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【R-18】Mシチュスレの引用スレ

1 :名無しさん@狐板:2020/01/19(日) 00:15:29 ID:bMTYbG3g



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       ノム|::| |      |   |::ト、〉
      |├|::|ノ|      ├<二ノ
      |八`゙/ミ      ノ⌒ヽW
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当スレは某R-18スレの長文レス、SS、スレ主以外のAA・支援AAを投稿する場所です
それ以外での使用はお控えください

158 :名無しさん@狐板:2021/03/25(木) 22:49:16 ID:cUq5C+yT


【必需品ローテーション枠】

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1-C煙幕 レア度☆☆ 買値3000m 売値1500m


ターンを消費せず、INT判定に成功すれば逃走することが出来る(最低2割) 
煙幕に巻かれて視界を取り戻したころには童貞を喪失していた、そんな夢を最近よく見る。

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3-A 魅惑のランジェリー レア度☆☆☆☆ 基本買値23000m 売値13000m

魅了の術式のかかったサイズフリーの高級下着。好感度70以上のヒロインに渡す用だが……
カモがネギしょって鍋に入ってますよ。
ヤンデレでなくとも女の子にとっては理想的な状態。つまりは「空鍋」の対義語ということです

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4-D 安酒 レア度☆  基本買値 500m 売値 250m

安くてコスパのいいお酒。安酒には安酒の良さがある。
安酒で潰されてお持ち帰り、物置みたいに狭い場末の安宿、ギシギシ言うベッドで逆レイプ。
とてもいいものですね。

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63‐Cレア度☆☆
基本買値900m 売500m
【アイテム】精神向上薬
【内容】
精神を上向きにする薬。【抑鬱】や【じぼうじき】など、精神的に弱ってる時に使用する。
その一日の間精神を上向きにしそれらの効果を打ち消す(別の状態に上書き?)。
ただし根本的な治療にはならない為治したいならそれ用の施設へちゃんと向かうこと。
またこの薬は精神を上向きにするがその分迂闊な行動に出たり、誘惑に乗りやすくなったりする。

精神科って素敵なところだよ。

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【ランダム入荷枠】

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9-A
人造大鳳くん  レア度 ☆☆☆☆ 受注生産品 時価

容姿肉体性格能力が本物そっくりな人形
コピーを苛めるのが大好きな変態おねぇさんに依頼すると作ってもらえる
どうやって持っているのかについて触れてはいけない
一人につき一回即死を回避できるぞ。やったね!
一体までしか持てず、入手するときの判定に失敗すると……?

こんなものを作れる相手がまともだとは思わないほうがいい。

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79‐A
レア度☆☆☆☆
基本買値25600m 売値12800m
【アイテム】堕ち度チェッカー
【内容】
スカウターを参考に作られたアイテム。どのくらい虜になっているかを色の濃さで、
その対象を矢印で見える眼鏡。調教の補助や簡単な好感度チェックのために開発された。
しかし、これは発売後直ぐに不具合が見つかったとのことで販売禁止、回収されることになった。

実はその裏には国が関わっており、他国で工作員が虜にした人物を見抜かれる可能性に気づき、
慌てて回収したのが真相。大半は回収されたが、一部好事家などが隠し持ってるという噂もある。

なお、【穢れなき純潔の束縛】など一部の効果によっては誤魔化されることもあり得る。
もっともそれほどの効果をつけられる者は少なく、テストの際にも気づかれていない。

堕ちているのを自覚するのにも使える。
だからと言って忘れられるわけじゃないけども。

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【希望入荷枠】   ※今回は知り合ったばかりの楯無さんにあげるプレゼントが欲しい!という希望と想定しました

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58‐B
レア度☆☆☆
基本買値10000m 売5000m

【アイテム】艶舞扇
【内容】
好感度アイテム(専用?)兼装備。美しい高級品の扇子。その見た目の美しさから
扇子を愛用している人から人気がある。様々な高級な素材を使用しているため当然高額。
魔力が込められていて扇ぐと良い香りと気持ちのいい風がする。また舞にも向いており
その舞の魅力を高める効果もあり、特に艶やかさが増す。魔力があるので術の補助もでき、
戦闘にも耐えられるのでそちらの層にも需要がある。

片手に扇を持ってもう片方の手で抱き寄せる。
寵愛。

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159 :名無しさん@狐板:2021/03/28(日) 23:21:57 ID:LuMXRUnM
このSSは女権国家の来世物と真・女神転生ifのクロスもので横島が主人公です。 注意点がいくつかあります。

@9割オリキャラが師匠ポジとして出てきます。そのキャラクターの設定と横島の師匠にした理由は以下の通りです。女神転生ifの主人公は全員死ぬ度にガーディアンが守護霊として付きます。中でもスピードタイプの主人公は
上位のクラスガーディアンが横島と縁があるものが多い。妖魔ハヌマーン、魔王アスタロト、魔神オーディン(ワルキューレの主君であり創造主)破壊神シヴァ(横島に憑依したことがある韋駄天神の父親)彼はレイコルートを通ったので
余計に横島と縁が深い感じです。パートナーのレイコはアシュタロスの元だった女神イシュタルがガーディアンだったので。

A女権国家で原作的には横島のヒロインに関わりがあるけど、出演しない可能性の高い女性や、ヒロインとして採用されていない可能性の高い横島のヒロインとして推薦された女性も出てきます。また横島ヒロインが
設定上配下にできそうな女性も出てくるかもしれません。

B女神転生ifの設定やストーリを使っているけど、原作が殆ど崩壊しています。ゲーム上あり得ないことが起こりまくっているうえに、デビルサマナー世界でしかない施設とかも出てきます。

C女権国家世界で横島は何回か転生していてその都度、英雄になっています。


D表向きだけかつ、女性に逆転される前振りだけど男性優位の性描写が入るかもしれません。

E後遺症は残らないけど暴力的要素や逆リョナ要素が入るかもしれません。

F女神転生ifのラスボスは人格ではなく成し遂げたことや強さの評価が公式作品によって激しく分かれているので、自分の都合の良い様に解釈して書いています。

G女神転生ifの時代はコンビニなどがなかったのでその頃の時間軸です


これはひどい真・女神転生if

 快楽しかない霞がかかった様な意識の中で横島は、直ぐに気づく。自分は眠っており、これは夢であると。夢の中の自分は全身が快楽の海に浸されていて、ただ自分は多くの絶対的な存在にあらゆる快楽を与え尽くされる愛玩動物となっている。
そして夢の中の自分は老人であり自分を嫐る快楽の海の正体は死ぬ間際の走馬灯だと理解する。今自分は美しい中世を思わせる美しい古城の寝室にいる。そして周りにいる女性達は皆嬉しさと別離に耐える苦痛がないまぜになった様な目で
自分を見ている。これは最愛のペットや番犬を失う前の風景みたいだな、とふと思った。人間の別離とは違うところは彼女たちの目に宿る光は、絶対にもう一度このペットを得ようという確固たる決意が目に宿っている。
女性達の中から夜の支配者を思わせる黒いマントに身を包んだ少女が前に進み出ると、彼の衣服をはだけた。寝たきり老人に不相応な戦いに特化した筋肉のついたしまった体が夜気にさらされる。
彼女は幾つかの傷跡に愛おしむ様に舌を這わせた。彼女に舌を這わせられた快楽で、横島が僅かに痙攣したのを見ると、彼女は即座に首筋に歯を針の様な牙を突き立てた。走馬灯がもたらす快楽の海から、
首筋に刺さった氷柱の様な牙がもたらす快感が夢の中の彼を、走馬灯の快楽の海から彼女たちの目の前に呼び戻した。
 苦痛一歩手前の快感がぼんやりとした思考を逆にクリアにしていく。血を吸われながら過去を思い返し、彼女の牙は時には快楽をもたらす電撃の針の様であり、時には今の様に氷の様だったと思った。
快楽で痙攣しながらも意識が覚醒した自分を黒い衣装に身を包んだ少女は見下ろしながら口を開いた。
「バカ弟子が、お前の十数個前の前世からの悲願は達成されたぞ。それにしてもぶれない奴だ。打ち止めになり一物も立たなくなった状況になっても、走馬灯の中で見るものは私たちに、嫐られ続けた記憶とはな」
 血を飲まれて快感と屈服間で動けない横島を見ながら目の前の夜に合わせて作られた美術品の様な少女は笑いながら言葉をつづけた。
「そこまで私たちが与えてきた快楽は抗いがたかったか?今回の転生先は男性優位国家で、女に閨の中で負けるは大恥なのに、一度私に犯されてからは、見下す目と罵る言葉でこの愚息が立たない日はなかったな」
 恥ずかしがりながらも何かを訴える横島を見て彼女=エヴァンジェリンは、少し名残惜し気にしながらも、からかうような口調を改めた。
「心配は無用だ。今回の戦いで人間の男以外には倒せぬ様に作り出されたあの魔物は全滅した。もう私たちを脅かすことはないだろう。最初に悲願が達成されたと告げられた時に9割程安心して欲望に負けるところもお前らしい」
 心の内で私たちの脅威が去らない限りは欲望に負けないだろうなと思いながらエヴァは言葉を続けた。
「端的に言うお前の命はあと10分持つかどうかだ。毎度のことだが私たちの盾となり剣となるために最後の戦いで霊力を使いすぎた。私たちにとっては来世も前世もお前であることに変わりはないが、今生のお前が最後に言い残すことがないか聞くべきだと、
いう事になった。遺言の聞き届け役は人形を操り人体への造詣が深い、私かアリスが一番の適任だと考えられたが、吸血鬼としての血を吸った際の共感能力も使える私が遺言の聞き届け役になった」
 老人となった横島が声にもならない呻きを矢継ぎ早に言うと、エヴァは頷く。
「少し記憶が混濁しているか、大鳳やジャギと共に駆けたのは何百年も昔――幾つも前の前世だ。王国がどうなったか? 聞いてどうする?『今の』お前には関係のないことだ。だが一つだけ今のお前にも無関係ではないことがある。それだけは告げよう。
お前は男友達を見る目はあった。あの二人は武神と護国の神と祭り上げられ天に座す今もお前への義理と友情は忘れていなかったぞ」
エヴァの嬉しそうな声を聞き横島は首を振ると僅かに体を動かした。それですべてを察した彼女は立ち上がると呪文を唱えた。月明かりの光を集めたような光が彼女を包みその光が止むと、夜を統べる女王としか思えない少女は消え去り、
代わりに研ぎ澄まされた魔性めいた美貌を持った美女が現れた。月明かりを思わせる優しい光が作り出したとは思えぬ不相応な恐ろしさの美女であったのは数舜で、目の前の老人が再び視界に入るとその瞳に慈愛が宿り、
月の光が集まってできた女神そのものとなった。
「この姿の方が嬉しいだろう。遠慮するな。 最後の時くらいは素の姿でお前と接したいのでは?だと。この姿も偽りの姿という訳でもない。――なによりも、来世でもお前を逃がす気はない。私の最愛の盾である番犬にして、災いを狩り尽くした猟犬よ」
 エヴァンジェリンは横島を抱きとめると、空を飛び城のテラスに移った。死にかけた横島に一切負荷をかけないその術は神業の域としか言えない。
テラスから見える月明かりの下の絶景に目を奪われる横島を彼女は後ろから抱きとめた。乳房の感触がもたらす快感で全身がおかしくなる横島を心底愉快そうに彼女は嘲る。
「最後くらいは色慾より美を愛でる事を優先しようと思ったようだが見事に欲望に負けているな。ぬ、最後の遺言はなんだ。 一度くらいは完全に男性優位な国で最後まで過ごしたいか。お前の積んできた善行を思えば冥府の神も嫌とは言うまい。
私たちはそういう性交が趣味ではないのでな、来世の来世であおう。男性優位な国で一度一生を過ごして満足したら必ず戻ってこい、などとは言わん。ただこの快楽を忘れるな」
 そういうと彼女は横島の首に?みついた、寿命で逝ったのか快楽によるショック死か、判別がつかぬ形で横島はこと切れた。

160 :名無しさん@狐板:2021/03/28(日) 23:34:23 ID:LuMXRUnM
横島は自分の意識が快楽の渦から浮上してくるのを感じた。夢を見終えた時、自分は完全に夢の中から切り離されて夢の中の彼女達と過ごす自分と別の存在になる事を理解する。目を開けると、完全に現実世界に帰還した実感を得るが、
川の中や海の中から出た直後の様に、夢の中で味わった快感と浮遊感が体の中に残っている。時計を見るとまだ学校に行くには余裕だが朝食を作るのは不可能な時間だ。料理上手と言う訳ではないが、
半年前に師匠に自炊を仕込まれた身としては、朝食をとれないのはきつい。
「師匠なんで、起こしてくれへんかったんや!」
 そこまで言った瞬間、師匠は既にいなくなっている事を思い出した。3日前の金曜日の夜に、自分が最後の試練を超えたのを見届けると成仏した。何時もなら師匠に『さっさと目覚めて飯を作れ。ちゃんと食わないと修業の効果が薄れる』と
言われていたのが当たり前だったが、彼はもういない。寂しさを僅かに感じ、ガーディアンと呼ばれる守護霊であり、異界の中に居る時や、特別な処置を施された状態以外では実体化できないが、それでも彼は家族だったのだとふと思った。
 僅かな寂しさを覚えながら一階に下りると、台所から良い匂いがしており、食卓の上に洋風のサンドイッチが並べられており、青い髪に映える純白の服に身を包んだ女性がいた。
「マイさん作ってくれてたんか」
「青木さんからの最終試練を超えてその後に、業魔殿に行ってあの娘達から剣と新しいガーディアンを貰う儀式の為に絞られつくされて、ベッドで惨敗して余りにも女性優位の性交で男のプライドが崩れて、
昨夜は私にベッドの中でイキり散らしたと思ったら、やり過ぎて起きられなかったとか、師匠が成仏した後で良かったわね」
 横島はそれを言われて自分の醜態を思い出した。業魔殿のガーディアンを呼び出して付けるサービスをしているアリスとサマナーにあった剣を作ってくれる夢子の二人に散々に絞られた。
彼女たちが言うには自分達はイシュタル神の力も借りているから、性行為を通じて神通力を与えるのだと言う。サマナー達からも畏れられる業魔殿の赤メイドと青メイドの二人を相手に出来たのは羨ましがられるだろうが、
男性優位の性行為が当たり前の家に生まれた自分としては誇りが砕け散った夜だった。快感で意識が飛んだのと忘れたいと言う思いが、今まで記憶を飛ばしていたのだろう。ばつが悪い思いをしながらも横島は反論した。
「仕方ないっしょ。別に家はそこまで厳しくないサマナーの家だし、ベッドの中で負けようが、咎められる訳じゃないけど、恥ずかしい事だって意識は強く残ってんすから。それにあれはマイさんの罠だったじゃないすか」
 マイに渡された儀式の為の薬を飲み干した瞬間体が動かなくなりそのまま寝室に運ばれて、男の誇りの虐殺ショーが開催された。観客は目の前の恋人一人だった。誇りが死んだ横島を見て一流のコメディアンを見たかの様に爆笑していた。
「ベッドの中で私に負けそうになると必死になるあんたが、女に完敗した時の様子を見たかった。悪い事をしたと認識しているけど、正直罪悪感はないし、反省も微塵もしていない」
「それどころか爆笑してたじゃないですか。自分の男が他の女に犯られてなんか思うところないんすか」
「爆笑だったけどあれは嘲笑とも言うわね。私も魔術に関わる家だから、儀式的な性行為や人外との性行為に対しては余り浮気されたと感じないのよ。しかし、あんた意外とMの素質あるんじゃない? 私に嘲笑されたら射精の量が増えていたし。
あの二人も不思議そうな顔してたわ」
 その後横島を絞る二人にも分り易い解説をわざわざ横島にも聞こえる様にし始めた彼女を思い出して、横島は彼女との結婚が上手くやれるか大きな不安を覚えた。彼女は人外の血が入っているか、もしくは人外その者らしく、
子供の頃から横島の面倒を見ていた。今は軽子坂高校の大学部にいるが本当の所の年齢は疑わしい。彼女は気弱で天使の様な女性を演じることがとても上手かったが、横島に対しては控えめに言ってド畜生だった。
しかも好きだからこそ虐めたいと思っているのが伝わるように虐めてくるので余計に質が悪い。横島の性質上彼女にひどい報復などもできる訳がなく、色々あって彼女が許嫁として体を許してくれるまで、
横島は彼女に勝てたことは一つもなかった。ベッドの中で初めて勝った時も、死にもの狂いで彼女がもたらす快感に抗い辛うじて勝ったくらいだ。満足感と大きな違和感があったことを今でも覚えている。
普段の完全に尻に敷かれ尽くしたこの関係こそが寝所の中でも自然なのでは、と思う時が多い。


 マイの作ってくれた朝食を取り終えると、横島は出かけた。マイは講義が午後かららしく、慌ただしく動く横島を面白そうに見ながら、時々からかってきた。

家を出て僅かに余裕のある通学ができる時間帯に家を出ることができた横島は歩きながら、師匠氏の喪失を実感し、様々なことを思い返した。自分が悪魔と言われる存在と触れ合った時、
不意に自分に乗り移り助けてくれたのち、半年だけ師匠となってくれた青木仁(あおきじん)彼は横島がとてつもない危機にあった時、横島に乗り移り凄まじい“速さ”を伴う技で悪魔を切り伏せて助けてくれた。
そして横島がわずかでも霊能に関わる者だと知った時、しばらく自分を守護霊として側においてほしいと言ってきた。横島は直ぐに頷いた。なぜか彼の事を他人と思えなかったからだ。そしてマイが僅かとはいえ、
危険な霊能絡みの仕事をしていると知った時自分は彼に、戦いを教えてもらうことを頼んだ。彼の境遇は自分と似たところが多々あり、ほとんど一般人とはいえ、霊能者としての心得も僅かにある自分以上に一般人でありながら
過去に大きな霊障に巻き込まれた。素人から修羅場を潜りその後に武術を学んだ彼は自分の戦い方に近いと感じたからだ。弟子入りを頼んだ時の彼の言葉は今も印象に残っている。
少し考え打算上それが良いと思った様子になった後、少しだが横島を気遣う様子になり言葉を返してきた。
「私はそれほど器用ではない。だから、私が過去にやられて結果的に強くなったことをやるだけだが構わないか?」
「それでええ。盾になりたい女がいるんや」
 その言葉を聞くと彼は少し共感するように笑った。
「そう言われたら断れないな。私が初めて鉄火場に出た時と同じ理由とはな」
「弟子入りの対価はあるか?」
「お前は霊能も多少使えるから私が頼むことをできる範囲で調べてくれ、そして質問するなとは言わんが、私が答えない時は言えないことだと納得してくれ」
「分かった。これからは師匠と呼ばせてもらうけど、師匠の名前を聞かれた時に答えられんと困るから教えてくれるか?」
横島のその質問に彼は思案顔になり口を開いた。横島に説明しつつ自分の考えをまとめるようにしゃべり始めた。
「私はまじりあったレギオンの様な存在だ。軽子坂高校で悪魔の事件が起きた後一人の女の為に戦った所までは一緒だが、その後は様々な決断を下した自分の幽霊が混じりあった。平安を守るために奔走したり、滅びた都市で民を守ったり、
僅かだが中には非道に走った者もいた。彼女の為に戦ったのは一緒でも境遇や名前が違う場合も多々あったから、どれとはいえんな。……そうだな、青木仁と呼べ。あいつは私たちの一人ではない。だが、パラレルワールドの中で特にお人よしで、
本来は一人としか共にいけないはずの仲間たち4人と手を取り合ったあいつの名が気に入っている」
 それからの半年間は横島にとっては地獄と言える日々だった。異界にいきなり放り込まれることが多く、彼が実体化した稽古では拳や棒術の棒や剣が連続で彼を弾き飛ばした。
常に真面目に取り組めばそれなりに身になる絶妙な手加減を受けながら、横島はある時「器用でないとか嘘やろ」と毒を吐いた。それに対して彼は珍しく困惑した様子で答えた。
「私は普段はそんなに器用ではない。確かに音を上げない奴をそれなりに仕上げた経験は多いが、ここまで上達させる指導ができたのは初めてだ。余程お前は私と師弟の相性がいいのか?」
青木はなぜかこの時、ハヌーマーンとシヴァが笑っているのを聞いた気がする、と言っていた。
その師匠はある三日前に急に成仏した。赤根沢玲子という女性を一目見た直後に彼は急に未練が消えたようになった。それを見て幽霊が成仏する直前だと悟る横島に彼は言った。
「もう気づいただろうが彼女こそ私が彼女の為に、戦った女性の同一存在だ。別人だが彼女の不幸を減らせるかもという、打算半分でお前を鍛えていたが、彼女を見て分かった。私の手助けがなくても彼女は絶対になすべきことを成し遂げるだろ」
 そういった後、弟子入りを許した横島への義理が僅かな未練だったのか、横島がその日の夜に最後の試験を超えた瞬間、彼の姿は煙の様に書き消えた。
 ガーディアンの喪失と試練を超えた安息と脱力そして家族を失った喪失感が合わさった感情の中で横島は意識を失った。


161 :名無しさん@狐板:2021/03/28(日) 23:42:58 ID:LuMXRUnM
 次に意識が覚醒した時横島が最初に見たものは黒と紫と赤のコントラストの合わさる豪華な寝室だった。
目を開けるとそこは業魔澱だと分った。目の前には業魔殿の一時的な主であるエヴァンジェリンが椅子に掛けて倒れる横島を見下ろしている。中世の貴族の肖像画の美姫がそのまま絵の中から現れたかの様だ。
業魔伝で横島は何度も彼女と話したが、この様な様子の彼女は初めて見た。今までの彼女は、夜の森で月光浴をした時の夜気を思わせるような優しい気を纏い横島に接してきていた。かつて横島の前世は自分達の旦那だったと正直に話し、
そのせいでお前には甘くなってしまうと言っていた。その記憶がもたらす印象が目の前の美しくも恐ろしい夜の森や山の様な気配と、貴族の気配の混じった目の前の彼女をより恐ろしく感じさせる。左右で彼女に跪く赤のメイドである夢子と、
青い服のメイドであるアリスも普段の彼女達とは違いすぎる。今までの二人は横島が何度か仕事で見たと人に大切にされた善性の人形の様な美術品を思わせる気配を放っていた。その温かみが、彼女たちを最高の美を持つ自動人形の様に仕立てていた。
だが今の彼女たちは、魔性めいた美が極まった呪いの人形や、妖刀の研ぎ澄まされた切っ先に似た美をその身に宿している。敵だと断じきれない為に、意識を切り替えられず、怯える横島を救ったのは、いつもと変わらぬエヴァンジェリンの声だった。
「やや無理やり招いたのにこの言葉を言うのもおかしい気もするが、敢えて言わせてもらおう。業魔殿へヨーソロ。 そう怯えるな。故あって背信棄義(はいしんきぎ)の徒となったとはいえ一時期は古いタイプのヤクザの頭目をしていたこともある。
裏切ってもいない客をこちらから裏切ったりはしない」
「エヴァさん今日は一体どういう用事でしょうか」
 少しだけ緊張の解けた横島にエヴァは闇の領主らしい威厳のある声で答えた。
「前にも話したが、この船は本来私のものではない。本来の主に了承を取り一時的に借りているに過ぎない。その借りる期間が終わり、ここを去ることになった。 初めて会った時にも話したが私たちがここを借りているのは、お前の手助けと言うのもある、
だがお前が一人前になったのと、レンタル期間が終わったので、他の役目を果たしに行くことにした。仮とはいえここの主人として最後の役目を果たそうと思ってな。お前に業魔殿の仮の主としての最後の贈り物をくれてやろう」
 エヴァの言葉を合図にしたように、二人のメイドが一瞬で服を脱いだ。均衡のとれた美しい体を見た時、横島の心は恋人を裏切ってはいけないという、思いとそして昔のトラウマが刺激された様な恐怖が走った。
逃げようとした横島は後ろから手で押さえつけられ、その時点で恋人であるマイの手だと分かった。振り返ると、マイは横島にえげつない悪戯した時の様な笑顔を見せている。
「横島、あんたガーディアンである青木さんが成仏してかなり弱体化してるのよ。ガーディアンは強さも大事だけど、相性も大事。覚えている魔法とかスタイルとかね。青木さんは速さ型で戦い方と境遇があんたと似てるところも多くて、
『最強』じゃないけどあんたには『最適』なガーディアンだったわ。それが離れて今のあんたは、強者に分類される中では最弱くらいの一番美味しい餌になる強さだから、他のガーディアンと異能で具現化する剣の強化が必要だと思ったわけ。
そこのアリスはこの世界に来てからガーディアンとかをつけるのに長けていて、夢子さんは剣を作るプロ。そして私も冥府に造詣が深いからガーディアンをつける儀式の協力をすることにしたの」
 嫌そうという程ではないが、明らかにためらっている表情の横島をアリスが無理やり押し倒した。なぜという顔をする横島に彼女は答えた。
「青木さんが守護霊をしていた時のあなたなら振りほどけましたよ。あなた自身は強くなったけど、ガーディアンが離れたため総合的には弱体化しています。時間がないので一番早い方法で付け替えさせてもらいます。
イシュタル神の性交を通じて男性に霊的な力を与える術式でやるしかないと、言ったら婚約者かつあなたの霊職的な後見人でもあるマイさんがそれでいいと仰いました」
「ちょっと待ってアリスちゃん、その術式俺としては恥辱的にまじきつい。心の準備の時間を――!」
 叫ぶ横島にマイが霊薬らしき飲み物を差し出した。
「これを飲みなさい。そうすれば円滑に儀式が終わるから」
 それを聞くと横島は迷わず飲んだ、多分意識がなくなってトランス状態になる系の霊薬なのだろう。性行為で女性に負けまくるのは嫌だが、これも必要なことだ。だからせめて記憶がなくなるか、ところどころ飛んでいれば、いくらかは楽になるという配慮なのだろう。

 飲み終えた瞬間、横島の分身が天を突くようにより固くなり、そして全身がしびれだした。マイはそれを見て心底楽しそうな笑みを浮かべている。喋れない横島の言葉を察したらしく、綺麗だが鬼畜めいた笑顔で言葉を返してくる。
「性行為の時の快感も儀式的には必要だし時間がないから、さっさとしなさい」
声が出せないが言葉を出そうとしてそれをするより先にアリスが進み出てきた。
「それでは始めさせてもらいます」
 アリスに口づけをされて、口の中に彼女の舌が入ってくると、全身が快感のあまり悲鳴を上げ、そしてまるで古傷が開くかのように体のさまざま部分が彼女からの愛撫に、対する体制を下げていった。
アリスはメイドめいた表情で業務上奉仕するような態度と表情のまま横島の分身を受け入れた。その時点で横島の分身は屈服の白旗を上げた。射精の快感と脱力と瞬殺された屈辱で、虚脱状態になる横島をアリスは無表情で見下ろしながら情事の続きに移る。
鋭い糸で切られた様な感覚の後、じんわりとしたそれを癒す様な快感がより強く伝わってきて動けないままの横島は声にならない声を上げた。2度目の射精が終わるとアリスは横島から離れ夢子に場所を譲る。
夢子も横島に口づけしてきた。アリスにされたのと同じ様な快感で古傷を広げられる感覚が走ったのは一瞬で、直ぐにアリスが与えてくる感覚と大きく変化した。アリスが与えてきた快感の切り傷は鋭い糸が走った様だったのに対して夢子の与えてくる快感は、
アリスが糸で入れた切れ目に剣を走らせたかの様だ。唇から夢子の舌が口の中を蹂躙すると、口の中から切り裂かれていく感覚が全身に伝わり背骨と背後が特にひどく痛みではなく快感を伴う出血している様な錯覚を覚えた。そしてその血液は睾丸に流れていく。
口付けが終わりようやく解放された横島は快感のあまり目に涙をためながら、夢子に慈悲を求めた。言葉は発せなくても彼女のメイドとしてのスキルなら横島の意図を察してくれるはずだ。だが返答は無慈悲だった。
「これも貴方様を死に辛くするための処置です。どうか辛抱を」
彼女は、温かい声で言いながらも容赦なく横島の分身を飲み込んだ。脳から鋭い剣を振り下ろされた様な快感が走りそのまま頭の悪いポルノ漫画の様な射精を彼女にすると横島の精神が折れた。
 気をやってしまった横島を夢子は軽々と抱き上げ魔術的な祭具が飾る寝台に置いた。
アリスと夢子は交互に横島を搾り取った。切り裂くような快感で全身を蹂躙する夢子の夜の技と、癒す魔術の籠っているような糸で包み込むようなアリスの性行為それを交互にされることで、より快感が強くなっていく。
業務の様な形で女性に良いように敗北する屈辱感は、認めたくはないが新しい快感を横島に与えた。不意にアリスと夢子が困惑した様な表情を見せる。
「何回も射精した後なのに最初より若干増えているようですが、なぜでしょう」
疑問がり声を出した夢子と同じく疑問がるアリスの様子にマイが笑いながら言った。
「ああ、横島の奴マゾに目覚めちゃったみたい。メイドさんにベッドの中で惨敗して、そして機械的に仕事として絞られるのがたまらないというド変態さんなんだわ」
 情けなさで涙が出かけた横島をアリスが抱きとめ優しく絞りながらフォローした
「そうなのですか。前世が夫だった 欲目かもしれませんが可愛いと思いますよ。夜の戦闘力の低さも含めて」
 アリスの慰めの言葉で逆に心が折れかけ、さらにその言葉で分身が元気づいたことが余計に横島にダメージを与えた。そこにエヴァが口を開いた。
「従者の教育不足が出たか、すまんな。詫びと言ってなんだが、早く性的な絶頂を迎えさせて儀式を終わらせてやる。そして、少しお前の強化が早まる処置もしてやろう」
 そういうとエヴァは横島の首筋に噛みついた、エヴァの視点で見た自分のベッドでの惨敗具合がありありと流れ込んできたうえに、首筋に刺さった快感を与えてくる針が余計に射精量を増やし横島の意識は一気に落ちた。強力なガーディアンが宿り自分の中にある
剣が強化された確信はあったが、あまり嬉しいとは思えなかった。

ここまで考えて横島は思い出すのを止めた。いくら自分を生き残らせるために最善手とはいえ、マイの好意はあまりにもひどかった。それなのに頭ではなく、股間に血が言ってしまいそうな自分があまりにも情けなかったので、
振り切るように学校に向かって駆けた。


162 :名無しさん@狐板:2021/03/28(日) 23:45:52 ID:LuMXRUnM
どことも知らぬ中庭が見えるバルコニーで横島を強化する際に集まった女性達が会談している。印象的だったのはアリスだけは儀式の前とは違うメイド服ではない青と白を基準にした服に身を包んでいる。
恰好が変わっているのはアリスだけだが、全員の気配は儀式の前とは別人の様になっている。アリスは人形めいた表情がなくなり年相応の恋する少女にしか見えないし、夢子も人形らしい気配は僅かしかない。
エヴァとユキは雰囲気がさほど変わってはいないが、僅かにあった演技めいたものが抜けている。アリスは、やや疑問めいた様子で言葉を発した
「第一段階は終了したけど、あれで良かったの。しかしエヴァンジェリンさん凄いわね。夢子姉さんをあそこまで操って感情が希薄な人形みたいに見せるなんて」
「アリスお前ほどではないさ。自分自身が人形めいた少女みたいな演技を完璧にしてのけるとはな。お前としては未だに嫌、と言うよりは疑問なのだろうが今回のこの行為は必要なことだ」
「彼に幾つもの前世で味わったことがない被虐的な性の悦びを与え開発する。彼は今でも私たちを愛しているし、不義理するような人じゃない。横紙破りの今生への干渉は私たちが最初に提案したけど、そこまでする必要ある?」
「念には念というものだ。一度くらいは男性優位の性行為だけをして一生を終えたいか、その未練を叶えてやれん以上は、そういう感性をもって生まれた時にへし折られる快感を与え、
次の来世もそのまた次の来世も私たちを求めるようにするしかない」
 エヴァの気迫を見てアリスは頼もしそうに見ながら頷いた。
「分かったわ。血を飲んだあなたの方が今生の彼を理解しているでしょうから従うわ。 それにしても、もう少しで軽子坂高校の霊障が起こるというより、私たちが起こすのだけど、青木さんが成仏していなかったら、
あまりにもひどいコメディみたいになっていて驚くでしょうね。
『ここは私がいたのと違う世界だが、あまりにも違いすぎるだろう』とか思うか言うかどっちでしょうね」
「悲劇よりは喜劇の方が良かろう。あいつが愛した女の同一存在の望みはすでに叶えた。正史よりははるかに良い結末であっただろう。ここからはその対価をもらうとしよう」
 それぞれ特徴が違いながらも、月光の光に映える彼女たちは、恋の為に動いているというより、大きな悪の組織の会議の様な雰囲気を漂わせていた。そしてエヴァは月を否、天を見上げた。
それは義に背いた自分に天意が敵となるのなら、それすらねじ伏せ必ずや目的のものを得ると決意を固めた夜の領主の目だった


163 :名無しさん@狐板:2021/03/29(月) 00:12:41 ID:McP57trU
とりあえず読んでいて思ったのは、懐かしい感じがしましたね。

女権国家の二次創作、ではありますが、真・女神転生ifとの関りと、
横島忠夫が主人公でこういったノリは、大分昔に流行った「横島が主人公として活躍するSS」シリーズを連想したからです。
そういえば、ネギまとのクロス作品でもやっぱりエヴァ様がヒロインやってたなぁ、と。

スピードタイプのガーディアンとの関わり深さからの連想、というのも分かる気がします。
こういった断片的な事柄との連想がこういったネタに繋がることが多いので、ああ、分かるわかると思いながら、
読んでいました。

マイさんとのエロ―――明確描写はありませんでしたが、は、
人前ではウブな天使を演じているのに、横島の前では嗜虐的な一面を見せると、
その人の前だけでは本性を現わすエロスっていいですよね。

逆に、「あなたってこういうのが好きなんでしょう?」とわざとそういう「演技」を見せつけて
分かっているのにドギマギしてしまうのにニヤニヤされるとかも素敵そう。

ハヌマーンってあれですか、ヨコシマンネタでしたっけ。
ガーディアンだけど、AAになったら、このネタ使いませそうですね。

「あ、ヨコシマン!」「ありがとう! ヨコシマン!」「お礼は後でベットの上でね!」
「ノーノーノー! 私はヨコシマン!!!」みたいな。

あとは儀式によって強化されるたびに好きな女性たちに好き勝手されて、
情けなさに涙が出そうになるのに、フォローがグサグサ刺さるのは、行為自体は割とえげつなくても、
愛を感じるのはいいなぁと思いました。……どんどん、すりこぎで誇りが削れていくんだろうなぁと思いつつも。

というか、ここから軽井沢高校の漂流が始まるのかな?
だとするとエヴァ様が狭間ポジになるのか……? まぁ、原作よりは悲劇的にはならなそうですが、
どうなるのか、楽しみですね。

164 :名無しさん@狐板:2021/04/04(日) 23:39:18 ID:8lzsHeYF
 これはひどい真・女神転生if プロローグ
これは前に>>159から>>162に投稿したこれはひどい・真・女神転生の続きです。前の注意書きに続いて付け足すべき注意があったので付け足します。追加の注意は以下の通りです。

@  オリジナルの仲魔が出てきます。
A  この世界だと女権国家の男たちは夜の戦闘力は高いけど、女性達がもっと高いため負けているという設定です。そのため横島は前世より夜の戦闘力が低くなっています

 
横島は夏休み前の最後の授業を終えて、明日からは終業式だと思いながらも、睡魔が最後の授業の時にもたげてきた。睡魔の声を聞いた時横島は眠気で鈍った頭でなお拙いと思った。ガーディアンとして宿って共に過ごした彼の記憶が授業中の居眠りは、
軽子坂高校では大事件のフラグだと告げている。仮に目が冴えていたら、もっと激しく動き学校から脱出しようとしたか、手遅れかもしれないと覚悟済みで事件の阻止に動いていただろう。だが、既に体は動かず、
まるで呪いの様な眠気が自分に迫ってきている。
『おかしい、俺は青木師匠の経験を一部持っているから特に軽子坂高校で、居眠りだけはしない様に気をつけていたのに、魔法や呪いなどの気配もない。俺が青木師匠をガーディアンにしたから軽子坂高校が霊障に巻き込まれる時、
居眠りする宿命がついたのか? それとも青木師匠の代役に俺がなったから青木師匠と同じ事件の導入を味わう定めがついたのか?』

 疑問を抱きながら、も横島の意識は夢の中へと落ちて行った。

 意識が落ちた横島の夢の中はただただ広い闇の中に深紅のローブを身に包み右腕に黄色い球体を持った女性が歩いてくる。その女性は光の加減によっては純白にも見える銀色の髪をしており、片方を束ねてサイドテールにしており、
それが不思議と威厳に不釣り合いな無邪気さや子供めいた様子に彼女を見せることもある。時折幼くさえ見えるにも関わらず、闇の中を歩く姿の気品や威厳は一切損なわれことはない。彼女は人を生かし時に逆に殺すこともある自然の恵みと天災に、
数えきれないほどの人々の感謝と畏怖が流れ込んだ存在、悪魔の種族で言えば地母神に近いのだろう。だが横島はなんとなくだがこの世界に入ってきてから接してきた悪魔たちとは違う感じを受けた。彼が生きている業界では物語が生んだ存在ですら、
多くの人の想いが流れ込めば抗えぬ天災に限りなく近づく。眼前の存在は何をされたとしても恨むことや、憎むことさえ、ばからしいただ頭を垂れることしか思い浮かばない天に立つ存在だ。夢の中でさえ彼女に殺されることは、
大事な何かを失うことに繋がる。夢の中では何もできないがそれでも彼女を見据え観察した。恐らくこれは何度も見た現実は愚か次の夢にすら何も持ち越せない、類の夢なのだろう。彼女は横島を見据えると、口を開いた。
「私は神綺、この世界と繋がった異世界の魔界の創造主であり、哀れな子の復讐を挫き、彼の作った報復の舞台である魔界を再創造している神です。他のものからは魔界神と呼ばれています。 
これから先貴方は多くの乗り越えられない試練の果てに幸福を得るでしょう。けれど男性としての原罪や業を味わい尽くし屈服した時、至上の幸福が訪れることを魔界の神の名において約束します」
 鈴のなるような魂に響く心をへし折る声は、屈服間が強くなるほど、母に抱かれる赤子に自分が近づくような安心感を与えてくる。彼女がさらに言葉を続けようとしたとき、不意に横島にも聞きなれた声が響いた。
「神綺様、ヘルメットを持ったままです」
 珍しく若干慌てた様な夢子の忠告を聞いた瞬間、神綺の頬に赤みがさした。その時初めて、横島は彼女の持っていた黄色い球体が工事現場などで見る、土方がつけるヘルメットだと気づけた。言われるまで彼女の威厳と美が凄まじく、
認識できていなかった。神綺は頬を赤く染めたまま言葉を返した。
「久しぶりに忠夫ちゃんに会えると思ってテンションが上がりすぎていたわ。やっぱりこういう時は夢子ちゃんかアリスちゃんに一度チェックしてもらわないとダメねぇ」
「仕方ないかと。本来の黒幕である、ハザマ・イデオ、彼を好いている女性達を女権国家的特有の処置を施したり、彼自身を幼くしてトラウマを修復したり、彼の作った魔界を新しく作り直したり、
この世界の青木様と玲子様が彼の師匠がこの世界に現れた因果率の変化で繋がりが強くなった上に悪魔に目をつけられたから、色々と便宜を図ったり」
「でも、演説現場にヘルメット持ったままはないわ」
「神綺様はヘルメットがなくても大丈夫だけど、現場の規則である以上自分も付けるべき、と考えたのはご立派だと思います。それに神である神綺様の宣誓は十分に彼の魂を捕えています」
 神綺は少し決まり悪そうにしながらも、夢子にヘルメットを渡すと、再び横島に近づき顔を両手で挟み込んだ。
「これより、あなたは聖職者でない限りは、受けるいわれのない罰と試練によって作り変えられていきます。これは私の娘たちのエゴです。あなたは覚えていることもできないでしょうけど、なぜ自分がそうなるのかを納得してもらうとともに、
神として貴方にとって、最悪の枷を嵌めさせてもらいます。許してとは言いません。ただ絶対に不幸になる道でないことだけは約束します」
 彼女の禍々しくそれでも美しいと感じられる宣誓と共に夢の中で横島の意識は落ちそしてテレビの番組が切り替わるように、夢の中で場面が切り替わった。






165 :名無しさん@狐板:2021/04/04(日) 23:44:16 ID:8lzsHeYF
夜が訪れた時こそ真の美しさを見せる森の中にある都市のやや離れた場所に、どこか厳かだが来るものは拒まない気配の美しい城がある。その城の内部は特に庭園が美しく時を忘れさせる荘厳な森を城の中に取り込んだのではと錯覚させる。
多分だが風景画を志す者は、いかなる夜の顔にも合わせることができる。この庭を見た時、その画家の趣味次第で別の日に来たかったと思うか、もしくは何年かはこの庭園を描くだけで食べていけると喜ぶかどちらかだろう。
月明かりの下で城の庭園を見下ろせるテラスでエヴァンジェリンが高価なテーブルセットローズに掛けている。若干不機嫌そうな彼女の表情は底知れない恐ろしさを感じさせるが、それでも夜の闇の中や月明かりの下では男女問わず惹きつけられる美しさがある。
彼女が客人を待つそぶりをしているテラスの窓の中は高価な劇場であり、そこの中で演劇ではなく映画が上演されている。城の中の喧騒を眺めながら客人の到着らの予兆を感じ取った彼女は僅かだが不機嫌に眉をしかめた。
 エヴァが見据えた先には暴風の様な霊気のあれが起こった。しかし、それは周りの家具すら一切壊さず、一転の小規模に台風を無理やりまとめたかの様な小さな乱れだ。それを見てエヴァは感嘆の色を見せ若干だが不機嫌さを薄れさせると、歓迎の意を示した。
 魔力の暴風もっと正確に言えば、小規模すぎるほどの竜巻は眩い光を放ちそこに深紅のローブに身を包んだ麗人が現れた。深紅の麗人――神綺は夜の月光の中の彼女は先ほど横島が見た深淵を思わせる闇の中にいる姿とはまた違った美を纏わせている。
彼女はエヴァの歓迎の礼に優雅に頭を下げて応じると気さくな柔らかく気さくな声で応じた。
「エヴァちゃん久しぶり。今回の会談アリスちゃんが来るはずだったのに連絡もなく、私が突然入れ替わっちゃってごめんなさいね」
「かまわん。貴女から受けた恩の数々を顧みれば、この程度の無礼、千回許しても釣りが出る」
 白と金どちらも月の光を思わせる髪を持つ彼女たちは月光の下で対峙した。エヴァは顔色を変えずに神綺の様子を窺い、少しして考えるのをやめた。今の情報ではわからないことが多すぎる。幸い神綺は魔界の神でありながらその気質は善性だ。
こういう場面で嘘を突くような相手ではない。それに彼女が来て開口一番が娘たちの行動を止めた、と言う報告と謝罪でなかったということは、今回のアリス達の横紙破りの行為、一度承諾した横島の遺言の破棄にはそれなりの理由があるのだろう。
ユウキや、ヴィヴィオやリグルが反対しなかったことも、その確信を強めた。話を聞き終われば自分も今回の横紙破りに参加するかもしれないと、エヴァは思ったが、それでも戦闘に入る準備もした。自分が納得できなければ、
他の横島の女達全てを敵に回してでも彼の遺言を守る覚悟を固めた。応対する神綺はどこまでもマイペースに辺りを見回している。城の美しさを見て、内心少女の様にはしゃいでいるのがエヴァには分かった。
これはエヴァが敵に回らないという確信があるのか、敵対しても倒せると思っているのか判別がつかない。不意に神綺の瞳が二人のいるテラスから見える城内で上演されている映画の方に移った。
幻想的な暗闇の中に映るスクリーンの中で黒いマントに身を包んだエヴァと横島が様々なモンスターと戦いを繰り広げている。中の魔物たちはエヴァの呪文や武術でどんなダメージを受けても決して死なず、この世界のどの魔物より早く傷が癒えている。
横島の方が攻撃力は低いのに彼につけられた傷の方が治癒は遅く、エヴァに倒された群れとは異なりまた絶命している者たちもいる。
異形の群れの反撃がエヴァと横島双方に当たると、横島が作り出した結界の方が弱いのにエヴァの方が重傷となっている。横島はその後鬼神のごとき勢いで札をまき散らし、霊波刀を振るいエヴァを守り抜こうとしている。
「あれはどの戦い?エヴァちゃん達を守って頑張った忠夫ちゃんの話は幾つも映画化されているけど、似たようなパターンになった戦も多いからわからないわ。それとこういう映画をわざわざ自分の城で上映するとか、エヴァちゃんも結構乙女チックね」
「普段はしない。今回の会談に本来来るはずだったアリスに見せようと思っていた。次の映画は横島があの化物どもからアリスを守るために、血みどろになった戦いにする予定だった。
あれほど転生の度に私たちに尽くしたあいつとの約束を違えてまでやらねばならぬことか、問おうと思っていた」
「これは手厳しいわね」
「そうでもない。何百年も共に戦って、貴女の娘たちの性質は知っているつもりだ。今回の件それ相応の理由があるのだろう。だからこそ、出来れば良い仲間たち『だった』と過去形にせずに済めばと、思っている」
「今から言う事はとても大切な事の前置きだから聞いてくれる。これを話さないとエヴァちゃんは娘たちの行動の理由を理解できないから」
「構わない」
「忠夫ちゃんが転生した世界には複数の世界の創造神が実在しているの。起こり得る未来を予知できる創造神が私に教えてくれたのだけど、忠夫ちゃん向こうの世界で一夫一婦制思想の強い女性と結婚してこっちに戻ってこない恐れがあるのよ」
 それを聞いた瞬間エヴァの顔色が一瞬だが理解できないという色に変わり直に理解した顔へと変わる。自分達は横島を手放せない程惚れていたが、彼が居なくても大丈夫な様に横島に見せかけていた。
自分に自信が持てない彼が、愛されている実感を持ち、それでも愛され続ける努力を続ける姿が愛おしくて、そのままにしていた。多分だが向こうの女性は横島が居ないと自分は駄目だと正直にぶちまけたのだろう。エヴァは即座に応えた。
「向こうの世界に行く事には私も全力で協力しよう。だが一夫一婦思想の強い女意外と付き合う様にしたり、一期一会の今生限りの来世まで縁を持ちこまない女性とくっつければ良いだろう」
「それがねぇ、彼基本的に弱い女性の方に気を使うでしょ。向こうで出来た女性は貴女やアリスちゃんたちにあらゆる意味で勝てないから、最後は向こうの女性を取ってしまう事が多いみたいなの。
もちろん両方に誠実あろうと最後まで足掻くけど、人間だから今生優先になってしまうみたいで」
 そこまで聞くとエヴァは迷わず立ち上がった。夜の庭園に放たれている無数の魔物が怯え目を覚まし鳥や蝙蝠が逃げ惑う。
「委細承知した無知と無根拠な楽観故に交わした約束を違える背信棄義の徒なる覚悟は決まった。転生の果ての先に永遠に覚める事のない快楽の夜にあいつを沈めてみせよう」
 立ち上がり異世界へ飛ぶ為の儀式を手伝う為にテレポートしたエヴァを見た後、神綺は
口を開いた。
「エヴァちゃんも本当に彼への愛が重すぎるわ。でも私の娘たちや他の娘達も似た様なものだった。彼女たちは自分を護る為に振るわれ続けた忠夫ちゃんの力が、
向こうの世界の娘の側に立って自分たちと別れるために使われるのが怖くてしょうがないのよ。たとえ最終的に堕とし戻せると分かっていても、そんな事態が来てほしくないのでしょう。忠夫ちゃん許してあげてね」
 神綺の言葉は珍しく出た独り言だったのか。それともいつかの未来で横島がこの言葉を聞く事になると、予感しての横島に聞かせる為の謝罪であり、彼を捕える為の枷だったのかもしれない。


