K




43−B
レア度 ☆☆☆
基本買値3000m 売値1600m
【アイテム】スティムパック
【内容】
使用者に瀕死からの回復効果と短時間のリジェネ効果を与える救急アイテム
回復力自体は毎ターン2回復を数ターンだけとかその程度の効果だが、安価な救命アイテムである。
安価で使いやすく、量産や保存が効くので救急セットや軍隊用に使われる。

魔法薬に比べると即効性も回復力も低い上に、副作用として性欲が凄まじくたまる、
薬理作用が云々かんぬんで精子精液がモリモリ増産される等の欠点もある

つまり死ぬ寸前まで絞られた後これをぷすられてまた絞られるという無限ループが可能

搾られているときは大丈夫だが、戦闘で3本以上は体が危険なため使えない。
つまり3本以上持っていて2本使って負けるとこれをぷすられてまた搾られる

HP0時、HP1d5で復活、状態異常回復も状態異常耐性、誘惑耐性、拘束耐性やや低下

なかなか内側に残った液体は吸いにくいので念入りに執拗にちゅうちゅうする。
あなたのことじゃなくてこのアイテムのことです。

52-B

レア度☆☆☆
基本買値6000m 売値4800m
【アイテム】ジッポー
【内容】
オイル交換式のライター。蓋の開閉時、良い感じの音がする
もし誰かが求めているのならば、そっと『火』をプレゼントしてあげよう
 僅かだろうとはいえ、きっと貴方に良い印象を持ってくれる筈
プレゼントした『火』は無くなってしまうだろうけど、ライター自体は無くならない。気軽に使ってみよう
無論、このライター自体をプレゼントする事もできる
……意外と高い

火を貸してほしい。その熱量、情熱を。


13-B
色隠しのスカーフ  レア度 ☆☆☆  基本買値 7000m 売値 3500m

装備兼好感度アイテム
特殊な効果のあるスカーフ。ネクタイもある。
見た目は普通のスカーフだが、首もとに巻くとその人の色、印象や気配が抑えられる。
つまり地味に見えたり影が薄くなる。あくまで抑えるだけで姿が消えたりするわけではない。
お忍び等に使われることもあるがあまり普段使う人はいない。ただ少し変わった使い方もある。
それは巻いたスカーフやネクタイを弛めると、そこから押さえていた色が噴き出し、
濃縮された色気等が弛めた方にいた人にかかるというもの。噴き出すのは一瞬だが
抑えていた時とのギャップで魅了しやすくなるので、これを巻いて近付いて弛めてから
誘惑するなどの使われ方をすることもある。
なお、これを異性に贈るのは「自分にだけ魅力を見せて欲しい」という意味に取られるらしい。

「魅力を見せて欲しい」。
「堕としてくれ」「溶かしてくれ」と同義語かもしれない。


40−C
レア度 ☆☆
基本買値2500m 売値1200m
【アイテム】ヒール・ポーション
【内容】
外傷治療に使われる魔法薬。飲んで良し、かけて良しと使用方法は多岐
品質にもよるが、高品質なものだと自然回復が困難な負傷でもたちどころに回復させる事も
品質の上下幅が非常に大きく、買ってみるまで品質が分からない。
よほど引きがよくなければ基本的にはただの回復薬
心の傷は癒せない。


18-B

【アイテム】勃起ガス手榴弾/臼砲弾  基本買値 8000m 売値3500m レア度 ☆☆☆
【内容】攻城用や突入用の「人道的」兵器として開発された特殊な武器で、それまで使っていた焼夷剤の代わりに媚薬が仕込まれている
ガスを吸った男は勃ちどころに射精寸前となり、女は男性に襲い掛かりたくなって戦闘の意思や能力を削がれてしまう(対男性除く)
ただし、これに充填されたガスは錬金術ギルド製の製品より安定重視で効果が小さく、開けた場所での効果は薄い。覚えておこう。

解析のために本国に送ってよし、突入前に投げ込まれるもよし、
返事を引き延ばす主人公に我慢ならなくなった味方キャラに部屋で炸裂させるもよし
特に味方によるブッパはため込んだ性欲も相まってデロデロの甘々セックスになるだろう

味方に持たせてもいい。うかつに持っていると奪われて使われてしまうかも。

人道的な兵器の使用が人道的な結果につながるとは限らない。


82‐B
レア度☆☆☆
基本買値4000m 売値2000m
【その他】変換ミミック
【内容】どこかで人為的に開発されたらしい、物品を主食とするミミック。
どうも不可思議な何かが体内で起きているらしく、このミミックに食わせたアイテムは単一の何かに変換されて吐き出される。
変換基準は価値の釣り合いらしく、複数放り込めばそれだけ価値の高い一つのアイテムとして帰ってくるだろう。
なお、金銭を直接変換することは不可能。 また価値基準は女権国家内の相場が適用されるらしい。
また、吐き出されたアイテムは通常アイテムとなんら変わりないが、もうミミックは食べてくれないことに注意しよう。
使えば使うほど変換するときにいいものが出て来やすくなるかもしれない。
付喪神ではないが、愛着を持つほど長く扱うと自我を持つようになるかも知れない。
たくさん食べさせてね。いつかあなたを食べられるように。





421 :名無しさん@狐板:2022/06/20(月) 23:07:11 ID:dBJ1olRt
女権国家父の日SS

 これは現在シェルターで連載中の女権国家の二次創作SSです以下の注意書きがあります。

@現在連載中であるため、キャラクターの設定や人間関係は本編と大きく異なるかもしれません。
A父のSSだけど一日遅れです。
B愛歌の能力は原作より低くなっている魔術師ですが。女権国家本編ではそんなではないかもしれません。
C人間関係は現在の女権国家から数か月後から1年たっておりそれなりに全横島ヒロインが仲いい設定で書いています。
D途中に出てくる『帰れずの森』はこのSSオリジナル怪異であり。本編には出てきておりません。またヴィヴィオの設定もダイスで決まるためこのSSオリジナルです


 女権国家の日付が変わる直前の深夜に町と野原の境界の場所を緊張感のある面持ちで歩む三人の男達がいた。鋼を思わせる筋肉に身を包みながら、一切の隙を感じさせないヘルメットの男と赤いバンダナをしたそれなりに整った顔でありながら、
どこか抜けたところもある男、そして最後の一人は一見すると少女を思わせる様な容姿でありながら、二人以上に隙が無い武道全般に長けた様子の少年だ。

 硬い表情のまま細心の注意で歩みながら、明らかに野原から町の側に境界を足を超えた瞬間彼らは不意に安心した表情になり警戒を解くと少女に見える程の美少年が口を開いた。

「安全地帯に到着。任務完了だね。忠夫、ジャギ」

「ああ、こんかいの依頼。『帰れずの森の怪異』とやらはこれで除霊、もしくは大幅に弱体化したはずだ。 横島、家に戻ったら浄化を頼む」

「任せとき、けどワイから浄化されても、きちんと三日以内、遅くとも一週間以内には神殿か神社でちゃんとした処置を受けるんやで」

「ああ。分かっている」

 愛歌相手に英雄になってやると約束した横島は、かなり真面目に修行などをしていた。ジャギや大鳳の為にユウキのスパルタな訓練にもかなり真剣に挑める気質の彼は、愛歌と約束してからは英雄らしい行動を心掛けた。
また生前の記憶をある程度取戻し、魔術師の様な事ができる愛歌からの指導も彼に眠る霊能を目覚めさせる要因となった。
彼が英雄となると決めた時にやれるのかと聞いた大鳳への返答は彼らしかった。

「正義の味方とか品性あふれる騎士とかは無理やけど、英雄ならどうにかなれるかもしれん。途中がどんなに情けなくても、大きな善行を成し遂げれば英雄を名乗れるしな」

 そう答えた後の彼は、なるべく情けない行動を割けるようになりもともと性欲を除けばそこまで悪くなかった素行も大分、良くなった。 愛歌は明らかに彼のストライクゾーン外なのにこの頑張りを疑問に思う大鳳とジャギに彼は言った。

「一応依頼の為とは言え、約束したからな。それにガキ相手に約束を『守れない』のはまだしも、『守らない』のは最低すぎるやろ」

 そう答えた後の彼は日ごろから愛歌に対する対応が最も女性に好かれやすい行動を意識せずにするようになっていった。 好みではない女相手程ああいう対応ができるのだなと、二人は少し呆れつつ、ああいう対応が誰にでもできれば王国にいた時からもっとモテたのでは、と思う。
 子供の頃から人柄を知り、彼を好いているユウキ以外では彼が大人になってから落とした初めての女性だったのかもしれない。

 そこまで考えた頃に彼の術が自分たちを蝕んでいた森の妖気を浄化してくれたことに大鳳は気づいた。最もここまでしてもらわなくても、今回の怪異の性質上大丈夫だった気もしなくもないが。
今回の怪異は森そのものが本体であり、森を舞台にした幾つもの恐ろしい怪談が融合してできた存在だった。 途中で出てくる敵を何度倒しても無駄であり、怪談の幹部『助からない』を壊して生存した時この怪異は怪談のロジックが崩壊して消えるか大幅に弱体化する。
誰か一人でも生存してしまった時点で怪談のルールが、怪談が生み出した怪異に向かって、『無事に誰かを返した時点でお前なんか『帰れずの森』じゃない!』と断じてしまうためらしい。


 森から出られた時点で大幅に邪気は弱まり、街に入れた時点で風前の灯近くなり、ギルドに依頼達成の報告をした時点でほぼ完全に脅威は消えた。最も今回の依頼の収益は危険度の割には安かったが。 
この怪異との戦い方は、映画や小説であり得る死亡フラグを徹底的に避けることにあった。愚行を慎み、欲望に流されず、増上慢をせず、仲間内で不和を起こさない。ここまでやってなお、『怪談の現場に行く』ということをしてしまった以上は死ぬ可能性はゼロではなかったが無事にやり切ることができた。

 依頼の報告を終えた横島は、ギルド職員に念のために釘を刺していた。ギルド職員を信用していない、訳ではなくうっかりと忘れてまた死亡者を出し、怪異に力を蓄えさせるのを危惧しているようだ。

「ですから、しばらくは言われたことを順守するような人たちばかりを森に入れて、森の恵みが多い時とかは必ず帰還の時間を夕暮れよりだいぶ早めにすることを順守お願いします。それとこのギルドの人達は怪異の残滓に操られたりしない様に月に一度は神殿か神社でお祓い受けてください」

 ギルドの職員の女性も神妙な表情で頷いている。

「はい。分かっています。 冒険者は無事に帰れない事も多いとは言え、あれほどの実力者な方々が連続で帰ってこないのは異常でした。 それを突き付けられても危機感を持っていなかったことが恐ろしいです。今ではそれがどれほど異常な事態かわかります」


絶対に横島の言うとおりにしようという意思の籠った職員の頷きを見た後、職員に依頼の額を告げると驚かれたがこれも怪異に対する対策であり、欲張った行動は怪異を強化しかねない、と教えると納得した様に頷き、恩に感じたのか困ったことがあればできる範囲で便宜を図ると約束してくれた。

 依頼完了の手続きが済んだ時怪異の力が完全に消滅したか、無に等しくなったのを感じ取った後、横島はジャギと大鳳に礼を言った。

「ありがとうな二人とも、少しばかりだけどワイが愛歌を怒らせてもうて、その対処に付き合ってもらってすまんな」

「構わねえよ。今回の森の戦い俺も得られるものも多かった。少しきつめの鍛錬がしたいと漏らしていただろ」

 ジャギは今回の依頼の同行を頼まれた時、横島が自分の愚痴を聞いていたから気を使ったのだと思っていた。だがそれを横島が素で忘れていて、愛歌を少しだけ怒らせるようなことをしてしまったのが原因でこの依頼を受けることになったと聞いた時、
呆れつつこの森への出撃が義務になった公僕の娘に泣きつかれたのもあると聞き彼らしいと笑った。 大鳳も愛歌と彼が付き合うことになった理由は自分にも責任の一端があると思ったのと、女権国家の人間とは言え、
善良な人間が怪異にむごい殺され方をするのを放置するのは気分が悪いというのもあった。

 愛歌を怒らせた原因を聞いた時は二人とも本気で呆れたものだ。 寄りによって自分に懸想した彼女が、少し寂しそうにしていた様に見えたらしく(それは彼の勘違いだったが)その時丁度親子がそばにいたのを見て、早合点した彼はいい笑顔でこう言ったのだ。

「幽霊とはいえおこちゃまだし、父親恋しいのは仕方ないな。ワイがパパになってやろうか」

 女権国家の女性相手に本気で惚れた男がする子ども扱いは、おばあちゃん扱いやおばさん扱いと並んで危険だ。愛歌はそれを聞くと怒っていますという笑顔でこう言った。

「お父様の格好いいところ見たいから、英雄らしく大勢の人を救ってきてくださらない」

 そして渡されたのがこの依頼だ。 わざわざ父の日が帰還日になるようにする当たり、彼女の嫌味とあてつけっぷりがよくわかる。だが横島の霊能を成長させ、本当にどうしようもなくなったら自分が助けられる依頼のレベルにしてある辺り彼を英雄にしたいのが分かる。


422 :名無しさん@狐板:2022/06/20(月) 23:09:55 ID:dBJ1olRt
 戦闘が終わって帰った彼を愛歌は輝くような笑顔で迎えた。

「忠夫、おかりなさい。少しは懲りた」

「あ、ああ。自分を好きになってくれている女性相手に子供扱いは本当に配慮が足りんかったな。ジャギと大鳳にどこが悪いのか滅茶苦茶言われたわ」

「分かればいいわ。明日、いいえ既に今日は父の日だから夜食を食べて休んだらたっぷりと私に奉公しなさい。お父さんが欲しかったわけじゃないけど、
一度パパになってくれるといったんだから、『明日はパパになってね』色々と年相応のわがままを言わせてもらうから」

愛歌の嗜虐的な笑みに少し引きながら彼は答えた。

「あ、ああ」

 上機嫌で帰る彼女を見ながら明日はきつい一日になりそうだと彼は思った。

「それじゃあ、寝て起きた後の為に夜食を取ったらお風呂入って寝ちゃいなさい」

その言葉を聞き横島は大いに喜んだ。愛歌が作っているのか否かはわからないが彼女の出してくれる料理はおいしく体力が回復しやすい。台所に戻る彼女に彼は跳ねるようについていった。

 愛歌が出してくれたカレーは風呂に入る前には出されたものとしては最高だった。やや冷え気味だった体を温めてくれる上に、きちんと出汁がとられた味が美味であり、
特にぎりぎり歯ごたえが残る程度に軟らかく煮られた舌の上でとろける様な肉の味が特素晴らしい。
スプーンを早く口に運び、何度も水を飲みながらそれが汗に変換され、彼はそのまま風呂に入ると直ぐに布団に飛び込んだ。

 次の日に彼は、ジャギが愛歌に注意を促す声で目を覚ました。

「――、とまああいつはスペック高いけど、そこまで万能じゃないからあまり無茶させないでくれよ。そら気のある男から子供扱いされたら頭にくるのもわかるけどな」

「ええ。彼なら必ず生きて帰ると確信していたけど、あそこまで危険だと本気で嫌いになったと勘違いされちゃうかもしれないからね。今後は慎むわ。多分ここまでするのは『今回』が最後よ」

「ジャギ、すまんなきつく言えない俺に代わって注意してくれてたんか」

「ああ、悪気がないからと言って今回みたいなことをいくらやられても大丈夫だと勘違いされちゃ困る。今のお前は欠けるとかなり困るくらいには戦力が大きいんだ。『いないよりはいた方が良い』ぐらいの実力だったころと同じノリでいられると本当に困る」

「分かっとるで、だから生き残るためにも愛歌の機嫌を損ねんように動かんとな。ジャギ今日は父の日だから、お父さんらしく彼女をエスコートしてくるわ」

 横島が手を引き愛歌を連れて行く姿を見ながらジャギもほっと胸をなでおろした。 本格的な神殿などでの対処を一緒に受けようと思って声をかけに来たが今の様子なら大丈夫だろう。 
 のちになってみればこれはジャギの間違いであった。女権国家の女生徒の付き合いが浅く、惚れた男にカチンとくることを言われた女権国家の女性の恐ろしさを大鳳とジャギと横島は、『理解』はしても実感できていなかった。 
愛歌が礼儀をわきまえた行動をとる彼らに対して良識的だったというのもある。そして愛歌が横島に本気で好意を持つ前はお子様扱いに対してもそこまで怒らなかった様子を三人が見続けていたというのもあった。
 よりによって久しぶりのお子様扱いが本気の地雷となる時にやってしまったと気づけた者は果たしていただろうか。

 愛歌に連れられて横島は路地裏でギルドからもらった多額の報酬を使って子どもたちに食事と職業訓練などの費用を出した。 霊波刀と自家製の札で片付いた為、報酬を最低限にしたにも関わらず準備費用と合わせるとかなり多額の額に『なってしまった』のだ。
今回の依頼に限ってはこれはよくないことだ。怪談の土地で得た多額の金を得た者の末路という、
怪談のお約束の死亡フラグをへし折るために自衛のための浄化の儀式と欲張りすぎない程度の利益の買い物以外では善行と言われる行動で使い切った方が良いと愛歌に言われた。 
今回の依頼は本当に手ごわいだけではなく後処理も面倒くさい、と彼は思った。今回の依頼で得たあぶく銭な大金を善行で溶かしきった時、完全にあの森が産んだ怪異の死亡フラグは消え去ると愛歌は言った。

 路地裏の子供たちの為に動く慈善団体に金をすべて渡した時完全に体が軽くなった感じがした。 そして怪異の断末魔に似た霊気の流れを感じたが僅かな違和感を彼は覚えた。

『今の霊気の感じ完全に無害になったか屈服して使い魔に落とされた様な気配だった。消滅や死亡とは少し違う気がする。 ま、ええか。多分無害になっただけやろ。さすがにあんな森を使い魔にするとかできるやつおらんやろ。一応後でギルドに報告しとくか』

 そこまで考えた直後に彼は悪意のない衝撃を受けた。抱き着かれるようなタックルを受けて、踏ん張るとそこにはオッドアイの目をした金色の髪をした少女が彼に飛びついてきていた。この路地裏で昔弁当を上げた少女、ヴィヴィオだ。彼は受け止めるとどうにか苦笑したのち頭を撫でた。

「おお、ヴィヴィオかしばらくぶりやな」

 本当は彼女はかなり良いところのお嬢様らしく、複雑な事情でこういう路地裏にいた時もあったらしい。彼女がかなり自分に好意的なのも横島は気づいてはいる。事実かは疑わしいが、
自分と会った記念の場所だからとここら辺の路地裏にも自分の家の権力で慈善事業をさせ始めたという噂もある。 
愛歌をお子様扱いした日当たりからヴィヴィオを見かけなくなったので、もしかしたら自分が数日留守にするという情報をどこからか得たのかも、と横島は思った。

 自分を受け止めて撫でる横島を心地よさそうにヴィヴィオは見上げながら不意に重要な言葉を口に出してきた。

「お兄ちゃん、怪異『帰れずの森』の討伐おめでとう」

「討伐って言うと少し微妙やけどな。 森には悪意や殺意はあったが希薄だった。どちらかというと性質の悪い怪異たちが恩恵にあずかり人を殺そうとしていたから、掃除とか鎮めたって方が正しいかもしれん」

「解決って言った方が良いかもね。 唐突だけど、お兄ちゃん私実は噂の通り結構良い家の出なの。そして私の出自は神殿関係も関わってるの」

 隠していたわけではないが進んで話そうともしていなかった話題を不意に振られ彼は一瞬の困惑を覚えたが、続きを促した。

「それで、帰れずの森の浄化にダメ押しをかけたいから同行してくれないかな」

 横島はヴィヴィオの言葉に少しだけ悩んだ。 放っておけば消え去る可能性の高い怪異を早期に消そうとするのは映画などの続編のホラーだと破滅フラグだ。物語から生まれた怪異が相手である以上はそういうフラグもバカにはできない。
だがここで子供を見捨てていかせるのはもっとだめだと彼は思う。腰抜け主人公が良識より、安全を取るのはホラーにおける、より大きな破滅フラグだ。 表層意識ではそう思いつつ、ヴィヴィオを見捨てることができない自分の良心に気づかないまま彼は同行を承諾した。

 ヴィヴィオに同行を申し出た後、最初は恐ろしいという感情もあったがヴィヴィオが連れてきた多数の女性の神殿騎士や浄化のための物々しい神職らしき人々を見た時、むしろ警戒心を捨て去ってしまわない様にすることに彼は苦心した。
 途中で大鳳やジャギと共に何度も危機を味わった場所を幾つか通ったおかげで、生々しい打撃を受けた記憶や霊波刀で敵を紙一重で切り伏せた記憶が蘇ったが、それがなければかつての危険な場所で気を抜ききってしまうという死亡フラグを達成していただろう。
 現実の戦いなら運が良ければ死につながらない様な愚行も、怪談が産んだこの森では絶対に負傷や死につながる。

 ヴィヴィオの話に付き合いながら彼は、この森の脅威をなくすためにアリスが森の『怪異としての死を』人形劇で上演すると聞いた。 そしてユウキもアリスや愛歌の助手として浄化の手伝いをすると。
 森に一応の引導を渡した横島がその人形劇に上演に立ち会うこともこの怪異を滅ぼす儀式なのだろう。 警戒しながら森を見回す彼に不意に愛歌が艶を含んだ声をかけてきた。 性欲の対象外な彼女相手にすら耳がしびれる様な声だ。


423 :名無しさん@狐板:2022/06/20(月) 23:11:17 ID:dBJ1olRt
「私の英雄さん、さっきから随分と森を観察しているけどただ恐れているだけじゃないんでしょう? 何があったの」

 愛歌の問いに横島はありがたいという思いと、作業を妨げられた苛立ちが半々くらいの様子で答えた。

「あ、ああ。愛歌はもう知っとるかもしれんが、この森は帰還者が少なくてそれが想像力を掻き立て、多くの怪談の舞台となった。そして怪異『帰れずの森』はある程度傑作だった怪談や怪異を、全て出現させられる。 そして侵入者と一番相性の悪い相手をぶつけてくる」

 横島の発言を引き取るように愛歌は言葉を返してきた。

「ええ、だからこそオールラウンダーな貴方の修行には一番と思ったのよ。大鳳くんやジャギさんを助けて、いい経験になったでしょう」

「ああ。 質問に答えている途中にすまんが、少し気になったことがある。 今回俺たちが襲われた怪異は全部愚行を犯したり、約束事を破ったりしなければ生存率が上がる怪異が大半だった。 
一応理不尽でどうしようもない怪異も出てきたけど、それは本当に最後だけだった。 傑作と言える怪談は俺たちが最後にあった怪異以外にもいた気がするのにどうしてだろう」

「ああ、それね。 一応だけど『帰れずの森』だから、愚行を犯したり約束を破ったものを死なせる、怪談との方が相性がいいのよ。 なんの落ち度もない相手を理不尽に殺せる強力な怪異は出現させるとコストが大きい上に、あまりうまく操作できなかったのよ、多分。
 最後は森から脱出されるよりはマシって判断でぶつけてきたけど、そうでなければ恐怖や混乱で愚行を犯させたりして死なせる怪異をぶつけた方が良いと判断していたんでしょう」

「そうなんか、人間の犯罪への恐怖が産んだ都市伝説、自然が産んだ妖怪とかの怪談の違いかもしれんな」

「ええ。それで私の質問にも答えてもらえる?」

「実を言うと、何も起きないけど以上に怖かった場所があったんや。 急に恐怖が襲ってきて、ジャギもワイが叫びだす一歩手前なくらいにビビっていると思い、殴って気絶させようか本気で悩んどった。 
ジャギの奴は自分が感じ取れないってことは、霊能力のあるワイだけが気付けるものだから、気絶させるとダメかもって思ったようでな」

「それでその事態をどう対処したの?」

「気配を殺して隙を見せない様に最新の注意を払いながら安全地帯まで逃げた。あそこまで怖いのは生まれてきて初めてだったかもしれん。もしかしたら恐怖を与えて隙を作り死なせる怪異で、恐怖で取り乱さなければ何もできないってやつだったのかもしれん」

「そうなんだ。 それでさっきから見ていたのはその場所が近そうだったから?」

「ああ。 一度怪異が完全に消え去った後のあの場所を見ておきたかったんだが、似たような景色ばかりで、愛歌と話しているうちに通り過ぎたかもしれん。ここらへんだったのは確かだがな」


「そうなんだ。邪魔してわるかったかしら? でも少し忠夫の様子が尋常じゃなかったから気になっちゃって」

「いや、いいんだ。 あの場所だと確信して足を踏み入れるとよくないことが、起きるかもしれないからな」

 ヴィヴィオが聖王の血縁者であり、彼女の浄化の力の凄まじさを見ていなければ横島はこの森のこの辺りに来ることは拒んでいたかもしれない。 しかし、今ではこの森の浄化の儀式がここらへんで行われると聞き、呪いの幹部となった場所なのかもと思ってもいる。

 浄化の儀式と宴が行わる場所に着いた時、横島は本当にこの森は似た部分が多いと思った。 これでは見分けがつきようもない。 そこに上機嫌なユウキと人形師としていつもより淑女らしい気配に身を包んだアリスが待っていた。

「忠夫、怪異帰れずの森の解決おめでとう。 最近の忠夫は本当にすごいね。やっぱりやる気を出すと凄かったんだ」

「ユウキ、お前のおかげでもある。特訓に付き合ってくれてありがとうな」

「君の頑張りが一番だよ。 それと僕は、今日愛歌に父の日の行事付き合ってって言われれているから、後で二人でお邪魔するね。
 愛歌をあまり怒らせちゃだめだよ。多分凄いお仕置きされちゃいそうだから」

「あ、ああそうやな」

 ユウキの言葉に若干嫌な予感を覚えながら彼は頷き事態を待った。 ユウキが元気よく走り去ると、横からアリスが声をかけてきた。

「忠夫、今日は本当におめでとう。 あなたの偉業をたたえるためのとっておきの人形劇を用意しておいたから」

 そう言って礼をしてくるアリスに横島は嬉しそうに頷いた。

「アリスちゃんの劇の主役になれるとか本当に光栄だな」

 二人と別れた後、横島は主にヴィヴィオと愛歌の相手をしていた。 これは異常な恐怖を感じたあの場所の近くにいる以上、
聖王の任命を受けてたいていの怪異なら近づいただけで浄化されるヴィヴィオと愛歌の二人といた方が安全であるという打算の為もある。愛歌が横島を冗談でお父さん呼ばわりしてまとわりつくのを見ながらヴィヴィオは少しうらやましそうな顔で見てきていた。
それを察して横島は声をかけてしまった。

「ヴィヴィオ、やっぱり寂しいんか」

「いい人が周りに多いから不幸だとは思わないけど、やっぱり温かい家庭に憧れたりもしているの。お兄ちゃん、父の日だからパパになってくれない?」

「ああ。構わんで」

 何の気なしに答えたその言葉が何か凄まじい強制力を自分に課す感覚を覚え一瞬不思議に思ったが、彼はそれを黙殺するとヴィヴィオを抱きしめようとした。彼女は明らかにそれを嫌がっていない様子でかわすと笑顔で言った。

「まだ、公務が残っているからそれが終わったら残りの時間たっぷりと遊ばせてもらうねお兄ちゃん」


 幼く無邪気な彼女の言葉に謎の恐怖を感じながら彼はそれを黙らせるとアリスの人形劇の上演の声を聞きその場に向かった。


 人形劇が上演された時、ヴィヴィオは聖王としての玉座にかけており子供の彼女には不相応に見える大きく華美な椅子だが、あくまでもヴィヴィオに不相応なのは大きさだけで、王としての正装に身を包んだ彼女は椅子の華美さには負けていないと横島は感じた。

 ヴィヴィオの意向で彼が座る席の横にはユウキと愛歌が座っている。 ヴィヴィオが見立てたイブニングドレスに身を包んだユウキはその隠れ巨乳が一切隠れていない。 
横島は目のやり場に困るという事態に陥ったのは僅かな時間で、アリスの劇が始まると直ぐにその劇に釘付けになった。 帰れずの森に愛歌からのお仕置きめいた要請と、身内の命の危機に泣きついてきた娘の懇願に負けて、
出向いた自分と大鳳たちの戦いをリアルに再現しており、その人形劇を見ていると自分のよくできているところとダメなところがよくわかってくる。 時に荒々しくジャギが怪異を蹴散らすのに霊波刀を使い協力し、時には術で借り物の破邪の剣を振るう大鳳を援護する自分の様子を見て、
ジャギと大鳳の凄まじい戦闘力が改めて再認識できた。 ミクは霊能に目覚めてからの横島をあの二人と一緒戦い、援護できているだけで十分凄いと評価してくれたが、それは半分は自信をつけさせるためのお世辞だが、
半分くらいは本心だったのではないかと思った。 数々の戦いを経て、彼らは戦を終え森が放った最悪の怪異を三人で力を合わせて退ける場面に移った。三日たつと使い物にならなくなるが三日間だけなら、
格の低い伝説の聖剣に匹敵するギルドから支給された剣で大鳳が森からの最後の刺客を倒し。そして彼らは気を抜かずに町への帰路を急ぐ。


 警戒態勢を解除せずに済む範囲での最大の速度で彼らは町に帰還し。駆けだしたくなる衝動を抑えながらギルドに依頼達成の報告をし、その瞬間舞台の中で彼らを包む不穏な気配が消え去り大団円を思わせる曲が流れた。

 幕が下りる前に不意にアリスが横島に声をかけてきた。

「時に忠夫、この帰れずの森の最初のきっかけは何だったか知っている?」

 この質問も劇の演出の一部でもあるのだろうと分かる聞き方だったので、驚きはしたが特に場はしらけず横島は分からないと端的に答えた。


424 :名無しさん@狐板:2022/06/20(月) 23:14:02 ID:dBJ1olRt
「実を言うとこの森はかつて聖王王家の森で防衛拠点の一つだったの。そして名うての軍師であり魔術が不義なことをしてきた敵軍を迷い殺させる魔術を使い。あまりにも凄惨な勝ちとなってしまった結果、
正しいことだと分かった上で恐れられ、その時の恐怖と精強な軍ですら壊滅した印象だけが残り、この森は不帰の森となってしまった」

「そうだったんか」

「ええ。最初は正義がこの森の側にあったことが分かっていたから、恐れられてはいても忌まわれてはいなかったけど、だんだんと時がたち聖王家が一時的に途絶えてからは、
悪辣な敵軍とはいえひどくむごく虐殺した森となったの。この森は未だに聖王家に忠誠を誓っているけどね」

 そこまで言うと、アリスは不意に人形劇の幕を下ろし別の舞台となる台を取り出した。そして彼女は情欲とあざける言葉が混じったような気品のある声で劇の続きを始める。

「此度の森の災いを沈めた英雄の一人横島忠夫は自分が特大の破滅フラグを幾つも残していたことに気づいていなかったのです。 そう女権国家の女性にしかも魔女でもある幽霊に、
惚れた男から言われるとカチンとくる言葉をかけて、その怒りを鎮めずに彼女の誘導のままに忌まわしい土地に行くという愚行を犯していました。 これはこれから彼に降りかかるであろう場面の一部です」

 ユウキと愛歌らしき女性の人形が、魔術で拘束された横島の人形の股間の分身を異常なほどの熟練した手つきで愛撫している。それを見た瞬間その人形が味わっているであろう快感が、彼を襲った。 
この劇を見ているとやばい。上演されているだけでももう危ないが、ここから逃げれば多少はましになるそう思い、立とうとする彼の腕を左右に座るユウキと愛歌が掴み席に戻した。

「この劇はここからが本番でしょう。ゆっくり見ましょう。私の英雄さん」

 意地悪な笑みを浮かべる愛歌は子供扱いの発言に相当怒っていたのに、敢えてレベルの低い怒りの演技をしてそれなりの難題を与えたうえで彼を安心させて、油断させていた。
そこまでわかって震える彼を愛歌が魔力を込めてくると、不意に女権国家の女性に逆レイプされて男としての誇りが砕け散り無残なことになった部下のモヒカンたちの姿が浮かんだ。 愛歌の目をのぞき込み震えた。彼女の瞳が貴方もああなるわと言っている。

「忠夫、僕も性的に見てもらえない苛立ちはわかるし、デリカシーが足りなさ過ぎたからお仕置きを手伝うことにしたんだよ。 僕も結構性的に見てもらえなくてイラついていたからね」

 ユウキと愛歌の手の感触が激しく欲情を刺激してきて、そして両腕を掴む二人の手と同じ感触が彼の股間を蝕んでいく。 アリスの人形劇で二人の激しい愛撫を受けて横島がうめいた瞬間、腕を持ったまま前に来たユウキがわざと彼にイブニングドレス越しの胸を見せつけ、その瞬間彼は一気に射精した。 

「ユウキダメじゃない。彼は早漏なんだからこんな風にしたら直ぐ服を汚しちゃうでしょう」

 嘲笑われつつ、射精が凄まじすぎて腰を落とした彼にヴィヴィオが近づいてきた。

「忠夫さん、それじゃあ約束通りパパになってもらいましょうか」

 そこまで言われて横島は震えた。ヴィヴィオの言葉が臆面通りの意味ではなかったと今では分かる。 そこに未だに人形劇を上演しているアリスの登場人物を嘲笑するような淑女めいたナレーションが響く。

「彼は、安心しきっていたために誰のパパになるかもいっていない聖王様の要請に応じてしまっていたのです」

 そこまで言うとヴィヴィオが服を脱ぎ光に包まれるとスタイルが抜群の美女へと変貌した。 戦女神を思わせながら男を虜にしてやまないその体を見て横島の分身が固くなるのを見るとユウキが剣で彼の服を切り取りヴィヴィオが彼を押し倒した。

 逆レイプを受けた瞬間ヴィヴィオは喜悦に満ちた声で言う。

「どうですか? 霊能に目覚めた今神の子孫でもある聖王に閨で蹂躙されるということは、征服される行為であると魂が告げているでしょう。 大丈夫ですよ、貴方が私の機嫌を損ねなければ聖王派閥は親王国のスタンスを決して崩しません。この性行為で貴方が父になったとしても、その子供は王国の味方となります」

 ヴィヴィオに腹を触られて、一気に射精した彼は悲鳴に近い声で叫んだ。

「ヴィヴィオ様お願いします」

 ヴィヴィオは名前を呼んで果てた彼に満足そうな表情で抱きしめると口づけし、彼を愛歌とユウキに渡した。

「忠夫、それじゃあ約束通り私のパパになってね」

 慈愛すら感じさせる愛歌の美しい笑みと言葉に思考力が落ちた彼はほっとした。多分飯間の聖王である彼女に犯され征服された時点で十分だと思ったのではないか。そう思った淡い希望は次の彼女の言葉で砕け散った。

「実を言うと私女権国家の○○地区の出資だったみたいなのだからそこのパパお願い」

 それを聞いた瞬間横島の目の前が真っ暗になった。○○市は愛しているからこそいじめたい系の女性の集合体の様な土地で娘が父親を使って男を快楽でへし折る尊厳を差し出させる行事がしょっちゅう行われている土地だ。
 愛歌は笑いながら彼の分身を踏みつけ、何度も射精させた。愛歌にふるまわれた料理が彼を一切なえさせてくれない。 ユウキは笑いながら立てなくなった彼の顔に胸を当て、笑う。

「忠夫、王国男子として一番の屈辱と激しすぎる快感を同時に味わっていたら、僕のこの感触も忘れられないでしょ。 ○○地区だと娘が父に懸想した場合、母と二人で攻めるんだって。女権国家だと友血病の恐れもないらしいから」

 ユウキは愛歌の足の快感で動けない彼に無理やり授乳させると頭のツボを押すように撫でながら余計に多くの射精を促したのち、彼を愛歌が引いた瞬間に彼の分身を一気に飲み込んだ。 一気に射精して動けなくなった彼を見下ろしながら彼女は笑う。

「今後は僕も忠夫との鍛錬の時は厚着しないとダメかも。もう僕の体をこの子が覚えちゃったでしょ」

 そういうと彼女は横島の分身を乳房で挟み笑いながら抜き始める。 何度も繰り返し射精させられた彼は、ユウキが巨乳を隠さない衣装を着たら自分はまともに戦えないと確信した。

「父の日だからついでに注目してくれなかった乳の日もやっちゃおう。なーんちゃってね」

 ユウキは地獄のような快感で腰砕けになった横島に冗談を言いながらしばらく胸で嫐り続けたが、人形劇を終えたアリスが訪れると道を譲った。アリスは純粋に楽しんでいる笑顔で服を脱ぎながら言った。

「忠夫、本当に女権国家の女性を怒らせると怖いってわかったでしょう。私は怒ってないけど、今夜は貴方で魔女らしく楽しませてもらうわ」

 アリスは女性優位でありながらやさしい感じのする性行為で彼を癒すような性行為をしてきた。無数の糸で彼を包むように吸い付くような肌と重ねたからだがくれる感触が彼を大いに癒してくる。決して射精をせかさず快感を与えながらゆっくりと彼を絶頂に導いた後アリスは優しく口づけすると愛歌に譲った。

「お父様今夜はどうでしたか」

 皮肉めいた彼女の言葉に横島は土下座しながら答えた。

「愛歌様本当にすいませんでした。 本気で惚れてくれた女性に失礼極まる対応をしてしまってごめんなさい」

「謝罪は受け取ったけど、楽しくなってしまったから今夜は○○市の娘ごっこは続けさせてもらうわね」

 そういうと愛歌は服を脱ぐと少女でありながら、その雰囲気だけで男を狂わせかねない妖艶さを纏った肢体を見せると、彼にまたがりその分身を一気に飲み込んだ。
アリスやヴィヴォオ、ユウキとは違う女権国家の幼い少女の肢体がもたらす快感は彼を大いに蝕んだ。彼女は笑いながら、彼から精を搾り取るとその全てを自分の霊力へと変換していく。そして不意に思いついた様にいう。


425 :名無しさん@狐板:2022/06/20(月) 23:14:47 ID:dBJ1olRt
「そういえばこの森はもうヴィヴォオ様の配下に戻ったのよ。私とアリスは新制聖王王朝の宮廷魔術師にもなったの。 だから女権国家の怪談らしい落ちにするようにこの怪異をコントロールできたのよ」

 そこまで言われて横島は自分がここまで彼女たちの罠にはまった理由が理解できた。最初から自分はこの森にとらわれていたのだ。

「ああ、一応言っておくけど、町まで帰れたのは貴方たちの頑張りと運によるものよ。 もしもダメだったら助けてもらうのと引き換えに、魔女とかの物になる怪談落ちになる様にしておいたから。 嬉しいでしょ? 返事は」

「嬉しいです。愛歌様―!」

 快感のあまり最後は叫んだ横島を見下ろしながら彼女は言う。

「ヴィヴィオ様、アリスこれで彼は幼女の体にも欲情するようになったはずよ」

 愛歌の言葉に横島は首をひねったなぜ彼女はそんなことを言うのだろうか?

