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やる夫は宇宙世紀世界に転生させられたようです Mk-5【一応R-18】
2455 :
御陳珍ランド園長
◆DsPKTNkWlM
:2024/03/05(火) 00:03:42 ID:80bSLNfH
暇だ……ゲームにログインしてきて暇だってのもおかしな話だが、実際暇なんだから仕方がない。
まあやることがないって言うんじゃなくて、単に待ち合わせをしているってだけなんだけどな。こういうときは次回予告ごっこでもして時間を潰すか……
――照りつける陽射しを反射して砂の大地が黄金色に輝く。吹きすさぶ熱風が砂を巻き上げ、乾いた音を石造りの街並みに響かせてゆく。
かつてゴールドラッシュによって賑わった街は今、商業の中心地に渦巻く金の蟻地獄として、また血しぶき飛び交うコロッセオが巻き起こす狂気の中心地として今なお隆盛を極める。
命なき砂漠の中でありながら人々の憧れを集める街、いずれは硫黄の火に焼かれるであろうことを承知の上でなお熱狂に焦がれるそこは、
惑星マーテラのムサマンサ。この街にそびえ立つ一際巨大な淡く白い光を放つ水晶の下、石壁に背を預けて誰かを待つ男が一人。
発光しながら駆動する機械仕掛けの魔術師装備を纏うその男、目深に被ったフードに隠したその目で何を見る……なーんてな。
しっかし遅いな二人共……せっかく夏休み前最後の試験が終わってすぐログインしたのに、これじゃ他のことして暇つぶしした方が良かったんじゃねーか?
いっそのことカジノにでも行って軽く遊んでこようかな……っと、あの特徴的な髪色で頭以外フル装備の甲冑をガチャガチャと響かせて駆け寄ってくる男アバター……アイツだな。
「ヤルカイザー! すまない、待たせたな」
「おせぇぞカルマリオン。あやうくヨソに行くところだったじゃねーかよ」
コイツはカルマリオン。薄紫髪のロン毛を後ろで束ね、ややゴリマッチョ気味な体格をした浅黒い男前のアバターを使うコイツは、
昔ひょんなことで一緒に遊ぶようになったゲーム仲間の一人だ。今日はコイツと後一人のゲーム仲間と一緒にクリファン……クリスタルファンタジア20で遊ぶ約束をしていた。
クリスタルファンタジア20はその名の通り外伝含め二十作以上作られている超長寿RPGシリーズで、この20はシリーズ初のVRMMOとしてサービスを開始した意欲作だ。
JRPGらしい王道の世界観やストーリー、一生をかけても遊びきれないんじゃないかと思わせるほど豊富に揃ったハイクォリティなコンテンツが評価され、
他のVRMMOの例に漏れず世界中でプレイされている大人気ゲームだ。今日はこのゲームの新コンテンツがこれから開始されるってことで俺が後の二人を誘って、
普段遊んでいるゲームじゃなくこっちに遊びに来たってわけだ。傍目に見れば中々にゴッツイアバターでありながら、
カルマリオンはいつもの通りに、リアルの様子が透けてくる柔らかな仕草で俺のそばへ来て話しかけてきた。
「というよりもヤルカイザー、むしろ君がログインするのが早すぎるぞ。今日が最後の試験だったのだろう? 大丈夫だったのか?」
「ま、多分平均点にはなってると思うからヘーキだって。多分、きっと、恐らく……」
オイ待てカルマリオン、肩をすくめて首を横に振るな。一体何だその諦めたような顔は。
まるで遊び呆けて単位を落とした結果、留年が確定した学生を憐れむような目じゃないか。俺が一体何をしたっていうんだ。ただ楽しくゲームで遊んでいただけだろう。
「遊びすぎて留年などということにはならないで欲しいんだがな……そろそろ卒論も考えねばならんのだろう?」
「カルマリオン……その言葉は俺に効く、やめてくれ。就活のことも考えたく無い」
「こと就活に関しては君は心配する必要ないと思うがね」
思わず手を頭に当てて天を仰ぐ。忘れていたかった記憶の数々が蘇ってきた。
就活情報の山……嫌というほど書かされる履歴書……丸暗記する志望動機……学生時代打ち込んだこと……謎に意識が高くなるクラスメイト……うっ頭が……
コイツといい、アイツといい、曲がりなりにも立派な社会人してるからって余裕面しやがってよぉ……
カルマリオンの奴はついに俺の肩に手を置いてゆっくりとうなずいてきた。やめろやめろやめろ! 俺は別に単位をあらかた落とすような真似はしてねぇ! わ、話題を変えなきゃ……
「つか、アンクルコミーはどうした。まーたいつものか?」
「ああ、いつもの十本勝負だ。まあそう時間もかかるまい、そろそろこっちにログインして来るだろう」
今話に上がったアンクルコミーが俺のもう一人のゲーム仲間だ。金髪のロン毛をなびかせた碧眼の細マッチョイケメンアバターでする王子様ロールが何故か妙に似合うリアルイケメン野郎。
まあ、その実ただのシスコンバカだったりするんだが……ん、今ワープしてきたのがそうかな? 急所を守る最低限の革装備と、それとは真逆に一目で手間がかかっているとわかるライフル銃を腰に差して身軽そうに歩いてくる。
まあ見た目こそシンプルでも、あの革装備の素材を揃えて完成まで持っていくために結構苦労したんだよなぁ……先に作っていた銃も含めて大事に使ってくれているようで何よりだ。
いや、あんまりこっちにログインしてないだけか……? アンクルコミーは俺達のところまで歩いてくると、いつものように微笑を浮かべて話しかけてきた。
「待たせてしまったか、二人共?」
「いんや?それよりも思ったより早かったなアンクルコミー。さてはストレートで十敗したな?」
「バカ言え、いつも通り二割は死守したに決まっているだろう!」
アンクルコミーが不服そうな顔をして声を荒らげて噛み付いて来るが、まあぶっちゃけ別に俺もカルマリオンもヤツがストレート負けしたとは思っていない。
俺たちと遊んでいる時はゲラゲラ笑いながらバカやってるが、なんだかんだでこのアンクルコミーという男、職業としてプロゲーマーをやるだけの闘争心と負けん気の塊だ。
明らかに格上の相手に定期的に十連戦を挑んでは毎回ボコボコにされて帰ってくるというのが日常で、俺たちの間ではもはや『いつもの』として風物詩扱いにすらなっているだよなぁ。
「そーろそろ勝ち越して欲しいんだけどねぇ……というか勝率二割死守したって威張ってて自分で悲しくならねーのか?」
「そう言うのなら自分でやれ、な?」
いや、そうニッコリと笑って両手を俺の肩に置かれてもな……風物詩になるくらいには毎回毎回ボコボコに負けてる割にダイヤグラム8:2は一向に崩さない辺りに、
この男の意地というものが見えてくる。一応俺たちもなんとかして勝てるよう協力はしてるんだけどねぇ……ええい、両手にジワジワと力を込めてくるんじゃない! 離せっこの!
「三分も経たない内に十敗するからいやでーす」
「よくも出来もしないことを好き勝手言う!」
うるせぇやい、俺はプロゲーマーみたいな魔境に自分から突っ込むような趣味はねぇんだ!
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