166 :名無しさん@狐板:2021/04/04(日) 23:50:45 ID:8lzsHeYF
横島は目を覚ますと最初に何かに抗おうという意思が大幅に削り取られた不思議な感覚を覚えそして、自分の体がいつもより良く動く状態になっていることに気が付いた。その時点で既にここが異界と化していることに気づく。惚れた女性の為に身を置いたとは言え、
彼も悪霊や妖怪から人々を護る霊職の意識はある。当たりの把握に努めるべく周りに目を配り様々な情報の収集に努め始める。ここはまだ軽子坂高校なのか、全てを知っている訳ではないが、師である青木が遭遇した事件との共通点と違いは?
様々なことを考え駆けようとしたとき、聞きなれた声が彼の行動を止めた。
「横島、とりあえず落ち着きなさい。今の所死者が出るような気配はないわ。軽子坂高校は異界に飲まれたけど、青木さんが体験した事件よりは大分穏当みたいよ。とにかく外に出なさい。それとここがどこだかわかる」
 マイの声に安直を覚え辺りを見回すと、ここが保健室であることが分かった。ただ事件前よりなぜか豪華に増築されている感じがした。
 疑問を抱いた様子の横島にマイは説明を続ける。
「エヴァさんたちと同じ前世のあんたの嫁さん達が様々な目的で、この高校を異界に投げ込んだらしいのよ。目的を知りたければ試練を乗り越えてきなさいってさ」
「分かったそれはそうとなんでマイ姉ちゃんここにおるんや?」
「青木さんが長くガーディアンしていたせいで、記憶が混濁しているの?“この世界では”割と近くに軽子坂系列の大学があったでしょ。私が民族学専攻していて巫女資格持ちだから、この高校のお祓い頼まれていたのよ。
青木さんが来た影響かそれとも、ここは『一回目』じゃないせいか、校長も嫌な予感がしたのか、お祓いを頼まれたのよ」 
 横島はそれを聞き頷いた。この世界の校長は青木の記憶にある校長より大分マシな教育者になっていたと感じたことを思い出した。青木と共有した飽食界の記憶を見てあんな目には合わせたくないと思った。
「とにかく今は動こうか。信じられんことに師匠がガーディアンしてくれてた時より、今の俺は動きが良い。こんな事件8時間(体感時間)で終わらせてやる」
 勇んで出ようとする横島をマイが軽く小突いた。
「バカ、今回の事件の首謀者はハザマ・イデオじゃないのよ。どうも前世のあんたの嫁さん達だったみたい。だから、同じ難易度とは限らないでしょう。それに青木さんの事件の時はいくら死んでも大丈夫だったけど、今回は一度死んだら終わりの可能性もあるわ」
「すまん。マイねえちゃん死んだら終わりやな。しかし、前世の嫁さん達かまさか、前世のワイ、ハーレム野郎だったんか畜生!しかも来世のワイにつけをまわしおって」
「ふざけている場合じゃないでしょ」
「おおそうやなすまん。しかし、前世の俺が不誠実なこと、し過ぎたせいで嫁さん達が切れたとかだったらどう詫びたらいいんだ」
 少し迷ったが、横島は意識を切り替えると保健室の外に出た。外に出ると黒い甲冑を思わせる肌をして、やや短い槍を持った悪魔と出くわした。一目見てライト系の悪魔であることが分かったので、会話を試みようとすると向こうから頭を下げて挨拶をしてきた。
「王配殿がお休みになる医療所の改築を、終わらせておらず申し訳ありません」
 穏やかだが低く迫力のある声は、任侠映画などに出てくる善玉ヤクザの実力者な下っ端を連想させた。王配というのが明らかに自分にかけられたとみて不思議がる横島にマイが説明をする。
「こいつ私の新しい仲魔よ。金槌坊っていう蟻妖怪で結構強いわ。前世のあんたが蟲妖怪を統べるリグルって妖怪の旦那だったから、そう呼んでいるんだそうよ」
「今はマイ殿と契約していますので。女王陛下に槍や金槌を向けることも辞さないのでご安心を。ただ女王陛下を敬う心は捨てておりません」
「お、おお分かったで」
 自分に対してあまりにも忠誠度が高いためか、横島は若干戸惑ったがそこはプロの除霊師らしく、意識を切り替えて状況の把握に努める。
「あんたも、この事件で向こう側に協力しとったんやろ。リグルの目的とかわかるか?」
「交渉や呪術で引き抜かれる恐れのある者に対しては、あまり重要な情報は与えられておりやせん。ただ異界化した学校や魔界の増築をさせられておりました」
 横島はそれを聞くと頷き、体育館に向かうことにした。
「とりあえず体育館を目指そう。青木師匠が体験した事件とは大分違うとは思うが、それでも霊脈とかはあまり変わっていない。だからあそこにもなんか手がかりがあるはずだ」
「そうね。もしかしたら学校を戻す方法もあるかもしれないわね」
 マイのサマナーとしての責任感を発揮し始めた姿を見て横島は彼女に傷一つつけさせないことを決意した。
 
 体育館に向かう途中で、マイと仲の良い女性の後輩が声をかけてきた。
「あの、マイ先輩気を付けてください。綺麗な女の人たち多分、この事態を引き起こした方たちでしょうけど。マイ先輩が来る前に、魔法に掛かったみたいに眠る横島くんを見ながら言ったんです」
「なんて?」
「かつては自分たちの世界に災いをもたらした世界だけど、この世界の法則を用いてこそできる楽しみ方もあるって」
「美女に言われているのに全然嬉しくないわ。こんちくしょー!」
「大丈夫よ、私が彼をひどい目になんかあわせないから。安心して学校が元に戻るまでやりたいことをやりなさい」
 相変わらず身内以外には天使の様だと思いつつ、横島は僅かな違和感を覚えた。この女生徒はこの事件を起こした存在達の事をそれほど悪く思っていない。だが少なくとも敵につく様子がない以上そこまで重要ではないし、
なにより自分より事態を把握しているマイがそのことに関心を示していない。マイの除霊師としての責任感を信じていたので、大した事ではないのだろう、と捨て置くことにした。体育館に向かう道に入った瞬間、横島は頭を抱えた。
体育館への道が明らかにダンジョンになっている。初っ端からの青木の記憶と違いすぎる展開に横島は、頭痛を覚えた。その瞬間金槌坊の群れが現れた。サマナーであるマイを見たが、彼女は一目で首を横に振った。
目の前の金槌坊の群れの放つ気配は邪悪さや悪意こそないが、結果として命を断つことさえある試練を与える神使に近い。横島は覚悟を決めると、マイを庇う位置に立って次の瞬間矢のように駆けだした。金槌坊の群れは、
あるものは金槌を持ちあるものは短槍や長槍をその手にしている。 横島は即座に青木の記憶を思い出しながら霊波刀を出現させて、敵の中にかけ入った。青木の記憶ではパートナーが覚えられる魔法に限りがあり、
死ぬとガーディアンチェンジが起きて、有用な魔法を忘れる恐れがあったので、魔法を覚えられない自分が先に死ぬような戦い方をしていた。最初は何度も大怪我をしながらも赤根沢玲子の盾になり、
最後には圧倒的な速さで敵を玲子に向いた攻撃を先に切り伏せていた。あれは横島の理想の戦い方の一つだ。わざと負けようとはしているわけではない。だが勝利に固執してもいない戦い方をしてきている。
彼らの槍や金槌と拳を受けながら横島はそれでも止まらず剣を振るい、時には魔法を唱えた。とにかく横島は自分以外には意識を向けずらくなるように考えて徹底して動いた。しかし、3体の金槌坊が横島に切られるのを覚悟でマイの方に駆けだした。
彼らの動きは、横島に切られ致命傷を負っても、死ぬ前にマイに一太刀繰り出せれば良いという動きだ。横島は何回か槍を受けるだけの隙を作ったがそれでもマイの方に駆けた、3体に突っ込もうとし、敵の金槌坊の繰り出した金槌をわざと受けて、
その衝撃を利用して、マイの方に迫った3体に追いつき切りつけた。横島に切られ瀕死になってなお一切衰えぬ動きで彼らはマイに迫ったが、味方になっていた金槌坊がそれを止めた。ぶつかり合う金属音が大きく響き、この攻撃が、
一撃たりともマイに届かなったことに横島は心底安心した。その次の瞬間、マイの歌うような声が響いた。
「マハラギオン」
 その言葉と共に出た紅蓮の炎が敵全体を焼き払う。敵が倒れたのを見て、横島は安直の声を上げた。
「マイ姉ちゃん相変わらず魔法の威力すげぇな。しかし、金槌坊って名前の癖に槍は使うし武芸に長けてるし、どうなってるんや。金槌だけにしとけっつーんだ」
「王配殿、われらと同じ姿で描かれている、描かれている槍毛長(やりけちょう)という妖怪がいることが原因です。日本無双の剛の者が触ったことがある槍が変じた妖怪だったそうです。
それにわれらは用心棒の様な存在ともみなされるので、戦いにも長けてまして。サマナーを護ろうとする王配殿の動きをよく読んでいたのもそのためです」
「だからあんたもマイ姉ちゃん護るのに良く動いたわけか。用心棒らしい動きだった本当に参考になるな」


167 :名無しさん@狐板:2021/04/04(日) 23:56:17 ID:8lzsHeYF
そこまで話し終えるとマイが横島のそばに無言で寄ってきた。彼女は横島の体をディアでゆっくりと治しつつ、診察している。マイは少し考えた後で口を開いた。
「横島、あんた戦ってみてどうだった。青木さんが守護霊していた時の自分と今の自分どっちが強いと感じた?」
 子供の頃から育てられたのもあり、横島はこういう時のマイに嘘は吐けない
「もちろん今の自分の方が強いと感じてるぞ。なんか姉ちゃんから見たら違うんか?」
「速さと力強さに関しては青木さんがいた時より上だったわ。ただ戦いの上手さが若干落ちていたわ。青木さんがガーディアンしていた時なら、多分だけど2,3発くらいはもらうのが少なかったか、最高にうまくいったら一撃ももらわなかったかも」
「自分ではわからんが守護霊とか転生系の関係なら姉ちゃんの言うことが絶対に正しいんやろうな。戦いながら慣れていくしかないか。ガーディアンをまた付け替えるわけにもいかないだろ」
「付け替えというより調整ね。貴方は今まで、青木さんの戦いの記憶を引き出しながら青木さんに師事を受けていた。そして新しいガーディアン相手にも同じことをしていて、出てくる情報が違うせいで、僅かな誤差が出ている。
青木さんとの親和性が高過ぎて師匠の教えと守護霊が与えてくれる、情報を混同しているわ。これはガーディアンとの親和性を高めて青木さんの痕跡を上書きするしかないわね」
「つまり今のガーディアン相手に師匠相手の読み取り方をする癖がついているから、今のガーディアンとの繋がりを強くして体が勝手に今のガーディアンから読み取る方法をするようにするってことか?」
「そういうこと」
「でもそれってやろうと思うとかなり大掛かりな儀式とかが必要なんじゃ」
「大丈夫よ。それじゃ、いったん戻りましょう。もう終わっているころだし」
 そういうとマイは金槌坊を戻すと、横島を引っ張り始める。マイに促され保健室に戻ると、金槌坊たちの群れが保健室の前に居た。彼らは一切敵意もなく、頭には工事現場で付けるようなヘルメット、
横島は覚えていないが夢の中で神綺がつけていたものと同じものをつけている。彼らは保健室の先生に礼儀正しく礼をすると、横島達にも礼をして去って行った。精兵だと見ただけで分かるのが余計にシュールな感じがした。
保健室の中に入ると、豪華になった保健室の奥に扉があり、その扉を通るとそこはエヴァンジェリンが主を務めていた時の業魔殿に似た館の様な場所だった。そこには深紅のマントを翻した業魔殿の元主エヴァンジェリンがいた。
「悪魔が集いし、邪教の館へようこそ」
「エヴァさん、ひょっとして俺たちがこうなると分かっていたから、俺たちを手助けするためにこっちにきてくれたんですか」
「そうではない。今回の件で私はお前に試練を与える他の顔なじみたち側だ」
「そんな」
 横島は落ち込んだがやはり、という思いもあった。今回の事件を起こしたのは自分の元妻たち。そしてエヴァやアリス達も前世の自分の妻だったと言っていた。落ち込む横島に、エヴァが不意にテレポートめいた動きで距離を詰めると、唇をふさいだ。
快感が押し寄せてきて足腰から力が抜けてへたりこんだ横島をエヴァは見下ろしながら言う。
「この程度の力しかない状態では私を殺すなど夢のまた夢だ。お前に試練を与えて踏破される際に、全力の攻撃を受けても私が死ぬことはない。それと安心しろ。例え私がボスのフロアの踏破中でも邪教の館の主としてはちゃんと協力してやる。
これは闇の眷属としての正式な契約であり宣誓だ」
 快感でしゃべることすらできない横島から視線を移すとエヴァは、マイに声をかけた。
「今の口づけで分かった。横島の奴前のガーディアンとの相性が良すぎて、私たちがつけたガーディアンから戦闘経験の情報を引き出す際に、前のガーディアンにするアクセスの仕方をしてしまっているのだな」
「ええ。私もまさかこうなるとは思っていなかったわ。私たちがつけたガーディアンは横島と一番相性が良いから、でも師弟の絆と共にかけた時間が思ったより重かったようだわ」
 エヴァの口づけの快感のせいでろれつが回らなくなっている横島が二人の会話に
「エヴァひゃんどういうひうに俺に、それに俺と一番相性がひいガーディアンって」
「端的に言うと、お前は何回か転生していた。その際に神殿や神社で祀られるほどの事をした回数も多い。私達がお前につけたのは何回か前のお前が祀られて誕生した神だ。だが青木との親和性があまりにも高かったせいで、
最初に青木にする方法でアクセスをしてしまっている。対処としてはお前の前世が祀られてできたガーディアンとの親和性を高めることだ」
「前回エヴァさんがアリスちゃんとの性交時にした吸血あれは、あなたに力の一部を付与する為だけのもの。今回はエヴァさんがする吸血は今の貴方の血とエネルギーを取り込んで今の貴方がガーディアンと混じりすぎて、
自我が希薄にならなくするためのものなのよ。仮にそうなってもエヴァさんが貴方の血の記憶を持っているから、またもとに戻せるってわけ」
 吸血鬼は相手に快感を与えるだけじゃなくて血から記憶を読み取ったり、相手と感覚を共有したりもできるということを横島は思い出した。
「それから少し、ややこしいけどあなたに今着いているガーディアンはこの世界の神様じゃないわ。パラレルワールドのものよ」
 それを聞き、横島は大正時代に起きたライドウの事件記録にそういうのもあったなと、思った。
「エヴァさんの旦那も貴方は何回か勤めているけど、その生涯の一回だから、ちなみにそのガーディアンが生まれた国では女性優位の性交が当たり前で、その国でもかなり恥ずかしほどベッドで虐められていたわ」
 男の誇りがズタボロになる嫌な予感でビビッて声が出なくなった横島にマイは凄まじく楽しそうに告げる。
「という訳で、ガーディアンとのシンクロ率アップの為に前世の再現、つまり、男性優位な性交が当たり前の家では死にたくなるほどエヴァさんにベッドの中で虐められなさい」


168 :名無しさん@狐板:2021/04/05(月) 00:00:42 ID:uO9tvhuf
 マイの言葉が終わるとエヴァが横島を寝室に瞬間移動の様に運びベッドに投げ飛ばした。その一瞬で中世の美しい古城めいた寝室だと思ったが。次の瞬間、手から快感が走った。エヴァに手の甲に牙を突き立てられたのだ。
体の一転を押さえつけられただけで動けなくなる達人の技があるが、これはその状態に近いなと、思った。血を飲まれて快感のあまり射精しかけた瞬間エヴァの吸血が止まる。
「こらえ性のない犬だ。前世では男が女に勝てないのが当たり前の国だったが、前世より夜の耐久力が下がっているな」
 蔑みの言葉で分身の固さが増したのを見るとエヴァは嘲笑めいた眼を向けて。横島の服を一瞬で脱がせると、息子を見ながら言った。
「蔑みの言葉で余計に固くなるとは。男性優位の性交が当たり前の家に生まれてなお、お前の魂は筋金入りか?」
 そういうとエヴァは横島の分身を踏みつけながら嫐り始める。エヴァの足の使い方が夜の眷属らしい巧みな性技であるだけでなく、さらに恐ろしいのはアリスや夢子と性交した時の激し過ぎる快感で、
昔つけられたマゾになる古傷を広げられるような感覚が再び走り。踏みつけられた一物から傷口がどんどん開いていく感じがする。
「ちょっと面白すぎ。ちゃんと私と男性優位のノーマルエッチした時より大きくなっているんですけどぉ!」
マイの嘲笑が不意に響き、振り返ると。大笑いしながら腹を抑えるマイの姿があった。彼女は笑いながら横島の恥辱心を煽る。
「私にバカにされてさらに大きくなるとか。あんた本当に悪の女妖怪を組み伏せて褥の中で圧倒して改心させて、そこから歴史が始まった家の跡取り?」
 エヴァはマイの姿を見ると面白い遊びの最中に同じ趣味の友達が来たかの様な顔で言葉をかけた。
「今、横島についているガーディアンは8個ほど前のこいつの前世で、やはり私の旦那でもあった。信じていた姉の様な女性が私に良いようにされるのを見て、嗜虐心に目覚めた姉に追い打ちを食らっていた。
マイちょうどお前と『全く同じような女』だった。8個前の前世の再現をするのだからわかるな?」
「はーい。事件解決のためだから我慢してね、横島。事件が終わった後に『あなたが望むなら』何度でも男性優位のエッチしてあげるから」
 なぜか『あなたが望むなら』という言葉に異常に嫌な予感を覚えたがそれを追求する暇もなく、マイは服を脱いだ。マイの肢体はディアやハマという神聖系魔法を使うにふさわしい、ライト系の優しい女悪魔の様な肢体をしている。その姿はいつ見ても眩いばかりだ。
笑顔も天使の様だが、それは横島をイジメて遊ぶ時に浮かべる笑みだ。中身とは正反対だな、と思ったところで、後ろから衣擦れの音がした。振り返るとエヴァも服を脱ぎ去っている。横島はエヴァの裸を見て昔読んだ小説の一説を思い出した。
吸血鬼が様々な防御を破られて、棺桶を開けられた時最後の、防御機能はその美しすぎる裸体である、と書いてあった。エヴァの体はまさにその通りのものだ。少女には基本的に欲情しない横島が動けず見入ってしまう。
エヴァはその様子を見て笑いながら横島に抱き着き分身を迎え入れる。快感のあまり叫ぼうとする横島をマイが口をふさいだ。涙を流し、エヴァに咥えこまれた分身が味わう快感のせいで力が入らずもがくだけの、横島をマイは面白そうに見ながら言う。
「人間は痛いときとかに叫ぶとある程度我慢できるって聞いたけど、強すぎる快感の時も叫べないと辛いのね」
 マイの言葉が終わるとひと際凄まじい射精が起こり、それが済んだばかりで敏感になった部分をエヴァが余計に強く腰を振り搾り取る。二度目の射精で仰向けに倒れたところを、マイが魔石を使い生命力を回復させて来る。体力は戻ったが、
エヴァに与えられた快感の余韻で動くことができない。その様子をマイは見下ろしながら笑う。
「実はアリスちゃんや夢子ちゃんに性魔術教えてもらったから、気持ちよくさせる能力も上がっているから安心しなさい」
 マイとの性交で今まで勝ってきたが、彼女の体は凄まじい快感をもたらしてきた。それが性魔術を覚えたとなると、どうなるのか。怯えと期待がないまぜになった瞬間マイが、一気に横島にのしかかり騎乗位で繋がる。
性魔術の凄まじさもあり瞬殺されたてしまい。へこむ横島に笑いながら彼女は言葉をかける。
「早―い!」
シンプルな嘲笑の念の籠った声が余計に分身を固くし、泣きそうになる横島の背にさらなる快感が走った。何が起きたのか振り返ると、エヴァが横島のさっき負った傷口をなめている。
吸血鬼の舌がもたらす快感はなめられる度に電機の通った鞭で打たれた様な快感をもたらす。その度に射精が激しくなり、マイにあざ笑われた。恥辱と強すぎる快感で苦しむ横島をよそにエヴァは嬉しさと嫉妬が混じったような声を上げた。
「この怪我の経緯はこういうものか。お前は何度生まれ変わっても変わらんな」
 なめ尽くされて傷口が癒えた時、体から力が抜け振り返るとエヴァが不意に月の光を集めた様な光に包まれ彼女を大人にしたような美女が現れた。男の理想の一つの形を具現化させたような金髪の美女は、
吸血鬼の肢体の美を見て横島が呆けたようになったのを見ると、上機嫌に笑いながら抱き着き対面座位の騎乗位をして首筋にかみついた。分身を包み込む感触は、子供の姿の時と種類は変わったが与えてくる快感は劣らず。
乳房が横島の胸板に押し付けられ余計に、激しく射精を繰り返した。彼女は笑いながら横島の首を上に向けて首から血をすする。両方からマグネタイトを吸い取られる快感に負けて、
叫び声を上げようとしたところをマイに口づけで口をふさがれ舌のワルツを強要される。叫ぼうとするたびに舌で口内を蹂躙された
 エヴァに開放してもらって前後不覚になりかけたところをマイにまた騎乗され。遊ぶように搾り取られる嘲笑の言葉を受けると、どんどんとガーディアンが自分になじんでいくのがわかる。これは青木以上に自分になじんでいると感覚で理解した。
前世と似た性交と儀式がそうさせているのだろう。 騎乗位で搾り取り終わったマイは笑いながら快感と脱力で動けない横島を嘲り始める。
「そういえばエヴァさんに足で踏まれた時滅茶苦茶大きくなってたけど、もともとそういうフェチだったの。それとも一度で目覚めるくそ雑魚マゾやろうだったの?」
 しゃべることすらできない横島の分身をマイは足で踏みつけ初めてとは思えない技であっさりと射精させた。大げさに驚いたような顔になりエヴァに大声で告げる。
「信じられない。まだ回復させてないのに足でこんなに出すなんて。どれだけ変態なの」
「あまり悪く言わないでやれ。私のせいで目覚めたのかもしれんし、まだそうと決まったわけではあるまい」
そういうとエヴァは少女の姿に戻り最初にした時と同じ様に横島の分身を足で嫐り始める。
ほどなくして横島が大量の射精をしたのを見ると、エヴァとマイは呪文を唱え精子を分解しマグネタイトとして足から吸収した。二人の足裏を見てそそり立つ横島の分身を見てエヴァは言った。
「確かに前世の再現はしたが、前世のお前はここまで足好きのマゾではなかったぞ。少し治療が必要だな。ちゃんと人間らしく胸に欲情するように戻してやろう」
 そういとエヴァは大人の形態になり生命力を吸い取る魔術術式を発動させる。この世界線ではライフドレインをされるのはかなりデビルサマナーやデビルバスターとしては恥ずかしい行為だった。
エヴァとマイが左右から横島の分身を挟み動かすと横島は一気に射精した。心地よい冷たさを誇るエヴァの胸と癒しの魔法を浴びている時の様な温かさを与えるマイの胸に何度も絶頂子種をまき散らし、それを二人が吸収する。
時には同時にあるいは交互に胸で搾り取りながら理不尽なことを二人は言う。
「ほら、足で欲情するごみ野郎な自分を、まともな人間に戻れるように協力してくれてありがとうと言いなさい」
「さすがにそら理不尽過ぎてむりや」
 屈服しかけながらなけなしの矜持を見せた横島にエヴァが声をかける。
「お前の前世も閨で屈服していたから、軽子坂の異変を解決するためだと思ってやれ。あと、情事が終わるまではエヴァ様と呼べ。前世の再現だ」
「マイ姉ちゃんワイの様なくそ雑魚マゾ男を人に戻す努力をしてくれてありがとうございます。エヴァ様も本当にありがとうございます」
そういった後、横島は射精の後に意識が朦朧として、どちらかに騎乗位で搾り取られたのを最後に意識が沈んだ。沈む意識の中で横島は自分がこの事件が終わるまで横島家当主だと自信を持って言えるメンタルが残っているか不安になった。




169 :名無しさん@狐板:2021/04/05(月) 00:03:12 ID:uO9tvhuf
 改築されたダンジョンと化した体育館までの道のりに数えきれないほどの悪霊や様々な悪魔の群れとの剣戟の音が響く。横島が敵の群れに駆け入り撹乱し切り合いをしている。敵の悪魔たちはピクシーやコボルトと言った弱小悪魔だが、
ボルテクス界の悪魔やライドウに率いられた悪魔たちの様に、実力が上がっており。彼らの動きは負けが確定した敗残兵ではなく、万が一の奇跡をつかみ取る可能性を感じさせる英雄に率いられた強兵のそれだ。
横島に切り伏せられながらも一向に怯まないコボルト達の隊長が叫び声を上げた。
「我らの戦いは後の世界に正確に残ると約束されている。異世界の英雄の生まれ変わりである、あの男に重傷を負わせるか、傷は浅くても彼が守る女に一太刀浴びせれば、それだけで我らの物語が広がり、種族全体の底上げとなる。
怯むな。スクカジャ」
 自分の命が危なくなってなお防御力を上げることより、命中率を上げた隊長は横島の霊波刀で切り伏せられた。それでもコボルト達は一切乱れず、精密機械の様な力強さと素早さのある連携で横島に切りかかる。横島の剣を抜けきった群れは
マイの仲魔である金槌坊の槍と金槌に討ち果たされた。
 敵との戦いが終わった後、横島は律儀に金槌坊に礼を言った。
「俺が取り逃がした相手倒してくれてありがとうな。おかげでマイ姉ちゃんは無事や」
 マイはこういうところが悪魔に好かれるのにサマナーになれないと、みなされた原因だろうと思った。道具として割り切る感性がなさすぎるのだ。
「横島絶好調じゃない、やっぱりあの処置を受けてよかったと思う?」
「言い訳ないやろ! 死ぬほど恥ずかしかった上に癖になりかけとるのが余計に情けないわ! でもあの処置が無かったら今回の戦闘でマイ姉ちゃんが軽いけがくらいはしとっただろうからそれよりはましや」
 マイはその答えを聞き微笑んだ。演技力の高さと持続力から横島の監視役兼育成係になったので、その特権を使って色々な意味で自分好み育てたが彼の、自分を好いてくれた女性にひどいことができないところと、
護ろうとするところを重点的に伸ばす逆光源氏計画は成功だと思った。 マイを護る為に前を行く横島はこれからの魔界巡りを想像した彼女の笑顔を見ることはなかった。仮にその笑顔を見たら横島は猛烈に嫌な予感を覚えていただろう。
その笑顔が彼のこれからの魔界巡りがどうなるかを暗示していた。


170 :名無しさん@狐板:2021/04/15(木) 21:10:51 ID:mXmDTqGd
シェルター板が落ちてるっぽいですね

171 :名無しさん@狐板:2021/04/15(木) 23:24:46 ID:xTMkPYi1
イッチに会いたい…ハァハァ

172 :名無しさん@狐板:2021/04/16(金) 12:41:06 ID:4RdEuNvw
シェルター大丈夫なんだろうか
移動するとしたらここで発表があるのかな?

173 :名無しさん@狐板:2021/04/16(金) 19:36:10 ID:PmVRatYu
まさかここが避難所として機能するとは

174 :名無しさん@狐板:2021/04/16(金) 21:49:34 ID:sdNXhTgV
まだシェルターが復旧不可能となったわけじゃないが
・別板のこのスレの存在
・まとめてくれてるサイトがある
この2つが不幸中の幸いか
シェルターのみで活動されていた方は急遽Twitterのアカウント作成して告知してたりで大変そうだ
なにはともあれイッチの連絡待ちだね

175 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/16(金) 22:10:47 ID:YiAvasGo
イッチです
やる夫シェルターが堕ちてしまっているということで
とりあえずここを避難所として使わせてもらうこととしましょう
しばらくシェルターが復活しないのなら、リクエスト小ネタを磨いておきたいと思います。

こちらのスレだと規制されてしまう人もいるでしょうし、かくいうスレ主も一部のネット環境は規制されここに書き込めません。
当分の議題は

@ここ以外に避難所を建てるのか、建てるならどの板に建てるのが良いか
A今後のこういう自体の時の対応を決めておくべきか(避難所を立てるまたはこのスレだけで十分か)
Bこの危機をどんなMシチュに変換して乗り切るべきか

あたりでしょうか
スレ立てや緊急時の対応は他の方の意見を聞くとして、
Bは主人公の家のドアと窓を人知れず溶接して、「私の家を避難所にしていいよ」って誘い込んで後ろ手に鍵を閉める監禁幼馴染あたりがオーソドックスかと存じます

176 :名無しさん@狐板:2021/04/16(金) 22:21:17 ID:zmird05W
安心した!イッチが割といつも通りで安心した!乙です
私は詳しくない上に狐板で不便無い環境なので何とも言えませんなー…
Bについては監禁シチュの他にも絶海の離島に連行されて無人島物語されている感もあります(あるだろうか?

177 :名無しさん@狐板:2021/04/16(金) 22:25:15 ID:GV/oy9YC
あってよかった引用スレ

178 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/16(金) 22:26:29 ID:YiAvasGo
引用スレをたててくれた人に感謝ですねぇ
一応まとめの最新話にも注意喚起の書き込みをしてきました

179 :名無しさん@狐板:2021/04/16(金) 22:28:50 ID:6ShPss+S
イッチおかえり、@Aはこういう事態のために避難所はあった方がいいので、どっかの板に建てれたら安心だなと思います
Bは、上着とかを全て強奪した上で『そんな寒い格好して……ほら、おいで、お姉ちゃんの服の中に、避難、しよ?』って蒸れ蒸れの肌をあらわにする年上幼馴染もいいと思います

180 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/16(金) 22:42:57 ID:YiAvasGo
逆に幼馴染と一緒が居心地よすぎて特に付き合うわけでもなく二人きりでずっと過ごしていたら、ある日突然
「ずっと私とだけ一緒にいるんだもん、これは合意でいいよね?」って人格を失うまで服から出してもらえなくなって蒸されまくってエターするんですね

建てるとしたら狐、方舟あたりですかね?普通のやる夫板や鮟肝やる夫板というのも見つけた

181 : ◆PUnzh8CpR6 :2021/04/16(金) 22:54:09 ID:7D6RWibh
シェルター鯖が不通になって色々と混乱が広がってるようですね。予備の避難所代わりに
私のスレを伝言板として使っても構いませんよ。基本投下以外は書き込みが無いんで
容量が余ってますし。

182 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/16(金) 22:58:00 ID:YiAvasGo
ご申し出ありがとうございます!とりあえずここを拠点にいろいろ考えましょうか……シェルターがいつまで止まっているかにもよりますが……

183 :名無しさん@狐板:2021/04/16(金) 23:03:09 ID:HfaRptwc
スレ主さんお疲れ様です。自分だけかと思ったら、シェルターそのものが落ちていたとここを見て知りました。
繋がらないから変だと思っていたけどまさかこうなるとは

184 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/16(金) 23:04:48 ID:YiAvasGo
避難所を立てる板のおすすめがあったらどなたでも教えていただけると嬉しいです

185 :名無しさん@狐板:2021/04/16(金) 23:07:31 ID:PmVRatYu
狐さん、スレの数は多いわりにそんな重くないのよね

186 : ◆PUnzh8CpR6 :2021/04/16(金) 23:09:01 ID:7D6RWibh
ヒロイン板は容量が少ない代わりに大抵書き込みがスムーズだと思う。
あるいはやる夫系雑談・避難・投下板(やる夫板、緊急避難用の両方)辺りかな。

187 :燻憧:2021/04/16(金) 23:29:10 ID:K+N5qx8o
こんばんわ、大変でしたね。

まさか、狐板で改めてこうして書き込むことになるとは思いませんでした。

188 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/16(金) 23:35:11 ID:YiAvasGo
狐さんか雑談避難投下板がよさそうですね
ここ狐はたしかダイスが100個1000面まで行けるんでしたっけ
【11D1000:5188(572+246+402+235+584+576+378+343+319+695+838)】

189 :燻憧:2021/04/16(金) 23:41:52 ID:K+N5qx8o
まぁ、割と便利だとは思いますよ。
他のスレを知らないのであれですが……

190 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/17(土) 00:01:19 ID:03+/oTRk
とりあえず暇出来たら立ててみますzzz

191 :燻憧:2021/04/17(土) 00:03:43 ID:BRoMDqg9
乙でしたー。

その前に復旧してもらえればいいんですけどね。

192 :名無しさん@狐板:2021/04/17(土) 00:05:23 ID:P7aoEpPk
乙でした

193 :名無しさん@狐板:2021/04/17(土) 11:05:12 ID:1GDpNs2h
自分は狐も避難板も書き込みできなかったりする
全員の要求を満たすのは難しいのではないかな
今は別のネットからだけど

194 :名無しさん@狐板:2021/04/17(土) 21:48:12 ID:mh4zc4HV
おいおいTwitterまで落ちたよ

195 : ◆Jamy.W9zRc :2021/04/17(土) 22:48:37 ID:d34X8VTc
数日この界隈から目を離していたうちに大変な事になっているのであるなあ

196 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/17(土) 23:28:14 ID:03+/oTRk
大変なことになっていますね……
とりあえず明日ぐらい様子を見て、
本スレ;シェルター(停止中)
避難所:やる夫の方舟(明日あたり建てる)
避難所の避難所兼引用スレ;狐(ここ)
という形にしようかと思います
これらが全滅したらまとめのコメント欄
それも駄目だったら路地裏で抱き込まれてるんだと思う

197 :名無しさん@狐板:2021/04/17(土) 23:30:51 ID:P7aoEpPk
お疲れ様です

198 :名無しさん@狐板:2021/04/17(土) 23:31:11 ID:swhuYyXL
イッチこんーそして乙です
路地裏には地獄と天国が待ってるからね仕方ないね

199 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/17(土) 23:34:31 ID:03+/oTRk
路地裏で壁ドンされてレイプされた後
場末のホテルの裏口からギシギシ言う粗末なベッドに連れていかれてしまうんだ
そこで完全に所有物になるまで吸い痕と噛み痕と性癖を刻み付けられてしまうんだ

200 :名無しさん@狐板:2021/04/17(土) 23:38:08 ID:P7aoEpPk
自分はこれはひどい女神転生ifの序盤編がもう少しで終わりそうで、多分明日には書き終わりそうだけど、
この状況だと投稿して良いものか悩んでます。

201 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/17(土) 23:40:27 ID:03+/oTRk
問題ないとは思いますがここしか舞台がないのが困りものですね
方舟さんだとSSもOKだったような?
落ち着いたら建ててしまいましょうか

202 :名無しさん@狐板:2021/04/17(土) 23:46:11 ID:P7aoEpPk
とりあえず見直しとかもあるし、自分の為に早く立てたりして不備があっても困るので、急ぎ過ぎない方が良いかと。
それにしても、シェルターが落ちた際は執筆が止まってしまう程ショックでした

203 :名無しさん@狐板:2021/04/17(土) 23:53:54 ID:P7aoEpPk
少し気になったけど。ここしか舞台がない状態になると、こっちにしか投稿できない自分みたいなタイプ以外の作家さんもかなり
弊害が出ているかな? 自分は直ぐに思いつかないけど、単純に向こうで投稿できない以外にも困った事はかなりありそう
な気がする

204 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/18(日) 00:07:22 ID:f2qUtaR8
方舟メインになるとSSが共存可能だったような
ここだけだと引用を利用する投下とかはやりにくくなりそうですね

205 :200:2021/04/18(日) 00:14:29 ID:vAM0s3He
あと書き込めない人たちも出てくるかもしれませんね。しかし>>200で書き込んだ後に、催促めいた発言になっていたかもとか、
思って慌てて>>202書いてしまいましたけど、良く考えたら。書きあがり次第宣言してここに投下でも大丈夫な訳ですしね。しかし、
未だにネットでチキンと言うか小心者なのが治らないな。こんなんだから投下後に、しばらく動く気も起きなくなるのかも

206 :名無しさん@狐板:2021/04/18(日) 00:16:06 ID:jCZ4Xnq2
シェルターが落ちる事自体は過去にも何度かあったから、そこまで心配はしてない
ただ復旧まで数日はかかるかもしれんな

207 :名無しさん@狐板:2021/04/18(日) 02:49:06 ID:NdINNCgP
2年くらい前にも予告とかは特になしにいきなり入れなくなって右往左往した記憶ありますからね

208 :名無しさん@狐板:2021/04/18(日) 13:36:18 ID:x6AbIGsm
ここのメンツはもし四散してもまたじきにどこかで集結してそうなんだよなぁw

209 :名無しさん@狐板:2021/04/18(日) 14:07:23 ID:7MdpbooA
こんな廃人の巣を潰して廃人どもを世に放つなんてなんて恐ろしい

210 :燻憧:2021/04/18(日) 14:18:57 ID:+eCSHGX2
ツイッターで、スレ作者さんの一人が問い合わせたところ、
料金の支払い方法で不手際があって、未払いにしてしまったそうです。

月曜日の昼には復帰するらしいですよ。

211 :名無しさん@狐板:2021/04/18(日) 14:24:34 ID:vAM0s3He
>>210
報告乙です。その話を聞いてほっとしました。

212 :名無しさん@狐板:2021/04/18(日) 17:34:56 ID:x6AbIGsm
良かった良かった
それはそうとして避難所は欲しいかもだ

213 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/18(日) 19:30:52 ID:f2qUtaR8
まだ作業中ですが
せっかくなので避難所を作っておきました。
ttp://shokaku05.sakura.ne.jp/test/read.cgi/reppua7m1/1618741172/

基本の優先順位はシェルター本スレ>避難所>ここ引用スレ

ということで、規制環境やシェルターのSS禁止規約により
小ネタ投下はシェルター本スレ、トラブルや規制があるなら避難所も可
SSは避難所または引用スレ
引用はここ引用スレへというようにしましょう

214 :燻憧:2021/04/18(日) 19:46:19 ID:+eCSHGX2
乙でーす。
明日には小ネタ作っておきたいな、と。

215 :名無しさん@狐板:2021/04/18(日) 20:26:44 ID:C+8Cl6Sl
おつでーす

216 :名無しさん@狐板:2021/04/18(日) 20:36:35 ID:vAM0s3He
乙です


217 :名無しさん@狐板:2021/04/18(日) 21:15:57 ID:Hjpr18w2
乙です
使いたいAA改変できたし私も小ネタ清書して参ります

218 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/18(日) 22:34:40 ID:f2qUtaR8
ちょっと今日明日(もしかして明後日)あたりはあまり動けない……
投下していただいたものは楽しみに読ませていただきます!
こちらの小ネタもようやく迷っていた部分が埋まりました

219 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/18(日) 22:42:45 ID:f2qUtaR8
今日はとりあえず避難所にて雑談、明日復帰以後はシェルター本スレ。
以後の基本活動の優先度は本スレ>避難所>引用スレとします

220 :Mゲーそむりえーる ◆WRbFpp11s2 :2021/04/18(日) 22:43:04 ID:f2qUtaR8
ttp://shokaku05.sakura.ne.jp/test/read.cgi/reppua7m1/1618741172/

221 :名無しさん@狐板:2021/04/20(火) 00:11:43 ID:7Bl9tswg
これはひどい真・女神転生if 体育館
これは前に>>159から>>162とそれから>>164から>>169に投稿したこれはひどい女神転生ifの続きです


この作品は以下の追加の注意があります。
@ 女神転生シリーズの設定を使っていますが、良く出来過ぎていて二次創作で使われる頻度が多く公式設定と混同されている設定などを作者が分からず使っている可能性が高いです。
A 一応真・女神転生ifの本編に入りますが原作とかけ離れ切っています。
B 女権国家世界の未来捏造。女権国家の横島ヒロインズで人間かもしれないキャラが人間じゃなくなったりしています。
C 作者は真・女神転生Vとライドウシリーズの二つを最後にしたため、仲魔が成長するのはそれだけしか知りません。それまでは悪魔を強くする方法が邪教の館での合体以外はなかった感じです。
このSSではライドウや女神転生Vが特殊環境という設定であり。この2作品でだけ仲魔が普通に経験値で強くなる設定は自分の独自解釈です
D 悪魔の価値観にデビルチルドレン(黒の書と赤の書だけ)が使われています
E 作中の魔石の設定は公式設定かよく使われる二次設定か作者にもわかっておりません。
F 合体後の悪魔の記憶の持ち越しなどについては独自解釈です。

 体育館の門の前で横島は門番を務めていた、一際手強かった金槌坊を切り倒すと息を整えた。

「これで最後みたいだな、突入前に休憩や。回復魔法だけではあかん」

 疲れを取るべく結界を張ると腰を下ろした、横島の横にマイがかける。

「ベッドの外では勇ましくなったわね。ナイトくん」

 なぜかナイトくんという呼び方に嫌な悪寒が走った。これは絶対前世のどれかの記憶だ。マイの自分を捕食したそうな瞳を見て横島は少しでも話題を変える為に気になっていたことを聞いてみることにした。

「マイ姉ちゃん、ここに来るまで戦ったやつら異常に強かったけどあいつらどうしてあんなに強かったんだ」

 ここに来るまで横島達が戦った相手はピクシー、コボルト、ノッカーと言ったそれほど強くはない悪魔たちだった。どの悪魔達も伝承上多数いるとされている悪魔達だ。それを顧みれば個体差があるのも矛盾はしていない。
だがそれでも強い悪魔が多すぎる。この軽子坂高校の異変は一回目ではない。多分パラレルワールドでそれなりに観測されたのだろう。
だからこそ大業を成し遂げて、自分たちの種族の認識を変化させ強化しようという悪魔たちが集まったにしてもこれは異常すぎた。横島の疑問に答えたのは、マイではなく横に控えていた金槌坊だった。

「デビルバスターをしている王配殿には釈迦に説法かもしれませんが、悪魔と言うものは基本的に最初に決められた強さの限界を超えることはありません。一人しかいないはずの悪魔は分霊が群れをなして行動していたりしますが、
彼らの場合は余程の事がないと最初に作られた以上のものにはなれません。彼らとは別に伝承上多数存在している悪魔も種族全体に定められた限界を超えることは難しい。ボルテクス界などの新たな世界誕生の舞台や、
あるいはライドウなどと言った機会に頼らず古のからの術を用いた者たちに使役されて強くなっていくケースなどもあるでしょう」

「そうだな。だがこいつらは明らかにそのどちらでもない気がする」

「『今回』の軽子坂高校は、疑似ボルテクス界と呼べるものになっております」

 横島は驚いた顔になりマイの方を見た。マイは頷いて言葉を返してきた。

「横島、平行世界であんたはかなり格が高い英雄で、人から英霊とか地域によっては神様になれる立場の偉業を成し遂げていたのよ。その英雄の新たなサーガだからそれに出演することで、活躍すれば物語から生まれた存在の連中は種族全体が強くなれる。
だからこそ死に物狂いで自分たちを高めに来るわ。サマナーじゃないあんたも知っているでしょう悪魔の価値観を」

「ボルテクス界作ろうと思ったら世界を生贄にしなきゃ駄目だったよな。どうやったんだ」

「王配殿は向こうの世界で王配殿用の世界が作られる程の神や英霊になり上がっていました。王配殿が死後そこに収まる予定だった神界を奥方達が東京受胎と言われる現象で言うところの、生贄にしたのではないかと。
努力をすれば際限なく強くなれる世界である上に、世界で広く知られるサーガに出演できるとなれば出てこない理由がないかと」


 この業界では神々なども便宜上悪魔と呼ぶが彼らの価値観ではか弱い存在で終わるよりは自我などが失われる悪魔合体で他の種族に転生することの方が、弱者のままで終わるよりはマシなのだ。
だが自分の生れついた種族をそのまま底上げできるならそれに飛びつかない理由はないのだろう。弱いと言われる悪魔なら負けても失わずむしろ善戦すれば、種族の中にも強者ありと認識されて多少は種族が強化される。
彼らの執念が半端ではない理由が良くわかる。

「途中のコボルトの言葉からすると俺たちの戦いは必ず正確に後世に残る仕組みになっているんだな。それをつぶせば士気が下がるか?」

「それは多分無理です。というより不可能かと思います王配殿。今は私の出身世界でもある女権国家と呼ばれる国が存在する異世界と繋がっております。その世界の方の世界の人間たちから注ぎ込まれる感情が悪魔の力ともなるみたいです」

 そこまで聞いて横島も頭を抱えた女権国家のある異世界の話は途中の休憩で金槌坊から聞いた。かつて記録で見たことがあるロウ勢力が牛耳る悲惨な未来から来た40代目のライドウが過去を変えようとしたという事件があったらしいが、それとも少し違うようだ。
その世界も一部同じ伝承の悪魔がいたりして似通った部分もある。だが根本から作りが違う気もする。その世界での信仰心なども力となるならその世界に行けない自分達ではやりようがない。


 気疲れした横島にマイが不意に魔石を使った。回復魔法とはまた違う生体エネルギー=マグネタイトの塊である魔石により精神の疲れまでもが僅かだが癒えた様な状態になる。


「横島、あんまり難しく考えない事よ。此処は青木さんがいた世界と違うけど、似通ったところも多々あり、向こうだけじゃなくてこちらも幾らでも強くなれる。そしてハザマ・イデオとは違うわ。少なくとも今の所は一般人に手を出す気はない。今回の戦いはずっと楽でしょう」

「そうだな。マイ姉ちゃん。今回は全力で戦って俺の前世が何かやった結果なら全力で土下座して、それでもだめなら倒してから、許してくれるまで謝りゃええ。一般人のみんなは絶対に元の世界に戻さなきゃな」

 横島は精神も上向きに戻りつつマグネタイトというものはつくづく不思議だと思った。生体エネルギーでありながら、人々の信仰心や恐怖等からも生まれ。悪魔たちを存在させ時に、実体化させる。魔石はマグネタイトが固まってできたものらしいが、
どういう風に固まるのだろうか? 信仰心や恐怖とかを固めても作れるのだろうか? 自分はさっきまでエヴァとマイに絞り取られていた時、マグネタイトを性交で奪われそして魔石を使って回復させられ続けた。そこまで思い出して、自分の股間が硬くなり掛けていた事に気付いた。
それを見たマイが面白そうに蔑みの目を向けてくる。

「横島、あの屈辱的なセックスを思い出して硬くしているの。今度から魔石で回復される度に立つようになるんじゃないでしょうね? 魔石なしでも戦えるけどマジで恥ずかしいから治してねそれ」

「姉ちゃんとエヴァ様。じゃないエヴァさんのせいやろ」

「今の様呼びはガーディアンを馴染ませる為?それとも癖になったの?」

 笑いながらおちょくってくるマイにたじろぐ横島を救ったのは金槌棒の声だった。

「王配殿、疲れも取れたし緊張もほぐれた様ですな。それでは参りますか。この先に今回の戦いに私が参戦した理由の敵が居ます」


 金槌坊がそう言うと全身から裂帛の気迫が溢れで出した。その様子に横島は一歩引いた。戦場では獅子奮迅だった彼だがここまで、気迫のこもった様子は初めて見た。


 金槌坊が戦闘態勢に入っている中マイも今までの戦いで特に強かったコボルトやノッカーやピクシー等の悪魔を勧誘していた。以外にも彼らは快くそれに応じてきた。横島達の方についても活躍すれば損にはならないからだと思える。
彼らとは短い様で長いダンジョンで苦楽を共にし、何度か休憩中に雑談したりもした。横島と彼らの距離の縮まる速さは非常に早かった。その時間を思い出しながら彼らは門に手をかけた。

体育館への門を開けると青木の記憶と似通ってはいるが大きく異なる魔法陣があった。陰陽道などの知識も多少はある横島には分かったが、これは東京受胎を引き起こした際の術式と一部が類似している。
これが自分の前世の神々が担当する神域を生贄に出した術式だとなんとなく分かった。ここまであっさり分かったのは今のガーディアンのおかげかもしれない。マイは少し術式を調べた後首を横に振った。


222 :名無しさん@狐板:2021/04/20(火) 00:18:22 ID:7Bl9tswg
「駄目ね、ここから働きかけて元の世界に戻れるか試してみたけど、私より数段上の存在が魔法使ったから無理だわ。魔界を踏破して戻るしかないわ」

マイの言葉を聞き横島は諦めたように頷くと、青木の記憶に従い謙虚のリングを探し始める。青木の記憶では七大罪に当たる罪の魔界が作られており、その罪と反対の美徳のリングで魔界の扉が開いていた。ここにもそれがある可能性が高いだろう。