愛歌は疑問がる彼に精魔術を使い搾り取りながら言葉を続ける。魔術で動かされた腕が彼女の尻を揉みしだき、口づけをかわし余計に彼の射精の量が増えるのを見下ろしながら彼女は唇を離すと言葉の続きを紡ぐ。

「ヴィヴィオ様やアリスは少女の形態にもなれるのよ。 たまにだけどそっちの姿で貴方としたくなるんだって。 私も制裁のついでに彼女たちの望みをかなえてあげることにしたの」

 そういい愛歌が離れると、アリスとヴィヴィオが子供の姿になり彼を押し倒してきた。ヴィヴィオとつながった瞬間、一気に意識を持っていかれた彼をアリスは小気味よさそうに見ている。横島は震えた自分は初めて性欲の対象外な少女に分身を大きくしてしまった。

 愛歌が魔性めいた瞳で彼の眼をのぞき込みながら言う。

「聖王陛下の夫となった以上は彼女たちの欲を叶えてあげることが一番の責務なのだから、頑張りなさい。 子供にも欲情する変態な貴方に欲望のコントロール方法を教えてあげるから」

 アリスと繋がり、あえぐ彼を愛歌がアリスの体だけは通過し、横島にだけ触れる霊体状態にした足でアリスと繋がっている彼の分身を踏んだ。

「ぎゃー!」

「そんなに気持ちよかった?それとも踏まれたのがたまらなかった?私たちの英雄さん」

 愛歌の嘲笑めいた言葉には女権国家の女性特有の立派な男を自分の性的な術で完全に屈服させた、時の満足感が漂っていた。アリスとヴィヴィオが幼女の形態で彼を犯していることも、幼い姿の自分たちの性的魅力にすら屈服する、辛うじてだが英雄となった男という満足感と昂りもあるのだろう。

 父の日が終わった後、彼は彼女たちの足に縋りつきながら新王国派で居続けてくれるように懇願をしていた。 彼女たちは笑いながらそれに頷いてた。

「これから聖王の王配になる以上細心の注意を払いなさい。誰のパパになるかも確かめずにヴィヴィオ様に頷いたのもそうだけど、 私相手にパパになってあげる発言から○○市のパパって意味になって霊的契約を成立させたけど、こういう手を使ってくる魔術師や怪異はたくさんいるんだからね」

「はい皆さんすいませんでした」

 腰骨が砕けたように土下座する横島は内心で自分はもう、どんなに強くなっても彼女達相手との力関係はこの日の夜から動かないと確信した。 与えられた強すぎる快感で彼女達相手に立つ腰骨が砕けてしまったのだ。 
不用意な発言から自分は永遠に○○市のパパ状態になってしまったのだろう。ヴィヴィオが彼を助け起こしてテントに連れ帰る途中に彼は月に包まれた森の風景を見て気づいた。こここそが自分が得体のしれない異常な恐怖を感じた場所だった。彼はついに探していた場所を見つけたのだ。


426 :名無しさん@狐板:2022/06/21(火) 11:45:19 ID:mCrsk2va
乙でした

427 :名無しさん@狐板:2022/06/21(火) 21:04:57 ID:xVQYKJqk

ここのパパの日は「お前がパパになるんだよ!の日」の略なのかな?w

428 :421:2022/06/21(火) 23:57:13 ID:m1guhVKC
>>426
乙感謝です
>>427
はい。パパにされちゃう日って感じで書きました

429 :名無しさん@狐板:2022/06/22(水) 16:25:34 ID:yMXu62um
乙です
女は見かけや年齢に関わらず女なんだなと思い知らされました
それにしても路地裏の善行で怪談の死亡フラグを折った代わりに違うフラグを立てていたりして

430 :421:2022/06/22(水) 23:07:22 ID:/TlD7/C2
>>429
乙感謝です。
前に書いた敬老の日同様惚れた男にランクアップしたからこその地雷って感じになったと思います。
2,3年後にヴィヴィオの応急に元路地裏のメイド達とか入ってきて、横島をヴィヴィオと一緒に嫐ったり
するかもしれませんね。あるいは10年後くらいにロリ達が成長してそうなるかもw

431 :名無しさん@狐板:2022/06/22(水) 23:20:40 ID:iU1K6nJg
はたしてロリたちは自分らが成長するまで自制し続けるのだろうかw

432 :名無しさん@狐板:2022/06/22(水) 23:41:06 ID:/TlD7/C2
女権国家の女性ですから自制するとは言い切れませんねw

433 :名無しさん@狐板:2022/07/12(火) 23:10:45 ID:JwCzl0pi



32-B

【アイテム】リマヒの種・ピンク色の袋
レア度 ☆☆☆
基本買値6000m 売値3000m
【内容】「これで貴方も長持ちに!」とコピーされた、直球でいかがわしい種の袋。 早漏の直る種類……らしい。
人気がないかと思いきや、割りとよく買い占められるので、結果的に見かける確率はレア。
裏にはこんな注意書もある。「効果は微々たるものです。 効果を過信しての、男性の酷使はお止めください」
精力増強効果。

ピンクで種。もう搾られるしかないよね。




52-B

レア度☆☆☆
基本買値6000m 売値4800m
【アイテム】ジッポー
【内容】
オイル交換式のライター。蓋の開閉時、良い感じの音がする
もし誰かが求めているのならば、そっと『火』をプレゼントしてあげよう
 僅かだろうとはいえ、きっと貴方に良い印象を持ってくれる筈
プレゼントした『火』は無くなってしまうだろうけど、ライター自体は無くならない。気軽に使ってみよう
無論、このライター自体をプレゼントする事もできる
……意外と高い

火を貸してほしい。その熱量、情熱を。


53−C
レア度☆☆
基本買値2000m 売値800m

【アイテム】マインド・フラッシュ
【内容】
特殊アイテム。精神に作用する閃光を放つ道具。ペン型、カメラ型などがある。
これから放たれた光を見てしまうと判断力が低下してしまう。誘惑・交渉・催眠に弱くなる。
ただしあくまで低下なので嫌なこと、不自然過ぎることだと効果が薄く、精神力で抵抗する、
目を閉じる等で無効化されることもある。特に交渉に使う際にはカメラ型等で偽装し、
フラッシュを見せることを不自然に思われないようにすることが重要だろう。
事前に簡単なお願いを聞いて貰ってからだと効果が出やすいとも言われている。
閃光を放つこととその効果から敵に使用し、逃走する隙を作るためにも使われる。
逃走用。プレゼントして写真を撮ってもらってもいい
逃走に使った場合INT判定に有利。
相手によっては効かないこともある

写真撮っていい?えっちな写真撮っていい?えっちしていい?
これが三段活用ですか。



60‐S
レア度☆☆☆☆☆
基本買値55000m 売35000m

【アイテム】聴覚ステルススーツ
【内容】
(元ネタ・fallout:New Vegas・ステルススーツMK-U)

隠密能力を大幅に強化してくれる実験的な装備
静音性に優れていて、大抵の行動では音を発しなくなり、音を外に漏らすこともない
また、回復薬や鎮痛剤などを自動で投与してくれる優れものだ

しかも登録した人間以外には脱がせられないように設定できて貞操もばっちりガード

さらには魔法的なAIが搭載されている。
おちゃめ機能搭載のボクっ娘口調の女の子が戦闘とかを手助けしてくれます!

注意事項・回復薬及び鎮痛剤の登録は初期状態では所持しているすべての薬品を指定しています。

貞操をばっちりガード。キミの貞操はボクだけのもの。


63‐C
レア度☆☆
基本買値900m 売500m

【アイテム】精神向上薬
【内容】
精神を上向きにする薬。【抑鬱】や【じぼうじき】など、精神的に弱ってる時に使用する。
その一日の間精神を上向きにしそれらの効果を打ち消す(別の状態に上書き?)。
ただし根本的な治療にはならない為治したいならそれ用の施設へちゃんと向かうこと。
またこの薬は精神を上向きにするがその分迂闊な行動に出たり、誘惑に乗りやすくなったりする。

精神科って素敵なところだよ。


76‐B
レア度☆☆☆
基本買値3000m 売値1500m

【アイテム】すのはら印のきびだんご
【内容】
慈愛の心を持つ料理人が、貴重な植物「ネコウメキビ」を調理することで作り出せると言われるレアアイテム。
他者に手渡しで食べさせると、相手は渡した人物を甘やかしたくてたまらなくなる。
効果は完全に消化されるまで続く。
三コ入り。

お腰につけたきび団子。両方根こそぎ吸いださせてくださいな。

元ネタ:「桃太郎印のきびだんご」+「すのはら荘の管理人さん」




434 :甘蕩搾精:2022/07/31(日) 05:11:01 ID:aSfd+7RO





 「何してるの」



 「立ちなさいよ」



 「狂三」





                                              /:::::::∨/:::∠二//二ヽ  \ヽ::::ヽY^^Y::::::ヽ:::::\
                                                  /:::::::r厶ィこゝ/⌒ー'⌒く__Y⌒)ヾ::::::::ト、 ィ:::::::::::::\::::\
                                 ,..、.-...ヘ...-.,.、     ...――.、 /::::::::〈厶と∧´::::!:::::::::::::::::::::::::::::::`丁∨`j Y ユ::::::::::::∧::::::\..f´ ̄`ヽ
                  .....-―‐.、  ,....´/........′.. ∨....ヽ`..、/_...ニニ.ミ /::::::::Yく.У´::j i:i:::|:::::::::i:::::::∨::::::::::::::::∨∨`Y>:::::::::::::∧::::::::: | 忘 |
.      f´ ̄`ヽ         /...==..‐-...〉./ ヽ′....................................'....ヽ__.,:::::::::べソ:::|:::::|:|:|:::l:::::::斗一弋´::::::::::::::::∨ゝイ-ヘ⌒}}:::::∧::::::::| れ |
.      | 何 |       .〃´......._...z≦7./.........................................................`ヽミ ,::::::::::∨:::::!:L斗トi、::∨::::ィ彡≦<:::::::::::::::jト、イ:ト、ヾ、_ノj::::::::∧::::|..た |
.      | . を |   ../..._ z≦///;才./............l|..... l|.............',....................ヽ.../:::::::::::::i|::::::|:{:::::ヘ!ヒヘ::ト、::::Y'f{レハ リヾ::::::::::::∨レ' ∨ ヾ{::::::::::∧ : | の |
.      | . し . |    ,.z≦////> ,/{/.......i{.....l|.....八..............l ',..................../:::::::::::::::||::::::ト|::У云ミヾ: :\ヽゞツ′ |ト:::::::::::::\/ jj  ヾ、:::::::::i::::| ? |
.      | に..| イ/////>    〃.,′ , -―-../_ヽ....,.....}_ 斗.ヤ. ̄.....,::::::::::::::::::||::::::|ヘ::ヘ ゞツ ,: :::::::::::::::::: u: ||:::ヾ::::::::\\.}}   j::::::::j::ム__ノ
.      | .こ | ///// /     〃 |...../..l|. メ≠≧ 、 ̄.......}≠‐ ミ 、....}..,:::::::::::::::::::||::::::|:::ヘ::!             jj::::::::`ト-≧=ー〉    |::::::::|::::::::::::::::∧
 .     | .こ |×///     .〃  l|...ム.l|/〈 f抃    ,..}' f抃 リ!.l../::/:::::::::::/::||::::::|:::::::ト、    r=、      /!:::::::::::|>、   _>─|::::::::|::::::::::::::::::∧
 .     | に..|/./      〃  .八/`刈   弋り   ∨ 弋り  } {:/{::::::::::/i ::||::::::|:::::::| \    ̄    / .|:::::::::::j  /ヶ'´    .|::::::::|::::::::::::::::::::∧
.      | 来 |//      {{    ヽ |.!    ̄     ,  ̄  /i! |i !::::::::{ |::::ll::::::!:::::::l  `> 、_∠rュノj:::::::::: | ∨f/    j::::::::ト::::::::::::::::::::::∧
 .     | た..|〃       .{{      `|l',             ,.}...|| |::::::::| |::::|ト:::::::、::::l    > ´ /イ∨二|:::i:::::::|ノ/}       |::::::::| i::::::::::::::::::::::∧
     /| の | .′      {{      从ヘ       r‐.,   /}′|| |::::::::| |::::|| ヘ:::∧:|  /´   ヽ/_辷イ_/::::|::::::j  ||  i    |::::::::| }::::::::::::::::::::::iヘ:!
 .     | か |{              _     f、  、     ̄   /、.... || |::::::::| |::::||  ∨Y.  i    f′ `∨/:/!:::::l   .||  {    |::::::,' !:::::::::::ト::::::::| |
 .     | ? >         .,.ィ会ニミ.、__| ー-、!  、     ィ  _),. || |::::::::| |::::||  ∨::i.  |   、 ||.   /イ:/ .|:::::j   .||   !   !::::/ .|∨::::::| i::::::| |
.      ヽ _ノ          ./ ⌒ヾ//.ハ  ',  }:`:ー...ニ..-.ヘ._「  l. |! |::::::::| |::::||.   ∨!  j   、||  / |′ |:::厶_ィ'⌒> }  /:::/   | l∨:| |::::::| |
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                i      ヾ/ } / / ',::::、::|i:i|´::::::{く       ∨ヘ」:::||      |  _厶T⌒7ーュ厶イ/´    j /イ    .|/   }! |::::::| !




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435 :名無しさん@狐板:2022/08/24(水) 20:03:06 ID:aHqNaP6M
警邏隊への説明(大筋、細かい所は相手によって修正)

・まず外部に話を漏らさないよう約束して貰ってから自分が王国の諜報員だと話す
・学校卒業後、上からの命でスパイ組織に所属、ミクさんが上司(真実。スパイなのは不本意だと誤解させる?)
・女権国家の男性への虐待を止めさせたいと思っている(一応真実。来た理由ではないけど)
・立場上スパイであることを隠していたことを謝罪(まず必要。相手の反応次第で対応を変える?)
・スパイ組織に所属はしているが女権国家全体に敵意は抱いていない(真実。そも敵意そのものが薄い)
・男性への虐待を止められるなら女権国家の治安を乱すつもりはなく、むしろ可能な限り協力したい
  (真実。スパイ活動をする面でも治安がいい方が良く、女権国家自体と争うのは上の役目)
・スパイであることを明かすのは警邏隊にスパイバレするのは時間の問題というのもあるが、
  協力して貰ったりするのに騙したままなのは心情的に辛かったから(真実)
・スパイの活動を止めるわけにはいかない(粛清されそうだし)が、危険人物の情報の共有や
  捕縛の協力等をして欲しい、治安維持に有用な情報があれば伝える(協力内容、互いに不利益はない)
・個人的な事だけど、可能であれば任務の関わらない個人の範囲では今まで通り仲良くして欲しい
  (読者的な要望)

436 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:21:14 ID:eLEKoExj
 女権国家SS 女権国家でホストとして比喩ではなく本当の意味で女性の心の迷宮を攻略しつくした男の、ホストとしての引退と、友誼ゆえの悪夢の日々の始まり


これは現在連載中の女権国家の二次創作SSです以下の注意書きがあります。
@女権国家本編と関わったネタが出てきますが>>329から>>337に投降した話のパラレルワールドでもあります。そのためこのSSの人間関係はこのSS内部だけのもので本編とは関係ありません。
A明言はされないけど、味方勢力ではないエロ要因のキャラクターが大鳳くんと横島を両方を犯したかもしれない様な描写が入ります。彼女が二人としたかあるいは二人とやっていないか、片方としかしていないかは読者の方々の解釈が正解です。
Bスカサハと愛歌が二次創作をしている女権国家に出てきたためと、自分がFGOファンな為にFGOのキャラが出張ってきています。
CFGOのキャラ達については他の二次創作などの影響も大分受けているところがあります。
D負けありきのMシチュ用とはいえ、勝ったらSシチュになってしまうアイテムが出てきます
E大鳳くんのヒロインで畜生だと本編で明言されてないヒロインを畜生として書いています。
FこのSS内ではミクさんの大鳳くんへの好感度は滅茶苦茶高いです。
G大鳳くんが凄い愚行を犯すシーンがありますが、ギャグイベントのダイスでファンブルが出た感じて書きました。


 女権国家の不夜城街でも特に清潔で警邏隊の詰め所の一つとアドル神殿という男性の安全に貢献する二つの施設と最も近いところにある、ホストクラブそこの奥の控室で、青一色の服を脱ぎ黒い執事服に似た、高級スーツに着替えた青年がいた。
彼、横島忠夫はすっかり馴染んだスーツの重みを感じながら、これを着るのは今日が最後になるのだと思い、感慨深い思いを抱いていた。 不意に始めて着た時の感覚を意識して思い出すと遠いところに来たものだという思いがよぎり、このホストクラブに来た時のことが思い出された。

 彼が初めてこのホストクラブに勤めることになったのは上司であるミクの紹介によるものだった。 女権国家の女性達と仲良くなりつつ、比較的安全な距離の取り方を学びたいと大鳳とジャギと共にミクに相談すると彼女は少しだけ悩んだのち、口を開いた。

「そういうことを学ぶにはうってつけの親王国派の施設に覚えがあるからそこに行って学んできなさい。 私からの仲介だと分かればかなり便宜を図ってくれるはずよ」

 ミクの公人としては躊躇わず、しかし私人としては忸怩たる思いを抱いている様子に怪訝に思う三人の視線を受けて彼女は説明を始めた。

「そこはホストクラブで多くの女権国家の女性達が御用達にしている場所で、そこの支配人は王国の元外交官よ。終戦間近になった時には時々軍師の様な事もしていたけど」

 ミクの問いに納得がいった様子の大鳳が首を傾げて質問を投げかけた。

「ミクさんが推挙するってことは信頼できる人物ではあるみたいだけど、ミクさんは明らかに少し頼るのが嫌そうに見えたけどそれは何か理由があるんですか?」

「昔の私は、彼を低く見ていたというほどではないけど、あまり詳しく知ろうとしなかった。 彼は過去に王国に非がある理由で戦争が起きそうになった時、無駄な血が流れるのを止めるために命を懸けて敵国になりかけた国出向いたこともあったし、
ブラッドレイに献策した時、ほとんどが却下されていたけど、ブラッドレイの反応からすると策に評価できるところはあったみたいだった。だから臆病者や無能ではないのだろうくらいにしか思ってなかったわ」

「邪険にしていた相手でもないのに、頼るのはあまり嫌なんですか? もしかして女権国家に屈しているわけではなくても、降伏とかしようとしているとか?」

 横島の質問にミクは首を横に振った。そして彼女は少しだけ憂鬱そうな顔になり言った。

「『今の所は』それはないわ。ただ彼の思想は敵国も自国も血を流させる量を減らすことが一番、王国への忠誠は二番みたいなところがあるの。 だからこそいつそうなってもおかしくない。
 あくまでも結果論にすぎないけど彼の案を聞くべきだったかも、とブラッドレイが言っていた案もいくつかあった。 今になって思えば彼の案を吟味できる上官であった以上、彼の案が却下されたのには私にも責任がある。
そして彼は今も自分の案の殆どが却下されて、出来上がったこの窮地の中で王国に情報提供や親王国派の豪商や貴族とのパイプの確保などで貢献しつづけているの。私もそれなりに助けてもらっているわ」

 そこまで話されて彼らは察した。 世話になって恩返しもできていない相手ではあるが、それでも女権国家に降伏するように働きかけ始めたら、その時は殺さなければならない。
そしてその相手に新たに恩を作る行為をするのだから、彼女もまた憂鬱になるのも当然というものだ。 しかし、そんなところに技術を学びに行かせる決断を下したのは、ミクが彼ら三人を決して降伏派に鞍替えしたりしないと信頼しているからだろう。

 横島はそこまで聞くと勢いよく言った。

「そのホストクラブ行きます!ミクさんの負い目がなくなるくらいにそこでも手柄立てて、それと女権国家の安全なねーちゃんたちを見極める目や付き合い方を覚えて、モテモテでウハウハな日々をいただきじゃー!」

 その言葉を聞き大鳳とジャギは呆れと賞賛の混じった目で彼を見た。 半分くらいは己の欲望入りの本心なのだろうが、もう半分はミクを元気づけるためと、
万が一彼の外交官を殺さねばならなくなった際にミクの負い目が少しでも減るようにしようと考えているのだろう。 
残りの半分の欲望にしても女権国家で1年以上過ごしたにも関わらずまだそういう欲望が残っていることには賞賛しかない。 僅かに暗くなりかけた、空気を横島が壊したのを見計らって大鳳がミクの目を真っすぐに見つめて口を開いた。

「ミクさん僕もそこで頑張ってきます。 今までの様に王国に貢献してその人が降伏とか考える必要もなくなるくらいに、王国を有利にして見せます」

 大鳳は力強く宣言した。まだ王国は劣勢だが彼らの活躍で息を吹き返し始めてもいる。王国への忠誠が二番と言っても、その外交官は愛国心がないわけでもないのだろう。なら彼が降伏案を捨て去るくらいに王国を有利にすればよい。

 そういう経緯で彼らはこのホストクラブ通称GICに勤めた。本来の名前は聞いたはずだが彼は忘れてしまった。 ここの支配人は大鳳たちを信頼できると踏んだ時に教えてくれたが、
本来の名前のほかに偉大な知恵で王国の現状をキュアするという裏の意味を込めて看板がこうなるようにしたらしい。 最も女権国家の国民たちからは流行っているソーシャルゲームに出てくるキャラに似ているホストが多い上に、
客から公表とはいえ受けるとはいえ羽目を外しすぎるホストも多いためGIFは『ギャグイベント時のカルデア』などと言われている。
カルデアとは過去の英霊たちと手を取り合いながら、歪んだ歴史を修正していくゲームだ。 少しプレイ動画を見てみて先輩ホスト達と似ていると思って驚いたものだった。

 大鳳とジャギはしばらくここで勤めたのち十分に信頼できる女性の見極めや女性達との距離の取り方などを学ぶと割と直ぐに引退した。しかし、ホストの先輩たちやここの支配人とは仲は良好であり、
今でもたまに助け合ったりしている。大鳳が辞めた主な理由はあまりにも多くの客が来すぎたのと、敵である楯無やファサリナ、極めつけは狂三やスカサハなどの四惑まで来てしまい、
彼女たちは店の規約に反しない範囲の誘惑で彼の理性を削りぬいた。 ジャギは大鳳を支援する方法などを学ぶ気持ちが主だったが、時々彼につけて飲みまくる美鈴や手練れの冒険者でもてこずる依頼をいくつもこなして、
彼を指名して高価なシャンパンを注文するメアリに貢がれすぎて若干胃を痛めてしまい、引退した。今は彼女に恩返しすべく孤児院に足しげく通っているようだ。


437 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:24:30 ID:eLEKoExj
 横島はホストクラブの喧騒が始まりその音を聞きながら、この喧騒を聞くのも今日が最後と思うと寂しさも覚えた。 その僅かな感傷は背後から叩きつけられた激励するような手が吹き飛ばした。

 凄まじい力でありながら、一切の悪意の籠らない強い殴打に僅かにせき込みそうになりながら振り返るとこの店に勤めだしてから最も親しくなった先輩がいた。
少しだけ赤毛に似た茶色の髪に一見するとゴリラすら連想させるようでありながら締まり切った無駄のない筋肉と会うショートカットの髪をしたその人物は快活な笑みを浮かべ彼に良く通る大きい声で告げた。

「タダスケ、せっかくの引退の日だ。 ここに通うのをやめたお客さんたちまでお前の為に今日は来てくれるんだから、最高のお前で行かなきゃ失礼ってもんだろう。
そこまで寂しいと思うほど彼女たちと素晴らしい時間を過ごせたんだから、その分を感謝に変えて乗り切れ。 勇退兵」

 タダスケとは横島がホストをする際に定めた源氏名であり、愛歌やアリスやエヴァ達が占って決めた名前だ。GICにはウェイバーが術でそうしたためか人生に厄ネタを抱えた女性陣が癒しを求めて訪れることも多い。
 そしてこのホストクラブのホストの大半は兼業冒険者であり、ウェイバーの指導で強くなっているためか女性を助ける様な英雄めいた行動をとる男性が多い。 そのためかこのホストクラブは小アドルの集いの場など一部ではいわれている。

「ナポレオン先輩。激励ありがとうございます。それと叩く手はもう少し弱めでお願いします」

「ははは! そういうな。加減を意識せず激励できる後輩が一人辞めちまうんだ。俺も多少は寂しいんだ。それにこの方が記念になるだろう」

 ナポレオンは、横島にとって本当に頼りになる先輩だ。自分だけではなく、大鳳とジャギもかなり助けてもらった。自分はこの国に来てから王国と関わりのない人物の中では一番信頼できる男性だと思っている。
多分大鳳とジャギもそれは変わらないのだろう。ただし大鳳の方はナポレオンを嫌っているわけではないが苦手意識を持っていた。付き合い初めてから数か月経った時にあったトラブルさえなければ大鳳はもっと彼に頼ったのではないかと思う。

 そのトラブルは大鳳の姉であるキャル姉が絡んだことだ。


横島と大鳳とジャギ彼ら三人がこのホストクラブに勤めてから二月くらいたった時、ここの支配人ウェイバー・ベルベットに大鳳が姉のことを相談したのが事の起こりだった。


 キャルに起きたことの仔細を聞き、彼女の状態を聞いたウェイバーは額に刻まれたしわをより深くしながら話を聞き終えると、口を開いた。

「ファック! とんでもない厄ネタじゃないかこれは。 私の大嫌いな行為をするしかないか。 大鳳、ミク女史に一筆書いてやるから姉をさっさとここに連れてこい!」

 ウェイバー・ベルベット=ロードエルメロイ二世は前回の王国が没する戦いの際に聖杯戦争ならぬ、聖杯競争と言われる過去の英霊たちと共に多くの悪霊を倒した陣営が勝者という、戦いで女権国家の将校たちを出し抜き一位になって生存したらしい。その時のことで彼をたたえると彼は途端に不機嫌になる。

「あの戦いは魔術師としての魔力すらあまり必要ではなく、軍略においては契約した英霊達と、一時的に同盟した女権国家の良識派の将校たちのおかげで勝ったにすぎん」

 不機嫌にはなりつつも、その時の戦争のことを思い出す時の彼は心底楽しい日々を過ごせた夏休みの思い出などを語る様な雰囲気だった。 彼が女権国家の篭絡部隊などにやられなかったのもその時組んだ良識派の女権国家の将校たちが、
王国に行われた非道などに一切かかわっておらず、むしろ自国の方がやらかした協定違反を嫌悪し調査する側だったのも大きいのだろう。 彼は本当の意味で幸運を持っていると思う。

 女権国家の一部の外道が作り出した聖杯が無数の怨霊と悪霊を生み出し。このままでは王国も女権国家も両方被害が甚大となる。そうなったために、決して破れぬ魔術契約で、聖杯競争の参加者に限り不可侵条約が交わされた状態で、
彼は女権国家の良識的将校と同盟し、聖杯から注がれる魔力で厳戒した二人の英雄、アドル・クリスティンとその子孫の一人征服王イスカンダルと契約したらしい。
 彼が上げた大功のおかげで僅かに外交で優位が取れる材料が手に入ったのも王国が存続できた理由の一つだったそうだ。だが男性とはいえ、女権国家の出身の英雄と、
自称である可能性も高いとはいえ、女権国家出身ではなくてもその子孫の英霊と契約したことと良識派とはいえ女権国家の将校と同盟した事実が、不信感を呼んでしまい、彼は本来の功績ほど高い地位にはついていない。

 そのこと自体は別に彼は悲観していないが、自分自身の実力を伸ばす時間のある程度の地位にいながら、修行をしても術者としての地力が上がらないことが彼の眉間の皺を深くさせている。 
才あふれる自分たちを大分妬むようなことを言ってきたことも多い。特に印象深かったのは、才能が低いというジャギに向かって『贅沢を言うな。一応北斗神拳の伝承者として不足ではないくらいの才能はあるだろうが』と言ったのが印象的だった。
それでも指導者として手を抜かず困っていれば助けてくれる辺り人格者だ。

 ウェイバーは本来三人まで英霊を呼べる戦いで二人しか呼ばなかったのは、三人目の英霊である、王国を支えた軍師にして政治家である諸葛亮孔明が、彼と融合する形を選んだためだ。
正確に言えば自分の軍師として能力や妖術、仙術の類をすべて彼に与えた方が上手くいくと冷静に判断したためらしい。その為かウェイバーは東洋の術と相性の良い、横島の指導も時々してくれた。
 大鳳がウェイバーの店のキャストとして、女性の厄ネタを解決する際に立てた手柄と引き換えにキャルのことを頼んだのも彼のその凄まじい力を信じてのことだ。

 程なくしてキャル姉を連れて帰ってきた大鳳を見てウェイバーは彼女の様子を見始めた。魔眼を持つようになったキャルが警戒しない辺り、ウェイバーは本当に善人なのだと思う。

 ウェイバーは僅かにキャルのことを見ると、嫌そうな顔をしつつ、孔明の力を呼び覚ました。自分の実力ではなく、過去の英霊の力に頼るこの行為は彼にとっては強い屈辱と嫌悪感を巻き起こすようだ。
彼の持つ医療の文字の書いた札の光がキャルの体を撫でまわすと、ウェイバーは能力も一流の医者ができれば完治させたい病気に対してそれは無理だと断じる様な様子で、吐き捨てるように言った。

「結論から言う。この目がもたらす被害を小さくすることはできるが今の所は完治させるのは無理だ。 とりあえず彼女はここで雇おう。 バックヤード兼用心棒という形でな」

 ウェイバーの言葉に大鳳は、迷った様子を見せた。彼は手柄と引き換えの頼みに対して黒い策を張り巡らせる様な人物では断じてない。だがそれでも万が一敵対するような事態になりその際にキャルを人質に取られたらその時は取り返しがつかない。

大鳳の懸念を察したのかウェイバーは穏やかな口調で言葉をかけてきた。

「心配するな。彼女の身を預かるのは王国と関わりのないホストにやらせる」

 ここのホスト達は能力が高いが様々な、事情や素性の物が多い。王国の旧領だったものや、王国捕虜の子供で王国寄りの物。あるいは王国に対して女権国家が行った戦争で破っていけない行為などに憤慨している良識派の家計などだ。
 女権国家があまりに無体なことをすれば向こうにつく可能性もゼロではないとは言え、王国に義理を感じてないものたちは一度保護したキャルを人質など断じて許容しないだろう。


438 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:30:57 ID:eLEKoExj
 その考えと魔眼を得たキャルが肯定的な雰囲気を発したことが大鳳の決意を固めさせた。

「ランスロット、ガウェイン、トリスタン。 この女性は今日から用心棒兼裏方の手伝いとして、この店で働くことになった。 ミク女史が用意した住居からアドル神殿内部に移ってもらうようミク女史と話はつけた。しばらくはお前たちが面倒を見ろ」

 この三人はホスト冒険者を兼業している凄腕のホストで何度か男性だけではなく、女性の不幸を止めるために共闘したこともある相手だ。大鳳が信頼しているホストを選ぶ当たり、
ウェイバーは相当気を使ってくれているのが分かる。 呼び出したうちの二人しか来なかったのを見て、ウェイバーが眉を顰めた。

「ランスロットはどうした?」

 赤い長髪の憂いに満ちた表情の美丈夫、トリスタンと金色の短髪のさわやかな男性ガウェインは少し気まずそうにしたのちに答えた。

「ランスロットは不幸な女性を助け、その後女権国家では自殺行為としか思えないその気にさせるアプローチをして逆レイプされて監禁されていました。 
救助したところ『今回こそはアドル様の様に逃げ切れると思いました』などと述懐しており、それがばれて娘さんに『お父さんバカでしょう。最低です』と言われてしまい、それがとどめとなり今日は休みです」

 友を気の毒に思う気持ちも本心だが、コントめいた自爆を面白いと思うのを止められない様子のガウェインをよそにトリスタンも琴としても使える弓を弾きながら言葉を続ける。

「私は悲しい。無二の友があれだけひどい目に何度もあっていたのに学習できていないことが」

「この人たち大丈夫なの?」

 不安がるキャル姉を見て大鳳の頬が綻んだ。キャルは魔眼を得てから、警戒が強くなり自分とジャギと横島とアミバ、そしてモヒカンたち以外は信じられなくなりつつあった。
だが今のキャルは彼らに対しては能力に不安を覚えても人柄に対して一切警戒していない。それを見て大鳳は力強く頷いて答えた。

「普段はこんなだけど、騎士道を歩むものとして大切な場面では凄く頼りになる人たちだよ」

 大鳳の迷いない回答にはオカルトがらみなどを主にして善良な女権国家の女性達を護る為に共に戦った彼らに対する揺らぎない信頼があった。その答えを聞きキャルは一瞬で彼らを信じぬく表情へと変化した。

 ウェイバーはランスロットが来なかったこととその理由にいら立ち、葉巻をかみちぎってしまった後に直ぐに声をかけた。

「ランスロットのバカが! あいつの出身地であるフランク地方の魔術師たちの手も借りねばならない可能性も高いというのに。肝心な時にやらかしたな! 
大鳳の戦果を思えばキャル嬢を使った揺さぶりの工作のための妨害がいつ来るか分かったものじゃないというのに。 仕方ない。 ナポレオンを呼べ! 
あいつもランスロット程じゃないがフランク地方に顔が効いたはずだ。ランスロットが話を通す前にあいつに動いてもらう」

 呼び出されたナポレオンは快活に笑いながら、ランスロットへのウェイバーの怒りをなだめた。

「まあ、ランスロットが助けた相手の女も善性だったしむしろこのクラブの人気も上がっただろう。大将は軍師としての気質上神経質なんだろうが、
これくらいなら俺がどうにかするさ。俺はランスロットが声をかけなきゃ本格的には動かない地域にも多少は顔が利くから、ランスロットからも正式な要請が届くだろうと言っておいた」

「相変わらず手回しが早い。 私は彼女を助けるのに手を借りる可能性のあるオカルト系の組織全般に連絡を取ってくる。 今日の支配人代行はイアソンに任せる。 ダメ人間の兆候が見えたら殴って止めろ」

 それだけ言うと、ウェイバーは彼にしては珍しく早足で駆けて行った。それだけキャルを助けることに対して本気なのだということがうかがえる。

 ウェイバーを見食った後、事態の把握に努める為に辺りを見回し始めたナポレオンはその視線にキャルが収まった瞬間いきなり彼女に近寄ると口を開いた。

「お前が今回助けるべきマドモアゼルか。いきなりだが、俺はお前に惚れてしまった。俺の恋人になってくれないか?」

 粗野だが不快感を感じさせない真剣な告白に時が止まった。 キャル姉もあまりのことに赤面した。特殊な目を持ったが故に彼の人柄と告白の真剣さが分かったのだろう。 一瞬早く再起動を果たしたのは大鳳だった。

「ナポレオンさん何考えているんですか! あなたは女権国家人でしょう。彼女は僕の姉です」

 それを聞いた瞬間ナポレオンは間を置かず本心からの口説き文句を直ぐに出した。

「大鳳の姉だったのか。余計に俺の一目惚れの勘は間違っていないことが分かった。 先輩として何度か苦難を共に乗り越えて大鳳の人柄はよくわかっている。彼をこういう風に彼を育てた女性だと分かって余計に好きになっちまった。直ぐにではなくていいから返答をしてほしい。
 お前が望むならホストはやめて冒険者一本に切り替えよう直ぐに」

 この時キャルは本心から弟を賞賛された事態と初めて高評価できる男性に本気で口説かれた事態で、顔が赤くなっていただけで、ナポレオンに惚れたりしたわけではない。
だが女性らしい照れた彼女の顔を見て大鳳のシスコンスイッチが入ってしまった。大鳳は即座にミクに電話をした。

「ミクさん。以前手柄の褒美として、自分が出張るほどの案件でなくても僕の要請にこたえてくれるって約束してくれましたよね。はい。それを使わせてください」

 程なくしてクミに変装したミクが不本意極まる様子でGICに訪れた。彼女の顔にはなぜ自分が呼ばれたのかという疑問をあるようだ。その彼女をよそに大鳳は彼女をナポレオンの前に出すと言った。

「姉さんに相応しい男かチェックさせてもらいます。その内容はこれです。こちらのクミさんは王国武芸の免許皆伝者だけど、
――歳を超えています。いわばおばあちゃんです。いくら武芸の達人相手とはいえ――歳を超えたロートルおばあちゃんに勝てない人には姉さんは任せられません」

 それを聞いた瞬間、横島とジャギの血の気が一気に引いた。粛清とかが起こらない範囲で一番ミクを怒らせることをやらかしたのでは、と二人は思った。 
クミに変装したミクから空気を塗り替えるほどの気配が発せられた。普段の大鳳なら逃亡に全力を注ぐその恐ろしい気配に、横島とジャギは震えあがった。
それはそうだろう。血相の変わった声で信頼しているとは言え敵対する可能性もゼロではない上に、負い目のある味方勢力の施設に来てくれと言われて様々な可能性を考慮しながら大急ぎできてみれば、
シスコンを爆発させただけだった上にいきなり気にしている年齢に触れられたのだから。
ミクと仲が微妙なキャルでさえも、多少心配しながらもこれは大鳳が悪いという表情になっている。

 ミクは恐ろしい笑顔で大鳳の頭を掴みミシミシという音をさせながらナポレオンに頭を下げさせ自分も頭を下げた。

「すいません。この子は大分シスコンですから。殆ど同世代の自分をおばあちゃん呼ばわりしてまで姉に男性を近づけたくなかったみたいで。 今日は大鳳くんは私が指名して、アフターまで私で良いですか」

 ミクの言葉に寒気が走りつつ、彼女は大鳳と恋人に近いほど仲良くなっていた事実も顧み止めに入れない二人をよそに、ミクは有無を言わさない様子で代金を置くと大鳳を連れて行った。ナポレオンは純粋に面白いものを見たように笑いながら、大鳳に先輩としての言葉をかけた。

「好いてる男からおばあちゃん呼ばわりされれば女性は誰だって怒るもんだ。それを上手くなだめて笑顔に変えるのも良い男のたしなみだ頑張れよ!」


439 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:34:27 ID:eLEKoExj
 結局それからナポレオンはキャルを口説きつつ今は大鳳の幸せが一番の望みと見て、距離を詰める様な行為は慎むようになった。 大鳳もそれがあってからナポレオンが男として尊敬できる部分を見せるほど微妙に距離を取るようになった。
おそらくは、姉を取られるかもという危惧と、姉との恋路を邪魔するかもしれないのに彼に頼るのはフェアじゃない、という少年らしい潔癖さが入り混じった行動だったのだろう。
 それでも二人の仲は険悪ではなく、姉を口説くのがやんでからはナポレオンの筋肉に大鳳が少し憧れて、こうなった鍛え方を教えてやろうかと言われて悩んだところを女権国家の女性達に止められたりするような事件もあった。
その際に一番切れていたのは警邏隊副隊長風鳴翼だった。彼女はナポレオンの胸ぐらひっつかみ滅茶苦茶怒っていた。 だが怒り方は犯罪者や悪に対するそれではなく身内とみなした相手だからこそできる類のものだった。

「ナポレオンこの恩知らず! 昔あんなに鍛錬に付き合ったのに。いや、別に恩返ししてほしかったわけではないが。こんな女権国家の至宝を壊すような真似をしようとするとか、大犯罪だぞ。副隊長権限でしばらく刑務所か強制労働所に行くか」

 翼のその様子に大鳳の方が驚き引いたが、ナポレオンは笑いながら大鳳に心配いらないと目で告げた。 案の定翼の後ろから凄い気配を纏ったティアナが現れた。彼女は好感度ドーピング状態の翼をあっさりとひねると、恐ろしすぎる綺麗な笑顔で言う。

「ナポレオンくん、警邏隊副隊長に化けた。急進派副長が失礼したわ。 懲罰房に送って貴方の恩人の本物を見つけてくるから今日はこれでお暇するわね」

「ティアナさん、まあほどほどにお願いします。貴女がこなくても冷静になれば直ぐ反省したと思いますし」

 珍しく敬語でしゃべる彼を見て、驚きつつ連行される翼をしり目に彼は大鳳に口を開いた。

「大鳳、お前の中では大分評価が低いと思うが、お前が絡まなきゃ彼女は凄く良識的で男前気質な良い女なんだ」

「そうなんですか?」

「ああ、俺が歪まずに済んだのも何割かは彼女のおかげだ。 事実かどうかは怪しいが俺の家系は一応アドルの血が入っているらしいんだ。 おっと血統のせいで差別されたり女性に襲われる回数が増えたとかそういうわけじゃない。
俺はガキの頃アドルみたいになりたいと本気で考えていた。当時少し年上だった、彼女たちにその夢を打ち明けたことがあったんだ。 ティアナさんとリンネさんそして彼女に話した」

「それでどうなったんですか」

「翼さんが一番俺の夢に真剣に向き合って協力してくれた。 女権国家の良識的な女性なら男性に課さない様な鍛錬も俺に課して来てな。 諦めさせるとかそうじゃなくてこれくらいやらないとアドルのようになるのは無理だという思いからやってくれていたことが分かったからこそ、俺はその鍛錬に耐えられた」

 ナポレオンの言葉からはつらい思い出ではあっても嫌な思いではない事と、翼に対する感謝の念がにじみ出ていた。その言葉を聞き意外な思いにとらわれながら大鳳は興味を持ち言葉を返した。

