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【R-18】Mシチュスレの引用スレ

1 :名無しさん@狐板:2020/01/19(日) 00:15:29 ID:bMTYbG3g



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1063 :Ume made by machine@:2025/12/14(日) 21:13:08 ID:Vo/IJX7o
そして時は流れ、ウメという騒がしく手のかかる家族を持つ事になった…
と同時に戦闘用アンドロイドを手に入れた事により劇的に大きな仕事に関わる事が増えていった。

居住可能区域から少しでも離れれば命の保証もない様な危険な惑星。
居住区に住む移民ですら例外ではない。ましてや開拓者や調査員は死と背中合わせの活動である。

『ご主人!アタシの後ろに!前方からエイリアンの集団が来るっす!』

「わ、わかった!」

生い茂る樹林の闇から複数のエイリアンが襲い来る。
ウメは手にしたエレキガンで接近する敵から順番に正確に電撃を浴びせていった。
体を痙攣させて地面をのたうち回るエイリアン達。
マサキへの接近などまるで許さないその射撃と殲滅力にマサキは驚嘆する他なかった。

『あいつらのコロニーが近くにあるって調査通りっすね、このまま一気に掃討させるっす!』

「ああそうだな、この任務に成功すれば居住区の安全も確保されて拡大も可能になる。頑張ろう」

気が緩んだその瞬間だった。

『伏せて!ご主人!』

突如としてウメがマサキを押し倒す。その直後に頭上から無数のエイリアン達が次々と飛びかかり牙を剥く。
ウメはマサキに覆いかぶさったままエレキガンで正確に迎撃していく。
しかし数が多すぎた。仕留め損ねたエイリアンの鋭い爪がウメの体をかすめた。
「ウメっ!」

『ご主人動いちゃダメっす!」

動揺してウメを起こして立ち上がったのがまずかった。
別方向から飛び出してきたエイリアンの一撃がマサキへと迫る。
赤い血が吹き出す。位置がよかったのか、かろうじてかすめただけで済んだ。

『お前ええぇぇっ!!よくもご主人の体にキズをっ!!』

ウメがエイリアンの体に手を触れると、エイリアンは激しく体を痙攣させて地面に倒れ伏す。
手足に輪の様な帯電が可視化されている。電気により動きを拘束しているのだ。
何が起きたのかわからず体をバタつかせる事しかできないエイリアンの口蓋へと、
巨大なライトニングキャノンのバレルを無慈悲に突っ込んだ。

『―壊れろ』

今まで見た事もない様な冷酷な表情と声で、ウメは動けないエイリアンに最大級の砲撃を浴びせた。
叫び声ひとつ上げる事ができず、閃光と共にエイリアンの体は黒焦げになった。

『ご主人〜!無事っすかぁ〜!?ごめんなさいアタシのせいで〜!」

目から涙を流しながら謝り続けるウメ。先程までの表情とはまるで別人の様な姿だった。

「大丈夫だよこのくらい。ありがとうウメ。助かったよ。そっちこそ傷、大丈夫かい?」

そう攻撃を受けた箇所を撫でながら言った事でようやくウメは泣き止んだ。

『ご主人、さっさとヤツらの巣、潰すっす。あんな奴ら、一匹も生かしておけないっす』

泣き止んだと思ったら一転してこの静かな怒りの態度に、マサキは背中に冷たいものを感じる気持ちを隠せなかった。


―そして時間にして30分にも満たない間。居住区の住人達を悩ませていたエイリアンのコロニーは跡形もなく消滅していた。

『やったっすよご主人!褒めて下さいっす!』

ウメのライトニングキャノンからの最大出力の射撃で一面は黒焦げの焼け野原と化していた。
その力の強大さに冷や汗が流れるのをマサキは感じずにはいられなかった。
もそして、満面の笑顔で喜び抱きつこうとするウメに言わずにはいられないものを感じていた。

「ウメ!これはダメだ!」

自分に抱きつこうとしたウメの肩を強く掴み、訴えた。

『!?!??!?』

「この一帯にはあいつら以外の生き物もちゃんといるんだ!それに…お前は怒りを優先して他を顧みない破壊をした!
 それじゃダメなんだ!」

困惑するウメを叱るマサキ。いくら恐ろしくても親としての立場からこれだけは言わなくてはならない。
そんな一心での発言だった。

『なんでっっすか!?アタシがやらなきゃあいつらのせいでもっと大きな被害が出てたっす!
 それにご主人に傷をつけたっす!あんな奴ら跡形も残さず徹底的に消して当たり前っす!!』