 少しの時間探し続けて、腕輪の様なアイテム謙虚のリングを横島達は見つけた。魔界の封印を解くアイテムだけに聖なる気配を感じる。マイを危険にさらすわけにはいかないと思い、横島が手に取ろうとした瞬間、眩い光が起こり、
半透明な光で出来た美女が現れた。そのサイドテールの銀の髪とその美貌を見て横島は恐怖した。この存在は実態のない精神体だが、今の自分達等用意にひねりつぶせる。確信すると、横島はマイの前に立ち構えた。
自分が死ぬことになってもトラポート=転移魔法を発動させて、マイだけは逃がすつもりだ。それを見てサイドテールの美女は笑顔になった。

「初めまして。私は魔界神、神綺と言います。貴方のお嫁さん達の創造主です。流石私の娘たちが選んだ子ね!予想より早く謙虚のリングに到達したわね。偉い偉い。義母としても鼻が高いわ」

 ここまでは満面の笑みで言っていたが、僅かに眉をひそめる様な表情になった。それだけで、横島の胃が痙攣を引き起こす。目の前の女神がその気になれば、自分達等一瞬で消し去られてしまう。

 横島にとっては永遠にも感じられた刹那は次の彼女の言葉で終わりを告げた。

「それはそうと、マイちゃん。彼が好いた女性には甘いからって鬼畜すぎるいじめ方は程々にしなきゃ駄目よ。この魔界に来てからの貴方達を見ていたけど、いじめ過ぎ。そんなことばかりしていると――」

 神綺の言いかけた言葉に何故か横島は無性に嫌な予感を覚えたが、その言葉は最後まで言われる事はなかった。マイが少しだけ不快そうな様子でその言葉を遮り声を上げる。

「魔界神・神綺殿。此処に来た理由はそんな事を言いに来たんじゃないんでしょう」

「ええ。謙虚のリングを手に入れる前のお約束のボスイベント、リグルちゃんの所から来たアレクシアを倒してからよ。頑張って」


 そう言うと神綺は姿を消した魔方陣から光が立ちゆっくりと何かが現れ始める。その姿を見ながら金槌坊が武者震いと共に槍と金槌を構えた。彼は横島の方を見て熱のある声で告げた。


「横島殿、この世界は女権国家のある世界とは違った世界の方式で成り立っております。そして今我らの前に立つのは、私が生涯で戦うことは不可能だった相手です。アレクシア・アシュフォード。蟻妖怪の頂点にして蟻妖怪の面汚し『だった』女です」


 金槌坊は初めて王配ではなく横島と呼んだ。この体育館に着くまでの短い様で長い時間の中で、横島のマイを護る姿勢にある程度敬意が芽生えていた為だろう。彼は貴人ではなく、尊敬できる上官に対するような声で言葉を続ける。

「女権国家の世界では一人しかいない悪魔も分霊を作ったりする例もありますが、この世界と違い横島殿の様な一部の特殊な例外を除き過去の姿や転生前の存在が別々に現れたりすることはあり得ないのです」

 それを聞き横島は悪魔の中にはセタンタとクーフー・リンの様な子供の頃と青年期の頃が別の種類の悪魔として現れるケースや。
師匠である青木のガーディアンだったシヴァの妻であるパールヴァティもサティーという生まれ変わる前の別悪魔として個別に存在している事を思い出した。女権国家の世界では基本的にそういう事はない様だ。

「お前が倒したい相手と関係あるんだな」

「はい。これから戦う敵はアレクシア・アシュフォード。蟻の遺伝子を用いてウィルスと呪術で人外への転生をしたものです。周りを兵隊蟻やモルモットしてしか見ておらず、多くの存在を不幸にした外道です。
最も現在はリグル様により支配されて、女王アリとしての気構えを叩き込まれ外道ではなくなりました。改心した後はリグル様から新しい姓を与えられ、アレクシア・クイーンアントと名乗っております。私の生前の主君でもあります」

 そこまで聞き横島は何となく、この金槌坊の望みが分った。蟻妖怪として最も唾棄すべき、存在だった伝承の存在と戦えるのはこちらの世界でしかないと思ったのだろう。

 言葉が終わるより先に炎が辺りを包み、青紫のドレスに身を包んだ金髪碧眼の美女が現れた。アリスや夢子と似た金色の髪をしているが、その瞳には子供めいた残酷さと科学者特有の狂気と極一部の貴族が持つ残虐さが感じ取れた。
横島は一瞬でマイの前に立つと、霊波刀を出現させて、アレクシアの視線を遮った。マイは特殊な種族であり霊的な実験価値が高い。この狂った科学者の狂気めいた瞳に彼女を映したくなかった。

 金槌坊もアレクシアに向けて槍と金槌を向けて言葉を紡いだ。

「なるほど我が主君である。アレクシア・クイーンアント様は過去の自分を悪し様に語っておられた。それは、出来た人故に過去の御自分の悪行にも厳しいのだと思っていた。だが今それは実に適切な評価だった事が分った。
アレクシア・アシュフォード、蟻妖怪としてそして用心棒ともみなされる存在として許すべきではない者が眼前にいる」

 金槌坊も用心棒としての側面から目の前の存在の醜悪さを感じ取った様だ。

「働きアリと新しいモルモット達がわめいている様ね。実験を始めましょう」

 そう言うとアレクシアは無数の蟻の怪物をけしかけてきた。蟻を大きくしたようなものや、金槌坊と少し似た存在様々なものが一切に襲い掛かってくる。それと同時にアレクシアの全身が炎に包まれ、衣服が焼失し。
青みをおびた肌の所々を黄色い触手が包む異形へと姿を転じる。それと同時に彼女を包むのと同じ触手があちらこちらから現れ体育館の金属すら破壊して横島達に襲いかかる。


 時に飛びかかってくる触手をかわし、アレクシアの放つ金槌坊の群の攻撃を味方である金槌坊と共に防ぎ、マイの指示に従った仲魔たちが補助魔法を唱え、戦いは一進一退の模様を見せている。
不意アレクシアがマイに向けて炎を放ったマイはそれを受けても怯まず。雷の魔法マハジオンガを唱え反撃した。敵全体に雷が命中したが、一切ひるまなかった。今回は運が悪かっただけか、
それとも雷でダメージは受けても感電体制を持っているのかは分らない。魔法の威力を身を持って知った敵勢力は最初にマイに狙いを定めた。最も果敢に攻め込んで来たのはアレクシアだ。

アレクシアがマイに迫ると横島が割って入って、切り込み劣勢に追い込んだ。アレクシアは心底面白そうに横島を見ると応戦をしてくる。
アレクシアの攻撃は苛烈で狡猾だった。自身を包む触手を時に武器として使い、時には周りの触手が横島に襲いかかる。直に盛り返され横島は劣勢になりながらも、アレクシアを釘づけにしている。
彼は有利ではあるが気をそらすと危ない絶妙な位置の攻防を繰り広げている。
アレクシアは横島にかなりの神経を削られているようだが、それでも周りの蟻のモンスターの動きは一切衰えない。
マイが指示を矢継ぎ早に出し時には指示を出す暇もなく、仲魔達に動きを丸投げする。ここで見込んだ悪魔たちだけにサマナーの指示が途切れても、敗色が濃くはなる様子は見えない。

 激闘が続きアレクシアの攻撃が何度も横島を捕えて来た。彼女の一撃が横島に命中したその一撃は力任せだったがそれでも、横島を吹き飛ばした。
彼が吹き飛ばされた刹那に横島が体制を立て直す隙すら逃さず右腕を包む触手を硬質化して横島の脇腹を貫いた。アレクシアは倒れる横島をしり目にマイに無数の触手をけしかけながら楽しそうに笑う。

「改造の施されていない個体でここまで戦闘力が高いなんて、本当に興味深いモルモットだわ。そして貴女も私のラボでどの生物の苗床にするのが一番相性が――」

アレクシアがマイにしようとする実験内容を言い終わるより先に、激高した横島がかつてない速く鋭い拳を放った。その一撃でアレクシアの体が宙に浮く。
効いたというより驚いた表情の彼女に続いて剣技を放つ。その一撃は彼女の体を切り裂いたが返り血が噴き出し、横島はそれを慌ててかわす。この敵は自分でも炎を意のままに操るだけでなはなく、
返り血でさえ浴びると炎となって焼かれる。しかも相手は異常に炎に強い。最悪死なない程度にわざと血をばら撒き大火事を起こして敵を皆殺しにすることすらできるかもしれない。



223 :名無しさん@狐板:2021/04/20(火) 00:22:42 ID:7Bl9tswg
 返り血をかわした横島はマイの唱えた回復魔法のおかげで傷が癒えて力が戻った瞬間に、アレクシアが拳を繰り出してきた。その一撃は彼を驚愕させた。それはついさっきマイの身に危険が迫った時に、
横島が繰り出した突きと同じ一撃だった。その一撃を受けて、横島は体制を崩しかけたが死に物狂いで踏ん張った。
それをみてアレクシアが再び触手を剣の様に変えて横島の放った剣撃めいた一撃を放ってきた瞬間、金槌坊がアレクシアを金槌で弾き飛ばした。

「横島殿。サマナーに危機が迫ると肩に力を入れ過ぎですぞ。しかし、まさかあれだけの技を一度くらっただけで覚えるとは本当に恐ろしい女です」

 金槌坊の言葉を聞いて横島はほっとした。このアレクシアが覚える技は自分が直接打ち込んだ技だけらしい。無論演技の可能性もあるが見ただけで使えるのなら、もっと使うべき場面は幾つもあった。
下手に技を打ち込むとこの女が強化されるかもしれない。そもそもどこまで自分の技をまねられるかもわからない。一番複雑な技すら真似られるのか? それとも今繰り出してきた二つの技くらいの複雑さが限界なのか?

 アレクシアに新たなる警戒要素が加わり僅かに動き辛くなってから横島達は少しづつ押され始めた。戦いながら横島は周りを見て考える。
アレクシアとの戦いの中でも盗まれる恐れのある技でも躊躇わず一度放って見せて、必要なら使うと示したのち自分は良く敵を薙ぎ払い尽くした。

だが徐々に敵に与える損害が小さくなりこちらの被害は大きくなっている。当初7割くらいはこちらが優勢だったが今では5分に傾きつつある。横島は剣を振るいながら、周りを見ようとした。
だがそれと同時に触手と敵の群れが来て状況を把握させまいとしている。だがこの時点である程度は理解できる。敵は何が何でも横島に全体の事を把握させたくない様だ。
横島は無理やり脳と魂の限界を外し火事場の馬鹿力を引き出した。それと同時にマイに行動を委任された金槌坊が短時間しかできない奮迅を見せて、敵を薙ぎ払う。
横島は飛んでさがると戦場の全体を見た。青木の多くの悪魔を率いて指揮を執り続けた経験の共有もあって直に事態の拙さを理解できた。


今の戦況はアレクシアが信じられない程の早さで学習し成長をしている状態だ。横島と戦い技だけでなく、戦場での呼吸の合わせ方や 体捌きなどを切り合いながら覚えている。
それもアレクシア自身が強くなっているだけではなく、横島やマイの動きや癖をすさまじい速さで覚えている。一番まずいのはマイの悪魔たちを指揮する思考や癖を覚えられていることだ。
マイはサマナーとして培ってきた経験があるから辛うじて互角よりやや上の戦いを演じているが、精神的な疲労が起これば直ぐにひっくり返りかねない。マイが仲魔達に委任の回数が少なくなったのは、
仲魔たちの癖はほぼ完全に把握されたとみるべきだろう。

 機械の様に動きながら自分たちを追い込む巨大蟻と触手と炎の雨にさらされながら、横島は疲労気味の金槌坊を助け魔石を使った。金槌坊の傷がふさがり疲労も少しは和らいだ様だ。横島は敵を切り払いながらマイに向けて叫んだ。

「姉ちゃん俺に一時的に、仲魔達の指揮権を譲渡しろ!」

 マイは迷わず魔術を使いそれを実行に移した。指揮権を譲渡された横島は即座に念話で悪魔達に指揮を執り始める。横島は意識がサマナーに向いていなくても技術自体は高い。
マイの仲魔たちを借りて青木の指示の元マイが指揮をとれない時の代役の練習もしていた。横島が指揮を執り始めた瞬間、五分よりやや有利な戦況が一気に傾いた。マイが魔術砲台と回復に専念し始め、そして仲間たちの動きが完全に変わった。


 横島に指揮が切り替わってから全ての仲魔達が攻撃によりマイの攻撃パターンも大きく変化した。アレクシアはその攻撃を防ぎながら驚嘆していた。
この学校に来てから彼の戦い方はマイを支援し守ることに特化していた。だがここまで指揮官としての能力も高いとは思わなかった。

 横島は指揮をとり全ての仲間たちに指示を出しながら委任をする時は、自分が暴れまわることで敵の陣形をかき回しながら全霊で切り込む。

「凄い、凄いわ。ただの人間でありながらこれ程なんて。仮に貴方を実験台にして強化したら、どれ程のクリーチャーが生まれるんでしょうね」

 斬り合いながら横島は、拙いと思った。戦局的にはこちらが有利だがこのアレクシアの口調は無邪気で残酷な子供の様な声のままだ。まだ負けないという確信があるのだろう。

不意にマイが背後で魔石を使う音がした。彼女の精神的な疲労も回復しただろうが、十全に戻ってもやや有利が良い所だろう。完全に覚えられてしまう前にアレクシアの体力を3割以下に出来なければこちらの負けだと横島は思った。 

勝つ為の思考を巡らせている次の瞬間、アレクシアに操られる蟻の怪物たちが自爆してきた。横島はそれらを辛うじてかわした。防御力上昇魔法ラクカジャで強化された面々も辛うじて重傷には至っていない。
回避率と命中率を上げるスクカジャの加護もあってかわせた面々もいたが、爆発に巻き込まれた仲魔達の傷は深い。マイが全体回復魔法であるメディアラマを唱えた後、周りで攻防が激しくなる。
自爆は悪魔の生命力が削れていれば威力も落ちるが、何時自爆をしてくるかわからない状態では大いに気を奪われる。不確定様子が加わり、気疲れが加速する中、蟻の中には自爆する種類も居たなとふと思った。


224 :名無しさん@狐板:2021/04/20(火) 00:28:14 ID:7Bl9tswg
敵の自爆攻撃が始まってから、横島は余計に劣勢に立たされた。アレクシアが気まぐれにあるいはそう見える様に計算しつくしてやっているランダムな、自爆が彼らを大いに苦しめる。
自爆を食らわずに済むように味方達を誘導し自分自身が率先して蟻たちを削る。

「さあ恋人を護る為に常識外れの力を出すモルモットはどれくらいで神経の限界が来るのかしら。今のところは魔石による回復なしの記録は歴戦の軍人より3分長いけどあとどれくらい?」

最高のおもちゃを見るような目で自分を見るアレクシアを見ながら、横島は全力で青木から受け継いだ想いと闘志を呼び覚ました。かつて青木の経験した軽子坂高校での事件の時、
青木よりもパートナーである赤根沢玲子が死んだ場合の方が失われるものは大きかった。
青木の冒険時は魔法の使えるパートナーは魔法を基本的にガーディアンと共有していた。そして覚えられる魔法には限りがあったのだ。
その結果魔法を多く覚えるキャパシティを玲子が得る前に死ぬと貴重な魔法が新しく着いたガーディアンの魔法に上書きされ貴重な魔法が失われた。
だからこそ青木は魔法の使えない自分が常に先に死ぬような戦い方をして、その速さを活かして玲子の盾であり続けた。
最もそれは半分以上、言い訳であり口実だったのだろうと横島は思う。今自分がマイの盾をしているように、惚れた女に痛い思いをさせたくなかったのが一番の訳だったのだろう。
だからこそ青木も同じ思いを抱く自分にこの戦い方や指揮の取り方を惜しげなく教えてくれたのだと思う。

 だが今はその戦い方では駄目だ。死んでも生き返れる保証はない。だからこそ横島は青木に叩き込まれた戦い方や体術の全てを思い出し、今自分に着いているガーディアン=前世の自分の記憶も引き出し始めた。

 横島の動きがかつて青木と模擬戦をした時に見た青木が見せた様な動きになり、その後に一気に変わった。かつて女権国家で人外の女性を狩り尽くす無数の怪物たちから守った守護神めいた動きと、
青木の動きが融合した独自の型になり、仲魔たちとも連携も青木の戦い方を取り入れた横島のものに変わった。

 アレクシアは横島とそれが率いる悪魔の猛攻を受けながら笑った。その笑みは退屈な問題しか周りになかった天才児が少しは難しさを楽しめる問題と出会ったかの様だ。

「全滅する際も最後まで折れずに最善手を打ち続けた、部隊の映像を見たことがあるけど、貴方の雰囲気はそれに似ているわ。 もしも最後までそうなら結構大変そう」
 
 アレクシアはそういうと全力で横島と周りの仲魔達を観察し始める。少しでも多くの情報を集め些細な癖や動きも完全に覚え尽くし、読み切ることに本気を出し始めた。
今までも手を抜いていたわけではないが、完全に余裕を捨てた感じがする。 

「ほら、頑張りなさい。貴方が負けたらマイは永遠に実験動物の苗床よ。ウィルスを体に打って魔界人はどれくらいのウィルスでゾンビやクリーチャーになるのかを調べてもいいわ。
トラポートで逃がそうとしても無駄よ。今から2時間はテレポートできない妨害魔術でエネルギーをまいたわ」

 炎の荒らしをかわしながら、それでも僅かにアレクシアに届かない横島を見ながら彼女は続ける。

「指揮官として部下を捨て駒にする感性が貴方はなさすぎるわね」

 横島が僅かに疲労と負傷が大きく動きが止まったが、それを見越して指揮をとっておいたため金槌坊や他の仲魔のフォローが直ぐに間に合った。金槌坊は、横島を庇いながら口を開く。

「その通りだ。横島殿がサマナーになれないと断じられたのはこういうところだろう。仮に私の女王であるアレクシア・クイーンアント様が相手だったら、絶対に勝てなかっただろう。
彼女は横島殿と同じ兵を大事に思う女王蟻の心を持ってなお、必要とあれば兵に死を命じられる。だが貴様よりは優れた指揮官であることに間違いはない」

その言葉にアレクシアは気分を害した様子もなく笑った。

「私が未来の私にはともかくその男に経験以外で負けると」

「反逆の恐れから部下である蟻すら機械の様にしか作らない貴様では、我が女王の足元にも及ばぬ。サマナーとしては論外だが、戦友として上官としては称えるに足る、彼の元で兵として勝利して見せよう」

「やってみなさい」

 アレクシアはそういうと、横島の動きをより深く注目し始めた。金槌坊の言葉は明らかに虚勢などではない。むしろ言われた横島が戸惑うくらい勝利を確信している。そしてそれは周りの仲魔たちも一緒だ。
アレクシアはそれを見て初めて焦りを見せた。無数の触手と蟻の魔物たちの攻撃を激化させた。

 激しくなった攻撃の雨を横島は捌きながら全体に指揮を執り続ける。金槌坊の言葉は明らかに虚勢ではなかった。彼は歴戦の戦士であることは間違いない。戦場の経験自体は横島より上だ。
その彼だからこそ当人ですら気づいていないアレクシアを倒せる横島の何かに気付いたのかもしれない。アレクシアは横島がマイに指揮権を戻すのをがむしゃらに阻止してきている。
金槌坊が気付いた事に横島も気づいたとき戦況が大きく傾く。それを理解している顔だ。


 普通なら動揺させられるような苛烈な突撃と攻めを受けながらも、横島は冷静に敵の攻撃を防ぎ応戦し続けた。金槌坊が自分を信じてくれているならそれに答えて見せる。自ら前線に立ち敵を多く切り倒すと、
アレクシアと鍔迫り合いを演じて敵の隊列を一気に乱すと、金槌坊たちを側に呼び寄せる。金槌坊達がアレクシアに食らいついたのを見て、一部委任ではない、完全な自由行動の許可を与えると自分は、一気に距離を取る。
戦局を崩壊させずにいられる時間は長くて一分、短ければ20秒くらいだ。その時間で金槌坊が気づいた何かを探そうとして――次の瞬間アレクシアが多大なダメージを受けて吹き飛び、多くの触手とアレクシアの配下の大半も弾け飛んだのを見た。

 圧倒的な戦局の傾きに何が起きたのか、横島は理解できない。ただ金槌坊のいた所から、アレクシアの配下達が良くしていた自爆と同じ事を金槌坊がしたのだと気付いた。
アレクシアは何が起きたのか分らないという表情をしている。帰り道すらおぼつかないこの状況では、死んだ仲魔をドロップ=捨て去る、ダークサマナーの常等手段を取るしかない可能性が高い。
通常のドロップはただの契約破棄だが、死んだ状態でそれをやられるという事は、彼らを繋ぎ止め呼びもどす枷が消え去り、彼らという個体が完全に近い消滅を迎える事に他ならない。

 アレクシアは混乱の極みにある表情をしながらも数瞬の遅れの後全ての配下に自分の防衛を命じた。次の瞬間、金槌坊の自爆に巻き込まれた仲魔達、彼らは防御していたからアレクシアよりはましだ、だが重症である事に違いはないが。
一切躊躇わず特攻を仕掛けた。肉を切らせて骨を断つというより、命を断たせて肉を切るというその攻撃は確実にアレクシアを傷を与え守りにいた配下達も消耗させた。

「貴方達正気?」

 アレクシアの混乱の声は当たり前の事だ。この戦いが正確に後世に伝わる以上彼らの種族全体は信仰や好感の感情が流れ込み、底上げされる可能性が高い。彼ら自身も信仰が降り注ぎ戻ってこられる可能性もゼロではない。
だがこの行為は限りなく低い確率で得た利益を激減させることに他ならない。横島達が負けてしまっても、死なない程度に不義理しない道を取った場合の方が収益は高いのだ。その問いに最後に残ったコボルトが応えた。

「士は己を知る者の為に死すか。ガラじゃねぇけどこの兄さんが気に入っちまってなぁ」

 そう言うとコボルトはアレクシアに貫かれながらも味方全体の防御力をあげる魔法ラクカジャを唱えてから消失した。

225 :名無しさん@狐板:2021/04/20(火) 00:34:36 ID:7Bl9tswg
仲魔達の行動にパニックになりながらも、この勝機を逃せば敗北が決まる。つまりマイを守れなくなる。それが一瞬で横島の思考のノイズを消し去った。全力で駆けると、アレクシアの懐に飛び込み渾身の一撃を放つ。
覚えられとしてもここで確実に決める覚悟の一撃をアレクシアは防ぐ事が叶わずその一太刀で絶命した。

 アレクシアが倒れた後、横島はマイに振り返ると少しだけ言い淀み口を開こうとした。先んじてマイが応える。

「分っているわ。こいつらをドロップはしないから、安心しなさい。2軍メンバーで何とかやりくりして帰るわ。その変わりあんたには死ぬほどきつい思いしてもらう事になるから覚悟しなさい」

 横島の上役である主家の老人たちが、横島がサマナーにならないとしてもサマナーめいた能力の習得を許す条件は、最後の決定はマイに全て委ねるというものだった。彼は良識的な悪魔たちと共に戦えば、
今回の様な良い結果になるが悪性の存在や、人と愛し方がずれていて周囲に災いを撒く愛し方をする人外への対処が下手すぎるのだ。

「確か師匠の記憶では魔界に行くまで仲魔達は回復できなかったはず。エヴァさん達に頼めばやってくれるかな?」

「とりあえず今は戻りましょう」

 帰り道の横島の戦いは鬼気迫る者があった。自分が不甲斐なければ彼らがドロップされるという恐れも僅かにあったし、何より彼らの為に恥ずかしい戦いは出来ないと思ったのだろう。 

 保健室に戻る為に先に斥候として先を行く横島を見ながら、念話を始めた。

「――ええ、見ていたでしょう感想はどう? 想像はつくけど。ええ、金槌坊達への感情は種類こそ違うけど私たちに向けている想いに近いくらい大切に思っているわ。本当に妬けてしまうわ。
――リグルちゃんにお願いしたい事があるんだけど。――ええ、ええそうよ。悪魔合体の解禁をお願い。――え?良いの?派遣されてくる彼女が嫌がるかと思ったけど、昔とは正反対の良識人なのに良く私の趣味を了承してくれたわね。
良くないとは思いつつ彼を苛めるのは好きすぎる感じかしら。――張り切っているように見えるって、ええ、妬かされた分、頑張って私の性癖も満たして貰わなきゃ」
 
妬けてしまうわの下りは冗談めかして言っているのに嫉妬とそれにより煽られた情欲が大きく籠っていた。


 横島は最新の注意を払いながら出てくる悪魔達を返り討ちにしながら、遂に悪魔の出てこない場所まで到着した。敵の悪魔達としては堂々と進軍してきている時はともかく手負いの獣である横島達を倒しても益は低いと断じたのかもしれない。
彼らの目的はサーガに登場することでもあるのだから。



 横島達は即座に邪教の館とも化した保健室に入った。その瞬間、横島は一瞬で飛びのき剣を抜き放ちかけたが、それは即座に保健室にいた白衣の美女=アレクシアによって阻止された。
彼女は一瞬で横島が飛びのいた以上の速度で間合いを詰めると横島を取り押さえた。僅かに甘い香りを感じた瞬間異常な脱力感が横島を襲い、体に力が入らなくなり、横島は死を覚悟したが、攻撃が繰り出されることはなかった。

「大体の事態は予想がつきました。過去の私の分霊がずいぶんなことをしたようですね」

 その声には礼儀作法と気品だけではなく、横島を子供の頃から後見した老人達や大人の女性が持つ良い意味での貴族めいた責任感と、医師としての仁の念が籠っていた。彼女は優しく横島を抱き上げると言葉を続ける。

「私はアレクシア・クイーンアント。此度の異変は試練をただ厳しくするだけでは、公平ではないという判断があったので、皆様の仲魔たちの治癒も請け負うべくリグル様に派遣されたものです。
女権国家の世界では医療の女神と蟻が穴を掘ることとから罪人が送られる炭鉱労働と絡み、私も大罪を犯したのち正道に戻ったので、贖罪者たちの守護女神もしています」

 横島はアレクシアの匂いを嗅いでから立つことすらままならず、その上思考回路さえぼんやりとしてきていることに気づいた。だが呂律が回らない口を無理やり動かし、どうにか言葉を紡いだ。

「アレクシアさん、どうかあいつらを、仲魔達の治療をお願いひます」
 アレクシアは少しだけ嬉しそうに目を細めたが少しだけ頬を膨らませた。さっき倒したアレクシア・アシュフォードと顔は全く同じなのに、可愛と思える表情だった。彼女は横島の頬をつねった。
そして、大きくなった分身を服の上からさする。気持ち良すぎて逃げようとしても、力が入らず、感電したように痙攣する横島に彼女は告げる。

「私の自慢の家臣も大切に思ってくれるのは嬉しいです。けど一応私も貴方の妻の一人だったんですよ。フェロモンの香水で思考が鈍って欲情している状態でなお、開口一番がそれでは複雑です」

 横島はアレクシアに触られながら、動くことができない。彼女は片腕で横島を抱えたまま、保健室に戻った。そして空いた方の手をかざすと、一瞬で死亡状態だった仲魔達全てを蘇生し完治させた。


 治療が終わった仲魔たちは横島に一礼した後、マイに跪いた。マイは金槌坊以外を送還すると、無言で金槌坊に何かの許可を与えた。金槌坊はマイに再び一礼しアレクシアに向き直る。
 彼の様子を見てアレクシアは横島を寝台に横たえながら金槌坊に向き直る。

「女王陛下、貴女様の汚点である過去の存在を消し去り勝利することができました。もしも、貴女様のお計らいならば蟻妖怪として唾棄すべき存在の討伐できる位置に私を置いてくださりありがとうございます」

「いえ、私の差配じゃなくて貴方の伝承による特性でしょう。この世界だと天使や善神も悪魔と呼ばれているけど、貴方は横島殿が転生を繰り返すうちに何度も彼を助けた、蟻妖怪の集合体のレギオンの一人だから、それで彼に縁ができたのでしょう。
その姿での最後の奉公、大儀でした」

 金槌坊はその言葉を受けると頭を下げるとマイの方に向き直り送還された。それが終わるとアレクシアは横島に言葉をかける。

「私の黒歴史にしたい過去を倒してくれてありがとうございます」

「黒歴史では、ないんれすか?」

「ああいう過去があったから、今では女権国家という国で有数の女神になり多くの人を救えたのです。断じて黒歴史じゃないし、してはいけません。それは彼も含め、私の家臣なら皆知っています。
でもそれはそれとして蟻妖怪としては倒したい悪魔ではあるんでしょう」

 そういうとアレクシアは棚から色々な薬品を取り出し始めた。横島はそれを見て凄く嫌な予感に襲われる。マイの方を見ると横島をイジメて楽しむときの鬼畜めいた笑顔を見せている。
 やばいと思い逃げようとするが、アレクシアにかがされた香水の効果か頭が回らず力も入らない。アレクシアは不意にさっき倒した過去の彼女の伝承から生まれた悪魔らしい無邪気な笑みを浮かべると動けない横島から服を脱がせた。
そして淡々と医者らしい手つきで、横島の分身をさすり始める。横島が射精直前になると彼女は手の動きを緩めた。

「今私が手加減をしなければ射精していましたね。女権国家という男性が女性にベッドの中で勝てないのが当たり前の国に居た頃より、耐久力が著しく低下し、さらにフェロモン香水で筋力弛緩がなければ、手にこすりつけていた可能性が高かったです。
精神の耐久力も同様で、落ちています」

 淡々としたアレクシアの夜の戦闘力の酷評に横島はどんどん自分の分身の力が強くなって行く事を悟りへこむと。そこにマイが嘲笑しながら相槌を返してきた。

「メイドさんに淡々と事務的に惨敗させられてもたくさん出すし、私に罵られたり、足でされても普通のエッチより出すし。今度は学者的な悪口でここまで大きくするとか。貴方どこまで行っちゃうの。
御先祖様たちの墓に土下座したら? ちょっと、また私に馬鹿にされてさらに大きくして。お姉ちゃん恥ずかしいわ」
 
 その言葉を聞き落ち込みきった、横島を見て笑いながらも、マイがアレクシアの方を見て言葉をかける。

「アレクシアさん。一応聞くけど、ちゃんと正当な理由があって横島にそういう事しようとしているんでしょうね? 流石に前世が旦那だったからって合意なしでするのは黙っていられないけど」

「金槌坊と契約した時、後払いで良いと言われていましたよね」

 それは横島にとっても初耳だった。マイと金槌坊が契約した様子をそう言えば彼は知らなかった。納得の色が強くなった、マイにアレクシアは続ける。

「実はあの子――金槌坊はこうなる事を知っていた訳ではありません。ですが、私が今生の彼にも執着しているから、どういう形になるかは分らなくても、少しは彼との関係に便宜を図れないかと思ってした契約でした。
それと、今回の仲魔達と貴方達への治療費を無料とします」

「良し、取引成立だわ。私はエヴァさん達と悪魔合体に付いて話してくるから、せいぜい彼女に奉仕しておきなさい」

226 :名無しさん@狐板:2021/04/20(火) 00:39:35 ID:7Bl9tswg
無慈悲にマイが外に出た後、アレクシアは白衣を脱ぎ去ると、横島の分身を飲み込んだ。香水のせいで馬鹿になった頭がひび割れる様な快感と共に、射精が起こり横島の意識が飛んだ。
彼女は動けない横島の手を掴み自分の豊かな乳房に導くと揉みしだかせる。強過ぎる快感で射精が止まらない横島の一物はアレクシアの乳房が形を変える度に一層激しく射精した。
アレクシアは横島の唇を唇でふさぎ舌を挿入してくる。口で息ができなくなり、鼻から激しく息をするとそのまま香水の香りがより一層横島の鼻に入ってくる。

「女権国家の世界に居た頃より夜は弱いようですね。この体だと快感で精神が壊れるか否かの実験もできそうです。 今恐怖より期待しましたね。何度かマゾになるような性行為をした際に、
それが癖になっているようなそぶりがあったようですが、貴方はやはりそうなのですか」

「ひがう、と思う」

 横島の弱弱しい返答はフェロモン香水のもたらす効果のせいだけではなかった。自分がマイやエヴァ達にされた時、男性優位の性交をした時より大量に射精したことが念頭にあり、自身が持てないためでもある。
アレクシアはそれを見て愉快そうに笑う。と魔石を取り出し横島に使った。生体エネルギーの塊である魔石のおかげで横島の搾り取られた精液すらも回復したが、強すぎる快感の後遺症と敗北感は残っている。
その横島を見て笑いながらアレクシアはいう。

「違うと思いたい、の間違いでしょう。今の貴方は明らかにマゾフィストが理想のセックスをしている時の状態になっていますよ」
 
アレクシアのその言葉にへし折れかけた時扉が開き、マイが戻ってきた。マイのそばにはエヴァとその従者のメイド姉妹アリスと夢子も居る。

「クイーンアントさん、あんま虐めないで。そいつをイジメるのは私の楽しみなんだから。という訳で、私達も参加させて」

 横島はガタガタ震えつつ、自分の分身がマイの蔑みと嗜虐心の籠った瞳で見られた時により固くなってしまったことで、マイだけではなく自分の事も怖くなった。

 怯える横島を見ながらマイは悪魔召喚をした。それを見た時、横島の顔に恐怖が浮かんだ。そこにいたのは今自分を絞り尽くしていた相手と同じ顔だ。ただしその瞳の中には良心の光がない。
弱体化こそしているが体育館で倒したアレクシア・アシュフォードがそこにいた。

「エヴァさん達に頼んで女権国家世界の悪魔達とこっちの悪魔達を悪魔合体してみたの。ちゃんと仲魔達から許可は取っておいたから。あいつら初めて異世界の悪魔と合体した悪魔になれると、滅茶苦茶乗り気だったわ」

 アシュフォードが少しだけ面白そうにマイの顔を見て笑う。

「サマナー、私以外は気づきかなかったけど、早口になっていたわね。彼の目に非難めいた色が浮かんだ瞬間に、仲魔達が乗り気だったと言う当たり、嫌われるのが怖いのね」

 アシュフォードの指摘をマイは少し不機嫌になりながらも認めた。

「まあ、なんだかんだで、ベッドの外では立派な男だし惚れてはいるわ」

 ここまでは、恋人を敬う敬虔な女性の声音で言い、次の瞬間に落差を感じさせる、蔑みの声になる。

「ただし、夜が弱いだけならまだしも、たった数回でマゾに染まる駄目さ加減は割と本気で末期だと思うけど」
 
そういうとマイは笑いながら横島の分身を踏みつける。声の落差と蔑みの目が凄まじい硬さを分身にもたらし、それを目の前の女性に知られているのが余計に横島を興奮させ、焦らせる。

「ほら、守ってくれた男しかも、横島家の当主候補にしていいことじゃないでしょこれ。それをされてこんなに固くする辺り、本当に救えないわ」

 初めてされた時よりは劣るがそれでも壮絶な性技に横島が屈服し、子種が巻き散らかせれると、マイはそれを魔術で分解しマグネタイトとして吸収する。

「一回目より、気持ち良くさせるテクニックを抑えたのに凄い量ね。ひょっとしてあなたはクズな所業をしている女性に虐められるのが好きなゴミなの?」

 そうかもしれないと思いながら横島は思考力を振り絞り、自分でも半分くらいしか信じられない反論を口にした。

「相手が姉ちゃんだからや」

 その言葉を聞きマイの頬に赤みがさした。それを見てアシュフォードが面白そうな顔になる。

「半分以上は取り繕うための言い訳なのに、凄く上機嫌になってるわね。サマナー貴女も彼に対しては相当ちょろいわ。 それと横島、貴方は少し周りを見ることを覚えた方が良いわ。
その状況は事態を悪化させるわ。なぜなら他の――」
 
 他の女性達の様子を見なさいと続くはずだった言葉は、サマナーとしての強権で塞がれた。彼の言葉は怒りではなく、他の女性達の競争心に火をつけてしまった。そしてマイが自分が今回は正妻だという、
自信を深め余裕をもって彼をイジメぬく手段を考え始め出している。
 マイは上機嫌さと嗜虐心をにじませた笑みを浮かべるとアシュフォードに向き直った。

「それじゃあ横島、貴方が苛められている背徳感で負ける変態ではないと証明してもらいましょうか。クイーンアントさんじゃない方のアレクシア犯っておしまいなさい」

 横島の顔が真っ青になった。

「いや、流石に彼女とすんのは、それに契約で無理やりは……」

 悪魔たちは種族にもよるが基本的には貞操観念はそこまで強くない。そして男性サマナーと契約したりする際は、そう言う事も織り込み済みでかわしている事が多い。横島はそれらを咎める気はないが自分がやるのは嫌だと思っている。
その返答にマイは横島の頬を掴み目線を合わせながら言う。

「大丈夫よ。彼女の伝承調べたけど、あんたとそういうことするの嫌じゃないから」

「それは、クイーンアントさんの方やろ。ワイの前世の妻やったらしいし」

「彼女は人でなくなった時から、あんたに執着していたんだって。前のアシュフォードは戦闘態勢に入ってからだったから、そういう感情が目覚めなかったけど、倒されて戦闘態勢が解除されたら逆レされてたんじゃない?」

 マイの言葉が終わるとアシュフォードが横島に覆いかぶさってきた。体が繋がりクイーンアントと同じ気持ちよさ、ただし性的な技術は少し劣るが襲いかかって来た。マイは魔石を取り出し、横島を回復させる準備をする。

「彼女手加減が下手だから、絞られ過ぎて死なない様にしないといけないわね。彼女は、リグルっていう虫の女王に臣従していたらしいの。そして貴方の前世と体を重ねさせてもらえて、
裏切る気が一気に下った伝承もあるから頑張って」
 
 マイの言葉を聞き裏切らせない為なら仕方がないと思った。事実この世界の悪魔は伝承に支配されることが多い。口裂け女などは生まれたてにしては破格の強さを誇る怪異だが、べっこう飴が好物で、ポマードを恐れている。

アシュフォードも伝承から生まれた悪魔であり、本体でないのなら、横島と性行為をすれば裏切る可能性は低くなるだろう。契約が結ばれた以上、必須ではないが生存率が上がるなら、やった方が良い。
アシュフォードは直ぐに横島を押し倒すと滑らかに繋がった。彼女から香るフェロモンが頭をまたボウっとさせてくる。彼女は横島を押し倒しながら言葉をかけてきた。

「今あなたとしていた未来の私は罪を悔いて多くの贖罪を成し遂げて、その償いの完了の証としてクイーンアントの姓をリグル様から送られたわ。でも私はまだ償いが終わってない、外道のままなのよ。
貴方がマイさんの言う通りの変態じゃなかったら、クイーンアントとした時より、射精量は少ないはずよね」

 そういうと彼女は一気に腰を動かした。激しい上下運動を受けて横島は目から涙が出た。それと同時に、良くわからない叫び声が上がる。

 最初にクイーンアントとした時と変わらない量の精液を見てマイが嘲笑の言葉を投げかけてきた。

「一回私の足で抜かれた後なのに、クイーンアントと同量とか、やっぱりあんた性癖がゴミなマゾだわ」

 顔は天使の様な笑顔で声は男の誇りを一番痛めつける侮蔑の言葉のギャップに余計に固くなり、それを見てマイは無言で見下す目で見つめてくる。下手な言葉で罵られるより、答えることを知り尽くしている。


227 :名無しさん@狐板:2021/04/20(火) 00:43:19 ID:7Bl9tswg
アシュフォードは不意に横島の口に乳首を押し込んできた。息ができなくなり、余計に強いフェロモンの香りが脱力と思考力を奪っていく。不意にマイが横島に理解できる思考力が残っているうちにとでも言うように言葉をかけてくる。

「女権国家の伝承だとリグルが褒美としてアシュフォードと貴方の前世と体を重ねた時、強すぎる快感と、屈辱であんたの前世マジ泣きしたんだって。女性が性行為で男を圧倒して当たり前の世界でそれとか気の毒ね」


 わざとらしい、忘れていた振りが込められた言葉が横島を絶望させる。アシュフォードは余計に面白そうに笑った。何度も横島が絶頂させられていると、不意にクイーンアントが後ろから横島に抱き着いた。

「我慢していましたけど、過去の自分の横島様へのイジメようを見ていたら、私もやりたくなってしまいました」

 そういうとクイーンアントは横島の体のツボを押し始める。その度に射精してしまい、何度か意識が飛んだ。横島が倒れると二人は魔石で回復させたのち、同時に横島の分身を乳房で挟んできた。
クイーンアントとアシュフォード双方の乳房は感触が同じだがクイーンアントの方が技術は上だ。しかし、どちらも横島が勝つのは不可能なレベルである。
不意にアシュフォードの方のアレクシアが声を上げた。

「確か横島の家だと女性優位の性交を通じてマグネタイトや生命エネルギーを奪われるのが凄く恥ずかしいことなんだって。それじゃあマゾゴミ男かどうか調べてみましょうか」

 そういうとアシュフォードはクイーンアントと共に胸で分身を抜きながら言葉をかけてくる。

「横島、今度射精したら子種の中の生命エネルギー=マグネタイト私が吸収するからね」

「ちょっと待―― ああ!」

 言い終わる前に四つの双球に包まれ愛撫され射精直前の、それにアシュフォードが舌を這わせると一気に射精し、彼女の口周りと胸を精液が汚し横島は倒れそうになった。
 倒れかけた横島にクイーンアントが非情な声をかけてくる。

「次の射精の際に出たマグネタイトは私が吸収します」

 アシュフォードより優しく、しかし、確実に上手な技術で追い詰め容赦なく舌でなめられると、射精の瞬間だけは意識が飛びそうになる。

「――!」

 凄まじい量の精液が出てクイーンアントの胸を汚すがアシュフォードに出したのよりは少ない。
 マイがおかしそうに笑いながら告げる。

「一度だけなら誤射かもしれないけど、何度も続いたら人としてやばいわ。調べてみましょう」

 二人に交互に射精させられ尽くし疲れ果てた横島にマイが楽しそうに笑いながら言う。

「うん、この実験だけど、一度順番入れ替えてやらないと分からないわね」

 そういうとマイは横島を魔石で回復させると二人の間に返した。今度は、クイーンアントが先に横島の分身が達しかけた時に舌を這わせた。

「――!」

 二人に何度も乳房で射精させられ、その都度アシュフォードが吸収する時の方が大量に精液を出す横島をマイは爆笑しながら罵る。

「あんたは、最低過ぎる女に犯されるのを悦ぶゴミやろうね。決定だわ。 しかも私の罵る声で大きさが増すまでがセットなのね」
 
 横島はマイの言葉が事実かもしれないと思い誇りに大きな傷が入るのを感じた。実際にクイーンガードの性行為は技術がアシュフォードより上で、優しいながらも上下関係をハッキリと分からせるような動きをしてくる。
逆にアシュフォードはクイーンアントより気持ちよくさせる技術は劣るが支配し嬲るような快感を送り込んでくる。それでも自分はアシュフォードの方に多く射精することが多い。マイは笑いながら言う。

「罵られて固くするあんた見てたら、私も虐めたくなったわ。参加させなさい」

 そう言うとマイは服を脱いで魔石を口に含むと横島に口づけをした。正式な術で強化された回復効果が横島を完全に回復させる。
彼女は横島と舌を絡ませ、言葉とは真逆の優しい舌遣いで横島の理性を削り尽くした。それが終わり完全に朦朧として目の焦点が合わなくなった横島に言葉をかける。

「横島、あんた過去に私にベッドで勝った事があるでしょう(全部演技だけど) 横島家の悪徳妖怪を閨で屈服させた性魔術をアシュフォードに使いなさい。
私やクイーンアントに負けるのは良いけど、アシュフォードに負けるのは横島家として駄目でしょう」

 その性魔術は単純に激しい快感を与えるだけではなく、大量の霊力やマグネタイトを打ち込むことで相手の女性の健康状態を良くしたりもできる。ただしやる方の男性の快感も増す。
横島の家の先祖はこの性魔術で悪辣な女妖怪を改心させて配下とした。

「性魔術を用いて完全にアシュフォードを改心させなさい。
その性魔術は元々そういう力があったのだろうけど、言い伝えで信仰が宿りより強化されているわ(私達にとっては余計気持ち良くなって、あんたをいじめやすくなるだけだけど)」
 
 朦朧とした意識で子供の頃から導いてくれた姉の声に従い、その性魔術を横島は使い始める。マイが背中のツボを押して余計に分身に宿る気を滑らかにしていく。
アシュフォードにそれを使った瞬間、横島の意識が一気にへし折れた。強過ぎ快感と出ていく霊気やマグネタイトが増えるほど強くなる快感が彼を一気にへし折った。
 アシュフォードは余裕たっぷりの笑みを浮かべながら腰を振る横島を見て嗤った。

「この程度だったの。一応気持ちよさは増したけど、想像より下だわ。これ女権国家で使ったら奉仕系性魔術の上位くらいが良いところだわ。
 勝てないのは仕方ないけど、先祖伝来の誇りの魔術すらバカにされて余計に固くなるとか、本当にダメな男ね。幻滅したわ。お・う・は・い・ど・の♪」
 
王配殿という言葉を聞いて横島は自分の誇りに凄まじい傷がつくのを感じた。それが何かわからない。だが理解したくないという思いがある。
しかし、鬼畜めいた笑みを浮かべるマイが容赦なくそれを踏みにじった。

「横島、アシュフォードの合体材料になった悪魔は、金槌坊だから」

 その言葉を聞き、横島は確信した。王配殿という言葉はあの金槌坊の言い方と似ている。確信すると共に完璧に別種族になっているとはいえ、
自分をあそこまで敬ってくれた悪魔の記憶も一部継承している相手に軽蔑の言葉を投げかけられていることが彼をすさまじく追い詰めた。
倒れそうになる彼の上でより激しく腰を振りながらアシュフォードは告げる。

「閨の外の貴方を敬う気持ちは一切揺らいでいませんけど、こんな姿あの金槌坊は知らずに済んでよかったと思いますよ。 おや余計に固くなったわね、本当に面白すぎるモルモットだわ」

 心折れかけた横島をマイが普段の横島なら気づかない方が難しい白々しい声で励まし始めた。

「横島、諦めちゃだめよ。魔石は山ほどあるから、彼女を改心させるまで性的に何度でも挑みなさい。横島家の性魔術と貴方の事をお姉ちゃん信じているわ」

 そういうとマイに魔石を使われて回復した横島は何度も性魔術を使ってアシュフォードの内に精を放った。20回達した時にやっと彼女が絶頂を迎えた。
その絶頂を迎えた彼女の締め付けが激しくなり、横島の意識が完全に堕ちた。誰が見ても分かる完全敗北の構図だ。
 それを見ながらマイは無様なコメディアンを見るような笑い方をしながら声をかける。

「横島、良くやったわ。これで彼女が裏切る可能性はゼロに等しくなったでしょう」

 明らかに馬鹿にした嘲笑めいた声だが、疲労とフェロモン香水で朦朧とした横島は喜んだ。

「おお、やったで姉ちゃん」

「それじゃあ。私とクイーンアントさんも満足させてもらいましょうか。あの性魔術女性優位の性行為でも使えるのが分かったし」

 いくら体力が回復できてもこれ以上は快感で精神がやばい。そう思った横島が逃げようとしたが、香水の力で体が動かない。当たりを見回すと、いつの間にかいなくなっていたエヴァとアリスと夢子が視界に入った。

「エヴァ様、アリスちゃん、夢子さん助けて」
 
横島に近づかれた三人は不機嫌そうな顔をした。エヴァが代表するように応えた。

「諦めろ」

「何か怒っとりますか」

「怒ってはいない。妬いているだけだ。前世が夫な男が、目の前で他の女に殺し文句を言ったのを目の当たりにしたからな」
 
それだけ言うとエヴァは横島の口を塞ぐとキスの快感で指一本動かせない。状態になった横島を寝所に横たえて言う。

「安心しろ。『今回は』参加させろ、などとは言わん。ただ近々お前に自分の魅力を刻み込める場を用意してある。その時を楽しみに待て。アリスと夢子は直ぐだと思うがな」

 三人の嫉妬めいた眼を見て震えあがりながら、その時のことを想像すると股間に血がより多く流れ込んだ。それを見てマイが笑いながら、横島の分身を踏みつける

228 :名無しさん@狐板:2021/04/20(火) 00:44:58 ID:7Bl9tswg

「どんな風に虐めてもらえるか想像して硬くなっているわね。これ」

 そういうとマイはアシュフォードに目配せをした。彼女もそれを受けて同時に足で嫐り始める。マイは最大限に固くなった横島に覆いかぶさり体を重ねると分身をあっさりと飲み込んだ。
マイがアリス達から習った性魔術のせいか、繋がった瞬間絶叫しかけたが、それも口で塞がれた。彼女は気持ち良すぎて射精できない状況を作り、耳打ちしながら横島に、子供の頃から逆らえない口調で言う。