「意外でした。自分の前ではその欲望前回の女権国家の女性らしいところしか見られていませんでしたから」

 幾つも恩のある先輩であるナポレオンの手前言葉を選ぶ大鳳にナポレオンはいつもの様子で快活に言った。

「ああ。俺の伸びしろが一度限界に来た時も彼女は直ぐに告げてくれた。言いづらかったが自分の指導を真面目に受けている以上はそうするのが礼儀だと思ったんだろう。彼女がそうしてくれたからこそ、俺はショックではあったがその時も前を向くことができた」

「限界まで鍛えたのならナポレオンさんの強さも納得です」

 大鳳は本心から言った。彼の姉も含めて理不尽に不幸な人間を助けるために共に戦った時のナポレオンの強さはすさまじかった。限界まで鍛えられたのならそれも納得いくものだ。だがナポレオンは首を振った。

「その時は今よりもっと弱かったさ。ただ知り合いのティアナさんが、伸びしろに限界が来たのに鍛錬を繰り返して破ったのを見て、翼さんがそれを俺に教えたうえで、できるとは限らないがやってみるかと、言ってくれた。それを聞いて俺も挑戦して今の強さまでこれたんだ」

「そうなんですか」

「ま、そういうわけだからな、翼さんはお前から見るとただの残念なバカ女に見えるかもしれないが、お前の関わらないところではそういう女性だってことも頭に止めといてくれ。世話になった女性が惚れた男にただのバカ女と思われて振られるのは寝覚めが悪いからな。
ああいう女性が警邏隊副隊長をやっているような国だからこそ、――俺もこの国の為に働く甲斐もあるってもんだ」

 ナポレオンが最後に口にした言葉を聞いたことも大鳳とジャギがこのホストクラブを早めに去った一因となったのではないかと、横島は思っている。

 ナポレオンはウェイバーに協力的だが女権国家に愛国心を持った男性だ。
そして親王国思想の者が多いとはいえ、自分たち諜報組織とは相いれない思想の有能な男性もあのホストクラブには多く勤めている。
彼らや彼らに惚れている女性陣はウェイバーが王国と女権国家双方を仲良くさせてお互いに得をさせるのを目的とした外交官の思想をしているからこそ味方にできている人材だ。 
そしてあのホストクラブを運営しているウェイバーは信頼できる同盟者ではあっても自分たちの身内とは言えないし、身内となることもありえない相手だと悟った。


 横島が今日このホストクラブを去ることにしたのも、その事情が大きい。 彼に入れあげてきた女性達が何人かおり、それなりに女権国家に影響力のある女性達だった。彼女達の力を諜報活動に活かしたりするのは完全にウェイバー側に着かない以上は不義理極まる。
だからこそまだ引き返せるうちにやめることにした。 自分の引退式の様な、最後の勤務時間が始まる前に、支配人室に来るように言われていた彼は、着替え終えるとウェイバーの部屋に入った。

 支配人室の前に来た彼は結界の構成をみてその出来の良さに畏怖を覚え、ウェイバーは霊力自体は少ないが術者として霊力の運用に関しては並外れているのだと感じた。 
彼自身が練ることができる霊力は少ないがそれを上手く用いて辛うじて、一流に届きかける所まで来ていたし、この特殊なホストクラブでは大量の魔力を自由に使えるためか、霊的な守りに関しても凄いものがある。
このホストクラブにいる時に限定すれば、彼を倒せるものは女権国家でも十人もいないのではないだろうか。


 横島が入室するとウェイバーは横島の才能への嫉妬と自分の指導が間違っていなかったことへの満足感が入り混じった表情をした後、彼に声をかけた。

「つい先ほど私はミク女史と対談してきた」

「それはまたなぜ?」

 お互い嫌いあっているわけではないが、仲良くできる状態ではない二人が敢えて対面したのは何か重要な理由があるのだろう。

「私の方から出向いた。大鳳とジャギがいる時を見計らってな。 あの二人が近くにいれば、『お互いに』変な考えを起こし辛いから安心して話せるからな」

 ウェイバーとミクは丁度お互いを反対にした様な能力を持っている。ウェイバーは外交や情報分析に関しては化け物めいた力を持ち、このホストクラブで多額の金を稼ぎ王国に貢献し。富裕層の客人の漏らした会話と、
一般的な商売の流れだけでスパイを使っているのでは?と疑われくらいに王国に有益な商売に関する情報や資金を流している。だが戦闘に関しては体に残った英霊の残滓をもってしても、一流止まりだ。
 対してミクも戦闘に関しては化物だが諜報に関しては一流止まりであり、トラウマなどを刻み女権国家の諜報部に多大な人的被害などを出しつつも、楯無たちの牛歩戦術などで力を縛られている。 
ウェイバーがミクを恐れているようにミクもまた彼を警戒しているところがある。 だからこそお互いが不義理しづらい大鳳とジャギがいる時を見計らって面談したのだろう。


440 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:37:43 ID:eLEKoExj
「それでその用事は」

「私が彼女以外に殺された際に、取ってほしい行動のメモを渡してきた。 最近は情勢があまりにも早く動き、保身の策も無駄になる可能性があるからな。 言っておくが引退を止めるなどとは考えるな。
 お前がこの店からいなくなっても『女権国家の方から無体をした場合』は最後まで私に味方してくれる者たちの戦力は大きい。 殺されたりはしない」

「そうですか」

「少なくとも、あと半年は彼女と手を取り合い続けることができるはずだ」

 彼の努力や自分も含む大鳳一派の活躍それにより王国に勝機が出てきたことで、絶望的戦況では生じ辛かった不和の種が王国にも芽吹き始めてきている。
 ウェイバーの前の大戦での女権国家の戦争犯罪を嫌う良識派の女権国家の権力者を味方につけて一時的なら、女権国家の良識派の下で王国を存続させる派閥とミクの徹底抗戦派の派閥も場合によっては潰し合う時が来るかもしれない。 

 横島は息をのんだ。自分ももう少ししたら、ミクかウェイバーかを選ばなければならない可能性もある。

「理想としてはミクに徹底抗戦派の筆頭として前線に立ってもらい、勝てばそれでよし。負けた時は我々が王国に帰還して王国に好意的かつ、女権国家が行った協定違反を嫌う国境勢力を味方につけ、
そして女権国家内部の良識派に反戦行動をしてもらいながら、防衛線を行い王国の存続を狙う形に持ち込むことだ。だが、女権国家の権力者たちも愚かではない。 私かミクかどちらかを潰そうとするだろう。そしておそらくは消去法で私を消しに来るだろうな」

 ミクを殺すのは不可能に近い。対してウェイバーは殺すのがとても難しくかつ、殺した際のデメリットも大きいが不可能なわけではない。そして何より彼は男性だ。女権国家の女性達にとってはカモだろう。

「だからこそお前はミクの所に戻っておけ、お前に経済の流れなども多少は叩き込んだから、もしも私が消されたら、一旦王国に帰国してミクが破れた際の私の後継者の補佐を頼む。 ミクもその件に関してはもう了承済みだ」

 ミクとの対談はそれだったのだろう。

「お前がミクの所に帰れば私より彼女を取ったと女権国家や周りはみるし、後方支援についてもお前の能力なら不自然ではないだろう。 私の派閥が立ち消えたと思っていたら、補うものがいれば衰えぬ働きをしてのければ女権国家も相当に予定が狂う」


 ウェイバーの言葉に横島は頷いた。

「分かりました。支配人今までありがとうございました。最後の仕事をこなしてきます」

 頭を下げる横島にウェイバーが再び声をかけてきた。その声のトーンは明らかに今までとは違った。 この声は忠告を聞かないと部下が死ぬそんなときに出す声だと分かり、横島も体を固くした。

「横島、お前に惚れた女性達はこの国の基準では良識的な女性が多い。だが、彼女達も女権国家の女性であることは忘れるな。 アドル神殿への礼拝を良くしておくことだ」

 ウェイバーはイスカンダルほどではないがアドルに対しても相当に好意や敬意を持っていることが分かる。冒険日誌などが出ると必ず購入している。 ウェイバーはさらに言葉を続ける。

「相手の女性も了承の上とはいえ、あの先祖への尊敬の念も素直に出せない未熟者の小僧からもらったアイテムで作った関係などは長続きするとは思わない方が良い」

 未熟者の小僧の一言でランスのことを言っているなと横島は思った。ウェイバーはランスのアドルを尊敬している部分もあるのに、素直になれない彼には辛らつな言葉を吐く。
だがランスがアドルを超えるために修行していると、助言する辺り心底嫌っているわけでもない気もする。

「はい。分かってます」

 内心驚きつつ、女性達との関係にまで気づかれた衝撃を隠しながら話す彼にウェイバーは言葉を続ける。

「明らかに、分かっていない。 お前がそういう関係になった女性達は善人か善人寄りの女性が多い。だが、女権国家の女性であることには変わりはない。もう手遅れかもしれんが、
今までのホストとしての交流を思い出し、一人ひとり対応を変えて彼女たちの嗜虐心を抑える努力をしろ。 そうすれば『運が良ければ』人としての尊厳くらいは残るだろう」

「悪かったらどうなるんですか?」

 ウェイバーは彼にしては珍しく素で気の毒そうな顔になった後。横島から目をそらしやや小声になって言葉を返してきた。

「彼女たちの気質上、不義理や汚いことをしたわけじゃないお前のことは多分大事にするはずだ。 まあ、そのなんだ。結婚式だけはまともにしてくれるように頼め。そうしないとここに来るホスト希望者が減ってしまうからな」

「オーナー。そんな怖いこと言わないでくださいよ。 気づいていたんでしょうなんで止めてくれなかったんですか!」

 横島の悲痛な声にウェイバーは再び向き直ると強い声で返した。

「このホストクラブでお前はなかなかの数の女性を助けたが、そのメダルで強くならなければ助けられない女性もいただろう。それでもそのアイテムを使わなかったか?」

 それを言われて答えられない横島にウェイバーは言葉を返した。

「今沈黙している状況それが答えだ。 忠告すると勢いが落ちてしまったかもしれなかったからな。 賭けのない戦や外交などない。それは諜報活動も一緒だ。彼女たちの良心と自分の運を信じろ」

「支配人分かりました。それでは改めて行ってきます」

 横島が決意を固めて出て行ったのを見て、ウェイバーは憂鬱な顔になった。

「諜報員として死んだりはしないだろうが。王国男子としての尊厳は確実に死ぬな。ああいう決意を固めた表情がどれほど彼女たちの情欲を刺激するか」

 横島の最後を想像した彼は横島が出て行ったドアに向けて合掌すると、再びホストクラブに来た女権国家の女性達、商人、軍人、貴族令嬢。霊能職、冒険者、一般人の入れるボトルの量や漏らす愚痴などを調べ上げメモをして女権国家の過去のデータと照らし合わせ、
現在の経済状況の動きなどの予測を書き始める。 諸葛孔明の残滓のためか、あまりにも正確なそれがスパイ活動を疑われるために手入れが過去に何度か手入れが入ったほどのものだ。

 手入れの度に白だったためか今では警邏隊は完全にこの店の味方になっている。この予測した書類を王国に出すことも、王国を経済的に助けるだけではなく女権国家のスパイをいくばくかはこの店に張り付かせて人員を無駄にさせる意味もある。 
ウェイバーはこれからの店の運用について悩みながら横島が抜けると裏方的な意味でも痛くなるなと思った。


 横島が引退式の会場に来ると、アリス、愛歌、ユウキ、エヴァ、リグル、ヴィヴィオ、そして花の大公爵ジェラート・ヴァレンティーヌ等をはじめとしてホストをやりながら怪奇事件などから助けた女性たちが集まってくれていた。
思った以上に自分を好いてくれた女性や、好いたわけではなくても感謝してくれている女性が多いのだなと思い誇らしくなった。

「忠夫引退おめでとう!」

 一番うれしそうな満面の笑みで祝辞を述べてきたのはユウキだった。彼女にしてみれば、純情で不機嫌になることも多かったが、
それでも善良な女性達を見捨てる横島など見たくないと思い黙認していたが、横島に助けられた女性がここに来るたびに不機嫌になったものだった。 アリスも笑みを浮かべて横島に近づいてきて言う。


441 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:39:31 ID:eLEKoExj

「貴方が大勢の不幸な女性達を助けるために頑張る姿は素敵だったけど、スパイの仕事以外でも怪我をするのは見ていたくなかったから嬉しいわ」

 二人の言葉を聞き彼女たちに傅かれるような対応に、横島はランスから試してみろと言われたアイテムを使ってみてよかったと本気で思った。そしてランスからそのアイテムを譲られた時のことが思い浮かんだ。

 今から1年半前この仕事をしながら兼業冒険者として働いている中、善良な女性を助ける為に少しでも早く強くなりたいとランスに漏らした時、彼はアドルを尊崇するウェイバーに対する憎まれ口を止めて、彼に言った。

「あの頭でっかち軍師野郎の指導でも足りねぇのか」

 ランスの神妙な表情には、普段は女性を支配するのではなく逃げる方を選んだアドルごときを尊崇するヘタレと言いつつ、育成者としてのウェイバーは高く評価していることがうかがい知れた。 彼は少し考えると、横島に言葉をかけた。

「横島、次の休みは俺様と出かけろ。 俺様が試してみたいアイテムがあったからそれを使ってみろ。お前が仲良くなった女達なら、事情を隠さず話せばこのアイテムを使うことを了承してくれるだろうし、どう転んでもそこまで悪いことにはならんだろ」

 ランスは女権国家で男性優位ハーレムを考えている無謀な男だが、女権国家に生まれ逆境を経験し続けたためか、良識なども育っている。 恐らく本気で彼の力になってくれようとしているのだろう。

 次の日にランスに指定された場所に行ってみると、そこには見ただけで心奪われるような大聖堂に美しく大きな絵画が飾られていた。 その絵画は山の中で月の下で遠吠えを上げる大きな狼が描かれていた。
 狼の強さと誇り高さ月の光で引き立てられてどこまでも引き込まれるような絵だ。 ランスはその狼の絵が刻まれたメダルを横島に渡してきた。

「神狼(しんろう)のメダルと言ってな。この狼は神の力を持った獣で、気高く誇り高く罪なき弱者を多くの邪悪な存在から守り、邪悪な存在を狩り尽くしていた。 そして多くのメス狼たちを支配し、
交尾の際も圧倒していたらしい。 それを見て女権国家に侵略されたばかりの、男性優位の性行為が当たり前の、国の画家がこの狼に憧れてこの絵を描いた」

「そうなんか。これを書いたのは霊能者とかじゃなくても、あまりにも凄い絵すぎて後天的に何か霊的な力を得ても不思議じゃないレベルや」

「ああ。この絵を見た女性を支配したいと考えた男がそういう信仰を植え付けてこのメダルを作った。最も作られたばかりの頃は魔狼(まろう)のメダルって言われていたらしい。 このメダルを使うと心夢(しんむ)の迷宮ってところに行けて、
その迷宮を踏破できると夢の中で女性の魂を屈服させるような性行為ができて、女性の魂を屈服させて支配できるようだ。 女権国家外の善良な女性達にこれを使おうとし入り外道な男たちの魔術結社を、アドルが奴が潰した時の冒険で回収した」

「ランスこれを持っていたのはやはり先祖から受け継いでいたのか?」

「そうだ。 最も踏破に失敗すると女どもに夢の世界で逆に犯されてしまい、完全に支配されてしまう危険もあるそうだ。 だが夢の世界での戦闘経験もある程度は現実に持ち帰れる。
魔術や霊力を使える人間は、筋力は変わらなくても、霊的な気の扱いがとてもうまくなったそうだ。拳法家とかでも気の使い方は向上したらしい。 横島事情を話して仲良くなった女達に事情話して彼女たちの心夢の迷宮に挑ませてもらえ。
心夢の迷宮はどの迷宮もすさまじい難易度だが、女が好意を持っていればいるほど難易度は下がるそうだ。そういう迷宮ならお前の鍛錬にちょうどいいだろう」
 
ここまでの発言を終えると途端にランスは不機嫌な顔になった。語気を荒くしてそこから言葉を続ける。

「あのヘタレフェミニスト野郎は、女権国家以外の善良な女性を保護するためと、女権国家の男がこれを使って死に覚えゲーみたいな心夢の迷宮に挑んで堕とされるのを見かねて、邪教集団や夢魔と戦って回収したらしい」


 ここまでのランスの口調は誇らしげだったが、ここからは少しだけ憤懣が混じった荒い声になった。

「そこまでは良い! その後の行動が本当にダメだ! 俺様ほどではなくても、そこそこの男なんだから、このメダルを使って今まで自分が救った女たち全員を支配して。首輪つけて自分専用の雌犬にするくらいはしてのけろってんだ。
 冒険日誌をあらかた読んでいるから分かるが、あいつなら心夢の迷宮をいくらでも踏破できるだろうが」

 その発言を聞き横島はこれはまた長くなるなと思った。ランスのアドルに対する尊敬と不満の混じった愚痴はなかなか収まらない。 その愚痴をどう止めるか悩んだ瞬間に彼に声をかけてきた女性がいた。

「タダスケ殿、心夢の迷宮に挑むというなら手を貸そうかえ」

 低く品のある声に振り替えるとそこには何度かホストとして相手をした花の大公爵ジェラートがいた。

 彼女は自分の配下であるさとりがキャルに悪戯をした詫びに来た後、横島の前世が夫だったからという理由で彼を何度も指名してくれていた上客に当たる。

「ジェラートさん。助けてくれるんですか」

「前世で妾は何度もそなたに助けられたゆえにな。サキュバス族を従えておる故そちらにも妾は詳しい。 そなたが敗北した時に被害が小さくなるように取り計らおう。 さとりの奴がやらかしたことに対する監督不行き届きの詫びもまだ済んでおらぬ故な」

 ジェラートはかつて悪事に走り自業自得で追放されたところを横島の前世に救われて償いの試練を手伝ってもらい、ついに創造主に許されたらしい。それゆえか彼女は疎まれる出自の者の保護に熱心な所がある。
以前彼女は『大罪を犯した自分が許されたのに、何もしてないものが苦しい生活を送るのは通りが通らぬ』と横島に言っていた。
それゆえかさとりがキャルにやったことに対しては割と本気で怒っており、厳重に呪いで縛り横島達の支援者として送り込むなどしてきた。 この時の横島はさとりと行動を何度か共にしたためか、あまりさとりに対しては悪感情はなくなっていた。

 さとりやこいしなどの心や無意識の能力を持つ妖怪や、無数のサキュバスを従える彼女なら確かに心夢の迷宮の攻略には絶好のサポーターだろう。

「ジェラート様お願いします」

 横島に頼られると彼女は本当に嬉しそうに頷いた。彼に頼られたのが相当嬉しかったらしい。

 それから彼はユウキ、アリス、エヴァ、愛歌、リグル、ヴィヴィオ、というホストを始める前に知り合った女性達だけではなく、この店に来てから助けた女性達にも事情をすべて話して合意の上で、彼女たちの心夢の迷宮に挑ませてもらった。
ホストクラブで彼女たちのご機嫌を取り、迷宮の難易度を下げつつ、下がってなお高すぎる難易度の迷宮で敗れるたびにひどい逆レイプを受けてしまった。さらに何回かは、目が覚めると夢と同じ行為をいつの間にか侵入してきた彼女たちに現実でもされていたことも多い。
その度に彼女たちにずっと飼われたいという願望が芽生えたが、その念を自分の実力を上げるためとこの店に訪れる霊能がらみの厄ネタを抱えた女性達を救いたいという一念で折れずに乗り越え切った。そして彼は女権国家の男性なら憧れるであろう男性優位の性交を日常的にできるようになっていた。

 彼は全ての女性達の心夢の迷宮を踏破したわけではないが、それでも踏破出来たアリス、ユウキ、ジェラート、ヴィヴィオ達との夜の日々は甘かった。だが、迷宮踏破に失敗して彼女たちに嫐られた日々を思い返すと、物足りないと思ってしまう自分もいる。 感傷に浸りかけた時にさとりが笑いながら言った。


442 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:42:04 ID:eLEKoExj
「愛歌さん、アリスさん彼王国男子のくせに女性に勝って征服した性行為より、負けて嫐られていた時の方が良いみたいですよ」

「さとりちゃん、やめてぇな。恥ずかしすぎるわ。それと少し気になることがあるんやけど」

「ええ。分かってます。でもここの皆さんにも教えた方が良いと思うから敢えて口に出して聞いてみては」

 さとりと横島のやり取りを見て、何人もの女性達が興味を持ったように彼らの様子を見始めた。横島が本当に困っているようなら自分にできる範囲で恩を返そうと言う、気配もある。 それを見ながら彼は少し間を置くと口を開いた。

「実を言うとワイが神狼のメダルを使って皆さんに鍛錬に付き合ってもらったのは周知の通りや。なぜか知らんが大鳳がランスに頼んであのメダルを使わせてもらおうとしたらしいんや。 
大鳳はあのメダルの危険さをよく知っとるはずだけどなぜあれに頼ろうとしたのかわからん。 今の所は無事みたいだがな」

 それを聞くと周囲の女性達の顔に疑問と横島の恩人で親友な大鳳の身を案じる様な気配が漂い始めた。 あのメダルを使って横島が無事でいられたのは仲の良い女性達にきちんと説明して合意をもらって侵入したからこそ、
心夢の迷宮の難易度と負けた際のカウンター的な女性優位の性交による夢の世界からの魂の浸食が大分優しめになっていた。
 仮にも敵対している相手や強く大鳳に執着している女権国家の女性に使ったら一回で呪い返しを受けて虜にされてしまってもおかしくない。

 それを聞くと花の大公爵ジェラートが不意に立ち上がり彼に近づいてきた。毒々しいにも関わらず鮮やかな美しさがそれに勝る赤い瞳で彼を見据えながら近づいてきた。

「タダスケ、そなたがここにいるということは、大鳳殿は無事なのであろう。じゃが、彼が確実に無事であると断言できる時間はどれくらいかえ?」

「ああ。あと半月は確実に大丈夫だ」

 横島の力強い断言に周囲は安心した様子になりこれが終わったら大仕事だという様な気配になった。それをありがたく思いながら彼は説明を続けた。

「ジャギにも事情を前に話した。 ジャギは俺の話を聞いて、大鳳の気の流れに不自然なところはなかったといっていた。アミバも定期健診でも変なところはないと言っていたから、
気配を消して尾行して大鳳が疲れ切ったところを見計らって、調べてようやく女権国家の女性に搾り取られ切った後の様な状態になっていることが分かったようだ」

「それは随分と奇妙じゃな。メタリカ殿どう思う」

 沼の魔女メタリカは横島に救われて心夢の迷宮を使うことを許してくれた魔女だ。迷宮の踏破に失敗した時に犯してくる彼女の快楽が凄まじすぎたために、
横島は根を上げてしまい彼女の迷宮は踏破できていない。魔女としての実力だけなら大差という程ではないがジェラートに勝る。

「すまんな。ワタシも月に一度とはいえ彼を見ていながら気付かなった側だ」

 メタリカの答えにジェラートは咎めるよりやはりという表情を浮かべた。ジェラートも横島の恩人なのでたまにではあるが、大鳳と顔を合わせていた。綿密な診断をしたわけではないが、自分も気づかない以上は彼女が気付いている可能性は高くないと思ったようだ。

 少しだけ重くなった空気を変える様に横島は言葉を切った。

「大鳳の奴がそうなっているのは神狼のメダルを使って誰かの夢に入っているからや。それはあと半月は絶対やらんと約束してくれた。 確たる目的を意識を持って、やっとる以上はそう簡単には折れんだろう。 だから明日から俺は大鳳が挑んでいるものに挑もうと思う」

 横島のその言葉に対してユウキが笑顔で返した。

「うん、明日から重労働になりそうだから今夜は思いっきり騒ごうか」


 切って落とされた宴が最高に盛り上がり終わりに近づき始めた頃、不意に白に近いピンク色の花びら舞い散り始めた。ジェラートが気を利かせた余興を始めたかな、と思い直ぐにそれは違うと思った。
ジェラートと同じ花の魔術だがイメージが大きく異なる。ジェラートが使う花は濃い色をした艶やかな花を思わせるのに対してこの花は対極に位置する春の桜などの化身を思わせる。辺り一面にさわやかな春の訪れを思せる花びらの乱舞がやむと可憐な花を思わせる白い髪の女性がいた。
ジェラートと似通った花の魔術の使い手なのは一目でわかったが。 彼女の出現させるさわやかな花に対して無邪気な子供めいた笑みと赤い瞳がどこか危険な感じがする。彼女は笑いながら横島に声をかける。

「初めまして、タダスケさん。いやもうホストは引退済みだから忠夫さんかな。僕は花の魔術師マーリンさ」

 彼女の笑みを見た瞬間ジェラートが横島をかばうように前に立ち、杖を抜いた。 愛歌とメタリカは攻撃を仕掛けるか否か悩んだようだが、ジェラートが一応対話に応じようとしているのを見て、彼女に合わせることに決めたようだ。他の女性達もそれにならう。

「ジェラート、同じ花の魔術を使う仲間じゃないか。そんなに塩対応しないでほしいな。悲しくって泣いてしまいそうだよ」

「そなたがそのような殊勝な女か。一体いかなる用事でこちらに来た」

「実を言うと君たちの危惧を解決する情報を持ってきたんだ。もちろんただじゃないよ。報酬はただ一つ。友の為に奮闘する彼とその彼を助ける君達を見たいんだ」

「相変わらず終わらない物語を望むか」

「うん。 それでこれから大鳳くんを助けにいかないかい? 大鳳くんは横島君との約束は守るつもりだけど、君が助けに来てくれるなら彼は今から神狼のメダルを使って改心させるべき女性の心夢の迷宮にいくよ。 夢は不変無意識でつながっているから、君の大鳳くんのお助けキャラをやれるはずさ」

 横島は少し悩んだ後、回りを見た。全員が行こうと言ってくれているのが分かる。横島はそれを読み取ると。ウェイバーのいる支配人室に戻った。 着くと彼は既に状況を把握していたらしく、言葉を返してきた。

「とんだ引退式になってしまったな。だがお前の源氏名らしいと言えばらしいか。タダスケとは忠(ただ)助けるの意だったらしいからな」

「死に物狂いでただ助けることだけ考えんと救えん女性ばかりでしたからね」

「まあ。最後は親友を助けるための戦いに出陣する形でホスト引退というのもお前らしいだろう。 どんなに無様でも良いから生き残れ。仮に戦闘員として再起不能になっても、お前は私が死んだ後の後継者を補佐できる頭はあるのだからな」

 ウェイバーに頭を下げると彼はそのまま彼女たちの元に戻った。

 深刻な表情をしている面々の中で唯一これから楽しいピクニックに行くような笑みを浮かべるマーリンを見ながら彼は頭を抱えた。

「それでこれからどうすればいいんや?」

「ジェラートの城に連れて行ってくれないかな? 彼女はサキュバス族を従えているし花の魔術を使う公爵だから僕の力とも相性がいいんだ」

 横島はそれを聞き、頷くとジェラートが笑みを浮かべて杖を振った。

 ジェラートの華美極まる遊郭を思わせるが赤の多い彼女の城に来ると大鳳の姿はなかった。

 マーリンが既に連れてきているかもという予測もあったが今はここにはいないらしい。彼女は笑みを浮かべながら言う。

「大鳳くんは他の場所である心夢の迷宮に挑んでいるよ。 忠夫くんこれから君は時に自分の女性達の心夢の迷宮の攻略を大鳳くんに手伝ってもらい、時には君が手伝いに行くんだよ」

「なぜそんなことをする必要が? いや大鳳を助けることは別に良いんや。当然のことやしな。 だがなぜワイも自分の女性の心夢の迷宮に挑まなきゃいかんのや」

「説明不足だったねごめん。 大鳳くんが今挑んでいる心夢の迷宮の持ち主の女性の心の中では君が負けても王国でいう所の逆レイプとかはされないんだ。それは君が大鳳くんを攻略中の心夢の迷宮に読んだ場合も一緒なのさ。
そして君の主な役目は大鳳くんが向こうの心夢の迷宮で危ないことになったら、君の助っ人という形で呼ぶことで避難させられる。今回大鳳くんが望んでいるのはそういう支援さ。最も大鳳くんの話では、助っとして呼ぶ可能性もあるそうだけどね」

「なるほどな」


443 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:44:21 ID:eLEKoExj

「早速だけど、大鳳くんが向こうの迷宮で攻略失敗して負けそうだから呼んでほしいそうだよ。大鳳くんを呼んでしまったら、心夢の迷宮の一エリアをクリアするか、一度負けて逆レされるまで、帰れないよ。大鳳くんが君を呼んだ場合の条件も同じだ。
そして今回君がいく心夢の迷宮は誰の迷宮になるか選べない。これは一人で挑むのではなく、助け合う場合の代償なんだ」

「分かった」

 そういうと横島は神狼のメダルを握りしめた。ジェラートとマーリンが杖を振ると彼の意識は一気に眠りに落ちた。


 横島が目を空けると最初に目に入ったものは吸血鬼の城だった。

「よりによってエヴァの心夢の迷宮か」
 
愚痴る横島に不意に柔らかく少女を思わせるものがぶつかってきた。抱き着かれたような感覚をしてみると、そこには大鳳の姿があった。

「忠夫、助けに来てくれたんだね」

「おお。大鳳、色々聞きたいことはあるがとにかく今はこの迷宮のクリアやな」

「忠夫、確か何人かの迷宮はクリアしていたんだよね?」

「ああ。アリス、ユウキ、ジェラート、ヴィヴィオの迷宮はなんとかクリアした。他の女性はまだ無理というか、もう挑む理由がないから一生やらんと思っとった。
あれから現実世界でも修行したし幾つかの心夢の迷宮を超える際に鍛えたから。今回は超えて見せるで」

 そういうと横島は霊波刀を構えエヴァの心の迷宮を切り崩しながら進んでいく。月の下に映える美しい場内で吸血鬼の手下を思わせる敵を無数に切り倒し。大鳳もそれに続き剣を抜き放った。
横島はそれを見てやはりと思った。心夢の迷宮はイメージが最も大切だ。ここでは霊的なまじないも現実世界以上に効果がある。だから銃ではなく、聖剣の様な剣を大鳳は武器としているのだろう。

二人の息の合った連携がかつて彼が敗北した城の敵を一切寄せ付けようとしない。 ボス部屋の前の中ボスらしき、狼男がいた。
月光の下に映える恐ろしくも獣の美しさも合わせ持つそれは達人が放った弓の矢を連想させる速度で彼らに迫ってきた。 横島は即座に間合いを開くと。文珠で『臭』を出すとかの獣の動きが僅かに鈍った。 

初撃を受けた横島は、鍔迫り合いを演じ、このまま続ければ彼を倒せる。だが逃げようとすれば、深手を負う。それを読み取った狼男は即座に、下がるか否かの判断を強いられた。
その瞬間に一切の躊躇いなく大鳳が即座にスタングレネードを投げてきた。 狼男は心底驚き疑問を抱いた。狼は群れの意識が強い。
彼と大鳳には確かな友情があったにもかかわらず彼を巻き添えにする戦法を大鳳は一切迷わず使った。それを予測できなかったためか狼男はスタングレネードで耳をやられてしまい。大鳳にあっさりと打倒された。

 横島も鼓膜をやられていたが全く迷わずに『治』の文珠を使って治療した。消えかけている狼男に彼は律義に話しかけた。

「正直お前はエヴァのイメージする吸血鬼の理想の従者の狼男だから、文珠二個で済むなら安いレベルの敵だった。 ましてここは心夢の迷宮。現実の文珠が減るわけじゃないしな。痛みは現実と変わらんが、負けるよりはましだ」

 そういって彼を倒した。横島はエヴァの部屋に入るべく文珠を大鳳に数個渡すと自分も構えた。

「忠夫、一つ聞きたいんだけど。 心夢の迷宮のエヴァさんって現実より強い?」

「いやエヴァの場合はそこまで現実のエヴァと差はなかった。夜の状態とあまり変わらんがな。本人が最強の自分をイメージし慣れとるせいか、あまり変わらんのや。最もここのエヴァは厳密に言うと本人とは言えんらしいがな。そのためか、本人が一定の好意を持っている男の侵入者の場合犯さないという行動もとれんらしい」

 そういって彼が部屋に入ると吸血鬼の玉座に座るエヴァが、おもしろそうだという表情をしながら玉座に座っていた。

「忠夫、やはりここまで来たか。さすがに友の命もかかっている訓練となれば最後まで成し遂げると思っていたぞ。 だが、許可を出しおいてなんだが、私の心夢の迷宮に挑んできたのはいただけないとも思っている。 
クリアできると思ってはいなかったようだが、闇の福音である私の嗜虐心を大分侮ったようだな。修業は十分できただろう。もうこの迷宮に来る気がなくなるくらいに可愛がってやろう」

 立ち上がろうとするエヴァを見ながら横島は少し面白がるような顔をした。大鳳が視線で説明を求めると、まだ立ち上がっていないエヴァを警戒しつつ横島は答えた。

「実はワイは心夢の迷宮のクリアしたボス戦は全部一回で勝ったんや。エヴァ相手にはあまりにも凄い逆レされて折れた。だからこれが初めての二回目の戦いなんや」

「そうなんだ。それで何か発見したの?」

「ああ。前とおんなじセリフ言っとるから少しおかしくてな」

「そうなんだ」

 僅かな違和感を覚えつつ大鳳は即座に構えた目の前のエヴァが戦闘態勢に入った。彼女が戦闘態勢に入ると即座に瞬間移動めいた動きが起こった。僅かな空気の流れが、本当に瞬間移動をしたのではないことを告げている。
彼女の放った拳の一撃とそれをかわした直後にマシンガンの様に放たれた、冷気の魔法とそれが作り出す氷柱の刃を横島が札をばらまき相殺し、残った一部をかわしながら横島は勝ちを疑っていない声を出した。

「やっぱ強いな。 だが今なら前よりは戦力差がない。なにより前とは違って大鳳、お前がいる」

「うん。忠夫、勝とう!」

 エヴァの連続攻撃を大鳳と横島は息の合った連携で見事に捌きぬきながら戦った。前回負けた時より数瞬だがお札の発動や、あるいは引き出せる力が強くなった彼は前よりも彼女に拮抗できている。そして何よりも大鳳が彼の負担を減らして僅かな時間とはいえ、術に専念できる時間を与えてくれるのが大きい。

 僅かに余裕をもってエヴァと切り結ぶ大鳳と、本当に全身全霊で辛うじて二人の動きについていき援護する横島の戦いが起こり、エヴァが優勢でありながら、横島が援護に入り続ける限り大鳳が崩れずそして、
逆転劇が起きてしまいそうな気配もある。エヴァが有利でありながら硬直した戦局は唐突に次の局面を迎えた。まるで僅かに上がってきた二人の逆転の可能性を摘もうとするかの様に、エヴァが大きな冷気を纏いだした瞬間に空気が変わった。これは決着の時だと二人も察した。

 緊張が極度に高まった次の瞬間、エヴァが氷でできた剣を作り出してきたのを横島が辛うじて霊波刀で受け止めると、大鳳が妖怪等に効果がある太陽神の加護を受けた閃光手榴弾をばらまいた。
 エヴァは最初の一個が爆発する瞬間に即座にマントで目を覆った。大鳳と横島の二人も自らが投げた閃光手榴弾のせいで視界がある程度は狭まるのを予想しつくしての動きだ。 即座に目を覆う大鳳とは違い横島は目を閉じるだけにとどめた。
目を閉じていても布などで覆っていなければ視界の復活が大分遅れる。それを覚悟の上で彼は、二つの文珠を発動させる。『強』『化』手榴弾に刻まれた太陽神の力が強化されるように仕向けることで、エヴァを弱体化させる。前回エヴァに負けたからこそ、彼女の強さはよくわかっている。

 閃光手榴弾の効果で弱体化された彼女なら、大鳳なら確実に倒しきれる。そう信じ切ったからこそ十秒近くも失明状態になることを覚悟出来た。だが、その予測は一気に裏切られた。凄まじい闘気が辺りを包み、その気配が一瞬で大鳳を討ち果たした。 
横島は即座に負けを覚悟しつつも、自分を倒す一撃がいつまでも来ないことを疑問に思った。不意に目を空けるとそこには、ナポレオンとのトラブルがあった夜のクミに変装した。初音ミクが大鳳に騎乗して犯している。そしてそれを見た瞬間彼は致命的な事実に気づき叫んだ。

「ここは、エヴァの心夢の迷宮じゃない! 多分だけど、さとりのだ!」

 叫び声が終わり切る前に不意に閃光手榴弾で視界が戻り切っていない彼の後ろ頭を小さな子供の様な手が掴んだ。後ろから嗜虐心をたっぷりと含んだ声が響いた。

「ご明察です。トラウマ想起も戦闘だと融通が利くんですけど、セリフはそうもいかなくて困ってました。 あなたにとってトラウマだらけのエヴァさんの心夢の迷宮の想起はいかがでしたか? それでは遊びましょうか忠夫さん」

 そういった瞬間さとりが、彼に向けて手をかざし宣言した。

「『想起・嫉妬したエヴァさんをホストとして接客した日』」


444 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:46:22 ID:eLEKoExj
その日横島は彼女と似たところも吸血鬼を助け理想のナイトの様に振舞っていい気分で接客していた。その日珍しくエヴァが客としてGICにやってきたので彼は明らかに不機嫌なオーラを身にまとっている。
大人の姿となり黒いイブニングドレスを着こんだ彼女は美しいがその美しさが余計に不機嫌さが生み出す恐ろしさと強者の気配を引き立ている。彼は若干怯えながらも彼女の指名に応じた。

「忠夫、最近は私たちの指導で強くなって男を見せる機会が増えたせいかモテモテだな。クルル・ツェペシにスカーレット姉妹。随分と私の同族に優しい男になったな。師匠の一人として鼻が高いぞ」

 皮肉たっぷりの彼女の声に、横島は怯えつつホストとして過ごしてきた。経験が最高の対応を引き出した。

「当たり前だろ。エヴァ、お前の同族にホストとして接する以上はお前の面子の為にも、恥ずかしい真似できないからな」

 声音からして、エヴァの同族に対して彼女のメンツを損なわせない為に頑張ったと思わせる自尊心をくすぐる声だった。それを聞いたエヴァは笑顔になり優しい手つきで彼を抱き寄せる。ほっとした瞬間に彼女の腕に万力の様な力が宿る。

「随分と女の自尊心を満たす言葉選びが上手くなったものだ。うん、女権国家でそういう対応は犯してくださいと言っているようなものだぞ。 意訳すると『これ以上女を堕とすスキルを上げる前に俺を縛り付けないとだめだぞ』ということか」

 エヴァの場を凍らせかねない恐ろしいオーラに怯えた彼はホストとしての仮面が壊れ。泣きつくような様子で答えた。

「しょうがないやろ。彼女たちの境遇はお前と似通ったところがあったから見捨てるなんて無理や!」

 その言葉を聞きエヴァの怒りが収まった様子になり横島はほっとしたが、怒りは収まったが代わりに情欲が燃え盛った女権国家の女性の目になった。横島も女権国家の女性やその影響下にある女性と付き合った以上覚悟は決めていたので、エヴァの次の言葉を待った。

「それでは今日は特別なカクテルを出してもらえば許そう。店主タダスケのアフターまで頼んでいいか」

「了承しよう」

 ウェイバーがそう答えたのを見て、横島はエヴァが持ってきた酒を飲むように促されその美味な酒を飲んで心地よい倦怠感と共に、動けなくなった彼を支えながら彼女は言う。

「この極上の魔法酒を飲んだお前の血こそ最高のカクテルだ。それではかえってじっくりと飲ませてもらおう」

 そういうとエヴァは先ほどより力強く横島を抱えた。それほどの力を込めているのに痛みが一切ないところが、彼女の技量の高さが感じられてより恐ろしく感じられる。そして彼女は多めに料金を置くと、釣りはいらないと言って出て行った。

