【R-18】あなたたちは運命の扉の先で稼ぐようです　32扉目【安価・あんこ・ＲＰ】

1035 ：名無しさん＠狐板：2023/08/02(水) 17:01:51 ID:SxED06ao

全天を覆い尽くす汚濁の坩堝、星空に一際輝く金色の太陽。覇気と違わぬ陽光が夜明けを照らし、遍く一切を灼いていく
可憐な縁飾りに彩られた、絵物語の魔法少女染みた衣装。憎たらしい程に、純粋無垢なる少女贄に引き継がれた因子の想起
目の前の彼女こそ、稀代の錬金術師たちを束ねる秘密の首領。黄金の夜明け団を率いる、三重に偉大な祖と並びし真理探求者
感情表現豊かな幼い少女の成れ果ては戦場に似合わない可愛らしい笑みを浮かべて、愛しい家出娘と呼ぶモノの前に現れた
ならば、応えるのが道理である。星を目指す者の、旅の軌跡。思い悩み、産みの親に等しい誰かの言葉でしか納得できない物
忌まわしき者どもの母、原初の女と同様に名付けられた空の器。只々静かに、一歩を踏み出す幼子が、小さな母親に問い掛けた

『幾つか、訊きたい事があるわ……ねぇ…………貴方の最終的な目標は何？　……どうして、あの時のイヴたちに自由を与えたの？』
複雑な感情を湛える琥珀色の瞳に映る創造主。産まれ出た時より錬金術の行使に支障のない、成熟半ばのオトモダチ。人の形な実験体
教育中にしても、自由を与える必要性は存在しないのだ。他のモノは効率的な錬金術で余る素材を拝借し、秘密基地を作る余裕もない
好奇心に任せた馬鹿な事をして転げ回り、分からない部分を仲良く教え合い、繁殖実験に触発されて疎い性行為の真似事もできない
本来、見逃す余地はない。況してや、示し合わせたかの如く遊びに最適な錬金術の数々を優先的に、優しく教えるなど非効率の極みだ
故に単純な帰結として純粋無垢なる少女贄、嘗て空の器と錬成されたイヴは言葉を紡ぎ出す。私には真意を確かめる必要性があるのだと
其の愛が他者を弄ぶ悪意にしろ、其の愛が他者を慈しむ善意にしろ。仮令其の愛が、善悪関係なく己が願い/夢のためのものにしろ
煌めく星に焦がれた子供は、己がソラに手を伸ばした理由を知りたいと声を出す。大いなる獣は寄り添い、幼年期の終わりを見詰める
暗く冷たい水底に沈むお友達。看取り続けた意味、忘却の霧に包まれた残酷な真実。黄金の風を秘めた旅行鞄を抱き締めて、白蝶は揺蕩う