「横島、私にもアシュフォードに使った性魔術使いなさい」
 
彼女のお願いと命令の中間の様な言葉に抗えず使った瞬間、横島は一気に意識が落ちかけた。長いこと体を重ね馴染み切った体同士がより強い快感を引き出し彼から多くのマグネタイトを奪う。
完全に気を奪われて倒れかけた横島をより強い快感でクイーンアントが押し倒してくる。彼女に口づけされて口移しで飲まされた薬品が魔石と同じくらいに体に力を与える。そこで不意に体に心地良い異物感が走った。
振り返ると、アリスの指から光で出来た糸が横島の体に入ってきている。アリスは無表情なままマイに声をかける。

「マイ様。これから、契約に乗っ取った処置に移ります」

「分かっているわ。人形劇の技で横島を操ってあの性魔術を連発させて。そうすることで夜の戦闘力を上げないとこれから厳しいと思うから。 対価はちゃんと払うから」

「了解しました」
 
アリスは無表情にそういうと横島の体の中の糸を操り始める。体が勝手に動き再びマイに性魔術を使い一気に意識が落ちそうになるがアリスが魔石を握り占めると魔石が光となってアリスの指から出てくる糸から横島の体に入ってくる。
そうすると体がどんどんと回復してくる。

 横島は何度も性魔術を自分の意思と関係のない所で使い、その度に体がその精液を放出するのに慣れていく感覚を味わった。
これ以上の快感を与えられると危ないと思った直後に、マイがアリスに目配せした。そしてそれと同時に強力な攻撃魔法を放つ前の様な雰囲気を纏い始める。横島の射精と同時に性魔術を使い、一気に絞り取ってきた。
悲鳴をあげそうになった口は即座に口づけでふさがれる。そしてマイの口の中にはいつの間にか仕込んだ魔石があり、口移しでマグネタイトを譲与される。それにより射精が増えてより横島の精神が危うくなった瞬間、
マイはより一層乳房を強く押し付けてくる。快感が超えてはいけないラインを超えたと思った瞬間、射精する一瞬前にアリスの指が動き、横島の体を動かす。その瞬間横島の手が動き上に居るマイの尻を握りしめる。

 凄まじい量の射精が起こり、さらにそれは性魔術で精液が出る際の快感が強化されている。尻を手が勝手に握れば握る程量が増える。その状態は握りしめているのは自分なのに、まるで自分が自分で精液を絞っている様な錯覚すら覚える。
完全に魂が屈服した瞬間。マイの動きが優しい感じに変わり、ゆっくりと横島の分身を絞り始める。一時間ほど優しい性交が続き体力が削り切られるのと反対に、精神は癒され切った時に横島は今夜の性交最後の射精をして意識が落ちた。

 横島の目が覚めると、体が隅々まで洗い抜かれた清潔感がと爽快感があり、マイが膝枕をしながら自分の頭をなでていることに気づく。


「女性上位の性交も軽子坂高校の皆を救うまでの辛抱だから許してね。『あなたが嫌なら』この事件が終わったらもうしないから。それと、エヴァさん達に勝手に貴方を売ってごめん」

「いや、気にんせんでええ。実際今の事態は何が何でも、解決せな。エヴァさん達は信じとる。だが、他の前世の嫁さんたちは何考えるとるか分らんしな」

 そう答えると再び香水の香りで朦朧としながら横島は眠りに落ちた。その後にエヴァとアリス達が部屋に入ってくる。

「アリスちゃん今回もご協力感謝するわ。エヴァさんも色々とありがとう」

「気にするな。アリスからは横島を動かす技を教えてもらっているしな。お前との性行為を見て色々と学べた。いよいよ罪の魔界巡りが始まるな」

 そういうエヴァの顔は嫉妬しつつそれを閨の中でぶつけることを想像し楽しんでいる顔をしている。少し気づかわし気にアリスが声をかける。

「エヴァ良いの? 私たちは直ぐに彼に刻み込む機会が来るけど、エヴァは少し先でしょう?」

「なぁに、少し間を置き耐久力が落ちた時に痛めつけるのも乙なものだ。アリス、夢子、お前たちの方こそ直ぐできるとはいえ、インパクトが薄れるかもしれんぞ」

 妬いてはいるが、焦ってはいないエヴァはむしろ二人を気遣っている様にも見える。夢子は丁寧に答える・

「大丈夫ですよ。 慣れていたとしても彼なら抗うことが不可能なことは私達も知っていますから。もう少ししたら彼の為の剣の作成に移ります」
 そう答えると夢子は横島の頬に手を置き撫でた。マイが目を細めてそれを見る。

 4人の女性達は眠る横島を抱き、あるいは手を添えて、労るが、その姿は永遠の夜の闇を擬人化した女神たちの抱擁を思わせた。
夜の美と眠る時の安心感を与える闇の良き部分と、決して出られない道を閉ざす二つの面が同時に彼に降り注いでいる様に見えた。


229 :名無しさん@狐板:2021/05/02(日) 23:37:05 ID:OO4A8bAH
これはひどい真・女神転生if6 準備編

 これは女神転生ifと女権国家のクロスSSです>>221から>>228からの続きです。以下の注意があります。

@ 今回の話では名前オリジナル国家が出てきますが、女権国家の公式設定ではありません。

A 女神転生ifでもあるけど未成年の飲酒描写があります。

B 剣が心理学的な意味だけではなく、神話的にも男性器の象徴と言うのは、ネット知識+昔どこかの講義で聞いた話から取りました。それと昔読んだ海外小説ラリー・ニーヴン氏のガラスの短剣から取ってます。
その小説だと剣を使って不能治療している魔導士がいました。


 魔界の時間で言えば、体育館での激闘を経て横島達は邪教の館で休んでいた。エヴァ達がそれぞれの分野で自分たちを助けるために色々と新しい実験をしてくれていると聞き、その結果を待つためだ。

 豪華な西洋の風の部屋の中で、横島がベッドの上で横になり死んだように動かなくなっている。疲労もあるが、アレクシアが今は休ませた方が良いと良い、脱力と疲労の回復の促進の香水をこの部屋に充満させていったのだ。
横島は、休んで良いとなっている時はこの香水はありがたいかもと思った。普段の自分なら意識の訓練で休憩モードに切り替えられるが、ここまでリラックスは出来ないだろう。
脱力状態で横になる彼の元に青いメイド服に身を包んだアリスが料理を乗せたトレイをもって訪れた。無表情だが、横島を見る目には思慕と情が垣間見える。横島は少し、驚いた。ここ数日間、自分の所に訪れたのは決まって夢子だった。
意外そうな顔をする横島に彼女は珍しく茶目っ気のある声で告げる。

「どうしました。夢子姉さまではなく、私でがっかりしましたか?」

「そんなわけないだろ。アリスちゃんで不満とか言ったら罰が当たるわ」

 横島の返答にアリスはにっこりとほほ笑んだ。横島はその笑顔を見て魅了されつつ驚いた。彼女は人としての温かみのある人間だと知っている。だが、ここまで感情を見せるのは初めてだ。
困惑する横島に彼女は汁のたっぷりとしみ込んだ鶏肉料理を配膳しながら言う。

「前も言った様に私は前世で貴方の妻でした。そして今生では貴方と結婚しない約束を貴方の前世としました」

「それはまた、前世のワイはアリスちゃんのどこが不満やったんや? ありえんだろ」

「別に不仲になった訳ではありません。好きな相手と過ごしていても、疲れる事はあると聞きます。それで前世の貴方は休憩をする形で今生は休みたいと思った様です」

 なんとなく横島にも前世の自分の気持ちが解る気がする。アリス達との性行為は気持ち良過ぎて、意識が飛ぶ事もしばしばだ。自分を心底愛してくれている幸福感などもあり、嫌ではない。
だが、嫌いなわけでなくても距離を取りたい時間が生じるのも分る。考える横島に彼女は言葉を続ける。

「その際に私は貴方が来世の来世、つまり貴方にとっては来世が来るまで、感情を抑えて過ごす為に作った疑似人格みたいな部分などです。別人という訳でもないのですが」

「感情が気迫で淡々としとるのはやっぱり、ひょっとしたら俺と今生で結ばれないせいで、ショック受けてそうなったのか?」

 心配そうな顔をする横島にアリスは嬉しそうに首を横に振った。

「そんなことはありません。不義理された訳ではなく、来世の来世では再び私の所に来てくれるつもりでしたから。ただ、来世の来世まで早く時間が過ぎてほしいと思ったのと、我慢できなくなると悪いから感情が希薄なメイドという人格を作っただけです。
最近は貴方と性交したり、添い遂げられるかも知れなくなって感情が溢れ気味になってきているようです」

「契約ではなく約束ってことは、別に破ってもアリスちゃんになんかペナルティが行くことはないんだな?」

ここで真っ先に自分を心配する所も好いた理由の一つだと、アリスは思った。

「ええ。そんなことにはなりません。それに前世の貴方は私を信じてくれていたし、破っても落ち込みはするけど我慢してくれる様な人です。 というより人でした」

 現在進行形でそうだと思ったが横島にしてみれば、前世は別人なのだろうと思い言いなおす。その間もアリスの流れる様な給仕の手は止まらない。
 配膳が済むと横島は勢い良く食事を始めた。疲れが抜けない自分にはありがたい、胸肉のソースにだが、柔らかくなり過ぎない様に適度に硬さを残している。噛みちぎった時のプツンとした感触が好きな自分の好みを良く考えてくれている。
 夢子もこういう料理の仕方に長けていたが、前世の自分の好みに合わせて作ったのだとしたら、魂は食の好みにも影響を及ぼすのかもしれない。
 自分の作った鶏肉の煮込みを食べる横島を見ながら、アリスは告げた。

「横島様、ここ数日私たちは皆さまを手助けする新しい試みをしていました」

 食べ終わった、横島は胃に血が行ったのとクイーン・アントの香水で余計にぼんやりとしながら、言葉の続きを待つ。

「もう知っていると思いますが、今回の罪の魔界巡りでは、金槌坊やアレクシアの配下たち以外の、女権国家の悪魔達もこの世界に来ています」

「それの何が拙いんだ。金槌坊はこっちの世界と同一の伝承だったみたいだけど、普通に俺の攻撃が効いたぞ」

「問題がある、と言うより横島様たちの戦力を強化する方法が見つかったから、その準備をしているのです」
 
アリスは少し考えてから口を開いた。
「こちらの世界では神が人を作ったのか、人が神を作ったのかと言う、問いがあります。どちらが正しいのかはわかりませんが、デビルサマナーの方々が使役したり、倒している相手は人が作ったものであることが大半です」

「ああ。個人的には人を作った神様とかのガチモンの存在も否定しきれん気がするけどな」

「はい。女権国家の世界では、神が人を作った世界。正確に言うとそう思われるほど、神秘のエネルギーマナが溢れています。その為か人が作ったわけでもない悪魔や神々が多いのです。
その為かこの世界基準の悪魔は若干誕生し辛いのですが、すごく良く出来た怪談や神話があり広まれば生まれることもある。という感じです」

「そこら辺はこの世界と一緒か」

「アレクシア・アシュフォードは金槌坊とこちら側の悪魔との三身合体で誕生しました。つまりあちら側の伝承の神々なども呼び出せるようになるのです。こっちの悪魔と向こうの悪魔の合体が初めてだったせいか、合体装置の調整に時間がかかってしまって」

「新しい試みってひょっとして故障したんか」

「いえ。準備を重ねていたので故障は致しませんでした。ただ準備を重ねていてなお機械に相当な負担がかかったので、理由の分析や改良を重ねておりました」

「そうか夢子さんが俺の面倒を見に来てくれることが多かったのは」

「姉さんは剣担当ですから。比較的スムーズに進んでいました。知っての通り横島様に今着いているガーディアンは向こうの世界の悪魔です。前世のご自分が神として、語り継がれた姿を悪魔と呼ぶのも少し変かもしれませんが」

「まあ。サマナー業界じゃ人間に無害、どころか有益な善性の神様や天使も悪魔呼びやからな。 それより夢子さんの方がスムーズに進んでるのはなんか訳ありなのか」

「ええ。それを話すのは少し、別の所から話さなければいけません。その方が分かりやすいでしょうから」

アリスの言葉に横島は頷いて続きの言葉を促した。アリスは少しだけ考えると人形達にホワイトボードを持ってこさせた。アリスは人形達を捜査してホワイトボードに枝だらけの大きな木の絵を描かせた。双方の木は大きく離れている。
だが両方の木に一本だけ異常に長い枝があり、その枝同士が触れ合いそうな位置にある。

230 :名無しさん@狐板:2021/05/02(日) 23:41:00 ID:OO4A8bAH
「世界樹で例えて説明させていただきます。右の木がいま私たちのいる世界です。左は女権国家と言われる国のある世界です。実際の世界樹とは大分違いますが、あくまでも例えです」

「ああ。続きを頼む」

「一本の大きな木があり、様々な結末によって分岐して枝が増えていくとしましょう。この枝は王国が女権国家のとの戦争で引き分けた世界線。こっちの枝は負けた世界線。これは勝利した世界線です。
住んでいる人間や悪魔達が虫や生き物だとして、その生物の活動で枝が増えたり伸びたり大きく変化していきます」

「ああ。大体分かるぞ。アリスちゃん、その特に目立つように描かれている隣接しそうな二本の枝は? 目立つ書き方したってことは意味があるんだろ」

「この二本の枝が私たちの出身世界であり横島様の前世がいた世界でもある世界と、いま私たちがいる世界です」

 アリスの声の調子からここから本題が始まるな、と横島は思った。彼女は自身もホワイトボードの前に立ち言葉を続ける。

「この二本の枝は他の枝と違い影響を与え合う可能性も極度に低い独自の伸び方をした枝です。この枝同士の方が同じ木から伸びている枝より近いでしょう。ここまで近づいたことで、この枝同士が様々な影響をもたらし合うようになったのです。
実際は世界樹の空白はとても大きいのです。この程度の距離でもこの木の上に生物たちが飛び越えることは至難の業、それは概念の存在である悪魔などの人外も例外ではありません」

「女権国家の一部の悪魔達はこの枝を飛び越えてこちらに来ているか。恐らくは同一伝承の存在とかは来やすいんだろうな」

「ええ。その通りです。 ここからが本題ですが、この枝同士はお互いに影響を与え合いやすくなっており、この枝同士に限っては微弱な電波を受信しあったり、極まれに飛行能力の高い生物だけは片方の枝に飛び移ったりしています。
そうすることでこの枝の生態系だけはお互いに大きく変わっていくとしましょう」

「ああ」

「例えると悪魔達は辛うじてたどり着くことができる飛行生物です。対してガーディアンはこちらの世界でもそうですが実体化していない悪魔だから枝から出ている電波などに近いのです。ここまで理解していただければ、本題も理解していただけるかと」

「大体わかった。教えてくれるか」

「この世界でもそうですけど。ガーディアンは基本的に実体化できない悪魔で、例えれば電波などに近い存在なのです。そしてその電波の影響を受けた生物が変化するのがガーディアンが宿って変化した人たちです。
横島様の前世はガーディアン状態の悪魔だからあっさりとこちらに来ました。言わば横島様がその電波を受信して変化した生物です」

「よくわかる。それが夢子さんの方がスムーズに進んだ理由と関係あるんだな」

「はい。夢子姉様は向こうで刀鍛冶の女神としても崇められたりもしています。本人が剣を具現化できるからです。横島様の前世が使う剣を作成したり、霊派刀を具現化させる際の師匠をしたりもしていました。
姉さんの場合は、こちらで剣を作り向こうの世界の伝承が産む信仰をという電波を剣に当てるだけから、ガーディアンをくっつける私より楽だったそうです」

「そうか。夢子さんが作ってくれた物なら持って行こうと思うぞ。でも、かさばるかもな。しかし、有った方が良い物ではあるしな」

 実際にデビルサマナーは多くのアイテムを携帯することができる。青木達の戦いでは威力銃は店やで変えたが 剣などの近接武器は貴重だったし、属性次第では威力が劣る者でも使えたので、捨てたことは少なかった。
だが横島の場合は修行次第で霊波刀の威力が上がるし、霊波刀が出せなくなる前には撤退しているのであまり抜く機会はないかもしれない。ただ霊波刀が出せなくなった時の為に持っていて損はないとも思う。

「回復アイテムとかをたくさん持って行った方が良いし。多くても二本までだな」

 マイにも使用可能な剣を一本自分が霊波刀を出せない時の為の非常用の剣を一本といったところが一番だと、横島は思った。場合によっては霊波刀と合わせて使ったり、マイの剣を自分が使う事もあるだろう。

「夢子さんは多分、俺の前世のどれかが用いた剣を打ってくれているんだろう。二振りまでで良いと伝えてこないとな」

「その必要はありません」

 低く綺麗な声に振り向くと夢子が部屋の中にいた。ドアの前に立っているが、ドアを開けた音すらさせずまるで、最初からこの場に居たかの様だ。彼女は優雅に一礼すると横島に口上を述べ始める。

「横島様、剣はもう打ち終わりました。ただ『今』貴方様が使えるのは二振りまでかと。それと伝言です。エヴァ様とマイが呼んでおります」

 夢子とアリスはマイに対する呼び方が安定しない。前世からの付き合いであり身内であった機関もあり、そのせいらしい。 アレクシアの香水の効果で動くことすら億劫な状態である体を引きずりゆっくりと歩む。アリスが光る糸で手伝おうとしたがそれは止めた。
これくらい強い脱力感は滅多にない。これに抗うのも意思力の訓練になるだろう。


 ほどなくして客室に付くと、マイとエヴァが待っていた。エヴァは自分の実験成果を横島に披露できるのを楽しみにしていた様だ。子供の頃から横島が凄いと素で称賛すると、照れつつ喜んだ。
横島が脱力の極みにある事を察してか椅子を用意して座った後に声をかけてきた

「横島、女権国家の悪魔たちとこの世界の悪魔たちを連続で合体できる様にしたぞ」

「そりゃすごいな」

「喜んではいるが少し怯えているようだな」

「ああ出来れば、金槌坊みたいな男悪魔が良いな」

「なんで? ドスケベ小僧のあなたらしくもないわね」

 マイのからかう様な口調に、横島は首を横に振って言葉を返す。

「正直、マイ姉ちゃんで俺は手いっぱいな感がある」

 横島のその言葉に周りの気配が変わりかけた。

「それはどういう意味だ?」

 エヴァは横島の言葉の意味を計りかねているようだ。訳もなく体を重ねた女を切り捨てる様な男じゃない事は、この場に居る全員が知っている。この発言もエヴァ達と縁を切りたがっているとは断じられない所ではある。
それが分っていても、多少の不安は覚えたのだろう。エヴァの少し硬い声での問いに横島も真面目な声で応える。

「マイ姉ちゃんはアリスちゃんと夢子さんから性魔術習ってから、ベッドの中では俺が足元にも及ばないレベルになっちまった。そのマイ姉ちゃんでさえ、皆さんの中では夜の戦闘力は一番下だ。
 姉ちゃん相手にすら本気だされたら壊れるかもしれない俺が、女権国家のサキュバスとかと出くわしたら死ぬわ」

 横島の応えにマイ以外の面々は安心した様子になり、マイは少しだけカチンと来た様子になった後、見かけだけは天使の様な笑みに変わった。エヴァはそれを見て、内心横島に同情しつつ言葉を返す。

「安心するが良い。私達は女権国家世界でも上の方だ。この世界に来てからお前との閨事は手加減していた。だが、お前にもまだ伸び代がある。私たちが本気を出しても壊れない所まで行けると、私は見立てている」

「そうですか。まあサキュバス系の悪魔を呼び出さなければ、大丈夫ですね」

 その横島の発言にマイが笑顔で言った。

「エヴァ、女権国家の性魔術に長けた悪魔のリストと伝承教えて、愚弟が一番呼んでほしくなさそうでかつ、性魔術を人間に伝授するのに長けている逸話のある悪魔でお願い」

「ちょっと姉ちゃんそれは流石に許して――」

 良い終わる前に、マイとの契約に基づいたアリスの糸が現れ横島の体に入り込み、マイの足元に横島を転がす。マイは魔法でも使ったかのように横島の下半身を露出させると、一瞬で素足になり、片方の足を口にもう片方の足を分身に当てる。

「この中で一番下なんて言われて女としてのプライドがお姉ちゃん傷ついたのよ。だからもっと、貴方をギャフンと言わせないと気が済まなくなったわ」

231 :名無しさん@狐板:2021/05/02(日) 23:45:14 ID:OO4A8bAH
「フゴー、フゴー、フゴー、フゴー、フゴー!(姉ちゃん、俺じゃもう勝てないって。これ以上姉ちゃんに成長されたら、俺、色々とやばいんだ)」

 マイは横島のマジ泣きしながらの訴えを理解できてないふりをしながら、心底楽しそうに足を動かす。彼女の分身をこする足が性魔術でピンクに近い紫の光を帯びている。

「気持ちよがってはくれているけど、これでもアリスちゃん達よりずっと下なのよね。精進しなきゃ♪」

 マイの足は何度も寸止めをした後、横島の頭にマイの掌から生じた光が当たる。これは魂を多少なり操れるマイの術だ。男としてのプライドが強くなる様にすると、容赦なく横島を射精させた。

「愚弟が恥ずかしい思いや、屑な所業する女に虐められて興奮するゴミだから、こんなに射精してくれたけど、本来はもっと少ないのよね。頑張らなきゃね♪」

 わざわざマグネタイトとして吸収するのを遅れさせて、どれだけ出したか見せつけて横島の脳裏に焼き付いたのを見てから、彼女は精液を吸収した。
 マイも本気で怒っているわけではない。半分以上はいつものじゃれ合いでもある。軽い嫉妬を覚えつつエヴァは話を本題に戻した。

「とりあえず今回は傲慢会に行く前の準備だ。横島お前のガーディアンとの同調率を上げる。そして新しい剣を使いこなせるように処置をとる。それと悪魔達を女権国家の悪魔とも合体させて作成するぞ。それで良いか?」

 横島は男の誇りが死にかけたのと強すぎる快感で虚脱状態だったが、仕事のこととなった瞬間に直ぐに意識を取り戻した。

「おお。悪魔合体の事に関しては全部姉ちゃんに任せる。俺を強化するのに必要なことは何でもやってくれ。前世の嫁さん達の意図は読めんが、エヴァさん達が協力しているってことはそこまで邪悪なことではないかもしれん。
だが、一般人が巻き込まれとる以上は早く終わらせんとな」

 説明するための客室から悪魔合体の部屋に到着すると、横島の為に特攻を仕掛けてくれた面子が、横島に手を振ると悲壮感を感じさせない足取りで合体機の中に入っていった。
 マイが2軍と評した面子たちでさえも、決して弱兵ではない。むしろ並みのサマナーなら主力にする人もいるくらいだが。今回の事件に挑むには力不足だ。
もしかしたら傲慢会では、一歩入った途端現時点で最強レベルの悪魔を連れていないとダメな可能性もある。石橋を叩いて渡る精神が必要だろう。

 合体はスムーズに進み、12体の悪魔の内2体が女権国家出身の悪魔であり。女権国家出身のピクシーとインプが使われる予定だ。まずはインプを入れた三身合体が行われた。
最初の一回でいきなり合体事故の音がした。ただならぬ気配を感じた横島は即座に動き、マイを庇う。
悪魔合体で事故が起きると、稀に本来ならサマナーが扱えないレベルの悪魔が生まれる事がある。そういう場合でも、合意の上で仲魔にした悪魔同士の合体ならサマナーのレベルを上回る悪魔でも従ってくれる。
だがそれはこの世界の悪魔同士の場合だ。女権国家の悪魔が混じった悪魔がそうである保証はない。

 マイを庇う横島は突然弾丸の様な速さで詰め寄られ抱きつかれて押し倒された。目の前の存在は長い黒髪をした、耳のとがった美少女だ。彼女は笑顔で横島に頬ずりしながら言葉を言った。

「僕はコンノ・ユウキ。妖精郷の騎士であり。善行をなす冒険者たちと人々の夢守る夢魔と妖精を兼ねる騎士さ。
魔獣であるレディキラー・ウェポン達との戦いで繰り広げ、あらゆる悲劇と善良な人々の悪夢を終わらせて『絶剣』の名を得た剣舞を君達に捧げるね。コンゴトモヨロシク」

 言葉を言い終わるとユウキは横島に突進し強く抱きしめた。小さいにもかかわらず、彼女の体捌きも膂力も横島より上なのはわかる。何よりも横島は敵意のない女性に手荒な事は出来なかった。

 エヴァはユウキを見ながら珍しい物を見る目で見た。少し考えると納得めいた声をあげる。

「ユウキ。お前の本体も分霊を作ったか。本体はやはり担当している罪の魔界に居るのだろうが、どの程度同調している。余り向こうに情報が流れる用なら、邪教の館の主として看過出来んが」

「大丈夫だよ。合体したり、完全消滅した時だけ本体に記憶がフィードバックするし様だから。それと僕の本体が担当している罪の魔界の決着がつくまでは、記憶封印される様にしてあるから」

 天真爛漫な笑顔で彼女は笑いながら言葉を続ける。

「本体があんまりマイさんといちゃついていたので妬いて僕を送り込んだみたい。僕も本体と比べると弱いけどね。なにしろ伝承の一部分を切り取って信仰されている部分だけだから」

 横島に抱き着く彼女は気を許し切ったペットが主人にじゃれているようにも、あるいは子供が心から可愛がっているペットに抱き着いているようにも見える。

「あの貴女はやはり俺の前世の妻の一人でしょうか?」

「うん。僕はユウキさっき名乗った通りの存在で、妖精郷の騎士であり冒険者でもあるそして――」

 ここまで言うとユウキは横島の唇を奪った。雷に打たれた様に横島の動き止まったのを見ると彼女は面白そうに言う。

「前世で君の奥さんだった女性でもあるんだ。 前世と比べてでも横島は女性からの快楽攻撃に対する耐性が落ちているね〜。 前世の君なら舌を入れられるまでは持ったよ」

「そうか。ワイは男が女に性交で勝てなくても当然の世界の男以下か」

 落ち込む横島を見て、ユウキは怪訝な顔をした。そして疑問気に横島に問いかけた。

「女権国家の男たちは別に夜の戦闘力低くないよ。 女権国家の女性達が桁外れすぎるだけで、耐久力に関してだけはこの世界の本職より凄い人が多いと思うよ。なんでそんなに落ち込むの?」

 そこまで言ってユウキは何か思い当たった表情になると、マイをにらんだ。

「マ〜イ〜、君また横島を虐めるために一部情報を伏せたりしたでしょう? この世界では女性優位の性交が恥ずかしい家に生まれたって知っててそういうことしたんだね。
君が逆光源氏すると横島が毎回凄く良い子に育つから、余計にイラつくんだけど」


 そういうとユウキが剣を抜きマイに向けた。マイも迎撃の体制をとりながら軽口を返した。

「あらあら、無能男トレーナーのユウキちゃんが何かほざいているわね。戦闘能力以外を伸ばすのが下手で、女たらしにしたり、やばい女ホイホイに磨きをかけさせたりした無能が成功者を妬んだ遠吠えを上げているわ」

二人のやり取りは本気で険悪な感じではない。明らかに喧嘩友達同士のじゃれ合いめいた空気だ。それでも横島は霊波刀を構えマイを庇う様に割って入った。

「ユウキちゃん。俺の為に怒ってくれるのは嬉しいし、本気で姉ちゃんを害そうとしてるわけじゃないのは分かる。けどな、冗談でもサマナーに剣を向けるのはこの世界だとシャレにならないことなんだ」

 横島もどこまで本気で止めればいいのか分からないと思った。だが、直ぐに戦闘に入れる状態は維持する。
 ユウキはその横島の構えを見て嬉しそうな顔になった。

「劇的に強くなったのは最近だけど、子供の頃から真面目に鍛えていたんだね。本当に女の子のために頑張る君は格好いいや」

 横島はユウキが剣をしまったのを見て安心した。ユウキは横島のガーディアンを見て嬉しそうな顔になる。

「放浪騎士タダスケじゃないか。マイが姉として接し、僕が魔法戦士としての師匠をした君の前世の一人だよ」

 ユウキはガーディアンと横島を交互に見比べ口を開いた。

「今の時点でもガーディアンとの同調率は普通に凄いけど、もう少し上に行けると思うよ」

 横島はユウキの言葉を嘘ではないと思ったからこそ疑問を抱いた。これ以上同調率を上げるのは無理だと思う。青木を宿していた時でさえ、時々本当に自分の一部だったと勘違いすることは何度かあった。
だが今のガーディアンは完全に自分の部品だった様に思うことが多い。これ程体に馴染むガーディアンは他の自分の前世達くらいしかいないと思う。


232 :名無しさん@狐板:2021/05/02(日) 23:50:03 ID:OO4A8bAH
 横島の疑問を読み取ったユウキはさらに言葉を続ける。

「戦闘や鍛錬での同調率の底上げとか独力でできることはかなりやったのは分かるよ。あとは一人ではやれないことで君を強化するしかない。 悪魔合体が終わったら、君の力を引き出す処置に移ろうと思うけどいいかな?」

「ああ今は少しでも早く強くならんといかん」

 やり取りが、終わるとエヴァが再び合体に移った。女権国家出身のピクシーと二体の悪魔を入れて合体させると再び、合体事故が起こった。横島は再び霊波刀を具現化させてマイを守る様に立った。
エヴァ達の邪教の館の主としての責任感を信じてはいるが、万が一の可能性は常に考えておかなければ。
今回の事故で生まれた悪魔は気配だけで、ユウキ以上の強者だと分った。彼は気を引き締めると最悪の場合に限りだが、初の共闘をすることになるユウキの方を見た。彼女は凄く嬉しそうな目をしている。

 煙が晴れるとそこには妖精が身を包む黒紫のゴシックドレスめいた服を着たユウキと似た顔立ちの少女がいた。彼女とユウキは似ているが、違う部分もある。特に顕著なのは瞳だった。
ユウキの瞳ははっきりと見開かれていて、周りを元気づける無邪気な子供めいた光がある。それに対して目の前の少女はおっとりとし感じの雰囲気の細められた目をしており、包容力を感じさせる優しい目をしている。
人を安心させる優しげな瞳は魅入られると神隠しが起こる森の夜を連想させた。優し気な瞳に背筋が凍る様な寒気を感じたのは、横島自身が同質な女性達の魔性に当てられているからかもしれない。
彼女は横島を見ると吸い込まれそうな優しい笑みを浮かべ口を開いた。

「私はコンノ・ラン。妖精卿のドルイダスにして剣を振るうものに祝福を与える支援者であり、夜の闇の中で得る眠りと夢の安息を与える妖精。 
かつて数々の忌まわしき偶然が重なり生まれた痛ましき、レディキラー・モンスターズ達を安らかな死の眠りと、輪廻への旅立ちを与えた魔術と剣を貴方たちに捧げます。コンゴトモよろしくお願いします」

 エヴァは頭を抱え、ユウキは嬉しそうに彼女に駆け寄って彼女に抱き着いた。

「お姉ちゃん。やっぱりお姉ちゃんも僕と同じ形でこっちに来たの?」

「ええ。私の本体も大分焼きもちをやいて。焦ったみたい」

 二人のやり取りを見たエヴァはため息をつくと、横島の方を見て口を開いた。

「すまんが、サマナーであるマイにだけするべき話がある。少し外してくれるか」

 横島は頷くと外に出て行った。それを見終えた後、エヴァは二人を見て口を開く。

「あまり我慢させすぎると、夜の加減を誤ってあいつを壊しかねないとは思っていた。だが、もう少し我慢できなかったのか?」

 ランはゆったりとした余裕のある笑みを浮かべながらエヴァに返事を返した。

「それは本体に言ってあげて。と言うより私たちが既に言ったわ」

 二人の余裕のある態度を見てエヴァは何かを察した表情になると、口を開いた。

「お前たち横島と共に戦ってきた悪魔達の記憶を向こうの本体に送ったか」

「ええ。横島君のマイさんだけで精いっぱいという趣旨の言葉が原因ね。不安が爆発して私たちを送り込んだけど、彼と共に戦った仲魔達の記憶を共有して安心していると思うわ。彼、本質は全然変わってないから」

「それならば良い。それとマイ、お前も少し大人気ないぞ。横島を壊さないように快感を与える機能を制御しているからあの評価は当然だろうに」

 エヴァの良識的な注意にもマイはどこ吹く風という様子で答えた。

「感情と理性が手を取り合うことなんかめったにないでしょ。それに本気で怒ったわけじゃないし、次の傲慢界が楽しみになる内容だったわ。私のリミッターも外せるしね」

 マイの楽しそうな笑顔を見てエヴァは少し羨ましそうにした後、直ぐに気を取り直し周りに声をかけた。

「とにかくランとユウキが来るのは予定外過ぎたが、結果的には好都合だ。あいつを快楽に染め上げるだけではなく、この世界の後見人たちが良識人であったが故に義理を感じているあいつの為にもすべき処置は増えたからな」

 エヴァの声にユウキが弾むような声を出した。

「うん。ガーディアンの力をほぼ完全に引き出せているから、今度は今生の横島が潰れない程度に一体化させなきゃね。そうすることで彼を『色々』な意味で強くしなきゃ」

「この世界と女権国家、どちらの世界の文化も優れたところと劣った部分がある。だが女性の性的な強さと男性の快感に対する耐久力は明らかにあちらが上だ。横島の奴がマイだけで手いっぱい、などと言うのも分かる」

 実際に今の時点で告白しても体を重ねた以上彼は責任を取るだろうという信頼はある。サマナーの世界では儀式で体を重ねた相手に責任を取らなくても非道徳ではないにもかかわらずだ。
そういう男だと分かってはいても、弱音を吐かれた時に走った氷の剣が背に刺さったような感覚はまだ生々しい。ユウキ達の行動をあまり咎める気になれないのはその気持ちが分かるからだ。

「そうだね。意中の相手が快楽に弱いのも良いことばかりじゃないね」

「とりあえず。夢子とアリスだけでやらせる予定だった処置をお前達も手伝え。それとその時の性交の記憶も本体に送ってやれ。そうすれば流石に、担当の魔界まであいつが行くまでは持つだろう」

「了解! 僕体を張って彼を堕とすの頑張るよ。それにしてもこの世界って不思議だね。女権国家でも、伝承の差異とかで別の存在扱いされたり、信仰で力が少しは左右される事はあったけど、人間時代の感性で言うと服や装備品が増える程度だったんだ。
でもこっちだと装備品や服が自分の分身みたいになることすらある。本当に不思議だ」

「私は伝承が分離していないし、死んでいない為かその感覚は理解できん。興味深いから今度お前の血を吸わせてくれないか?」

「良いよ。 それにしてもこっちの神様の神話を向こうに広めて向こうに連れて行くとどうなるんだろう。僕たちみたいに本霊が一人で、他の名前や伝承が違う分霊は装備や服みたいになるのかな?」

「この計画が始まった時点で、もう二つの世界は混じり合っている。完全に一つになる事はないがお互いに影響を与えあっていくだろう。だが意図的に異世界を絡めて大きな変化をもたらそうとするのは止めておけ。そうすると碌な事にならん。それは我々が一番知っているはずだ」

 エヴァの言葉を聞くとユウキは天真爛漫な様子から神妙な顔になった。エヴァに頭を下げると謝罪した。

「ごめん、失言だった。 横島が何度血を流したか、分ったものじゃないよね。戦場での討ち死にこそ少なかったけど、明らかに霊力の使い過ぎや傷の負い過ぎて寿命が縮んだのも一度二度じゃなかったからね」

 エヴァ達が話している時横島は、邪教の館の自分に与えられた訓練室で霊波刀を振るっていた。夢子が自分用に打ってくれた剣も振ってみたが、初めてにはしてはあり得ない程自分に馴染んだ。やはり前世で自分が振るった剣のレプリカだけの事はあると思った。
 体が温まってきた辺りでユウキの言葉を思い出し独り言の様に口を開いた。

「マイ姉ちゃんやっぱり、俺の前世の嫁さんだったんか」

 別に驚いてはいない。エヴァ達との仲のよさとかを見ていれば9割以上そうだろうと、思っていた。それにマイは自分から言いはしないと言うだけで、隠そうともしていなかった。

「マイ姉ちゃんも今回の件で前世の俺の嫁さん達の共犯なのか?」

 横島はマイの事を信じる意思は微塵も揺らいでいない。彼女は外で猫を被っている所もあるが、自分以外の善人には礼儀正しく誠実だ。性格上善人を率先して助けている訳でもないが、善人との約束は決して違えず霊的な仕事に対しては手を抜いたことがない。
だからこそ彼女を心から信じてはいる。だからこそ色々な悩みも生じた。
 マイは今回の件で相手の女性達と完全な敵対関係なのか、それともルールに従った勝負の様なものなのか。そして前世の嫁さん同士の争いの場合、どういう原因で起きた物なのか等悩みが尽きない。
夢子から貰った剣を振りまわし、それが終わると術の練習もして完全に体が温まりだした時、不意に後ろから声がかかった。

「横島、何度も転生して色々な職業に就いたけど、やっぱり剣士よりの魔法戦士が一番君にあっているみたいだね」

 先程仲魔になったばかりのユウキとランが鍛錬場に現れたのを見て、横島は言葉を返した。

233 :名無しさん@狐板:2021/05/02(日) 23:54:32 ID:OO4A8bAH
「ユウキちゃん、マイ姉ちゃん達の話しは終わったのか?」

「僕達が聞かなきゃ駄目な話しはもう終わったよ」

「そうか。ランさん鍛錬場に来るのは良いけど、二人とも合体事故で呼ばれたばかりで大丈夫ですか」

 横島の気遣う様な言葉にユウキが不満げな声をあげた。

「横島、同い年なのに僕は『ちゃん』で、お姉ちゃんは『さん』なのひどくない。僕だって君より何百才も年上だよ」

「ユウキ。そう言うところが子供みたいだから、横島さんも、ちゃん付けになってしまうのだと思いますよ。 横島さんお気づかいありがとうございます。大丈夫だとエヴァさんから太鼓判を押されました」

「そうっすか。二人とも鍛錬か」

「ううん。それもあるけど、横島のガーディアンとの同調率の底上げと、強化の手伝いに来たんだよ。何度も君の師匠を努めた僕にお任せあれ」

 ユウキはそう言うと、横島に向けて剣を構えた。横島は霊波刀を構えてユウキ見る。

「今から鍛錬を始めるのか?」

「ううん。それもあるけど一番は君の前世の神話の再現。横島は独力でやれる事は大半やっているから、ガーディアンの前世をたくさん再現すればするほど、同調率は上がって行くよ。
もう一回マイとエヴァさんに閨の中で虐められて凄く同調できたでしょう。君の今宿っている前世は大きな事を成し遂げた直後に僕にまけていたんだ」

「八百長試合して負ければいいんか?」

「ううん、僕と本気で戦えばそれで良いよ。それでも前世の再現にはなるし、僕に勝ったら前世越えになってそれはそれで強くなれるから」

「それじゃ勝負と行こうか」

 霊波刀を具現化させる横島にユウキは怪訝な顔をした。

「横島、夢子さんから貰った剣を使わないの? 手に馴染んでないなんて事はないと思うけど」

「初めて持ったとは思えんレベルで馴染んでいるけどな。それでも8割ってところや。完全に馴染んだ武器以外じゃユウキちゃんとは勝負にならんわ。それにユウキちゃんの剣もまだ完全じゃないだろ。その剣なら辛うじて俺の霊波刀でも受けられる」

「良く見ているね。夢子さんが打った剣が完全に馴染んだら僕ともう一回戦ってくれると嬉しいな。それじゃ行くよ!」

 ユウキはそう言うと横島に斬りかかってきた。横島は霊波刀でそれを受け止めた。鍔迫り合いは僅かにユウキが有利だが、その僅かな差が剣術の優劣を良くあらわしている。ユウキが放つ連続の剣を横島は辛うじて捌くが剣撃の重さに顔が歪む。
彼女の膂力もあるが剣の速度がさらなる剣圧を生み出しているせいもある。横島は劣勢に立ちながらも、反撃できそうな場面を作り出し、その度に何度もフェイントを入れた。しかし、彼女の反応を僅かに鈍らせることはあっても大きな隙を生み出すことはできない。
 ユウキは横島と切り合いながらわくわくしていた。明らかに横島は剣術の奥義の技を狙っている。そしてそれを繰り出せる場面を蹴ってまでその技を放つフェイントを入れてきた。
それをされたことで、自分の中にフェイントに見せても本当にその技を使ってくるのでは、という警戒心が生まれた。それによって7割以上の確信がないと大きな剣撃を放てなくなった。こういう読み合いの上手さが横島との闘いの楽しさだと彼女は思った。
横島の目が自分の剣撃に慣れ始める程、彼が逆転の一手を打ってくるのが近づくのが分る。それを潰せるかどうかが勝敗を分けると何度も剣を交えた経験が告げている。

 ユウキの剣撃に僅かに慣れた横島は時々だが剣撃を返し始めたそれでも劣勢を強いられている。横島の反撃が一度ユウキのラッシュを止めた。その後の刹那に、不意にユウキが距離を取り横島に魔術を放った。黒紫の光の球が横島に向けて飛んだ。
横島はユウキの魔力の球を光の盾を具現化させて防いだが、押し負けてしまい独力では防げなかった。どうにか札を取り出し具現化させた盾に張り付けて防いだ。ユウキはそういう強い札もあるのかと驚いた表情になった。横島その瞬間にユウキに無数の札を投げた。
どういう札が分りづらくする魔術もかかっているが故に、ユウキも直には気付かない類の乱舞だ。注視すれば気づけるが彼女の性には合わないだろう。案の定彼女はその早すぎる剣撃で全ての札を切り裂く方を選んだ。
ユウキの剣が黒紫の光を帯び次の瞬間、無数の剣撃の嵐が吹き荒れた。大した威力ではない札も威力の高い札も有効的な効果を発揮することなく切り裂かれていく。それでいて彼女は横島がぎりぎり切り込める程度の隙以外は作りださない。
横島は何度か切り込むような体制を見せるたびにユウキの動きが鈍るが、たまに横島も何かを警戒するように何度か体をこわばらせた。最後の一枚が切り裂かれる前の刹那に横島は札を放り、自分も駆けだした。


 札を剣技の嵐で切り裂きながらユウキは心底戦いを楽しんでいた。彼女は横島との戦いの時はこの奇策によって実力差を覆されかけた時の、読み合いが一番好きだった。
お互いに最新の注意を払い合いながら、最善手を尽くす。横島は強くても喧嘩や戦争は嫌いだが、自分との戦いは楽しいと言ってくれた時のことは今でも覚えている。時々、札を切り裂くたびに攻めてくる横島の幻影が何度か見え、その度に体がこわばった。
 
ユウキも何度か横島にフェイントを仕掛けていた。駆け引きの最中に横島も何度か自分が札を受けるリスクを冒してでも切り込む幻影が見えたはずだ。
最後にひと際大きな攻撃の気配を感じた後札が飛んできたのを感じるとユウキは横島が最後の勝負に来たことを悟る。
彼のフェイントを見破り反撃しようとする自分の反射神経を黙らせると、次に飛んできた札を切り裂き、空気の切れる感覚を感じ取って、横島の霊波刀に剣を放った。
完璧なタイミングで放たれたユウキの攻めて崩しの技は空を切った。彼女は驚愕と共に、何が起きたのかを見ると、横島が霊波刀を籠手の形態に変えたことに気づいた。
空振りしたところに横島が一瞬で間合いを詰めて拳を繰り出してきた瞬間、ユウキは剣を放した。その瞬間彼女の目の色が変わったことにランだけが気づいた。
ユウキの視界に入る全ての存在がモノクロに変わり、そして全ての移動速度がビデオのスロー再生の様になる。ユウキだけがその中で自由に動くことができる。横島の拳の繰り出し方などを見て、いかなる意図の一撃か見抜く。斜め上に自分を跳ね上げる一撃。
拳が当たる一瞬前にユウキは地面を蹴る。拳が当たり体が浮くと、軽い痛みが走る。興奮状態でないともっと痛いだろうなと思いながら、横島を見る。そして浮いた体で、僅かに近くなった彼の顎に向けて彼女も拳を繰り出した。
剣を手放した彼女の腕はすさまじい速さで横島の顎を打った。力はそれほど強くないが、横島は一気に崩れ落ちる。顎を揺らされたのが効いたのだろう。彼にしてみれば、魔力を帯びなければ大したことがない細腕が消えたと思ったら、急に自分の体が動かなくなり崩れた様にしか思えなかっただろう。
彼が体制を立て直す前に魔力を込めた拳を打ち込み完全に意識を断った後、距離を取り念の為に剣を構えながら、横島が意識を失っているか確認をした。彼の意識が飛んでいるのを見て少しテンションを落としながら勝利宣言をした。

「お姉ちゃん一応勝ったよ」
 
心底楽しかったようだが、勝ち方だけは誇っていない感じがする。

「褒めてあげ辛い勝ち方だったわね。ユウキ」

「うん。自分でも分かるけど、一応外から見てたお姉ちゃんの総評を聞かせてくれる」

「これは殺し合いじゃないから、そこまで辛口じゃないけど。まず横島くんが最初から最後以外は剣形態だけで戦ってたのは、ユウキに剣が一番得意で、それで勝負しようしていると思い込ませるためだったわ。
これは私も気づいてなかった。この体が持つ仲魔達の記憶から見ても、一番苦しい戦いは始終剣な事が多かったからね。でも彼はオールラウンダータイプだから拳も使えるって考えておくべきだったわ。駆け引きでは完全に裏をかかれ切ったわね」

「うん。そこまでは僕の見解と一緒だね」

「それで最後の一撃あれは、相手のミスとスペックのゴリ押しで勝った感じね。横島くんの狙いはあなたを浮かせてその後、顎に一撃入れてできるだけ痛くない様に気絶させるつもりだったみたい。その為の一撃を読んで、自ら飛んで逆に顎を揺らした。
実際空中に居て手の力だけで打った拳なんて、屈強な男でも相当威力は落ちている。まさか女の細腕でそこまでやれるなんて思わなかったでしょうね」

 ユウキの腕は剣を機械の様な精密さと力強さで操るそれは素手でも変わらない。彼女が放った一撃は手打ちの拳だったが、信じられない程正確に相手の顎を揺らす、動作だった。
例えるなら自分よりは弱いが、決して雑魚ではない機械人形と戦い、細い針を機能にちょうど壊れる部分に寸分たがわずに打ち込んだようなものだ。こんなことができる人間がいるなど誰にも思わないだろう。

 ランはそれらも含めて口を開く。

「彼の力を引き出すという意味もあるから仕方ない部分もあるし、久々に闘えて嬉しかったのでしょう。けれど楽しさに負けたのと危機感が薄れていたわね。
最後は彼が一線を越えたわけではない女性に甘い人で、最初から容赦なしの技を打ってきていたら、2割くらい、いえ3割くらいは負けてたわよ」

「なんで今言い直したの」

「身内のことになるとどうしてもひいき目が入るから。私が2割と思ったってことは多分3割くらいは負けていると思うから」

「そうかぁこっちの方がレベル高いのにみっともないなぁ」

 ここまでは落ち込んだ声で言い、直ぐに明るい声に戻りユウキは言った。

234 :名無しさん@狐板:2021/05/02(日) 23:57:10 ID:OO4A8bAH
「それじゃあ、本格的な横島を強化する儀式に移ろうよ! 横島もこのままじゃ僕たちの相手をするの辛いだろうし、あのマイさんだけで手いっぱいって言葉を言うのも無理ないしね」
 
 マイさんだけで手いっぱいの下りに重々しい情念を感じつつランも頷き夢子たちの到着を待つことにした。


 横島が目を開けると全身に強い脱力感と思考を奪う倦怠感があった。アレクシアの香水を強化したものだとなんとなく理解した。そして周りには豪華だが祭壇を思わせる大きなベッドに自分が寝かされていることが分かる。

 動かない体に僅かな不安を覚え辺りを見回すと、アリス、夢子、ラン、ユウキの4人がいた。彼女たちは普段から神秘的な感じや、魔性めいた美を感じさせるが今日はそれが特に強くなっている。最初に夢子が横島の唇を奪った。
そして彼女の手で分身を撫でられた時に、自分が裸だと初めて気づいた。夢子は無表情で機械的にそれでもどこか優しさを感じさせる手で横島の分身をしごく。1分も立たないうちに射精してしまった。
ベッドの上に広まった精液をユウキが手で撫でて夢魔の技で吸い取り尽くす。夢子が僅かに抗議めいた眼を向けるが彼女は笑って返した。