 夜の闇を超えてエヴァの城の寝室に連れ込まれた彼は震えあがった。これからエヴァから与えられるであろう快楽への期待と恐怖が同時に訪れている。

「あれほど私を妬かせたんだ。それなりの覚悟はしてもらうぞ。 他の吸血鬼どもを超える快感を刻み付けてやろう」

「ひょっとして彼女たちを助けるために血を吸わせたこと怒っとるんか? 確か吸血鬼では血を吸う行為が性交にあたるとか」

 それを聞くとエヴァは、名探偵や警察が9割無実だと思っていた容疑者が完全に白になった時の様な様子で笑った。

「自分で気づいていないようだな。 後で解ける疑問だと思って、今は私の与える快楽に溺れろ」

言い終えると、彼女は横島の服をはぎ取り、自分も服を脱ぎ彼を押し倒した。

吸血鬼の美術品めいた気配の裸体を見て硬くなった自分の分身が一瞬で、飲み込まれた直後に激しい射精が起こり、脳が砕け散った錯覚を覚えた直後に意識が飛んだ。
そして射精が終わると彼女は指から魔力でできた糸を彼の体の中に潜り込ませ操り人形の様に彼を操ると対面座位の騎乗いとなり、ゆっくりと優しい搾り取り方に切り替えた。いつでも彼を射精に導けるのにそれをしない彼女の優しい腰の動かし方をもどかしく感じつつ。
押し付けられる乳房の感触が余計に射精を望む衝動を強めるが彼女はそれを許してくれない。 しばらくして射精を望む感覚が最大になったのを見計らったかの様に彼女が首筋に牙を立て血を吸い始めた。

 首に刺さった快楽の電撃をもたらす針がとどめとなり射精をした瞬間、両方から冷気を奪いつくされ彼は前後不覚となった。 強すぎる快楽で涙が吹き出だしたのを見て彼女は悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべていう。

「どうだ。私がもたらす快楽は他の吸血鬼どもとより良いだろう」

「ああ〜〜!」

 叫び声しか上げられない彼をエヴァはさらに笑いながら血を啜る。時に勢いよく啜り特にゆっくりと啜り、腰を動かす動きと合わせて彼に与える快感を調整して、彼を堕としぬこうとしているのが分かる。 
エヴァに与えられた魔法酒のせいかいくら精と血を吸われても萎える時が訪れない。体に限界が来ない代わりに射精の度に削られていく精神が悲鳴をあげている。

 エヴァは心底愛おしいペットに意地悪をしつつ可愛がる少女の様な笑みを浮かべながら快楽地獄にいる彼の表情を愉しみ、彼が何度目かの射精で糸が切れた人形のように崩れたのを見ると笑いながら離れた。

「忠夫、他の吸血鬼たちと比べて私の与える快楽は上か。 答えなくてもいい今から直接聞かせてもらおう」

 エヴァがそういって彼の首筋に牙を立てると、一気に彼女と自分の精神がつながった感触が起こり彼女が与えてくる快感と味わっている快感が流れ込み彼は蘇生の電撃を無理やり流された人形の様に痙攣を繰り返した。

 倒れた横島を見下ろしながら彼女は笑いながら言う。

「私の与えた快感の方が上の様だぞ、お前たち?」

 その言葉に意味もない恐怖を覚え彼が振り向くとスカーレット姉妹と、クルル・ツェペシュの二人が笑いながら立っていた。 フランが面白そうに笑いながら言う。

「エヴァさん。凄い私とお姉さまが二人がかりで責めた時もあそこまで情けない痴態は引き出せなかったのに。やっぱり戦闘力だけじゃなくてそっち方面でも私達より上なんだね」

 フランの素直な賞賛の横で、レミリアは多少複雑な表情をしながら言う。

「負けた上に約束した以上は従うけど、私たちが貴方を超えた時は所有者としての上位の座は明け渡してもらうからね。 その時も貴女が上位者だった時と同じ様に貴女を遇するけど」

 レミリアの言葉にエヴァは笑いながら答える。

「もちろんそれで構わん。 ツェペシュもそれで異論ないな」

「ええ。 それよりそろそろ私達も混ぜてください。エヴァ様」

 エヴァに向かって友人に絶対に相手が怒らないと確信している皮肉を言うような様子で丁寧語を使いながら貴族礼を取るクルルにエヴァは笑いながら横島から離れると彼女たちを招いた。

 快楽のあまり立つどころか、動けなくなっている彼をエヴァはあっさりと仰向けにさせると、脱力状態の女王の様にベッドにかけながら彼に問う。

「忠夫、お前は彼女たちに血を吸われただけじゃなくて肉体関係も持っていたか?」

「い、いえ」

「やはり、覚えていないか。 多分そうだと思ってはいたが、今確信した。吸血鬼得意の暗示で記憶を消されたか」

 そういうとエヴァは三人の吸血鬼を見て少し厳しい目になって言葉を紡ぐ。

「悪意ではなく、助けてくれた相手の気を病ませぬために筋を通したのだろうが、そういう場合は私にも一言断れ」

「あまりにも理想の騎士や王子様の様に助けられて、その場のテンションで犯ってしまったけど、少なくとも『その時は』彼が引退したらそこで切れるのは覚悟済みでしたから」

 ややバツが悪そうな三人を代表する様に答えるクルルにエヴァは笑いながら言った。

「嘘は言っていないようだな。まあいい、今となっては些細なことだ。私が認めよう。忠夫が拒まない限りはお前たちもこいつの所有者だ」

 しゃべることすらできなくなった横島の目をエヴァがのぞき込み彼にそのまま言葉をかけてきた。


445 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:48:08 ID:eLEKoExj
「こいつらはかつてお前に助けられた時に窮地を脱するために血を吸っただけではない。お前を襲って交わった。そしてその交わった記憶を消したのだ。
 お前がホストをやめたら関りを断つつもりでな。 だがお前が理想的な対応をしすぎたためか、お前がホストをやめた後も関係を持ちたいと私に断ってきたから、
勝負して上下を決めたうえで私の下になることと、有益さを示すのと引き換えに許した」

 そこまで言うとエヴァは愛おしそうに横島の体中の古傷を指でなぞり始める。触られるたびに動けない体に電撃めいた快感が走り、動けない状態がもどかしさに拍車をかける。
じらしつくすことすら自分の権利であると告げるかの様な彼女の指が彼をどこまで嫐る。レミリアとフランとクルルの三人が古傷をなめ始めると。電撃を通り越して雷が落ちたような快感が走り、
動けないからだが無理やり痙攣し始めた。そそり立ち始めた彼の分身を眺めながらエヴァがいう。

「それでは約束通りお前たちの価値を見せてもらおうか」

「ええ任せておきなさい」

 レミリアはそういって笑うと彼の分身を飲み込んだ。エヴァとは異なる幼い少女でありながら男の全てを堕としきる吸血鬼らしい魔膣が彼の分身から脳が壊れる様な快感を与えてくる。
強すぎる快感で射精できない状態を作り出すと、レミリアは酷薄に笑いながら彼女と妹を救うために追った胸の下にある古傷をなめて牙を立てた。フランも同じような理由で負った背中の傷に向けて同じことをする。

「ヒギャー!」

 古傷二つと分身三方からくる強すぎる快感で支離滅裂な悲鳴をあげながら横島は叫んだ。これは間違いなく、廃人になるような快感だ。
だがそれでもレミリアとフランはそこまでひどいことをしてこないと、信じる心もある。 それでも二人は自分たちが満足するまで責めるのをやめずに彼から離れたのは5分も経った後だった。
強すぎる快感で倒れ伏した、彼の頬を愛おしそうに撫でながらレミリアはエヴァに言う。

「どう? これが私の運命を操る能力よ。 廃人になったり後遺症が残る可能性が百パーセントじゃないかぎりは彼に一切後遺症を残さず、健康体のままで入られる運命を決定できるの。
 エヴァ貴方もどちらかと言えば良識派だから彼に後遺症を残すのは本意じゃないでしょう? 私としても今ではこの能力がありがたいと思っているわ。 どんなに凄い快感を与えても彼を壊さずに済むから」

「確かに有益だな。私が遠慮していた夜の責めもいくらでもできるか」

 レミリアがエヴァと話している横で、フランは彼女と代わって仰向けに倒れた横島にまたがりながら彼の傷口から血を吸い始めた。 
フランの秘所はレミリアの獲物に快楽の毒を流し込む様な感じと対照的に爆発的な快感をたたきつけてくる感じがする。一度フランが腰を振るたびに変な風に跳ねかける彼をフランは笑いながら見ていた。

「こら、フラン私の運命を操る能力がない時も彼を可愛がりたいなら、少しは加減を覚えなさい」

「ごめんなさい。でもちゃんとできるよ。血を吸っていれば限界値がわかるから」


 白目をむきかけながら空を見る横島の視線は完全に定まらなくなっている。それを見てクルルが女王らしい見下ろす目で笑いながら自分の血を一滴だけ、グラスに入れるとそれをエヴァが横島に飲ませた魔法酒で割る。彼女はそれを横島に飲ませると笑った。

「吸血鬼の貴族の血液で割った魔法酒貴方を回復させるには十分でしょう。大丈夫よ、吸血鬼の血を飲んだら吸血鬼になるけど、この酒で割られた場合はありえないから」

 甘く精力を取り戻させる酒を飲んで一気に力を取り戻した彼を彼女は笑いながら覆いかぶさり繋がりながら首筋の血を啜り始める。クルルに与えられた血で分身から出る精が一気に増え、彼女の秘部に一気に吸い尽くされていく。 出し終わり意識がどこかに飛んで行った彼を優しく責めながら彼女は笑う。

「あまりにも無様な逝き方。女権国家の女性にとってはそれはもっと犯してと言っているようなものよ」

 その後彼女たちは交代しながら彼を犯しぬいた。その際に繋がっている女性もそうでない女性も楽しみながら彼の古傷をなめる。その度にただでさえも多い射精の量が増えるのを笑いながら彼女たちは見ている。特にレミリア姉妹やクルル達を助けるために負った傷をなめられると特に射精の量が激しくなる。

 いつまでも続きそうな快楽の宴は不意にレミリアが彼の首筋をなめて強すぎる快感を与えたところでいったん途切れた。彼女は笑いながらメイドを呼ぶ。

「咲夜、そろそろこの宴を締めるわ」

 レミリアが声をかけた場所に彼女の従者である銀色の髪をした麗人のメイドが現れた。彼女は美しい銀色の髪を靡かせながらゆっくりと、彼に近づいてくる。彼女は恋愛映画で惚れた男への告白が成功した少女の様な笑みを浮かべ弾んだ声で言った。

「それではお嬢様私の能力で彼に止めを刺させてもらいますね」

 咲夜が指を鳴らすと、唐突に全ての快感が遮断された。エヴァがそれを見越したように横島の分身を飲み込み上で腰を動かす。怯える横島の瞳を楽しそうにのぞき込みながら咲夜は拷問係がこれから来る痛みを開設するような様子で横島に楽しそうに言う。

「何度か共闘したから知っているでしょうけど、私は多少時間を操れます。そして今貴方様の体の快感の時間を止めています。そしてそれをここで解除すると」

 エヴァが笑いながら首筋に牙を突き立て、咲夜が指を再び鳴らすと全ての古傷と分身が一切に爆発を起こし、そのまま彼は一気に涙と鼻水をたらしながら訳の分からない叫び声をあげた。意識が落ちそうになったところで、笑みを浮かべたレミリアが彼に手を当てて、気絶することも正気を失うこともできない様に運命を操った。

 その後クルルとスカーレット姉妹にも同じことをさせられてしまい。完全に倒れかけたところでレミリアが笑いながら言う。

「それじゃあ最後の余興をしましょうか」

 クルルが彼に血液を与えると一時的に自分が吸血鬼になった感覚を覚えた。レミリアが手をかざしたのは多分完璧に人間に戻れるように運命を操ったのだろう。そしてフランが笑いながら言う。

「きゅっとしてドカーン」

 横島は自分の中の何かが壊された感覚を覚えたが何を破壊されたのかは全く理解できなかった。そして吸血鬼となった彼に咲夜が服を脱ぐと跨り彼を犯し始める。凄まじい恥辱心が彼を襲った吸血鬼となって超越者になったのに人間の女性に閨で負けている。フランは笑いながら言う。

「忠夫兄さまの魂の恥辱心への防御を壊したよ。大丈夫確実に元通りに治るように姉さまが運命を操っておいたから」

 その言葉を聞き納得しつつ恥ずかしさで死にそうになりながら、無言でありながらベッドの中で自分を圧倒しつつ、夜の弱さをさげすむ目で見てくる咲夜がわざとらしく彼に首筋を差し出してきた。彼は腹を立てながらもそのまま彼女に首筋に牙を突き立てた。

 彼女の血を飲んだ瞬間激しい快感が起こり、媚薬を飲んだような状態になりそのまま射精の量が一気に増しいった。僅かな疑問が起こり、次の瞬間女権国家の女性の血液だという答えが浮かび、彼を納得させる。咲夜の腹から僅かに零れた精液を彼女は笑いながら手ですくって飲んだ。
 腹から僅かにこぼしたのもわざとだろう。どうすれば繋がっている男性をより強く欲情させられるか知り尽くしたしぐさだ。


446 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:50:46 ID:eLEKoExj

 再び固くなった彼の分身が敏感になったのを見計らい彼女はその瞬間に時を止めた。彼女はつながったまま腰をゆっくりと動かし続けながら、珍しくレミリアに頼みごとをした。

「お嬢様お願いします」

「ええ、任せておきなさい」

 レミリアは満面の笑みを浮かべながら咲夜のカチューシャ、一応とはいえ王国と敵対関係にあるスカーレット家の家紋の入ったそれを彼女の頭に付けた。そしてそれを横島が認識した瞬間に、時を動かした。

「ああー!」

 恥辱と快感両方で悲鳴をあげる彼を見下ろしながら咲夜はいう。

「忠夫様。先ほどエヴァ様やお嬢様たちとした時より多く出しておられていますね。私が与えている快感はあの方々よりは下なのに、貴方の名誉の為にその理由は敢えて言及しないでおきましょう」

 侮蔑たっぷりの言葉を聞きながら彼の意識はそのまま堕ちていった。

 トラウマの想起が終わると、目の前で彼を絞り尽くすさとりが笑いながら言う。

「トラウマを想起してましたけど、咲夜さんにやられた時が一番出してましたね。快感が強い時より屈辱感が強い方が貴方は射精量が多い様で。本当にゴミですねぇ」

「そ、そんな」

 言い終わる前にさとりが腰を動かすと再び射精して彼は完全に倒れた。

「今夜の心夢の迷宮の敗北のペナルティはこれでおしまいです。身の程を良くわきまえなさい」


 夢から覚めた彼は当然の様に侮蔑の目で自分を見下す、さとりに騎乗されていることに気づくと、起きるのと同時に射精し。悪夢の続きの様な感覚の中で射精した。 
ふらつきながら朝食を取りにでると、咲夜とアリスが朝食を用意してくれていた。 咲夜は一礼するとふらつく横島を優しく席に誘導し頭を下げた。

「忠夫様、今日はお出かけするのでしょう体力の回復に良さそうなものをアリス様と作っておきました」

 意識的にそうしているのか、咲夜は閨の中以外では、横島に対して主君を救ってくれた感謝や敬意が伝わりやすい接し方をしてくる。 レミリアやフランの為に彼の精神を早く回復させるためというのもあるのだろうが、本心でもあるのだろう。

「ああ、ありがとう、それとマーリンさんはあれからどこへ行ったか分かるか?」

 食事をしながら問う横島に咲夜は少し悩んでから答えた。

「ジェラート様が、血眼になって探したのち、確かにいないことが分かると、忠夫様に
彼女が干渉しがたくなる類の術をかけていました。そしてジェラート様からの言伝によると『少しでも早く大鳳殿もわらわの元に連れてくるがよい。かような存在を旦那様の恩ある友人にこれ以上は干渉させられぬ』だそうです」

 それを聞くと横島は、早めに大鳳と会うことを決めた。アリスと咲夜の作ってくれた料理を平らげると、辛うじて足腰に力が戻ってきた。それから1時間ほど時間がたつと不足なく戦闘できる状態になったことに気づき、
彼はそのまま大鳳の住居に向かった。念のためにジャギにも連絡を取り、彼にも同行を頼んだ。 大鳳の様子はただごとではなかった。自分が肩代わりした以上はさすがに壊れてはいないと思いたいが、もしかしたら正気を失っているかもしれない。

 事情を聞きアミバも呼んで直ぐに来てくれたジャギと共に大鳳の家に到着すると、幸いなことにいつもと変わらない様子の大鳳がいた。 アミバに目配せすると彼は安心させるような様子で首を縦に振った。『今の所は』大鳳が大丈夫だと示している。 横島は真面目な顔になり大鳳に向かって声をかけた。

「大鳳、昨夜余程の緊急事態があったようだがなんで、神狼のメダルなんてつかったんや。あのメダルは女性を奴隷にする前にこっちが折れて完全に奴隷にされる可能性の方が遥かに高いやつだって前に報告書に書いといただろう。 
合意の上でかつワイに好意を抱いてくれる女性の心夢の迷宮ですら何度も負けて、ワイは堕ちかけたんや。もしも敵対している女性が相手なら」

 糾弾の色は一切なく、純粋に心配と疑問の色しかない横島の声に大鳳は少しだけ悩むと口を開いた。

「忠夫、ごめん。どうしても僕は踏破しなきゃいけない心夢の迷宮があるんだ。そして堕とされないために他の攻略者を手伝う機能を使って、避難するという行為を僕は何度も繰り返さないとだめかもしれない。
その度に色んな人を巻き添えにしてしまうけど、助けてくれないかな? 事件が解決してから10年くらいたたないと事情を話せないけど」

 大鳳の申し訳なさと真剣さの籠った声と目を見て、横島は少し悩んでから答えた。

「一つだけ条件がある。 夢から覚めたら完全に記憶を失う魔術があるから、夢の中だけでも事情を話せ。内容は思い出せなくても、俺がどう受け取ったかだけは覚えていられるようにしておくから」

「忠夫ありがとう」

 大鳳は頭を下げるとジャギに向かって声をかけた。

「ジャギ、もしもだけど僕と横島が壊れた時の為に、ジャギは残っていてくれないか」

「いや、俺も姉貴たちやメアリと連絡が取れ次第、そのメダルを使ってお前の避難場所を確保する。ここまで王国が持ち直せば、アミバだけでも残ればそこまでひどいことにはならねぇ」

 大鳳をジェラートの元に送り届けた帰り道でジャギに、横島は問うた。

「なあジャギ、大鳳はなぜ心夢の迷宮に挑んどるんやと思う?」

 バカなことなどとはさすがに言えない。彼の有能さはよくわかっているからこそ、本当にそうするしかない事情があるのだと思う。 それに対してジャギは少し考えてから答えた。

「横島、すまん。一個だけ仮説が出ているんだが、その仮説はあまりにも可能性が低い。そしてその仮説は、滅多なことでは口にすべきことじゃねぇんだ」

 ジャギの言葉を聞き、無理に聞き出そうとしても無駄だし、ジャギが黙るのは本当に効くとろくなことにならん時が多い、と思った彼はあっさりと引き下がった。

「ああ。分かった。 半年後じゃなくてよかったわ。ミクさんへの連絡頼むわ。俺は一応ウェイバー先生に話しておく。「今」はまだお互い完全に味方だからな」


 ジャギと別れた後、GICたどり着くと後輩たちに忘れ物をしたと言って通された、彼はウェイバーに事情を話した。ウェイバーは少し考えたのち答えた。

「今回はお前の知力が足りなくて気づけないわけではない。 私も確信まではいってないがな。 その方が上手く回りそうだから、何も教えられないが、大鳳を助けるべく調査と打つ手は打ち始めることは約束する。最も敬愛する我が主君イスカンダルと、次に敬意を持つ恩人アドルに誓おう」

「それだけ聞ければ十分ですよ。師匠ありがとうございます」

 横島が出て行ったのを確認するとウェイバーは自分が収集した女権国家の情報資料をあさり始めた。そしてしばらく資料を真剣な目で読み続け、読み終えるとそれを机に戻し空を仰ぐような姿勢になると独り言の様につぶやいた。

「明らかに大鳳があのメダルを使わざるを得ない様な案件は『女権国家内部には』ない。――ならば答えは。……はずれであってくれれば良いが」


 心夢の迷宮に入った横島は、約束の処置を施された状態で、大鳳が挑んでいる心夢の迷宮に呼ばれていた。ジェラートの話では大鳳の夢の中にはマーリンはいないらしい。彼女はサキュバス族をたくさん従える魔女でもあるから、その言にはかなり信憑性があるだろう。
一応安心しながら目の前の大鳳を見ると、心底嬉しそうに声をかけてきた。

「忠夫、助かったよ。全部じゃなくて一エリアでもクリアすれば、その日はとりあえず大丈夫だから」

 安心した様子の大鳳を見ながら彼は言葉をかけた。


447 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:52:42 ID:eLEKoExj

「大鳳、約束通り俺はこの夢が覚めたら、全て忘れる様にしている。だから教えてくれお前が神狼のメダルを使ってまで支配下に置こうとしている女って誰なんだ? 支配下に置くんじゃなくて鍛錬に付き合ってもらいたいだけかもしれんが、とにかく理由を教えてくれ」


 横島が嘘を言っていないことを微塵も疑っていない様子の大鳳は一切迷わず答えようとした。その瞬間、恐るべき気配がして、氷の刃が弾丸の様に彼らに飛んできた。 横島はそれを霊波刀で叩き落すとそれを飛ばしてきた下手人を見た。
 着物姿に男を誘う様に揺れる乳房をした和服の雪女、女権国家の防諜組織の一人雪泉だ。彼女を見ると、大鳳は恐怖と、ダメだと思っているのに自分の下半身が反応ししまったのを恥じているような様子を見せた。踏破出来た心夢の迷宮が幾つか、
ある横島にも覚えがある。この夢の世界では快楽を与えてきた女性に対しては自身の快楽を求める願望の為か、防御力などが下がってしまうのだ。横島は霊波刀を抜き放つと大鳳を庇うように立ち、冷静な様子で、言った。

「本人じゃないなこれ、大鳳と違って犯されたことがない俺はそこまで色香に迷わん。さて誰の心夢の迷宮なんだ」

 雪泉の放つ冷気を横島は少しだが余裕をもってかわしながら彼女と圧倒とまではいかなくても若干有利に進めている。エヴァという冷気使いから教えを受けたことが大きいうえに、トラウマの具現に似た存在ならできる行動も、限られるためだ。 
切りあいながら横島は直ぐに決断を下した。 何かの文珠を自分に発動させると、この程度ならすぐ倒せると言わんばかりに雪泉に切りかかり、舞踏会のワルツを踊るようにお互いの立ち位置を切り替えまわりながら、剣撃と霊術と忍術の応酬が続いたが、
不意に雪泉が大鳳を背にする形になった時、横島が文珠を投擲した。とっさに雪泉がそれを避け、後ろにいた大鳳に直撃すると大鳳が、唐突に雪泉に襲い掛かった。大鳳の一切の迷いのない攻撃が彼女を捕らえ、そのまま一気に雪泉の幻影は消え果た。

「忠夫ありがとう。『鎮』の文珠で僕の欲望とトラウマを沈めてくれて。おかげで思うようにうごけたよ」

「この雪泉は多分だけど1年半くらい前の雪泉やからな。ワイが、文珠の器用な使い方をまだ覚えていなかった頃の奴や。 『嘘』の文珠で騙したおかげで、直ぐに思い通りに進められたわ」

 ここまで言った後、横島は本当に訳が分からないという表情になり大鳳に質問をした。

「本当にここ誰の心夢の迷宮なんや? 明らかにさとりではないみたいだが」

 基本的に心夢の迷宮は侵入した女性の精神に沿った迷宮となる。そしてその心夢の迷宮のボスもまたその女性の精神に沿った能力などを有する。アリスの場合は彼を人形に変えて快楽の極致に落とし込むというものだった。
こういう他の女性の敵が出てくるパターンは滅多にない。ジェラートやレミリアの迷宮に入った時に、彼女たちが従えていた、信頼していた部下などが出てきたことはあるが、それくらいだ。横島の問いに大鳳は少しだけ、悩むと覚悟を決めたように口を開いた。

 自分を深くし信頼している大鳳ですら直ぐに言うことができない程の事なのだとわかったためか彼の顔も硬くなる。彼は少し悩んだのちに口にした。

「ここは、まどか王女の心夢の迷宮なんだ」

「な」

 あまりにも衝撃的な言葉に、横島は何も言えなくなった。そして大鳳は一切迷いがない様子で言葉を口にした。

「忠夫、僕に嘘を言えなくなる様に文珠を使ってくれる。詳しくは明かせないけど、僕はまどか王女からのお願いで、まどか王女の心夢の迷宮を攻略しているんだ」

 震える大鳳の様子を見て横島は言った。

「まだ話したくないんだろ。なら話さなくていいぞ。 ただ一人で抱えるのがきつくなったら話せ。お前が望むなら現実に戻っても覚えているようにしてやる」

「忠夫、文珠は?」

「いらん。こんなことで嘘言う奴じゃないことはよう知っとるわ」

「ありがとう」

「それと今回はこの迷宮の仕組みについては聞かん。ひたすらお前の指示に従って動く。王女様の心の迷宮のギミックとかその成り立ちとか知りとうないわ」

そういいつつも、半分くらいは自分への配慮でもあると、思い大鳳はその気遣いを嬉しく思うと彼に頭を下げた。

 その後二人は文珠の効果で色欲やトラウマが鎮まった大鳳と共に、多くの敵をなぎ倒していった。

 基本的には女権国家の宮殿を思わせる様な迷宮に大鳳を性的に凌辱した女性が敵として出てきたが、過去の記憶にすぎないそれらは、成長した大鳳と横島の敵ではなかった。
 あまりにも順調に進みすぎたためか、二人は撤退の必要なしと踏んで一気に進み切る道を選んだ。一度だけ ゴルゴの忠告を思い出した、横島が大鳳に退くかと聞いたが、大鳳は珍しく、それを拒否した。

「忠夫ごめん。今回の戦い今日終わらせないともう時間切れってわけじゃないけど、今日終わるなら今日終わらせた方が良い戦いなんだ」

それを聞き、横島は悩まずに答えた。

「分かった。ただし少しでもアイテム切れの不安が出たり、なんかやばそうな罠がありそうなら、長期戦にきりかえるぞ」


 それから二人は順調に進んだ。心夢の迷宮を幾つも超えた横島の目から見て、楽勝ではあっても、迷宮の難易度は普通に高かったため罠とは思えなかった。
それなりの苦戦を何度かした後、最後に王国の宮殿の謁見室を思わせる部屋の眼前に来た時、大鳳は横島の目を見て頼みごとをした。

「忠夫、ここまで協力してもらって本当に恥知らずだと思うけど、このボス部屋は僕一人に行かせてもらえないかな?」

「ああいいぞ。惚れた女の暗部なんて他の男に見せたくないだろ」

 そういうと、横島は『繋』の文珠を大鳳に渡した。

「これでお前の状況が分かるから。『鎮』の文珠の効果が切れたら、『送』の文珠でお前に届けてやる。片づけてこい」

「忠夫、ありがとう」


 大鳳が部屋に入っていくのを見ると、横島は霊波刀を構えた。

「やっぱり来たな大鳳のトラウマども、王女様という役職上自分が襲い掛かってきて弱らせたところで挟み撃ちってか。治癒の文珠もあまり使えんし、こらきつい戦いになりそうだ」

 心夢の迷宮は負ければ犯されるだけの迷宮ではない。現実世界に影響はなくても刀などで切られれば、その痛みは現実と変わらない。 横島は大鳳が早く片付けてくれることを願いながら霊波刀を構え、大鳳の妨害をしようとする無数の敵の群れに駆け入った。


 横島が敵を食い止めている最中、大鳳は内心で彼に礼を言うとそのまま剣を構えまどか王女の前に来ていた。

「王女様、約束通り助けに来ました」

 大鳳は剣を構えながらこの心夢の迷宮に挑むきっかけとなった時のことを思い出していた。

 ある時極秘裏の一時帰国を要請されて、横島の文珠を数個使い王宮に一度戻った時、まどか王女が泣きながら彼に、今までの所業本来受けさせるべき対策なども受けさせずに女権国家に送り出したことを告白してきた。

 衝撃を受けながらも事情を聞くと彼女は女権国家か、あるいはそれ以外の王国を恨むどこかの陰謀か逆寝取られに興奮する性癖を植え付けられ国を護る救国の志、しかも最も国を救える可能性が高いものを女権国家に送り込む性癖を植え付けられたという。 それを聞いた大鳳はまどかに問うた。

「なぜ今になってそれを明かしたんですか?」

「大鳳くんがよこした報告書に神狼のメダルって言うのがあったよね。あれを使って私を支配して、完全な亭主関白な状態の夫婦になってほしいの。そうすればこんな性癖を植え付けられた私でもこれ以上国を裏切らなくて済むから。
 女権国家、あるいはほかの王国を憎む何者かの呪いを消し去ってほしいの。お願い。これ以上家臣や民を裏切るようなことをする前に、一刻も早く私を支配下に置いて」


そこまで言われて大鳳には否やはなかった。


448 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:54:03 ID:eLEKoExj
 
 大鳳は剣を構えると即座に勝負を決める体制を取ろうとして、それをしようとした瞬間。懐の『繋』の文珠から横島の声が響いた。

『大鳳お前が、なに考えているかはわからんがこれだけは言う。20分くらいなら、絶対に持ちこたえてやるから、俺の為に早く勝負決めるとかは考えるな。 あくまでも自分の都合で決めろ』

 横島の言葉を聞き感謝しながら大鳳は剣を構えた。目の前のまどか王女を倒しそして彼女を支配下に置き救う。それを何が何でも成し遂げなければならない。だが、目の前の王女が楽勝ではない、
しかし強敵とも言えない範囲の敵のせいか余計な悩みが出てきてしまう。合意の上とはいえ、王女を犯しそして支配下に置く。こんなメダルの力で関係を作ってしまっていいのか? など数々の疑問が浮かんでくる。 
それでも目の前の王女が桃色の光を纏う矢を構えた瞬間、その弓矢から感じられる大きな霊気が彼の手加減の枷を外した。

 大鳳は迷わず弓矢をかわすと一瞬でまどかとの間合いを詰めて一気に切り込んだ。しかし、まどか王女を両断するはずだったその一撃は突然現れた乱入者により叩き落された。
一撃で剣がへし折られ飛ばされたのを見た大鳳の顔色が一瞬で変わる。その相手は昨夜さとりの心夢の迷宮で自分を倒し犯した。ナポレオン相手のいさかいのあった日のミクだったからだ。

「な、なぜ」

 さとりの迷宮で彼女と出会ったのはまだ納得だ。あの日の夜のことはトラウマになっていたから。だがなぜまどか王女の心夢の迷宮にさとりの迷宮と同じミクが出現するのか。それに対して、目の前のまどか王女が笑いながら話す。

「前も言ったけど、私は純愛系の寝取られは無理だから、私の迷宮で具現化できるのは大鳳くんが嫌がりつつ快楽に屈した敵だけ。だけどナポレオンさんといさかいを起こした夜のミクさんだけは、大鳳くんを怒りと女権国家の影響を受けた女性として嫐ったから、呼び出せたんだ」

 ミクの蹴りが彼に直撃し、吹き飛んだ彼にまどかの弓矢が当たった。その瞬間大鳳の数々のトラウマが蘇ってくる。最初に蘇ったのはナポレオンとのいさかいの日のミクとの夜だった。

 ナポレオンに頭を下げ終わった後、ミクは大鳳を連れてアジトに戻ると彼を押し倒した。

「大鳳、シスコンをこじらせてお姉さんを真剣に好いてくれた男性に悪辣な嘘をついたじゃない。『少しだけ年上』な武芸の達人な絶対勝てないような相手に、勝たなきゃ認めませんなんて」

 冷静に帰った大鳳は自分が凄まじい地雷を踏んでいたことにやっと気づいた。普段の彼ならありえないことだ。シスコンスイッチは恐ろしいと他人事の様に彼は思った。だが冷静に帰ると即座に土下座外交に移行することを決めた。

「は、はい。姉さんを取られるのが嫌なあまり、妙齢で全盛期なミクさんに勝たなきゃ認めませんなんて、ありえない条件を出してしまいました。嘘とはいえ、あんな失礼な発言ごめんなさい」

 大鳳の謝罪を受けるとミクは柔らかい慈愛に満ちた笑みを浮かべた。

「もうこんどから気をつけなさいよ。 少しは私も年齢を気にしているんだから、私が女として衰えてない確信を得る手伝いをお願い」

 そういって彼女が服を脱ぎだすと大鳳もそれに応じて受け入れることにした。慈愛に満ちた柔らかいミクの手が彼の体をもむたびに異常な脱力が走り、そしてミクが彼の分身を飲み込んだ瞬間――あまりの快感に脳が砕けた。
 何度かミクと体を重ねたことがあるからこれはわかる。明らかにこれは人格を壊す手加減なしの性行為だ。ミクは不意に思いついたような笑顔で言う。

「確か気を遣う術で男性の精液にある気をもらって若さを保つ術もあったし、少しだけ年齢が心配だからそれやらせてもらうわ。何しろ私――歳のおばあちゃんだから」

 ミクがそういいながら抱きしめる様にして大鳳を絶たせると彼の背中のツボを押した。その瞬間その指から睾丸を絞りぬかれたような快感が走り、ミクと一体化している分身の感度も一気に高まった。

「ああー!」

「大鳳、ちゃんと限界ですって言いなさいよ」

 快楽でまともな言葉が話せない状態を作り出しながらミクは言う。それからしばらくの間。

「なんでまだ限界って言わないの? ああなるほど、私の老化を少しでも遅らせようという愛国心と献身の発露ね。えらいわ」

 笑顔で自分を搾り取るミクに対して、大鳳は初めて上司じゃなくて、女性として怒った彼女を目の当たりにした心地がした。 泣きながら許しをこう大鳳に察したらしいミクは笑いながら言った。

「本当に反省したみたいだからこれで終わりにしてあげる」

 手強い敵に必殺の一撃を放つように彼女の体が震え次の瞬間彼の分身を包む快楽が一気に強まり締め上げ切られた感触と共に悲鳴が上がる。最後に信じられない量の射精の音を聞き彼の意識は落ちた。


 あの日の夜の幻影から今に戻ってきた彼はまどか王女の迷宮のベッドで彼女が具現化したミクに跨られていた。快楽に悲鳴をあげる彼をまどか王女が笑いながら見ている。

「大鳳くんどう、私の性癖に甘えてやり放題ハーレム続けたくなっちゃった?」


 揶揄するような口調と共にまどかが手を振るとミクが消え去り代わりに、楯無、雪泉、ユカリ、ティナアンリエッタ皇女など彼にとってはトラウマ、まどか王女にとっては夜の極上のおかずの提供者だ。

 もう勝ち目は千に一つくらいしかなかったが、まどかの術で彼女たちにされたことを思い出させられた時、完全に抵抗の意思が消えて勝率がゼロになった。それを見た彼女たちは心底楽しそうに笑いながらそれぞれが大鳳にとって最も記憶に残る方法で犯し始める。
ティナに最初に犯され女権国家の幼女の膣が彼の分身を一気に飲み込みそのきつさが一気に彼を達しさせる。

「お兄さん惜しかったですね。 でもお友達の文珠がないと自国の王女を救うことより、彼女の逆寝取られ性癖で敵に犯されるのが癖になっちゃてるんだ♪ 王女様に謝ったらどう? 呪いを解くことができないどころか楽しんでごめんなさいって」

 かつて自分が味わったのとまったく同じ快感を与えつつ、それと別の言葉を言うティナはミクのとは違った種類のエネミーらしく、まどか王女が作った理想の寝取り相手らしい。彼はティナの送り込んでくる快感に負けて叫んだ。

「ま、まどか王女様ごめんなさい」

 屈服した声の謝罪を聞き上機嫌なティナの横でまどか王女は楽しそうに自慰を始めた。

「昔の時より射精量多いですねお兄さん? 王女様を裏切る背徳感が癖になっちゃいました」

 大鳳を容赦なく攻めながら彼女は思いついた様にいう。

「もう一人謝らなくちゃいけない人がいますね。 ここに来る前に私達が倒した横島さん。彼、本当に貴方に友情を感じてなきゃできないような戦い方してズタボロになりながらも私達を大分足止めしてましたよ。
 勝てないという結果は一緒でも、最後まで頑張らず、下半身に負けたゴミ野郎でごめんなさいって、彼にも謝りなさい! 」

 明らかに残酷な真実を告げるのを愉しんでいるティナの声を聞き大鳳は半泣きになりながら謝罪の声をあげた。

「た、忠夫ごめん」

 大鳳の謝罪を聞いた瞬間ティナはさっきのまどか王女への謝罪を聞いた時とは正反対に不機嫌な顔になった。意図的に大鳳の射精を早めた後、敏感になった分身をさらに厳しく絞る。

「ああー!」

 激しい快感から精と涙が同時に出る彼を見下ろしながらティナは怒った声で言う。

「今、私に強制されて屈したからじゃなくて、本心から反射的に彼に謝りましたね。つながっている私より男友達ですか。 これは女性と閨を共にするときのマナーを叩き込む必要がありそうです」

 ティナのテンションがあがり始めるとゆかりが、魔曲の奏でと共に、呪歌を歌い始めた。確か女権国家の女性の色香と体がもたらす快楽に敗れる男をあざ笑う類の歌だったはず。それを聞くとティナが与えてくる快感が強くなり、
そして大鳳は自分の頭が余計に朦朧としてくる感じがした。ティナに三回ほど絞られると、楯無がティナを軽くいさめて引き離した。彼女は笑みを浮かべながら大鳳を優しく抱きしめて胸元に顔を埋めさせながら対面座位で彼を優しく絞りながら言う。


449 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:55:13 ID:eLEKoExj

「女権国家の女性の体に勝てる男なんていないんだからあまり気に病まなくてもいいよ。そうだ。またお姉さんと取引しない? もう一度だけわざと負けてくれるって約束してくれたら、彼に君は彼の献身に恥じないくらい立派だったって情報操作さしてあげるよ」

 その言葉を聞き快感で朦朧とした彼は首を横に振った。

「だめです。さすがにここまで情けない敗北をしてさらに忠夫に嘘まで言えない」

 それを聞くと楯無は笑いながら大鳳を抱きしめた。

「うんうん、立派立派。そういう子を堕とすのが女権国家の女性の楽しみだからね」

 楯無がファサリナと雪泉と交代し、彼女達二人がかりで大鳳の分身を挟み少しでも彼女たちが動くたびに噴水の用に射精の限りを尽くした。ミクとティナにやられた厳しすぎる快感が、彼女たち三人の優しい愛撫の効果を高めている。 

「射精しすぎて情けないと思っているようなのでこれはいかがですか?これなら女性が達するのと同じ時に射精できますよ」

 雪泉が大鳳が射精できない様に精子を凍らせ、焦らしきってから溶かして射精させた後。

 交代したファサリナがいさめながら言う。

「雪泉さん意地悪すぎますよ。殿方は早く出したいものですから」

 そういって一度腰を動かすたびに射精が続く彼を、ゆかりの嘲笑の歌がより強く襲う。

 今まで女権国家の女性の与える快感に破れる男を嘲笑する呪歌めいた歌をうだけだった彼女が笑いながら大鳳に近づいてきた。
 ゆかりの歌をアンリエッタが引き継ぎ、彼女は笑いながら大鳳に近づいてきた。

「大鳳さん。この歌のコーラスが入るサビの部分は男を蹂躙し愉しむ女性の嬌声なんですよ。というわけでコーラスの手伝いお願いします」

 そういって彼女に飲み込まれて彼女が嬌声をあげ始めた瞬間、一気に自分の中で何かが取り返しがつかなくって行く感じがした。前にやられた時は、最後まで終わっていたか微妙だったし、直ぐに横島が祓ってくれたが、夢の中とは言えこれをやられると自分はどうなってしまうのだろう。

 歌のサビの部分が終わった瞬間自分の中の大切な何かが砕け散ったような感触が起こり、それが溶け出たような精液をゆかりは受けながら笑う。

「皇女様ありがとうございました。それでは締めましょうか」

「ええ。それではいただきましょう。貴方を完全にかの王女から奪い去らせてもらいます」

 そういってアンリエッタが歌うのをやめてゆかりが歌に復帰すると彼女が初めて大鳳と出会ったときと同じように彼を撫で、そしてあの日レストランでやったことを再現するように犯し始める。 あの時以上の快感を感じて叫ぶ。