涙ぐみながらマサキを睨んで反論するウメ。その姿に思わず気持ちが緩みそうになる。

「…それじゃダメなんだよ。お前の力は強すぎるんだ。反省してくれ…」

そう言うのだけが精一杯だった。
帰路の間、あれだけやかましかったウメは一言も喋らずにうつむいていた。
そして居住区がようやく視界に入ってきた時に、この気まずい静寂は止まった。

『―ご主人、アタシの事キライになったんすか?』

「バカを言うなよ。嫌いになるなんて訳ないだろ」

『…ホントっすか?』

「お前が大切だから叱ったんだよ。オレも他の人達もみんな、そうやって叱られて育ったんだ」

『…うわ〜ん!ご主人!ごめんなさいっす!!』

涙をボロボロと流しながら謝るウメ。マサキは自分の胸に顔を埋め嗚咽するウメを優しい視線で見つめていた。
まるで大きな子供が突然できたような、子供の頃に飼っていた犬の事を思い出した様な、そんな気分だった。

「いいんだよ。誰だって、オレだって間違う。これからも一緒に…よろしくな」

ウメはその言葉に、涙を流しながら満面の笑顔で頷いた。

「嫌いなんかじゃないよ。好きだよ、ウメの事」

『あ、アタシもスキっす!大好きっす!ご主人の事!」

今までで最高の笑顔でウメは笑った。それにつられて、マサキも思わず笑ったのだった。

1064 :Ume made by machine@:2025/12/14(日) 21:15:51 ID:Vo/IJX7o
『ふあー…キレイっすね。これが梅って花なんすよね?』

居住区に植えられた一面を覆う白い梅の花。鼻腔をくすぐる様な香り高い匂い。
本当に小さかった子供の頃の事を思い出す。

「ああそうだよ。オレも子供の頃から好きな花で、春が近づくと神社で見てたっけな」

周囲には小さな子供達や親子連れが春の訪れを前に梅見を楽しんでいる。
ここが地球から離れた辺境の開拓惑星である事を忘れさせるような、のどかな光景だった。
そんな中にアンドロイドであるウメがごく自然に紛れ込んで、誰も彼女が人間ではない事に気付かない。
まるでアンドロイドとは思えないような姿と光景に、マサキは人間とアンドロイドの境界に疑問を感じずにはいられなかった。

あっちこっちへと忙しなく梅を眺めて回るウメ。白く美しい髪をたなびかせて元気に動き回るウメの姿に、重なるものを見ていた。
気付けば小さな子供達と楽しそうに話をしてはしゃいでいる。
その光景をマサキは自分の足元にすりついてきた小さな猫を撫でながら見守るように眺めていた。
懐かしい気分だった。自分にもあんな風に誰とでも打ち解けて笑いながら遊んでいた時期があったっけな。
こんな風に、小さな動物をペットにしてかわいがってた時期も。指で撫でると猫はゴロゴロと喉を鳴らす。

『―ご主人、その猫ばっかりかまっててずるいっす」

唇を尖らせたウメが不満そうにつぶやき、猫の真似をするかのようにすりすりと体を擦り付ける。

「やめろって、こんな所で!もうそろそろ行くぞ!」

気恥ずかしくなって体を起こし、その場を後にしようとする。

『あっ!待って下さいっすご主人!…あー、あの…』

「ウメ、何だよ?急に迷ったような顔で」

『…んにゃ、何でもないっす!明日の任務の準備しなきゃっすね!』





―ウメはさっきまで一緒に過ごしていた子供達との会話を思い出していた。


―私ね、大きくなったら××くんのお嫁さんになる!

―××くんもわたしのこと好きでしょ?

―好きな人どうしは結婚するんだって!


『スキ、どうしは…ケッコンする…んすか』

今までウメの思考回路の中に一度も起こらなかった、理解のできない思考が起きているのを彼女は感じていた。

(つづく)

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