「これからたくさんできるから目くじら立てないでよ。それに今は早く儀式を終わらせるのが大事でしょ。夢魔でもある僕の方が少しはやいから」

「そうですね。 横島様この儀式の趣旨を理解できていますか」

 夢子に抜かれて僅かにはっきりとした頭でぼうっとしながらも横島は浮かんだ答えを返した。

「前世の再現?」

「それもあります。ですが今の横島様は理屈上どの前世の武器も十全に使えるはずなのです。今着いているガーディアンは8個前です。ですが、今の横島様は全ての前世を体験し尽くしてきた魂ですから。
今から剣を貴方様の魂に完全に馴染ませます」

 そういうと夢子が横島の背後を指さした。その方向を見ると人形が持つようなサイズだが名刀の凄みを感じさせる剣があった。これはアリスの作った剣だと横島には分かった。
 その剣が置いていある祭壇の横にアリスがいる彼女は事務的な口調で横島に説明を始める。

「実際にその剣を振るってもらうのではなく、ガーディアンの一部とすることで、横島様の霊波刀として、その伝承の力を一部引き出せるようにします」

「ああ。だがどうしてエロいことを」

「こちらの世界では剣は男性器の象徴とされています。それは女権国家の世界でも同じです。形が似ているためでしょうか」

 アリスの言うことは正しい心理学で剣も男性器の象徴とされているし、聖剣などを、男性器を模して作った儀式の道具だったと、見なす学説もある。そこまで頭が回った時点で夢子が息がかかるほど横島の側に来て説明を続ける。

「女権国家では女鍛冶師や剣士が男性器を性交で支配することで剣に関わる儀式がなるのです。男性器を連想させる武器を作る者は、男性器を支配することでそれに加護が宿ります。女性の剣士もまた、男性器支配することで剣の扱いが上手くなると信じられており、
また剣に神通力や魔力を通しやすくなるのです。横島様の男性器に剣の打ち手である私が最大に膨張させ快感を送り込むことが強化につながります」

 そういうと夢子は容赦なく横島に抱き着き一気に分身を飲み込んだ。繋がった瞬間横島の分身は無数の快楽をもたらす剣で切られているような錯覚を覚えると即座に射精した。泣きわめきそうになる横島を夢子は子供にするように撫でて言葉をかける。

「大丈夫です。私は剣作成の魔術師です。男性器を強化しますから少しは苦痛も和らぐかと」

 夢子は優しく動きながらその豊満な体で容赦なく横島を意図せずに嫐る。彼女のみだらな体に射精すればするほど自分の分身が作り替えられていく様な怖さと底知れない快感が走った。何度射精しても中折れせずその結果息をつけない横島に彼女は励ます様な声をかける。

「剣の作り手である私は男性器を萎えない様にすることもできるのです。お辛いでしょうが、今は耐え抜いてください」

 最後に腰から下が両断されたような錯覚を与えるほどの快感を送り込むと彼女は横島に口づけし後ろに回った。指一本動かすことすら辛い彼だが、決して逃がす気はない様だ。目の焦点が合わなくなってきた横島にアリスが、近づいてくる。

「横島様。私も夢子姉さまほどではありませんが剣や武器を作れるのです。人形劇で作っていくうちできるようになりました。私は貴方様の前世である方々の偉業を再現する劇を多く上映したので、剣やガーディアンの逸話などの再現をできるようにしていきます」

 そういうとアリスの指から糸が出て横島の体内に入る。彼は指一本動かせない程脱力していたはずなのに、アリスに近づき奉仕を始めた。
最初にアリスに口づけされて全身の力が抜けて舌を絡められた時、限界が来たのに過去を再現しているから、今射精すると過去と変わる、と言わないばかりに体は動く。
アリスの乳房を両腕が揉みしだいた時点で横島の分身は限界に来ていた。それでも射精は許されない。祭壇の上の人形が遣う剣が輝き、自分を振るった前世の通りにしろと強要している様だ。
対面座位の騎乗位になって胸に顔を埋めアリスの尻を揉みしだいた時、やっと射精が許された。
それと同時に大量のマグネタイトが失われた。アリスと夢子が目配せをすると祭壇の上の剣が煙となり横島の中に入ってきた。
 魔石を使われた様な感覚で自分の生命エネルギーが回復したのを感じながら、そういえば信仰心とかからもマグネタイトは出来たなと思った。

「これで前世と同じくらいには耐久力は上がったはずです。女権国家出身のサキュバスなどにもある程度対応できるはず」

 アリスの事務的な説明に天真爛漫な笑顔を浮かべたユウキが応じる。

「うん、そうなったみたいだね。それじゃ横島、僕たちの強化もお願い。剣士だから女権国家の伝承上君を、支配しないと剣の使い方が今一つなんだ」

 返事を言う前にユウキは横島の唇を奪った。

「ほら、こんなお子様の体でも勃っちゃうでしょ。妖精と夢魔両方の力を持ち、剣を支配する魔法剣士は凄いでしょう」

 見掛けの年齢の割に豊満な、体を見ながら横島はエヴァの肢体の魅力に近くそれでも異なる彼女の姿に目を奪われていた。ユウキは笑いながら横島の分身を飲み込み楽しそうに腰を動かし始める。横島の分身は彼女の思いのままに弄ばれた。彼女が望んだ時は射精し、そうでないときはいつまでも、射精を許されない快感にとらわれる。
 横島が横島家の性魔術を使うおうとするのを感じて彼女は心底楽しそうに笑った。
「お、あの術を使うんだ。よーし負けないぞ〜」
 そう言った直後にユウキが本気を出した瞬間横島は現実ではありえないと思ったAVのフィクション作品の様な射精をした。自分の体がミイラみたいになりその状態でも恐怖より恍惚感が強いことに驚く。
まだ抵抗できる体力は僅かに残っているのに、ユウキの膣に全てを出して死んだときのことを想像すると気持ち良さそうだという、誘惑があり抗えなくなっていく。
 横島の命が消えかけた時、ランがユウキを引きはがした。

「ユウキはしゃぎ過ぎです。久しぶりに彼と体を重ねられて嬉しいのはわかりますが、殺してしまって、妖精郷か夢幻(むげん)の森に連れ帰っちゃったら他の娘たちが怒っちゃうわ」

 そういうと彼女は蜂蜜酒を差し出してきた。サマナーはソーマという酒を未成年でも飲むことが多い。この酒は未成年が飲んでも一切副作用はなく、傷を塞ぎ体力を回復するだけではない。魔法を使う精神力すら完治させる。これはそういう類の酒だと察して横島は一気に飲んだ。
体の吸い取られた過ぎた水分を吸収するように三杯も飲むと一気に体が熱くなり心地よい酔いが体に回った。脱力感がより強くなり、世界が回っているような錯覚すら覚える。
 前後不覚になった横島にランが口づけして来た。

「ユウキに随分と消耗させられましたね。次は私が癒します」

 そう言うと彼女は横島の分身をユウキとは真逆にゆっくりと飲み込んだ。度を超えた快感は一緒でも、彼女はひたすらゆっくりと薬草やどろりとした薬を塗り込む様に横島の分身を扱う。

「あがー!」

 ひたすら優しい動きだが気持ち良過ぎてそれでいて直に射精させてくれないもどかしさで横島は奇声を上げた。その状態を彼女は目を細めながら見ている。子供の背伸びを見る様な細められた目が、奇妙な恥辱心を煽ってくる。
 ひたすら癒す気持ちよさは今までベッドの中で女性達に虐められて負った魂の傷口を癒すかのようだ。しかし、その癒しは横島に安息をもたらさない。傷が言えれば言えるほどマイやエヴァ達与えられた男としての気概を切りつける様な快感を味わいたくなってくる。


235 :名無しさん@狐板:2021/05/03(月) 00:00:11 ID:raEUV/v9
 そして彼女の性交はある意味癒してはいるが、男としての気骨を削り取ってくるのは他の女性達と一緒だ。アリスや夢子そしてマイがしてきた癒す感じの女性上位のセックスの時もこの感覚はあったが、ランとのそれはより強く感じられる。
 もどかしさに震えながら、横島は何度も香のせいで僅かにしか動かない腰を動かしたが、彼女は一切強さを感じさせない締め方で射精を許さない。
横島が限界に近いとみると強く締め上げたがそれすらも優しい締めあげ方だ。彼女の一動作でした際の射精はかなりの量だが一気に出ず長時間続いた。
その際も腰を一切動かさず、横島を加え込んだ内部の動きだけで射精したばかりの横島の分身を優しく嫐り何度も射精を促す。何度も射精したというより、射精が時々途切れる様な感覚の射精に思えた。

「どうです。 消耗した気力は癒えましたか?」

「あ、ああ」

 気力は癒えたが気骨が一気に削られた脱力感の中にある横島に彼女は口づけすると離れた。 ランはゆっくりと横島から離れるとアリスと共に祭壇で何かの準備を始める。止めないと拙いと何故か思った。
しかし、ランに優しく絞られつくした分身の脱力感が体を動かす、気骨を挫き指一本動かせない。

 完全な脱力状態の横島に頬を膨らませたユウキが声をかける。

「確かにお姉ちゃんの癒す性術は凄いよ。けど釘づけになり過ぎ。今度は僕の番なんだよ」

「ユウキ様とラン様の剣を作ったのは私です。お二人の剣を強化する時が来ました」

 そう言うとユウキは不意に光に包まれるとそこには、黒い髪をした美女が現れる。僅かに茶目っ気を込めた、笑顔がチャシュ猫を想像させた。ただしそれは主人と戯れる笑顔をと、獲物を嫐る時の中間の様な笑顔だ。

「どう?初めて君と会った時は子供扱いされたけど大人になった僕は凄いでしょ」

 そういうとユウキは笑顔で動けない横島の分身を特に大きくなった乳房で挟んだ。快感のあまり歯を食いしばる横島に構わず乳房を動かし始める。

「剣は男性器の象徴だからこそ、女権国家だと男性の剣士は長い時間射精せずに耐えることで剣での戦闘時の耐久戦の時の武運が上がるんだよ」

 ユウキの性行為は常に楽しく得意なゲームで相手を圧倒しているような感じで行われる。その為か、横島は自分が一方的にスポーツや試合で負けているような敗北感がある。それでいて、性交時にそれすら悪くないと思えどんどんと、気骨が削げ落ちていく。

不意に両腕四本の腕につかまれ何らかの力を流し込まれたような感覚を覚えた。振り返るとアリスと夢子が左右から自分の腕をつかみ何らかの気を流し込んできている。

「横島様。前世で貴方は強すぎる快感に長時間耐えきり耐久戦での武運の加護を得ました。それを再現する気を送ります」

 アリスは言葉を終えると横島の体に腕から魔力を送り続ける。夢子も続いて言葉を継げる。

「横島様だけではなくユウキ様とラン様の剣を打ったのも私ですから男性器に魔力を起こり皆様の剣との親和性を上げます」

 夢子から送り込まれてくる霊力は特に横島の分身に大きく流れ込んでいくが。その魔力の影響か分身が固く大きくなっていく。
大きさを増したせいでユウキの胸に包まれる部分が大きくなり余計に快感が増してくる。不意に苦しそうな横島を見て、ランが歩みだしてくると口を開いた。

「大分お辛そうですね。私もお手代致しましょう」

 ランもユウキと同様に大人の姿へと転じた。若干だがユウキより大きな胸と愛玩動物を見るような切れ長の見下ろす目が横島の背筋に寒気を走らせる。彼女はユウキと反対の方向から横島の分身を挟み込んだ。

「――!」

 姉妹二人の息の合いすぎた連携は横島を一気に追い詰め、言語化できない奇声を絞り出す。どこまでも優しく癒す様でそれでいて、きつすぎる快感はユウキとは真逆でありながら、ユウキと同じように横島の気骨を削ぎ落していく。

 しばらくの時間が過ぎた時アリスと夢子からの許しが出た様な魔力が送られ、横島は一気に射精した。二人は大量の射精をする横島の一物をつかみ交互にお互い向けてかけ合う。
マグネタイトとして分解され吸収される前にお互いをなめ合う二人を見ると再び分身が目覚め始める。

「これで耐久力は上がりましたね。次は剣を使った際の復活力を伸ばしましょうか」

 淡々と言う夢子の言葉を皮切りにランとユウキは笑顔で再び横島の分身を左右から乳房で挟み嫐り始める。今度は何度も休む間もないえげつない攻めを二人はしてくる。それでもランは柔らかく優しい攻めをユウキは楽しみながら遊ぶようだ。

「横島同じようなのばかりだと飽きるだろうからこういうのはどうかな」

 そういうとユウキが不意に子供の姿に戻るただし、胸だけは大人の時のままだ。ランもそれを見て同じことをし始める。
大人の姿の二人に嫐られるのとは別の背徳感と、子供に圧倒される敗北感が余計に彼を興奮させる。それが彼に自分はもう戻れないのではと思う危機感を与えた。
その危機感もランの胸が与えてくる優しすぎる快感とユウキの胸が与える容赦ない快感に塗りつぶされた。まるで一瞬だけ快感を緩め危機感を芽生えさせた後、それを敢えて塗りつぶしたかのようだ。
何度も射精させられた後、今度はユウキが祭壇から蜂蜜酒を持ってきて横島に飲ませた。

 半ばミイラの様になりかけた体が大量の酒で治った時、ユウキとランが離れアリスも祭壇の方に歩み始める。

「儀式の仕上げです横島様」
そういうとアリスは人形と両方に男性器の先端がついたディルドを祭壇から持ってきた。そのディルドは自分の一物を模したものだと横島は直ぐにわかった。それをユウキとランが挟むと同時に分身にそのディルドがされた愛撫と同じ快感が走った。
ユウキとランは横島の人形を受け取ると大人の姿になり四つの胸で挟み始める。全身を乳房で包まれた様な電撃が走りもだえる横島をよそにユウキが楽しそうに声を上げる。

「アリス凄いね。横島を模して作った人形だけじゃなく縫いぐるみ人形とかでもここまでできるようになったんだ」

「精進しましたから」

 夢子が不意に横島の背に手を当て呪文を唱えると横島の背に光の塊の様なものが生え始める。それから流れる糸が横島の睾丸と繋がり夢子がそれを受け入れると一物を受け入れた時と同様の快感が走る。

「剣は神話で男性器と同一視されます。剣を具現化させる能力に特化している故に私はこういうことも可能なのです」

 叫ぶ横島を無視してアリスも前から横島に抱き着き同様に口づけし嫐り始めると。ユウキとマイも二人で百合的な性交をしながら両面のディルドを使い、そして横島の人形を胸の間で嫐り快感を与えてくる。

 しばらくしてユウキが思い出したように口を開いた。

「そういえば、ガーディアンとの親和性が高くなったから思い出したと思うけど、放浪騎士タダスケの出身国はカーマイン国。冒険者で成り立つ国で、ある程度善行を積んだものは放浪騎士を名乗ることが許される国で、僕たちを熱心に信仰してくれてたよね。
でもあの国は基本的に男性優位で騎士が使う剣は男性器の象徴だから、ベッドの中で女の子に負けるの恥ずかしかったよね?」

 なぜそんなことを言うのか分からないユウキの言葉に疑問を抱く横島をよそにユウキは続ける。
「君が今生まれた国より男性優位だったからガーディアンとの親和性が高まってきて恥ずかしくなってきたんじゃないの? あの国は男性たちも性交時も含めて亭主関白だけどフェミニストで良識人が多かったから、
あの国の騎士たちに変なことしようとした女権国家の女たちは、良く良識派な女権国家の女たちに咎められてたよ」

 そこまで言われて横島は親和性の上昇とともに一気に恥ずかしさが芽生えてきたことに気づいた。ユウキは笑いながら激しく絞りはじめ、ランは優しく絞ってくる。
 最後に四人が不穏な気を放った瞬間意識が飛び。極大の恥辱心の後、脳が砕け散るような快感が四か所から走った。本物の分身からだけではなく、模した三つからもマグネタイトが大量に放出され彼女たちに捧げられたのを横島確信すると意識が落ちた。


 あの儀式が終わってから体感時間で二日後、横島は今エヴァの計らいで邪教の館の訓練施設で訓練をしている。霊波刀の具現化した際の硬さと切れ味がましそして体の中に入ったであろう剣の動きも引き出せるようになった。
夢子から送られた剣も信じられない程手に馴染んでいた。ユウキとランの二人もあの後、剣に魔力を帯びさせるのが上手くなり戦力も一気に上がった感じがする。

 強力な悪霊を切り倒した横島にエヴァが賞賛の声を上げるが彼は少し落ち込み具合だ。

「横島どうした? 強くなれたのが嬉しくないのか」

 エヴァの問いに横島は首を横に振った。
「強くなれたのは嬉しいけど、ガーディアンとの親和性が高いせいか女性優位の性交がめっちゃ恥ずかしいねん。思い出しただけで顔が赤くなる。 それに――」

 次の言葉は言いかけて慌てて飲み込んだ。しかもそれが癖になってきているのが嫌だというのと、マイの罵る言葉がなくて物足りなさを感じていたのが、やばいと感じたとは言えなかった。
それに自分の夜の耐久力も剣が男性器の象徴の為か、あの儀式で上がった。だが、マイにすら勝てないレベルだと横島は思った。横島は次の魔界への準備は万端でありながら、謎の不安を覚えていた。その光景を見て陰で笑うマイがその予感の正しさを裏付けていた。

236 :名無しさん@狐板:2021/05/07(金) 23:41:19 ID:P2uxRfVt

舞台背景 : なろう的中世ファンタジー風世界

遥か昔に封印された大悪魔が眠っているという曰く付きの遺跡でソロダンジョンアタックする主人公が、
遺跡の最深部で何故か衰弱して取り残されている少女がいて、
詳しく聞くとパーティーメンバーに嫌がらせで置いていかれ、帰り道も分からず途方に暮れていたようで、
仕方ないのでひとまず一緒に街まで帰る事になったんだけど、
その後所属パーティーを抜けた少女に懐かれて、それからは一緒にパーティーを組む事になって、
それから段々と仲良くなっていって、まぁ当然エロい関係にもなるんだけど、
その少女が物凄い被虐趣味の持ち主で、段々と影響を受けていくようになる

それにしても少女を見つけた遺跡、結構危険度が高かったのに、あの時は魔物の気配がまるでなかったのは何故だったのだろう?

三三三イ三三三三 |:::::::::ヽ三|\三三ヽ三三三三三三!
三三三ハ三三三イニ!:::::::::::::\|:::::\三/三/、三三三三ニ!
三三ニ/::ヽ三三/lニ/:::::::, ≦三三三 /三/ニト、三三三三|
三三/:::::::::ヽ三/::l/:::::::´ {i  l  l  /三イ三| ',三三三三|
三イ::::::::::::::::∨::::/::::::::::::::つ ゝ_ノ /lニ/三ニ! l三三三 /
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三 ',:::::::::::ー_――― ニ '     ,.イ/三,三三三三',;l     三三三三
三三:::::::::::::::::: ̄ ̄        /ニ/三/三三三三三、    ',三三三三
三三.、::::::::::::::::::::::      ,.イ三三三/三三三三三三、   ヽ, ´`',三三
三三 ヽ> 、     _,.. イ  |三/三/三三三三三三三',   /   ヽ三
、三三',    ` ー ´ _, - ''"´ /三/三三三三__人-三ニl  /      ',三
|、三三', `  ー ''"´      /三/三三三三三 ) (-、三,| /     ,  l三
| 、三三、   | | |         /三/三三三三三/ー:.:、、::ヽ'     /  - 、
}  ',三三',.   | | |      /三/三三三三三//:::::::::::ヾ、/    / /
\ ,三三',   | | |        l´     `ヽ、三//:::::::::::::::ノ  , //
  \,三三',  | | |   , / `ヽ、_      ∨ {:::::::::::::::{、 _´ノ/

237 :名無しさん@狐板:2021/05/09(日) 07:19:26 ID:JgW5dNpC

被虐趣味のあった少女は、エロい仲になった当初はまだ自重していたのだけど、
やがてそれも無くなっていき、漏れだすような虐めてオーラと無意識下で媚を売ってこちらを誘ってくる
そして……

        _ ,.......:::::::::::::::::::::::::......、
     ,...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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そして段々と主人公も感化されていった結果、それまで考えもしなかったような乱暴な行為を少女に行うようになる
快楽の為にモノ同然に扱うだけでなく、意図的に身体を傷つけたり、尊厳を汚すような行為を強要したり、
それこそ少女の生命の危機に瀕するような行為すら、次第に遠慮も自制も消えていく
それでもなお快楽に塗れた少女のアクメ顔を見る度に、自分の中の加虐心が脈々と肥大化し続ける

                         _,,....-‐‐‐-....,,_    .:::/
      ``丶、.....            /二三三三三二\  .::/
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       \、._ノし/:::::::::,::::,,.. -‐‐-ヽ:::::::ヽニ二三三三三三二i  ''"¨¨ ̄
         `)(´.i:::::,:::/´_ -‐‐‐‐- ',:::',:::iニ二三三三三三二!
        //^´.l::::i::::ii::/:::!l::::エュ::lヽ:l::::i::lニ二三三三三三二l
           .l::::l:::::!ノィzx',:::l,ィ==ミi!::::l::lニ二三三三二二ニ.' _
       -‐=ニニi:::!i::::l'cィ==、` ::::::::゚l::::!_li..-‐ '' " ̄        ゙   ,     _
            ソ:i::::ゝ::::::  ,,.....-‐''',−''    ,‐- _     u.  }   ''"´
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          ./u. ./ニ三三三三三三二ニ.}三ニ1ニ二三三三三三二ニ ヽ
  ,..、 -‐ '' ""´´,'    l三二ニニ−-‐‐‐ ニ三./三二iニ二三三三三三三二ニ',
         .,i "´ ̄          `ーュ三二lニ二三三三三三三二ニ.i
        ./:l      ,,..−ニ三\   ー-}三二iニ二三三三三三ニi三二!
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   ./::::::/:::::::::::_:::{二三.iニ二三三三三三三二ニ!ニ二三三三三ニニ.,'三/
 ...:::::::://:::::::::/  ゛' 、三lニ二三三三三三三二 lニ二三三三三二./三/
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'::/  /:::::::::/∧       ヽニ二三三三三三二 .lニ二三三二,ノ'´    ゙,
:/   ':::::::::/::::::ヘ.      ヽニ二三三三三二ニl二三三三/       ,
'   .i:::::::::/i:::::::::1\      \二三三三三二,'二三三/       ノ
   l:::::::,' {:::::::::::ゝ. \      `、.二三三三ニiニ二三, '      , ..´
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こんな可愛くて優しい子にそんな恐ろしい事ができる訳ないので、普通にイチャラブセックスに努め続ける
芽生えたSっ気と愛おしさが、探り当てた少女の弱点を丹念に愛撫する事を選び、
ひんひんと涙目トロ顔の少女と粘っこく深い接吻をする度に、自分の中の加虐心がねっとりと膨れ上がっていく

238 :名無しさん@狐板:2021/05/09(日) 07:19:43 ID:JgW5dNpC

そうして数ヶ月が経った頃、暫く滞在していた街で目を覚ますと、少女の姿がどこにも見当たらない
少女を探して街を中を歩き回ると、そもそも街の中から喧騒がまるで感じられない事に気付き、
止むを得ず家という家に直接入ってみると、街の住民たちがまるで死んでいるかのように眠りから目を覚ましていない
この異常事態に呆然とすると同時に、なぜ少女の姿が何処にもないのかという疑問と困惑の中、

                 |,\
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          ....――――=ミ////,∨ヽ
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    '::: i::::::::::::::: i::::::::::::::/: /__:i__:|:::Lハ\、
   i::i:::|::::::: |:|::::|:::::::::::∧/∨__::|::::|::::::|:: ヽ\、   「私はここよ」
   |::l:::|:::: 斗f笊 ::::: /  ィfだハ≫::::::|;;::::i , \、                    _,,  -――……
   |::|::::::::::/|/x=ミ、/   `¨´  |::::::| }:::| |i  i|                '"
   Y::::∨〃v:炒'   '        |::::::|':::::| ||  ||            /         _____
    |::::::从 / )         ノ   |::::::|::::人 ||  ||           / _   -‐   ̄
    |:::::::|ヽi/ {   -       |::::::|:/::::::\ ノ'  _,,    - ― / ̄ フ、             /
\   ::::::八ヽ//≧=-       イ: |::::::|:::::::::::::::\           /    / |≧=------------=≦ \
  \/::::/::::::ト-=ミ///∧― __{,,|Y:::: |:::::: /::::::::\     /   /  |    |    \   \
__,/\::::::::::|>―=ミ////,「 V∧'| |::::::|:::彡___ ,,  -<___ 彡' |    |    |     \   )\_
 ̄/::::::::ヽ:::::'    |////∧ |//,>:::::::|⌒V:::::/::::/:::::::|:\ |    |   |    |\  |\     /\/爻爻
i /::::::::::::::::: |ノ' ̄ ∨//// ⌒レ^)  从ノ  i:::/::::/::::::::∧:: ∧   ∧ ノ\  爻 \爻爻_ /爻爻爻爻爻
/\/\_|/ ̄ /////_ 〈メヽ  ⌒ヽ 从::/|:::::::/爻:::爻\/爻v爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻
爻爻爻爻vl/ ̄'////,|ニニ\¨´ /ニニ_=|爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻
爻爻爻爻v|ニ,,ノ/////|ニニニ_=='ニニニ,=爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻
爻爻爻爻Yニ/゙///// |ニニニ=_  'ニニ{__ V爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻
爻爻爻爻;|ニ////////|≧=- ニ=,,= |ニニ| ニ|爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻
爻爻爻爻;|=''////////ニニニニ=,=|ニニ| ニ|爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻
爻爻爻爻;|',i////// / 'ニニニニニVニニ,/ニ_ 爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻
爻爻爻从:|∧ ////,   'ニニニニニiニニ/|ニニ 爻爻爻∧爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻爻
爻 爻 /:::: |:::::ー: イ}    ニニニニニニi ニニi爻爻|:::::::::\爻|爻爻爻爻|\爻爻爻爻|爻爻爻∧爻
爻/∧:::::::::|:::::::::::::::/   ,ニニニニニ=_人|ニニ|::::::::: |:::::::::::::: 爻爻爻爻彡  \爻| 爻∧爻爻,/  '爻
∨::::::::|/|:: |::::::::::::/|  /ニニニニ=/ニニ\= |:::::::::∧::::::::::::::|爻爻\爻/'    \!\,  \/    ∨
. i:::::::: l,人 |::::::/ニ| 'ニニニニニニijニニニ \j:::::::/  \::::::人从(⌒ヾ,/
. |::::::从  ヽ /ニニニニニニニニニニニ/  ̄ \:{    ∨    ヽ
. |:::/      'ニニニニニニニニニニ /ニニニニ≧ 、
. |/     /ニニニニ=---=ミニ\ /ニニニニニニニ\
     ノニニニニニニニニニ=--<ニ>―― ⌒ヽ _ ー=ミ
    /ニニニニニ 彡' ̄      \i              ヽニ \
 _,/ニニニニ ) ̄            \               ∨ /=\
/ニニニニニニ(                \             ∨ニ==\

彼女が目の前にいた。とても人間とは言えない姿で。

239 :名無しさん@狐板:2021/05/09(日) 07:20:14 ID:JgW5dNpC

そう少女の正体は、かつて遥か昔に遺跡に封印されていた大悪魔
何の因果か――――太陽と星の巡りによって封印が特に弱まっているその日、
主人公が「自分から最深部に足を踏み入れ、封印式を荒らした」事によって封印が解かれてしまったのだ!
封印が解かれた直後、悪魔の魔力は長年の封印によって著しく落ち込んでおり、
全盛期の力を取り戻す為に早急に魔力の補給が必要で、
それこそが、主人公に近づいた真実にして最大の理由だった
そして……

                  .......:::::::::::::{  >x:::::::::...., /   ハ
                    /::::::::::::> {      \:::::::|     |
              /::::::>< __、      \_ ヽ   \
                 /::::::/ ><:::::::::::::::..   ヽ/   〉/ ̄   \
             /::: / /:{:::::::::::::::::::::::::::\      ./´、      }
                /::::://:::::::|::::::::::::丶::::::::::::::::\   / |::::\__ /
            /:::::::|:::::|::::::::|:::::|:::::ト:::::\:::::::::::::::\ /| ト:::::::::::::::::|
        、_/::::::::::|:::::|::::::::|:::::|:::::| ,\´:\\{ヽ:::::´: | ト \::::::::::|
           7:::::::::::: |:::::|::::::::|从{::: |   _,ィ斥斧ァ |::::::: ! !::\\:::::}
\       ///::::::::|:::::|:::/レ     ´~ {h_jン  .|::::::::| |:{ ::\\|
\\.         /イ::::::|:::::|/ ,zz、      ~´    |::::::::| |:|/:::::::::\\
  \\       |::::::::::∧,イ.{h_j〉         |::::::::| |::::::::::::::::::::\\         今までの変態被虐趣味なんて、只の演技よ
..、   \\      ヽ::: /::∧ `~ ′         |::::::::| |:::::::::::::::::::::| )ノ
 \  \\     〉/:::::::∧       _   ァ   :|::::::::| |:::::::::::::::::::::::/´
   \  \\     ′::::::::∧     ¨ー   '    :|::::::::| |::::::::::::::::::::/{            そうやって驕り高ぶった男を、
    \  \\   /:::::::::::::::::>..        /}::::::: | |:::::::::::::::::〈/:i'                   ぐちゃぐちゃに犯すのが大好きなの♪
      \  \\./::::::::::::::::::::::::|::::::::>...、 ./  |:::::::::| |::::::::::::::::::::::::.
       \   /::::::::::::::}:::::::::::|:::::::|__:::)   /:::::::: | |_:::::::::::::::::::::\
     j:    \ /:::::::::::::::::}::::::::::::!:::::::マ:i:i:ト、   /::::::::::jLノ:i:i:/:::::::::::::::::::::: \
      j:      ./:::::::::::::::::::j{::::::::::/――マ:i:i:i}  /:::::::::::/:i:i:i:i:/斗<:::::  _:::\
\    j:    /::::::::::::::::/^j:::::::::/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:V/:::::::::::/:i:i:i:i:i:i:i:≧=-' ̄     \\
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..‖ `ヽ    /::::::::::::::::/  j{:::::::j{¨^フ:i:i:i:i:i:i:i:i:j{:::::::::::j:i:i:i:i:i:i:i\           }:::::',
‖    \ /::::::::::::::/~{_ j{::::::::/ ‖>:i:i:i:i:i:ij{:::::::::::j:i:i:}\{~¨     }       :::::::',
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.    ノ::::::::::::::::::〈v´"''丶、::::::::::::::イ.       、__人_人_人_人_人_人_人_人_人_ 人
  /::::::::::::::::::::::::::\`ー  \::::::::/          )                       (
―::::::::::::::::::::::`、::::::::::::>- `'ー::/         ) 嘘だ! 俺は信じないぞ!! (
::::::::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::: /          )                       (
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::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ̄"''ヽ
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残酷な真実を受け入れられない主人公は……

240 :名無しさん@狐板:2021/05/09(日) 07:21:03 ID:JgW5dNpC

root-A
五月蠅ぇ!メスガキが!と言わんばかりに押し倒し、いつも通りに乱暴に凌辱しようとするが、
その華奢な身体からは想像もつかない動きで逆に自分が押し倒されてしまい、
咥え込まれた肉棒を音を立てて吸われると、
それまで少女から引きずり出していた気持ち良さとは桁違いの快楽によって、体全体が震えだして瞬く間に吐精してしまい、
突然の快楽と驚愕に放心していると、悪魔が妖艶且つ残忍で残酷な眼差しで、

            ./: : : : :_   -─-   _: : : : .lニr、ム、: : : : : ムソヽニ|: : : : : : : :∨
           / _.ニ ̄. .  -─‐-  二.‐-∨,: :`ヽム、_/ア': : :.|ニl: : : : : : : : :∨
           /:´/: : : : :|: : : : : : |: : : : : : :`:.∨'、ヽ:.:\ニ゙<: : : : lニl: : : : : : : : : :
          ,' : ; : : : : :l|: : : : : : |: : : : : : : |: : ゙ヽ\`ーヘニリ: : : /ソ: : : : : : : : : :
           l : l: : :l : :l.|: : : : : : |; : : : : : : :l: : : ム/: : : :{ニソ: : :ゝム: : : : : : : : : :
          .l : | : : | : | l; : : : : : :|'; : : : : : : l: : ム/ : /ソ、\ : :∨'; : : : : : : : : :
    ,r-っー-_、l:l: | : : |;斗´l: :|; : : : :|ヘ`ヽ、: : : l: :リン´ア'イl_ヘニゝ; ',リ; : : : : : : : :
    ムニヽ lニニム l'; ̄:l: :l l: :|l : : : l ヽ: : `':ーl-lニア'´:/_7ヽムニムリ; : : : : : : : :
    ,iニニニ}J三三ム ヘ : |l | .l: :l'; : : :.|.  ヽ: : : : l: `:´l:.|.ム7: : :.゙.、ム`ー´: : : : : : : :    「今まであなたがやってきた事とその快楽を、
   レ'´ ノニ三三ニム ト、ll l  '; :l.ヽ: : :l   ヽ: : : |'; : :.|:ll二l: : : : `.'<`ヽ、: : : : : :
  / ,/ニ三三三ニムリニ`ヽ、 ヽゝ ヽゞニ=ー-\_:!ヽ: :|l:|三l: : : : : :| : `'<ニ`>_、:
 ,'  ,/ニ二>'´リ三三ム゚ `ヾリ     `《´下、_ソ'`‐-ヘ:l: l三.l: : : : : ll: : : : :`ヽ、ニソ:/     何百倍の濃度で返してアゲル♪」
 l  リ,ニア´ _ノ三三三ム::::: /       ⊂`ヽ‐-ソ、. ∨:!三.|: : : : :lソ'ヽ: : : : : :゙'´,イ
. \./  , ´ ノ三三三ムノ       ´   ̄  `゙ l: :|ニニ.l : : : | ヽ.i: : : : : : :/ l
  ヘl /  /1ニ三三ニ.ム        :::::::::::::::::::::: ,': : lア'´ : : : l / ,' : : : : : /: : |
   .l ' / /ニ三三三ニム              /: : ; : : : : : : :|ソ /: : : : : : : : :
.   ヘ  l  /二三三三三ニゝ.             /: : /: : : : : : : l /.l: : : l: : : : : :
    'l   リニ三三三三ニニリ::::ヽ         /: :;イ : : : : : : : l|´: : :|: : : :l: : : : : :
     `ヽ、_l三三三三三三(::::_::::ゝ       ///: : : : : : : : :ll : : : l: : : : '; : : : :
.       ヘニ二三三三ニニ`}lニム、___  _,イ-‐/: : : : : : : : :,' ;: : : :|: : : : ヘ: : : :
         ヘニ二三二>'´ J   ̄ヽ、::i l::::ヽ /: : : : : : : : :/  ヘ: : : : : : : : ヘ: : :
           ヘニニニ/   ,イヽ、    ヽ.J:::::::∨: : : : : : : : /    ヽ: : : : : : : : ヘ: :

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       /            u   {_人 .:::::::{::::::::::し::::}::::::::::〈´ニ \ U                u          \
                       √ {:::::::{:::::::U::::::: }::::::::::::Vニニニu、         |            u   \
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   i| /     |        (  i |     {:::::::{::::::::::::::::::::::}::::::::::::}ニニニニニニ/     |       | i \    /ニニニニニニニニニ-_
   i| '      | i      ) し/ |     {:::::::{:::::::::::::::::::: } ::::::::: }ニニニニ /{            |     \ ,/ニニニニニニニニニニニ-_
  |/|       .| i        /       {:::::::{:::::::::::::::::::::}::::::::::::ト-----<ニニ=-  _  --- 、____ ノニニニニニニ\ニニニニニ/ニ\
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二|二|ニニニニ. |ニニ=-<__    |   八:::::::::::::::::::::::::::}::::::::::::{ニニニ)ニニニニニニニ'/ \ニニニ/ニニニニニニニニニニ )ニニニニニニ-_
二|二|ニニニニ .|ニニニニニニニ=-| i  (_∧::::::',::::::::::::::::{:::::::::::::{ニニニノニニニニニニニ)=-  ~ニニニニニニニ/ニニニニニニニニニニニニニ
二|.ニニニニニニ|ニニニニニニニ二| i \___ 、:::::',:::::::::::: {:::::::::::::{ニ /ニニニニニ=- ~ ニニニニニニニニニニ {ニニニニニニニニニニニニニ
ニニニニ\二二ニニニニニニニニ |ニニ\⌒ \:::::::::::::::::、:::::::::::{\ニニニニニニニ=-ニニニニニニニニニニニ\ニニニニニニニニニニニニ
ニニニニニ.\ニニニニニニニニニニニニニニニ):::}:::::::::::::`、::::::::\ニニニニニ/ニニニニニニニニニニニニニニ{ニニニニニニニニニニニニ
ニニニニニ\{ニニニニニニニニニニニニニニ/:::::::\:::::::::::/::::::::::\ニニニ/ニニニニニニニニニニニニニニニ.{ニニニニニニニニニニニニ

――――人知を超越した魔性の快楽                             ドレイン
人間では到底身に付ける事のできない卓越した技巧と、悪魔としての能力による吸収能力と、
正体を現した悪魔の、狡猾極まりない残虐性と加虐心
それらを用いられて、悲鳴と絶叫と共に主人公を構成するあらゆるモノが破壊されていく
育てられた加虐心、培われてきた自尊心――
やがて性器も快楽に耐えきれずに精液が垂れ流しになり、使い物にならなくなり、
全てが悪魔の掌の上だった事と、自分の愚鈍さを呪い――――その精神すらも粉々に粉砕された

241 :名無しさん@狐板:2021/05/09(日) 07:21:21 ID:JgW5dNpC

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          /::斗-―――--ミ:::::::::::::::::::::::::::::::\
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       /::::/::::/‐く /::::/ /::::L_ ノ〜弋    /::::::::::::::l
      /:::::{:::/{/  ;:::/{  {:从:::::l::::::l   {:::\__}::::::::::::::::}
      /:::::八{ 气x、 }/    l「"ト、l:::::l  /l:::::::::::::l::::::::::::l::::::l
      /:::::/::::j 、_代}     _l八\l j }::::::/:::l::::::::::::l:::::;
     ,:::::::;::::::j `~ミ'゙       冖ミx,,_ j l j::::/::::::l::::::::::::l::/             ふふっ、封印を解いてくれてありがとう
     l:::l:::l::::::{           ,,_ {r(价Y L/::/:::::::::l::::::::::::l
     j{:::{:::{::::八   "        ̄~冖/_j::::/::::ハ::l:::::::::::::l
     l:l::::!::l:::/ ヽ  、       /:::::/:::/:::/ ノ::l::::::::::::::、             アナタのお陰でまた遊べるわ
     {::い::∨   \ ヾニ=-‐    /::::/::::::::::/イ::::::}::l:::::::::::::、
    l:::ヽ\\   \      /::::/::::::::::/-《》::::j:::l::::::::::::::\
      l:::::::::{  ̄     ̄ ̄ヽ-/:::::/:::::/:::/;';'V::l:::l::::l::::::l::::::::::::\
     八:::::::l            У::/::/:::/;';';';';Vl::l::::::l::::::l::::::::::l::::::\
     ヽ:::::l       乂___/:::::::::彡::/;';';';';';';';l::l:::::::l::::::!::::::::::ト:::::::::\
      \乂  ー--―冖〜ミ;;;;;;;;/;'人;';';';';';';l::l::::::::l:::::l:::::::::::l:::\:::::::\
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             └-〈 /;';';';';';';';';';';'ヘ{ /:::::::;:::::::::::::::::/::::::::::l:::l\l::l:::::::::::l:::::::
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                   \;';';';';'/::/::::/:::::/:::::::::::::::::::l:::::::l }  l:::::::::::::}:::

――――悪魔は蘇った
そして世界は再び暗黒に飲み込まれる――――

242 :名無しさん@狐板:2021/05/09(日) 07:21:36 ID:JgW5dNpC

root-B
どうにかしてこの街の状態を元に戻してほしいと少女にお願いするが、少女は聞く耳を持たず、
それどころか、

                    、          、
                   ムヽ、       /ニム
                ____ {三三゙ヽ、    ,'ニ三l
           .>. ':"´ : : : : : ゝ三三三\.  |三ニリ
        ,. .'´: :> ' "´ ̄ ̄ ` ''\三三三`ムソ三二ヽ
      ./: :ノ'´ ,. .-‐. ': : ̄ ̄: :` ' {三三三三}=ソ三ニl
     ./: / ノ'´: : : : : : : : : : ; : : : : :',ニ三三ニ/ハ 、三リ
.    ,.' : ノン´: : : : : : : :l: : : : : :|: : : : : ヘニ三ニ.イイ: l=l`ーハ
   /: : /,.' : :l: : : : : : : : |: : | : : l'、: :|; : :',ヽ、ア: |=|: ヘ_', : : : ∨
  ./: : :/': : : : l: : : : : : : :l: : :l', : | '; イ \:', : ´: : |=|: : ヘ_',: : : :∨
  ': : : ; : : : l: : !: : : : : : : !|: :|1,イ´',.l.  ヽ'、: : : l=l: : : |ヽヽ: : :',
  l: : : :| : : : |: : |'; : : : : : :l !;イ´!リ.>‐_ニ <ヽ : : ヘヽ: : :l: :\ヽ: ',          「今まであなたがやってきた事とその快楽を、
  !: : : :l:| : : :l:_: !ヽ: : : : : | | l /,イニヽ `ヽヘ.', : : : \ヽ:l: : : \\
 .! : : : |:.l : : ハ:`!'''ヽ: : : :l| !;' ゝ´l U c     ',: : : : : ヾ.、: : : : `ハ
 |: : : : :l :l: : l ゙、1>‐、: :l .リ   ヘ..ソノ    l: : : : : : ヘ.ム: : : : :ヘ∨         何百倍の濃度で返してアゲル♥」
 l: : : : : ',ヽ: :! //´ニ〈ヽ:,'       ^ /// /∨|: : : : : : :.ヘム: : : :| レ
 .!: : : : : ヽ',ヘ',イリ | Uリ;          /ニ三! : : : : : : l:.l=| : : ハ
  !: : : : : !|ヘ', ヘ  ゝ.ノ  `        l三三!: : : : : : :|: |=l : : : ∨
  .l: : : : :|:l \l1 ///             l三ニ.|: : : : : : l : レ : : : : ∨
  l: : : : :l:l  lニl      r   ソ    .lニニ.l; : : : : : ; : : : : : : : : : ヽ
   l : : : |!l   |ニ'、      `       !ニニl :/: : : :/: : : : : : : : : : : :| 、
    '.; : : lll   l三|ヽ、             ,イ三,'/ : : : /: : : : : : : : : : : :_: : :\
    ヘ: : ',l   l三ニニ> ,       /.,'ニ./:' : : : :ム : : : : : > ' ´   `'<\
      、: ヘ.  ';三三三三ニ`,ー‐'' ´|-=jニ/: : : :, '.ソ_ム: :>'´          ∨: ヽ
      ヽ: '、. ヘ三三三三三ハ   .lニ.l.ソ: : :/ニリ三ニア'´            l: : :
       ` \ '、ニ三三三リ `゙''ー-..l1/ン'´三三l三<   /         l: : :
          ` 〉,ニ三三ニ|    ∠ニハ´三三三.ム<   /ヘ、       ,': : :
           l |ニ三三ニl      レ' ヽニ三三ニム   / 、ニニ≧_<_  /: : : :

と無理矢理に押し倒し、魔の技巧によってそそり立たせた肉棒をあっという間に膣内に呑み込んでしまう

       ,l:l::|:::::::::l、                  |:::::::::l:::l
       ,'::l:::l::::::::::|:',      _,.. -‐..、      ,イ::::::::|:::::l
      ./::;':::::l:::::::::|::ヘ       v'´::`´::::ヽ     /:l:::::::::l:::::::',            さぁ、いつもの様にキスしましょ
     /::/::::_;;l:::::::::l‐-\    ヽ;:::::l:::,イ     /ーl:::::::::l-<!∨
    ノ>' ´  l:::::::::l    `'、‐-..._)iゝ:ソ(_...-‐ ´   l:::::::::l   `'<
-‐'''"´ ̄     l:::::::::l ヽ   ヽ  ij  ̄l(  /   ,' l::::::::;'     ´ ̄`''ー- ..,,_     愛情たっぷりのねちねち、ディープな、ね♥
          ';::::::::! `ヽ、  '    ゚ .ノ   /  l::::::;'
        、.  ヘ::::::l     `'ー..、    ´_, '´    l:::::/
          ::ヽ. ヘ::::l       `゚  /´      .l:::/ ,イ´:..

と、素早く口づけして舌を絡めとった少女のキスは普段よりも遥かに甘く濃厚で頭の奥まで痺れてしまい、
更に全身すらも少女の四肢に絡めとられ、この異常な状況にも拘らず意識が快楽に陶酔していく……

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                           ゚          ............ _
                       ’     |      ,...‐''"´::::::::::::::::::::::::`゙ヽ、
                        \、_ノし/ノ'ン'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
             ,ィ   「|        つ (⌒' ,.':::'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ ’
      .     / / ,.へl |「|        ^\/_/:::::::::::::ノ'"´__:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
         ∠/// //ヽi.」l」          / /:::::::::/ニ-‐‐ー--ニ.._ _::::::::::::::::::::::i
           ./ し'/        ゚       イ/:::::::::/::::::/:::::::::::::::::::::::::`'ヽ、::::::::ハ::::l
            ヽ-'                 //::::::::/ヽノ:::::::::::;ィ:::::::::::::::::::::::::ゝ;ムニ|:::::l
              /フ           .,イ;'::::::::/:/::_>ソ´::::::::::::::::::::/::::::_lニムリノフ、
             < <           _,,,/::::i::::::::;゙゚:k'ニ、/_:::::::::::::、_ノ::/::ノ´三ニレ'7´ヽ
              ヽ〉      /´   `ヽ::::::l :::`::´゙ヾミ' ̄ ̄ ン'ハ::/三ニソム´
            /7      .,イ        ヘ:::::! u _  , ゝー=ャン::/:::::://>ノ、   /7
           .//、_,.ィ >.:'´::,' _ιi/´   ヘ::::l、( ⌒ ヽ ::::`^,`ー-‐イ|/〈/`ー=ニソ
           ./へハ/:::::::::::::::!´三`'/   ,:c:.. ヽ:`くヽ、ソ-‐=' ´ヽ|:::::::::lノヘ ヽ
      ,....-‐.:'::´:::::::::::::::::::::::::::::::::|´_`,    _´_  ヽ.\/ヽ、 .、l  l:::::::::l   ヽ\
   .>'´:::::::::::::::::::;:::::-‐''"´:::::::::::::::l三ニ.|ゝ/三三`ヽ .ハ::∨´` uヽul::::::::;'    ソノ
  /::::::::::::::::;  イ:::::::::::::::::::::::::::::::::::',三_ヘ/三三三( `  l:::iム  __ ソ l::::::;イ    '´
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..'::::::::/   /:::::::::::::::::::::/./::::::::::::::::l三ニム二三ムゝ`./ ' /ニニ/::/::::l
.!:::::/    /:::::::::::::::::::/  /::::::::::::::::::ハ三三l`ぃニ´三ニム、   ソニlニ´!:::::::::::l
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..';:!   ':::::::::::/   ’i':::::::::::::::/:::::l三_ノ/ニ三三三三三.ム/ニニニム|::::::::::::::::∨
 \  !::::::::;.' ゚     |:::::::::::::/:::::::::l/ニニ三三三三三 / ̄ ̄\ .ム:::::::::::::::::\
     |::::::/   \、._ノし//イ::::/ニ三三三三三三三 | | ll    \ ム::::::::::::::::::::::\
.    ヘ:::;' ___)r'⌒ヾてー/.ニ三三三三三三三三.| |\ ―ァo |..ム::::\::::::::::::::::::`.、
      ヘ:l  ̄ ̄`ヽ 、 -‐‐   ̄ `ヽ、'´ ̄7三三三三 . |   ./   |.三!:::::::ヽ\:::::::::::::::ヽ
        ` > ' ´  \        ヽ .l三三_三三三\  ``ノ / .三l:::::::::::',  ヽ、:::::::::::',
    >' ´                ヽ',_7´ `'ニ三ニ|ヽl/ ̄ ̄ニ三/ム、,_iノi  ヽ:::::::::i
 >'´                     lヘi   ./ニ三7   'ニニ,イニニ.∧三三ニソ   ヘ:::::::l
´                         ヽ  /ニニ/   !三/ lニノ´  ` '<ソ    l::::;'
                         ! `ー=‐'"    /ソ´ ン        ` < //
         ι               ',   u      ´  /            ヽ  _
                          ソ       ,‐''´        u   ,__<三
                      ι  ノ J ,イ  ヽ           ,__<三三三
                   ___, <> __,イソ、ιノ  u     ,__<三三三三三
  __,,.... ----――==ニニニニニ二三三三三三三三三≧=―−--__/三三三三三三三
´三三三三三三三三三三三三三三三三''"´三三三三三三三三三三三三三三三三

――――人知を超越した魔性の快楽                             ドレイン
人間では到底身に付ける事のできない卓越した技巧と、悪魔としての能力による吸収能力と、
正体を現した悪魔の、狡猾極まりない残虐性と加虐心
それによって少女の吸精は留まる事を知らず、咥え込まれた肉棒は噴水の様に吹き上げ続け、少女の胎を満たし続ける
そして可愛らしく育てられた加虐心は、自尊心と共に情熱的な快楽によって甘く溶かされ、咀嚼され、美味しく食べられてしまう
トロトロになるまで捕食され、今までの関係による優位性も忘れて少女に屈服して快楽の波に溺れていたが、
「最後は……人格♥」
という少女の言葉に正気に戻り、いやいやしながら許しを請うが、

       ,l:l::|:::::::::l、                  |:::::::::l:::l
       ,'::l:::l::::::::::|:',      _,.. -‐..、      ,イ::::::::|:::::l
      ./::;':::::l:::::::::|::ヘ       v'´::`´::::ヽ     /:l:::::::::l:::::::',            だぁ、め♥
     /::/::::_;;l:::::::::l‐-\    ヽ;:::::l:::,イ     /ーl:::::::::l-<!∨
    ノ>' ´  l:::::::::l    `'、‐-..._)iゝ:ソ(_...-‐ ´   l:::::::::l   `'<
-‐'''"´ ̄     l:::::::::l ヽ   ヽ  ij  ̄l(  /   ,' l::::::::;'     ´ ̄`''ー- ..,,_     ぜーんぶ、食べてアゲル……♥
          ';::::::::! `ヽ、  '    ゚ .ノ   /  l::::::;'
        、.  ヘ::::::l     `'ー..、    ´_, '´    l:::::/
          ::ヽ. ヘ::::l       `゚  /´      .l:::/ ,イ´:..