「どうですか。あの時と同じですけど、今度は愛しの王女様が目の前で見ていますよ。余計に硬くなりましたね。 これからは貴方は完全に私のものですよ」

 アンリエッタの優しすぎる犯し方で彼女相手に一番の射精をした瞬間、電源が切れたように夢の世界がブラックアウトした。

 大鳳がまどか王女の迷宮攻略に失敗したのと同じ時刻、横島は困惑の極みの中にいた。彼は時間を稼ぎ切った後、以上に強い楯無一派に襲われて倒された。そして本来なら目覚めるはずだったが、マーリンと出会い、ここに連れてこられていた。そしてこの場所は彼にとってとても見覚えのある場所だった。

「な、なんで過去にクリアした心夢の迷宮がまたでとるんや」

 疑問がる横島の横にマーリンが不意に現れ笑った無邪気な子供を思わせる茶種猫めいた笑みを浮かべながら彼女は言う。

「女権国家の女性の精神構造的に一度男性優位の性交が当たり前になってもずっとそうなわけないじゃないか。それでこの世界は復活したのさ。それじゃあ頑張ってね」

 そういって消える彼女を見た後、横島は帰れないことを確かめると、辺りを見回し始めた今は大鳳に呼ばれないし、呼ぶこともない状態だから自分で良く迷宮を選ぶことが可能だ。 
横島は少し悩んだのちに、ジェラートの迷宮を選んだ。彼女は前世からの関り上横島に対する好感度が高いためか一番優しい難易度だった。そこに入った時、彼は本気で真っ青になった。

彼女の配下であるサキュバス族と魔女が大量にいたのはもちろんのこと前回よりはるかに強化されている。なぜと思う間もなく、サキュバスに敗れた彼は心夢の迷宮で負けた時に起きる女性優位の性行為を覚悟した。

 敗れた瞬間心夢の迷宮の現実と変わらないジェラートの寝室に瞬間移動させられた彼をジェラートが迎え入れた。

「旦那様、よく最初にわらわの迷宮を選んでくださった」

「あ、ああ。ジェラート実はマーリンの奴が」

「事情は分かっておる。だがわらわの迷宮を選んだということは、これは犯しても良いという許可じゃな同意であろう!」

 ジェラートの言葉を聞き一部の女性相手だけとはいえ男性優位の性交になれた彼は本気で怯えた。今までベッドの中で思うようにできた女性に逆にやられるというのは一度征服欲が満たされる性行為を味わった男性特有の恐怖があった。

 言い終わる前にジェラートが杖を振るとアルラウネ族の女性型のモンスターが現れ彼を縛り、そして口の中に三つのような液体を出すとそれを口に含んだジェラートが口移しで彼に飲ませ始める。
甘い蜜を飲んで動けなくなった彼をジェラートは抱きかかえ覆いかぶさる形で、抱きしめる。胸が丁度顔にくる形になり乳房に挟まれる顔を彼女は時々わざと乳首を口に含ませて母親がするように撫でながら、頭のツボを押したりしてくる。

 花の香水の甘い香りが分身をより固くし脱力状態を強くしていくのを見ながら彼女は笑う。

「旦那様。女権国家では女性優位であり男性の権利はほとんどない。故に義務も存在しないのだ。妾の所有物となった時はこの日々が永遠に続くぞえ」

 それだけ言った後彼女の優しい秘所に分身を飲み込まれどこまで、優しい感覚の中で彼は射精を繰り返し。自分が射精の度にどんどん赤子に戻っていくような錯覚を覚えそれでも抜けだせない恐怖を感じていく中彼の意識は落ちた。
 ジェラートは少し離れると配下のサキュバスの群れを召喚し、彼を嫐らせ始める。 彼をさほど好きではないサキュバスに嫐られることで、本気で惚れている自分に嫐られた時の効果が倍増するのをよく知っているためだ。 サキュバス達に嫐られて、二度目の限界を彼が迎えると、無邪気な笑みを浮かべ彼女は再び彼を犯す。

 サキュバス達の強い快楽の後にくるどこまで緩やかでありながら圧倒的なジェラートの体が彼に快感を与えそのまま彼の反抗心や気骨を一気に削り取っていく。彼はこの夜初めて、ジェラートの乳房に自分から吸い付いた。
それを合図としたように最後の射精は何かが抜き取られていく恐ろしさと快感があった。 それを最後に彼の意識は夢の中で再び落ちた。

 次に目覚めた時自分がまだ、心夢の迷宮にいることに気づき疑問を抱いたが、直ぐにジェラートがそれに答えた。


450 :名無しさん@狐板:2022/08/30(火) 20:57:31 ID:eLEKoExj

「簡単なことじゃ今度は旦那様が心夢の迷宮を攻略される側となった。最も既に攻略が終わっておったがな」

 そういって彼女が杖を振り魔術でカーテンを開けると、
アリス、ユウキ、ヴィヴィオと彼がかつて心夢の迷宮を攻略した女性達が立っていた。アリスは笑いながら告げた。

「貴方相手なら、男性優位の性交も嫌ではなかったけどやはりこっちの方が私たちの性に合うみたいごめんなさいね」

 アリスが口づけしてくると横島の前身の糸が切れたような感触が起こり口づけしてくる唇から彼を操る糸が他に入り込んでくるような感覚がする。アリスは目を閉じ心底愛おしそうに自分とのキスを楽しみながら動けなくなった彼を霊的な糸で操り始める。
 体の中の糸すら心地よい感触に屈しそうになる彼を見ながら、アリスはただ楽しみ彼が自分が与える快楽に彼が屈するのを見て楽しむ。アリスに射精した瞬間、自分自身の糸が全て千切れて射出されたような果てしない快感で、
アリスの指示なしでは指一本動かせない、彼をアリスは優しくなでながら、ユウキに預ける。

「忠夫、僕もすっかり女権国家に染まっちゃったみたい。王国的な性行為じゃもう満足できなくてごめんねー」

 ユウキは笑いながら横島の分身をその巨乳で挟みながら笑う。かつてはこれを揉みしだき、良いように彼女をあえがせた記憶が余計に惨めさを引き立てる。

「神狼のメダルの効果が消えると弱すぎる忠夫も悪いんだよ〜。 ほら、もう少し頑張って」

 乳房で揺らされるたびに何度も射精した彼をユウキはしばらく嫐りつづけ。完全に倒れたところでヴィヴィオに差し出した。

「忠夫さんそれじゃあ、王として下克上返しさせてもらいますね」

 ヴィヴィオに犯された瞬間、今までしてきた男性優位の性交で気づいてきた何かが崩れ彼女に完全に征服されたという感じが起こり彼の意識は完全に堕ちていった。


 次の日の夜、横島は再び心夢の迷宮に来ていた。犯されるためではない。そういうことを望む期待も確かにあったが、一番は大鳳を助けるためでもある。そして大鳳が危険になったら、自分がどこかの心夢の迷宮に挑み、
大鳳を呼び出すことで救出するためだ。だがかつて攻略したことのある迷宮までがかつてとは比べ物にならない、難易度になっているのを見て、彼は怯えたそこに笑いながらマーリンが声をかけてきた。


「忠夫くん、ここからが本当の心夢の迷宮だよ。頑張ってね」

「攻略する気はないが俺完全に心折れてしまわんか心配なんだが。完全に女性に精神的に屈服するとこの迷宮にもう入れないんやろ」

 それを聞くと彼女は笑いながら言った。

「そうなったら大鳳くんをもう助けられないけど良いのかい?」

 それを聞くと彼は決意を固めた目になりゆっくりと歩いて行った。

 とても嬉しそうな笑みを浮かべる彼女の後ろに不意に赤く鮮やかな花弁が舞い散り、その背後にジェラートが現れる。

「これが、今回の主の望みかえ?」

「うん。僕は終わらない物語が好きだからね。大鳳くんは協力してくれた横島くんを裏切れないからいつまでもおれないだろうし、横島たいほうくんの為ならいつまでもおれないと思う。 二人の友情と激闘の日々をいつまでも見ていたいのさ」

 ジェラートは半分夢魔のマーリンの霊力の充実具合に不快感を覚えた。直接まぐわったかは彼女にも分らないが、夢の中に紛れ込んで姿を変えて大鳳と横島片方あるいは、両方の精を吸ったのではないだろうか? 
もしかしたらまどか王女の夢の中で大鳳を嫐った女性の一人が彼女だったかもしれないし、自分が横島を嫐った時に共に行動した魔女やサキュバスに紛れていたかもしれない。 最も二人が夢の中で絶頂する際に干渉して精気を奪っただけの可能性もあるが。

「大丈夫アドルの転生先やアーサーの転生先の物語がもうすぐ始まるから。そうなったらそっちの観劇にいくよ。それまでは彼らの友情物語を見させてほしいんだけど良いかな」

「嫌だが。許そう。断って何かされると余計にシャレにならぬ」

「それじゃあ、僕はもう少し二人の友情と激闘の日々を見させてもらうよ。 それが終わったらジェラート君はどうするんだい?」

「決まっておる。残酷すぎる真実を大鳳殿に告げずにあの性悪王女と縁が切れる様に計らうわ。旦那様の恩人の嫁としては論外極まる。シノンという娘かティアナ殿くらいでないとどうしようもないわ。二人がだめならミク殿に若返りの薬でも貢いで、嫁いでくれぬかと打診するわ」

 最後は女権国家の公爵としてあり得ないことを口走っているなと思ったがそれをおくびにも出さずにマーリンは続ける。

「シノンちゃん。ああ昨日大鳳くんを癒したいから夢を繋げてって言ってきたあの娘だね。注文細かかったなー。 現実世界でも繋がった状態で、大鳳くんを乳房で包みながら目覚める様にしてとか。それじゃあ僕がみたい本当の話が始まるまで少し二人の友情物語を見せてもらうけどちゃんと二人が成長できるようにテコ入れはちゃんとするからそこは安心して」

 爽やかな春の花の様に消えた彼女を見た後、ジェラートは再び辺りを見回した。やはり神狼のメダルの様なものを合意の上では使うべきでないのかもしれない。このメダルは今現在の女権国家の女性達では想像するのは難しいかもしれないが、
かつて女性が弱かったころに女性を奴隷にするために作られたものだ。そして、今は力は失われたが最初の忌まわし呪いは消えていない。 もしかしたらだがあの半夢魔が来たのはこのメダルの祟りかもしれない。あるいは善意だけで善行をなしたからこそ、
このメダルにかかわっても性質が悪い存在ではあるが絶対悪ではないマーリンに目をつけられただけで済んだのだろうか。ジェラートは破邪の祈祷の準備をするように部下の魔女たちに伝えるとこれからのことを考え重くなった気を奮い立たせた。
大鳳を助けつつ残酷な真実を伝えないためにやらなければいけないことが山ほどできてしまっただが夫の恩人を見捨てるわけにはいかぬと、決意を固めると彼女は自分がもつ全てのつてに連絡を飛ばし始めた。


451 :名無しさん@狐板:2022/08/31(水) 20:15:05 ID:GoPGN9dm
乙です
吸血鬼たちだけ見てもエヴァだけでなくレミリアたちの能力(と嫉妬)が混じって責めがよりエゲつないことにw
それにしても精神勝負の場でさとりは無理ゲーすぎるし完全にだまされました

452 :436:2022/08/31(水) 22:50:09 ID:TcaQqlzk
>>451
ありがとうございます。
ホストをネタの醍醐味は女性陣の嫉妬だと自分も思ってます

453 :452:2022/08/31(水) 22:51:04 ID:TcaQqlzk
誤字すいません。女性陣の嫉妬だと自分は思ってますでした。

454 :名無しさん@狐板:2022/09/01(木) 16:20:11 ID:NuwWujJq


455 :名無しさん@狐板:2022/09/01(木) 16:20:19 ID:NuwWujJq


456 :436:2022/09/01(木) 20:53:54 ID:IYP9cvRV
>>454
乙感謝です

457 :名無しさん@狐板:2022/09/03(土) 01:44:58 ID:EDg3vvHD
乙でした!

458 :436:2022/09/03(土) 18:52:49 ID:Cy5k/yId
>>457
乙感謝です

459 :名無しさん@狐板:2022/09/05(月) 21:41:45 ID:Wy8Zp/nE


【王国組】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「スパイ組織」                 「その他王国系女性」
ミク  シノン 桃子 キャル 大鳳     坂本美緒 麦野 フレンダ

「王室」                     「五将他」
ほむら まどか                ペンウッド ブラッドレイ ゴルゴ13 秋山小兵衛

「大使館」                    「大鳳くんチーム」
王留美 鹿島 峰津院             アミバ ハート デカいババア モヒカン 横島 ジャギ

【友好キャラ】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「セラピーセンター」                      「路地裏」
はやて ユキカゼ・パネトーネ                杏子  シリカ

「男性解放戦線」                        「幽霊洋館」
オルガ団長 ランス ナツキスバル 白鐘直斗       ミヤコ 幽々子 妖夢 ファリエル サンズ パピルス

「警邏隊」                            「ジャギヒロイン」
ティアナ 翼 リンネ モブナンデス 楠舞神夜      ティファ 美鈴 沖田さん 流子 メアリ

「ギルド」                             「横島ヒロイン」
アリシア 野曽木蓮 カイジ 村上巴             ユウキ 愛歌 アリス ヴィヴィオ エヴァ リグル

「マフィア」                            「その他友好?」
春閣下 千早 島村卯月 アナスタシア 塩見周子    さとり 那月ちゃん 結月ゆかり
 
【敵対キャラ】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「皇室」                                   「防諜組織」
ネロ アンリエッタ シエスタ ベルファスト 扇 モブメイド     雪泉 ファサリナ ティナ 楯無

「四惑他」                                  「他」
ビスマルク スカサハ 狂三  ルザミーネ プリンツ 咲 豊音   小梅 ロスマン

【再生組】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「元FFF団」                              「元急進派」
柊シノア 美国織莉子 呉キリカ エーテル 日塔奈美     朝倉涼子 かくれ奈 

【未登場・未関係・他】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「闘技場」                           「他」
アンチョビ 絶奈 音無小鳥 紅月カレン ミーナ    霊夢 公衆浴場のお姉さん達(けいおんキャラ)
アチャ子 キル子 ハンナ ホロ 遠坂凛  ルカ    菊地真・白瀬咲耶・デオン(小ネタキャラ)
アサギ 立花響 未来 ドラゴン ハサン カノン

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



460 :名無しさん@狐板:2022/09/08(木) 19:54:24 ID:RDt1NWBb
【安価】
・アミバ
薬草の取り扱いに長けており、麻薬生産を専門家の観点からヒントが得られる可能性もある。
・ミク
戦時中に女権国家によるセクレーション、あるいはそれに類似した軍事麻薬の使用はあったか、あったのなら重点的にどこで使われていたか、何か傾向はあったかを尋ねる。
・王留美
亡命するか否かはさておき、大使館で保護をしてもらう必要があるため。

・方針
蓮からどのように依頼されたかを聴取する必要あり。対面であればどのような人物であったか外見や特徴などを聞き、手紙などの間接的なものであればそれらを証拠品として貰い、鑑定などを行う。
その後、警邏隊(と場合によってはマフィア)と協力し、依頼人の捜索・目的の調査を行う。
スパイ組織での聴取及び鑑定が終わった後、大鳳が警羅隊へ赴き事情を説明、蓮から得た資料や証拠を手土産に協力して調査をしてもらえないか提案。
その後に周子に春閣下、或いはマフィア上層部に取り次いでもらい、資料や証拠を手に調査協力、情報提供などを願う。
可能であれば那月との対面時に事情を説明し、持っているであろう流通網にセクレーションに関わるものが無いか、那月が知る者でそれらに関わりそうな者はいないかを尋ねる。
ジャギはメアリーを訪ね、同じく事情を説明し、女権国家上層部の中で現在セクレーションを利用しそうな人物がいないかを聞く。また可能であれば今後の動きについてのアドバイスを聞く。
蓮は大使館に潜伏してもらい、蓮の周辺を探る不審人物があれば捕縛ないし、桃子やアリスの人形による尾行を推奨。

461 :名無しさん@狐板:2022/09/08(木) 20:10:10 ID:ztZsJidB
警邏隊メンバー

共通理由:
工事で建物を壊したならば、事前に解体工事の申請を済ませている可能性あり。
そうしないと解体工事の届け出が出ていないとして法律違反になる為、大手を
振って警邏メンバーが出動できる理由を作ってしまう。同時期に工事説明会の
お知らせ等が有れば、発行元を特定して逆探知に繋がる可能性あり。

その解体申請記録が無いなら違法工事として情報提供を要請でき、警邏業務中に
解体中の様子を目撃しているのであれば、それを理由に味方に引き込む事は可能だろう。




上記の理由に加え、大鳳の目撃情報収集で通報が来るレベルで広範囲かつ多数に
調査をしていた為、彼女が巡回しているエリアは危険と判断して謎の連中も移動
経路として使わない筈。逆説的に他の巡回エリアを担当している人が目撃情報を
持っている可能性が有るので、彼女から巡回ルートを聞き出すべきだ。

楠舞神夜 

理由:
警邏隊メンバーと連携でき、尚且つ一定以上の武力を持つ部外者である為
野曽木の護衛に回しても敵から勘付かれにくい。大鳳とも闘技場で観衆に
目撃されているので、呼び出してもデート等と誤魔化しやすい。密談するなら
警邏隊メンバーで一番安牌だろう。



マフィア



理由:
マフィアはテキ屋の営業で構成員が一定の場所に留まっている可能性が高く、実際に
巴は地回り担当として顔が広いから彼女の伝手を頼れるだろう。店を勝手に解体する
現場を目撃している、あるいは裏社会関係者の不審な出没を見ている構成員が居れば
彼女の手柄として上司に報告できるメリットが有るので連携可能だろう。


塩見周子

理由:
魅了及び快楽強化の麻薬は組として取り扱っている為、薬物の物資流通路は
春閣下が一番詳しい筈。セクレーションの材料自体が貴重との事なので、
不審な動きが有れば春閣下の伝手が役に立つ。

また『特殊な加工工程があって、出来る人間は限られている』なら、野曽木の
保護は組としても優秀な技術者を囲えるメリットが有るので交渉の材料として
利用できる。縛霊香をサンプルとして見せれば技量を分かりやすく示せるはずだ。
それを報告して手柄を立てれば、周子にメリットが生まれるので断らないだろう。

また、組織のトップとして保護を約束した=保護失敗は看板に泥を塗られた事に
なるから全力を出す筈。兵隊を集める為にも傘下の構成員や提携店等にも連絡が
回るのであれば、縄張り内の店や人々の協力を得やすくなるだろう。

春香自身も大鳳を狙っているので、彼から保護依頼を受ける代わりに
連絡先を要求できるチャンスともなる。断られる可能性は低い。
野曽木自身もマフィア関係者とはいえ大口顧客を一気にできる機会であり、
その仕事柄安定した依頼が約束されるので食いっぱぐれるリスクが低い。

462 :名無しさん@狐板:2022/09/16(金) 23:05:01 ID:hzfLqbrH
女権国家陸八魔アル登場記念SS

このSSは本スレで投稿されている女権国家の二次創作SSです。以下の注意事項があります。

@このSS内の設定や人間関係は本編とは異なり独立しております。
A微妙に女神転生とクロスしています。
Bダイスによって出自等が変わる設定をパラレルワールド扱いしています。
C自分の解釈ではこういう使い方もできると思われる施設が出てきますが、多分本編ではこういう使われ方はされないと思います。
D施設の職員の能力が原作とは少々異なっています。
E特に八陸魔アルの設定はまだ一切公開されていないので本編と異なりすぎる可能性が高いです

女権国家の喧騒あふれる大通りの裏をやや深い悩みを宿した表情の美少年が歩いている。その顔にあるのは今の所は大丈夫だが早く解かないと後で良くないことが起きる問題をどう解くかそれに心砕かれている表情だ。
一見すると美少女にすら勘違いされるその少年――大鳳は、ゆっくりと歩きながらバイト先に入るような様子である建物に入った。彼が入った建物は一般人から見れば、何らかの公的施設の様だがなんの施設かわからない、
そして自分たちには関りはないから近づく意味もない。そう決断を下すような印象を与える建物だ。 ただし、妙に守りや侵入に対する対策が行き届いているためか、警察や軍に近い関係者が見れば、多分傭兵派遣会社や警備会社だと辺りをつけるだろう。


 この簡素なビルは幾つかある王国諜報部のアジトの一つだ。そこに入った大鳳は、汚すぎず綺麗すぎず一般の警備会社を思わせる廊下を歩み、奥の部屋まで迷いなく進むと、三回ノックをした。それを聞くと綺麗な女性の声で許可の言葉が返ってくる。

「入りなさい」

 ドアを開けると、そこには王国を支える諜報部の最高責任者初音ミクが、椅子に掛けて彼を待っていた。

「ミクさん、今日は自分の相談の為に時間を取ってくれてありがとうございます」

 頭を下げる大鳳にミクは手を振って少しバツが悪そうに答えた。彼女の表情が渋いのは厄介ごとを嫌がっているのではなく、自分では力になれないかもしれないという思いが強いようだ。

「礼を言うのは問題が解決してからにしなさい。 それに内容を聞いてみなければわからないけど、私では力になれない可能性もあるわ」

 ミクの言葉は謙遜ではない。ここ最近の大鳳の活躍はすさまじいものがある。既に諜報に関しては一流止まりの彼女を部分的には、上回っているところも多々あるのだ。 彼が能力的に自分を超えている部分で行き詰ったのなら、
自分ができることは、そこから手を引くように指示するか、失敗した際の後始末をするかの二つだけの可能性が高い。 幸いなことに大鳳が自分に相談したいと連絡を入れてきたときの様子を見る限りではまだ、時間に余裕はあるようだ。 
諜報の世界に楽観は禁物だが、大鳳は優秀だ。彼がそう考えているなら急に猶予がなくなるような可能性も低いだろう。 もしも自分でダメならゴルゴやブラッドレイ達に相談させるのも一つの手かもしれない。

 大鳳はここに来るまでに考えをまとめていたらしいが報告書などではなく、口頭でしゃべりだそうとしたのを見て、ミクは訝しみ直ぐに納得した。紙などにもなるべく残したくない事なのだろう。 
裏切りの可能性がある仲間の密告などは、裏切っていないのにそういう書類を残したせいで、疑心暗鬼が生まれた例もある。

 大鳳が言葉を放つ僅かな時間にミクは考えた。

『身内の問題である可能性が高そうだけど、あの面子は今の所女権国家の女性に襲われたという事態はない。そうである以上裏切りの可能性は低い。だとすると身内の不和?
 少し前に横島とジャギと大鳳の共闘を見た限りでは、隔意があったらできない連携をしていたしその可能性も低いとは思うけど』

 次の推論にミクの頭が移り変わる直前に大鳳が言葉を発した。

「今回の悩みはもしも起きたらシャレにならない痴情のもつれが起きそうな状態。それも、中心の部下には今の所は失点や落ち度がない。そんな時どう注意を喚起したらいいんでしょうか?」

 ミクはその言葉を聞き少し頭を悩ませた。大鳳くらいに有能な人間がシャレにならないという以上は、本当にその痴情のもつれは起こったら致命傷や重傷という程ではなくても。諜報部全体の被害になるのだろう。 彼女は少し考えてから答えた。

「具体的になぜシャレにならないのか、それが起きるとどうなるのか、貴方の危惧している事態を教えて」

「僕が危惧しているのは忠夫の周りの女性達です。 彼女達は最近、忠夫が活躍しつつ彼女たちに尽くしぬいたせいか、その愛が重すぎる状態になっています」

「独占欲の強すぎる女性はいる? 一人か二人ぐらいなら共有をいとわない女達を早く団結させなさい。そして譲歩が無理なら戦わせるしかないわ」

 答えながらミクはいっそ小さな爆発が起きてくれればその方が簡単なのに、と思った。そうなれば彼女自身が出て行って太い釘を刺すこともできる。
だが女権国家の友好的な協力者にすぎない、横島の周りにいる女性達に対してミクは上司ではない。問題を起こしていない現状では何かするわけにはいかない。

 大鳳は少し悩んだのち言葉を返した。

「今の所は問題が起きそうにないんですが近々爆発が起きそうなんです。それも、切るのが痛手になりそうな人物で」

「それは誰?」

「陸八魔アルさんです」

 それを聞くとミクの顔が意外だという風に変化した。

「彼女確かに有能な所もあるけど、横島が補佐に着く前は本来なら一流企業の底辺に行けるくらいの所を、失敗が多すぎて二流企業の底辺一歩手前まで行ってたダメ社長でしょう」

 大鳳が横島を彼女の専属補佐の様な状態にしたのも、有能なサポーターがいれば化けるかもという、ペンウッドの助言によるものだ。いうなれば一人ではそこまで優秀ではない。何より恋愛に関しては女権国家の女性としては珍しい恋愛弱者だ。

「ええ。彼女はダメな所はとことんダメですから、奪取対象の価値とかに気づかず慢心して、悪ぶって、“こういう女達を出し抜いて男を独占してこその私よ”みたいな考えでとんでもないバカをやって痴情のもつれの決戦とか起こしかねません」

 ミクは少し考えた後に、彼女にしては珍しく素で疑問に思っているような声を出した。

「と、言うか彼女、横島に惚れていたの? 何度か襲ってはいたみたいだけど」

 決して鈍くはないミクの目から見てもわからない様な好意の伝え方しかしていなかったらしい。ミクが彼女に対しては問題を起こす女性として眼中になかったのもこのためだ。

「はい。そうなったら、彼女どうなってしまうか。あまりひどいことになると、こっちに協力的な女権国家の企業、しかも傭兵などにも多少顔が利くところが一つ潰れてしまいかねません。それは痛手ですけど、
取り返しがつかないわけでありません。でも忠夫が自分を好いてくれている女性達が、身内と呼べるくらい仲良くなった女性をひどいリンチとかしたら、忠夫の性格上、最悪再起不能になってしまいかねません」

「それもありえるわね」

 答えながらミクも渋い顔になった。問題行動を現在取っていない部下の行動を掣肘するのは難しい。しかも指示を出す上官も正解がどれかわかってない以上は、逆に出した指示が状況の悪化を招きかねない。 少し考えてからミクは言った。



463 :名無しさん@狐板:2022/09/16(金) 23:07:08 ID:hzfLqbrH
「とりあえず、横島に今はそれなりに危ない状態であることを自覚させて、それから陸八魔が逆レイプとかしてきそうになったら直ぐに逃げる様に指示をだして。
それとその時にきちんとこれからの関係を決めない限りはそういう行為は断ると言うように命じておきなさい。失敗でも寝取り独占という行為に彼女が走った時点で爆弾が爆発することには変わりがないから」

「はい。他の女性達と比べて彼女は忠夫がサポートしていないと、出してくれる成果もいまいちですから、引き離すのも難しい。 最近はましになってきましたけど、それでも王国への貢献は多少下がるでしょうしね」


「私もできるだけの支援はするから、もしもそういうことをしたら釘を刺して二度とやる気が起きなくしたうえで、他のあいつの周りにいる女性達にも制裁は済んだから、これ以上はやめておくように話をつけてあげるわ」

「ありがとうございます。ミクさんは軍隊にいた頃それなりに部下を使ったことも多かったと思うけど、こういうケースは過去にありませんでしたか?」

「あったし解決したこともあったけど、今回は使えないと思うわ」

 その発言を聞き、大鳳の目が輝いた。事態の収拾の手段というより、上に立つ上司としてのノウハウは少しでも多い方が良いから聞いておきたいという向上心によるものだ。彼は勉強する学生の様な目になって問いかけた。

「その時はどうしたんですか?」

「昔、恋愛ごととかじゃないけど、明確な問題行動とは言えないし、咎めるほどではないけど、もしかしたら部隊の損害につながるかもって行動をとっていた兵士がいたの。
 あの程度のことを力づくで、やめろというのも他の部下に厳しすぎる上官というイメージを与えてしまうかもと、悩んでいた。 丁度そのあと少し経ったらそれに似た行動をとっていて運悪く部隊に被害を出した実話が本に載っていてね。
それを読ませて、万一が起こると分かるからやめなさいって言い聞かせたのよ。 そいつも少し自分に似た行動だったから、万一が起きたらシャレにならないと思ってその癖だった行動を意識的に抑えるようになったわ」

「そんなことがあったんですね」

「ええ。でも今回は無理でしょう。こんなレアケースの似たような話なんてそうそうころがってない。それに明確に拙いと言える行動をとっていないのに気を付けようと思うなんて、余程痛い目にあいでもしないと難しいわ。
 それにその部隊の実話を読ませた話は、その部下と取っていた行動は微妙に違っていたけど、似た部分もあって他人事とは思えない様だったから、『運が悪いと起きる自分のイフ』みたいに感じられたのも大きかったと思うわ」

 そこまで聞いた瞬間、大鳳の顔色が一瞬で変わったまるで事態の解決案が一瞬で浮かび上がったかのようだ。

「ミクさん、ありがとうございます。今回の件解決案が見つかりました」

「え、ええ」

 明らかに虚勢などではなくひらめいた様子の大鳳に若干の疑問と困惑を覚えたが、別に良いかと直ぐに頭を切り替えた。有能な部下である彼がここまで自信ありげに言うということは、それなりに成算があるのだろう。

「それじゃあ。解決に行ってきます。確か忠夫は今日非番だったから直ぐに会えると思うので」

 礼もほどほどに駆けだす彼を見送った後、ミクは大鳳が失敗した場合に自分がすべきことを頭の中でまとめ始めた。ああいう態度に出た彼はしくじることはほとんどなかったが、ゼロではない。 万一に備えるのが上司の勤めだろう。


 横島は不意に大鳳からの電話がかかってきて目が覚めた。今は9時、非常識とは言い難いが、それでも疲れ切った自分にはハードすぎる時間と言えるだろう。

「おう、大鳳かどうした」

「忠夫、実を言うと忠夫の周りになぜ危険なのか説明するのが難しい、大きなリスクがあって、それを上手く説明する方法が思いついたからそっちに行っていい?」

 大鳳の言葉を聞き、彼の頭も寝ぼけ眼から直ぐに覚醒した。そういう危険は放置すると絶対にろくなことにならない。
女権国家で一年半以上スパイとして修羅場をくぐり続けた経験がそれを告げている。大鳳が自分に警告しなかったのは説明が難しいだけではなく、話すべきタイミングでもなかったというのもあるのだろう。

 程なくして準備を整えると、彼の家に大鳳が来た。

「忠夫、今からその場所に行くけど準備できている?」

「少しまて。飯がまだなんや」

「大丈夫だよ、僕がおごるから。忠夫にリスクを説明するための場所で食事取れるから」

 横島はそれを聞きどこに行くのかと思いつつ、答えた。

「分かった。ただあんま遠いとこなら、軽く何か摘まんでから行くわ」

「大丈夫あそこだから」

 大鳳が指を刺した先を見て、横島は驚き訝った。昨日まではなにもなかった空き地に『D4C』という看板の付いたカフェが出現していたためだ。 横島は直ぐに文珠を出すと、『調』の字で大鳳を見た。

「偽もんじゃないようやな。 それに操られてもいない。それじゃ行くか大鳳」

 大鳳が正気であり偽物じゃないと分かると彼はあっさりと信じて、カフェに向かい始めた。

「忠夫ごめん。前もって説明しておけばよかったね。文珠を一個無駄にさせちゃった」

「構わん。どうせあまりものだし、先に説明があってもあの店の前で多分使っとたわ」

 横島はカフェに入ると甘くてボリュームのあるパンを注文し、大鳳はパフェを頼んだ。
はたから見ると仲の良いカップルにも見えるその光景だが、横島は幸せそうにパフェを頬張る大鳳を見ながら微笑ましい感情を覚えつつ、口を開いた。

「大鳳、それでワイを呼んだのは何のためや。やはりワイの周りのリスクってのは、オカルトがらみか?」

 横島はこのカフェのいきなりの出現を見て、霊能関係の施設であると思ったようだ。彼の立ち振る舞いにはファニー・ヴァレンタインのことを敵ではないが只者ではない相手と考えている節が見える。

「オカルトがらみと言えばそうだけど、そういう異能の力を持たない者同士の間でも普通に起こりえることだよ」

 そこから大鳳はミクに話したのを同じことを横島に話した。それを聞いて彼は、大分驚いた顔になった。

「アルさんもワイに惚れてとってそういう行動に出るかもしれんって、何回か犯られたこともあったけど、そうなんか」

 横島が一応の警戒の念を持ってくれたのを見て。大鳳は観察しこれで、爆発が起こる可能性は大分低くなったと思った。だが、まだ駄目だと断じた。彼が本当に大事な時に見せる底力、
それを発揮してくれるぐらいじゃないと、安心できない。そう判断すると彼は、電話を取ると今日呼ぶべきと考えていたもう一人の人物に電話をかけた。

「陸八魔さん。大鳳です」

 大鳳が電話を入れると陸八魔アルは丁寧だが僅かに対抗心を感じさせる声を返してきた。

『あら、大鳳くんあなたほど優秀な人が緊急回線で連絡を入れてくるなんて相当な事態ね。できるだけ便宜を図るから要件を言って。一応『今の所は』忠夫を貸してもらっている立場なんだから』

 今の所はという部分を地味に強調する声を大鳳は少し微笑ましく思いつつ、言葉を返した。

「忠夫の身の安全に深くかかわる事態があり、その為に共有したい情報があるんです。最悪命に係わることなので、なるべく早くお願いします。 今日明日どうなるってわけじゃないけど、早い方がいいので。準備が出来たら指定の場所にお願いします」

 命に関わると言った瞬間、電話の向こうで何かを落とした様な音が聞こえた。彼女が慌ててやってしまったのだと想像がついた。

『そ、そう。彼に死なれると取り返しがつかないわけではないけど、当社としてもそれなりに痛手だから直ぐに向かわせてもらうわ』

 大鳳も少し悩んだが、彼女にも自分の行動の結果を自覚させた方が良いかもしれないと、考え、呼ぶことにした。

彼女は明らかに慌ててきたようだが、横島の姿を認めると余裕のある女社長らしい足運びに切り替えて、ゆっくりとカフェの中に入ってきた。


464 :名無しさん@狐板:2022/09/16(金) 23:08:44 ID:hzfLqbrH

「それで、彼の命に関わる、案件とは一体何なの? 色仕掛け関連かしら。彼は有能だけど、下半身の欲望には中々勝てない困った男でもあるし」

 過去に横島を逆レしてベッドの中でいじめぬいたことを彼女はやたらと自慢したがるが、女権国家の女性達に言わせると力づくな上に、他のライバルもいる状態でこれは悪手と取られている。
独占できているならともかく、告白した女性達もいる以上はもっと素直に当たった方が良いと、評されていた。それでも目の前の彼女は映画や漫画から出てきた悪の組織の妖艶なキャリアウーマンにしか見えない。
 横島も彼女の色香で欲望とトラウマを刺激されているようだ。 大鳳は話題の脱線を避けるために直ぐに本題に入った。

「この施設は起こりえるもしもの世界線を追体験できる施設なんです。そして現在横島の身に起こりそうな危機は相当に危なく、それが起きてしまった場合のイフを忠夫を陸八魔さんに体験してもらおうと思います」

 それを聞くとアルは納得した様に頷いた。オカルトの実在を知っていた彼女でも相当度肝を抜かれたようだったが、大切なものを護る時には彼女の判断力は余分なものを直ぐに切り落とし最適化される。彼女は堂々と答えた。

「私は優れた社長だという、自負はあるけど欠点だってあるでしょう。それゆえに犯してしまうかもしれない間違いを実害なしで体験できるならありがたいことだわ」

彼女の同意を得ると大鳳は大統領に向き直った。

「ファニーさん。お願いします。注文は一年前のイフでお願いします。忠夫が陸八魔さんの会社に出向する時に霊的な悪事を働く企業との交戦の為に別地域に出張するかの時に、
出張して彼女の発作的な悪事が成功した感じで。できれば忠夫が危機感を持てる様な体験でかつ、彼女があまり悲惨なことにならなかったパターンでお願いします」

「請け負った」

 大統領の言葉と共に彼らの意識はそのまま、落ちていき一年前のあの時に戻った。

 暗い海の近くで霊的な魔除けの意味のある篝火を囲みながら、大鳳は考え抜いた末に、声をあげた。

「というわけで、忠夫はしばらくの間だけど、陸八魔アルの支援者としてしばらくの間出向してもらうことにしたよ。忠夫の周りにいる皆さん。アルさんのこれからの仕事上、数週間程度とは言え、忠夫と会えない状態にしてごめんなさい」

 頭を下げる大鳳に対して、横島に好意を抱いている女性達は文句を言わなかった。大鳳が練った作戦も間違いではないし、八陸魔アルは恋敵としてもそこまで脅威と感じられるような相手ではなかった目だ。 横島としても彼女の方が抜けていて心配だというのもあったのだろう。

「私がその気になれば、あんな非人道的な怨霊兵器などに頼る悪徳商会数週間どころか一晩で潰してみせるわ」

 そういうと彼女は勇ましく魔銃に魔力を込めた。 横島は彼女を見ながら心配そうな顔をした。彼女は敵をせん滅する能力は高いが、いまいち守りが弱い。
だが並外れた火力を持っているが故に二手に分けた際に、『直ぐに倒されたりしなければ』相当に相手の企業を警戒させて人員を割かせられる。 
今回の敵の質はそれほどでもない。だが数があまりにも多いため今回は、幾つかに別れなければならないが、彼女の様に有能な部分とダメな部分が同居しているタイプを使うのは大鳳にとっても初めてのことだろう。

 意気揚々と出発した彼女を追おうとする、横島を大鳳が呼び止めた。

「忠夫、最初の奇襲さえ成功させてくれたらあとは逃げていても良いから。必ず生きて帰ってきて」

「ああ。分かっとる。できれば彼女も死なせずに戻ってくるわ」

 できればと言いつつ、絶対に彼女を見捨てられないだろうな、と大鳳は思った。彼女を制御するのは難しいから補佐に長けていて生存と逃亡に特化した彼をつけてみたが上手くいってくれることを願うしかない。

 結論から言って悪徳霊能企業との戦いは勝利に終わった。八陸魔アルを無能ではないが隙の多い敵とみなしていた悪徳霊能企業は、横島とアルのタッグが初陣だったため、
事前情報がなく、彼のフォロー得たアルの大暴れで想像以上の被害を出し、そこを分かれた大鳳とジャギたちの挟み撃ちに会い、一気に突き崩されてしまった。

 戦いが終わった後、有能な部分では有能な彼女を支えつつ横島は事後処理の手伝いに移っていた。

 悪徳霊能企業を潰した後、陸八魔アルがかの企業の参加で恫喝されて従っていた弱小勢力を傘下に置く際の事務手続きなどを終えて、新王国派の良識派の企業寄りに動いてもらえるように動く彼に、アルがコーヒーとサンドイッチを持ってきた。

「横島ご苦労様。 霊能での戦闘と言い、今回の処置も両方とも負担を大分かけているわね」

「王国で何度も追試食らったおかげか何とかやれています。アルさん」

 アルが持ってきたサンドイッチを食べて、コーヒーを飲み下した瞬間、彼を急激な眠気が襲いそのまま彼の意識は深い眠りに落ちた。


 意識が戻った瞬間、彼は不意に激しい快感が全身を襲い悲鳴をあげた。仰向けになった自分の体に向けて柔らかく淫らな体を押し付けるアルが目の前にいた。既に分身は彼女の秘所に飲み込まれ。
彼が目覚める前から、その中に精を注いでいる。射精したばかりで敏感になっているそう思った瞬間、一気に快感が強まり、再び大量の射精が起こった。それを見てアルは妖艶極まる笑みを浮かべた。
彼女本来の善性と抜けている部分もある親しみやすさを見慣れた今でも、悪辣ぶった時の彼女の笑みは女権国家の女性らしい妖艶さがある。 彼女は恋慕と嘲笑めいた思いも籠った笑みを浮かべながら彼を見下ろした。

「私のことをポンコツだとみなしていたけど、ベッドの中に連れ込まれれば男なんてこんなものね」

「ア、アルさんちょっと待って。ああー!」

 言い終わる前に彼女が悪魔の力を使い一気に快感を強めると怒ったように言った。

「ベッドの中ではさんじゃなくて様と言いなさい」

「は、はい。アル様、アー!」

 様と言い終えたところを狙ったように彼女が腰を動かし一気に彼に大量の射精を促した。自分を様と呼んだことを彼の脳に焼き付けるためだったのは明らかだ。

「魔法的なしびれ薬少し強すぎたからしら? ちゃんと性感帯機能している。少なくともこの弱すぎる股間の剣は機能しているみたいだけど」

 そういって彼女は横島の動かない手を取り自分の豊かな乳房を揉ませた。彼女の秘所に加えこまれて、悲鳴をあげる様に射精を繰り返す分身の射精量が増えたことで彼女は満足そうに頷いた。

「うん、しゃべることは可能。性感帯に衰えなし。これはなかなか使えるわ。結構な商品になりそうね」

 そういいながら彼女は、横島の手を乳房から離し自分の尻に導き握らせる。乳房を彼の胸で押しつぶしながら、時折自分の乳首で彼の乳首を刺激しながら言う。激しく射精する彼の霊気を射精を通じて吸い尽くしながら彼女は言う。

「それでも完全に動けないから触ってほしい部分とかは自分の手で誘導しなきゃダメか結構な手間ね」

 情事が終わって立ち上がった彼女は横島の霊力を吸ったためか一時的だが、横島の足元にも及ばない程に力が開いた状態になった。彼女は部下の女社員に何かを持ってこさせるとそれを彼に向けて放った。

「これは、性的な快感を忘れがたく再び求めやすくする類の魔法アイテムよ。今夜の私から受けた屈辱とそれが増幅する性的快感が強く印象に残って癖になりやすいのよ」

 ピンク色の光がなかなか彼に入り込まないのを見てアルは頷いた。

「あれだけ吸ったのに、まだ拒めるとか意思と霊力が思ったより高いのね。少し魂の隙を作りましょうか」

 そういいながら彼女は横島の分身を踏みつけ、ピンポイントで激しい快感を与えると射精させた。その瞬間毒々しい桜色の光が一気に彼に入ったがまだ光は収まっていない。

「貴方の霊的防御力が高いのもあるけど少しこれ効果に難ありね」



465 :名無しさん@狐板:2022/09/16(金) 23:10:27 ID:hzfLqbrH

 そういうと彼女は彼の分身を口に含み嘗め回し始めた。口淫という男性優位の性交委でありながら、彼女の見下しきった目が射精を完全にコントロースされているという自覚を促し、
屈辱感がより強い快感を与える。射精をするたびに霊力が一気に彼女に吸い取られそれを三回繰り返したのちに毒々しい桜色の光は彼の中に入り切った

「これからも商品の検品チェックよろしくね。 忘恩の裏切り薬頼りの逆レで大量射精する、早漏変態さん♪ 私が出す夜食には時々今回のと似たようなのが入っているから。嫌なら食べなくてもいいのよ」

 絶対に断らないという横島に対して使った魔法アイテムに対する強い信頼感を持った声に彼は戸惑いながらも、頷いた。

「な、なぜこんなことを」

 彼の問いかけにアルは少し悩んだ様子で答えた。

「もしかしたら貴方のことを好きになったのかもしれないわ」

 その一言が本心かもしれないと思った瞬間、横島にはアルを憎むことが難しくなってしまった。

 その日の夜から彼は時々夜食に混ざったそういう薬のせいでしばしばあるに逆レイプを受けた。断ろうと思っても最初に受けた魔法アイテムのせいか、アルの肢体とそれを駆使した攻めが浮かんでしまい、どうしてもそれに抗えなかった。

ある夜は。

「ほら、貴方の故郷の王国を滅茶苦茶にした悪徳商会の社員だったころの制服よ」

 初日のしびれ薬を盛られた後、悪徳企業の服を着たまま彼女に騎乗されてなじられた。

「この服着た時の方が射精量多いわね。大丈夫?頭まで精子じゃない。愛国心なさすぎでしょう?」

 ある日の夜は彼女にひたすら足で抜かれぬいた。

「ほらほら、こんな目に合うと分かっていて欲望に負けて夜食を食べる様なクズは足だけで充分でしょう」

 そんな日々が一週間ほど続き、女権国家でも男にとって恥ずかしすぎる性行為をした後に彼女は笑いながら言った。

「忠夫、実を言うと今までのプレイをビデオに撮ってあんたを好いてくれている女性達(節穴な彼女は気づいていないが、この世界線では全員好感度200越え状態)に送っておいたから。
今日届いたはずよ。ちなみにその動画には女権国家とは言え、男としてこれは情けないみたいな観念が強くなる魔法もセットしておいたわ」

「な、なんで」

「ほかに手がなければ諦めたけど、できればあなたを独占したいしね。まあ、彼女達もぎりぎりとはいえ、理性の強い男なら耐えられる程度の呪いに負けてこんな醜態さらす男よりは他の良い男を見つけるでしょう」

 横島が完全に落ち込み切ったのを見て、勝利を確信したアルが出て行ったあと、落ち込む彼を慰める様に、どこからか来た上海人形と蓬莱人形がいつの間にか訪れ彼の体を清潔にし始めた。

「アリスちゃんの使い魔か。お前たちの奉仕受けられんのも今日が最後やろな」

 死んだ魚の目になっている横島に、二つの人形は優しそうな否定の響きのある声で叫んだ。

「シャンハーイ、ホウラーイ」

 惚れた男を独占できると有頂天状態のアルは良い笑顔で部下の女社員に事の経緯を話した。一応霊能にも明るい彼女は、顔色を変えた。

「社長、ちゃんと金さえもらえば何でもやるタイプの有能な霊能者とか雇ってありますか? それも可能ならダース単位で」

「なに言っているのよ。 体を重ねた回数も少ないしあそこまで情けない姿を見たら直ぐに、ぽい捨てに決まっているでしょう。 霊能に対する防御ももうしばらくした経費減らせるわね。 横島が専属になる上に、彼女たちの監視も恐れずに済むし」

 敏腕らしい女社員は諦めたように天井を仰ぐと言った。

「社長すいません。明日から五日ほど休暇もらっていいでしょうか」

「いいわよ。最近よく働いてくれているじゃない」

 子供の様な可愛い笑みを浮かべる彼女を見て敏腕社員は少し良心が痛んだような顔をした後、『自分の命には代えられない』と結論付けた様子で休暇の手続きを取り会社を後にした。
 横島に発した時とは正反対の恐ろしい凍り付いた怒気が籠ったような人形の声に彼女は幸い気づくことはなかった。

『シャンハーイ。ホウラーイ』

 大鳳は不意に横島を好いている女性達が一斉に訪問してきて、ジャギも呼んでほしいと言われてそれに従った後、彼女たちが持ってきた映像ディスクを再生し、最初はアルに対して怒り
、それでも仲間としての情はあったので一度制裁して上下を分からせねばと思っていた。だが、後半になると横島を好く女性達が怖くなり、人形から送られてきたアルのダメっぷりと観測の甘さをみて今では哀れみと心配の方が勝る状態になっていた。

「あ、あの」

 少しどもりながら出した彼の声に、恐ろしく綺麗な笑みを浮かべたエヴァが答えた。

「む、なんだ大鳳。横島に恩を仇で返して、幾つものトラウマを刻むような畜生逆レをしたあの女を殺る時は自分に止めを刺させてくれという懇願か? ダメだぞ。条約に引っ掛かってしまってお前の迷惑になる。な、ユウキ?」

 怒りが極に達して恐ろしい目になっているユウキが攻撃的な笑みを浮かべながら言う。

「エヴァさんダメだって、彼女を殺したりしたら忠夫のトラウマになっちゃうよ。 でも、仕事はちゃんとしていたとはいえ、僕達が忠夫に迷惑にならない様に他の場所で戦っている時に、忠夫にあんなことするなんて。少し頭にきちゃったね」

 ユウキが鉄でできたマグカップをひしゃげるのを見て、大鳳は『君スピード型だったよね!』と内心突っ込んだ。

 怒りのあまりマグマの様な気を放つヴィヴィオを愛歌が寒気がするような笑みを浮かべながらいさめている。

「ヴィヴィオ、王族ならああいう勘違いしたバカな側室とかが沸くのも夫の魅力故と誇りつつ、教育することを考えなきゃダメよ。そんな怒気と殺意に身を包むものじゃないわ。その分際をわからせる教育は厳しくしなきゃダメだけど」

 大鳳は彼女がひどい目に合うのが確定となったときアルへの怒りはすっかり消え去った。
何とか多少でも制裁を軽減できないかと魔女としてやばそうなものを淡々と用意するアリスをしり目にジャギに目で問いかけると、彼は無理だというように直ぐに首を振った。

 アルとの夜の次の日、横島はいったん大鳳たちの本拠地に戻りに来ていた。

『さすがにあそこまで醜態さらしたら、ワイへの好意も消えたやろうけど、せめて今回の戦いが終わるまでは一緒に戦ってくれと頼まんとな。モヒカンたちもかなり死ぬ恐れがあるしな。
ユウキはなんだかんだでワイには愛想尽きても、途中離脱である程度でも仲良くなった、奴らが死ぬのはよしとせんだろうから、聞いてくれるだろう。
エヴァもアウトローだったからこそ自分のルールに厳しいから不義理してない相手に迷惑かける理由で途中離脱は嫌がるやろうから安心や。だが今回の戦いが終わったらさよならかな』

 ここまで考えて彼の顔は余計に曇る。

『アリスちゃんは、ワイへの好意が第一だったようやし、善人ではあるけど嫌がるかもな。不義理とかそういうのが魔女に通るかもわからん。そもそもワイたちに借りないしな。
いくつかの高価な魔法アイテムを渡せば今回だけは戦ってくれるかな? リグルは人間と仲いいわけではないが、善良な人間と縁結んだらその人間に対する不義理は嫌うから今後も対価次第では働いてくれるかな?』

 テレビカメラ越しのさとりの実況を受けて好意の伝え方が足りなかったと反省する彼女たちをよそに大鳳は必死に彼女たちの目を盗み横島やアルと連絡を取る方法を探していた。
大惨事になりそうになった時の為に呼んでおいたジャギに目を向けて聞く。アイコンタクトをした。



466 :名無しさん@狐板:2022/09/16(金) 23:11:50 ID:hzfLqbrH
『ジャギ何とか忠夫と連絡取れない?』

『無理だ。十中八九気づかれるな』

『陸八魔さんをひどすぎる状態にならない様にできないかな』

『あとは天のみぞ知るだ。 美鈴姉貴に言わせたら、天を見て死兆星が見えてなければ助かるだろう』

『ジャギ、無駄かもしれないけど動こうよ。今回は彼女が悪いけどあまりむごい結末は見たくないから。 1パーセントでも可能性があるならやってみる。それが北斗神拳でしょ』

『北斗神拳使いの俺が動いていない時点で察してくれ』

『あ、やっぱり』


 二人が半ば諦めた頃、横島はようやく女権国家での自分の住居に戻ってきていた。アリスを見かけると彼は、さっそく頭を下げ声をかけようとして、 不意に彼女に抱き着かれてバランスを崩した。

「忠夫、おかえりなさい。 随分とひどいプレイをされてしまっていたけど大丈夫。女性がトラウマになってない?」

「あ、ああ。今でも美女なら大好きだし怖いとかありえんわ」

「それじゃあ、あの勘違い女にかけられた呪いの解除に行きましょう。 愛歌さんとヴィヴィオが用意しているわ」

 優しい慈愛に満ちた天使の様な笑みを浮かべるアリスに手を引かれながら彼はゆっくりと、祭壇が用意された自室に通された。

「お兄ちゃんおかえりー!」

 輝く笑顔を浮かべながら抱き着いてきたヴィヴィオを抱き留めると、少しだけ怖い笑みを浮かべた愛歌が話しかけてくる。

「おかえりなさい。私の英雄さん。 あっちでもたくさん人助けしていてご苦労様だったわね。まあ、戦勝の夜にサンドイッチを食べてしまったのは失点だったけど、貴方がなした善行に比べたら小さなものよ。それじゃあ解呪の準備をするから」

 程なくして愛歌が持ってきた料理は神殿などで振舞われる類の本膳料理だった。ふんだんにふるまわれた鶏肉とスパイシーなトマトのソースが絶品であり、直ぐかみちぎれるわりにきちんと歯ごたえの残っているところが素晴らしかった。
アリスが注いでくれたワインと交互にそれを食べながら彼は、魚の蒸し焼きや、新鮮なサラダなどを食べ終わると彼は急激な眠気に襲われてそのまま彼の意識は落ちていった。

 次に彼が目覚めた瞬間、彼は自分の体がアルに薬を盛られた時と同じ状態になっていることに気づいた。違うのは体が勝手に動いているという一点、そして彼の体はゆっくりと彼女たちが待っているベッドへと近づいて行った。
エヴァかアリスどちらかの霊力でできた糸が自分を動かしていると分かった。 ベッドに来ると最初に愛歌が近づいてきて彼の唇を奪った。 優しくとろかすような口づけを受けながら、しびれ薬を盛られていなければこの口づけで動けなくなっていただろうなと、
他人事の様に感じる。 夢見心地の中にいる彼は目の前で服を脱いでいく愛歌を見ながら、ゆっくりとその体が放つ美しさと色香によって視線に力が入っていく。 恐らく体が動けば脱ぎ始めた時点で視線が動かなくなっていただろう。

 本来彼女の様な体には興味を持たない横島ですらも欲情させてしまう程の色香に身を包んだ愛歌は笑いながら言う。

「初めは私から、まずはあの女と別の快楽を味わって。あの女の印象を消し去りなさい」

 愛歌が笑いながら彼の分身を飲み込むと。 横島の分身はあるとは対極の快楽を送り込んでくる彼女の秘所に飲み込まれ一気に射精した。大量の量を出しているのに、一切漏れ出さない。それは彼から一気に霊力を奪っていく。霊力の奪い方はアルのそれをはるかに上回っていた。

「悪魔の力を多少使える程度の娘が、一応王家の王女である私の性魔術に勝るわけがないでしょう」

 愛歌は心底彼を貪ることができるのを楽しみながら、どこまでも優しく溺れさせるような様子で彼の分身を嫐り続ける。 ゆったりとした責めでありながら、快感から出ることができなくなる温泉につかっている様な快楽が彼を何度も襲い。
ひと際すさまじい射精をした瞬間、彼女は笑いながら横島に再び口づけをしてきた。その際に何か凄まじい呪いか祝福めいた力を流し込まれる感覚が襲ってきた。震える彼の体をアリスかエヴァが動かし、愛歌を強く抱きしめさせた。

「大丈夫よ。婚姻や盛り立てる英雄と会った時の祝福だから。私以上の性魔術の使い手と会わない限り貴方はもう正気を失うことはないわ」

 愛歌がアリスに目配せすると横島の手が動き彼女の尻を強く握りしめた。気持ちよすぎる射精が苦痛になる一歩手前で快感が止まる中、彼女は何度も彼の唇を奪い満足すると立った。

「名残惜しいけど、そろそろ次の人の番だから」

 彼女が後ろに下がると、リグルが前に出てきた。

「忠夫、今回は災難だったね。ちゃんとアルは僕達が惨すぎない範囲で制裁しておいたから。 とりあえず制裁の一環として彼女の特別感を君の中から消すことにしたよ」

 そういってリグルが彼に騎乗すると、横島は脳内に電撃が走るような快感を味わいながら気づいた。 彼女はアルが自分にした騎乗位と同じ動きをしている。特徴の違う狭い膣が彼の分身に余裕を与えず嫐る。
アルと彼女どちらが上というわけではないが、それでも耐え難い快感が襲ってくる。リグルは不意に頼むような口調で言った。

「忠夫、僕のこともリグル様って呼んでくれない。アルを呼んだのと同じ感じで」

 横島は聞かないと何が起こるかわからないという恐怖と、聞いてあげたいという気持ちが混じった状態で答えた。

「リグル様、――! ……!」

 言い終わった瞬間彼の意識が飛ぶほどの長く多い射精が起こった。女権国家では大量の射精は珍しいことではないが、リグル相手のこれは異常だった。
交尾の際に精子を奪いつくされて死ぬ虫の雄に自分がなったような錯覚を覚えるその射精は、形だけでもリグルを上位者と思いながら様と呼んだ瞬間を狙って起こされた。

 指一本自力では動かせなくなった彼を見ながらリグルは笑いながら言う。

「これでアルより僕の印象の方が上になったでしょう。近々僕達も彼女の会社に出向するからね」

 満面の笑みで横島に口づけして蛍の光を放ち消える彼女を見ながら、横島はがくがくと体が震え始めた。愛歌にふるまってもらった本膳料理の為か、自分の精力はまだまだ限界ではない。だが射精の度に強すぎる快感で削られる精神はそうでもない。

 ふらつく彼にアリスが優しい笑みを浮かべながら、近づいてくる。

「強すぎる快感でそろそろ限界状態みたいだから休憩を挟みましょうか」

 そういってアリスは服を脱ぐと彼を動かし、自分を抱きに越させた。正常位の体位になるように自分が下になろうとしていたが、待ちきれなくなったかのように彼の分身が自分の中に入りかけたところで、一気に彼の腰を押して慣らす間も与えず彼の分身を飲み込んだ。

「あー!」

 悲鳴をあげられたのは一瞬で彼女の唇で口を塞がれると一気に逃げ場を失った快感が、分身に集中し、射精以外では吐き出せなくなっていく。 彼女は横島を動かしながら、様々な体位を試したが常に霊力でできた糸で彼を操り主導権は彼女にある状態だ。 
そして愛歌と似た、癒す様な性行為をしつつ、自分の与える種類の快感への耐久力が限界に近いことを見極めると、彼を仰向けにして全身をくっつけながら口づけをつづけた。 横島の意識が帰ってこれない位置に落ちかけた直前にやめると彼女は笑いながら言う。

「普段はここまでしたりしないから、彼女の痕跡を消したいだけだからね。 でも堕ちたくなったらいつでも言って。どんなに情けなくなっても私は貴方を嫌うことはもうないから」


 アリスが下がると、エヴァが前に出てきた。彼女は大人の姿になり。いつもとは違う、黒いマントに身を包んでいる。


467 :名無しさん@狐板:2022/09/16(金) 23:14:30 ID:hzfLqbrH
 完全に全てを隠すマントを彼女が明けるとその下にはサイズは違うがアルが着けていたのと同じ種類の黒い下着が見えた。エヴァがそれを身に着けている姿は凄まじく妖艶だ。

「あの女より私の方が似合うだろう。さてこのマントを見てみるが良い」

 横島はエヴァの姿を見て、気づいた。2世紀以上前に半ば正当防衛とは言え、王国の兵士を大量に殺害した吸血鬼闇の福音のマントだ。

「お前は私が闇の福音でも嫌わないだろうが、さすがに自分の情事の最中にそれをされるのは非常識だと思うだろう。 だがアルに刻み付けられた印象を上書きするにはこれくらいしか手がないのでな」

 ダメだと思いつつ体が動かせず、そして動いたとしてもエヴァの体の魅力に抗うことは不可能だという確信が彼の中にある。 ゆっくりと近づいてきた彼女は僅かな時間彼を霊力の糸で操り、
下着の上から自分の胸や尻を触らせ、アル以上い強く印象づいた瞬間に魔術で脱ぎ去ると、闇の福音のマントをはためかせながら彼に騎乗をした。凄まじい背徳感が産んだ射精を一度すると、彼女はアリスと同じく正常位へと移った。
 既に動けない彼を両手両足で拘束し、ユウキに目配せするとユウキが短剣で一滴だけ血が出る様に指を切りエヴァの口元に垂らした。 
ユウキは愛歌の回復魔法で傷を塞がれながら好きな男をいじめるのを楽しむ女権国家の女性が良く見せる意地の悪い目で横島を見ている。

 エヴァが彼にかみついた瞬間、エヴァの視点だけではなくユウキから見た自分がいかに王国男子としてみっともないか、わかる感覚が伝わってきてそれが余計に屈辱感と背徳感を煽る。 笑いながらユウキが言う。

「忠夫―! 闇の福音相手に女性優位の性交されて、そんなになるなんて恥ずかしくないの?王国女子として凄く幻滅したよ。 みっともなーい!」

 エヴァの牙がもたらす快感はアリスとは別方向に精神を大いに削った。アルがもたらした屈辱や屈服間以上のものを与えたことが伝わると、彼女はようやく離れた。

「よし、私たちの感情も伝わったか。嫌いに等なってはいない。ただあの女のせいでお前をいじめたいという欲望が抑えられなくなった。 あんな姿を見せつけられてはな」

 今後もこういうことをやりたくなった時の為に、器用にアルに責任転嫁する辺り、エヴァは不義理をやらかした相手には容赦がないようだ。

 ユウキが笑いながら王国の学校の制服に身を包みながら彼に近づいてきた。

「アルとエヴァさんで変えられてしまった性癖を元に戻さないと。王国男子らしく優しく僕をリードしてね」

 そういいながら、彼女は騎乗し横島を大いに嫐った。王国の学校の制服が本来男性優位な王国女子としているという意識を余計に強め、彼の誇りを大いに傷つける。そしてそれが激しい快感に変わる自分が情けないと思う。

「忠夫、ちょっと早すぎるって。 もう少し我慢しなきゃ恥ずかしいぞ♪」

 上着だけ脱いで胸の間に彼の分身を挟んだユウキは笑いながらえげつない言葉を言う。

「制服フェチだったくせにエヴァさんとアルにされた服装プレイの方が燃えたの。射精量があっちより少ないな。早く王国男子とは言えないクズから、元に戻さなきゃ。頑張って戻ってね♪」

 何度もユウキの胸に絞りぬかれながら彼は倒れた。倒れたところでユウキは制服を着たまま彼に乗り一気に分身を飲み込むと、そのまま彼を果てさせた。

「うん、これで僕の気持ち伝わったかな」
 笑顔でえげつない快感を送り込んでくる彼女に横島は答えた。

「正直、あの姿見て嫌われたと思ってたからほっとしたわ」

 その言葉を聞いた瞬間、ユウキが腰を振る速度が上がり、横島が何度も射精を繰り返した。 横島の意識が落ちかけた瞬間に愛歌が彼女を引き離した。

「ユウキそこまでよ。これ以上やると彼が限界になりかねないから」

「分かったよ。愛歌。それじゃあヴィヴィオ、仕上げお願い」

 ユウキが後ろに下がると体が勝手に動き、大人の姿になったヴィヴィオが玉座に腰掛けていた。彼女がから放たれる威圧感は神々を怒らせたときにも似ている。これが聖王の嫉妬かと思い震えた瞬間、彼女が彼を抱きしめて押し倒してきた。

「それじゃあ、警邏隊の方式で貴方を浄化し治療します。あの悪魔の力を取り込んだ娘、それだけならまだしも、聖王である私の者をかすめ取ろうとした女が残した彼女の快楽の魔術を完璧に消し去りましょう」

 ヴィヴィオに騎乗されるのは横島にとって嫌だというより怖いと感じている。彼女が聖王であるせいか、自分が霊的に支配されているという感覚が他の女性より遥かに強いためだ。 飲み込まれた時、
アルの残した魔力を一気に消し去るような快感とそして王に支配されているような錯覚が同時に襲ってきて、彼は何度も果てた。不機嫌そうに激しい快感で横島を蹂躙しつくしていた彼女も、横島の体がアルの残した魔力が消え去ると上機嫌に笑いながら彼を絞り始める。
 彼女は横島を一通り犯しぬいた後、口淫を始めた。アルと同じやり方でありながら逆の質の霊気を使われている感じが余計に上書きされている感覚を強めていく。

「ヴィヴィオ、もうかんべんして」

「これは浄化であり治療です。だからあなたが綺麗になるまではやめられません」

 口淫をやめた彼女は手で彼の分身をしばらく撫でた後、再び騎乗する形で飲み込み、強すぎる快感で逆に射精できないでいる彼をしばらく楽しみながら、
不意に最大の技を繰り出すように筋肉を躍動させると一気に彼を搾り取った。全身の力を霊力や力を秘所に集めたような搾り取り方が一気に彼の意識を飛ばした。それを見て彼女は満足そうに笑う。

「完全にアルの不義理な独占寝取り計画の痕跡は我が伴侶から消えましたね。満足です。アルへの制裁はこれで完了としましょう」

 満足そうに王らしく頷くヴィヴィオを見たのを最後に彼の意識は一気に落ちていった。



 現実のカフェに戻ってきた横島は、震えあがりながら大鳳の方を見た。

「な、なあ。大鳳流石にユウキたちあそこまで凄いプレイせぇへんよな。アル社長が魔がさしてああいうことしたからそれでついやってしまっただけだよな」

 怯える横島をよそに、陸八魔アルは白目をむきながら何かを口走っている。

「会社の自衛部隊壊滅……、武器庫に炎をはなたれビル爆発……、吹き飛ぶ場所を魔法でまだ寒い雪山に指定されて、雪山で凍える中逆NTR返し動画強制鑑賞…… イヤー! エヴァ様、私が悪かったです! 忠夫と完全な絶縁だけは許してくださいー!」

 一緒にイフを見ていた彼女を見ながら大鳳はこれなら十分懲りただろうと思い問題が片づいたことに安心を覚えた。 ホッとしながらも彼は僅かな違和感も覚える。前回利用した時とは店の雰囲気が少しだが異なっている。
だが実害はないと勘が告げているので大統領に礼を言うと、アルを起こした。

「アルさん。逆NTR独占なんてしようとするとああなりますよ」

「わ、分かったわ。忠夫、お願いだから今夜は傍にいなさい。不義理しない限りは怖くなくても、しばらく彼女たちがトラウマになりそうよ」

 二人が出て行ったのを確認すると大鳳は大統領に頭を下げて店を出た。

 大鳳が帰っていったのを確認すると大統領は、不意に声をかけた。

「あの悪魔の干渉は完全に途絶えているか?」

 彼が声をかけた先には、赤い服に身を包んだサイドテールの銀色の髪をたなびかせた、どこか豊かな母性を感じさせる美女=神綺と、学生服に身を包みながらどこにでもいる様な様子でありながら、強大な意思力を感じさせる目をした歴戦の戦士の様な気配に身を包んだ男性がいた。

「ええ、大丈夫よ。 この世界のアリスちゃんが私の娘かはわからないけど、アリスちゃんが選んだだけあって素敵な子ね彼」

神綺の言葉が終わると、青い学生服に身を包んだ青年が言葉を続ける。

「かつてのザ・ヒーローたちみたいに俺も異世界出張か。最もここは大分違いすぎる世界の様だが。 まあ、あんたが大鳳という少年を他人と思えない様に、俺もあのバンダナの男には親近感がわいた。 だがそれなりに疲れた。報酬になんかただ食いさせろ」



468 :名無しさん@狐板:2022/09/16(金) 23:17:23 ID:hzfLqbrH
 大統領は頷き厨房に戻りながら、先ほどまでの事態を思い返していた。



 横島はイフの世界戦で激しくアルに嫐られていた。その場所は淫らさを連想させる暗めの赤い絨毯とカーテンに包まれた王宮の様な寝所で彼はひたすらに悲鳴をあげさせられ続けている。
 悲鳴をあげる彼を後ろからもう一人のアルが押さえつけて逃亡を防ぎ、前の彼女が唇を奪う。どこまで甘い味のする舌が脱力を誘い股間の分身以外の前身の力が完全に失われ尽くされていく。

「どうした忠夫。今までの私は擬態で本当は気に入った男を得るための詐術だったそれが真相だ。 これより地獄で悪魔の公爵を孕ませ、その子がいかなる悪行をなすか見続けるがいい」

 彼女が彼にまたがると一気に彼は射精し、意識を失いかける。

「安心しろ。今はまだ孕まぬようにしている。お前が快楽に抗えなくなって、外道な息子が生まれると分かっても自ら体を求めるようになるまでな」

 離れた彼にもう片方のアルが口づけをして笑う。

「今まで貴方と接していた方の私とどっちが気持ちいいかしら?」

 悪人ぶった演技と分かってなお妖艶さに満ちていたはずのその仕草が今では、本当の悪女だけが持ち得る妖艶さにしか見えない。彼女は愛と侮蔑の混じった目で彼を見ながら唇を奪い体を重ねる。

「やはり本能には抗えない様ね。今あなたの中にあるのは気持ちよくなりたい。そしてどんな外道であろうが強い雌を孕ませることができるそれだけよ」

「ち、違う」

「じゃあ、あと十回以上私たちと体を重ねた後でも同じことがいえるわね」

 そういい終わりかけた瞬間。大統領の声が響いた。

「そこまでだ。 私の運用する施設で、利用者に意図せぬ不都合を起こさせるな。 『いともたやすく行われるえげつない行為』」

大統領の宣言と共に二人の人影が現れる。その二人の人影が放つ強大な気配がこの場の淫らさが全てを支配し男を堕とす劇の様な空気を一瞬で砕いた。

 学生服に身を包んだ男は刀を構えながらアルをにらみつけ言葉をかける。

「多分初めましてかな? 地獄の公爵が一人ベリアルさんよ。最もこの世界の、と着くんだろうが。俺は、青木仁この大統領にいきなり呼ばれつつ、
かつて惚れた女の願いを叶える戦いに手を貸してくれたシヴァさんと斉天大聖への義理でそこのバンダナを助けに来た。なんでも韋駄天ことカルティケーヤさんとその横島ってやつは縁があるらしくてな。
あと斉天大聖も一応師匠やったこともあったからな。それと俺の世界のベリアルがそれなりに報酬をくれるって約束してくれてな。異世界とはいえ、自分の同一存在が『アリス』って名前の女から男を寝取るのは不愉快なんだそうだ」

 そこまで言った後青木は、少し珍しそうに言葉を続ける。
「俺の世界の伝承ではベリアルは、淫乱で詐術の天才で伝承によっては二人の天使の姿らしいが、片方が油断させる女でもう片方が本体ってか」

 ジンがそういう横で、神綺が大きな魔力を放ちながら彼女たちに圧力をかけ始める。

「正直荒事は嫌いなんだけど、パラレルワールドとはいえアリスちゃんに誠実な対応している男性にこれは面白くないわね。 彼を解放してくれないなら私も嫌いな荒事をしなきゃダメになるけど、どうかしら」

 二人の言葉を聞くとベリアルは少し残念そうに横島を放した。

「よかろう。返すとしよう。正直少し惜しいが手に入る機会も皆無ではないしな」

 そういうともう一人のアルを指して笑いながら言う。

「彼女が私と同じ出自とは限らないが、本気で惚れた時は女権国家の女らしくいづれは私を呼び出せるくらいになるだろう。この世界に私がいないとしても、その壁すら突き破ってな」

 それに対して神綺が笑いながら答えた。

「大丈夫よその時は彼の成長しているでしょうし、アリスちゃんが選んだ男の子がこういう負けイベ以外で変な結末を迎えるわけないでしょう」

 そのやり取りが終わったと彼らはすぐに元の場所に戻っていた。

大統領は調理をしながら考える。

「世界には様々な可能性がある。最初の分岐点でヴィヴォオの地位がクローンだったり正当なる、王だったり。そしてあのアルは恐らくは幾つもの運命力がまとまってできた存在かもしれん とりあえず、
アドル神殿の浄化の護符をつかいもう一人のアルの記憶は消去しておいた。これで顧客への被害はないだろう」


 諜報部のアジトの療養室で傷一つない体でありながら、ベッドから動けなくなっている男がいた。彼、横島忠夫の惨状を見て大鳳は女権国家でよくみられる、
搾り取られすぎて動けない状態だと見抜いた。指一本動かすのが困難な彼を痛ましく思いながら大鳳は問いを投げかけた。

「横島どうしてこうなったの」

「微妙にワイを好いてくれている女性達を怖がったから事情聴かれて、仕方なく『伝』の文珠使ったんや。そうしたら彼女達、逆NTR防止とか言って、あの世界とほとんど同じことを、ああー!」

「そ、それは災難だったね」

 大鳳は心底同情しつつ小さめにリンゴを切りながら横島に差し出した。横島も乾いたのどを潤しながら言葉を続ける。

「とにかくお香の匂いがトラウマなんや。出しても出してもあの匂いを嗅ぐと息子がビンビンになって体はともかく精神が限界、まじかなのに容赦なく」

そこまで言い終わったところで、ヴィヴィオに仕えている女騎士が不意に贈り物を持ってきた。 騎士は箱を携えていたが、最初はヴィヴィオの手紙らしきものを彼に渡した。 横島が封を切ると手紙の内容は以下の通りだった。

『お兄ちゃん昨日は、やりすぎてごめんでもどうしても、逆NTRされるかもという恐れがあってついああいう行動に出ちゃったの。 それと多分だけど陸八魔アルさんはまだ逆NTR独占願望を完全に捨ててないと思うよ。
 それでも彼女をお兄ちゃんは多分見捨てないと思うから、女権国家の上書き地獄を知っていてなおそんな彼女を見捨てない勇者なお兄ちゃんに贈り物したから。最近は王族ではこれが、流行りなんだって』

 読み終わった直後にヴィヴィオから送られた箱を女騎士が明けるとそこにはかつて大鳳がアンリエッタ皇女から送られたのと同じ50Mと横島を逆レする際に使われたお香の匂いの染み込んだひのきの棒が入っていた。女騎士は彼を気の毒に思いつつも律義に主命に従い、殆ど動けない彼の口をふさぐと、
鼻の近くにそれをつけた。匂いを嗅いでトラウマを刺激された横島は騎士の手が口から離れると、悲鳴と泣き声の中間の様な声をあげた。

「アンリエッタ皇女許さーん! 大鳳にあんなことしただけじゃなくて、(ベッドの中以外では)天使みたいなヴィヴィオにこんな影響を与えおってー!」

 大鳳は気の毒に感ながらもかつての自分もこうだったのだろうかと思いつつ、今の横島の姿が面白くて仕方なかった。そしてそれを見ながら自分の判断は間違ってなかったと思う。
あの店に行かずに陸八魔が逆NTR独占計画などを実行していたら、もっと陰惨な最後を迎えていたかもしれない。 彼は横島を慰めつつ本当に今は楽しいと貴重な日々をかみしめていた。


469 :名無しさん@狐板:2022/09/17(土) 00:05:29 ID:OPQ8A1Fw
乙でした!