と更に甘いキスと膣内の吸引で精液を漏らし、完全に抵抗力を奪われしまい、
その後の熾烈な凌辱によって、今まで培ってきた人間性、思想、何もかもが、
少女への想い以外を残して――――ドロドロに溶かされ、食べられてしまった

243 :名無しさん@狐板:2021/05/09(日) 07:21:56 ID:JgW5dNpC

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                      , , . . -‐.- . . , ・    i  '
               |         .,. :'" : : : : : : : : : : `ヽ. ’ .|    ’
         \、ノし ’  _ ・/ : : : : : : : : : : : : |\ r、  |し/
      ___)(⌒  ,≦≧ニ/: : : : : : : : _  --- 1三`リ: :',`ヽて ’
         ̄ ̄^\ .|ニ三ニ.l: : : :l-‐''"´ _. . -─-ヾ丿ソ : l ;}(__
             , !ニ三ニ.! : : :|-‐''"´: : : l;_:_、:_:l:_|ヘヘlヽ、   ̄ ̄ ̄           あ、あははは……もう人間界とかどうでもいいわぁ
               ',ニ三ニl:| : : !: lノ:|'; : : ハ:.lヘリ_;|;_|,l:!; | ’
              ,ヘニ三ニ'l: : イハ:l_ヽ:./ レ苡ソゞ:.|l:lリ:l≧_<  ,
               ヘニ三ニ.! ,,イ伐¨ソ`  ''///゙|: : |' :l.ニ三三≧_< ,         さぁ、一緒に魔界に帰りましょう♥
               ’ヘソ''´ l: : :|"/// '     l: : :l: '|ヽ、三三三三_ヽ
                 ヘ,>'''l: : ll、   r  ソ ιイ! : l: : l  ヾ、三三三ニ
               ______ヽア´l : l个ー- ,,_ }j /_|; : ,' : _1_,>''、´`ヽ三三ニ       永遠に舐め犬ペットとして飼ってアゲル……♥
            ./´    ,|   l : l `ヽ=!三´ニソ,' :./´  r' ヘニ.ム   }三ニア
             /      ハ . ヘ: l ‐-i`lニニハニ/:./   ノι lニニ}. ノ=‐''´
           ./    .l  ./: ',/  ヽ:l  レ' !ソ' ∨:/  ./  _,,ノ-‐''´, ’ `ヽ
          /     | ./:’r.、;.  ゙ヘ   ,'  ./ソ  ./' ´/'.、  l
             ,'     ノ': : :{ `      : ノム、   '´ .:c;.、 /: : : : \!
         ./  >.'´: : : :ヘ   .. . : ヘソ'´    ` l/: ’: 、: : : : ヽ、
        .>. '´: : : : : : : : ’|ン≦ニヽ   '´  `;__   /: : : : : ヽ、: : : : :ヽ
、 ,   >''´: : :_; ; : :-‐ '': : : : /三三{'`'   ∠二三≧イ: ’: |; : : :ヘ}`ヽ 、 : ヽ
  ' </:, -‐'"´  ./: : : : : : ’l三三ニl     ソニニニニ/ : : : ,'ヽ: : : ',,> ' ´
    `ヽ、/,  /: : : : : : : : /|ニニニア`   .∠ニ三三ソ :’ : /,ヘ>'´
         `</: : ; -‐; ''' ´,' ヘ三ニ{   ι/ニ三ニム : : /ン'´
     ι   `< ,/: :>'≦三ニソ /  )三三三三ニ>        /
            `ー<三三三三ム _..-‐'"ニ三三三ア         /
             ∠三三三三三三三三三三ア            '
              lニr''⌒r三三三三三三ニア              !
         `ヽ、   ゝ{   lア'´  ヽア´ `ア'ッ'                  |
               ` .、  レ' |リ    }    ./        ι         ',

――――悪魔は去った
それが一人の人間の愛情によるものだとは誰も知らない――――

244 :名無しさん@狐板:2021/05/09(日) 07:22:12 ID:JgW5dNpC

○関係のないおまけ

_____________________ ____________________
|         V  /:.:.:.:.:.:.:.\| |    .|               | |       {/{__/:.:.iハ                |
|   ヽ.吾   |__/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| |   __ノ               | |  M. 前   .{:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.、              |
|   }_ヰ_  |.ノ 〉:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| |  ヽ. だ .あ な .そ  | |  シ 半   Vィニニ髑、:.:.Y              |
|    ,ニ、   /:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.| |イ:.:.」 ろ  り ん  こ  | |  チ が   /「>-==l}:.ノ                  |
|    _ノ   レ'〉:.:.:.:.:.:.:.:.:.| |:.丶  う.   ゃ の に  | |   ュ      И' ┌‐〈.リ            _.. -‐= |
|   /ハ   ,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| |:.:.:|   .が .し 違    | |  で      .〉\,二'/|      _.. -= ¨、_.. -‐= |
|   ∨ ノ    |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| |:.:.:|.   ! ね い    | |  !       {¨¨    ¨7¨¨ ̄/      、 \}    .|
|  ┼__[[l    \_.. -ヘ:.:.| |:.:/_    ぇ. も     .| |ヽ     ___〉、     |   |    、 \ノ}    .|
|  / __     / }::}  ヽ| |:.:.:.:.:.:.:\             | |イ¨¨¨l\/ { .r  「|   \   \    _\ノ¨    .|
|   .l7 l7  /¨ (::;     | |:.:.:.:.:.://         | | ハ  |ニニ|  r┘ー r一   >─ャ‐<.__ノ      |
|\ 0 0./    )  o   | |-=≦ニニニニニヽ   .ィァ…| | |   ヽ.ニト ._ |厂/   ,/    |           |
|. /⌒\〈  o         | |ニニニ,三三=-─\{..ソニニ| |∧     ノ     / [[l/7   }   |           |
|/o  〉::::::\         | |\ \ニニニニニニニニニ\.ニ| |  、       \    l/ /、   /\           .|
|    }::}¨¨l:::ヽ   __. -‐=| |、: :\ \ニニニニニニニニニド| |  ∧            /   \イ     、        |
|____}/__.. -‐ヤ ´:::::::::::::::::| | ヽ:_: :\_`二二二¨寸ニニ|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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ト:::::::::::::::::;:|¨¨\:::::..、二 \| |  ´        |: : \`| |     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\   \  |       |
|:ハ:::{¨¨i/::|      ⌒¨¨ ヽ| |   _       _ │ー: : :| |   〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.ィニニ髑ト.:.:.:.}    |∨   後    .|
|:.:.|:::ゝ ':::::|    /⌒ン、| | / | \     |    `| |     \ニニニイ三三三i|:.:/    \l    半    .|
ト:∧ヽ::::::/ >‐    /   .| |′  、  \ヽ 丿   .| |      .ハ l | >--'¨¨{刈イ     ハ     が    .|
|V:∧ }::::} |` ー‐=≦     | |    \   、__    /| |   _. -‐|ノ、 |   /` ーi }ム      |     M    |
| 、∧::::{ V      _ _| |        ̄ ̄¨/   / .| |/ニニニリ   、\ {   / イニヽ  , -‐/    シ     |
|\ .∧:::ヽ| / ̄    .| |           /   //| |ニニニニ|   \ヽニニハ\   ///.     チ   .|
|/∧ ヽ\::V     _.. -‐| |          ./   イ'ニニ| |ニニニニハ、    ー’ ∧ フ′  ⌒i    ュ   |
|∧∧  、\ ¨,二二  /| |_       /  /ニニニ| |ニニニ7      ー─--  ヽ      /    !     |
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245 :名無しさん@狐板:2021/05/21(金) 00:33:48 ID:E1SuUXS/
なんというかこう、呼ばれてない時に部屋に向かうけど鍵がかかっていて
ノックするけどドアロック(チェーン?)かけたまま開けて入れてくれなくて、
「呼んでないけど?」とすげなく言われて、それでも抱いてほしいと頼むと
無言のままドアを閉められて、ドアの前で落ち込んでいると「鍵は開いてるわよ」
と言われてドアを開けて中に入ると部屋の奥で笑みを浮かべながら座って足を
意味ありげに差しのべていて、それに何も言われずとも足を舐めるようにされたい

246 :名無しさん@狐板:2021/06/06(日) 23:10:00 ID:YcmzYxVj
これはひどい真・女神転生if7 傲慢界編



これは女神転生ifと女権国家のクロスSSです>>229から>>235まで投下した話の続きです。以下の注意があります。

@ この話に出てくる設定の大半はオリジナル設定や作者の独自解釈であり女権国家や女神転生の公式設定ではありません。
A 登場人物の生い立ちヴィヴィオの設定やアリスの人間関係も、元ネタから想定して拡大解釈したものであり、女権国家本編のものではありません。


 邪教の館の来客用の寝室。高級ホテルを思わせるこの部屋は普段は悪魔などとの関連を一切感じさせない、雰囲気となっている。外が完璧な霊的な守りに囲まれているが故に不要という考えによるものだ。しかし、今日は違った。
大きなベッドの周りを即席の祭壇が囲みその周りを小さな人形達が動きながら儀式をしている。小さいながらも美女を思わせる人形達は完璧な侍女と巫女を合わせたような動きをしながら、
時には香を焚きあるいは性行為をしている最中に女性達が使う魔術に合わせて手伝うように魔法を発動させたりしている。絡み合う5つの人影たち、横島、アリス、夢子、ユウキ、ランの五人が性交をしている。

 彼らの性交の様子は淫猥だが、儀式めいた神秘的なものでもある。
 4人の女性達に嫐られている横島は脱力感と、もどかしさと快感の間で狂いそうになっていた。あの儀式から数日、――青木の記憶の通りなら1時間も現実世界では経っていないだろうが、
アリス達に強化のためだと性交による前世の再現と剣を馴染ませる性魔術を行使されていた。
 彼女たちが送り込んでくる快楽はすさまじいが横島にとって一番辛いのは彼女たちが激しい鞭の様な快楽を一切与えてこなくなっていることだった。甘い傷に塗り込む心地よい薬を思わせる快楽が、マイやエヴァに与えられた傷を塞いできている感覚があるが、
それに浸っていると、また切りつけるような快感が欲しくなる。夢子が横島と繋がりながら目を閉じると唇を貪り、上としたが同時に脱力感が襲いそして分身が震え射精が起こった。夢子は横島から離れると、アリスに場所を譲り自分は後ろから横島の背中から抱き着く。
数日前の儀式のときにやられた、分身を増やす魔術を恐れ期待している自分がいることに気づいた。だが、それは行われず夢子は乳房を背中に押し付けながら、耳たぶをかみ前に回した手で横島のあばらの下のツボを押してくるだけだった。
アリスの優しすぎる攻めが同時に訪れ、夢子にツボを押される度に射精が起こる。二人に弄ばれ圧倒されているが、彼が欲する鞭の様な快感はいつまでも訪れない。 

 波目になった横島を見てユウキとランは不意に目配せをすると、黒い光となって横島の頭の中に入っていった。

 アリスと夢子よって意識が落ちた横島は目覚めると、神秘的な森の中に居た。優しい月明かりの似合う、おとぎ話とファンタジーの中間の様な森の寝台で横島はランとユウキの二人に押し倒されている。 最初に動いたのはランだった。
彼女は夢の世界で思う様に動けない横島に不意に口づけをして来た。どこまでも優し過ぎる口づけで横島は指一本自分の意思では動かせない所まで脱力させられた。

 動けなくなった横島にユウキが茶目っ気たっぷりの笑顔で告げてきた。

「横島、本当に君は僕達に対しては弱いね。僕よりも相手の夢を掌握する達人の夢魔の侵入すらはね返したり逃れたことすらあるのに、僕たちに対しては本当に無防備だ」

 嬉しそうに笑うとユウキは手をかざしピンク色の光を横島に放ってきた。何か危ないと思ったが、横島の口の中を蹂躙するランの舌のせいで思考がまとまらず、そのままでいると。一気にランの姿が大きくなった。
――否、彼女が大きくなったのではなく、自分が小さくなったのだと直に気づいた。
 子供になった横島をランが膝枕の様な状態にしてユウキと死線を合わさせると、ユウキはいたずらが成功した子供の様な笑顔で横島に言葉を告げる。

「エイジドレインはアリスやエヴァやヴィヴィオの領分なんだけど、夢の中なら僕だってお手のものさ」

 そう言うとユウキは乳房だけを大人の時と同じ大きさにして横島の分身を挟んだ。優し過ぎる責めが再び増してきて、辛くなった。ユウキはゆっくりと優し過ぎる責めで胸を挟みながら横島をじらし尽くしてから射精させた。
敏感になった分身を再び優しく乳房で攻めるユウキを横島は抗議する様な視線で見た。

 ユウキはその視線に気づいていないのか、それとも自分の体がもたらす快感に彼が屈しているとみているのか、ただ、ただ楽しそうに横島の分身を乳房で抜き続ける。不意にランが不満げな声を横島に対して上げた。

「ユウキの方ばかり見すぎです。私も見てください」

 そう言うとランもユウキと同じく乳房のみを大人の時の状態にして、横島の顔を覆ってきた。乳房で顔をおおわれてしまい大人の時でも圧倒される胸が、小さくなった自分の頭を包みこむ。
甘い香りが鼻腔をくすぐり、なんとなく危ないと思い口で息をしようとしたらその瞬間、ランが横島の口に乳首を押し込んで来た。口でする筈だった息を鼻でしてしまい、一気に脳を甘い香りに犯される。

ボヤけ切った頭になった横島に対して不意にマイが乳房を放すと、ユウキの方を向かせた。

ユウキは乳房で挟むのを止めると、今度は足で横島の分身を踏みつける。それと同時にランが再び、横島の頭を完全に乳房に埋もれさせる。
待ち望みきった、鞭の様な快感が来るかと思ったがユウキの足は信じられない程優しく、横島の分身をしごく。

「横島、辛い快感が来るって期待してたでしょ? まだダーメ♪ 君に対する強化の儀式はまだ終わってないんだから」

 横島は焦った。鞭の様な快感が欲しいという衝動はどんどん大きくなっているのに、甘やかす優しい快感の中毒も同時に進行している感覚もある。ユウキの足は横島分身の竿と最先端を優しくさすり続ける、ランは右腕で横島の頭をなでツボを押し、
もう左手を股間に伸ばし袋を揉みしだいた。睾丸を優しく包まれ横島の目からは涙が吹き出た。子供に戻った事で精神の耐久力も落ちていると、冷静な部分が告げてくる。ユウキの足が特に気持ち良く先端を刺激し、ランの手が頭のツボを強く押した瞬間に横島は一気に射精した。
激し過ぎる勢いの射精は、横島がようやく味わう事が出来た鞭の様な快感だった。

射精が終わると、一気にランとユウキに自分の夢の世界が支配された感覚が強まる。脱力状態の横島にユウキは満面の笑みで恐ろしい事を言ってきた。

「一度射精したから、今度は僕とお姉ちゃんが交代だね」

 そう言うとユウキが横島の顔に乳房を押しつけ、ランが乳房で横島の分身を挟む。
ユウキと似てそれでいて優しい攻めに対してはユウキ以上に上手いランの乳房での攻撃は、横島を激しく追い詰めた。そして頭の中には、ユウキの乳房で鞭の様な快感を与えられた時の事がよぎり始める。ランはそれを察してかより激しく優しい快感を送り込んでくる。
 ランの乳房で射精させられた横島は完全に腰砕けになってしまった。完全に魂が屈服した横島をランは切れ長の優しい眼で見下してくる。そして彼女の足がユウキがしたのと同じように、横島の分身を嫐り始める。
ユウキは胸を押しつけながらランがしたのと同じように横島の、頭のツボを押し、そして股間の袋を揉みしだく。
僅かに感じられる、ユウキの与えてくる厳しい快感が横島の唯一のよりどころとなった時、ユウキとランが同時に横島の急所を見極め最高の快感を与えてきた。その射精と同時に夢が砕け散った。まるでこの夢の全てが分身から放出されているかのような射精が起こる。
それが終わると、ランが横島にまたがり繋がった。待望の厳しい快感が走るが、ユウキと異なり、僅かに甘い快感が残っている。それでも彼女の内部は優しい攻め方なりに鞭の様な快感も与えてくる。
射精が済むとランとユウキが瞬間移動して入れ替わった。次の瞬間、厳し過ぎる快感が遅い一気に横島は屈服した。優しい快感に慣らされつくした後の厳しい快感は一気に彼を陥落させた。


247 :名無しさん@狐板:2021/06/06(日) 23:14:24 ID:YcmzYxVj
「ユウキ。もう一回彼が達したら交代だからね」

「はーい」

 一度目で厳しい快感での射精を求める精神が普通に戻り、二度目で甘く優しい快感を求める程、厳しい快感で横島は心へし折られた。絞り取る度に入れ替わるが彼女達は優しい攻めと厳しい攻めを一周ごとに繰り返した。
ユウキのネズミをいたぶる様な無邪気な猫を思わせる目と、ランのバカなペットを愛でる様な、細められた優しげな視線が自分の精神の弱点として刻まれていく感覚が頂点になった時、ひと際激しい射精と共に横島の意識は現実に戻った。

現実に戻るとアリスと夢子が前と後ろから横島を挟み込んでいる。横島と繋がりながら前から責めていたアリスはいつも以上に強い快感を横島に送り込んできている。激しい快感の海におぼれさせられながら横島は気づいた。
目の前の彼女は別人という訳ではないが、今まで接してきたアリスとは大きく変化している、と。激しい快感が走り遂に横島が望んでいた鞭の様な快感が走った。
夢子の魔術で後ろにも魔術で出来た分身が付き前と後ろ双方から一気に魂の大半が切り裂かれた。意識が再び落ちるとユウキとランに嫐られる夢の中に戻った。夢と現実の間を何度も往復した果てに儀式は完全に終わった。

 次の目覚めは心地よい解放感と共に訪れた。ガーディアンが完璧に馴染んだ感覚と共に、夢子から貰った剣も、後一歩で完全に自分の体の一部となるそんな確証がある。その一歩は実戦で剣を振るい馴染ませるしかない。
夢の中での性交によって魂の潜在能力の壁が薄くなった事を確信すると、横島は寝台から出て剣を持った。
その姿を見てユウキが嬉しそうに声をかけた。

「横島、儀式は完全に完遂したよ。夢の中で僕たちの加護を受けた事で完全に前世に近づいたね」

「ああ。これで傲慢界も踏破できそうだ」

 横島が体の好調さに任せて外に出ようとした瞬間、ユウキが声をかけてきた。

「横島、アリスと夢子さんが君にお願いがあるって。実行するかどうかは君次第だけど、内容だけでも一応聞いてほしいってさ」

「ああ分った」

 横島は夢子から貰った日本刀を思わせる刀を手に持つと、彼女達の部屋に向かった。この刀の名を夢子に聞くと、名前は応えず愛女守(あいめもり)と、号だけを応えた。彼女は横島の刀にはこれが一番合う名だと言っていた。
アリス立ちの部屋に辿り着きノックをしようとすると、その前に扉があき不意にアリスに抱きつかれた。

 横島は驚き戸惑った。アリスは前世が夫だっただけに自分に好意的だがここまで積極的な性質ではない。それに彼女の服も青いメイド服ではなく、青と赤のリボンであつらえた私服に変わっている。続いて出てきた夢子も服装は変わらないが、
普段より感情が豊かになっている事は一目でわかった。アリスは横島に頬ずりしながら嬉しそうに口を開く。

「横島久しぶり。疑似人格の中から貴方を見ていたけど、今日ばかりは本来の私で頼むべきだと思って、一時的に封印を解いたの」

「アリスちゃん。一体何の頼み事だ。 夢子さんもいつもと大分違うけどなにかあったんか?」

「私もこの娘同様に今回の頼みは本来の自分に戻ってするのが筋だと思ったので、アリスに習いました」

 夢子は優雅に一礼するとアリスを引き離し、横島を部屋の中に案内した。

 二人の部屋は基本的に小奇麗で趣味が良い作りだ。アリスのスペースは大半が伝承や噂が広がる仕組みや、人形劇を始めとしたエンターテイメントの盛り上げ方や、魔術の書が多い。 
夢子のスペースと思われる場所は鍛冶の神の伝承や神秘的な伝承のある剣の本などが多い。仕事だからそうしている訳ではなく、典型的な好きを仕事にした人の部屋という感じだ。

 席を勧められてかけた横島を真剣な目で二人は見ている。しばらく経つとアリスが重々しく口を開いた。

「横島、私たちのお願いというのは次の傲慢界で私と同じアリスって名前の騎士と戦う事になる可能性が高いと思うの」

「アリスちゃんそのアリスをどうすればいいんだ? 戦場での事は『やってみる』は言えるが、それ以外は約束できんぞ」

「別に倒してほしいとか、逆に殺さないで、って訳でもないわ。あの娘が貴方に頼みごとをしてくるかもしれないから、マイさんとの信義や職責に反しない範囲だったら聞いてあげてほしいの」

 横島はアリスの目を少し見ると夢子の方にも向き直る。

「夢子さんの頼みも、アリスちゃんと同じことか?」

「はい。私もあの娘の望みを叶えてあげてほしいと思っています」

「分った」

 一瞬の迷いもない即答は、二人を大いに驚かせた。

「宜しいのですか?」

「ああ。職責に反しない範囲かつマイ姉ちゃんを裏切るような頼みでもないんだろ。それなら二人の望みを叶えるわ。 アリスちゃんも夢子さんも完全に味方じゃないけど、長く接して人柄は分っとる。
二人のお願いなら完遂しても寝覚めが悪くなる様な内容じゃないだろ」

 一切疑っていない、横島の様子に二人は心から喜んだ表情を見せた。それを見て、横島も顔がほころぶ。

「何と言うかその顔を見れただけでも頷いて良かったと思えるな」

 その言葉を聞くとアリスと夢子が赤面しそしてアリスと夢子が横島に近づき、アリスが嬉しそうに口を開いた。

「貴方は本当に何度生まれ変わっても変わらないわ」

 ここまでは恋する少女を思わせる親しみやすい声で言い、そして次の瞬間その瞳が魔性めいた魔女のものへと変わり横島を抱きしめる。

「そういう口説き文句を魔女に言うことは危険だということを理解してもいないところもね。 こっちの世界にいる以上はもう少し警戒心を持ち続けなさい。敵意だけじゃなく、深すぎる好意を受けることも人でない者との付き合いでは危険なのよ」

 魔性めいた声音で語りかけてくるアリスの体の柔らかさを感じ横島の背筋が寒くなった。恐怖を感じているのに溺れさせられることへの期待が、強いことがより恐怖を煽る。

 アリスが離れると同時に夢子も横島に抱き着き警告の言葉を紡ぐ。

「危機感を持たずに行動していると、快楽に溺れさせられるだけではなく己を軽蔑し尽くしているのに、それが快感になる程の無残な殿方に成り下がらせられますよ」

 二人の魔性めいた言葉は耳をくすぐるだけで、媚薬の様に心に沁み込んでくる。そして抱き着かれた時の感触だけで分かった。普段の二人は自分を壊さない様に手加減していると。 ここ数日の儀式の繰り返しで自分は夜の耐久力も上がったが、
それでも今の二人に襲われたら快楽で精神が壊れるかもしれないと横島は思った。それを理解しているのか彼女たちは、ゆっくりと横島から離れると言葉を続ける。

「狙っていない時に限って女性を落とす様な発言をするときは、そばに恋人がいるときだけにしておくことです」

 夢子の忠告に頷くと。横島は慌てて話題を変えようと思い前から気になっていたことを聞くことにした。

「忠告ありがとな。 それと少し聞きたいことがあるんだが良いかな?」

「はい。なんなりと」

「夢子姉さん。渡した剣の事じゃなかったら私に教えさせてくれる。姉さんも教師が下手な訳じゃないけど、私の方が上手いし、教えるのは好きだから」

「少し気になってたんだが、ユウキちゃんとランさんが言っていたレディキラー達って何なんや?」

 アリスと夢子はその言葉を聞きなるほどと言う顔になった。女権国家の伝承の魔物たちと戦うのだから、前世の記憶のない横島からしたらユウキとランの宿敵と言えば出会う恐れもあるかもと考えるのは当然だ。もう敵として出会う可能性はないし、
であってもそこまで恐れる相手ではない。少なくとも善良な男性たちにとっては微塵も脅威ではない存在に生まれ変わっていることだろう。だが安心させるために一応は話しておいた方が良いかもしれない。


248 :名無しさん@狐板:2021/06/06(日) 23:20:43 ID:YcmzYxVj
  アリスは目を閉じて黙考した。これは話すか否かで悩んでいるのではなく、どう伝えるのが一番効率的か考えている様子だ。それを一目で察した横島は黙りアリスの考えがまとまるのを待った。しばらくしてアリスは目を開けると、横島を見て口を開いた。

「今から説明するわ」

 アリスがそう言うと、人形たちの群がホワイトボードを運んできた。数日前に横島がアリスから説明を受けた二本の世界樹が描かれたままになっている。 アリスは二つの世界中の特に近い枝二本、横島達が現在いる世界を指差すと人形達が、
僅かな時間でその枝を拡大した様な絵を描いた。

「横島、貴方は女権国家に対する知識はそれなりにあるけどどれくらい理解しているの?」

「とても強い女性が多くて寝技に持ち込まれたら敗北確定なやばい国。どんな男でも何度か女性に犯されると支配されてしまう。女性より戦闘力に関しては強い男はそれなりにいるが、女性たちの誘惑する能力も、凄まじく抗える男は稀だ。
それ故に他国との戦争でも国力で負けていても、相手の国を絡め手で倒してしまう。さらに戦場でも将官等の寝返りが続出する恐れもある。もっと詳しい知識が必要か?」

「いえ、それくらい理解していれば今から私が話す事は理解できるわ。貴方と私たちの縁が最初に始まったのは、貴方が女権国家と戦う王国に所属していてその時に最初の結婚をしたの。そして貴方達の活躍で王国は、
一時的に女権国家相手に外交的優位関係を結べた。そして貴方達は、優位的外交を維持したまま、友好的な関係を築くことに奔走した。これがこの枝の世界線での出来事よ」

「その時に何か起きたのか?」

「いいえ。正確に言うと貴方が二度目の転生をした時にそれは起こったの。女権国家の良識的な女性達からは蛇蝎のごとく嫌われている、男尊破遊魔術団(だんそんはゆうまじゅつだん)って組織が出来あがり台頭してしまった。
それが全ての惨劇の始まりだったわ」

「名前からしてろくでもない組織だってことは分かる。それでそいつらは何したんだ」

「彼女らは、魔術などに長けた女権国家の女性達が寄り集まって出来た組織で、特に性魔術に長けていたの。女権国家の中でも特に質の悪い男の人としての尊厳を奪い去ることを最高の楽しみにしていたわ。
 男性たちは本当に稀にだけどFFF団という組織と間違えて混同する人もいるけど、それはダメだわ。 横島、貴方も女権国家にもしも行くことがあったら、絶対に混同しているような発言はしちゃだめよ。本気で彼女たちが怒るから。それに、
あれと一緒にしたらFFF団に失礼すぎるわ」

 もしも行くことがあったらと言った後の忠告はもう横島を連れていくことが確定しているが故の忠告にも聞こえた。訝る横島をよそにアリスの説明は続く。

「その組織=男尊破遊魔術団は例えると、高潔な騎士を快楽漬けにして抗えなくして無力な守るべき対象を殺させたり。他にも快楽で精神崩壊状態にして、恩人を後ろから切ることを強要して、それをさせた後に正気に戻したり、
どんな男でも逆らえない快楽で言いなりにしながら、騎士道精神とかは残して置いたり、最悪の外道よ。しかもそういう楽しみの為にした性行為で余計に魔術師として強くなっていくという厄介極まりない連中だったわ」

 アリスの言葉には強い嫌悪が籠っていた。巻き起こされた惨劇で被害を被ったというだけではなく、純粋に善良な男性達が受けた仕打ちに不快感を持っている部分もあるのだろう。
話の途中だが横島にはどうしても気になることができてしまった。彼は少しためらいつつもそれを口に出した。

「アリスちゃんワイは正確には十数個前のワイはなんで人のままやったんや? やっぱり人外になる事に抵抗があったんか」

 横島の問いを受けるとアリスは当然の疑問だという表情になり直ぐに、その質問に答え始めた。

「それを話すには少し、長くなるけど、このことも話した方が分かりやすいでしょう。実際にこの件と無関係な話でもないし。貴方は私達と最初にあった時の人生で王国に戻った時に凄く熱心に東洋の術を勉強していたの。東洋の術が余り得意な者が、
私たちの中にはいないと分ったから私達にできない術を学んで、私たちを助けてくれようとしたの。あと私たちを守ることに必死だったの。王国は人外と人間の結婚に女権国家程寛大ではなかったから」

「そうか。やっぱりアリスちゃん達も昔は今ほど強くなかったんやな」

「いえ、自分の身くらいは守れたけど、やっぱり祖国で大手を振って愛する女性達と結婚したいって、貴方が言ったの」

「みんなと結婚前に殺されたか。それとも人外になるのは許さん、見たいな宗教家に後れを取ったのか」

「いいえ。貴方も女権国家で修羅場を潜ったし、かなり真面目に修業して死ぬ可能性は殆どなくなっていたわ。それに加えて東洋の術は人間でなくなると覚えられなくなったり、使えなくなる術とかもあったから、焦る事もないって事になったの。」

 アリスの弾んだ声を聞きながら横島は嫌な予感を覚えた。今の彼女は自分に対して恋する乙女の様な目と声で話しかけてきている。そしてその都度に無表情だったメイドとしてのアリスにされた女性上位の性行為の数々が思い出される。
今の彼女は手加減を誤り、自分の大切な何かを壊すほどの快感を送り込んできそうな怖さがある。一番怖いのはそれをされるのを少し期待し始めている自分がいることだ。

 横島の心配をよそにアリスは平然と言葉を続けた。

「少し話がずれるけど、一度目の生の貴方は東洋の占いにも通じてかなり命中率が高い占いができるようになっていたわ。細かいことや具体的なことはわからないけど良いことが起きるとか、悪いことが起きやすいとか、そういう占いに対しては王国でも有数になっていたの。
貴方が私達の未来を占った時60年から100年後に大災い、死ぬ可能性極めて高し、なんて結果が出たの。それを見た貴方は東洋の占いを特に磨き上げ始めたわ」

「それでどうなったんや」

「貴方の占いは大雑把なことしかわからないけど、それでも的中率は高かったわ。それで仲の悪い派閥の人たちでも、軽んじない程度には信憑性があったの。
そのおかげで占いの修行や研究に協力してもらえたわ。私達は貴方との結婚を許してもらう条件として百三十年は王国を護るって約束してたから。王国最強までいかなくても、切り札や懐刀クラスだった私達が全員死ぬ恐れがあるって、ただ事じゃないって誰もが判断したの」

「今の方が強いとは思うが当時のアリスちゃん達はどれくらいだったんだ?」

「相対的な強さを言うと、当時のミクさんって貴方の上司くらいしか私たちを瞬殺できる人はほとんどいないくらい。少なくとも敵国も懐刀クラスの戦士や暗殺者を送ってこないと、話にならないくらい強かったわ。それくらいの強さの女性達の殆どが死ぬ恐れあり。
しかも本国の首都とか重要拠点を守っている人達もよ。ここまで言えば分かるでしょう」

「国が滅亡するかもと思った人たちが多数だったんだな」

「ご名答。少なくとも存亡の危機くらいではある、って見解の人が大半だったわね。 貴方の占いは大まかなことしかわからない。けれど被害を軽減できる類の占いだったから国中で対策が行われて、貴方に対しても協力体制が直ぐに整ったわ。
敵も味方も多かったけど、積極的な敵対者はあまりいなかったから。貴方が人外と結婚したことで反発した人も多かったけど、そういう人たちも国を守ろうとする貴方の意思は信じていたから協力してくれたわ」

「前世の俺って結構な愛国者だったんだな」

「まあ、主なところは結婚を許してくれた上司の方たちや、戦友たちへの義理立てだったけど。それでもあなたと戦友たちのおかげで王国の滅亡は大分遠のいたのは間違いなかったわね。それで貴方の占いが様々な方向で進化してその占いの結果が広まって、
さらに事態は大きくなったの。貴方が広範囲を占えるようになった結果、大陸全土の実力者な女性達、外交に秀でていて、無害な国とかも含めた実力者な女性達や、人外の隠里や異界の女性達が大量に死ぬ可能性が高くなっていたの。
そして女性ほどでなくても男性の実力者の死亡率も大きかった。その結果を見て戦争ではなく、大陸全土を巻き込んだ災害では、って考え始めたの」

「それでその結果どうなったんだ」

「貴方の占いは敵国や同盟国からもそれなりに警戒されたり信用されるくらいだったから、それで停戦や冷戦状態の国同士がやや和平に積極的になり、災いが回避されるかあるいは実際に起こって乗り切るかまでは停戦が続くようになったわ。
その時は大陸の情勢的に戦争を当分は避けようという国が大半だったから、大陸全土が停戦協定や同盟状態という平和な状態になったわ」

「ほぼ確実な強大な外敵の侵入。そして防ぐことも可能な状態それなら同盟して防ぐために動き始めるか。それで俺が出した結論は何だったんだ」

「貴方が占いの技能を磨き上げていきついた最終的な結果は女性の天敵と思える存在達が60年から100年後に大暴れするというものだったの。それを知った貴方の行動は早かったわ。
命数と転生を操る術を学び、今までの善行全てをささげて転生と冥府の神々に願ったわ。私達に災いが降りかかる時期に一緒に戦える状態で転生させてくれるようにって」

「それで転生始めの俺が次に転生したのは何年後だった」

「80年後だったわ。その時に貴方の占いの正しさも実証された。60年後に男尊破遊魔術団が台頭してきたの。その組織は魔術とかも実証されて、実在していることを『実感』している人は少なかったけど、
理解している人が多くなった結果生まれたの。皮肉なことに、女権国家の女性達はサキュバスなどの男を破滅させる存在の力を取り込んだり、あるいは転生することに関しては相性が凄く良かったの」

「その組織、なんですぐに潰れなかったんだ? 戦争時ならままだしも一応平和で攻め込まれる恐れがないなら、小規模内乱を覚悟で潰しに動けば良かったんじゃ」

「それが出来なかった理由はその女達は女権国家でも良識派からは疎まれていたけど、オカルト的な実験ではかなり有益な成果を出していたの。
そしてあいつらは魔術的な契約で大災害が起きた時には自分たちの楽しみよりも災害の鎮圧に協力すると契約したのよ。彼女達を疎ましく思いつつも、
その絶大な戦力や魔術の研究の成果を惜しいと思った人達のせいで彼女達は、非人道的実験を大きく制限されても報いは受けなかったわ」

「それで彼女達とその天敵達はどういう関係があったんだ」

「結局最終的には女権国家内部で良識派と彼女達の間で半内乱クラスの政争が起こったの。それを見越した彼女達は平和条約で手を取り合った同盟国に大量に逃亡したわ。皮肉なことに大陸中が同盟状態だったせいで、
隣国の隣国まで逃亡が出来てしまうものが多かった。そしてあいつらは女権国家内部ではそれなりに勢力が削られていたけど、亡命先ではどんどん勢力を拡大していった。そして他国に逃げたあいつらは女権国家本国より、
勢力が大きくなったわ。女権国家内部や女権国家と交戦経験のある国はある程度彼女達を抑えたけど、女権国家と戦争した事がない隣国の隣国辺りはもう駄目だった」

 横島も何となく状態に想像がついた。本国から流出した勢力が他国を乗っ取って逆に強くなってしまったのだろう。横島の表情から事態を想像できているなと、読み取ったアリスは核心部分を話し始める。


249 :名無しさん@狐板:2021/06/06(日) 23:28:54 ID:YcmzYxVj

「女権国家から出たあいつらは本当に男性に対して外道だった。そしてこのままでは、女権国家の良識ある女性たちなら、絶対にやらない様な扱いを受ける男性が大陸中に溢れかえる。
そう思った一人の天才的な魔術師が異界と女権国家の世界を繋げようとしたのよ」

「それがこの世界と女権国家の世界か」

「ええ、つなげようとした魔術師は決して悪人ではなく、男尊破遊魔術団の作った地獄を見て、こんな女達に大陸を支配させる訳にはいかないって一念でやってしまったの。後世どころか大災害が起きた直後ですら、
彼が見た男尊破遊魔術団の所業と勢力の拡大具合が知れ渡ってからは、彼を絶対悪とみなす人は殆どいなかったわ。女権国家や王国を始めとした、女権国家と戦った事のある国と結ぶのが最適解だったけど、そこまで理解するのは不可能だったろう、
と大半の歴史家に同情されているわ」

「この世界と向こうが繋がりかけた経緯は分ったけど、人外女性の天敵ってこの世界に居なかった気がするな」

 これは横島が一番解せないと思った事だった。人外の女性の天敵という存在はこの世界にはいない気がする。勉強不足の自覚はあるので断言はできないがそれほど多くはないと思う。横島の頭に浮かんだ疑問は直に解決した。アリスが我が意をいたりと話し始めた。

「当時大陸全体が危ない事になって、あの魔術師は全てをかけて男尊破遊魔術団と戦っていたわ。女権国家を囲みかけていたあの女達の勢力はどんどん外側に力をつけて行っていた。 彼はまだ女権国家の手に落ちていない外の勢力や国家と交渉して、
全ての勢力を反男尊破遊魔術団へと傾けたの。そして彼の与えた情報で大半の国は恐慌状態なったわ。彼の周りには積極的に味方する勢力は多かったし、資金援助などで消極的に味方する勢力は星の数だったわ。
そしてその時に、世界を繋げる魔術を成功させたの」

「そこまでは分かる。だがこの世界にだって、女性の天敵な悪魔なんて多くないと思うぞ。
いるかもしれんが俺はきいたことがない」

「ええ。彼は様々なことを調べて、この世界は女権国家と似通った部分も多いけど決定的に違うところがあるところを見つけたの。それがこの世界は女性優位の国がないということ魔術や神秘が溢れ恐るべき女神や魔女や女妖怪はいるけれど、
女権国家の様な国はない。そしてインキュバスを始めとした男性の人外も絶滅していない。それを見てこの世界には女権国家の世界にはない、男性優位を作り出す神秘があると彼は信じたのよ。彼の占いでもこの世界とつなげれば、
あの女達を潰せると出ただけで、具体的にどう潰せるかまでは出ていなかった。それが大きな落とし穴だったの」

「まさか男性まで虐殺する様な兵器が出来あがったとか?」

「いえ。近いけど違うわ。この枝と枝は一時期もっと近づいていたの」
 ホワイトボードに描かれたくっつきそうな枝を指差しアリスの言葉はさらに続く。
「彼は二つの世界が許容し合う、限界近くまでこの世界と向こうの世界を近づけた。それは一時的なものだったけど、世界の法則が混じり合ったのよ。完全に同一にはならなくても、向こうとこちら側が数滴の水をお互いに入れあったかのように変化が生じた。
そして実在しない悪魔でも噂が広まれば、現実になり易いという現象が女権国家のある世界で起こった」

 そこまで聞いて横島の頭に一つの答えが出た。噂が広まり生まれるメカニズム。人の願望、あり得るという根拠。納得できる法則性、これらが複雑に絡み合った時噂が広まる。そして、自分が倒してきた怪異の中にはそういう誕生をした悪魔も居た。
横島の頭の中を正確に読み取ったアリスはさらに言葉を続ける。

「そう、彼が引きいていて、纏めた各国では男尊破遊魔術団の恐ろしさが知れ渡り、恐慌状態だった。そして女権国家の様な国が存在しないという、この世界での情報が広まったの。その情報が、女性の天敵となる神や悪魔か魔物が居るはずだと信じられた。
その認識が広まる際に向こうの世界が、こちらの世界の大まかな情報を読み取れるようになった時にこの世界には男性優位の宗教と神話が殆どだと分かったの。それがさらにその認識に拍車をかけたわ。そして男尊破遊魔術団への恐怖がそれを強く求めさせた結果、
こちらの世界と法則が混じり合い、よりにも寄って、向こうの世界で全ての女性の天敵である魔物が誕生したの」

「向こうの世界の人たちは多分、俺達の世界出身の魔物だと思い込んでいたんだろうな」

「ええ。当時は男尊破遊魔術団への恐怖で最高の知識人たちでさえ冷静さを欠きかけていたわ。そんな状態で彼女らを倒してくれるかもしれない存在、そしてその魔物たちは男性にしか倒せない魔物で、
彼らが居た結果この世界では女性上位の国は生まれなかったと見た人達が多かったわ。男尊破遊魔術団の大半はあの魔物達に討たれたわ」

「それで終わりじゃなかったんだろ」

「その通りよ。悪辣な女性だけを殺してくれて、どんな強い女性にも絶対負けない化物。そんな都合の良すぎる存在がいる訳ないと思った大衆の意識と恐怖が混じり合い、この魔物達は駆逐される理由があるはずという結論に落ち着き。
最終的には、善良な女性達まで殺す化物と思う人たちが増えてそして、強い女性や有能な女性達から最初に殺す存在なんだと思われる様になったの」

「典型的な人が作った多神教の神の状態やな」

「ええ。彼らは姿も様々で、無性であり感情も持たない機会の様な殺戮機械だったわ。男尊破遊魔術団は癪だけど有能な女性が多かったせいか、優先的に狩られてもう存在しなくなったわ。その騒動の後、最終的に女性が一人もいなくなれば、
人類も滅ぶから倒す手段もあるだろうと誰もが思い。その結果が、人間の男性じゃなければ倒せないという噂が世界中に知れ渡ってしまったわ」

「どうして人間の男性じゃないと駄目になったんだ? 男なら人外でも倒せるんじゃ?」

「最初にあの魔物達が生まれた時、男尊破遊魔術団やその思想に傾倒した女性達が妨害に近づいていたの。そしてあのバカたちの行為が様々な最悪の事態を引き起こしたわ」

 アリスの口調が珍しく乱れた。やや品のない言葉を使う当たり、相当に頭にきているのだろう。彼女は横島の気遣うような視線に気づき、野蛮な口調を混ぜてしまった自分を諫めると再び言葉を続けた。

「男尊破遊魔術団の中には人でない女たちには悪魔とかも混じっていたわ。そして強力な女悪魔たちがその場に居合わせた事で、大きく事態が動いた。女殺しの悪魔たちはいわば概念や信仰の塊。
霊的な悪魔である女性や魔術に適性が高い女性達程影響を受け易かった。 横島、貴方には言うまでもない事だけど、実際に鬼や竜を殺せるほど素晴らしい武器が出来た場合デビルバスターとして気にかけるのは何?」

 アリスの一応の質問に横島は間をおかず応えた。

「その剣でなにをするかやな。そしてどんな悪魔を最初に倒すかと、中心的に倒す悪魔たちをどうするかだ」

 現代ではめったにない事だが、稀に神々や大悪魔にすら通用する剣なども生まれる事はある。 そういう武器は、最初に倒した悪魔や中心的に倒した悪魔に大いに影響を受ける。
鬼殺しをした剣なら大抵の邪悪な存在に有効だが、特に鬼に効きやすくなる。邪竜を殺せば邪悪な竜に効きやすくなる。偉業を成し遂げれば、それにより世界に認められるような形でも、上に行くのは人間の英霊だけの話しではない。
ぎりぎり強大な悪魔に通用する剣などでも、強力な悪魔を倒せば、後に威力が大きく上がる事もある。有名な童子切り安綱等は号を得たことで、鬼殺しの力がより強くなっている。横島が夢子からもらった愛女守の様に、号が先に付く事は普通はない。
そこまで思い返して、横島はアリスの言いたい事に気付いた。

「そう女殺しの魔物達の初陣は男尊破遊魔術団の上層部の魔女や、女悪魔を始めとする人外だったの。彼女達を多少苦戦しつつも殺し尽くす様子は世界中に知れ渡ったわ。ただその殺し方は気か異質な残虐な獣の様で殺戮に狂う猛獣を思わせたの。
その時に世界を繋いだ戦犯である男性が、善良な女性達まで殺そうとした魔物達と戦って大勢殺害したわ。彼はその場で善良な女性達を守って討ち死にしたけど、彼の放った魔術が効いたおかげで、
男性相手にはあの魔物達の特攻や不死性が緩和されると周知されたの」

「なるほど」

「加えて言うと、その際に魔術の適性が低い人間の女性達の剣などの攻撃も多少は効いたことから、オカルト的な力の弱い女性の攻撃は効きやすいと広がったわ。人間の男性が一番彼らと戦いやすく、
そして女性や人外に対しては無敵ではないが最強で不死身、そんな存在だと彼らはなったのよ」

「今でもあっちの世界が滅んでないって事は内乱とかは余り起こらず、その女殺しの魔物達は駆逐されたんだな?」

「ええ。人類にとって共通の敵ができたおかげで、少なくとも表向きはその魔物が絶滅するまでは国同士の争いのない状態になったわ」

「そうか。多分だけど、俺が人として転生し続けたのは、人間の男性でいた方がアリスちゃん達を護りやすかったからだな」

「その通り。私達もただ守られてばかりじゃなくて色々と工夫して頑張っていたから、エヴァは、自分の力をひたすら磨き上げて、大きなハンデがあっても前線で戦い続けたりしたわ。 私は人形劇などで大勢の人間に伝説を広げて貴方が生まれ変わるたびに得る力を大きくしたり、
術や剣お大勢の人間に認知させて威力を上げたり、貴方の人形を使って女殺しの魔物たちの特性を緩和したり色々やっていたわ」