470 :名無しさん@狐板:2022/09/17(土) 13:11:17 ID:h6Yrwzon


471 :462:2022/09/17(土) 17:30:21 ID:jpkejNEm
>>469
乙感謝です

>>470
乙感謝です

472 :名無しさん@狐板:2022/09/17(土) 18:51:06 ID:vSV24Wau

ひのきの棒オチw

473 :名無しさん@狐板:2022/09/17(土) 18:53:48 ID:vSV24Wau

ひのきの棒オチw

474 :462:2022/09/17(土) 19:27:03 ID:jpkejNEm
>>472
乙感謝です。
大鳳くんだと悲惨だけど、横島だと割とギャグになった気がしますw

475 :名無しさん@狐板:2022/09/19(月) 02:01:03 ID:/DLR7xhc
白井沙穂(林トモアキ作品/お・り・が・み) の原作での振舞い

@初期:戦闘許可を貰った時以外は静かに掃除とかのメイド業務してる、自己主張しない無口従順系戦闘狂
「軍曹、得物のみ切ってよし」or「軍曹、たたっ切れ!」→「了解であります」がお決まりの流れ
バンダナ巻いてる右目で幽霊が見えたりする

A改造後:ハイテンションで健気な言動の元気っ娘、でも斬り合いが楽しくて死の恐怖を感じない戦闘狂
元の右目は失ったので光速レーザーを発射する義眼に変えた
「ちっちゃくて萌え☆ でありますねっ!!」みたいなことも言うのでちょっと電波入ってるかも

B次回作(ミスマルカ):人が死ぬことは悲しいことだと覚えたけど、それはそれとして世紀末な荒野で楽しく人斬りしてる戦闘狂師匠
自殺未遂した孤児に鎖付きの首輪を嵌めて荒野に連れ回す、死なない訓練として自分から逃げられるようになるまでボコり続けるなど、
色々なことに頓着しないせいで無自覚に虐待気味
主が居なくなったので自分の意志で行動するようになって戦闘狂は悪化したが、
弟子になった孤児の成長を喜んだり、昔の仲間が作ったものを麻雀の景品にされて静かに怒ったりと、色々考えるようになった


476 :名無しさん@狐板:2022/10/05(水) 22:29:53 ID:bqxg9d3i
 女権国家世界教師の日SS 前世の因果が追いついた生徒の最後の授業

これは本スレの作者様が連載している女権国家の二次創作SSです。以下の注意点があります。

@来世ものです。
A割と理不尽系に分類されています。
BこのSS内で女権国家と王国の戦争の結果や起こったとされていることは全てこのSS独自の世界線のものであり、本編とは関係ありません。
Cアティ先生が出てきており、一応はこのSSでは来世という設定で書いています。
D大鳳くん達が活躍してから100年以上後であり、また敗北というわけではなくても王国が滅びそうあるいは女権国家に統合されつつあります。
E統合の内容は女権国家の良識派閥の女性が大量に王国に流れ込んでいる形になっているので、王国内部でも良識派の女権国家の女生徒はかなり仲が良好となっています。
F成就はしないけど、大鳳くんヒロインに横島が惚れているかもしれないような描写があります。

 かつてペンウッド卿が校長を務めた王国の特務科、一時的とは言え王国を持ち直させた英雄たちを輩出したこの高校は、国家防衛科と名を変えて今も存続している。
王国の存続が危うくなりつつある今は余計にこの学科での人材の育成には力が入っている。その王国の教室で教鞭を振るう女性がいた。
月光の下で映えるであろう金色の髪に男の欲望を一気に呼び覚ます理想的な豊満な肢体をした威厳のある声をした女性。かつてエヴァンジェリンと呼ばれており、
今では雪姫と名乗る彼女はこの王国で大鳳たちが勝利した後に設立された、特務学科のオカルトの授業を受け持っている。
かつて王国が大鳳たちが活躍する前の戦いで敗れた理由は幾つもあったが、そのうちの一つにはオカルトに対する知識があまりにもなかったというのも含まれていた。大鳳とその部下である何人もの英雄が生まれた諜報戦では、
横島が一人で霊能関係の仕事をしなければならなかった時期もあったらしい。 

 大多数の男子生徒が見惚れる雪姫の姿に対しても、横島忠夫は一切心を動かされた様子もなくそれでも一応は真面目に、授業を受けていた。 彼女の王国の歴史に対する授業を聞き嫌な所が始まると思った。 
自分の前世は間違いなく大鳳を助けた自分と同姓同名の英雄だったらしい。そのせいで多少人生が狂った所もあった。 恩人と言えるアティとの遭遇がなければ自分の前世にもっと強い忌避感を持っていただろう。
今では前世の自分らしい男の活躍劇などを聞いても、彼女の惚気るような様子も相まって凄く恥ずかしいだけだが、あのままいたらどうなっていたか分かったものではなかった。そんな彼を放置してエヴァの授業は続く。

「――というわけで、大鳳たちの活躍もありそして忠夫が女権国家の悪辣派の魔術組織機や呼び出した悪霊を倒したこともあったおかげで王国は一度女権国家の侵略を退けて大半の領地を奪還に近い形に持ち込むことができた。 
しかし、今にして思えば王国はある意味では前より絶望的な状況になっているのは、その時の皇帝ネロの英断のせいだったともいえる。王国が、戦争のルールを破っておらず、女権国家の方が先に破りそういう行為が多々あったと知った彼女は、
大鳳たちの活躍で奪い返されるのが確定されていた土地以外の土地も返却した。彼女にしてみれば、道義的にそうすべきと考えていただけで、裏はなかった。当時見ていた私から見てもそう見えた。だが、
それがのちに女権国家の良識人枠な女性達を大量に王国に流れ込ませる一因となってしまった。彼女たちは本気で属国ではあっても、協定違反の被害者である王国を護ろうと動いていたせいか、
それが結果として多くの親女権国家の男性を生んでしまい、良識派ではあっても王国を支配したいと考える女権国家の女性の侵入の窓口を作り出してしまい。そこから王国が戦争などをしなくても少しづつ女権国家に統合され始めた」


 最後の雪姫の講義は今王国がどういう状態化を彼らに伝え、今は大鳳が活躍した時と同じくらい危ないからこそ。良識派の女性達と強く結び戦力を整える諜報戦が必要だと強く解いていた。
王国の領土から女権国家に戻った女性はティアナと呼ばれる女性に近い思想をしているものが多く。彼女たちを多くたきつけることと、彼女たちに支配派の女性達の情報を掴み与えることが今世代の王国の防衛方法だとエヴァは解いた。 


 講義を聞き終えて進路が確定している中で特に仲が良いモヒカンたちが彼に声をかけてきた。

「横島、お前それでこれからどうするんだ。 前世と同じくやっぱり主席な大鳳やジャギと一緒に女権国家に乗り込むのか?」

「給料次第ではそれも考えとるが、多分行かんと思う。 行っとくけどあの二人に対して恨みに思ったりしとることは一切ないで。 ワイはあの二人とは付き合いをさせないことにアティ先生が決めたからよく知らん二人やしな」


「そういえば、横島お前好きな女性アティ先生なんだろ。あの人は大鳳にご執心だけどどうしてあの先生が好きなんだ」

「ああ、実を言うと彼女初めて俺の為に真剣に怒ってくれた教師なんだ」

「どういうことなんだ」

「俺がアティ先生の本気の怒りを見たのは初めて会った時が最初で最後だったんだが、俺の境遇が彼女にとっては地雷だったらしくてな」

「一体どんな境遇だったんだ」

 目の前のモヒカンは心底疑問に思っている様な声をあげた。彼は入学当初から横島と付き合いがあった。だからこそ、入学当時はやる気のない様子ではあっても虐待された様子などが見えなかった横島に何があったのか気になったようだ。

「実を言うとワイ他の学科に行きたくて奨学金狙いで受験して、実は合格しとったらしいんや。ただ前世が大鳳を補佐して多大な貢献をした横島忠夫だったことが分かったから。落ちたことにして、
ここ以外では奨学金を受けられない状態にして入学させた。そして前世の再現の為にやる気がないせいで成績低迷状態になるように仕向けてたらしい。彼女は経験から誰かに誘導されていると見抜いて俺のことを調べた後、
俺が他の学科の入学試験受けたのと同じ問題やらせて、その解答用紙見た後『この成績で落ちるなんてありえませんって』言ったんや、あの時のアティ先生の声と発する気は本気で怖かったわ。マジでトラウマになった。ワイが彼女に欲情できんのもその時の恐怖が原因や」

「それでその後どうなったんだ」

「後で知ったことも付け加えると、彼女半日も経たず王国守るためなら手段を選ばんみたいな思想でワイのことを色々と誘導していたらしい、所に電話かけて話付けてくれた。そして『あなたが望むなら今からでもそちらの学科に移れるようにします』と言ってくれてな」

「だがお前はそれを選ばなかったんだろう」

「少し授業受けてみて、王国が支配派の女性達に負けて支配されるとシャレにならないことが分かってしまっていたからな。それに俺の夢はそれなりに本気で目指していたが、死んでも付きたいって程じゃなかった。女権国家の悪辣派の女性達から国を護らんと怖くて仕方なくなってたからな」

「そうか。それじゃあお前は潜入じゃなくて霊的防衛に就くかんじになるか」

「多分な。しかし、あんときのアティ先生本気で怖かったし頼もしかった。ワイを志望校から落とした連中に言い放った底冷えするような言葉も凄かった『稀代の無能国防家の皆様おめでとうございます。このままだと、
女権国家に入ってすぐに、悪辣派の女性のナイト君に変わってしまったであろう、前世が英雄な彼を無害な王国民のままでいさせるように私は動こうと思います。 もしも、彼のしかるべき権利が守られないのなら、出世した教え子全てに声をかけて政争も辞さないつもりです』

477 :名無しさん@狐板:2022/10/05(水) 22:32:01 ID:bqxg9d3i

「なるほどな。怖そうだけど本気で切れたアティ先生ちょっと見てみたい気もするな」

「やめとけ。一時期本気で好きだった時のワイですら欲情できなくなるレベルでやばかったで。今となっては、感謝なのか憧れなのか恋だったのか、自分でもわからんがな。
それでワイが大鳳とジャギと接触禁止になったのも前世の再現を盲目的にさせようとする派閥への彼女なりの意思表示だったんだ。
『彼は前世の横島忠夫と違って他の志望学科に受かる別人です』ってな」


 そこまで話し終えるとモヒカンは不意に思いついた様に質問を投げかけてきた。

「それはそうとお前雪姫先生に対してはどう思っているんだ。彼女体と色香はアティ先生に負けていないと思うが」

 それを聞くと横島は一気に爆笑した。

「ありえん、ありえんて。外面みとるとそうやけどな、ワイから見た彼女は初対面の時に大人形態になるの失敗してロリ形態でワイと会ったんや。 あまりにもぬけとってせいぜい妹にしか見えんわ。 
前世が夫なせいか俺には結構高飛車でな、それを不快に思わない辺り俺もかなり前世の影響強いのかもしれん。 まあ、アティ先生の優しくて包み込むような色香に少しでも近づいたら、
考えるかもしれんがあの間抜けおこちゃま相手にありえんわ」


 女としては見ていなくても、雪姫に対して彼がかなり気を許しているのがその笑い声からはうかがえた。おそらくは雪姫の身に危険が迫れば彼はなりふり構わず助けに行くだろう。しかし、それでも恋愛対象としてはエヴァは彼にとってはありえない相手の様だ。
モヒカンの問いに心底面白い冗談を聞いた様に爆笑する横島、彼とモヒカンがいる廊下の窓に赤い目をしたコウモリが張り付いていたことに誰も気が付くことはなかった。


卒業式の前日彼は不意に手紙が届いたのを目にした。便箋を破ると目を通す。その中には以下の内容が記されていた。

『前略卒業生国務防衛科 横島忠夫様。女権国家との政争に関わる霊的防衛を職を選んだ貴方様と同じく女権国家と戦う進路を選択した卒業生の皆様にだけ行わる特別授業があります。
これは女権国家と戦いその脅威にさらされる方々にだけ施される特別な講義であり、これを受けないと安全面からも女権国家の支配派閥との闘争に関わる職に就けることは認められないので、
絶対にご参加ください。講義の場所は生徒によって異なりますが、横島様の場所は霊的な〇〇隠れ教室で行います』


 横島は間違いなく本物の学校のからの手紙であることを確認すると。即座に向かい始めた。諜報部というわけではないが、それに類する霊的国防の職に就く以上はこういう行動もとれなくては話にならない。

 幾つもの仕掛けを突破して隠れ教室と言われる場所に入った彼は本気で困惑した。手順を終えて入ってみれば絵画で見たような月の下に映える城。そしてその下には月光の化身を思わせる美に身を包んだ雪姫がいた。
彼女は、横島を見ると笑みを浮かべた。横島は困惑と混乱の極みにあった。今まで雪姫を見てこんな感情を抱いたことなど一度もない。彼女は横島の手を取ると、透き通る声をかけてきた。

「横島よく来た。ここが最後の授業の場だ。 『この講義を受けることを了承したらもう後戻りはできない。国防の為に人権に反しない範囲の全ての命令に従う義務が生じてしまう』今のお前の能力なら民間の悪霊払いでも十分に大成できるがいいのか?」

「これ以上戦線が悪化して良識派じゃない女権国家の女性が大量に流れ込んできたら、この国がどうなるかわからん。それに戦線が悪化した場合、俺も国になにされるかわかったもんじゃない。変な人体実験もどきされて無理やり前世に戻されるとかシャレにならんわ」

 それを聞くと雪姫は頷いた。

「分かったでは講義を始めよう。女権国家の良識派の女性達や一部の男子生徒たちの教材ともなる。 講義の内容は『女権国家式の男のからめとり方と、女権国家の女性の理不尽さについて』だ」

 そういうと雪姫はコートを一息に脱ぎ捨てた。上着が一枚取れてあふれる様な乳房が見えかける服が見えた瞬間、彼の視線はそれに釘付けになった。 ゆっくりと焦らす様に彼女が服を脱ぎ始めると彼の視線は彼女が強調するそれから一切目を離せなくなった。
美しい背中はその下の豊満で形の良い尻が見える前から彼の視線を釘付けにしており、尻が見えた瞬間に痛いほど固くなったそれを彼女は振り返ると笑いながらつかんだ。

「あー!」

 射精したくなるほどの快感は、彼女の指から出ている霊力でできた糸で止められており、彼女はそれを見てせせら笑う。男性優位の性行為が未だ強く根付く王国男子のプライドを砕くことに慣れ切った笑みだ。

「どうしたアティの足元にも及ばない女相手に随分と良いようにされているな。 これを見る国防の男子生徒諸君。女権国家の女性の中には有能だと認めた男性を得るためなら油断させるために何でもするタイプもいることを忘れるな。
例えば私が忠夫にした様に、色香を微塵も感じない様に振舞って。確実に堕とせるときだけ見せるなどとな」

 そういうと雪姫は射精できないでいる彼の唇を奪う。叫び声という快感の逃げ場を奪われたショックで彼は余計に追い詰められていく。雪姫が与える快感が下腹と分身にたまり一切ぬけてくれない。唇が離れて強すぎる快感で前よりひどく泣きわめく彼を見ながら彼女は続ける。

「こういう状態に陥ると射精させてと懇願してしまう。その際に何か宣言しろとか言われたら無理に我慢しないことだ。その宣言に合わせて射精させられると一気に脳にその言葉が焼き付いてしまう。
我慢すればするほどダメージはでかい。 直ぐに屈服した方が嗤われたりするダメージが入るがそれでもましではある」

 そこまで言った後彼女は続ける。

「横島お前が女性として私の評価がすこぶる低いのは油断させるために私が仕向けたことだ。だがアティに執心のお前を見ていて凄くイラついたので謝れ。具体的な謝罪内容は『エヴァ様、
貴方の魅力に気づかず他の女にうつつを抜かしてすいません。初恋を一回の閨で忘れるゴミな俺を好きになってくれてありがとうございます』だ」

「ち、ちと待って、あんたの名前は雪姫じゃ」

 横島の突っ込みに対して彼女は射精できない状態の彼の分身を手で抜き苦痛となる快感を与えながらいった。

「夫の来世とこういうことをする時は昔の名前で呼ばれたいものだ察しろ」

 理不尽な怒りにもこうする気力もなく彼は叫んだ。

「エヴァ様、貴方の魅力に気づかず他の女にうつつを抜かしてすいません。初恋を一回の閨で忘れるゴミな俺を好きになってくれてありがとうございます」

 その宣言を聞いた瞬間エヴァは彼を押し倒した。上から乳房さを押し付けながら一気に奥まで飲み込まれた分身が白濁を一気に放った。

 射精し終わった彼はぶるぶると震えたあまりにも多くの霊力と生命力を吸い取られた感じがする。それでも死ぬまで彼女に抱かれても嫌ではないという程の精神の防壁が壊れるほどの快楽が今の性交にはあった。

 エヴァは恐ろしい気を収めると柔和な笑みを浮かべ彼を抱えると瞬間移動をした。

478 :名無しさん@狐板:2022/10/05(水) 22:32:54 ID:bqxg9d3i

「すまなかったな。アティに対して熱をあげるお前を見ていたら、自分の責も大分あるのに理不尽に妬いてしまった。 実は私をはじめとしたお前の前世の妻達が、お前を志望校から落とした連中への対処はすることになりそうだったが、
冷静に対処できないからアティがそう動くように誘導したんだ」

「そうだったんか。俺の為に動いてくれたんだろそれならもう恨んでない」

「そうか。忠夫、お前さえ嫌でなければもう一度抱いてくれないか。 今度は王国男子の好む正常位でな」

「分かった。エヴァ、特別講義の教材役の特権を行使させてもらうわ」

 エヴァの誘いに横島は喜びながら応じ彼女を押し倒し分身を挿入した。 僅かに入っただけでも射精が起こりそうな快感に歯を食いしばり耐えると。不意に、エヴァの腕が彼の背を捕らえ、
そして足が彼の腰に回され、そのまま一気に背中から力が入り一気に奥まで突き入れさせられた。 強すぎるサキュバスを想定させる膣が彼の分身全てを味わおうとするようになめしゃぶり。止まらない射精を楽しみながら彼女は笑い首筋に牙をあてようとする。

 横島は前世のトラウマが蘇ったような嫌な予感を負いながらも泣き叫ぶ前に彼女に一気に首筋に牙を突き立てられ血を吸われた。

「あひゃー!」

 しばらく両目を閉じながら彼を堪能した後エヴァは思い出したように、口を開いた。

「見ている王国男子の諸君。 私は彼を完全にものにして他の女を彼の心から追い出すことしか考えていなかったが、ここまで恐ろしい性行為をすると予想できたものは多分いなかっただろう。
女権国家の女性は諜報戦が長引き進化してきている。だからこそいま私がやったほどではなくても上手な嘘をつく女も多いから気を付ける様に」

 エヴァから解放された彼は、エヴァのくれた薬草をすりつぶしたスープを飲んで回復ながら言った。

「こ、これで講義はおしまいですか雪姫先生」

 言葉が終わると、彼女は少女の形態になり彼の分身を踏みつけた。彼の好みの範囲外である少女でありながら、その身にまとう色香は彼の分身を無理やり目覚めさせる。

「エヴァと呼び捨てにしろ。今日から夫婦となるのだからな」

「な、なんで」

「お前はさっき最終講義を受けることを了承したではないかあれが国防に有益なことならなんでもする契約となっていた。 『大鳳を支えた英雄横島忠夫の妻達を王国の味方につける』これは王国の為に有益なことだろう。その手段が婚礼でもな。
これを見るであろう卒業生諸君、人外と話すときは言質を取られない様に気を付けることだ。上級の存在となるとこの程度でもアウトになることもあるからな」

 少女形態でエヴァは彼の分身を踏み抜き射精させた後敏感になった彼の分身を飲み込み笑う。

「嫉妬させられた後に夫を味わうのも良いものだな。 どうだ少女に女性優位の性交をされるのは屈辱感と背徳感が強かろう。 昔お前が反応しなかったのも、油断させるために色香を切っていたのだ」

「あー、あー!あー!」

 快楽で強い声を出せない彼を笑いながらエヴァは言う。

「この形態では不満か、では夫の希望にこたえてこちらで行くか」

 エヴァが雪姫の姿になり少女の時とは異なる快感を膣で送り込みながら彼の胸板で乳房を潰し彼の分身から大量の射精を引き出した。快楽と疲労が限界を超えて倒れた彼を見ながら彼女は言う。

「講義の最後として言おう。女権国家の女性を嫉妬させると本当にシャレにならないぞ」

 そういいながらも倒れた横島を愛おしそうに抱きしめる彼女は吸血鬼というよりは月の光が固まってできた妖精や女神の様だった。彼女は横島の頬を撫でながら思い出したように不意に口を開いた。

「最後と言ったが、忘れていたことがあったのでもう一つだけ言おう。人外は決して契約を破らない。だからこそ逆に利用することもできる。 彼が夫となった以上は王国に味方するという契約は私を始め彼の前世で妻だった女性達も破らないし破れない。
だからこそ善良な人外の女性が相手の時は自分を気に入ってくれたら婚姻するのも一つの手でもある。それでは最後の講義のビデオはこれでおしまいとする。女権国家の人外と手を組んだり渡り合う時の参考となれば幸いだ」

 横島の頬を愛おしそうに撫でながらエヴァは笑い講義の最後を締めくくった。このビデオを見た諜報部と霊的国防部は女権国家の女性のだましの手口や人外との付き合い方を学ぶだろう。
そして彼らはこのビデオのエヴァの表情を見て善良な人外となら夫婦となるのも悪い選択肢ではないのではないと思った。エヴァの最後の笑みはそういう曇りのない笑みだった。

479 :名無しさん@狐板:2022/10/12(水) 00:19:28 ID:vvAIQjNl
女権国家スポーツの日SS 聖王の女権国家式のスポーツに相手という名の生贄にされた男

このSSは女権国家の本スレで連載中の女権国家の二次創作SSです以下の注意点があります。
@このSSでは前に作者さんが連載した短編『邪な騎士と横島と騎士』の影響でヒロインが決まってます。連載中である女権国家では別人かつ横島のヒロインになるとは限りません
A短編と比べるとヒロイン達の畜生度が大分下がってます。畜生なヒロインが好きだった人は注意
BこのSSの前世設定や人間関係はすべて独自のものであり、本編での搭乗時は全く異なる立場や能力なっている可能の方が高いです

 女権国家に対抗する王国の諜報部組織のアジトの一つで今となっては諜報部の、支柱と化した三人が顔を突き合わせていた。仮面で顔を隠し棘の付いた肩パッドをしながら、その下にははち切れんばかりの筋肉に包まれた武道家として理想的な肉体を持った男、一見すると、
残虐非道な盗賊団の首領などにも見えるがその瞳の色は澄んでおりその身に纏う気は正道を行く武道家のものだ。彼ジャギは一見すると女子にすら見える少年に声をかけた。

「大鳳今回の件どう思う? 一応俺の部下たち全員で調べたところ、怪しい裏は一切取れなかった。 裏のある可能性は限りなく低いとは思うが、横島の勘は本気でバカにできねぇ。 その勘が未だに安全とは告げてはいないみたいだ」

大鳳は少し悩んだのちに頷くと赤いバンダナを額にまいた青で統一された安っぽい服装の少年に声をかけた。

「さんざん悩んだけど、今回のヴィヴィオ殿下の招待は受けてもいいと思う。忠夫の勘は本当に危ない時は凄いけど、今回はどう見ても危ない要素はないから」

 大鳳の問いに横島は少し悩みながら頷いた。

「おう、ワイも霊能者としての勘が働いた時本当にやばい時の気配だとは思ったが、今回はさすがに大丈夫やろ」

 彼ら諜報部の支柱が難しい顔をして会議をしていたのは一週間前に起きたことが原因だった。横島の所によく遊びに来ていた、少女、ヴィヴィオがストレリチアの騎士たちを統べた聖王の系譜であり、
王位継承権を有する上に聖王を再降臨させるための処置を受けていたその彼女からスポーツの日だからと横島に招待状が届いたのだ。 その際に彼は理屈ではない霊感が告げてくる恐怖を覚えたと大鳳とジャギに告白した。それを聞いた時二人は、ヴィヴィオを良く思わないストレリチアの派閥か、王国とストレリチアの同盟を阻止ししようとする女権国家の作かと、警戒の念を覚えた。

ヴィヴィオに対しては一応は調査対象とはしたが、彼女のことは殆ど疑わなかった。それというのも彼女の横島に対する感情を思えば、害することなどありえないというのが二人の見識だった。
ヴィヴィオは彼女の特殊な出生が明かされた当時は本当に大きな騒動があったものだった。彼女は前からストレリチアの大使館に在住しつつ横島の元へよく来ていたらしい。
 そして聖王を恨む怨霊や悪霊の群れから横島は彼女を護っていた。 横島が彼女を護った表向きの理由はストレリチアは前の大戦で先に協定違反をしたのが女権国家である証拠を見つけて提出した以上は、
どの程度かはわからないが王国寄りに動いてくれる可能性が高いからだ だがそれはあくまでも口実であることは大鳳にもジャギにも分っていた。当人の責でないことで苦しむ彼女を見捨てることがしのびなかったのだろう。

 激しい激闘の日々は意外な形であっさりと終わりを告げた。守られる対象であるヴィヴィオに施されていた封印が解けたらしく、唐突に聖王の力に覚醒した彼女が全てを片付けたらしい。
らしいというのはストレリチアの騎士たちの証言しか情報がないためだ。横島がヴィヴィオを逃がしてストレリチアの騎士たちに彼女を預けた後、逃がしたはずの彼女が聖王の力に目覚め、
横島より先に悪霊の本拠地に乗り込んで壊滅させたという。戦死すら覚悟して悪霊の本拠地の戸を開けたら、出てきたのは敵じゃなくてヴィヴィオだった上にタックルの様に抱き着かれた彼の困惑の表情は今でも忘れられない。

 それからの日々はいつもと変わらなかった。ヴィヴィオが前より彼の所に遊びに来るようになり、一つだけ変わったのはヴィヴィオに何人か護衛騎士がついてくるようになったことだけが変化と言える。 

しかし、その女騎士たちの顔ぶれも奇妙と言えば奇妙と言えた。 ヴィヴィオが連れてくる女騎士たちは一人二人を除いて顔ぶれが毎回変わっていたのだ。そのくせ一度入れ替わらなかった女騎士は毎度連れてきている
。前回来たときは一人も変わっていなかったから、ついに一人も変わらなくなったかとなんとなく思ったものだ。

 横島の所に来る時に連れてこられなくなった女騎士たちもヴィヴィオと不仲というわけでもないことも不思議と言えば不思議に思えた。ヴィヴィオ達を疑ってはいなかったが、横島が猛烈に嫌な予感を覚えた後に彼女たちが気に入っている大鳳自身が出向き調査をしてみた。
その結果は完全な白。彼女たちは、主君であるヴィヴィオを救ってくれた横島に深く感謝しており、
もしも女権国家が協定違反の方法で彼を害したら国が開戦しなくても、個人的にそれをやらかしたものを切り捨てに行くし、大使館に逃げ込んできたら絶対に保護すると、一切の迷いなく言い切った。
 それを聞いて大鳳はここはある意味横島にとっては一番安全な場所かもしれないと思ったものだ。

 以上のことからヴィヴィオの配下達の派閥が占めているストレリチア大使館は横島にとっては大変安全な場所のはずなのになぜかそこからの招待状を受けた時に、横島の背筋が凄まじく寒くなった。これは何度か大鳳たちの危機を救った霊感がもたらす悪寒だ。
大鳳たちもこの勘は軽んじるべきではないと感じている。だがどれほど調査を進めても危険な要素は見つからない。しかし、彼の嫌な予感も一向に収まっていない奇妙な状態が続いている。

 長く続いた葛藤はこの場における最高責任者出る大鳳が受けても良いと思うと答えたことでそちらに転がった。

横島もヴィヴィオを信じていたし、彼女がせっかく招待してくれたのにそれをむげにして悲しませるのも嫌だと思った。

 悩む時間は長いが、結論を下せば早い横島は速攻で用意を始めた。私的な遊びの場に近いと招待状に書いてあったので最低限の礼節を保った動きやすいスーツに身を固めると彼は大使館に向かう準備を始めた。彼が準備を終えた時に丁度、迎えが訪れた。
 その顔ぶれを見て大鳳は少し奇妙なものを覚える。今回の迎はヴィヴィオが訪問する際に連れてこなくなった女騎士たちで構成されていた。むろん彼女たちは明らかに裏がないし、何より異性としては横島に興味を持っていないからとてつもなく安全と言える。
今回は大鳳が同行しないと聞いて残念そうだが、主君の恩人の護送にやりがいを感じてもいるようだ。

「それでは横島殿、ヴィヴィオ聖王陛下の無聊を慰めるための恩人との遊戯のお相手よろしくお願いします」

「おお、よろしく頼む。 今回は大鳳は他の任務で同行できん。すまんな」

「いえ、今回は仕事ですから。それでは参りましょう」


 大使館に向かう馬車の中で横島は安全であることを確認すると、騎士に向かって質問を投げかけた。多少だが話した中なのであっさりと本題に入ることができる。

「実を言うと、ここ数日悪寒が止まらないんですけど、何かストレリチア周りで不穏な動きとかありませんか?」

 それを聞くと女騎士は虚を突かれたような顔をした後、直ぐに真剣な思案する顔になった。

480 :名無しさん@狐板:2022/10/12(水) 00:21:09 ID:vvAIQjNl

「報告書で読んでいます。何度かヴィヴィオ様や、同胞を救ってくれた霊能者の勘ですね」

「ああ、ワイらなりに調べてみたけどヴィヴィオの周りに不穏な気配はなかった。 不穏な気配ってヴィヴィオがなんかしようとしているとかじゃなくて、ヴィヴィオを害そうとする連中を主に調べたんや」

 女騎士は横島を安心させるような明るい笑顔を意識して浮かべた後、答えた。

「今の所そういう輩はいないと思います。それに、いたとしても今は一番活動を起こしづらい時期です。ヴィヴィオ様が力に目覚められて、戦闘能力がけた外れだけどどれくらいかはわからない、
そんな状態では手を出すのはリスクが高すぎます。それに今の所は大半の貴族がヴィヴィオ様に忠誠を誓うものと、忠誠は誓わなくても、同情的なものが多いのでそんな輩はいないかと。
女権国家にしてもこういう状態でヴィヴィオ様に何かすればストレリチアと相当に外交が悪化するから避けると思います」

 彼女はそこまで言った後、笑みを消し少し思案するような顔になる。

「ですが、報告書を読んだ限り貴方の勘はバカにできない。人外や悪霊の残党いう方面では警戒した方が良いのかもしれません。確か貴方のその悪寒は災いが始まった時に起こっており、調査した結果、起きた災いを回避、もしくは軽減できていましたね」

「ああ」

「最長で一月くらい後に実害が出る災いを予感し、警戒を解かずにいた結果被害を軽減することに成功していた。今から一月の間は警戒態勢としようと思います。たぶん誰も反対しないかと」

 彼女は携帯電話を取り出すと連絡を入れてその後、再び横島に話し始めた。

「貴方の悪寒が出た時の災いは毎回かなりの災いだった様ですけど、今回はどれくらいでした?」

「とにかくやばいくらい怖かったっす。一番ひどい時とどっこいどっこいです」

「それはまた」

「一応聞きたいんですけど、ヴィヴィオの様子に変わったところはありましたか?」

 自分より強くなったヴィヴィオのことを未だに庇護対象と見ている彼を好ましく思いながら女騎士は、考えを巡らせる。特に重大事などなかったはずだが、主君の恩人の真剣な質問なのだから真面目に答えるべきだと思った。

「いえ、特に変化はなかったかと、――ああ一つだけありました。 私たちの上司ではなく、マーガトロイドの方のアリスさんが演じる人形劇を見た時劇を見ていた時にひどく落ち込み、その後アリス様に呼ばれて楽屋から出た時にはとても上機嫌になられたことがありましたね」

 その話を聞き、なぜか嫌な予感がよぎったがアリスは間違いなく自分の味方であることは間違いがないから大丈夫だろうと切り替えると質問を続けた。

「そうなんですか。その演劇どんな内容だったかわかりますか?」

「私はその場にいなかったから詳しくはわかりませんけど、初代聖王陛下を支えた貴方の前世らしい術者が出てくる話らしかったです」

「どんな話か分かりますか?」

「人形劇の内容はしりません。 ただ、その術者に対する扱いに関してはストレリチアの中でも、かなり意見が分かれているみたいなんです」

「前世の俺何かやらかしたのか?」

「いえ、少なくともストレリチアでは彼を悪くいうものはあまりいないと思います。ただその術者の死後に初代聖王陛下がしたことが、人によっては聖王陛下の数少ない過ちと思う人も多いみたいです。その術者の死が聖王陛下を若干だけど女権国家寄りの思想によらせてしまったみたいで」

 横島は不思議とその話に興味が引かれる感覚を覚えた。そして詳しくそれを聞こうとした瞬間に示し合わせたのかの様に御者を務める騎士が到着を告げてきた。

「横島様、話の途中ですが失礼します。ヴィヴィオ陛下のお相手をよろしくお願いします」

 礼儀正しく一礼して去っていく女騎士の背中を見ながら、霊感にうずくものを感じた彼は一瞬呼び止めて話を聞くかと迷ったが、せわしなく走り回る周りと見て彼女も忙しいのだろうと思いなおした。

 ここに着く前に彼女が入れた連絡の為か、直ぐに代わりの案内役が現れた。

 今回現れた案内役は、ヴィヴィオが訪問する時に毎回同行していた騎士、アリス・シンセシス・サーティだ。彼女は美しい金髪を靡かせながら優雅に一礼すると、工場を述べた。

「横島様、聖王陛下がお待ちです。陛下のお相手をよろしくお願いします」

「あ、ああ分かった。と言ってもヴィヴィオ相手にスポーツとかどうすりゃいいんだ、まあ、格闘技とか以外にも遊びの要素が強いスポーツもそれなりにあるからそっちやりゃいいんか?」

「ご心配なく。横島様は見たことがないから仕方ないかもしれませんが、ヴィヴィオ様は既に聖王の力に覚醒しており、ストレリチアの女子ですら同年代の者は相手にならないのです。霊力で身体強化した貴方や私達じゃないと無理なくらいです」

 神々の血が覚醒したヴィヴィオが相手では普通の騎士では厳しいかもと横島は思った。とはいえ自分も霊能者だ、霊力で身体的強化はできるがオカルトの効かない相手には、
大鳳やジャギには及ばない。シンセシスの言葉を聞き、彼は自分も本気を出さないとヴィヴィオの相手は無理かもしれないと思った。 女権国家では少女や幼女でも好感度ドーピングを起こせば、人間の限界を超える例もある。

 横島がシンセシスの案内に従って進むと、途中で広間に集まりお出撃の打ち合わせをしている騎士たちを見かけた。彼女たちは大鳳に執心している騎士たちであり、
それゆえに自分にとっては最も安心して頼れる相手だ。先ほど横島の話し相手をしていた女騎士がリーダーを務めているようだ彼女たちの会議の内容に少し興味を持つと、シンセシスも足を止めてくれた。

「とりあえず大使館は結界を強める処置をとって、人員が最低限の警護で済む状態にして出撃するわ。横島殿の勘は基本的に外で身内を害する効果的な企みが練られている時に発動していたから、大使館が狙われる可能性は低いでしょう」

「ええ、本当にめんどくさいわこれ」

「文句言わない。 面倒だったり、凄く疲れる程度で済むなら身内が死んだり大怪我するよりはずっとましでしょう」 

 軽口をたたく女騎士が他の騎士にいさめられた後、彼女は再び開設を続ける。

「戦闘力は比較的低くても乱戦や連携に長けた者は大人数で、モヒカンさんたちのアジトに行って彼らの人手を増やしましょう。場合によっては、向こうの指揮官殿の指示に全面的に従うように。
 それと個人戦の方が得意なものは大鳳くんやジャギさんが少人数で行動するようなら、なるべくついていくこと。足の速いものは見つかりにくい場所に潜み万一が起きた時の連携を、定時連絡を欠かさない様に」

「「「了解です」」」

 大勢の女騎士たちがあわただしく準備するのを見て、横島は少しだけ不安を覚えた。この大使館は高価な護符を消費すれば詰めている兵士がゼロでも危険性は限りなくゼロに近くできる。とはいえ自分がとても嫌な予感がした後に、自分のいる場所の兵士が減るのは不安なものだ。

 会議が収まりひと段落すると先ほどの女騎士は横島の姿を見つけると一礼してきた。

481 :名無しさん@狐板:2022/10/12(水) 00:22:30 ID:vvAIQjNl

「横島様、どうやらあなたの霊感は当たっている可能性が高いようです。かなりの悪行をなそうとする大鳳くん達の敵対組織が動く準備をしていたみたいで。今日は索敵と偵察だけで終わりそうですが、近々決戦が起こりそうです。
今夜から他の理由をでっちあげて調査と威嚇行動を兼ねた巡回を警邏隊の方々に頼んで行うことになりました。とりあえず、少しの間は我々もなるべくあなた方と仲が良いところを見せて牽制に移ります」

「分かった。ヴィヴィオの下でも位が高いメンバーは出ないのは、牽制しつつ気づいていないかもと相手に思わせる目的もあるんやな」

「はい。 とりあえず聖王陛下直属の騎士以外が巡回や親勢力の護衛を強化する程度の不自然でない口実は幾つか見つかったので。筆頭はセクレーションの販売勢力の残党たちに不穏な気配があったりもしました」

 ここまで聞いて、横島は自分は帰れなくなったと思った。ここである程度活躍し通しの自分がヴィヴィオの招待を辞退して戻れば、その組織達に嘘がばれる可能性が上がる。
逆に招待を受けて帰るのを明日にすればまだ気づかれていないと思わせることもできるだろう。 今挙げた組織達と最終決戦が起こるのはまだ先のことだ。今夜事故が起こって最終決戦なんて可能性もゼロではないが限りなく低い。
とりあえず今日はヴィヴィオの相手を全力でして、帰ったら大鳳たちと打ち合わせになるだろう。
そこまで考えると彼は思考を切り替えてヴィヴィオの待つ部屋に向かった。

 シンセシスに案内されて付いた場所は温水プールと言われる場所だった。一応用意はしてきていたが、今は寒い時期だったので以外だと感じる。 ヴィヴィオは最近は色々なスポーツに挑戦従っていたと聞いていたから、
水泳がマイブームなのだろうかと思いながら、彼女のかわいらしい水着姿を想像しながら待っていると想定外の事態が起こった。金色の髪をしたサイドテールの水着姿の美女が姿を見せた。彼女の鍛えられていながら女としての魅力を輝かせる体に戸惑いながらも、
オッドアイの瞳とさりげない仕草を見て彼は頭に浮かんだ考えを口にした。

「間違ってたら、すいません。貴女はもしかしてヴィヴィオですか?」

 その質問に彼女は少し怒ったような表情をしながら横島の鼻を摘まんだ。

「もう、一目でわかったのは嬉しいけど、そういう他人行儀な呼び方されたら寂しいですよ。気さくないつもの口調で話してください」

 ヴィヴィオの言葉を聞き横島は、頷いた露出が少ないにも関わらず、彼女の女性としての魅力を引き立てる少しだけ競泳水着に似た衣装は彼の性癖であるスクール水着の琴線に触れているのか以上に印象に残った。
ヴィヴィオの聖王という立場にありながらもどこか男を惹きつける女体に心奪われつつ彼は、どうにか幼いヴィヴィオの姿を思い返し、庇護欲で性欲を押さえつけて言葉を返す。

「ヴィヴィオ、もしかしてずっとその姿になってしまったんか?」

 ヴィヴィオは横島の問いに敢えて口調を崩し、幼い時の姿と同じ口調で答えた。

「ううん。自分の姿で切り替えられるよ。力の消耗が激しすぎると元の姿に戻っちゃうけど、魔法アイテムとかで回復していれば殆ど無制限かな。 特に体力を消耗とかせずにいれば5時間くらいだと思うって、専門家の人が言ってたよ」

「そうか」

 横島が安心すると、大人らしい口調に戻り彼女は言う。

「それより忠夫さん、私のこの姿どうです。ドキドキしますか?」

 体制を変えて、体を強調してくるヴィヴィオに横島は必死に内心を隠し答えた。

「そりゃまあ、美人でそんな良いからだし取れば男なら多少はドキドキするわ」

 内心ではムラムラする。早く水泳終わらせたい、と思いながら彼は答えた。

「それじゃあ、今日は一日『ストレリチアや女権国家のルールにのっとて私と一緒スポーツをしてくださいね』

「おうまかせい」

「それと『これからも暇があったら今日みたいにお相手をしてくれますか』

「ああ、時間があったらな」

 肯定の答えを返した瞬間、何かが嵌ってしまったような感じがしたが、それを黙殺すると、王族としての勉強が大変であろう彼女の息抜きに全力で付き合うことを決意した。

 競泳に関してはヴィヴィオに対して横島はあっさりと敗れた。彼も諜報部だけに泳ぎもできないわけではなかったが、ヴィヴィオの身体能力が規格外すぎた。何より彼女を追いかける様な形になった時に彼女の尻が見えてしまい、
集中力が落ちてしまった所がある。普段の彼ならもっと見ていたいとか思って規格外の力を見せたかもしれないが、ヴィヴィオが相手だと幼い姿の時に保護した相手だから自重しようとする念が出てしまい、いまいちの結果だった。
 それでも速度が上がる辺り自分でも度し難いと思う。試合が終わった後、審判役を仰せつかったシンセシスが少しだけ咎める様な様子で彼に近づいてきた。

 彼の心臓が跳ねた。ヴィヴィオが嫌がっていなかったとは言え、王族相手に不敬だっただろうか、そこまで深刻な怒りの様子でもないのを見て少しだけ安心しつつ、彼女の言葉を待つと意外な言葉を彼女は言った。

「横島さん、あなたの今の行動は今後の陛下の調子が崩れてしまいますよ」

「す、すいません。あまりにも大人になった彼女が魅力的な体をしていたので」
「ええ、でもあれだけ、惚れている男性に胸や尻を見つめられたら陛下が性欲を刺激されてまともにスポーツができないでしょう。そういうわけで公平を期すために陛下の性欲を満たしていただきます」

 あまりにも真面目な口調で王国男子としては斜め上の言葉を聞かされて、一瞬呆けたところに不意を突いてシンセシスが魔法の剣を彼に放った。 一切殺気や害意がなかったことも彼のいつもの察知能力と回避力が発動しなかった一因だったのだろう。

 シンセシスの放った魔法剣を受けて動けなくなった彼をヴィヴィオは笑いながら抱き留める。水着の上からでもわかる大きな乳房が彼の胸板で潰れそれが彼の分身をはち切れんばかりに大きくなる。

 ヴィヴィオは笑いながら、動けない彼をお姫様抱っこして寝室へと運ぶ。ストッパーになってくれそうな彼に恋愛感情を持たない女騎士たちも今は大半が出払ってしまっている。

 寝室に着いたヴィヴィオは笑いながら言う。

「忠夫さん、それじゃあ今から女権国家の夜のスポーツを始めましょうか」

 服を脱いだ彼女を見て彼の分身が限界に達したのを見て、よくないと思いつつ彼女の体の魅力に屈しているのを察したヴィヴィオは笑う。

「聖王たる私をいやらしい目で欲情させるとか、本当にスポーツマンシップに反しすぎですね。惚れた男性に何分もこんな目で見られ続けたら集中できません。ね、審判さん」

 明らかに道理に合わない理屈を自覚的に言うヴィヴィオにシンセシスは笑いながら答える。

「ええ、不可抗力とはいえ色仕掛けで陛下を惑わしたのですから今後の試合の為のペナルティは必要ですね」

 笑いながらヴィヴィオは彼に体を見せつけながら、己の秘所を見せて言う。

「貴方に見られていたせいでこんな風になってしまいましたよ。早く私を満足させて集中できるようにしてくださいね」

 一息にヴィヴィオに分身を飲み込まれた時に、彼は一気に己の体というより魂が征服されている様な感覚を覚えた。激しい快感で一気に射精した瞬間、ヴィヴィオが一気に体を預けてきて、そのまま体が密着するとそれが余計に射精の勢いを一気に強くした。

 あまりにも凄い快感に嫐られる彼を見下ろしながらヴィヴィオは笑う。

482 :名無しさん@狐板:2022/10/12(水) 00:23:39 ID:vvAIQjNl

「忠夫さん、もしかしたらできちゃうかもしれませんよ。我慢しないとストレリチアの王族を孕ませた王国の諜報部員の称号を得ることになります。別に咎める人はいないでしょうけど、婿入り確定ですね」

 そういわれて妊娠の恐怖を煽られとたん、余計に自分の分身が固くなりヴィヴィオにそそぐ量が増えていく。彼女は笑みを浮かべながら、動けない横島の腕をとると自分の乳房を揉ませ、その行為で彼の射精を何度か促したのちに、自分の尻を揉みしだかせ始める。

 魔法剣の効果が切れてきた彼はようやく叫んだ。

「頼む、ヴィヴィオもう勘弁して。気持ちよすぎておかしくなってしまうー!」

「そうしてあげたいのはやまやまですけど、これは貴方が最近前世と同じ行動をとっているので、同じ死に方をさせないために必要な処置でもあるんですよ」

 優しい口調で言うヴィヴィオの言葉はさっきまでの男をいじめるふざけた口調とは違い本音としか思えなかった。 横島の限界が近いとみて、腰を動かすのがゆっくりになった彼女は何度も彼をじらし、その上で溜め切らせた上で最後に思いっきり動くと射精させた。

 性行為が一時終わった後、彼はふらつきながらもヴィヴィオを見た。さっきの情事の際の最後の告白が明らかに本気だったせいか、どこか彼女に抱く怒りは淡い。それだけではない、性交がもたらした圧倒的敗北感が彼女に逆らうことができない意識を深く彼に植え付けられた感覚も確かにある。