「そりゃ女性にとっちゃ死活問題やし、男にしたって女が滅びたら人類滅亡だし頑張るわな」

「そのとおりよ。その戦いの中貴方は何百年も私達を護り続けて最後はあの痛ましい事件で生まれた魔獣たちを駆逐する戦いで大いに活躍したわ。しかし、今になって思ったけど、男尊破遊魔術団は結果的にだけど、
男を見下し奴隷としていこうとする過激派たちの集まりだったのに、結果的には逆に男性の地位を上げてしまったわね。
女権国家でもナイトくんと呼ばれる類の男性たちが多くなったし、男性に護られた女権国家の女性達の良識派は善良な男性の権利順守思考になった人が大半で、彼女たちは夫の手柄で発言権が上がったし。
男の人外達もレディキラー達との戦いに、人間の男性ほどじゃないけど有用だったから地位が向上したし。あの女どもに力を与えた女悪魔はさぞ悔しがっているでしょうね」

 最後の言葉の響きでアリスがどれだけ相手を嫌っているかが横島には分かった。少しうすら寒くなったが、頭を切り替えると直ぐに一番重要な確認に移った。

「それでその、女殺しの魔物たちはこの魔界に出現することはないのか?」

「ええ。恐ろしい魔獣ではあるけど、経緯だけに絶対悪とは見なされていない上に、倒されたあの子達は、東洋的な思想に基づいて崇められているわ。善良な男性たちの守護者で悪辣な女性達に天誅を下す神様みたいにね。
仮に出てくるとしても、今ではそっちの側面が強いから、あれ? もしかしたらマイ姉さんが危ないかしら」

 半分冗談めいたアリスの言葉に横島は苦笑しながら答えた。

「それなら大丈夫だ。絶対に俺が姉ちゃんを護って見せる」

 その言葉を聞きアリスは少し妬いている様な表情になったが笑顔で言葉を返してきた。

「頑張ってね。貴方なら必ずマイ姉さんを護れるでしょう。そろそろ傲慢会への扉が開くから行ってらっしゃい」

 横島はアリスの言葉を受けて頷くと、夢子にも礼をして彼女が打ってくれた愛女守を持ってマイの元に向かった。


250 :名無しさん@狐板:2021/06/06(日) 23:41:40 ID:YcmzYxVj
 学校の裏口を通り不思議な壁に囲まれた封印の間は不思議な空間だ。近未来を若干連想させる様な、作りになっており不思議な扉が居並ぶ。ここは青木の記憶と余り変わらないと、横島は思いながら封印を解く為に中心の部屋へと入った。
謙虚のリングを捧げると空間が開き傲慢界の扉が開いた。横島は意識を切り替えると、全力で仲魔と自分の状態を確認し始める。傲慢界は青木の記憶が正しければ、万能感や全能感を最初に与えて、最後に凄く強いボスをぶつけることで、
その傲慢を砕く魔界だった。だがここでは、横島がそういう知識を持っている事も向こうの敵達は知っている。ならば同じ方法では来ないだろう。

 それでも傲慢界である以上は何らかの傲慢さゆえにひどい目に遭う仕掛けはあるはず決して油断はしないと心に決めつつ横島は傲慢界の入口を睨み次いでマイを見て口を開いた。

「姉ちゃん。もう最初から仲魔達を出しておこう。最初に戦ってある程度戦力過多ならひっこめりゃええ」

「傲慢界だからこその警戒ね。良いでしょう。ただ戦力過多でも、手に入るマグネタイトの量次第では出したままで行くわよ」

 マイは応えると、ユウキとランとアレクシアを召喚した。それから僅かに悩んだ後、二本の剣を携えた骸骨トゥルダクを召喚した。

「早速僕を呼んでくれたね。期待に添える様に頑張るよ」
 
 笑顔で抱きついてくるユウキは乳房を大きめにして現れたせいか、閨で嫐られた感触を思い出させる。彼女の無邪気に遊ぶ様でもあり、スポーツを楽しむような声で自分を嫐る言葉も同じ感覚を与えてくる。

「ユウキ、公私はしっかり訳ないだめよ。横島さん妹がすいません」

 ランがユウキを諫めて言葉をかけてくるが、優しげな細められた瞳を覗き込むとベッドの中で切り裂かれた傷に中毒になる様な快感をもたらす薬を塗られる様な感覚が思い起こされる。 ここが戦場でなければ股間が強張りまともに戦えなくなっていただろう。
アレクシアは触手を出すと地面につけて周囲の音を感じ取る機能の確認をしたり、小さな蟻の券族を召喚して偵察の用意をさせている。トゥルダクは二本の刀を構え、横島に視線を送るとマイの側に控えた。

 マイの側に控える、トゥルダクの姿に安心感を覚えながら横島は夢子から貰った剣を構えた。トゥルダクも二本の剣を構えマイの側に立った。マイがやられると仲魔達が強制的に戻されてしまうが故に誰か一人は彼女を守らねばならない。
ユウキは攻めに長けた速度の剣士でありランはユウキより強いが盾ではなく支援に向いている。アレクシアは盾も出来ない訳ではないが、気質的に向かず何より攻めに回った時の活躍が大き過ぎて、守りをさせるにはもったいない。
だからこそ打たれ強く守りに長けたトゥルダクと横島が、マイを護る。だが横島は出来る事が多いので一番マイを多く守るのは実質的にトゥルダクとなるだろう。 自分の命すら惜しまず彼を助けたコボルトや他の仲魔達が合体したからこそ、横島も彼を十全に信じる事が出来た。

 横島は全員と目を合わせて頷くと、傲慢界の扉を潜った。彼はその扉を超えた時、呆気にとられた。自分が青木の記憶で知る傲慢界とは余りにも姿が違い過ぎた為だ。青木の記憶にある傲慢界は薄暗い石造りの立派な城の地下室をどこか思わせる様な所だった。
だがこの傲慢界は、ローマや中世の立派な城あるいは天国や北欧神話のヴァルハラを思わせる、石造りの明るい街を思わせる場所だ。太陽めいた光もあり、決して暗くはない。

 立派な景色に少しだけ気遅れを覚えた刹那に大きな気配を感じて横島は即座に夢子からもらった刀を構えた。ゴブリンを中心とした敵の軍団が一気にこちらに攻めかかってきたためだ。東洋のゲームの設定も取り入れたのか、ゴブリン達はある者は剣を構え、
ある者は斧や槍を構え一斉にこちらに向かって来ている。 交渉の余地はない、一目で判断を下すと横島はアレクシアの方を見る。

「敵はこいつら以外にも大量に向かって来ているわ。嬉しい事に、マグネタイトには困りそうにないわ」

 その言葉を聞くと横島は即座に愛女守を構えると周りを見た。ユウキが風の様に動くとゴブリンの群を切り裂き一瞬で何体も斬り殺して回り、ランがユウキに支援魔法であるスクカジャをかけてその動きをさらに速める。トゥルダクはユウキとランの間に立ち、
ユウキが万が一崩れた時の援護或いは不意の伏兵によるマイへの奇襲どちらにも動けるようにしている。

 横島はマイの方を見て視線をかわすとユウキの加勢に飛び込んだ。ゴブリンの群は横島達が規格外すぎるからこそ、一方的に蹴散らされているが、彼らもまたこの世界で己を高め切った上で挑んで来た事が分る。もしも斧や棍棒を装備したゴブリンの一撃がユウキに当たったら、
動きが鈍りその瞬間に蟻に群がれたかの様に全身に刃物が刺さり死に繋がる。ユウキの速く正確な動きを見ていても、ゴブリン達の気迫と下級悪魔にあるまじき動きを見ていると、万が一が起こるのでは、という不安がぬぐい去れない。

 横島もゴブリンの群に飛び込むとその瞬間後続のゴブリンの群が合流してきた。そしてその群はユウキが切り伏せていたゴブリン達より速く力強い。木の棍棒に霊気を通わせながら殴りかかってきたゴブリンの攻撃をかわした。
その直後に剣を持ったゴブリンの群に斬りかかられながら、横島は敵を切り裂き前に出た。

『しくじった。最初の連中は『精鋭部隊の2軍』だったか。俺が不安になってユウキの手伝いに入る事まで計算づくか』

 そこまで考えると横島はさがるのではなく前にでた。自分の考えをここまで読まれていたなら、普段の自分ならさがる状態にされた以上、前に出る方が『マシ』な事態になるとみての事だ。横島は剣に霊力を込めると木の棍棒で殴りかかってきたゴブリンを棍棒ごと切り裂いて倒した。
即座に大量の槍や剣を持ったゴブリンが切り込んでくるが、どうにか剣で凌いだ。剣撃の音を響かせながら横島は心中で毒づいた。

『剣に霊力を込めれば、ゴブリンが霊力を込めた棍棒でも切れる。だが、それやると霊波刀がだせん。こいつら本当によく考えて動いてやがるな』

 愛女守に気を込めつつ横島は周囲を見た。今回の戦いでは二刀流を諦めるしかない。もしもどこかに棍棒持ちのゴブリンが潜んでいたら、その瞬間剣がめり込み霊波刀だけで戦う羽目になる。

 ゴブリン以外にもピクシーやキャクの群も攻め込んで来たのを見ると横島は即座に敵を切り払いながら、トゥルダクを見た。敵の軍団に攻撃力をあげる魔法タルカジャ、素早さを上げるスクカジャ、魔法攻撃力を上げるマカカジャの使い手がそろった以上は、
彼を作り出した最大の理由である、強化魔法無効化魔法であるデカジャを唱えてもらわなければ。だが、そのタイミングが極めて難しい。
アレクシアが敵を触手で薙ぎ払い、炎と格闘戦で圧倒しつつ、彼女も時々回復魔法を唱えている。彼女の難問を楽しむ様な表情がこの戦いは、優勢ではあっても決して楽な戦いではないことを示している。

「本当に敵も頑張ったんだね。この世界では限界が訪れにくいとはいえ、どれくらい努力したんだろう」

 ユウキが無数のゴブリンや敵悪魔の返り血を浴びながら、楽しそうな声を出す。彼女の言葉を聞くと良い意味で緊張感が抜けてくる。

「ああ。気を抜いたら格上殺しの餌食確定だ」

 応えながら、横島は周囲の状況を見た。トゥルダクが特に激しく動いている。時には呪文を唱えるマイを守り、時にはデカジャを唱え、時には敵陣に切り込んでいる。横島は器用貧乏な所があり、今の彼の様な役割をする事も多い為か、彼の負担と限界も分る。
トゥルダクの限界が来る前に敵を大きく突き崩すか撤退をしなければ今回の戦いでは負けるだろう。 僅かな休憩めいた時間の中でも自分がどちらに動くか悩む横島にユウキが謝罪の言葉をかけた。

「横島ごめん、この不利な消耗戦に持ち込まれたのは僕のせいだね」

「気にするな、って言っても無理だろう。だけどユウキちゃんはあまり悪くなかったと思うぞ」

 実際に最初のユウキの突撃がきっかけでお互いを削りあう不利な消耗戦に持ち込まれた。だが、ここまで切り込まれるような事態になるとは誰も予想できるはずもない。何より敵の出鼻をくじく突撃はあの時点では悪手とは言い切れなかった。
賭けのない戦いなどないと、横島は思っている。何より周りのメンバーも最初に駆けだすユウキを止めていなかった。味方側ではあの行動を拙いと思ったものは横島を含めて一人もいなかったのだろう。
 慰めている感じに取られないようになるべく本心を込めて横島は言葉を続けた。

「ユウキちゃんが下手を打ったちゅうより、敵が上手過ぎた。それにこの程度の窮地何回も通ったわ。それにな、ワイの師匠はこれよりやばい戦場でもひっくり返した。その教えを受けた俺に任せとけ」

 言いながら、横島は愛女守に意識を向ける。この刀は青木をガーディアンとしていた時以上に自分がマイを護る為の最適な動きを教えてくれる。 横島が刀を振るおうとした時、マイが念話を送ってきた。

『横島、今回は状況を見て考えるのは、やめなさい』

 マイの言葉に横島は怪訝な思いを抱いた。横島は全ての能力が高い代わりに特化したところがない。それ故に戦場で空きそうな穴のある部分を補ったり、逆に手を増やした方が有利になるところに出向くなどで、定着した位置を持たなかった。
青木との訓練で、近接戦闘が特に得意になったが、それでも基本的なスタンスは変わっていない。
 そういうスタンスでいたからこそ、アレクシアとの戦いでも彼は見事に指揮官を果たせたところもある。思考せずに直感だけで戦えと言うことだろうか? 疑問がる横島にマイは彼女が夢子から打ってもらったであろう、剣を見せた。
両刃のレイピアよりはやや長い程度の澄みきった剣を横島に向けて彼女は言う。

「夢子から打ってもらった剣が教えてくれるままに動きなさい。あんたの思考が抜けた分は私が補うわ」

 横島はそれを聞くと愛女守に全ての意識を注いだ。途端に自分の体がこの刀に合わせて最適化されていく様な感覚を味わった後、自分が刀に動かされているようになった。
刀に意識の全てを注いだ瞬間に、ユウキが切り込んでしばらくして覚えた嫌な予感は今思うと刀が教えてくれていたものだと直ぐに理解できた。


251 :名無しさん@狐板:2021/06/06(日) 23:47:24 ID:YcmzYxVj
「ユウキちゃんもう、自分のやりたいようにひたすら動け。しくじったら俺が何とかする」

 横島のその言葉が終わると、ユウキは嬉しそうに笑い再び矢のように敵陣に飛び込んだ。それを見た瞬間、横島の刀を持つ手から、するべき行動が流れ込んでくる。ユウキが風の様に敵を薙ぎ払い切り伏せると、
敵の軍団も己の命をためらわず捧げることすらして、一矢報いようとしてくる。彼らの高い練度が引き起こす万が一の事態が頭によぎった直後に、その万一の可能性をどうすれば潰せるか。それが流れ込んでくる。
ユウキには及ばないがそれでも速く横島は駆けた。そして愛女守を振るい多くの敵を薙ぎ払い、時には札をまき、呪文を唱えた。ユウキに降りかかる万が一の可能性さえ完全に刈り取るのに最適な行動を剣に導かれるままに行った。

横島とユウキの猛攻が起こった直後に敵の群れの攻撃も苛烈になった。今までも十分激しかったが、命を失うことを恐れないではなく。命を捨てて少しでも傷を与え来ようとする特攻だと空気で直ぐにわかった。戦闘は激化したが、横島の精神的な負担は軽かった。
この愛女守の導くままに動けば必ず仲間を全員護り切れるという確信がある為だ。不意にマイがアイズを出して横島を呼び止めた。彼女の言葉に従い様子を見ると、敵の群れが不意に途絶えている。一瞬浮かんだ僅かな疑問は、マイの言葉で直ぐに氷解した。

「最後のあの特攻あれは後続部隊との繋がりを断ち、逃がすためだったわ。あんたとユウキの猛攻をみて、消耗戦の損害が大きいと見たから、即座に切り替えたんでしょうね」

「怖い奴らやな」

 横島の言葉には心底の恐れが籠っていた。今まで戦った悪魔達は戦いで被害を少なくしようとしたり、恐れの感情を持つものが大半だった。体育館の時点で分っていた事だが、ここの敵は失うものを持っていないだけではなく。得るものしかない状態だ。
瞬殺されても侮られず、傷一つ与えられなくても、良い戦いぶりを見せれば、種族全体の評価が上がる。それだけでも怖いのに、上がり切った士気を制してなりふり構わず引く冷静さも持っている。 
この事件で侮って良い敵などいないとは思っていたが、それも間違いだった。ここには恐るべき敵しかいない。

 敵の気配が消えた後、ユウキが嬉しそうに声をかけてきた。

「横島、相変わらず君と一緒に冒険するのは楽しいよ。それでこれからどうしよう?」

「俺は進むべきだと思う。いったん戻ったら、絶対にあいつらは新しい手を打ってくる。この倍くらいの距離なら、あいつらのクラスの敵に襲われても撤退可能だからな。戻った際に挟撃用の伏兵が居ても、ボスクラスでなければ何とか蹴散らせると思うしな」

 マイも横島の意見を肯定する感じで頷いた。

「ええ。私もあんたの意見が正しいと思う。それじゃ行きましょうか」

 このやり取りの後、横島達は数回、敵の奇襲を受けた。大多数で潰すのではなく、精鋭で奇襲して、いつ襲われるか分らないと言う緊張感で神経を削る手で来た様だ。兵力が少ないのか、それとも一番効果的だからそうしてきたのか判断がし辛かった。

 何度かの奇襲を退けると、傲慢界の町と書いてある門のある場所に着いた。横島は振り返り、周りのメンバーを見た。彼女達はほっとした様子で言葉を返してくる。

「大丈夫よ。こういう罠を好むタイプは私たちにはいないから。町の中で襲ってくるような、敵も多分いないはず」

 マイの返答を聞くと、横島は自分が気が進まないながらもユウキに先導を頼んだ。彼女が一番速い。実力的にはランが一番だが、速さに関してはユウキが上だ。だからこそ町の直前の罠や襲撃があった場合は彼女が一番生存率が高い。

 ユウキは軽い足取りで歩みあっさりと、町の扉の前に着いた。それを見て次は横島が行き、他のメンバーも直に到着した。ようやく休める。そう思い、ドアを開けると横島はぎょっとした。そこには魔界神である神綺の像があった。その像は横島達が入ると喋りはじめた。

「あーテス、テス、マイクチェック感度良好♪ え、もう横島君達着いているの?」

 綺麗な可愛らしい声が僅かに困惑を帯びたものになった後、像から声がする。子供みたいで優しさを感じさせる声でありながら、畏れを抱かせる神威の様なものも籠っている。

「えーと、まずはここまでこられてお見事でした。予想より凄く早かったですよ。それでこそ娘たちが見染めた人の転生者。 では本題行きます。男性は誰しも、女性を屈服させたい圧倒したいと言う、感情を持っています。女権国家でさえも男性の人たちはそう思っている子も多いです。
それは傲慢だけど、咎められることじゃないと私たちは思ってます。なぜならその傲慢を持つからこそ女権国家の女性達に与えられる楽しみもあるのだから。貴方はこの傲慢界でその傲慢な心を持つ男性として女性達に楽しみを提供することになるでしょう。 
―― 夢子ちゃん、横島君ひどい目に遭い過ぎないかしら、ヴィヴィオちゃんが、久しぶりに彼と会えてテンション上がり過ぎて、やり過ぎないかちょっと心配なんだけど。って中継切り忘れてた――!御免なさいこれじゃ雰囲気が。次回からは予定通り録音にしましょう」
 
そこまで言った直後に魔界神の像は砕け散った。よくわからない単語もあったが、ここを取り仕切っている相手はヴィヴィオと言うボスの様だ。横島は若干緊張感の落ちた意識を切り替えると、街を歩きながら観察し始める。
この街は北欧の都市とローマに似た雰囲気の街だがどこか東洋文化も少し入っている。そして町の真ん中にコロシアムがある。ダンジョンを抜けてその先に闘技場にたどり着く仕組みの様だ。マイが辺りを見回した後、仲魔達を全て返還した。
念の為に周囲の気配を探るが敵意の類は一切感じなかったが、後ろから近づいてくる気配がある。敵意や害意が皆無なため反応が遅れたところで、背後から声がかけられた。

「あのすいません。貴方は横島忠夫さんで間違いありませんか?」

 横島は低く落ち着いた品のある声の方に振り替えると、驚愕し言葉を失った。目の前の金色のサラサラの長髪をウィッグで止めている美女がいた。彼女性は金色の神々しい雰囲気と清澄な気を放ちながら。騎士らしい礼をしてきた。
異世界の騎士らしく作法は違ったがそれでも品のある礼であることは伝わってきた。横島は僅かに呆けた、彼女はメイドとして人形の様になっていた時のアリスと夢子二人を足して二で割った様な気配がする。
あの状態のまま二人の感情が育ち、完全に人間になると彼女の様になると思えた。

 呆けたのは一瞬で横島は直ぐに彼女に対してお辞儀して礼を返した。敵の可能性が高いが、少なくともこの街で仕掛けてくる可能性は低そうだし、明らかに今の彼女には敵意や闘志が感じられない。
何よりマイやユウキ達も顔見知りとあったという感じで、一切警戒していない。完全に構えを解くと横島は言葉を返した。

「ああ。俺が横島だ」

「私はアリス・シンセシス・サーティと申します。貴方が横島忠夫だと確信はありましたが、一応確認させていただきました。聖王騎士団の筆頭にして第5騎士団団長です。
死後も聖王様の騎士として聖王様の近くに控えております。貴方様が転生するまでの間の休息時間にマイ様と共に休憩所を守護しております」

「悪いが俺は、前世の記憶が殆どないんだ。この刀とか色々とあって思い出し気味だが、自分と前世は別人だと思っている。そのせいか君とも昔あった気がするくらいの感情しかわかない」

「ええ。そういうものであることはわかっています。横島殿もう察していると思いますが、今回、私は聖王陛下にお仕えする形で、貴方たちとあの闘技場で戦います。一つだけ私の頼みを聞いていただけないでしょうか?」

「どんな頼みだ」

「コロシアムで私と戦うところまでたどり着いたら、一度だけ私とあの闘技場で一騎打ちをしていただけないでしょうか」

「騎士らしく剣術や武術で勝負ってなると俺が勝つのは無理だぞ」

「ええ。分かっています。ですから一対一でお互いになんでもありで勝負がしたいのです。私は何度も貴方の前世である方々と共に戦ったけど、一度で良いから真剣勝負をしてみたかったんです。
多分だけど、これが貴方と正々堂々と戦える最後のチャンスですから」

 悲壮感はないが、少しだけ寂しそうな彼女の声が横島に速攻で決断させた。

「分かった。受けよう。 マーガトロイドの方のアリスちゃんと夢子ちゃんにも頼まれていたしな」

「あの、御二方がお願いしてくれていたんですか」

 アリスの言葉からは二人への敬意と感謝が感じ取れた。横島はやはり深い縁があるんだなと、なんとなく思った

「ああ。二人がずいぶんと真剣に頼んできてたしな」

「ありがとうございます。 それと私とあの方、アリス様が共にいる時は私の方をシンセシスと呼んでください。あの方は貴方に名前で呼んでもらうのが好きですから。
それに私にとってはこのシンセシスと言うミドルネームは誇りでもあります」

「ああ。分かった」

 彼女は横島に丁寧に礼をすると、マイの方に向き直った。

「マイ様。お久しぶりです。今度の戦いでは貴女様にとって不本意な結果を招くかもしれませんが、どの様な結果になってもご容赦を」

「良いって。貴女がどんな結果出しても根に持ったりしないから。周りを白けさせる状態になっても私が何とかするわ。伊達に闘技場の司会者とか進行役を何年もやってないのよ。それに横島の奴はこう頼まれたら、私がやめろと言ってもやるしね」

「マイ様ありがとうございます。それとマイ様が上機嫌な気がするのは私の気のせいでしょうか」

 祈りを捧げる聖騎士の様にマイに接するアリスの問いにマイは笑いながら答えた。

「実際に期限が良いのよ。負けても良い戦いで横島が本気で戦うって状況を見られるのはこれが初めてだから」

 そういうとマイは輝く様な笑顔で横島に近づいて来た。そして彼の顎に手を当てて言う。

「横島、今生の嫁は私なんだから、他の女性達を嫁にした時より無様な結果を残したりはしないでね。そして必ず勝てとは言わないわ。自分が納得できる戦いをしなさい」

 マイの幼いころから背を押してくれた声音での言葉に横島は迷わず頷いた。

「それじゃあ。宿を取りましょうか。本格的な攻略は明日からね」

 宿を探す為に街をうろつくと。思った以上に宿がたくさんあった。そして、宿を取るのが至難の業とまでは行かないが、それなりに大変というくらいには混んでいた。なんでも軽子坂の生徒達が、
傲慢界攻略に乗り出して頑張っているそうだ。魔界の創設者は横島達よりは大分低い難易度にしたそうだが、それでも予定より早く着く組が多く、客を捌くのに苦労しているそうだ。少し手間取って見つけた宿屋では、一泊二日か、二泊三日のだけなら空いていると言う。
ただし二日の場合は一日しか宿泊しなくても、部屋代は返却不可との事だった。最もだと横島も思った。今はそれなりに混んでいて他の客を泊められなくなってしまう状況から止むを得ない。迷わず二泊三日の手続きを取り料金を支払うと部屋に転がり込み横になった。庶民が使用しそうな宿だが、横島の気質的にはこっちの方があっている。
業魔澱や邪教の館のエヴァ達は、かなり自分に気を使ってくれていたのだな、と横島は思う。あそこに居た時は嫌いな訳ではないが、気が抜けなくなるかもしれない、豪華な部屋なのに、気疲れは感じなかった。


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 食事を終えてマイが横島の部屋に訪問してくると、横島は彼女を迎え入れた。横島が聞きたがっている事があるのを察して応える為に来てくれたとなんとなくわかった。彼女の瞳が了承の意を宿しているのを見て、横島は割と気楽に言葉をかけた、

「マイ姉ちゃんやっぱり、姉ちゃんは前世の俺と関わりがあって向こうの彼女たちとも関わっているんか?」

「ええ。 私としては貴方がこの軽子坂の事件を解決しても折れても良いの。だからこそ、貴方のサポートして派遣された側面もあるわ」

「やっぱりそうやったか。それで彼女たちの目的は」

「それはまだ言えないわね。ただし応えられる事もあるわ。目的は一つじゃなくて、幾つかあるけど、少なくとも貴方が本気で敵認定する様な目的は一つもない。それだけは保証するわ」

「これはそれと重要な事やけど、軽子坂の生徒達どうなっとるか分るか。少なくともエヴァさん達や姉ちゃんがガチギレする様な事にはなっとらんのは確か見たいだが」

「ああ。彼らには貴方に教えていない情報を教えたのよ。そうしたら、魔界越え出来るかどうかは別として強くなろう、って思った人達がかなりいたの。心折れた時は私達が一生悪魔たちに脅かされない様に面倒みる事にして魔界に挑ませているの」

「その情報俺に教えてくれないか」

「今は駄目よ。ただし傲慢界を超えたら何時でも貴方が望んだ時に教えるわ」

「分かった。マイ姉ちゃん、姉ちゃんも剣を夢子さんからもらったみたいだけどそれはどんな剣なんだ」

「ああ。これ冥妻天女(めいさいてんにょ)の剣って言って、私の剣よ」

 レイピアを少しだけ太くしたようであり、辛うじて切る剣としても使えそうなその剣は、上質な鉄で作られており、かなり振るい易そうなのが分った。何より、偉業を成し遂げた剣に宿る、霊的な力が深く籠っている。
その剣を見る横島の視線を察してマイは言葉を続けた。

「ええ、冥妻天女って言うのはこの世界にはいない神よ。私が神として崇められている地域の人々が付けた名前よ。最もこれは本物じゃなくて凄く良くできたレプリカだけど。偽物って言うより、日本刀で言うところの影打ちくらいかしら?」

「その剣は如何にして作られたんだ? 俺の剣に近い感じがするが」

「ああ。多分だけど、アリスと夢子の合作よこれ。アリスは女権国家世界で、貴方のサーガを上演して、信仰心が上がる様にしていたから。この剣とあんたの剣は、人形劇で何度も貴方の人形が使った剣の鉄を集めて作られたんじゃない。
私の能力は貴方が生前使った魔術や技を引き出す事だから、この剣もそれに特化しているわ」

 そういうとマイは自分の剣に魔力を送った。途端に魔力が剣を包み固まり剣を芯に新しい武器を作り上げる。マイの細い剣を包んだ魔力は日本刀の様な形になったり、西洋の剣の様になったりした。

「これらはあんたが幾つかの前世で使っていた武器よ。最も私の本領は魔術だから、あんたの武術の再現は良く6割か、特に相性が良くても7割くらいが限界でしょうね。
あんたが生まれ変わった先次第で使いづらくなった魔術を再現するのに使っていたわ。あるいはあんたの能力を前世に戻してあんたに前世の呪文を使わせたりね」

「随分と、年代を重ねた武器に見えるのは姉ちゃんの能力高さゆえか」

「それもあるけど、多くの人間の信仰をハイレベルな人形劇で集めた人形の武器の鉄が使われた事からね。その鉄は舞台上とは言え実際の偉業を何度もなしとげていたから」

「手に持った時に、号が妙に馴染んだ様な霊力をしていたのはその為か」

「ええ。この剣多分あんたにも使えるわよ。今までの輪廻で生きてきた分の能力値にいくらでも変えられるわ。
今のあんたのレベルが50くらいだとしたら、幾つ前の前世でもレベル50までなら再現できるんじゃない? 多分前世でレベル49の時のパラメータとかレベル1時のパラメータも可能でしょうね」

「そうか全部の輪廻の今と同じかもしくは低いレベルに再現できるかのか。それだと敵を戸の戦いで、相手を欺けるな。一個前の前世を再現している時に、三個前の前世で上書きとかも可能かな?」

「どっちもできるわ。私がやるよりは多少時間かかるでしょうけどね。ただし今の自分に戻るのはあんたでも一瞬でできると思うわ」

「今の俺が器用貧乏だとすると、いきなり速さ特化や術特化になって殴れるわけかある意味手品みたいで敵をだませるかもな」

 自分とマイの武器への疑問が解けた横島は内心でほっと息を着いた。性能は微塵も疑っていなかったが、武器に疑問や知らない事があるのはやはり良い気がしない。ここまで聞いた後に、横島は今回最も大切だと思う事を聞くことにした。

「姉ちゃん。姉ちゃんは冥妻天女らしいけど、どういう女神様なんだ? 普段は冥府に引っ込んでいる女神様なのか? それなのにわざわざ現世に来なきゃいけない様な事があったとか。例えば俺が居ないと駄目な事があったから育てようとしているとか」

 不安がる横島の声を聞きマイは内心で爆笑した。彼がそういう疑念を抱くのも状況からしたら、的外れではない。だが今の女権国家の世界は安定し切っている。マイは横島を安心させるように本当の事だけを話す時の声音で返した。

「心配することはないわ。私達が居た女権国家のある世界は今は安定期よ。余程運が悪くなければ、最低でも300年くらいは、理不尽に不幸になる者が少ない時代が続くんじゃない」

「でも冥府の神様らしい姉ちゃんがこっちに来ているのは」

「私はどっちかっていうと使える者って意味での天使に近い存在だったのよ。上下関係が緩いから、多神教の女神辺りが近いかしら。冥妻天女って言うのは崇めている国の人達が勝手につけた敬称。
あんたの、転生先を決めたり冥府で寄り添ったりするからそう呼ばれたの。 今回は私達は本当に私的な理由で動いているだけだから、仮にどんな結果になっても私たちの世界には弊害はないから安心しなさい」

「ああ。分った」

「それより今日はもう寝なさい。コロシアムの奥で待ち構えているのは聖王ヴィヴィオ様。私の上司の一人で、この世界で言うところのヴァルハラに近い宮殿を滑る領主よ。無数の天界の女騎士達を率いた最高の王様だから凄く強いわよ」

 マイに促され横島は自室に戻ると眠りに着いた。

 目覚めた後、横島は闘技場の形をしたダンジョンに向かった。他の軽子坂高校の生徒達とは何故か遭遇しなかったが、これは魔界の支配者たちが意図的にそうしているようだ。実害がない事だけは分ったので放置しつつ、マイが先日と同じ仲魔を召喚すると闘技場に駆け入った。

 そこに入ると途端に美貌の女騎士達が剣を持って切りかかってきた。一目で彼女達は女権国家の悪魔だと分った。聖なる気配を身に纏っているのに、体から流れ出る気配がサキュバスめいたものもある。その騎士団に加えて先日追い払った、ゴブリンやピクシーを始めとした軍団も居る。

 戦闘の火ぶたが切って落とされた後、邪悪ではないむしろ聖なる気を放つ女騎士達を切り捨てることに若干憂鬱な気分を覚えた。女悪魔と戦う時もこういう気分になる事は多いが、女権国家の悪魔たちはこっちの悪魔達より人間に近い気配がするからかもしれない。
 直に割り切ると横島は愛女守を構えると即座に戦闘の火ぶたが切って落とされた。

 それぞれの仲魔達が全力を尽くし戦線を支える中で、横島は次々と立ち位置を変えながら目まぐるしい、忙しさに忙殺されていた。トゥルダクが魔法を放たねばならぬ時は剣の働きを増やし、逆の時は札をバラまき。横島がこの加減を少しでも間違えれば戦況が不利に傾く。
そう思うと神経が削られていく。質はこっちが高いとはいえ強者である敵との戦いだ。それも今回は女権国家の天界の女騎士達までいる。トゥルダクの力強い双剣が多くの剣を払い、時に女騎士達を切り捨てるがそれでも彼女達の勢いは休まらない。

 横島が快進撃と言える動きを見せて、多くの女騎士を弾き飛ばした時トゥルダクが声をかけてきた。

「横島、こいつらは修羅地獄の修羅達に近い。自分達が北欧で言うところのヴァルハラに捕らわれている事を知っているゆえか、死に対する恐れがない」

 トゥルダクの声を聞き横島はやはりと思った。彼女達の動きから十中八九そうではないかと思っていた。初見殺し専用の技とかをまだ使っていなくて良かったと思いつつ、どう戦うか悩む横島にマイが補足の説明を飛ばしてきた。

「彼女達は復活に速くて半日、遅ければ二日はかかるわ。こっちの世界で言うところのヴァルキリー、戦乙女に近いわね。彼女達は天女騎士(てんめきし)レディキラー達と戦った女騎士達で、死後はヴァルキリーとエインフェリアを足した様な存在になっているの」

「分った。それと少し気になるんだが、剣が多いのはなんでだ」

「女権国家世界でも剣は男性器の象徴。女殺しの魔物達と戦う際にあいつらの不死性などを緩和する手段として、剣を使う女性剣士たちも多かったの。 ただ槍や斧を使う者も皆無じゃないから気をつけて」

 その忠告の直後大剣を持った天女騎士が横島に斬りかかり、槍や戦斧を持った天女騎士が続く。彼女達を愛女守で応戦しながらも苦戦するとランとユウキが加勢に入ってくる。
 二人は矢の様に入り込むと天女騎士達と舞踏を思わせる激しい切り合いを始めた。他の仲魔達の働きが悪い訳ではないが、レベルが上だけに二人の戦いは格別に上だ。血の舞踏を連想させると彼女達と天女騎士の切り合いを見ながら、横島はこの戦いはもうすぐ終わると思った。

 ほどなくして激闘と思われた戦いは終わり、横島は愛女守を鞘に収めると進んだ。それからは最初の襲撃程激しい戦闘はなかった。時々行われる小規模な奇襲が何度かあったが、それらも簡単ではないが大きな被害はないまま潜り抜けた。

 何度かの奇襲を終えて、横島達は長い廊下に出た。この廊下の向こうに大きな扉がある。あそこがこの傲慢会の最後の戦いの場だろうと思い、周囲を警戒しながら、前に出ようとすると、黒い短髪の天女騎士が頭を下げて横島達を迎えた。

「先ほどぶりですね。横島様。聖王陛下からのお礼のお言葉とこれからの戦いを始める前の約束事をお伝えするために派遣されました」

 彼女に頭を下げられて横島は困惑した。先ほど切り捨てた、女性がもう甦っている。この傲慢会はヴァルハラや修羅地獄に近い世界になっているのかもしれない。困惑する横島をよそに目の前の女性は言葉を続ける。

「聖王陛下からのお言葉です『マーガトロイド殿と夢子殿からの頼みというのもあったのだろうが、それでも私に忠勤の限りを尽くし騎士アリス・シンセシス・サーティの頼みを聞いてくれて感謝します。一騎打ちの場所は私が提供させてもらいます。
この廊下の大門を潜った先の闘技場です。彼女との一騎打ちが終わった後に私との勝負となるが、彼女と決着をつけた後に準備の時間を設けるから憂いなく、彼女の頼みを果たしてほしい』以上です」

 背を向けて歩く彼女に続き大門の前に立つと、彼女は少し嬉しそうに笑った。

「横島様は私を切り殺した後、大分テンションが落ちていましたね」

「ああ」

 あっさりと認めた。この程度の事知られたところで不利になるわけではない。


253 :名無しさん@狐板:2021/06/06(日) 23:54:10 ID:YcmzYxVj

「実は私も貴方と関係の合った女性の一人なんですよ。もっとも私の場合は一代限りでそれ以外は、冥府にいた時の貴方に寄り添っていただけですけど。覚えていなくても、私を切りつけてそこまで落ち込んでいてくれるのを見ると少し嬉しいです」

「そうか。ちなみに君の名前は」

「それは教えません。恨みだとか戦略的な目的ではないのでご安心を。それは生前の家名と聖王陛下への忠義にかけて誓います」

「分かった。それとこの廊下はシンセシスさんとの決闘の準備場みたいなもんなんやろ。ってことは、ここの情報は聖王陛下や、シンセシスさんにも伝わらんってことで間違いないか?」

「はい。一切伝わらないし、私も伝える気はありません。お望みなら準備が終わるまで扉の向こうに行ってますけど」

「ああ。そうしてくれると助かる」

「それでは失礼します。その前にこれを」

彼女が渡してきた数ページの紙の束を見て疑問がる横島に彼女は言う。

「闘技場のリングの情報をまとめた資料です。アリス様の望みは決闘ですから。この闘技場で何戦もしている、アリス様と対等にはなれないでしょうが、これで少しくらいは不利も埋まるかと」

「特殊ギミックとかないならあまり意味ないやろ。律儀なことやな」
 そういいつつ横島は数ページの資料を読んだ、リングの事や闘技場の地理が詳しく書いてある。読み終わると、横島は女騎士に質問をした。

「彼女に渡された資料はこれだけか? 忘れていたりはしていないよな」

「今回の件にアリス様は大分力を入れておいででしたから、忘れると言う事はないと思います。私は少なくとも任務中には余りうっかりはした事はないです。
私は言伝だけを命じられただけですし、アリス様も稀に失敗するので、しっかりした天女騎士の部下達にチェックしてもらっていました。恐らくはそれだけで間違いないかと。どこか闘技場の情報で不明瞭な所でも?」

 目の前の天女騎士は僅かだが不安がっている。もしかしたら何か記入漏れでもあったのかと思った様だ。それに対して横島は首を振った。

「ああ。間違いじゃなくて、アリスが意図的に開示しようとした情報がこれだけだって言うのなら、それで良いんだ」

 横島の言葉が目の前の彼女には理解できなかったが、何か戦法を決めた事だけは分った様だ。彼女は自陣営の失態がない事を知ると安心した様子で、闘技場に入場する為の大門の横にあるドアを指差した。

「あそこにあるドアは売店と回復屋さんです。アリス様が貴方と正々堂々戦うために用意しておきました。御札や様々なアイテムも変えます。利益が出るギリギリの値段にしてあるそうです。
それとどうしてもお金が足りなかったら、利子無しで借金も認めるとアリス様が言っておられましたよ」

 明らかに裏が感じられない言葉を聞き、横島はアリスは余程自分と正々堂々と闘いたいのだろうと思った。
 
役目を終えて彼女がドアの向こうに行った後、横島は売店の扉を潜った一応準備万端だとは思うが、一騎打ちようのアイテムなども見ておいても良いかもしれない。売店の中に入ると、そこには二人の美女がいた。
白い帽子をかぶり全身を白で統一し、紫のリボンを付けた豊満な体をした明るい茶色ががった髪をした柔和な笑みを浮かべた女性と、ピンク色の服と髪をしたやや魔法使いめいた服をした女性がいた。大人の女性めいた二人は横島を見ると嬉しそうに手を振った。そして白い衣装に身を包んだ女性が先に声をかけてきた。

「今生でははじめましてね。私はルイズ様々な土地を旅行し取り込める魔術を取り込んだり、旅行記の執筆を仕事にしているわ」

 ピンク色の髪をした方の女性も同じく嬉しそうに横島に声をかけてくる。

「私はサラ。魔界の門番であり、様々な場所を門として区切ったり繋げるのが役目の魔界人よ。戦争時には傷だらけになった貴方を、色々な場所にテレポートさせたりしていたわ。治療所に送り込んで治していたわ」

「ひょっとしたらこの売店の商品は」

「ええ。私が色んな場所に繋げて、ルイズが旅行先で見つけた物が大半よ。軽子坂高校の皆さんもたくさん買って行ってくれているわ。それと、こことあの部屋は準備室も兼ねているから、私が門を操る魔術でプチ逆竜宮城状態にしてあるわ。
だから札を自分で書いたりして、仕込んでも余り相手を待たせる事にはならないわ」

「それはそれは」

 横島の勝負事に挑む時に何か重要な情報を掴んだ時のつぶやきを聞き二人は顔色を変えた。

「ひょっとしたら、私たちシンセシスの方のアリスちゃんの不利な情報開示しちゃった」

 サラの不安そうな声に横島ははっきりと首を

「いえ、何もあの娘の情報は得ていません。ただ推理出来ただけです。外れていたら俺の負けやけどな」

「それなら良かった。ゆっくり選んで行ってね」

 柔和な笑みで促すルイズに言われるままに、横島は札や即効性のある回復アイテムを多数買うとマイに向き直り頼みごとをした。

「姉ちゃん。冥妻天女の剣はワイにも使えるんやろ。シンセンスとの戦いが終わるまでの間貸してくれないか」

「ええ、良いわよ。他に望みはある?」

「この剣から俺の前世の戦いを読み取らせてくれ。マイ姉ちゃんがこの戦いで特に使えると思った情報を頼む」

「まかせなさい」

 マイに魔法をかけられて前世での戦いの記憶が幾つも駆け巡ってくる。剣より術寄りだった自分、逆に術寄り剣寄りだった自分、前世の自分の戦い方は、軍師や術者の事もあったが、基本的には器用貧乏な万能型だった。
完全な一芸特化の前世はないと思った。記憶を読み切ると、横島はこの剣がどれくらいの距離まで効果があるかなども調べた。そして一つの確信を得ると、戦法を完全に決めた様だ。

 サラとルイズに礼を言って廊下に戻ると黒髪のショートヘアの女性大門の前で待っていた。横島が店の中で完全に準備を終えてくると確信していた様だ。 彼女は大門を潜ろうとする横島に向かって頭を下げた。

「横島様これは個人的なお礼なのですが、アリス様の頼みを聞いてくれてありがとうございます。私たち天女騎士達にとってもあの方は良き上司で、恩が幾つもあるのです。
今の貴方から見たら、我々は滅するべきかもしれない相手でしょうに、本当にありがとうございます」

「ああ。正直悪人ではない気もしてきてるけどな。それに今回は夢子さんとマーガトロイドの方のアリスちゃんの頼みだったからっての大きいからな」

 そういうと、横島は愛女守を構えて闘技場の中心に出た。

 闘技場に入り横島は圧倒された。無人でも圧倒されそうな広いコロシアムに客席が満員だったためだ。さらには、いくつかの場所に戦場を移すための大きなスクリーンがあり、横島達が見えずらくなった時の配慮だろう彼女たちはそちらの方も食い入るように見ようとしている。
観客の大半が天女騎士らしい女性たちだ。前の方に女性達の中には横島が倒した者も多い。中には生身の人間らしい者達も居るが明らかに、横島が今まであってきた女性達とは気配が違う。 疑問が浮かんだ横島にマイからの、念話が届いた。

『ここに居る女性の半分くらいは女権国家の女たちで、人外や混血も多いわ』

『どうなっとるんだ。こっちの世界に来るのはめちゃくちゃ大変なんじゃなかったのか?』

『それは世界を超える場合よ、ここは向こうとこっちの中間の魔界だから。こっち側にはこれなくても魔界には簡単にこれるってことよ』

 マイの言葉を聞きながら、横島は周囲を見回し、サイドテールの金色の髪をしたオッドアイの美女がこちらを見ている事に気付いた。装飾の美しいコロシアムの特等席で華美な玉座にかける彼女は視線だけで、横島を震え上がらせた。
コロシアムの女性達の自分が敗れる事を期待した情欲の籠った視線も恐ろしいが、彼女の視線は一線を隔している。偉大な王が自分の物を蹂躙しつくす遊び方を考えている目だ。
 聞いた名前が正しければ聖王ヴィヴィオの後ろにある、自分に似た男性が女性に組み伏せられ犯されている絵、その絵も闘技場の絵だがあれが自分の運命の様にも思えてくる。
 横島は敢えて他の全てを忘れ闘技場のリングの上で清澄な気配を放っている聖騎士、アリスに目を向けた。

「アリスちゃん、約束を果たさせてもらいに来たわ」

 アリスは輝く様な笑顔を見せた後、剣を構えた。

「ありがとうございます。アリス・シンセシス・サーティ。魔界神を信仰し、聖王陛下に剣を捧げし騎士として全力で参ります」

 そういうとアリスが凄まじい勢いで切り込んできた。横島は即座に無数の札をばらまいた。マハラギオンやマハジオンガの込められた札により炎と雷の雨が起こり視界が一気にさえぎられた。
アリスは動じずに剣を片手持ちにして待ちの体制に入った。彼女から放たれる威圧感は剣だけではなく、剣を持たない方の腕さえも、発射前の大砲を思わせる。
 僅かに煙が晴れた瞬間、彼女が金色の剣を構え切り込んできた。引き絞られた弓矢を思わせる一撃は、ユウキとの組手が無ければ確実にかわせなかっただろう。
かわした直後に、横島は愛女守にありったけの霊力を込めて、横薙ぎにアリスに切り込んだ。彼女の振り返り際の斬撃とぶつかり合い澄んだ金属音が響く。

『こりゃとんでもないわ。速度はユウキちゃんに劣るが、腕力は遥かに上や。全力の一撃以外ならどうにか体制を崩さずに防げるくらいってとこだな』

 横島は即座に動き一瞬で距離を取ろうとした。青木は特に速度を重視して動いていた。敵を滅ぼし時には盾となり最も必要なのは機動力だったためだ。だが、アリスは即座に距離を詰めてきた。
攻撃を受けることすら覚悟済みの突進である事は一目でわかった。幾つかの札を投げた、少しでも相手の動きを予測する為だ。彼女は札の爆発でダメージを受けつつも一切動きは鈍らず剣を振り下ろしてきた。
かたいはずの地面が砕け散り横島も僅かに体制を崩した所で、彼女の半ば独り言めいたつぶやきが聞こえた。

「手品師に種を仕込む暇を与えてはならない」


254 :名無しさん@狐板:2021/06/07(月) 00:00:07 ID:NPV354QC

 そういうとアリスは横島目掛けて剣を持たない方の手をかざすと太陽を思わせる金色の光を放ってきた。一撃に、二撃、三撃、全てが半端ではない威力だ。規則正しい連射の光を避けながら、辛うじて攻撃を避ける。
横島は愛女守を構えると幾つかの札を放った。その札をアリスは金色の光を放った。光の威力が落ちているのは、反射系の札を警戒しての事だろう。
 横島は距離を取りながら、驚くほど自分が冷静な思考をしている事に気付いた。普段の自分なら、もっとビビったりあるいは必死になり過ぎて幾つかの悪手を打っていただろう。
そこからしぶとさを見せて、最後には逆転するのが自分の勝ち筋な事が多い。だが今の自分は何故か、目の前の圧倒的な相手を分析できている。少なくとも読み合いや騙し合いでは負ける気が一切しない。

 彼女の恐ろしい程に正確で規則正しい連続攻撃を辛うじて捌きながら、横島は冷静に思考する。横島は実は一対一の戦いの経験が殆どない。
訓練や稽古では欠かしたことがないが、マイの手伝いで悪魔たちの手の足りない部分を補ったり、指揮官として戦った事がほとんどだ。それにも関わらず、彼がここまでアリスの攻撃をしのいでいられるのは、青木との一対一の組み手による所が大きい。
実践で学びその後に天狗等の悪魔達から学んだ武術を融合させた技や玲子を守る為の実践的な駆け引きで得たものは彼が青木に何度も叩き伏せられて、身に沁み込んでいる。
 青木と違い目の前のアリスは道場剣術や武術で読みやすい。しかし、目の前の技は明らかに実践で通用するところまで自らを鍛え上げ、戦場でさらに磨かれた物だ。本来なら侮って良い物ではない。だが何故か横島には彼女の動きが信じられない程読む事が出来た。
青木から学んだ虚々実々の駆け引きによるものだけではない。まるで体が彼女の戦い方を覚えているようだ。それでなくても彼女の機会めいた動きがそれを助長しているのだろう。
横島は攻撃を力強い一撃の直後に、切り込んだ。彼女が剣で受けた瞬間、ひと際威力が長い札を投擲する。これで大きな傷を与える事が出来た。その確信の直後に、彼女の剣が、札を切り裂き横島に切り込んで来た。
彼女はまるで、体を変えたかの様に動きが変わっている。力強さが売りの剣技が、速さ重視のそれに変わっている。さっきまでは、ユウキよりは明らかに下だった。だが今の彼女はユウキに僅かに及ばぬ速さになっている。力強さもさっきより落ちたが、それでも凄まじい。
その猛攻を横島は驚愕して思考が鈍った状況でも、勝手に動く様になった体のおかげで凌ぎ、冷静さを取り戻す。青木に感謝の言葉を呟きながら、横島は剣を激しくぶつけながらさがる。

『アリスのこのステータスの振り替えはどれくらいの速度で出来るのか。今直に力が優れたモードに変えられたら、即座に詰むぞ』

 横島は彼女の剣を読みながら何度も愛女守で打ち掛かった。もしも彼女が力重視に切り替えたのなら一太刀入る様に計算しながらだ。倒す為ではない。一太刀浴びせた瞬間に、なりふり構わず距離を取る為だ。二人の速さ重視の切り合いは澄んだ金属音を響かせながら長く続いた。
不意にアリスの剣撃が力重視の構えに変わり重い一撃が繰り出された。横島はそれを受けて、咄嗟にその剣の力を利用して意図的に吹き飛ばされた。それが彼の誤りだった。
今回の怪力は、純粋な筋力による物ではなく、魔力による肉体強化によるものだ。彼女は速さのタイプから魔術重視に体を変えていたのだ。彼女は吹き飛んだ横島に無数の光を放った。
機械の様な正確な連射を横島は愛女守で必死に防いでいたが、不意に凄まじい速度で僅かな光の切れ目から駆けだした。アリスはそれを見て顔色を変えた。丁度今の横島ならかわせないぎりぎりのラインで攻めた所でいきなり、ステータスが変化した。

『愛女守ではなく冥妻天女の剣の力ですね。恐らくは5回目の転生もしくは、7度目の転生のステータスに振り替えましたか。5度目か7度目か。5度目なら速度が勝るが魔術の警戒は不要。7度目なら、速度は今の横島殿より少し速い程度ですが、魔術の警戒も必要です』

 横島が札をばら撒いてきた時アリスは敢えて一枚だけ受けた。札の威力からある程度の予想は出来るからだ。受けた瞬間七番目だと悟った。

 その瞬間アリスは力重視に切り替えた。
『前世の再現をする以上は、速度が上がるだけではなく、私に記録されているパターンの通りに動きやすくなります。これなら力重視で勝てます』

 アリスの剣撃の速度がユウキと紙一重から、ユウキに一段劣るところまで落ちたが、それでも前よりも横島が不利になっている。横島も魂の記録でアリスの剣を知り尽くしているが、それはアリスも変わらない為だ。
剣撃の応酬の最中に鍔迫り合いに一度なった瞬間、横島が体制を僅かに崩しながらさがった。その瞬間、アリスは剣撃を構え一気に切り込んだ。あと五合で勝負が決まる。

 一合目、横島がさらに体制を崩しながらも距離をより取った。

 二合目、アリスの突きを最小に近い動きでかわした。横島が読み切っていた様だ。

 三合目、横薙ぎの一撃をかわした直後にアリスの拳を受け止めてさがった。

 四合目、逃げ切れない距離に詰められた直後に、完全に体制を立て直した。

 五合目、アリスが渾身の一撃を放った直後に横島が剣を手放し辛うじてだがアリスの一撃をかわし、飛び込んで来た拳を放った。避けられることなど想定していない。あり得ないことが起こり大きな動揺が起こり、
それを刹那で沈めたがそれが終わる前に、彼の拳がアリスの顎を揺らしていた。横島が刀を構え、首に刀を突き付けてきた時、アリスは負けを認めた。

 勝者横島と言う、レフリーの宣言が終わるとアリスは少し悩み、それから口を開いた。

「教えてください。私はいかなる手品にやられたのですか?」

 アリスの口調に避難するような色はない。ただ自分がいかにして負けたのか知りたい純粋な好奇心だけがある様だ。

 横島は正直に答えることにした。この娘は正々堂々と負けた以上、もう自分たちの邪魔をすることはない。そしてなぜかはわからないが自分はこの娘に対して、
異常に親しみや庇護欲に似たものも感じている。多分だがこの娘は前世で妹分か何かだったのだろう。

「冥妻天女の剣あれを使ったんだ」

 横島がそういうと、コロシアムの横島の立っていた場所に冥妻天女の剣がある。『隠』の字が書いてある札が何枚も張られている。
 それを見てアリスはやはりという顔になった。
「はい。マイ様が貴方についていた以上、ああなると思っていました。術が得意な前世の貴方に戻って、あの札を山ほど張ったのでしょう。どこでああしたのかはわかりませんが、
貴方が本気で隠したら見つけるのは無理だと思ってました。それにあの剣を砕こうと思ったら隙が大きすぎます」

「加えて魔力も消費するだろうしな。アリスちゃんたぶんだけど、俺の前世と沢山一緒に戦ったんだろう」

「ええ。もしや私と戦っているうちに、色々な記憶が戻ってきて、それで戦法を」

「いや君と戦ってどういう人間かはわかってきた。多分前世の記憶もあるんだろうけど凄くわかった。だが、今回の戦法はコロシアムで戦う前に決めた」

 横島の説明の仕方は出来の良い生徒に教師が自ら気づかせようとしているようだ。アリスはもう少しだけヒントがほしいと言う様子で横島を見た。横島は彼女が気づくまで秒読みだと思いながら言った。

「アリスちゃん。今生の俺をどれくらい知っていた? いや言い方を変えよう。 『どれくらい俺の情報を知ることを自分に許した?』 多分だけど、俺が指導を受けた流派の名前とか青木師匠が指導した内容でどんなタイプの戦士になったかとかそれくらいだろう」

「ええ。ですから」

そこまで言ってアリスの顔が何かに気づいた顔になった。そして答え合わせを求めるような口調で横島に質問をする。

「まさか、試合が始まる前から、冥妻天女の剣で少し前の今生の自分になっていたんですね。つまり僅かにレベルが下がった状態で私と戦っていた。そして最後に今の自分に戻って私の計算を上回る速度で剣を潜り抜け倒した」

「そう。当たりだ。今より低いレベルなら『今までの俺の生の能力値』を再現できるって言っていたから、できると思ったんだ。の状態をアリスちゃんは俺と正々堂々と闘える最後の機会だって言っただろ。俺はアリスちゃんの事を一切知らない。
知っている知識があるとしたら、ここで戦った天女騎士たちの剣の型くらいだ。
最初に戦い始めようとした時にアリスちゃんが俺に情報の開示をせずに切り込んできた時点で、俺は多分だけど俺の情報を得るのを制限した状態で戦おうとしているなって思った」

「そうでしたか」

「ああ。傲慢界の本部で戦いレベルが結構上がったから、幾つ前のレベルにするか本気で悩んだ。あまり前過ぎる状態にすると不自然だし、少ししか戻さないと、意味がなさすぎるかもしれないからな」

「それで私の剣をさけて見事に倒しましたか。凄い勇気でしたね。レベルを下げたら瞬殺されると思いませんでしたか?」

「いや。傲慢界の街で頼みに来ていただろ。アリスちゃんにしたらどうしてもここで戦わなきゃダメな訳やないからな。少なくともあの街にいた時点の俺でも、まったく勝負にならないわけじゃないと思ってたぞ。 
今回は死にさえしなきゃ負けても良い戦いだったから、割と博打にも出れたわ」

 アリスはどこかすがすがしそうな顔で、立ち上がると悔いはないが残念そうな声を上げた。

「残念です。貴方と正々堂々と闘える最初で最後の勝負が負けとは」

「あー、そのことやがな。わいめっちゃアリスちゃん強くて怖かったけど、アリスちゃんが望むなら真剣勝負また受けてもいいで。 今生がダメなら来世でもな」

「横島様、相当怖がってたし。しんどかったと思いますが?」

「しんどかったけど、ワイと闘いたいんやろ。それなら滅茶苦茶いややけど、聞いてもいいぞ」

「いえ、私にとってはこれが最初で貴方と対等な条件で戦える機会だったのです。次からは騎士として恥ずべき勝利しかありません」


255 :名無しさん@狐板:2021/06/07(月) 00:04:24 ID:NPV354QC

 アリスがそういうと、不意にヴィヴィオが国王用と思しき観戦席から飛び降りてきた。
 彼女が飛び降りてきた瞬間コロシアム全体の気配が変わった。公開処刑上の様だと横島は思った。彼女の凄まじい闘気はもはや一切の勝ち目を感じさせない。横島だけではなく全員でかかってもそれは一緒だろう。闘技場のリングに上がってきたマイたちも、その要素を見て顔色を変えた。

「ヴィヴィオどういうつもり? まずは試練を与えてそれを越えられたら本気を出すんじゃなかったの?」
 
 マイの問いに彼女はあっさりと答えた。

「アリスと一騎打ちで勝てる時点で、試練はやるまでありません」

 そういうとヴィヴィオは横島にリングを渡してきた。

「これが次の魔界への封印を解く適食のリングですよ」

「あれ確か、青木師匠の時は」

 横島の声にヴィヴィオは頷いて答えた。

「ええ粗食のリングでしたね。神綺様が質素の素ならまだしも、粗末な食事の粗だと、やだって、言って、名前変えたんです。それでは私のモノを取り戻す聖業に移るとしましょう」

 横島はリングを受け取ると即座に逃走経路を探した。目の前の存在相手には勝ち目がない。 彼が知る限り彼女に勝てる可能性のあるのは夜で本気を出したエヴァくらいだ。ヴィヴィオは少し考えると手をかざした。
途端に光が巻かれ全ての疲労と傷が癒えていく。完全に回復したところで彼女は満面の笑みで言った。

「試練は無条件合格にしたとはいえ、連戦の為に準備時間上げるという約束を破るのは良くないですから、装備と召喚している仲魔を変え終わったら来てください」

 横島は冥妻天女の剣をマイに渡すと、言った。

「姉ちゃん逃げろ。こりゃ勝てん。俺に指揮権をよこして後は任せろ。試練を越えたと言っていたから、彼女にしても俺たちを先の魔界に挑めなくするのは不本意なはずだ。だから俺を殺したりする可能性は低いだろう」

 横島の言葉にマイは笑いながら答えた。

「大丈夫よ。彼女そこまで非道じゃないから。私も色々な意味で力を取り戻したいし、ここらで勝てない相手に無理してみるのも手かもしれないわ。むしろ試練の為に力落していた方がやばいわ。手加減をミスった彼女に大怪我させられちゃうかも」

 そういうとマイは冥妻天女の剣を受け取り構えた。 

「全力で戦うしか道はないわ。負けるのは確実だけど、健闘したらヴィヴィオ様からボーナスがあるかもよ」

 そういうとマイはヴィヴィオがくれた時間を使い。ユウキ、ラン、トゥルダク、アレクシアを召喚した。
 彼らの準備が出来たのを確認するとヴィヴィオは構えそして戦いが始まった。ヴィヴィオが観戦席にいた時に侍っていた天女騎士たちも慌てて、駆けてくるとこの聖王の遊びに付き合い始めた。戦いの様子は長い様で短かった。
ヴィヴィオが戯れの様に手加減して戦う横で、天女騎士たちが横島達に挑み倒されても、ヴィヴィオの放つ太陽を思わせる黄金の光で再生し、それをしばらく繰り返した後、横島が全てを込めた奥義を放った瞬間、
我慢出来なくなったかのようにヴィヴィオが拳から闘気を放ち全員を吹き飛ばした。倒れ立てなくなった横島は愉快そうに見下ろして、口づけをする。

 全身が電撃を浴びたようにしびれ余計に動けなくなった横島を見下ろしながら、ヴィヴィオは横島の服を脱がせると自分も服を脱ぎ払う。

 ヴィヴィオの肢体は芸術的な戦の女神を思わせる豊かな体をしている。横島はそれを見て、余計に分身が固くなるのを感じた。それを見てヴィヴィオは笑う。

「横島。貴方一度、男性優位の性行為が当たり前の国に生まれて、私に闘技場で逆レされた時、一番固くしてたけどそれを魂が覚えているみたいですね。 愛しの恋人とした時より大きいです」

「なんで知ってるんだ」

動揺する横島の言葉を聞きヴィヴィオは笑った。

「まさか本当にそうだったんですか。貴方はどんなに男性優位の国に生まれても、貴方の今生の世界のの安いエロゲーのヒロインよりマゾ落ちが早かったけど、こんなに直ぐ暴露するとか。
アリスとの戦いで見せた頭の冴えはどこへいったんですか? 今の戦いで頭を強く殴りすぎてしまいしまたか?」

 明らかにバカにするために心配する演技をしながらヴィヴィオが横島の分身を踏みつける。

「〜〜!」
 
 屈辱ではなく、あまりの快感にまともな言葉にならない声を出す横島をバカにする様な目で見ながら、ヴィヴィオは続ける。

「それとも前世のマゾ記憶のせいで大勢の女性の前で自分がドマゾだって暴露したい恥辱プレイがしたかったとか」

 観客席から横島を嘲る声が聞こえてくる。

「格好良かったのに最低」

「恋人との初エッチより大きいとか人として終わりすぎ」

 彼女たちの嘲る言葉がきっかけで横島はヴィヴィオの足に一気に放ってしまった。

「うん。明らかに私の性技じゃなくて罵る言葉で達しましたね」

 ヴィヴィオの宣言と共に闘技場中が嘲笑の笑いに包まれた。ヴィヴィオは楽しそうに口づけして言う。

「やはり、貴方を閨で蹂躙する時が一番楽しいわ」

 そういって横島の分身を受け入れると、強すぎる快感で逆に達せられなくしながら胸を顔に押し付けてくる。
強過ぎる快感で達する事が出来ない状態の分身を包む拷問の様な快楽は顔に押しつけられる二つのふくらみがより強くしていく。その状態の横島にヴィヴィオが不意に言う。

「ねえ、横島さん、『聖王陛下の栄光ある夫でありながらこんな惰弱な一物な上に直マゾに染まる雑魚マゾ魂で御免なさい』って言ってくれたら射精させてあげるけど、どう?」

 ヴィヴィオの言葉に屈服しそうになる中、なけなしの男の意地がみなぎり観客の声もそれを強めた。

「ねえ、何分持つと思う?」

「30秒も持たないんじゃない?」

「いいすぎ〜いくらなんでも1分はもつでしょ」

 その言葉を聞きどうにか一分間持たせるべく横島は歯を食いしばった。ヴィヴィオは敢えて一度離れ、今度は胸板に乳房を押しつけて口づけするなどして余計に横島に対する拷問を強めた。
胸板でつぶれる二つの乳房が電撃をもたらし、口の中を割って入る舌が脳を溶かし、彼女の吐く息が居に落ちる度にその熱さが睾丸に吸収されていてく。

 横島にとって一時間にも感じられた一分が終わりヴィヴィオは楽しそうに言った。

「良く耐えましたね。偉い♪ 偉い♪ 次のキスは3分くらいだから、辛かったら今の内に宣言した方が良いですよ♪」

 その言葉を聞き横島は恐怖した。このままでは自分が壊れるそう思った彼は言った。
「聖王陛下の栄光ある夫でありながらこんな惰弱な一物な上に直マゾに染まるマゾ雑魚魂で御免なさい」

 途端に会場中が爆笑に包まれた。

「本当に一分しか持たないとか」

「女権国家の男性より向こうの男性は夜が弱いって本当なのね。こっちの世界の男性なら5分はもつのに」

 その言葉で完全にへし折れた横島を余所にヴィヴィオは横島から離れ立ち上がった。意図したわけではないかもしれないが、秘部から漏れる大量の精液が敗北感をより強める。彼女は素知らぬ顔でアリスに声をかける。

「アリス、王として命じます。彼に男性の持つ傲慢さがあるからこそ、味わえる至高の快楽を与える褒美と、永遠に我らの物であることを刻みつける聖業の手伝いをしなさい」

「どこが聖業なんだ」

 弱弱しく言う横島にヴィヴィオは輝く笑顔で応えた。

「私こそ地上の大国の聖王であり、天界の宮殿を統べる者。私のやる事したい事こそが聖なる業です」

 はっきりとそういうと彼女はマイに近づき、立ちあがらせた。明らかに危害を加える気はない様だ。その為か何時もの底力が目覚めない事を横島は歯がゆく思った。
 
 アリスは横島に口づけすると一気に押し倒してきた。横島は悲鳴を何度も上げた。

「横島様。今まで私にさえベッドの中で勝てた事はありませんが、今回は本当に弱いですね」

 アリスの性的な技は横島の体の構成魂のデータを知り尽くしているかの様だ。最初は強過ぎる快感で落としてきた。そしてそれが終わると速度重視の腰の使い方となった。5回性を絞り取ると、魔術でじわじわと優しく絞り取る形に変えてくる。
どの責めも横島が絶対勝てない程に強いのは一緒だが、ヴィヴィオ等には遠く及ばない。だが彼女は横島を快感でどう攻撃するのが一番効果的か知り尽くしているようだ。

 絞られて過ぎて虚脱状態の横島を見て彼女はその乳房で分身を挟み乳房の上から辛うじて出る先端に舌を這わせてきた。余りにも知り尽くしきった動きに横島は混乱した。今生の自分に対するデータは彼女は持っていないはず。
それは先刻の試合でも明らかだ。あれは絶対に演技じゃない。なのになぜこんなに自分を的確に追い詰められる?

「簡単です戦い方等は毎回変わりますが、貴方の夜の弱さや弱点やどうすればマゾに染まり易いかは良く知っています。下手をすれば私がそういうデータの所持量に関しては一番かもしれませんよ」

「それはどういう――!」

 良い終わる前にアリスが横島の分身を口に含み舌を這わせ吸い上げてきた。しかも、大勢の嘲笑と共に投げかけられる、あざける言葉が辛うじて理解できる位に絶妙に手加減をしながら横島の分身を抜く。

「みっともなーい」

「せめて最後まで言葉は言おうよ」

 観客席の罵る声で余計に増えた横島の精液を飲み下すと、アリスの気がさらに大きくなった。彼女は笑いながら言う。

「罵られるのがどんどん癖になってきていますね。ここまで可愛がられてどこか足りないと思っている部分があるのでは。例えばエヴァさんが居ないとか、何故分った、もしくは何故自分はそんな風に考えたかと思いましたか?」

 図星を突かれて横島は怯えたが何故自分は、エヴァがここで自分を嫐る側に居ないのを残念がったのだろう? それにアリスは応えた。

「簡単ですよ。貴方は前世の一つで闘技場でエヴァさんも参加して虐めてもらった事があるんです。そしてその時のエヴァさんのお言葉は何だか分りますか?」

「分らない」

「『マイの奴に多大な借りがあったからやったが、もうこんな虐め過ぎなプレイは止めようと思う』です。エヴァさんがそういうプレイを止めようとしたのに貴方が期待してこれとは。どれだけマゾなんですか」

 最もエヴァも相当楽しんだし、実はやりたいと言う気持ちも少なからずあるが、それを伏せて横島の精神にダメージを与えた。そしてヴィヴィオがマイを持ちあげ気を送り込むと、マイの体からかつてない程強い気が迸った。
彼女の背から白く美しい羽が生え純白の衣装がより映える。彼女は笑みを浮かべながら言った。

「聖王陛下封印を解いてくれてありがとうございます。護国の守護女神にして、貴方に使える天使でもある冥妻天女復活いたしました」

 そういうとマイは面白そうに笑いながら横島の方に近づいてきた。


256 :名無しさん@狐板:2021/06/07(月) 00:12:12 ID:NPV354QC
「横島、ヴィヴィオ様に封印を解いてもらってお姉ちゃん完全復活したわ。それで、貴方への色々なプレイができそうだから遊ばせてもらうわね」

 そういうとマイの手から光が放たれ、横島に直撃した。途端に横島の心に恥辱心が強くなった。今までも強かったが今回のそれは格別極まる。泣きそうな横島にマイは綺麗な笑顔で言う。

「実は貴方は今生より女性上位の性行為が恥ずかしい国に生まれたこともあったのよ。その頃の価値観に戻させてもらったわ」

 そういうとマイは一瞬で服を脱ぎ横島に抱き着き豊満な体を密着させて、分身を秘部にのみ込んだ。ヴィヴィオによって封印が解かれた彼女の体は、今までとは比べ物にならない。横島が決して勝てないのは一緒だが、
地面と高層ビルの差から地面と雲の上くらいまで離れた感じがする。さっきのヴィヴィオと同じく気持ち良すぎて達することができない状態にしてから、マイは楽しそうに笑う。

「ちなみにその国は私を邪神扱いしている国だったわね。 私に向かって『マイ様逆らってすいませんでした。下の剣の耐久がゴミ性能な聖剣士に射精の許可をください』って言うなら射精させてあげるけど。
 あ、逝くときはちゃんと『俺は邪神相手に性欲に負けるゴミです』って言いながら逝くと約束しなさい」

 マイの提案は女権国家の世界の女性達から見てもやり過ぎなのかもしれないらしく、横島を嘲る声が止み、それでも大半の女性達が見てみたそうな期待に満ちた視線をしている
 その視線の中で、あまりの快感に負けそうになりながら横島は口をつぐんだ。それだけはダメだと男の矜持が告げている。それにマイへの親愛や惚れた感情は微塵も揺らいでないが、それでも邪神と認識しているマイに屈服するのは屈辱的過ぎた。
前世だと自分はもう言っていたなと思いつつ、耐えた。一分と三十秒耐えると、横島に地獄を見せているマイがかわいらしく頬を膨らませた。

「ヴィヴィオ様に犯されている時より長く耐えるとか、お姉ちゃんに女としての屈辱を与えたから少しきつめにお仕置きするわ」

 それを聞いて横島の顔が真っ青になった。

『軽いお仕置きって言って、姉ちゃんのお仕置きが軽かったことなんてないやろが』

 怯える横島にマイが有無を言わさず口づけする。ヴィヴィオがしたのと同じ口づけだが、彼女の場合は覚えてもいない前世のトラウマと快感が押し寄せてきて余計に辛い。そしてヴィヴィオと同じくらいの長さで口づけした後、口づけを――やめなかった。
横島が本当に限界ギリギリになるまで快感を与えてからようやく口づけをやめ密着させた体を放した。

「ヴィヴィオ様程、私は優しくないわよ。その言葉を言わないなら、どうなるかわかっているわね」

 それを聞き横島は心底背筋が凍った。次に口づけされて降参の言葉を口に出せない状態がどれほど続くのか。反射的に恐怖に負けたのと、惚れた相手には勝てない心理が働き口を開いていた。

「マイ様逆らってすいませんでした。下の剣の耐久がゴミ性能な聖剣士に射精の許可をください」

 その言葉を聞くとマイは満面の上機嫌な笑みで頷いた。そしてヴィヴィオの配下の騎士に冥妻天女の剣を持ってこさせると、なぜかその剣を持った。それを見て横島は猛烈に嫌な予感を覚えた。

「観客の皆様は楽しんでいるし、見てみたいと思ってくれているみたいだけど、引いてもいるみたい。という訳で、この闘技場に来ている皆さんに前世の記憶と感性を取り戻してもらうことにしました。 あなたの今の前世と同じ時代の前世の感性に戻ってもらいましょう」

 マイがそう言って剣を振るうと、観客席全体に純白の清らかな光が降り注ぎ、マイの背中にある青と純白の中間の光を放つ羽が輝いた。その瞬間、観客の女性達が一気に前世の頃に戻った感じがした。横島を見る目の情欲が強まり。再び嘲笑が一気に強くなった。

「いくら何でも邪神にあんなおねだりとかないわ〜」

「聖騎士じゃなくて性騎士じゃない、彼」

「ご先祖様たちに謝りなさい」

 笑い声と嘲笑の威力がより強まった。自分と同じ価値観を持つ女性達からの罵倒だと思うと余計に魂に響くダメージと被虐的な性的な快感が大きくなる。横島の目がうつろになった瞬間を狙ったかのようにマイが腰を動かすと、
今までマイに嬲られ続けてきた中で一番の射精が起きた。天使としての力を解放したためか、横島の魂の奥底まで揺さぶる快感が襲ってくるだけではなく、快感と屈辱で負った魂の古傷が一気に開く感じがした。
そして約束を果たすべく口が勝手に動き言葉を口にする。

「俺は邪神相手に性欲に負けるゴミです」

宣言と共に傷口が一気に大きくなった。そしてその傷口から出た精液がマイの中に注がれる。そして彼女は嘲笑しながら観客席に聞かせるように言う。

「射精量がタイ記録だわ。彼は幾つもの人生で気持ち良すぎるセックスをたくさんしたけど、一番気持ち良いセックスと同じ量よ。これ。ちなみに快感自体は一番気持ち良かった性行為には遠く及ばないはずだけど」

「屈辱的な性交がどれだけ好きなの。人として終わりすぎ―」

 観客席からの罵倒で余計に固くなった分身を踏みつけながら、マイは裸から一瞬で服を着こみマイクを持った。

「さて。聖王陛下に封印を解いていただいた、私マイは今回の横島との性交に司会者としても参加させていただくことにします。皆様お久しぶりです。男のプライド殺しの口舌の刃の達人、冥妻天女マイです。今日はこの愛しの愚弟をみんなで虐めて楽しみましょう」

 愛しの愚弟という下りは誰が聞いても本心だとしか思えない響きを帯びていたが、その言葉が横島を余計に不安させる。その内心を見破ってか、マイはさらに続ける。

「ごめん。横島、ヴィヴィオ様に封印解いてもらって、貴方にさんざん護ってもらったり助けられたこと思い出したら、スイッチが入っちゃった♪ これが終わったらまた魔界攻略全力で協力するから許してね♪」

 そういうとマイは楽しみながら手招きすると、観客席から三人の女性がリングに上がってきた。

 アリス・マーガトロイド、サラ、ルイズの三人だ。アリスはまだメイドには戻ってはおらずその表情には笑みを浮かべている。そして横島の顔をつかみ目をのぞき込むと、礼の言葉を口にした。

「横島、ありがとう。あの娘の頼みを聞いてくれて。本当に格好良かったわ」

 そういうとアリスは横島に口づけをしてきた。アリスの口づけを受けて横島は癒す様な快感に包まれると同時に不安も覚えた。強すぎる快感があるだけではなく、彼女の口づけを通して過去のトラウマの様なものが感じられた。彼女は横島から離れると少し申し訳なさそうに言った。

「ごめんなさい。私達は重すぎる借りがヴィヴィオさん達にあって、その対価として貴方とのプレイを手伝うように言われているの」

 そういうとアリスの指から光の糸が出て横島の体に繋がった。

「ヴィヴィオ聖王陛下それでは約束通り横島との性行為の協力をさせていただきます。これをもって依然受けた恩の清算を果たしたと見なし、私達が担当する魔界までの間、私達は完全に横島忠夫の味方をさせていただきます」

 そういうとヴィヴィオが満面の笑みを見せながら頷き答えた。

「横島達には聞こえない様にしていたけど、解説見事でしたよ。やっぱり劇をやっているだけあって上手ですね」

 ヴィヴィオの言葉にアリスは宣誓が終わったせいか砕けた口調で答えた。

「自分で台本を決められる劇よりこっちの方が大変だったわ。もう。いつもあんなに上手に司会できるマイ姉さんは本当に凄いと思うわ」

 アリスの言葉をよそにマイはノリノリでマイクを取り出し、解説する耐性に入っている。

「さあ。これより魔女裁判ならぬ、200年前からの女権国家名物、卑男(ひお)裁判の準備が始まります。 十中八九有罪確定の愚弟横島。さあ彼は誠に高潔な英雄であることを示せるのかぁ! 姉としては億分の一の可能性をつかんでほしい所。
 その前に彼の望みである男性優位の体位の性行為をしてあげるとしましょう。我が姉妹ルイズさんがお相手となります」

 ルイズは笑みを浮かべながら横島の前に来て口づけをしてきた。彼女のそれはアリスの惚れた恋人を甘やかす様な感覚とも、夢子の様に厳しくも優しい姉の感覚とも違う。根っからの甘やかすのが好きな姉を思わせる口づけだ。彼女はキスをして脱力し切った、横島に行った。

「久しぶりな上に、あんな格好いい所見せられたから、熱くなっているわ。できれば私の出番が多ければいいんだけど」

 そういうと彼女は魔法を使わずにじっくりと見せつけるように横島の目の前で全ての服を脱いでいった。目をそらそうとしたがアリスの糸で、それも封じられてしまい食い入るように見て分身が大きくなっていった。
彼女の服の下からのぞかせる白い下着とアリス達よりもさらに豊満な体が、より横島の分身を固くする。彼女はアリスの方に目配せして頷くと、横島に背を向けた。肉付きの良い尻に目が釘付けになった後、マイの指示で持ってこられた鏡がルイズの前に置かれる。 それが済むと横島の体が勝手に動き出し、彼女の秘部に挿入した。

「――!」

 挿入を終えた直後に快感のあまり、言葉が止まらず、直ぐに射精しかけたが、アリスの糸が一物の中で射精を止める。鏡に映る死にそうな表情の自分と余裕しかない笑顔のルイズが自分と彼女の差を大きく実感させる。
マイが横島の体を魔法で調べながら笑った。

「女権国家で騎乗位が多いのは男性優位の性行為だと、直ぐ男性が果ててしまい止まるからですけど、入れて2秒で逝きかけた男がどうやって男性優位の性交をするつもりだったのでしょうか〜?」

 バカにした様なマイのナレーションが響き渡り、辺り一面から嘲笑が起こると、横島は直ぐに射精した。脳が砕けたような快感のあと、アリスの糸で無理やり腰を降らされ、その敏感になった分身がより多くの精を放つ。
ルイズのゲームで敢えて子供相手に手加減している様な笑顔がより恥ずかしさを煽ってくる。

「さすがにこれだと勝負にならないから、アリスちゃんに協力してもらいましょう」

 アリスの糸が動くと体が勝手に動きルイズの胸を揉みしだいた。余計に固くなった分身からの射精量がまた増えていく。何分か経った後、ルイズも達しそうになっているのを見て、横島は恐怖を覚えた。彼女が感じれば感じるほど自分の快感も強くなっていく。
なら絶頂したらその時は。そう思った瞬間、アリスの指が動き自分の体が勝手に性魔術を使った。その瞬間、ルイズが達した。そして刹那の快楽地獄に横島は堕ちた。


257 :名無しさん@狐板:2021/06/07(月) 00:14:53 ID:NPV354QC

「ギャー!」

 拷問を受けた様な声を出した後、横島の体は崩れ落ちた。ルイズは嬉しそうに笑みを浮かべながら、今度は仰向けになった横島に覆いかぶさり唇を貪りながら
、腕を掴み自分の尻を無理やり握らせながら体を押し付け、甘やかす様な性行為で横島を何度も射精させた。
彼女との性交で癒された感覚を味わいつつ虚脱状態の横島を見下ろしながら、彼女は満足そうに笑いながら立ち上がる。そして魔法で衣服を一瞬のうちに着込んだ。そしてマイに言った。

「こういういじめるのも嫌いではないけど、やっぱり私は彼を甘やかす様な性交の方が好きだわ。 彼がいじめられすぎて精神が危なくなったら、私達が回復させるわね」

 そういうとルイズが離れると。長い廊下でヴィヴィオの言葉を伝えてきた黒髪の短髪の女性が現れた。彼女は横島が糸で動けないのを確認すると、魔石を幾つも使い横島を回復させた。そして笑みを浮かべながら言う。

「横島様。先ほどぶりですね。シンセシス団長の頼みを聞いてくれてありがとうございました。マイ様これから卑しい男か否か見分ける、卑男裁判を始めるそうですがよろしいですか」

「ええ。それじゃあ貴女たちのリクエストを聞いてみましょうか」

「横島様の価値観を十二番目の転生先に変えていただけませんか」

 それを聞くとマイが冥妻天女の剣を横島に向けて呪文を唱えた。今生の常識と価値観が入り乱れ、女性にベッドの中で負けるのが恥ずかしいという思いが強くなった。彼女は笑いながら言う。

「実はあなたの12番目の転生先も男性優位の性交が当たり前の国だったんですよ。そこに咥えて性魔術で悪の妖怪を改心させた一族として育った記憶。とてもきついでしょう」

 笑う黒髪の女性をよそに。ヴィヴィオが大勢の天女騎士を連れて横島に近づいてきた。彼女は少し考えると、横島の首を掴み呪文を唱えた。全身が不快ではないが激しい熱さにやかれるそれを見ながら、ヴィヴィオは言う。

「せっかくだから、ガーディアンも12番目に付け替えましたよ。この方がダメージも大きいでしょう。魔界攻略では不自由はさせないから安心してください」

 確かにヴィヴィオの言葉通り、前のガーディアンよりこっちのガーディアンの方が性能は上だと分かる。だが、余計に恥ずかしさが増してきた。そして黒髪のショートヘアの天女騎士が言う。

「実は私は貴方に救われて惚れて妻になった神族の血も入った下級貴族だったんですが、その際に受けた恩は多大なものでした」

 なぜそんなことを言い出すのか、横島には分からない。彼女は他の金髪や黒髪の天女騎士たちが来たのを見ながら言葉を続ける。

「今ここにいる天女騎士は大半がそうです。そんな相手の名誉を傷つけるとか貴族的には『当時の価値観』ではありえませんでした。ですが今一番恥ずかしい性行為を貴方にできる」

「それで君の名前は」

「教えません。 名前やどういう事情で惚れたか教えると忘恩の下級貴族ではなく、貴方にとって自分に惚れてくれた女性になってしまいますから。惚れてくれているけど、名前も知らない一蹴できる下級貴族、その方が刺激的でしょう?」

 そういうと彼女は横島を複数の女性達ともに押し倒してきた。性向を始めて分かったことは、彼女たちはアリスやヴィヴォオ達よりははるかに下だ。だがそれでも自分は彼女たちの足元にも及ばない。そして屈辱的で恥ずかしいのに、
彼女たちが言う通り自分はこの逆レイプに興奮してしまっている。

「おーっと、人としての最低の逆レイプをされて、我が愚弟は滅茶苦茶固くしているぞ〜。しかも、私との性交以上に感じている疑惑も出てきました。 解説と嘲笑で余計に固くなっています。 こんな変態に生まれてきて、生きていて恥ずかしいとか思わないのでしょうか」

 マイの言葉で余計に固くなり、それに伴う嘲笑が余計に射精量を増やしてくる。時に顔に胸や尻を押し付けられ、常に女性優位の性交をされて彼女たちは何度も横島から搾り取り、一度ずつ達すると離れた。そして入れ替わるようにマイが近寄り、闘技場のスクリーンを指さした。

 それを見ると無様すぎるほど無残な自分が写っており、マイに蔑みの視線を向けられて、分身が復活すると余計に泣きたくなった。彼女は靴を脱いで横島の分身を踏みつけながら言う。

「貴方は何度も偉業を成し遂げ私達を護ってくれたけど、基本的にはこの下半身の欲望に従った結果でもあったわね。卑しい男か否か試させてもらいましょう」

 そういうと横島を足で射精させた後、マイが横島にソーマを飲ませて完全回復させて魔法で衣服を整え、愛女守を渡した。

 そして敵として出てきたのは自分をさっき犯した下級の天女騎士たちだ。マイは乗りに乗った様子で司会を始める。

「さあ。私の弟分が卑しい男が否かの、見極める卑男裁判の時間がやってまいりました。敵はシンセシスちゃんと戦いレベルアップする前ですら、一蹴できた下級天女騎士たち。ただし、負けたらさっきやられたのと同じ逆レイプをしてもらえる条件付きです。ファイト!」

 それを聞き彼女たちと戦おうとした瞬間、彼女たちにされた行為を思い出した。気持ち良すぎて何度も搾り取られた秘部。顔や手に押し付けられて来た乳房と尻。そして分身を嬲る指や舌や胸、思い出して下半身に血が集まり、
次の瞬間ブルーのロングヘアの女性の槍が横島に直撃した。そしてあり得ない程の大ダメージが通ったのを見て驚愕する横島にマイが解説を続ける。

「横島選手完全に下半身が敵に回ってしまったようです。霊力の元である、煩悩が彼女たちに逆レイプされたがってダメージを大きくしています。 下級の彼女達より与えてくる快感が大きい女性は多いのに大丈夫か?」

 一撃をもらい顎が揺らされ、立ち直る前に黒髪のショートヘアの女性の蹴りと拳が自分を打ち据えた。普段ならこの倍以上の攻撃を受けても動ける状態で横島は崩れ落ちた。それが終わると再びさっき受けた性交が始まる。
 さっきと同じ姿になった横島を見ながらマイは爆笑しながら解説を続けた。

「卑男裁判有罪。天女騎士達の中では最低の彼女たちに負ける時点でもはや弁護の余地なしです。 敵勢力の一番下の女たちに恥ずかしい逆レされるのがそんなに良かったのでしょうか?」

 マイの嘲る口調に限界が気かけたのを見計らったかのようにサラが歩いてきた。彼女はマイに向けていった。

「そろそろ限界の様だから、私が癒してくるわ」

 そういうとサラが手をかざすと門が目の前に現れ、横島を抱きかかえながら彼女はその門をくぐった。門の先は高級な洋館を思わせる豪邸の寝室を思わせる部屋だった。彼女は搾り取られ過ぎて動けない横島の目の前で服を脱ぎ始めた。
ルイズには少しだけ劣るが女らしい肉体を髪の色に近い下着が包みより淫猥な気配を醸し出している。彼女は抜き終えると空中に向けて手をかざした。すると途端に、幾つもの門が現れた。
現れた門は不意に開くとその門からマグネタイトが現れて、横島の体に流れ込み始める。

「昔の戦いを思い出すわ。先ほども言ったけど私は異界を護る門番で、何度も貴方を撤退させてその都度癒していたの。体の傷だけじゃなくて心の傷もね」

 そういうとサラは横島に口づけをした。全身が甘くしびれるような脱力感に満ちた快感が走る。まるで毒蜘蛛に刺された様な脱力感が彼を蝕む。

「今貴方の体に流れ込んでいるのは貴方の前世達のへの女権国家世界での信仰心が、生んだマグネタイト。その中でも私との性行為で貴方の心が癒された箇所を読んだ人たちの信仰心を注いでいるわ」

 サラはあまり激しく体を動かそうとしない。横島の分身を飲み込みただ手足を絡めて抱きしめてくる。そして秘部の内部を動かし、達したくなった横島が動くのを待つ。横島は耐えきれず何度も突き上げその度に早く果てる。
そして果てるたびにマグネタイトが流れ込む程、どんどん自分を嫐った彼女達への親愛が強くなっていくことに気づく。もともと彼女たちにどんなに辱められても、怒るような感情が芽生える程度で、嫌悪や憎悪は抱けなかった。多分前世で関係した女性達だったせいもあるのだろう。
だが、今は逆に彼女達への好意が強くなってきている。 これは多分自分の多くの前世が生んだ英雄譚の信仰が生んだマグネタイトが流れ込んできているせいだろう。

 不意にアリスが部屋に入ってきた。彼女も楽しそうに横島を見ながら手をかざした。
横島は不意に目の前が真っ暗になり顔に柔らかい二つのものが当たっていることに気づく。少し離れると、サラの体が大きくなっている。僅かな違和感を覚えた瞬間、アリスが鏡を見せてきた。その瞬間彼は気づいた。自分が精通したばかりの年に戻っていると。

「これこそエイジドレイン。甘やかす性行為ならこういうのも良いでしょう」

 そういうとアリスは楽しむように一息で服を脱ぐと、横島に口づけして来た。そしてお気に入りの縫いぐるみを自分の番になったという感じで譲り受けるように、サラから横島を放し自分の方に抱き寄せた。両方の胸に頭を圧迫されて射精が止まらない状態の横島を強く抱きしめながら言葉を言う。

「横島、あの娘、シンセシスの頼みを聞いてくれて本当にありがとう」

 男として情けなさすぎる射精を繰り返す横島に対して、最愛の恋人にするように性交をしてくるアリスに横島は意識を何度も飛ばされた。本来なら自分はひたすら喘ぐだけの状態になっていたのだろうが、アリスが糸の様なもので動かすおかげで彼女が望むように動けている。
乳房や尻を揉みしだき時に口づけに答えている。乳房や尻を揉みしだいている時はただでさえ強すぎる快感がより強くなるし、キスに応じている時は悲鳴を上げられず代わりに精液が出るような錯覚と共に地獄の様な快感が襲ってきた。
だが自分を最愛の恋人と思いながら癒そうとする、アリスの意思も伝わってくるためか、精神が癒えてくる感覚もする。やがて性行為を終えて仰向けに倒れた横島はアリスにようやく質問した。


258 :名無しさん@狐板:2021/06/07(月) 00:17:14 ID:NPV354QC

「アリス……さんと、あのシンセシスさんはどういう関係なんですか?」

 子供の姿になっていた為か言葉も敬語となり、いつもとは違う敬称となった。それを聞きアリスは上機嫌そうに言葉を返す。

「あの娘は、私の娘の様な存在なの。女殺しの魔獣達との戦いの際にあの魔獣相手に戦果を上げた私の操り人形立ち、そういった人形は獣殺しの概念がつくから貴重だったの。
だから壊れても、パーツを一部でも回収出来たらそれを使っていた。中には付喪神になっていく娘たちもいたわ。
そしてある時、ある国の女騎士が霊的な重傷を負って、魂に傷を負って、その際に人形達の魂を臓器移植の様な形で移植したの。正確には溶け合って吸収できるような形にした感じだけど、それがあの娘よ。
シンセシスとは得られたデータを使い新しいデータを得る作業の事でしょう。あの娘の名前はそこから来ているの。半分は私に忠義を尽くした付喪神たちだから」

 それを聞き横島はシンセシスのいきなりのバトルスタイルの変化に納得がいった。アリスの人形はアリスの代わりに魔法を放ったり、大きい剣を振り回したり、速度重視で剣を振るう。
彼女たちから生じた付喪神の魂たちと合体して補ったが故の特性だったのだろう。

 アリスとの性行為が終わるとサラが再び横島を抱きしめて乳首を口に突っ込むと赤子をあやすように魔力を込めて撫でてきた。

「横島さん、女権国家世界の女に勝てないのは恥ずかしいことでもなんでもありませんよ。だから気を大きく持って気楽に気持ち良いことに身をゆだねましょう」

 アリスのあくまでも恋人として自分を癒そうとする性行為と子供に戻った自分を子を赤子を癒すようにやってくるサラ。屈辱感があるのにそれが余計に快楽を引き立ててくる。横島が完全に回復した瞬間に、ヴィヴィオとマイが部屋に入ってきた。
彼女達は心底楽しんでいる様子で横島を見た。

「完全に回復させてくれたみたいですねサラさん、ありがとうございますそれじゃあ、マイさんよろしくお願いします」

 マイはヴィヴィオの頼みに頷くと冥妻天女の剣を横島に向けて光を放った。その光を浴びた瞬間、横島は自分の男としての尊厳が死ぬのではという恐れと、それを期待しているような感覚が起こり背筋が凍った。
ヴィヴィオは小さい烏帽子の様なものを横島につけて口づけしてきた。
 マイが楽しむように横島に説明を始める。
「聖王であるヴィヴィオ様が宿敵である男性優位国家に貴方は転生していたこともあってその時のヴィヴィオ様に屈服前の状態に戻したわ。そしてその烏帽子はその国の公職の証なのよ。それじゃあ始めましょうか」

 ヴィヴィオに騎乗位で搾り取られその快感で心を完全にへし折られる中、マイが笑いながら言葉を続ける。

「ちなみにこの様子は闘技場のリングでも見えたスクリーンに映っているから。それで観客の皆さんも貴方の前世と同じ感性に戻しておいたわ」

 そのあと気の進まない様子のサラが手をかざすと門から嘲笑の声と念が流れ込んできた。

「アリスさんとラブラブエッチした時よりたくさん出しているわ」

「あれは人として酷い。烏帽子付ける前に陛下に犯されていたら絶対烏帽子付けた後の方が多く射精していたわ」

ヴィヴィオに何度も射精させられその度にマグネタイトを奪われ回復させられて、横島の意識が快感の許容量を超えた瞬間意識が落ちた。

 目覚めると、横島は闘技場の控室にいた。横にはマイが笑顔でいる。

「姉ちゃんあの後、俺どうなったんだ」

「ヴィヴィオ様の命令で 卑男裁判の最終審よ。なお有罪になっても大した刑罰はないもよう。それじゃあ、頑張ってシンセシスの方のアリスちゃんと闘ってきなさい。彼女との約束また、戦ってあげるという約束を果たせるかどうか見るそうよ」

 そういうと横島は、ふわふわした足取りで闘技場に行くとシンセシスが剣を構え待っていた。彼女は前と違い剣を持ってはいても薄着な衣装に身を包んでいる。

「卑男裁判の最後です。私と再び戦っていただきます。ただし負けたら、私から受けた逆レイプをまた受けていただきます。私は貴方を閨で嫐る魔術的な人形劇でも使われた人形の魂30体が移植されているので激しい快感を約束します」

 そういうとシンセシスにされた行為が頭をめぐり胸や唇から目を離せなくなり、彼女の拳一撃で完全に沈み切った。

 倒れた横島に観客席から嘲笑の声が響く。

「あんな低レベルな色仕掛けの誘い文句で、弱くなるとかどれだけ下半身が強いの」

「所詮立派なことをたくさん成し遂げていても下半身の為だものね」

 その声をよそにシンセシスはあまり失望せず嬉しそうな顔で横島の服をはぎ取り自分も脱ぎ始めた。
 彼女が口淫を行うと、横島は一瞬で冗談みたいな量の精液を口の中に放ってしまった。幾つものデータが入っているためか、横島の弱さを知り尽くしているかの様だ。
シンセシスに手で胸でそして秘部で絞り尽くされると、横島は裁判長らしいヴィヴィオから有罪を宣告された。
 次の魔界飽食会への扉が開くまで数日かかるらしいので、間この街にとどまり、三日に一度は闘技場に出場することが彼への刑罰となった。

 それからしばらくの間横島は、闘技場に何度も出場した。男としての傲慢である女性に閨で負けるのが情けないという感性を抉られる快感と、精神が限界に来た時に癒す様に犯してくるアリス達との性交が癖になってしまった。

 二日目に闘技場で負けて犯されぬいた横島をヴィヴィオが担いで帰ってきた。彼女は持ち前の陽気な声で言う。

「外の世界と連絡とってみてどうだった」

「ええ。神綺様も頭を抱えているわ。女権国家の世界とこの世界が影響を与え合っているから、これから起こる事件がどうなるかわからないって。横島が予定より早く強くなり過ぎて、今の魔界の難易度じゃ若干不安だから微調整するって」

「それが一番いいでしょうね。この世界の横島の後見人のお爺さん達良い人だから、需要や病気以外で死なれると寝覚めが悪いですし、何より守り切れないと横島のダメージが大きいからね。この事件が終わったら私もそっち行って良いかな?」

「場合によるわ。起こる事件次第では、私達の世界に移住させた方がましな可能性もあるから」

「それも視野に入れないとダメか。しかし、マイさん今回のコロシアムにかける情熱凄かったですね。横島で虐めるのに都合のいい観客を選ぶために、わざわざ観客の人たちに輪廻転生の記録まで調べるとか」

「ええ。おかげでこいつも、私に刻まれた快感と屈辱を永遠に忘れないでしょう。あとは私の能力で男性の傲慢を持ち合わせた状態に戻しては折を繰り返せば、それがどんどん癖になっていくでしょう」

 天使を思わせる笑顔で彼女はえげつないことを言いなが笑っていたが、不意に彼女は真面目な表情になった。

「ヴィヴィオ、こっちの世界の流れ次第では、横島の親しい人たちを死なせないではなく、納得いく死に方ができるようにしか動けない可能性もあるわ」

「その通りですね。多くの観測者たちが『デビルサマナー』読んでいる世界になるかそれとも『女神転生』と呼ぶ世界の流れになるか、それとも全く関係の新たな世界になるか。どうなるにしろ、その流が訪れた時に彼が受けるダメージを最低限にしなければ」

「ええ、そうね。何が何でも彼の親しい人たちに無残過ぎる死が訪れないようにしないと。私達の夫と言う役目からの休暇をつぶした挙句に、こいつに閨の中以外の事でトラウマをこしらえさせるわけにはいかないからね。
 その為にも彼にさらに強くなってもらうか、さもなくば折れてもらって私達に全てを任せてくれるようになってもらわないと」

 ヴィヴィオの言葉にマイも強く頷いた。意識を失う彼を見る二人の目には強い決意の光がともっていた。そしてそれは彼を鍛える為の魔界がより苛烈になる事も示していた。


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