「ヴィヴィオ、どうして俺を死なせない為にあんな処置が必要だったんだ?」

 明らかにあの言葉は嘘ではなかった。そう確信した彼はどうにも怒り切れない感情を持った。嘘は言ってないし本当にあれが死なせないために必要な処置だったら、
自分はどういう風に接すれば良いのかそれもわからない。だが一応は聞いてみることにした。ヴィヴィオは回復させる飲み物を彼に丁寧に渡しながら、少し悩んだのちに答えた。

「私が嘘を言ってないのは信じてくれてますよね」

「ああ」

 横島の即答に凄く嬉しそうな顔をした後ヴィヴィオは少し悩んだように言った。

「次は私と総合格闘術で勝負してくれませんか。その結果次第なら教えても大丈夫ですから。これは聖王の名に誓って嘘じゃありません」

「ああ、わかった」

 横島は頷きながら覚悟を決めた。ヴィヴィオは自分よりはるかに強い。彼女が戦った結果次第ということは実力が低いと明かせない、という類のものなのだろう。 ここで聞き出せずに帰ったら情けないというレベルではない。


 地価の弾みの良いリングにたどり着いた彼はどうにかヴィヴィオからもらった飲み物のおかげで回復した体力に鞭を入れると、いかにして戦うか考え始める。ヴィヴィオは相当に達人などと稽古を積んできているが、
自分の様な泥臭い戦い方をするタイプとの経験はあまりない。一撃必殺のプレッシャーに負けずに動きながら反撃し、霊術と文珠を使って削っていくしかないだろう。最初の一撃をかわした時にヴィヴィオの動きを文珠で『鈍』らせることができるかどうかに全てがかかっている。
決意を固めて動こうとする彼に不意に、審判役の女騎士、シンセシスが声をかけた。

「すいません。戦う前にハンデを、ヴィヴィオ陛下のスタイルは一撃必殺。だけど貴方を好きすぎて本気で殴れない可能性もあります。そういうわけで、負けたら陛下に先ほどと同じことをされるという条件で戦っていただきます」

 彼女にそういわれた後に、ヴィヴィオとの情事が頭をよぎりはじめ分身が固くなり、動き気が鈍くなり始めた瞬間、それを見越した様に開始のゴングがなった。どうにかヴィヴィオの初撃をかわした瞬間、ヴィヴィオが一気に彼を押さえつけにかかった。このなだらかな動きは警邏隊などが使う類の捕縛術だ。

「ヴィヴィオ陛下は聖王の技だけじゃなくて色々な格闘技をやって取り入れてましたけど、一番の得意技は聖王の技ですから小さなことですね」

 シンセシスに魔法でもかけられたのか、どうしてもさっきの異常な快感を伴う情事が忘れられず、その快感が彼の分身を強化し、彼は一気にヴィヴィオに押さえつけられた。彼女の乳房が密着した瞬間、
最初に彼女の乳房がつぶれるくらいに胸板に押し付けられた時の感触が一気に蘇りその隙に殴られ意識を一気に失った。


 次に彼が目を覚ましたのは股間に走る激しい電撃めいた快感によるものだった。ヴィヴィオが大人の姿になりながら心底楽しそうに騎乗位体制で彼の分身を飲み込みながら腰を振っている。

「ヴィヴィオ、少し待って。あー!」

「だからこれは処置であり。貴方に邪教の技を使えなくする聖なる処置なんですよ」

「な、なに言って、ああ!」

 しゃべり終わる前にヴィヴィオが腰を振った時の快感で動けなくなる彼を笑い見下ろす。そこにマーガトロイドの方のアリスが笑いながら入ってくる。

「忠夫、そこから先は私が説明するわ。ヴィヴィオ聖王陛下止めなくても大丈夫です」

 アリスは臣下の宮廷魔術師が取る礼をヴィヴィオにしながら言葉を続ける。

「私少し前から、ヴィヴィオ様に仕える宮廷魔術師になったから。それで事情を話すと、貴方の前世はヴィヴィオ様の前世である聖王に尽くしていった術者だったのよ。その術者の死因は、男性だけが使える寿命と引き換えに仕える強力な魔術の連続行使。
 初代聖王陛下に尽くしぬいた果てに、そのまま死亡したの。 初代聖王陛下はそれ以降その魔術を邪教認定しようとしたけど、大半のストレリチアの騎士たちが反対したわ。
男性しか使えず強力すぎて寿命を削るだけで、基本的には善人にしか使えない魔術で一部の騙されたなどの例外以外では、善良な弱者を救うことが大半の術だったから。今は男性に使わせることを忌避されてはいるけど、文化遺産として失伝だけは避ける様にされているけどね」

 そこまで言うとアリスは言う。

「私としてはそんな術、失伝してしまった方が良いけど、貴方の寿命を削り切ってしまってはたまらないわ。 どうせなら男性に使わせるならこういう術でしょう」

 そういうとアリスの糸が彼の中に入り、彼を操り始める。そして彼の体が勝手に動くとヴィヴィオの乳房や尻を揉みしだきながら、彼女に奉仕を始める。

 勝手に動く体に横島は大きな恐怖を覚えた。自分の霊力が分身や体内で動きヴィヴィオに霊力を捧げる様に動いている。今度の射精は本当に何かが危ないそう思った瞬間にヴィヴィオが自分を掴み刻み付ける様に唇を貪った瞬間、
口内を剣で引き裂かれたような快感が走り彼女の息が腹の中に降りてきた瞬間それに睾丸が押されるように一気に射精が起こる。彼女が注ぎ込む息が腹の内部を押して精液を絞り込むように押し込んでくる。それを出し尽くした瞬間、笑いながらヴィヴィオは彼のそばを離れる。

「今あなたがした性魔術は本来は女性を強い快感で隷属させて奴隷となった女性の能力を大きく上げる類の性魔術でした。貴方の前世の術者が非人道的すぎると思いつつ、有用な術だけを取り込んだソフトに改良したんですけど、私の前世は好奇心から受けてみたいと言って貴方にやらせたんです」

 それをしたとたんに全身から一気に霊力が抜き出ただけではなく、目の前のヴィヴィオが絶対に逆らえない王に変わったような感覚が自分の中に芽生えた。それを見越したように彼女は笑いながら言葉を続ける。

483 :名無しさん@狐板:2022/10/12(水) 00:24:40 ID:vvAIQjNl

「結果は今あなたが味わっている通りです。貴方の前世は、私にあまりに強く頼まれたのと、一度だけなら後遺症も残さず直ぐ治せるから、懲りさせるつもりでやったけど快楽で仕掛ける男性の方が負けて、呪い返しも発動するありさま。
一応は正々堂々女性を奴隷にする性魔術に勝った逸話になってますけど、人間同士の付き合いとしては騙し討ちでした」

 動けなくなっている横島からヴィヴィオが離れると、アリスが服を脱ぎゆっくりと彼に近づいてきた。

「これをやっているのも貴方が前世で使った寿命を削る術を習得できなくするためよ。それじゃあ快感を味わい私たちに支配される感覚を強めてね」

 なぜアリスと交代するのかと疑問に思った瞬間、アリスが即座に彼の唇を奪い息を吹き込んできた。その瞬間彼は理解した。アリスも抗いがたい快感を植え付けてくるのは一緒だが、
ヴィヴィオとはちょうど対極のものを流し込んでくる。彼女がゆっくりと彼の分身を飲み込むと支配するのはヴィヴィオと一緒でも、与えてくる質は対極の快感が彼を一気に蝕んだ。優しい絹糸に愛撫されてとらわれていくような肌と膣が彼の分身に刺激を与え、
射精した後も容赦なく快感で塗りつぶしてくるヴィヴィオとは異なりゆっくりと蜘蛛糸でからめとるように彼を射精させてくる。横島が彼女の快感に敗北して射精すると、アリスは心底嬉しそうに笑う。自分が彼を気持ちよくできることが嬉しくてたまらないようだ。
その邪気のない笑顔が彼の矜持や警戒心をそぎ落とし彼女の意のままの人形とされることへの抵抗力を奪っていく。 何度かの射精の後アリスの糸が彼を動かし先ほどヴィヴィオに使わせられた術を再び使わせに来た。
ヴィヴィオの時とは違う恐怖が彼の背筋に走る。もしもこの警戒心すら抱けない、冬の布団の様な快楽で屈服させられながら射精させられたら自分はどうなってしまうのだろうか。

「ア、アリス。ま、まって」

「ダーメ♪ 私達を護るためであってもあんな術を覚える可能性はゼロにしなきゃ」

 射精が済んだ瞬間彼は自分を今まで動かしてきた糸が一気に変わったような感覚を味わった。 そしてそれが済むと、ヴィヴィオがアリスに代わって彼を嫐り始める。 ヴィヴィオに分身を飲み込まれた瞬間、彼は一気に悲鳴をあげた。

「あー!あーー!」

 ただでさえ抗いがたい快感だったのにちょうど正反対の快感を与えられて慣れを消された直後だ。その反動が余計に彼をさいなむ苦痛を強くさせる。

「これなら、彼の魂が呪い返しで完全に服従するのも遠くありませんね」

 そこまで言うとヴィヴィオは笑いながら手をたたいた。

「もういいですよ。仕上げにかかりますから、貴方たち彼に最後の追い打ちを」

 そこにはヴィヴィオが訪問の時に必ず連れてくるようになった騎士たちでも古参の二人がいた。先ほど審判を務めていたアリス・シンセシス、金色の髪に小柄な体に似合わず多くの敵を大剣で薙ぎ払う無双の怪力騎士ユグドラ。彼女たちを見るとヴィヴィオは簡潔に言った。

「シンセシス、ユグドラ、彼の魂に最後のダメ押しを。アリスさんだけでも十分かもしれませんけど、完全に私の配下である貴方達にも屈服することで私より下だと分からせます」

「はい。ヴィヴィオ様」

 そういうとまずはシンセシスが彼の分身を飲み込みその彼を嫐り始める。アリスと名前は同じなのに、そのやり方は剣で切り裂く様に彼を屈服させて来る。後ろからアリスが抱き着き彼の玉袋を揉んでくると異なりすぎる二つの快感に襲われ彼は悲鳴をあげた。

「アリスちゃん、やめて」

 横島は基本的に二人そろった時はシンセシスの方を苗字で呼ぶだから、分からないはずがないのに、意地悪く二人は聞く。

「「アリスってどっちのアリスなの?」」

「そっ、そりゃもちろん」

 言いかけたところで二人が申し合わせたようにしぇべれなくなるような快感を与え彼がのたうつのを楽しんだ。そしてシンセシスが唇を貪り始めるとアリスも後ろから抱き着き彼に快感を与えることを楽しむ。
しばらくして彼が完全に耐えきれなくなると彼の分身の幹を放してからアリスは背中から離れた。そこを狙ったかのように騎乗位をした状態で彼を達しさせると、シンセシスは笑った。

「これでどうですか陛下」

「次ですね」

 動けなくなった彼に向ってユグドラが騎乗位をする直前の様な体制になりながら言葉を言った。

「ヴィヴィオ陛下は少女形態でも貴方を閨の中で喘がせることなど容易ですよ。 なぜかというと今から貴方を犯す私が劣化ヴィヴィオ陛下ですから」

「え、ちょっとま」

 言い終わると彼の言葉を待たずに一気に飲み込んだユグドラに対して彼はすさまじい量の射精をあっさりとしてしまう。彼女は嘲笑の顔を浮かべながら言う。

「陛下と夫婦になる以上はいつでも陛下の求めに応じられなければ、ですから私の様な少女にも勃つようになりなさい、っと思ってましたけど貴方早すぎますよ。少女姿のヴィヴィオ様より下の私にこんなに早く出させられてどうするんですか?」

 ユグドラの言葉は無茶ぶりも良いところだ。ヴィヴィオと彼女の閨の中での強さの差は、男がネズミなら、虎と狼の違いくらいだ。ネズミに勝ち目があるはずなどない。

「ほら早漏男。見かけが幼い少女に嫐られる快感に目覚めて陛下の求めに応じられるようになりなさい」

 罵倒の言葉で余計に分身が硬くなった時に笑みを浮かべ彼の自尊心も嫐りつつユグドラは何度もそれを受け止める。シンセシスとユグドラに犯され続けた彼に、アリスが糸を伸ばし二人に対してもあの魔術を使わせてきた。それが済んだ瞬間、彼のヴィヴィオへの屈服間が一気に上がりぬいた。

それを見て満足そうに頷きながらアリスが言う。

「配下の騎士に屈服させられて一気に魂が堕ちたは、後は単純な快感を一気に与えるのが良いわ」

 その宣言を聞くと二人は離れるとヴィヴィオとアリスに渡した。二人は笑みを浮かべながら横島を襲い始める。

484 :名無しさん@狐板:2022/10/12(水) 00:25:53 ID:vvAIQjNl

 アリスとヴィヴィオが交互に入れかわり何度かが過ぎた後。ヴィヴィオが彼の上で腰を振りながら言った。

「アリスさん、そろそろ良いですか?」

「ええ、陛下ころあいです」

「忠夫、魂の底から宣言しなさい。前世で私を護るためにやむを得ず使ったあの術の素質はすべて放棄する、と」

 僅かに残った反骨心は見越したようにヴィヴィオが彼の眼をのぞき込んできた。その瞳の色に、自分を心から好いて死ぬかもしれないと思った時に不安がる少女の面影を思い出した時完全に、彼の心はその術を手放すことにためらいがなくなった。

「前世で使ったあの術の素質は放棄します」

 その言葉を待ったようにヴィヴィオが彼を支配するような性術を使いそのまま一気に搾り取った時、自分の中の何かが精液と共に抜けるような感覚が起き彼は意識を失った。気絶した横島に心地よさそうに体重を預けるヴィヴィオを見ながらアリスは医師の様な手で横島を触診し言った。

「陛下大丈夫です。前世で彼の寿命を縮めた霊的戦闘術の素質は完全に壊れました。他の術に対する素質および霊能への才能に一切影響ありません」

「彼そんな術なくても十分強かったのに、前世の私の力が足りなかったから使わざるを得なかったのよね。今生では要らないもの」

「ええ。その通りです」

 頷くアリスを見ながらヴィヴィオは答えた。

「アリス今回一番働いてくれたのは貴方でしたね。 忠夫が自分が感じた悪寒を誤認させるような他のたくらみも幾つも突き止めてきてくれて。
さらに忠夫に恋愛感情がない騎士たちをこの大使館から離れさせられる口実に仕える最高のタイミングでリークお疲れ様でした。これがないと彼をここまでうまくとらえられなかったでしょう」

「私もあんな術を彼に覚えさせる可能性はゼロにしたかったですから」

 二人の会話にユグドラとシンセシスも頷いた。

「はい。ヴィヴィオ様に前世の記憶を取りも出させられた我々も同意見でしたから。戦乱が終わった後五年後に彼が死んだのを見た時は本当に、背筋が凍ってトラウマでした」

 シンセシスの言葉にユグドラが言葉を続ける。

「私も彼に守られた前世を持つものとして前世より強くなった以上あんな術を覚えることは、絶対に許容できませんでしたから。 それと陛下少し気になったのですが?」

「なんですか」

「忠夫に惚れた人間は全て前世で関係があったものばかりなのですか?」

「いえそうじゃないです。そういうものも何人かはいますけど、基本的に神様や人外と結婚した貴族の先祖返りとかが多いみたいです。 とりあえずこれからやることはかなりありますね。
ありのままにやったことを報告して、その後の大鳳やジャギに頭を下げて補償しなければ。 でもその前に彼が目覚めたら女権国家的な夫婦のスポーツを楽しむとしましょう」

 そういうとヴィヴィオは笑いながら薬湯と精力が付く料理の準備を自助に命じ心底嬉しそうに彼の体を点検し続けた。前世で彼の死因となった術を彼が覚えられなくなったのが嬉しくてたまらない様子だった。
ユグドラとシンセシスにもその気持ちは分かった。前世で彼に助けられた記憶と、彼が逝った時の喪失感はもう訪れないと思うと頬が自然に綻ぶのを止められない。それは多分調理の為に人形を動かしているアリスも同じなのだろう。

485 :名無しさん@狐板:2022/10/12(水) 00:34:04 ID:xRGqj7Yl

Wアリスならではの反応はなかなか意地が悪い
そしてそれ以上に皆の愛情とやっていることがえげつないw

486 :名無しさん@狐板:2022/10/12(水) 01:12:20 ID:vvAIQjNl
>>485
乙と感想ありがとうございます。
ストレリチアの女性だけど、男の庇護と支配に関してはかなり女権国家寄りになってしまっている、
感じで書いてました。

487 :名無しさん@狐板:2022/10/17(月) 23:15:41 ID:qQ1v8Z7b
 女権国家化石の日SS 聖王による今更ながらの化石と化していた邪教認定の撤回が決まった日

これはMシチュあんこスレのスレ主さんが連載している女権国家の二次創作SSです以下の注意点があります。
@>>479から>>484まで投降したスポーツの日SSの続編です
A化石の日SSだけど二日遅れです。
B前にスレ主さんが投降した邪な騎士と横島と騎士の影響を受けていて、本編では横島ヒロインにならないかもしれないヒロインが横島ヒロインをやってます。
Cあくまでも二次創作でありこのSSでの登場人物同士の人間関係や素性は本編とは関係ありません。
Dファイナルファンタジー3とファイナルファンタジータクティクスのファルガバードが合わさったネタが出てきます
E魔剣士の技暗黒剣が寿命を削るというのはファイナルファンタジー3ではなくタクティクスの設定です。
FこのSSでは暗黒剣は男性にしか使えないことになっています。



 スポーツの日にヴィヴィオに嫐られぬいてから横島はシンセシスの方のアリスとユグドラに護衛されながら、自宅へと帰った。疲労困憊の横島を二人の対照的な美少女が迎え入れる。艶やかな黒に身を包みながら明るく陽気な気配に身を包むユウキと、
気品のある青を思わせる金髪の髪をした少女愛歌は、横島を抱き留め背後に労わるように寝かせると対照的な反応を示した。その瞳に剣呑な色を宿し問い詰めるユウキ。
対して愛歌は知っていたうえで彼女たちの言動を計ろうとする様にも見える目で静かに二人の騎士を見ている。

「ヴィヴィオ殿下は忠夫への好意は本当だと思っているから警戒しなかったけど、これはどういうことなの? まるで女権国家の男性を破壊しつくそうとする類の女性達に嫐られぬいた後みたいだけど」

 ユウキの今にも剣を抜きかねない瞳に対してシンセシスは一歩も引かずに剣の柄に手をかけずに、鞘をもって近くに置くと前に出た。口上を述べる前の堂々とした態度が後ろめたいところがないのだろうと思い、
僅かにユウキの敵意を削いだ。怒ってはいるが、ヴィヴィオが横島に悪意を持ってなにかをするはずがない。そこに関しては彼女は一切疑っていない様だ。 アリスが口上を述べる前に愛歌が発言をした。

「私も一応忠夫のことは見ているから貴方たちの王様のしたことに関しては大体予想はつくわ。今回の件に関しては私も似たようなことをしたかもしれないから放置はしたけど、貴方達の聖王はこの処置を取った後の対策はきちんとしているの?」

 横島から奪った才能を補うものを用意できているのか否か、そこから彼女はヴィヴィオ達を値踏みするつもりの様だ。愛歌が黙認するような行為だったと聞いて、ユウキの敵意は大分薄らいだ。剣から完全に手を放す手続きを終える様な様子で彼女は二人を見ている。

「ヴィヴィオ様はこれから処置のダメ押しをするために忠夫様の関係者の各方面に声をかけて回るつもりの様です。そしてその際にご自分の口から話されると仰っておりました。 そして今はユウキ殿に事態の説明をさせていただきます」

 シンセシスがアリスに持ち掛けられたことを話始めてしばらく経つとユウキの手は直ぐに剣の柄から放れた。

「そうだったんだ。それなら僕にも言ってくれればよかったのに。なんで黙っていたの?」

「アリス様が言われるには、自分は人形劇をやるから演技には長けているけど、長時間やるのは厳しい。だからこそ忠夫殿の傍にいる時間も最長でも一日数時間にして隠したけど、ユウキ殿は良くも悪くも付き合いが長いから、忠夫殿の隠し事を見破れる半面その逆もあり得ると」

 シンセシスの答えにユウキはそうかもしれないと思ったようだ。それに今回の横島の寿命を削る術に対する才能を潰すたくらみはかなり周到に練られていた。敢えて彼に恋愛感情がなく、企みも知らない女騎士たちを迎えに寄越し、
そして彼を大使館に迎え入れた後、全ての彼に恋愛感情を持たない、諫言してきそうな女騎士たちを出撃させて逃げ場が完全になくならせて、さらにはシンセシス以外の企みに関与している騎士は彼と顔を合わせないようにするという徹底ぶりだ。ユウキは少し考えた後に質問をした。

「この状況じゃ忠夫は前世のこと知ったら、仲良くなったモヒカンさんたちが死にそうとかなったら絶対に、その前世の術を使っちゃうね。見かけによらず仲良くなった男友達には義理堅い面もあるから。僕としてはモヒカンさんたちが死んだり悲惨なことになったら、
ジャギやアミバ辺りは絶対にいい顔しないと思うよ。あの二人から心証が悪いと、忠夫との付き合いにはかなり支障をきたすと思うけど」

 横島達はただでさえも仲が良かったうえに、女権国家に来てから苦難を共に乗り越えた回数が多いので、その結束はすさまじいものがある。
ジャギやアミバが嫌った所で横島の性格上自分を慕う女子たちを切ったりはしないだろうが、無理やり逆レしてきた女性よりは彼らの方が優先度は高いだろう。それに対してはユグドラが言葉をかけてきた。

「そのようですね。だからこそユウキさんにお願いしたいことがあります。忠夫様の失った術というか技の才に対する補償の準備はもうできています。 だからこそ彼に新しい術を覚えさせることと、完全に寿命を削る術の才能を潰す処置のご協力をお願いします」

 そこまで聞くとユウキの顔色が変わった。

「その術の才能まだ完全に潰れてないの?」

「『今は』ヴィヴィオ様が全力で動けば彼の術の才を何とか戻せます。ですがヴィヴィオ様の助力がなければその術の才能は戻ってこない程壊れています」

「分かったよ。何でも言って。仮にその補償が十分でなくても忠夫の寿命を削る技の才能を潰すなら協力するよ」

 ユウキの言葉に愛歌はあっさりと答えた。

「そちらの補償が十分でなくても私の方にも補う用意はできているから、安心しなさい」

 その言葉を聞きシンセシスは敵意ではないが愛歌を警戒するような眼で見た。もしも保証が十分でなければ英雄を盛り立てる妻としてヴィヴィオへの評価は相当に落ちそうだ。

 二人が口上を伝え終えて帰還すると、不意にアリスが姿を現した。初めて横島達の前に姿を見せた時と同じく、まるで最初からそこにいたかの様だ。 彼女は優雅に一礼し二人に謝意を示した。

「ユウキ、愛歌ごめんなさいね。忠夫が前世で使っていた術、それを使えなくする為の処置を無断でしてしまって。ユウキ、貴方に黙っていたのはシンセシスさんが言っていた通りの理由よ。そして愛歌、貴女は私達が他の才能まで壊しそうだったら直ぐに邪魔に来ていたでしょう?」

 その問いに愛歌は頷いて肯定する。

「ええ、明らかに好意だけで害意はなかったし会話の内容も聞こえていたから」

 愛歌が言葉を返したあと、ユウキは明らかに協力的な様子で言葉を返した。

「アリス事情は分かったから気にしないで。忠夫の寿命を削る技の才能を潰すなら協力するよ」

「ありがとうユウキ」

 綺麗な笑顔で礼を言うアリスにユウキは少し気になっていることを聞いてみた。

「アリス、忠夫が前世で使っていた技って何なの?」

「ファルガバードの暗黒剣よ」

 それを聞きユウキが納得済みの顔になった。かつて聖王全盛の前に聖王が戦った多くの魔物たちを切り伏せたという魔剣士たち。彼らが戦ったのはそういう魔物だけではなく、行き過ぎた正義故に悪と同じ行いをした聖職者の軍などとも戦っていた。
その中で陰陽術をと魔剣を使い、聖王の聖なる力の効きが悪い相手を倒して回った陰陽師であり魔剣士でもあった高島忠助(ただすけ)彼は敢えて本気で聖王と戦い敗れた後、彼女と敵対する聖なる属性を持った者たちを倒して回り宣言した
。『自分を倒した聖王陛下こそが真の聖なるお方、誠に聖なる行いをしていれば、陛下の様に我が負の力など跳ね返せるだろう』

488 :名無しさん@狐板:2022/10/17(月) 23:17:20 ID:qQ1v8Z7b

 闇が必ずしも悪ではないという東洋思想を持っていても、彼は西洋の思想も理解が深かったらしい。それを使って多くの道を踏み外した聖職者たちを正気に戻していた。 
悪ではなく、間違えてしまった聖職者たちをなるべく殺したくないと言う意図を叶えながら、彼女の攻撃の効きが悪い相手に常に前に出て守りぬき、暗黒剣を使った代償で寿命が縮まってしまった。

 そこまで話を聞くとユウキは言った。

「その才能もう完全にヴィヴィオでも治せないように壊せないかな?」

「今はまだやめておいて準備だけにしておきましょう」

 そういうとアリスは壊れ物を抱える様に横島を抱くと呪文をかけ始めた。彼の体がユウキにとっては懐かしい子供の頃の姿へと戻っていく。 子供に戻り切った彼をアリスは壊れ物の様に抱きしめると、
ベッドの上に置き人形劇の準備を始めた。眠る横島の様子を見る限りでは彼の夢にそれは大きな影響を与えているようだ。愛歌はそれを見ながら言った。

「上手いものね。 ヴィヴィオと横島が組手した時もそれをやっていたでしょう。 確か水泳の後にヴィヴィオにされた逆レイプを思い出す様に仕向けていたわね」

「ええ。感触が蘇ってこの子が元気になりすぎて組手どころじゃなかったんじゃないかしら」

 この子の下りで横島の分身をアリスは愛撫ながら笑った。電撃が走った様に痙攣みたいな反応をする横島を見ながらアリスは笑う。

 横島は目を覚ました瞬間、混乱の極みにあった。自分の精神と体が明らかに幼いころに戻っており、そして目の前には妖艶で恐ろしい笑みを浮かべる魔女がいる。

「忠夫、どうだったかしら昨日の夜は」

「あ、ああ」

 横島は一気に震え上がった強すぎる快感と術を無理やり行使させられ、魂が敗北を連敗した時の恐怖を思い出した。なによりもその恐怖がありながらまたあの快感を味わいたいと思っていることが何よりも恐ろしい
。逃げようとする横島を、アリスは信じられない程速い速度でとらえた。
それでいながら抱きしめてくる手は一切彼に苦痛を与えず吸い付くような肌と指が快感を伴う脱力を与えてくる。 アリスは親がする様な軽いキスを何度かしてきたがその度に自分の意識が飛びそうになる。彼女は笑いながら誘惑の言葉を続ける。

「そうやって『どこかに行ってしまいそうな雰囲気があるから』陛下や貴方を好きな女騎士たちも貴方を縛るために過激な快楽を与えてくるのよ。それとも強すぎる快感でいじめてほしいの? まあ、そうでなくても最終的にはあまり変わらないでしょうけど」

「ア、アリスまだ儀式まで時間あるんだろ。それならなんでワイを子供の姿にしたんや?」

「根回しは済んだから、ここから先は私の楽しみと貴方の逃げる気をなくさせるための行動だから」

 そういってついに唇を奪った。上質の絹糸で愛撫されるような感覚が体の内部に広がっていく。そして上海人形と蓬莱人形が彼の服を脱がせるとアリスも、人形にすら見える美しい肢体をさらし彼の分身を飲み込む。 
声すら出せない彼と繋がりながらアリスは丁度乳房の位置に頭が来るくらいに縮んだ彼の口の中に乳首を入れるとそのまま頭をなで始める。ツボを押されたような感覚が彼の理性と我慢を溶かしていき、その彼の頭をなでながら言う。

「ヴィヴィオ陛下や騎士たちはいささか行き過ぎた快感を貴方に与えるでしょうけど、その後には私がこうしてあげるから。そうしたら彼女たちにまたいじめてほしくなるでしょう?」

 何度も彼女の中に精を放たされながら彼はどんどん自分が沈められていくと思った。真冬の朝の布団の中にいる様な抜け出しづらい感覚が強くなり。最高に強い快感を送り込んでくる、
絹糸の布団の中にいる様な感触が彼を包み続けてくる。 抵抗しなければという意思も頭のツボを押されたり、撫でられるたびに激しさを増す射精の度に溶けていくような感覚がする。

 すっかり気をやった様子の横島を抱きかかえると、彼女はユウキに目をやった。

「後は任せてアリス」

「ええ。……あの、ユウキ儀式の下ごしらえが終わったら、もう一回私とも交代してくれない?」

「うん、いいよ」

 アリスとの性行為で気持ちよすぎる温泉に入ったかのように頭が動かない彼を見据えると、ユウキはあっさりと彼の分身を飲み込んだ。優しく抱きしめつつ、
女権国家に来てから変わった体で彼の内部の何かを屈服させながら、幼馴染だけが知る彼が逆らい辛い口調で命じだした。

「忠夫! 寿命を縮める暗黒剣なんかに頼ろうとするから聖王様とアリスが心配しちゃっているよ。早く完全にそれを放棄して」

「も、もう才能が潰れて覚えることはできないって」

「これから完全に潰すから同意して! そうしないと僕も安心できないから」

 ユウキの命令だけではなく懇願の籠った様子の言葉に彼が折れるとそのまま射精と同時に彼は同意の声を出した。

「わ、わかった。 あーー!」

 最後の同意を聞いた瞬間ユウキがより強く彼を絞り、その同意した事実を彼に強く焼き付ける様に搾り取った。

 アリスは普段とは違う妖艶な魔女を思わせる笑みを浮かべながら、ユウキに言言葉をかける。

「ユウキこれからの数日間彼に取る処置の効果を上げる処置をとるから協力よろしくね」

「任せて」

 アリスが呪文を唱えるとユウキが彼女の使い魔へと一時的に転じた。そしてインプに転じたユウキは言う。

「それで忠夫の精神に干渉する手伝いをすればいいの」

「ええ。 こういうのはあまり好きじゃないんだけど、いえ好きだし楽しいけど、誠実な対応をしてきている男性にはしてはいけないことだからあまりできないの。だからこそ、この機会にうーんと楽しませてもらうわ」


 そういうとアリスは魔女の笑みを浮かべ横島の唇を吸い始める。彼女とインプとなったユウキも彼女の手足の様に動きながら、彼女を手伝うように混じった。

 二人が彼を嫐っている寝台の近くで、人形たちが動き始め、横島を模した人形を複数の女性の人形が嫐る人形劇が起こり始める。これは彼の夢に大きな影響を及ぼしていることは一目瞭然だった。

 ヴィヴィオの所に再び連れていかれるまでの時間が横島にはどれくらいだったのか、わからない。五日以上だったのだけは間違いないが、体感時間が快楽と意識の断絶が何度もあったため正確な時間を計れないのだ。

 アリスの冬の布団から出られなくなるような快楽と吸い付くような肌の快楽が寝所で彼を溶かしていき、ユウキまでもが一緒に手伝い始めてからは一気にそれが強まった。焚かれた香が眠気と快楽を強くし、
子供に戻されて脳が小さくなったことで一気に埋めてくる快楽がすべてに届くようになったかのようだ。

 ユウキが時には姉の様にあるいは母親の様に叱りほめたたえながら彼の分身を胸で挟みぬきながら言う。

「聖王陛下に従って。全ての邪教の暗黒剣の才を捨てて。陛下は選ばれた聖なる王だから、彼女の忠夫と共に居続けたいという、聖意に逆らっちゃだめだよ」

「あ!あー! だ、だがそれは」

 自分でも何が悪いのかが思い出せない快楽とお香で機能の落ちた脳はユウキとアリスから与えられる限界を超えた快楽を味わいたいという思いと、逃げたいという思いが同時に生じそれを対処することすらできずにいた。

489 :名無しさん@狐板:2022/10/17(月) 23:18:31 ID:qQ1v8Z7b

「ほら、陛下の嫌う才能を捨てない不忠者にはお仕置きだー!」

 女権国家の影響を受けた彼女は横島が自分の与える快楽に屈服することを心底楽しむようになっていた。また一時的とはいえ魔女であるアリスとの契約が、彼女に横島から自己犠牲の暗黒剣の素質を奪うという点での容赦を取り払っている。

 ユウキとアリスに閨の中で嫐られながら時間がたち彼は気が付くと馬車に乗せられていた。

 こと事とした馬車の揺れとアリスとユウキの体温が余計に眠気を強くさせてくる。ヴィヴィオの前に連れ出された時、快楽と眠気で朦朧とした彼を見ると彼を犯した時と同じく成人の姿を取っているヴィヴィオは満足そうに頷いた。

「完全に仕上がってますね。見事な仕事です。アリス、ユウキ」

「そりゃ頑張るよ。忠夫の寿命を削る術の素質を完全に消し去るためだもの」

 臣下というわけではないので、自由な物言いが許されているユウキとは対照的に、それほど強くはないとはいえ。宮廷魔術師となったアリスは礼を取りながら言葉を返した。

「聖王陛下、お褒めの言葉ありがとうございます。それと今回の仕上げにはオリヴィエ様とヴィーラ様が来られるとか」

「ええ。あの二人なら絶対に大丈夫でしょう。 才能を潰した後のケアには愛歌さんとリグルさんに手伝ってもらいます」

 謁見の魔に赤と黒を身に纏った豊満な姿の美女=ヴィーラとしなやかな体をしたどこかヴィヴィオと似た雰囲気の少女=オリヴィエが訪れた。それを見てヴィヴィオは満足そうに笑う。

「それじゃあ。ことに移りましょう」

「はい。全ては聖王陛下の御心のままに」

 ヴィヴィオの役に立てることを心底悦んでいるヴィーラの声に、ヴィヴィオの意を叶えることをまるで『自分の事の様に』喜んだ様子のオリヴィエが応じた。

「陛下早くまいりましょう。一刻も早く彼から邪法の素質を消し去りましょう」

「そうですねオリヴィエ」

 ヴィヴィオが頷くとオリヴィエは不可解な行動をとった。もはや抵抗することができない横島の首筋に手刀を当てて、気絶させた。
苦痛を一切与えずに落とすそのやり方は彼に対する害意がないのは明らかだが、そうする必要は明らかにない。怒るというより疑問めいた目をむけるユウキにアリスが声をかけた。

「忠夫が目覚めるまでに説明するわ」


 次に横島が目を開けた時に待っていたのはヴィーラが後ろから彼を抑えながらオリヴィエが前から彼に覆いかぶさり一気に彼の分身を加えこみ貪ってい要る状態だった。

「忠夫様、目を覚まされたのですね。ここからは意識を取り戻しながら敗北を脳に焼き付けて聖王陛下の夫に相応しいお体になってください」

 丁寧な言葉とは裏腹にあざけるようなヴィーラの声が恥辱心とヴィヴィオやアリス達に嫐られ覚えた被虐の悦びを刺激する。彼の分身がより固くなったのを感じ取りオリヴィエは嘲笑めいた目を向けてきた。

「忠夫さん、以前に貴方に何度か助けられたことがあるオリヴィエです。一応はヴィヴィオのいとこで聖王の系譜の一人ということになります。今夜貴方から暗黒剣の才能を完全に絶つ厄を担ったものです」

喋れないほどに彼を絶頂させ続けながら、敢えて彼女は落ち着いた丁寧な声で自己紹介をした。今もアリスに操られ奉仕系の性魔術を使わされているが、それでも彼女にしてみれば余裕がたっぷりとあると、
告げるためにそうしているようだ。彼の大人に戻された体は脳も元に戻り、そして快楽を流し込まれる用も一気に大きくなっている。ヴィヴィオと似て非なる彼女の与えてくる快楽に屈服しつくし始めた頃オリヴィエが手を彼の腹に当てた。
その瞬間、彼の分身から出る敗北の証の噴出が一気に上がった。さっきまでの快感もすさまじかったが、今の彼女はヴィヴィオや他の女性達を大きく上回る快感を彼に与えてきている。
最も他の女性達の与えてくる快楽にも彼が勝てることは絶対にないだろうが。 強すぎる快楽で発狂しそうな彼は声にならない声をあげた。

「〜〜!」

「実は私は義手なんです。 そしてこの腕はアリスさんが幾つもの人形劇で使った聖王の人形で作った義手ですから。聖王陛下のしたことを再現できるんですよ」

「い、今もそれやっとんのか?」

「ええ。貴方の前世である高島忠助に惚れた聖王は、彼に暗黒剣を使わせないために手刀で彼を気絶させそのまま寝室に連れ去った。そして騎乗位で搾り取りながら、彼に自分の許可なく暗黒剣を使わないと宣誓させたとあります。
そしてその際には腹に手を当てて気を一気に彼の生命力を操作し沢山の精を搾り取ったと」

 オリヴィエが笑いながら腰を動かすと彼は悲鳴めいた声になりながらも質問をした。

「ど、どうしてそんなことを。もうワイは才能潰れていて」

「一応私たちの協力なければ不可能とは言えまだその才は再生する可能性が残っています。だから完全に絶つ儀式なんです。 宣誓なさい、許可なく暗黒剣を二度と使わないと」

「許、許可なく暗黒剣を二度とつかいません」

 オリヴィエの圧倒的な全ての臣下の反抗心を押しつぶす王を思わせる目、日ごろですらも抗いがたいそれを閨の中で完敗している状態でぶつけられて、彼はすぐに屈した。
オリヴィエは満足そうに頷きつつ、から一気に搾り取ると。指一本動かすことすら困難な彼を満足そうに眺めながらヴィーラと入れ替わった。そこにヴィヴィオとユウキとアリスの三人が入ってくる。

「忠夫〜、さすがに今のは、王国男子として情けなさすぎるよ。 早いのは仕方ないけどせめて意思力で我慢したら〜?」

 笑みを浮かべながらあざけるユウキの言葉に、ここ数日の閨の記憶が鮮明によみがえり、彼女に対しても抗いがたい感情が芽生えてくる。その瞬間に、ヴィーラが彼を押し倒し唇を奪った。

「忠夫様、私は両刀です。陛下を護る戦いで貴方に助けられ好意を抱いた、惚れたと言いました。その言葉は嘘ではありません。ですが一番の相手は聖王陛下です」

「な、なんでそんなことを」

 わからないという様子の横島に彼女は言う。

「今回の処置で貴方様の意思があまりに強固なら惨すぎる快楽での尊厳破壊と一時的な精神破壊もしなければならないと言いました。他の面子と違って私は聖王陛下の命令である場合に限っては貴方にも惨いことができます。 ――ですからあまり強固に耐えすぎないでくださいね」

 ヴィーラの声音から一切の嘘がないことが分かり怯えつつある彼をヴィヴィオが彼を後ろから押さえつけて整体師の様に体のあちこちを刺激すると、その度に分身が元気づき始める。
ヴィーラが笑いながら彼を抱き込み正常位で抱え込むと両手両足で拘束されて動けない彼をヴィヴィオが背後から迫り彼の背中を押し始める。ヴィーラの中に飲み込まれた分身がヴィヴィオに背中のツボを押されるたびに、射精し、つぼを押される快感で動いてしまうたびに、分身がヴィーラの中で嫐られる。

「陛下、どうですか臣下の騎士よりも下にならせるだけではなく、彼の精神を一時的な崩壊も必要ですか」

 横島を閨で嫐りながら、敢えて彼の心への敗北感を与えるための発言にヴィヴィオは笑って答えた。

「大丈夫ですよ、ヴィーラ。彼の才を潰すにはそこまでする必要もなさそうです。それにあなただって、私の頼みや命令ならやってくれるとは言っても、彼にひどいことするのが嫌でないわけではないでしょう?」

「ヴィヴィオ様……!」

 ヴィヴィオの言葉で喜びから絶頂したヴィーラの膣が彼の分身を一気に締め上げ、彼は強すぎる快感から意識を失った。

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